説明

エラストマー封止層を備えるシリンダヘッドガスケット

本発明は、液体が浸入しないように保護された、内燃機関の構成部品(12,14)を封止するためのシリンダヘッドガスケットを提供するものである。さらに、接触腐食を防止するために、機能層が他の構成部品に対して電気的に絶縁されている。シリンダヘッドガスケットは、燃焼室を取り巻く少なくとも1つの開口部、およびこの開口部と反対側で外側を向いた縁(C)を備える金属の機能層4と、電気絶縁性かつ液体不透過性のエラストマー層(2)とを含んでいる。エラストマー層(2)は機能層(4)の縁(C)を包み込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が浸入しないように封止された、内燃機関用のシリンダヘッドガスケットに関する。さらに、本発明は、シリンダヘッドとエンジンブロックが、電気化学的な電位が互いに明らかに異なる複数の金属または合金から構成されているエンジン用のシリンダヘッドガスケットに関し、この場合、このガスケットは、封止すべき構成部品に対して、接触腐食が防止されるように電気的に絶縁されている。特に、本発明は、シールリップが、封止を改善し、好ましくない付着を防止するように構成されているガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の製造に使用される材料が多様になってきており、これらの材料は、例えば古くから知られている鋳鉄のような材料に対して、重量を軽くするなど、特性を改善したことを特徴としている。そのために、特に、アルミニウム合金、および、最近では、強化されたマグネシウム合金が用いられている。エンジンの様々な構成部品は、非常に様々な要求を満たさなくてはならないので、このような機械の製造には、様々な金属や合金を使用するのを避けられない。このことは、相応の材料を各要求に合わせることに関して、融通性が高くなることを意味しているのはもちろんであるが、例えば鋳鉄のような単一の材料からなるエンジンに比べて、新たな問題が生じる。特に、互いに異なる酸化還元電位を有する互いに異なる金属または合金が、電気が流れるように互いに接触した時に発生する接触腐食が起こる傾向が生じることが挙げられる。このような対の材料の連結部位には、例えば塩水のような液体が入り込む場合があり、すると、この液体は、電解液として作用し、それによって、前述の腐食の傾向を促進してしまう。互いに異なる材料の熱膨張が互いに異なることによって、生じている隙間の大きさが大きくなる場合があるので、当然、このような接触部位の封止が困難になり、それによって、前述した影響がいっそう強められる。
【0003】
特に、材料特性が好ましいためにエンジンの製造に今後ますます用いられるであろうマグネシウム合金は、シリンダヘッドガスケットに使用されることが多いばね鋼に比べて、大きく異なる酸化還元電位を有している。このような材料の組み合わせの場合に、当然ながら電位が互いに異なる複数の他の合金の場合にも、エンジンの構成部品の寿命を短くする場合がある接触腐食を軽減するための予防策が必要である。
【0004】
したがって、損傷を防ぐために、互いに異なる材料間の接触部位を適切に封止し、電気的に相互に絶縁するのが望ましい。内燃機関の場合、シリンダヘッドガスケットの所が、特に危険に曝される領域である。この領域では、例えばマグネシウム合金からなる軽金属のシリンダヘッドと、アルミニウム合金からなるエンジンブロックと、クロム・ニッケル・ばね鋼からなるシリンダヘッドガスケットとのように、互いに異なる複数の材料が互いに接続される。さらに、例えば冷却水用の貫流開口部が設けられ、エンジンの外側でも、例えば塩水のような液体が、個々の部品の接続部位に浸入する可能性がある。したがって、特に危険に曝される、貫流開口部の縁、および外側に位置する縁の所で、液体が浸入しないようにシリンダヘッドガスケットを封止し、シリンダヘッドとエンジンブロックの接触面を、接触腐食を抑制するために、できるだけ保護することが特に必要である。
【0005】
特許文献1には、周回するように延びるエラストマー層が複数の液体出口を完全に取り囲んでいるが、ねじ止め用の複数の穴はその対象となっていないシリンダヘッドガスケットが記載されている。このようなシリンダヘッドガスケットは、シリンダヘッドとエンジンブロックの領域にほぼ同じ材料を有するエンジンの場合に、封止をするのに適している。この場合には、確かに、電位差の問題はそもそも発生しない。この場合、ガスケットの縁は外側では封止されておらず、エラストマー層は上側と下側だけに設けられている。
【0006】
特許文献2には、機能層が、発生する電位差を軽減する絶縁体と結合された、例えばシリンダヘッドガスケットとして利用可能な平形ガスケットが記載されている。絶縁体は、機能層の外側の縁の領域において特に封止作用を生じるフレームを備えている。しかし、この絶縁体は、保護すべき縁の周りを完全には囲んでいない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0756114号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10125091号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、封止すべき複数の部分およびガスケット自体の、互いに異なる材料を互いに絶縁するシリンダヘッドガスケットを提供することにある。さらに、本発明のシリンダヘッドガスケットによって、外側に位置する縁および/または内側に位置する複数の貫流開口部の縁が、液体が浸入しないように封止される。本発明のガスケットによって、酸化還元電位が互いに大きく異なる複数の材料が互いに接している領域における接触腐食反応が防止され、または少なくとも軽減される必要がある。液体が浸入しないように封止することによって、腐食の傾向をいっそう軽減させる必要がある。本発明によるガスケットによって、ガスケット自体の寿命も、封止すべき複数の構成部品の寿命も延ばすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、機能層がその縁の所で保護エラストマー層によって包み込まれているシリンダヘッドガスケットによって達成される。2つ以上の層を備えるガスケットの場合、その都度、最も大きく突出している層が包み込まれている。それによって、突出量がより小さい、すなわちより内側に位置している全ての層が、前述した悪影響から保護される。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、内燃機関の複数の構成部品を封止するシリンダヘッドガスケットが提供される。このシリンダヘッドガスケットは、少なくとも1つの開口部、およびこの開口部とは反対側で外側を向いた縁を備える金属の機能層と、電気絶縁性で液体不透過性のエラストマー層とを含んでいる。このシリンダヘッドガスケットは、エラストマー層が機能層の縁を包み込んでいることを特徴としている。包み込むエラストマー層によって、特に危険に曝される機能層の縁が保護され、また、液体や異物の浸入が防止される。さらに、エラストマー層は、機能層と封止すべき複数の構成部品を電気的に絶縁する働きをし、それによって、複数の材料の酸化還元電位が異なるために生じる接触腐食を防ぐことができる。
【0010】
シリンダヘッドガスケットは、少なくとも1つの別の層を含んでいるのが好ましい。この場合、縁がエラストマー層によって包み込まれた機能層は、燃焼室と反対の方向に、少なくとも1つの別の層を超えて突出している。それによって、より内側にある全ての層が液体の浸入から保護され、同時に、(主)機能層は、シリンダヘッドおよびエンジンブロックと電気的に接触しないように絶縁される。
【0011】
エラストマー層は、少なくとも1つの別の層の縁のそばまで達しているのが好ましい。それによって、この縁の所での封止が、可能な限り完全に保たれる。
【0012】
エラストマー層が貫流開口部の縁を包み込んでいるのが好ましい。それによって、例えば冷却水などを貫流させるための開口部を、ガスケットの外側の縁と同様に保護することができる。
【0013】
エラストマー層は、縁に沿って周回するように延びる少なくとも1つのシールリップを、エラストマー層の上面または下面に有し、このシールリップは、平形ガスケットが組み込まれた状態の時、封止すべき複数の構成部品のうちの1つに封止をするように密着するのが好ましい。それによって、2つの利点が得られる。すなわち、シールリップによって、押圧力を強めることにより封止が改善される。同時に、エラストマー層の、より低い他の領域が、シリンダヘッドやエンジンブロックに不用意に付着するのを防ぐことができ、それによって、エラストマーの残りかすを取り除かなくてよいので、後でガスケットを交換するのが容易になる。さらに、全面で当接させる場合に比べて、取り付け時に垂直方向の圧力によって発生する可能性がある、エラストマー層の水平方向への「逃げ」すなわちはみ出しが防止される。
【0014】
エラストマー層は上面にも下面にもそれぞれ少なくとも1つのシールリップを有しているのが好ましい。それによって、上述した利点を両側で生かすことができる。
【0015】
シールリップは上面と下面で相互にずらして配置するのが好ましい。それによって、機能層を容易に波形に撓ませることが可能となり、これによって、押圧力が強まり、それによって封止が改善される。さらに、その結果、機能層が、互いにずらされたシールリップの上で容易に横揺れできることによって、機能層は、エンジンの振動や、シリンダヘッドとエンジンブロックの熱膨張の違いを、より良好に補償することができる。
【0016】
シリンダヘッドガスケットは、機能層の上側または下側に少なくとも2つの別の層を有し、エラストマー層は少なくとも2つの別の層の側に少なくとも2つのシールリップを有し、少なくとも1つのシールリップが第1の層の外側の縁と第2の層の外側の縁との間に配置されているのが好ましい。それによって、外側に位置するシールリップが例えば損傷し、またはそれ以外の原因で封止作用を発揮できなくなった場合に、追加の封止が実現される。この場合、少なくとも、さらに内側に位置する全ての層が保護される。さらに、一番上の層の縁の湾曲を抑制または防止することができ、それによって、シリンダヘッドガスケットを平坦でないものとすることが可能となる。
【0017】
シリンダヘッドガスケットは、機能層の上側または下側に少なくとも1つの層を有し、エラストマー層は、機能層と少なくとも1つの層との間まで達しているのが好ましい。それによって、シリンダヘッドガスケットが組み込まれた状態の時、エラストマー層が2つの層の間で挟み込まれるようにすることができ、このことによって、両層の間で封止が行われ、また、エラストマー層が機能層から剥がれるのが防止される。
【0018】
エラストマー層は、ガスケットが組み込まれた状態の時、シールリップの所でのみ、封止すべき構成部品と接触するのが好ましい。それによって、エラストマー層の、より低い所に位置している領域の、好ましくない付着を防止することができ、このことによって、エラストマーの残りかすを取り除くことなく、後からシリンダヘッドガスケットを交換することが可能になる。
【0019】
エラストマー層は、シールリップの外の少なくとも1つの部分領域において、封止すべき構成部品のうちの1つに全面で密着するのが好ましい。これは、シールリップを形成するのに十分なスペースがない領域、すなわち、例えば、燃焼室の開口部の近くに位置する冷却水貫流部のそばにおいて有益である場合がある。
【0020】
本発明の他の利点および特徴が、本発明の実施形態の、添付の図面を参照しての以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
各図では、それぞれ図の左側が外側、すなわち、ガスケットの、燃焼室と反対の側に相当しており、一方、右側が、燃焼室等がある内側を向いた部分に相当している。ここに示す各実施形態では、機能層の、外側の縁に関して本発明を説明するが、例えば冷却剤貫流部の、内側に位置する縁も、ここに説明するやり方で保護することができるのはもちろんである。
【0022】
図1に示す本発明のガスケットは、外側の縁Cを備える機能層4を有している。さらに、機能層4の上側または下側にそれぞれ配置された追加の2つの層8および10がある。機能層4が最も大きく突出している。エラストマー層2が機能層4の外側の縁Cの領域を完全に包み込んでいる。エラストマー層2は、内側では、追加の2つの層8および10のそばまで達している。さらに、この図は、縁Cに沿って周回するように延びるビードによって形成された、領域Aの、4つのシールリップ6,6’,6’’,6’’’を示している。したがって、エラストマー層2は、シールリップを備える領域Aと、残りの平坦な領域Bとに区分される。シールリップ6,6’,6’’,6’’’は、2つの層8および10の高さをいくらか超えて突出する高さに形成されている。それによって、ここでは実質的に三角形のビードとして形成されたシールリップは、ガスケットの組み込み時に、エンジンブロックとシリンダヘッドの間で圧縮され、すなわちその高さを押しつぶされ、その結果、良好に封止をするように、対応する表面に密着する。機能層4の縁Cの領域で外側に向かって特に厚く形成されたエラストマー層2によって、機能層の、危険に曝される縁が、外部の影響、特に液体の作用から保護され、また、他の金属部品と接触しないように隔離されている。それによって、起り得る接触腐食が抑制される。シールリップ6,6’,6’’,6’’’は液体や埃などを遮断し、したがって、液体や埃などはガスケットの各層の間に浸入することはできない。隆起したシールリップを形成することによって、その領域における押圧力を強めることができ、それによって優れた封止作用を得られる。さらに、エンジンの振動や封止すべき複数の部品の熱膨張が互いに異なることに起因する振動や間隙の寸法の変動が補償される。エラストマー層およびシールリップは、例えばエラストマービードの形態で、本発明によるガスケットの機能層上に形成することができる。本発明のガスケットは、特に液体の浸入を防ぐためのものであるが、汚れ、埃、およびその他の異物が浸入しないように保護するのにも役立つのはもちろんである。
【0023】
図2は、本発明の別の実施形態を示している。ここでは、エラストマー層2は2つのシールリップ6,6’’’だけを有している。エラストマー層2の領域Bは、シールリップ6,6’’’の領域に比べて低くなっており、すなわち、より低い高さを有している。別の変形例として、機能層4と追加の層10はハーフビードを備えている。この際、機能層4が最も大きく突出している。
【0024】
図3には、本発明によるガスケットが、組み込まれた状態で示されている。シリンダヘッド12とエンジンブロック14の間に、図1のガスケットと同様に構成されたガスケットがある。ここで分かるように、組み込み時の押圧によってシールリップ6,6’,6’’,6’’’は圧縮され、すなわち垂直方向に押しつぶされ、その結果、シリンダヘッド12およびエンジンブロック14のそれぞれに封止をするように密着する。それによって、複数の構成部品、すなわちシリンダヘッド12とエンジンブロック14の間に液体やその他の異物が浸入するのが防止される。機能層4は、外側の縁の領域において、シリンダヘッド12およびエンジンブロック14に対してエラストマー層2によって隔離されており、その結果、関与する複数の材料の酸化還元電位が互いに異なることに起因する接触腐食が防止される。ここに示す実施形態の変形例では、エラストマー層2および/またはシールリップ6,6’,6’’,6’’’を、より詳細に言えば、これらの相対的な厚さを、シールリップ6,6’,6’’,6’’’が、組み込まれた状態の時に、さらに、一緒に圧縮されるように調節することができ、それによって封止作用が高まる。これに応じて、より低い領域Bはシリンダヘッドおよびエンジンブロックに密着するか、または、これらと接触しないかのいずれかとなる。しかし、後者の場合、シールリップ6,6’,6’’,6’’’によって十分な封止と隔離が得られるにも拘らず、機能層4が、縁Cの領域で、振動または湾曲するある程度の自由度を持ったままとなるという利点がある。それによって、エラストマー層2または機能層4に、機械的な変形によって過度に強い応力をかけることなく、関与する構成部品の熱膨張の違いや振動に対処することができる。さらに、シールリップ6,6’,6’’,6’’’だけが封止をするように密着している場合、封止すべき表面へのエラストマー層2の好ましくない永続的な付着効果(固着(Festbacken))が最低限に抑えられ、それによって、後からガスケットを交換するのがはるかに容易になる。さらに、全面で密着したエラストマー層は、組み込まれた状態の時に、内側または外側に向かってはみ出し、すなわち側方へ広がる傾向があり、これが好ましくないのはもちろんである。それに対して、シールリップ6,6’,6’’,6’’’の(わずかな)側方へのはみ出しは、問題ではなく、あるいは、その上、封止機能の役に立つ。
【0025】
図4は、本発明によるガスケットの別の実施形態を示している。このガスケットは、機能層4と、エラストマー層2と、追加の3つの層8,10および16とから構成されている。層8と10は、機能層4の上側または下側にそれぞれあり、外側に向かって同じ所まで達している。機能層4は最も遠くまで突出している。層16は層10の上方に配置されており、層10よりも突出している。エラストマー層2は、前の実施形態と同様に、機能層2の縁の周りで閉じられており、その内側の端部が層8および10のそばまで達している。さらに外側に達している第3の層16は、エラストマー層2の、内側の端部を越えて延び出ている。4つのシールリップ6,6’,6’’,6’’’が形成されており、そのうち上側の2つのうち内側のものが、層16に下方から封止をするように密着している。さらに外側に位置している上側のシールリップ6’は、組み込まれた状態の時に、封止をするようにシリンダヘッドに密着させるために、層16の上側の縁を超えていくらか突出する高さに形成されている。シールリップの高さの構成によって、様々な複数の層を備えるさらに複雑なガスケットでも、その条件に合わせて、融通性のある調節をすることができる。それによって、液体の浸入および互いに異なる材料の隔離が有効に保障される。
【0026】
本発明によるガスケットの、さらに別の可能な構成が同様に図4に示されている。シールリップを、機能層4の上側と下側で、それぞれずらして配置することができる。それによって、機能層4の剛性に影響を与えることができる。また、それによって、シールリップの上での横揺れを容易にすることもできる。一例として、ここには、下側のシールリップ6’’,6’’’について、さらに別の2つの断面形状が示されている。
【0027】
ビード状のシールリップは、ここに示した様々な断面を有することができ、あるいはこれ以外の断面を有することもできる。それによって、シールリップの特性を、その都度の必要条件に正確に合わせることができる。すなわち、三角形のビードを用いれば、点状の所で強い押圧力を実現することができる。それに対して、半球状の構成を用いれば、より広い当接面が実現され、圧力がより良好に分散され、横揺れの特性が変化する。長方形、台形、あるいは波形の断面のような別の形状も同様に考えられる。
【0028】
図5は、本発明の簡単な実施形態を示している。ここでは、ガスケットは、機能層4と、エラストマー層2と、2つの層8および10とから構成されている。機能層4は最も遠くまで突出している。ここでは、エラストマー層2の領域Bが、下側で全幅にわたって延びており、エラストマー層2は、その高さのために、組み込まれた状態の時、封止すべき表面に全面で密着する。エラストマー層2は機能層4の外側の縁Cを包み込み、層8および10の下方まで達している。すなわち、エラストマー層2の、上側の内側の端部が、機能層4と追加の層10の間まで達している。それによって、組み込まれた状態の時に、エラストマー層2の端部が複数の層の間にしっかりと挟み込まれるので、封止作用が生じる。上述したシールリップのない、このように簡素化されたガスケットは、特に、シールリップのための十分な幅がない場合、または、追加の層が非常に薄い場合に考えられる。ここでは、下側に、さらに別の実施形態が示されている。エラストマー層2は、組み込まれた状態の時に、シリンダヘッドまたはエンジンブロックに封止をするように密着するために、少なくとも、追加の層8および10と同じ高さか、これよりいくらか高い高さを有する必要がある。ここに示すシールリップのない状況は、封止すべき開口部が比較的小さく、かつ他の開口部が狭い間隔で隣接して位置しており、その結果、狭い状況のためにシールリップを組み込むことができない、例えば冷却水用の貫流開口部の場合にも同様に考えられる。
【0029】
図6には、前の各図に示すガスケットの様々な特徴を組み合わせた、本発明によるガスケットが示されている。機能層4は、内側の部分にハーフビードを備えている。エラストマー層2は機能層4の外側の縁Cの周りを囲んでおり、機能層4と、上側の層10および下側の層8のそれぞれとの間に達している。したがって、組み込まれた状態の時に、エラストマー層2は上側の層10および下側の層8のそれぞれと機能層4との間に挟みこまれ、封止が改善される。これに加えて、封止を改善するために、縁Cと、層8および10の、外側の縁との間にシールリップ6,6’’’が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】シリンダヘッドガスケットの本発明による有利な実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の別の有利な実施形態を示す断面図である。
【図3】図1のシリンダヘッドガスケットの、組み込まれた状態での断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の簡素化した実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の複数の構成部品(12,14)を封止するためのシリンダヘッドガスケットであって、燃焼室を取り巻く少なくとも1つの開口部、および該開口部と反対側の外側を向いた縁(C)を備える金属の機能層(4)と、電気絶縁性かつ液体不透過性のエラストマー層(2)と、を含んでおり、
前記エラストマー層(2)は前記機能層(4)の前記縁(C)を包み込んでおり、シリンダヘッドガスケットは少なくとも1つの別の層(8,10,16)を含んでおり、前記機能層(4)は前記少なくとも1つの別の層(8,10,16)よりも前記燃焼室と反対の方向に突出している、シリンダヘッドガスケットにおいて、
前記エラストマー層(2)は、その上面と下面に、前記縁(C)に沿って周回するように延びるそれぞれ少なくとも1つのシールリップ(6,6’,6’’,6’’’)を有しており、前記エラストマー層(2)は、シリンダヘッドガスケットが組み込まれた状態の時に、前記シールリップ(6,6’,6’’,6’’’)の所でのみ、封止すべき前記構成部品(12,14)と接触することを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】
前記エラストマー層(2)は前記少なくとも1つの別の層(8,10,16)の縁に隣接している、請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項3】
前記エラストマー層(2)は前記少なくとも1つの開口部の縁を包み込んでいる、請求項1または2に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項4】
複数の前記シールリップ(6,6’,6’’,6’’’)が前記上面と前記下面で相互にずらして配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項5】
ガスケットは前記機能層(4)の上側または下側に少なくとも2つの別の層(10,16)を有しており、前記エラストマー層(2)は前記少なくとも2つの別の層(10,16)の側に少なくとも2つの前記シールリップ(6,6’,6’’,6’’’)を有しており、少なくとも1つの前記シールリップ(6)が前記第1の層(10)および前記第2の層(16)のそれぞれの縁の間に配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項6】
ガスケットは前記機能層(4)の上側または下側に少なくとも1つの層(10,8)を有しており、前記エラストマー層(2)は部分的に前記機能層(4)と前記少なくとも1つの層(8,10)との間に配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のシリンダヘッドガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524035(P2007−524035A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500061(P2007−500061)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013126
【国際公開番号】WO2005/080834
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(595157503)フェデラル−モーグル シーリング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Sealing Systems GmbH
【Fターム(参考)】