説明

エラストマー混合物のための強化充填剤としての沈降珪酸

本発明は、特殊な孔径分布とともに特に狭い粒径分布を有する沈降珪酸、それらの製造方法、およびゴム混合物のための充填剤としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な孔径分布とともに特に狭い粒径分布を有する沈降シリカ、それらの製造方法、およびゴム混合物のための充填剤としてのそれらの使用に関する。
【0002】
エラストマー混合物、例えばタイヤトレッド混合物における沈降シリカの使用は、長きにわたって知られている。なかでも空気タイヤおよび工業用ゴム製品を製造するのに使用されるゴム混合物における強化充填剤としてのシリカの使用に対する需要が大きい。それらは、ゴムに容易かつ効率的に混入および分散可能であり、カップリング試薬、好ましくは二官能性有機珪素化合物と併用すると、ゴムと化学結合することで、ゴム混合物の所望の高度で均一な強化をもたらす。高性能タイヤの場合は、湿潤滑り、回転抵抗、ハンドリングおよび摩耗性能に関して良好な特性を得るためにシリカが使用される。例えば、EP0520862B1、EP0670813B1およびEP917519B1による先行技術のシリカの場合は、シリカの特に良好な分散性により、摩耗特性の問題を解決する試みがなされている。しかし、その問題を十分に解決するには良好な分散性だけでは不十分であることが判明した。
【0003】
低分子量化合物、例えば、二官能性有機珪素化合物および加硫促進剤は、シリカの孔に物理および/または化学吸着され得るため、ゴム接着促進剤およびゴム架橋のための加硫促進剤としての機能を発揮できるとしてもごく限られた程度であることを当業者は認識している。
【0004】
また、カップリング試薬、典型的には(S.Wolff,"Chemical Aspects of Rubber Reinforcement by Fillers",Rubber Chem.Technol.69,325(1996))から既知の二官能性有機珪素化合物は、シリカのゴム活性表面を極めて十分に均一かつ定量的に改質することを目的とすることを当業者は認識している。その改質を、シリカを物質または溶液/懸濁液で予め被覆する(域外)(U.Goerl,R.Panenka,「Silanisierte Kieselsaeuren−Eine neue Produktklasse fuer zeitgemaesse Mischungsentwicklung」[Silanized silicas−a new product class for modern−day mixture development],Kautch.Gummi Kunstst.46,538(1993))ことによって、あるいは混合過程(域内)(H.D.Luginsland,"Processing of Silica/Silane−Filled Tread Compounds"、ACS会議(2000年4月4〜6日、米国テキサス州ダラス)で発表された論文第34号)で実施することができ、域内改質が好ましいとともに、典型的に採用される方法である。ゴム活性表面を迅速かつ定量的にシラン処理するために、有機珪素化合物が結合できる反応性シラノール基で表面を制御的に富化することが必要である。シリカ表面を有機珪素化合物で迅速かつ完全にシラン処理するために、4%を超える水分が必要である(U.Goerl,A.Hunsche,A.Mueller,H.G.Koban,"Investigation into the Silica/Silane Reaction System",Rubber Chem.Technol.70,608(1997))。
【0005】
摩耗性能およびカップリング剤のシリカへの結合の問題は、まだ完全に解決されていない。従って、既知の強化シリカの上記欠点を有していてもごく小さい程度であると同時に、既知の強化シリカの利点を有するエラストマー混合物のための新規の強化シリカが必要である。
【0006】
従って、本発明の目的は、エラストマー混合物に効率的に混入することができ、先行技術の沈降シリカと比較して、向上した性能特性を示す新規の沈降シリカを提供することであった。加えて、対応するシリカを製造するための方法も提供することになる。
【0007】
明示されていないさらなる目的は、説明、実施例および請求項の全文脈から明らかである。
【0008】
意外にも、この目的は、以下の説明、請求項および実施例に詳細に定義されている発明の沈降シリカによって達成されることが判明した。これは、本発明者らが、既知のバッチ式方法によるシリカの製造の結果として、その物理/化学特性によって例示される、得られたシリカの均一性が一定の程度でしか可能でないことを見いだしたためである。本発明者らは、強化ゴム混合物の摩耗特性の向上の目的を、極めて十分に本質的に均一なシリカによってのみ達成できることをさらに見いだした。シリカの粒径分布が非常に狭く、均一であると同時に、孔径分布が最適であることが特に重要であることが判明した。
【0009】
従って、本発明は、以下の物理化学特性
CTAB表面積 ≧150m2/g
BET表面積 ≧150m2/g
DBP数 180〜350g/(100g)
半幅/ピーク ≦0.95
d25%/d75% 1.00〜1.80
相対幅γ(加圧) ≦2.8(gnm)/ml
微粉度F.V.(加圧)100〜140Å
を有することを特徴とする沈降シリカを提供する。
【0010】
本発明は、加えて、0.20〜0.85の形態指数IMおよび/または13〜28ml/(5g)の修正シアーズ数Vol2および/または0.20〜0.75の孔容量比V2/V1(加圧)および/または0.1〜5.0質量%のAl23含有量を特徴とする容易に分散可能な沈降シリカをさらに提供する。
【0011】
発明の沈降シリカを粉末状、適切な球形粒子、またはより好ましくは顆粒状で使用することができる。
【0012】
本発明は、請求項12〜20のいずれか一項に記載の発明の沈降シリカを製造するための方法をさらに提供する。
【0013】
本発明は、エラストマー混合物、加硫性ゴム混合物および/または他の加硫物、例えば、空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、ドライブベルト、コンベヤベルト、V−ベルト、ロールカバー、タイヤ、靴底、ガスケットおよび減衰要素における発明の沈降シリカの使用をさらに提供する。
【0014】
本発明は、発明のシリカを含むエラストマー混合物、加硫性ゴム混合物または他の加硫物、ならびにタイヤをさらに提供する。
【0015】
先行技術の沈降シリカと比較して、発明の沈降シリカは、ディスク型遠心分離機を用いて測定された特に均一かつ狭い粒径分布とともに、水銀圧入法によって測定された特定の孔径分布を有する。さらに、発明のシリカは、良好または非常に良好な分散性を有する。本発明者らは、特定の理論に束縛されることなく、具体的にはこの組合せが、ゴムマトリックス全体の均一な強化を可能にすることで、特に、最終ゴム製品の摩耗性能を向上させるとの見解を有する。
【0016】
粒径分布の幅は、「半幅/ピーク」のパラメータによって特徴づけられ、均一性は、ディスク型遠心分離機を用いて以下に記載の方法によって測定される質量分布曲線の比「d25%/d75%」によって特徴づけられる。特定の水銀圧入分布は、以下に記載の方法によって測定されるパラメータ「相対幅γ(加圧)」および「微粒度F.V.(加圧)」によって表される。DBPが十分に高いと、良好な分散性が確保される。
【0017】
全体的に、発明のシリカのこれらの特性は、摩耗値および動的応力下の性能が特に優れた非常に均衡の良いゴム性能をもたらす。
【0018】
本発明者らは、最適な均一性のシリカの効果を、形態指数IMによって定量可能なシリカの粗い表面によって支えることができることを見いだした。特定の理論に束縛されることなく、本発明者らは、ゴムおよび特にカップリング試薬に対するシリカ表面の結合が粗い表面によって向上するとの見解を有する。従って、発明のシリカは、摩耗特性を向上させるだけでなく、カップリング剤の結合を向上および促進させる。
【0019】
記載の特徴の組合せは、発明の沈降シリカがエラストマーのための強化充填剤として極めて好適であるという効果をもたらす。発明の沈降シリカは、先行技術と比較して、全体性能が大いに向上していることが注目に値する。これは、特に、摩耗性能の向上および動的性能の向上に示される。従って、摩耗性能の向上と同等または向上したウェットグリップとのタイヤトレッド混合物における矛盾した目的を解決することが可能であった。加えて、高温で動粘度の増加が認められ、それは、これらのシリカが充填されたトレッドの乗り心地の向上をもたらす。
【0020】
本発明の主題を以下に詳細に説明する。
【0021】
本発明において、シリカ、強化シリカおよび沈降シリカという用語は、同義的に使用される。
【0022】
発明のシリカは、水銀圧入法によって特徴づけられる特殊な孔構造を有する。シリカは、様々な剤形、例えば、粉末、実質的に球形の粒子または顆粒の形で存在し得るため、剤形から実質的に独立した測定値を得るために、シリカの機械的加圧処理を予め実施しなければならない。従って、水銀圧入法によって測定され、請求項で主張されるパラメータ「相対幅γ(加圧)」および「微粒度F.V.(加圧)」には、試験法の説明において具体的に記載されている水銀圧入法の実施前に加圧処理されたシリカに対してこれらのパラメータが測定されたことを明らかにするために、括弧付きの「加圧」が添えられている。
【0023】
以上に既に示されているように、パラメータをシリカの剤形から実質的に独立させ、性能の観点で妥当であり、剤形によって変形されていないシリカの「真」の値を求めるために、加圧処理が必要である。
【0024】
微粒度F.V.は、凝集体内の孔の平均半径を表す。微粒度は、試験法の説明および図3に詳細に示されている通りである。本発明者らは、意外にも、100〜140Å、好ましくは100〜130Åの範囲内の微粒度F.V.(加圧)が均一な強化に必要であることを見いだした。
【0025】
発明のシリカは、水銀圧入法によって測定される、孔容量分布関数の導関数の最大値より小さい孔径を有する孔の狭い孔径分布を有する。シリカは、様々な剤形、例えば、粉末、実質的に球形粒子または顆粒の形で存在し得るため、ここでも、剤形から実質的に独立した測定値を得るために、シリカの機械的加圧処理を予め実施しなければならない。
【0026】
水銀圧入法によって測定される孔容量は、3.5nm〜5nmの範囲内で評価される。このために、アルゴリズムは、最初に最も一般的な特徴の孔径を決定づける累積的孔容量の負の対数微分のデータに適用される。これは、典型的には、10〜100nmの範囲である。実験のセクションにおける情報に従ってこの値からさらなる評価が進められる。これは、非対称的な孔径分布を考慮する孔径分布の相対幅γ(加圧)を与える。従って、相対幅γ(加圧)は、剤形から実質的に独立し、良好な再現性で測定することが可能であり、最も一般的な孔より小さい径を有する孔だけを示す特徴である(図1参照)。この孔径範囲は、主として、融合してシリカ凝集体を形成した一次粒子間の孔用量に対応し、それらの凝集についての説明を可能にする。発明のシリカの相対幅γ(加圧)は非常に狭いため、粒子間のわずかな変化のみ見いだされる。特定の理論に束縛されることなく、本発明者らは、これが、均質かつ均一な強化および良好な摩耗性にとって必須事項であるという見解を有する。孔径分布の相対幅γ(加圧)は2.8(gnm)/ml未満、好ましくは1.0〜2.7(gnm)/mlの範囲、より好ましくは1.3〜2.6(gnm)/ml、最も好ましくは1.5〜2.5(gnm)/ml、1.7〜2.4(gnm)/mlである。
【0027】
発明のシリカが狭く均一な粒径分布を有さなければならないことは、摩耗性の向上のためのさらなる重要な必須事項であることが判明した。ディスク型遠心分離機によって測定される粒径分布の幅は、ピークの位置に対して正規化されたピークの半高幅(半幅/ピーク)によって特徴づけられ、均一性は、d25%/d75%比によって特徴づけられる。よって、理論的に可能な最大の均一性は、1.0の値になる。この比が1.0に近いほど、良好である。すなわち、シリカがより均一になる。
【0028】
従って、発明のシリカは、ピークの位置に対して正規化されたピークの半高幅(半幅/ピーク)が0.95以下、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.50〜0.90、特に好ましくは0.65〜0.90である。
【0029】
加えて、発明のシリカは、均一性比d25%/d75%が1.00〜1.80、好ましくは1.20〜1.80、より好ましくは1.30〜1.80、最も好ましくは1.40〜1.75である。
【0030】
比CTAB表面積が高いことが、十分に良好な強化能力にとって必須である。従って、発明の沈降シリカは、CTAB表面積が150m2/g以上、好ましくは160〜220m2/g、より好ましくは160〜190m2/g、最も好ましくは165〜185m2/gである。
【0031】
比BET表面積(S.Brunauer,P.H.Emmett,E.Teller,"Adsorption of Gases in Multimolecular Layers",J.Am.Chem.Soc.60,309(1938))は、ゴムへの混入挙動、粗混合特性および加硫動態に対するシリカの影響を示す。さらなる具体的な実施形態において、発明のシリカは、BET表面積が150m2/g以上、好ましくは150〜220m2/g、より好ましくは160〜210m2/g、最も好ましくは165〜195m2/gである。
【0032】
DBPが十分に高いと、十分に良好な分散性が確保される。従って、発明のシリカは、DBPが180〜350g/(100g)、好ましくは180〜300g/(100g)および190〜290g/(100g)、より好ましくは200〜280g/(100g)、最も好ましくは210〜270g/(100g)である。好適な実施形態において、DBP値は、粉末およびほぼ球形の粒子(微粒剤)については、200〜350g/(100g)、より好ましくは210〜350g/(100g)、さらにより好ましくは220〜350g/(100g)、特に好ましくは230〜320g/(100g)、極めて好ましくは240〜290g/(100g)である。別の好適な実施形態において、DBP値は、顆粒については、180〜300g/(100g)、より好ましくは190〜280g/(100g)、さらにより好ましくは200〜260g/(100g)、特に好ましくは210〜250g/(100g)、特に好ましくは210〜240g/(100g)である。
【0033】
発明のシリカの表面の粗さは、形態指数IMによって示される。シリカ粉末の特徴付けにしばしば採用される逆ガスクロマトグラフィー(IGC)は、無限希釈条件下(IGC−ID、DI=無限希釈条件)で、表面粗さを測定するように機能することもできる。
【0034】
IGC−DIは、非常に少量で注入される溶解物質の正味滞留時間(相対的に非相互作用的なメタンサンプルの対応する時間と比較して、物質が、シリカを充填したカラム内で費やす時間)の測定を必要とする。これらの条件下では、物質の分子間相互作用を無視することができる。
【0035】
サンプルの自由吸着エネルギーの変化(ΔGa)は、滞留容量(VG)と以下の関係を有する。
【0036】
ΔGa(サンプル)=−RT・In(VG
(自由吸着エネルギーΔGaは[kJ/mol]、一般気体定数R=831441は[J/(Kmol)]、温度は[K]、In(自然対数)、滞留容量VGの大きさは[ml]である)。
【0037】
Gは、キャリヤガス(ヘリウム)の流量(Dc)および実測正味滞留時間(tN)の関数として、以下のように計算される。
【0038】
G=DC・tN
(流量は[ml/分]、正味滞留時間は[分]である。)
補正流量DCは、ジェームス−マーチン気体圧縮性補正係数(J.R.CONDER,C.L.YOUNG,"Physico−Chemical Measurement by Gas Chromatoguraphy",Wiley,New−York,26−32(1979)参照)を利用して、通常カラムの出口で測定される移動相の流量から測定される。
【0039】
自由エンタルピ(ΔGa)を一連のn−アルカンの炭素原子の数に対してプロットすると、図1に示される直線関係を見いだすことができる。ΔGa(CH2)は、直線の傾きであり、単一のCH2基の自由吸着エネルギーを構成する。Ncは炭素数である。これは、すべての処理条件下でのすべての充填カラムに当てはまる。
【0040】
分枝状および環式アルカンサンプルの挙動をn−アルカンの挙動と比較することによって表面粗さを推定した。
【0041】
固体の表面形態の測定方法は、E.BrendleおよびE.Papirerによって開発された分子のトポロジー指数(χτ)の概念に基づく(E.BRENDLE,E.PAPIRER,J.Colloid Interface Sci.194,207−216(1997),"A new topological index for molecular probes used in inverse gas chromatography for the surface nanorugosity evaluation"参照)。トポロジー指数は、分子の形(幾何学構造)を考慮し、それらのファンデルワールス容量に関する情報を与える。IGCにおける標準として使用されるいくつかの分子についてのχτ値が第1表に報告されている。
【0042】
【表1】

第1表:直鎖状および分枝状アルカンについてのχτ
【0043】
形態指数(IM)は、分枝状アルカン分子の滞留容量(VG(M))および同じχτのn−アルカンの滞留容量(VG(C))との比である。
IM(分枝状サンプル)=VG(M)/VG(C)
固体表面への到達能力の基準は、n−アルカンの直線である。
【0044】
この直線の式は、以下の通りである。
ΔGa(VG)=ΔGa(CH2)*χτ+b
分枝状アルカンの固体表面への到達能力がn−アルカンの到達能力と同一であれば、分枝状アルカンは、n−アルカンの直線上にある。換言すれば、VG(C)は、この方法で求められる。
ΔGa(VG(C))=ΔGa(CH2)*χτ(分枝状アルカン分子)+b
自由吸着エネルギーから進めると、その比は、以下の式を有する。
IM(分枝状サンプル)=expΔG(M)/ΔG(C)
この方法は、分枝状サンプルの表面への到達能力に関する情報を与え、可能なサイズ排除効果を示す。
【0045】
直鎖状アルカンと分枝状アルカンの自由吸着エンタルピを比較すると、分枝状(または環式)アルカンの場合における表面へのサンプルの到達能力は、分枝状(または環式)アルカンの代表点がn−アルカンの直線上に存在する場合n−アルカンの到達能力と同じである。これは、分子レベルで見ると表面が滑らかであることを意味する。n−アルカンおよび分枝状アルカンは、表面への到達能力が同じであり、対応するIM値が1である。
【0046】
分枝状(または環式)アルカンの代表点がn−アルカンの直線の下にあれば、このサンプルの固体表面への到達能力は、n−アルカンの到達能力より低い。従って、表面は粗い。この表面粗さおよび分枝状または環式アルカンの立体的により困難な構造は、結果として、その表面到達能力を低下させる。よって、表面と分枝状または環式アルカンとの相互作用が低下し、対応するIM値が1未満になる。
【0047】
好適な実施形態において、既に説明したように、発明のシリカは、表面の特に高度な粗さおよびカップリング剤の特に良好な結合が注目に値する。発明のシリカの形態指数(IM)は、0.20〜0.85、好ましくは0.30〜0.80、より好ましくは0.40〜0.80、最も好ましくは0.50〜0.80である。
【0048】
シラノール基がカップリング剤に対する結合部位を構成するため、十分な数のシラノール基が表面に存在すると、カップリング剤の結合能力をさらに向上させることができる。従って、さらなる好適な実施形態において、発明のシリカは、13〜30ml/(5g)、好ましくは15〜29ml/(5g)、より好ましくは17〜28ml(5g)、最も好ましくは23〜27ml/(5g)の修正シアーズ数Vol2を有する。
【0049】
水銀孔容量V1は、判明したように、強化に対する有意な効果を有する、400Å未満の直径を有する孔の孔容量に対応する。発明のシリカの場合は、この孔容量(V2)の有意な部分が、175〜275Åの直径を有する孔によって形成されている場合に有利であることが判明した。これが当てはまる場合、および上記のように、孔の相対幅γ(加圧)および微粒度F.V.(加圧)が請求項1に規定されている範囲内であれば、発明のシリカが、好ましくは、0.20〜0.75、より好ましくは0.25〜0.6、最も好ましくは0.3〜0.60、特に好ましくは0.3〜0.55の孔容量比V2/V1(加圧)を有するように、特に良好な摩耗値が認められた。
【0050】
本発明の具体的な実施形態において、発明のシリカはアルミニウムを含み、Al23の形のアルミニウム含有量は、0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.2〜1質量%、最も好ましくは0.3〜0.8質量%の範囲である。本発明者らは、意外にも、アルミニウム含有量が増加すると、当該シリカが充填されたゴム混合物の粗混合特性が向上することを見いだした。例えば、MDR(加硫等温)試験における低トルクが最小限になり、より迅速になるため、加硫挙動が向上することがわかる。従って、0.1質量%未満のAl23を含む発明のシリカの利点は、Al23の付加により、先行技術のシリカと比較してさらに追加され得る。
【0051】
発明の沈降シリカは、様々な剤形、例えば、レーザ回折によって測定された粒径d50が1〜80μmである粉末の形で存在し得る。粉末状粒子は、不規則、または規則的な外形を有することができる。すなわち、それらは本質的に球形であってもよい。発明の沈降シリカは、好ましくは、スクリーン残留物測定(Alpine)によって測定された粒径d50が80μm〜1000μmである本質的に球形の粒子(微粒剤)の形である。後者の場合、発明のシリカは、好ましくは、EP0937755に記載されているように噴霧塔乾燥によって製造され、この乾燥法に特有の外形を示す(EP0937755の図参照)。EP0937755の内容は、本出願の内容に明確に組み込まれている。より好ましくは、発明の沈降シリカは、顆粒の形(d50>1000μm(Alpineスクリーン残留物)の形で存在し、造粒後に、スクリーン残留物測定(Ro−Tap)により、粒子の少なくとも80質量%が300μmより大きく、10質量%以下が75μmより小さくなる粒径分布を有する。意外にも、顆粒としての剤形は、それらが輸送の結果として損失されないように、発明のシリカの粗い表面により得られる効果を維持するために、特に好適である。
【0052】
指定された好適な範囲を互いに独立して確定することができる。
【0053】
本発明の主題の一部を同様に形成する方法によって発明のシリカを製造することができる。この方法は、
a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属珪酸塩の水溶液、および/または有機および/または無機塩基を最初に充填する工程と、
b)少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属珪酸塩と少なくとも1つの酸性化剤とを、75〜88℃で60〜120分、好ましくは70〜90分にわたって撹拌しながらこの初期充填物に同時に計量導入する工程と、
c)工程b)で使用した酸性化剤および/または別の酸性化剤の添加を、工程b)における計量導入速度と同じまたは異なる計量導入速度で、沈殿懸濁物のpHが7〜10に達するまで場合によって継続し、このpHの得られた懸濁物を80〜98℃の高温で40〜80分間継続的に撹拌する工程と、
d)少なくとも1つの酸性化剤を用いて再度酸性化して、pHを約5〜約8とする工程と、
e)少なくとも1つの酸性化剤を用いて再度酸性化して、pHを4〜5とし、酸性化剤の計量導入速度を工程d)の計量導入速度より小さくする工程と、
f)沈殿懸濁物を濾過する工程と、
g)濾過ケーキを洗浄する工程と、
h)濾過ケーキを場合によって液化する工程と、
i)乾燥する工程と、
j)場合によって粉砕および/または造粒する工程と、
を含む。
【0054】
本発明による方法の工程a)における初期充填物は、沈殿の最終容量の約20、30、40、50、60、70、80または90%であってよい。初期充填物に添加される塩基化合物は、特に、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩およびアルカリ金属珪酸塩からなる群から選択される。水ガラスおよび/または水酸化ナトリウム溶液を使用するのが好ましい。初期充填物のpHは、7〜14、好ましくは10〜11である。
【0055】
工程b)を通じての少なくとも1つのアルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩ならびに少なくとも1つの酸性化剤の添加は、好ましくは、沈降が15〜40、より好ましく15〜25の一定のアルカリ価で進行するように実施される。
【0056】
工程b)におけるアルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩の同時添加を通じて、反応混合物が十分に撹拌される。本発明による方法の特に好適な実施形態において、工程b)および/またはc)における反応溶液が撹拌されるだけでなく、得られた粒子の分散性をさらに向上させるために、剪断装置を用いて剪断エネルギーがさらに導入される。
【0057】
本発明による方法において、工程b)の後、アルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩が停止される。
【0058】
工程a)からj)の1つまたは複数の工程を通じて、有機または無機塩の場合による添加を場合によって実施することができる。これを溶液中で、または固体として、それぞれの場合、連続して水ガラスおよび酸性化剤の添加時間にわたって、あるいはバッチ式の添加として実施することができる。塩を一方または両方の成分に溶解させ、次いでそれらを同時に添加することも可能である。
【0059】
使用される有機塩は、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩である。特に、以下のイオンのすべての組合せを使用することが可能である。
Li+、Na+、K+、Rb+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、H+、F-、Cl-、Br-、I-、SO32-、SO42-、HSO4-、PO33-、PO43-、NO3-、NO2-、CO32-、HCO3-、OH-、TiO32-、ZrO32-、ZrO44-、AlO2-、Al242-、BO43-
好適な有機塩は、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸の塩である。陽イオンとしては、記載のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンが挙げられる。添加される溶液におけるこれらの塩の濃度は、0.01〜5mol/lであってよい。使用される無機塩は、好ましくはNa2SO4である。
【0060】
工程b)からd)において酸性化剤を同じ方式または異なる方式、すなわち同じまたは異なる濃度および/または供給量で供給することが可能である。
【0061】
同様に、工程a)およびb)においてアルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩を反応物に同じ方式または異なる方式で供給することも可能である。
【0062】
使用されるアルカリ金属珪酸塩および/またはアルカリ土類金属珪酸塩、ならびに水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)は、珪酸カリウムまたは珪酸カルシウムなどの他の珪酸塩であってもよい。使用される酸性化剤、ならびに硫酸は、HCl、HNO3、H3PO4またはCO2などの他の酸性化剤であってもよい。
【0063】
工程f)からi)における発明のシリカの濾過、(例えばDE2447613による)液化および長時間もしくは短時間乾燥は、当業者に熟知されており、例えば、本明細書に引用されている文献で調べることが可能である。シリカの濾過および洗浄は、好ましくは、最終製品の伝導度が2000μS/cm未満、特に1300μS/cm未満(水中4質量%懸濁液)になるように実施される。
【0064】
好ましくは、洗浄した濾過ケーキは、工程g)の後に、水および/または少なくとも1つの酸性化剤を添加することによって工程h)にて液化され、次いで乾燥される。本発明の具体的な実施形態において、この液化の過程で、好ましくはアルミン酸塩の形、より好ましくはアルミン酸ナトリウムの形のアルミニウムを液化中に添加することができる。これは、得られた沈降シリカにおけるアルミニウム含有量の増加を達成することを可能にする。
【0065】
好ましくは、発明のシリカは、連続乾燥器、噴霧乾燥器、多段乾燥器、ベルト乾燥器、回転管乾燥器、フラッシュ乾燥器、回転フラッシュ乾燥器または噴霧塔で乾燥される。これらの乾燥形態は、霧化器、一もしくは二流体ノズル、または統合流動床を用いた処理を含む。噴霧乾燥を、例えばUS4094771に従って実施することができる。噴霧塔乾燥を、例えば、EP0937755に記載されているように実施することができる。US4094771およびEP0937755の内容は、本出願の内容に明確に援用される。
【0066】
乾燥の後で、ローラ圧縮機による粉砕および/または造粒を場合によって行うことができる。乾燥工程または粉砕の後に、発明の沈降シリカは、好ましくは、レーザ回折によって測定された粒径d50が1〜80μmである粉末の形で存在する。粉末状粒子は、不規則または規則的な外形を有することができる。すなわち、それらは、例えば、ほぼ球形の粒子であってもよい。
【0067】
より好ましくは、噴霧塔乾燥の後の発明の沈降シリカは、スクリーン残留物測定(Alpine)によって測定された粒径d50が80μm〜1000μmであるほぼ球形の粒子(微粒剤)の形である。後者の場合、発明のシリカは、好ましくは、EP0937755に記載されているようにノズル塔乾燥によって製造され、この乾燥方法に特有の外形を示す(EP0937755の図参照)。EP0937755の内容は、本出願の内容に明確に援用されている。最も好ましくは、発明の沈降シリカは、顆粒の形(d50>1000μm(Alpineスクリーン残留物)で存在し、造粒後に、スクリーン残留物測定(Ro−Tap)により、粒子の少なくとも80質量%が300μmより大きく、10質量%以下が75μmより小さくなる粒径分布を有する。
【0068】
後に回転造粒を伴う回転フラッシュ乾燥は、粗面を有する発明のシリカを製造するのに極めて好適である。例えば、Alexanderwerk AG,RemscheidのWP 50N/75ローラプレスを用いて造粒を実施することができる。好ましくは、粉末状の製品は、結合剤または液体をさらに添加することなく、単軸スクリューを有する水平導入システムを介して、真空システムによって脱気され、両側に装着された垂直配置ローラの間に均一に導入される。これは、粉末を加圧して、粉砕機により所望の最大顆粒サイズに変換される塊にする。
【0069】
本発明は、エラストマー混合物、加硫ゴム混合物および/または他の加硫物、例えば、空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、ドライブベルト、コンベヤベルト、V−ベルト、ロールカバー、他のタイヤ、靴底、ガスケットおよび減衰要素の製造における、かつ/または製造のための発明のシリカの使用を提供する。
【0070】
従って、本発明は、エラストマー混合物、加硫性ゴム混合物、および/または発明のシリカを含む他の加硫物、例えば、空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、ドライブベルト、コンベヤベルト、ロールカバー、他のタイヤ、靴底、ガスケットおよび減衰要素などの成形品をさらに提供する。
【0071】
場合によって、発明のシリカを式I〜III
[SiR1n(RO)r(Alk)m(Ar)pq[B] (I)
SiR1n(RO)3-n(アルキル) (II)、または
SiR1n(RO)3-n(アルケニル) (III)
[式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH2、−OC(O)CHCH2、−OC(O)C(CH3)CH2(q=1のとき)または−Sw−(q=2のとき)であり、Bは、Alkに化学的に結合し、
RおよびR1は、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシド基、シアニド基、チオシアニド基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、有機シラン基によって場合によって置換されていてよい、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族、オレフィン、芳香族またはアリール芳香族基であり、RおよびR1は、同一の、または異なる定義または置換を有することができ、
nは、0、1または2であり、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する二価の非分枝状または分枝状炭化水素基であり、
mは、0または1であり、
Arは、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシド基、シアニド基、チオシアニド基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、有機シラン基によって置換されていてよい、6〜12個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を有するアリール基であり、
pは、pおよびnがどちらも0でないことを条件として0または1であり、
qは、1または2であり、
wは、2〜8の数字であり、
rは、r+n+m+p=4であることを条件として1、2または3であり、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の非分枝状または分枝状飽和炭化水素基であり、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の非分枝状または分枝状不飽和炭化水素基である]のシランまたは有機シランで改質することができる。
【0072】
発明のシリカを、組成がSiR24-nn(n=1、2、3、4)、[SiR2xyO]z(0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、x+y=2)、[SiR2xyN]z(0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、x+y=2)、SiR2nmOSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、n+m=3、o+p=3)、SiR2nmNSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、n+m=3、o+p=3)、SiR2nm[SiR2xyO]zSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦3;1≦z≦10000、n+m=3、x+y=2、o+p=3)の有機珪素化合物で改質することも可能である。これらの化合物は、直鎖状、環式および分枝状シラン、シラザンおよびシロキサン化合物であってよい。R2は、1〜20個の炭素原子を有する置換および/または非置換アルキルおよび/またはアリール基であってよく、ヒドロキシル基、アミノ基、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドなどのポリエーテル、ならびにフッ化物などのハロゲン化物基などの官能基によって置換されていてよい。R2は、アルコキシ、アルケニル、アルキニルおよびアリール基、ならびに硫黄含有基などの基を含むこともできる。Xは、シラノール、アミノ、チオール、ハロゲン、アルコキシ、アルケニル基および水素基などの反応性基であってよい。
【0073】
組成がSiR2nm[SiR2xyO]zSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦3;1≦z≦10000、n+m=3、x+y=2、o+p=3)[R2は、好ましくはメチルによって表される]である直鎖状ポリシロキサンを使用するのが好ましい。
【0074】
組成がSiR2nm[SiR2xyO]zSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦1;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦1;1≦z≦1000、n+m=3、x+y=2、o+p=3)[R2は、好ましくはメチルによって表される]であるポリシロキサンを使用するのが特に好ましい。
【0075】
記載の有機珪素化合物の1種または複数種による場合によって造粒、非造粒、粉砕および/または非粉砕された沈降シリカの改質を、沈降シリカ100部に対して、0.5〜50部、特に1〜15部の混合物にて実施することができ、沈降シリカと有機珪素化合物の反応は、混合物製造中(域内)または外部において、混合物を噴霧し、続いて熱処理することによって、または(例えば、DE3437473およびDE19609619に従って)有機珪素化合物とシリカ懸濁物とを混合し、続いて乾燥および熱処理することによって、またはDE19609619またはドイツ特許第4004781号に記載されている方法によって実施可能である。
【0076】
好適な有機珪素化合物は、基本的に、第1にシラノール基含有充填剤へのカップリング、および第2にポリマーへのカップリングを遂行できるすべての二官能性シランである。典型的に使用される有機珪素化合物の量は、沈降シリカの全量に対して1〜10質量%である。
【0077】
これらの有機珪素化合物の例は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。さらなる有機珪素化合物がWO99/09036、EP1108231、DE10137809、DE10163945、DE10223658に記載されている。
【0078】
本発明の好適な実施形態において、使用するシランは、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンであってよい。
【0079】
発明のシリカをエラストマー混合物、タイヤまたは加硫性ゴム混合物に、シラン改質を用いて、またはシラン改質を用いずに、粉末、ほぼ球形の粒子または顆粒の形で、ゴム100部に対して5〜200部の量で強化充填剤として混入することができる。
【0080】
ゴムおよびエラストマー混合物は、本発明の文脈において同等であると考えられる。
【0081】
記載の有機珪素化合物を有するものおよび有さないものを含めて発明のシリカを専ら含む混合物に加えて、エラストマーまたはゴム混合物に1つまたは複数の多少の強化充填剤をさらに充填することができる。
【0082】
さらなる充填剤として、以下の材料を使用することができる。
−カーボンブラック:ここで使用するためのカーボンブラックは、ランプブラック、ファーネスブラックまたはガスブラック法によって製造され、20〜200m2/gのBET表面積を有するSAF、ISAF、HSAF、HAF、FEFまたはGPFブラックである。カーボンブラックは、ヘテロ原子、例えば珪素を場合によって含むこともできる。
−例えばハロゲン化珪素の火炎加水分解によって製造された高分散性ヒュームドシリカ。シリカは、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛およびチタンの酸化物などの他の金属酸化物との混合酸化物として場合によって存在することもできる。
−さらなる市販のシリカ。
−20〜400m2/gのBET表面積および10〜400nmの一次粒径を有する珪酸アルミニウムなどの合成珪酸塩、珪酸マグネシウムまたは珪酸カルシウムなどのアルカリ土類金属珪酸塩。
−合成または天然酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム。
−カオリン、他の天然二酸化珪素化合物などの天然珪酸塩。
−ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、子縄)またはガラスマイクロビーズ。
−デンプンおよび変性型デンプン
−天然充填剤、例えば、クレーおよびシリカチョーク。
【0083】
ここでも、有機珪素化合物の計量追加の場合と同様に、配合比は、達成すべき完成ゴム混合物の特性プロファイルによって導かれる。発明のシリカと(混合物として含む)他の上記充填剤との5〜95%の比が考えられ、この文脈においても実現される。
【0084】
特に好適な実施形態において、それぞれの場合においてゴム100質量部に対して、全面的または部分的に発明のシリカからなる10〜150質量部のシリカを、場合によって0〜100質量部のカーボンブラックおよび1〜20質量部の有機珪素化合物とともに使用して、混合物を製造することができる。
【0085】
発明のシリカ、有機珪素化合物および他の充填剤に加えて、エラストマーがゴム混合物のさらなる重要な成分を構成する。この文脈において、個々のポリマー、または他のゴム、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、特に溶液重合法によって製造されたスチレン含有量が1〜60質量%、好ましくは2〜50質量%のスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)、ブチルゴム、イソブチレン/イソプレンコポリマー(IIR)、アクリロニトリル含有量が5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%のブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(NBR)、部分水素化または完全水素化NBRゴム(HNBR)、エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM)およびこれらのゴムの混合物とのブレンドとしての天然および合成の油展または非油展エラストマーを挙げるべきである。
【0086】
加えて、以下のさらなるゴムが、記載のゴムとのゴム混合物として有用である。カルボキシルゴム、エポキシドゴム、トランス−ポリペンテナマー、ハロゲン化ブチルゴム、2−クロロブタジエンから形成されたゴム、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、適切であれば天然ゴムの化学誘導体および変性天然ゴム。好適な合成ゴムは、例えば、W.Hofmann,"Kautschuktechnologie"[Rubber Technology],Genter Verlag,Stuttgart 1980に記載されている。
【0087】
発明のタイヤの製造については、特に、ガラス転移温度が約−50℃を超える陰イオン重合L−SBRゴム(溶液SBR)、ならびにジエンゴムとそれらの混合物が興味深い。
【0088】
有機珪素化合物を含む、または含まない発明のシリカは、すべてのゴム用途、例えば、成形品、タイヤ、タイヤトレッド、コンベヤストラップ、コンベヤベルト、ガスケット、ドライブベルト、ホース、靴底、ケーブルシース、ロールカバー、減衰要素等に使用され得る。
【0089】
このシリカの混合およびこのシリカを含む混合物の製造は、好ましくは80〜200℃にて、内部ミキサーまたはローラシステムで、ゴム工業において慣例の方法で実施される。シリカの剤形および使用形態は、粉末、ほぼ球形の粒子または顆粒の形であってよい。ここでも、発明のシリカは、既知の明色充填剤と相違しない。
【0090】
発明のゴム加硫物は、慣例の用量のゴム助剤、例えば、反応促進剤、エージング安定剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、蝋、増量剤、有機酸、遅延剤、金属酸化物および活性化剤、例えば、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールをさらに含むことができる。これらの化合物は、ゴム工業において既知である。
【0091】
ゴム助剤を、なかでも最終用途によって導かれる既知の量で使用することができる。慣例の量は、例えば、使用されるゴムに対して0.1〜50質量%の量である。使用される架橋剤は、硫黄または硫黄供与物質であってよい。発明のゴム混合物は、加硫促進剤をさらに含むことができる。好適な主な促進剤の例は、個々に、または組み合わせて、0.1〜3質量%の量のメルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバメートである。共促進剤の例は、個々に、または組み合わせて、0.1〜5質量%の量のグアニジン、チオ尿素およびチオカーボネートである。硫黄を、典型的には、使用されるゴムに対して、0.1〜10質量%、好ましくは1〜3質量%の量で使用することができる。
【0092】
発明のシリカを、促進剤および/または硫黄と、あるいは過酸化物を用いて架橋可能であるゴムに使用することができる。
【0093】
発明のゴム混合物の加硫を100〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度にて、場合によって10〜200バールの圧力下で実施することができる。ゴムと充填剤、ゴム助剤および有機珪素化合物との混合を、ローラ、内部ミキサーおよび混合押出機などの既知の混合装置で実施することができる。
【0094】
発明のゴム混合物は、成形品の製造、例えば、空気タイヤ、夏、冬および年間タイヤのためのタイヤトレッド、旅客車タイヤ、多用車用タイヤ、自動二輪車タイヤ、タイヤ体部品、ケーブルシース、ホース、ドライブベルト、コンベヤベルト、ロールカバー、靴底、ガスケットリングおよび減衰要素の製造に好適である。
【0095】
発明のゴム混合物は、特に、(夏、冬および年間タイヤの)旅客車タイヤトレッドおよび自動二輪車タイヤトレッドの製造だけでなく、回転抵抗の軽減と良好な耐摩耗性とを兼ね備えた多用車用タイヤにも好適である。
【0096】
典型的なタイヤトレッドカーボンブラックとのブレンドにおける有機珪素化合物が添加されていない発明のゴム混合物は、建設機械、農業機械または鉱山機械のためのタイヤのカット&チップ性能を向上させるのにも好適である(定義およびさらなる注釈については、Dr.W.NiedermeierによってTire Tech 2003(ドイツ国、ハンブルグHamburg)で発表された"New insights into the tear mechanism"およびその中の参考文献を参照)。
【0097】
反応条件および発明の沈降シリカの物理/化学データは、以下の方法によって決定される。
【0098】
濾過ケーキの固体含有量の測定
この方法は、105℃で揮発分を除去することによって濾過ケーキの固体含有量を測定するために使用される。このために、100.00gの濾過ケーキを乾燥した磁気皿(直径20cm)に(開始質量Eで)秤量導入する。適切であれば、1cm3を超えないより緩い塊を得るために濾過ケーキをスパチュラで細分する。105±2℃の乾燥キャビネットでサンプルを一定質量まで乾燥させる。続いて、シリカゲルを乾燥剤として、サンプルをデシケーターキャビネットにて室温まで冷却する。最終質量Aを重量測定する。
【0099】
固体含有量(SC)(%)は、SC=A/E100%[A=g単位の最終質量、E=g単位の開始質量]によって測定される。
【0100】
沈降懸濁物の固体含有量の測定
沈降懸濁物の固体含有量を、サンプルの濾過後に重量測定する。測定シリンダを利用して、100.0mlの均一沈降沈殿物(V懸濁物)を室温で測定する。サンプルを、円形フィルタ(Schleicher&Schuellの572型)を用いて磁気吸引フィルタにて吸引によって濾別するが、濾過ケーキのクラック形成を防止するために吸引乾燥させない。続いて、濾過ケーキを100.0mlの蒸留水で洗浄する。洗浄した濾過ケーキを磁気皿に移し、105±2℃の乾燥キャビネットにて一定質量まで乾燥させる。室温まで冷却した後に、乾燥シリカの質量(Mサンプル)を測定する。
【0101】
固体含有量を以下の式に従って求める。
g/l単位の固体含有量=(g単位のmサンプル)/(l単位のV懸濁物
【0102】
シリカ供給物の固体含有量の測定
シリカ供給物をIR乾燥器にて一定重量まで乾燥させる。乾燥減量は、主に水分からなる。2.0gのシリカ供給物をアルミニウム皿に導入し、(Mettler、LP16の)IR乾燥装置の蓋を閉める。開始ボタンを押した後に、105℃で懸濁物の乾燥を開始し、単位時間当たりの質量の低下が2mg/(120s)の値を下回ると自動的に終了する。
【0103】
0−100%モードが選択された場合は、%単位の質量低下が計測器に直接表示される。固体含有量を以下の式に従って計算する。
%単位の固体含有量=100%−%単位の質量低下
【0104】
アルカリ価の測定
アルカリ価(AN)の測定は、8.30のpHまでのアルカリ溶液または懸濁液の直接電位差滴定におけるml単位の塩酸の消費(50mlのサンプル容量において、50mlの蒸留水、および0.5mol/lの濃度の塩酸の使用)を指すものと理解される。これは、溶液または懸濁液の遊離アルカリ含有量を検知する。
【0105】
pH計測器(Knick、温度センサを備えたCalimatic766pH計)およびpH電極(Schott、N7680の複合電極)を、室温にて2つの緩衝液(pH=7.00およびpH=10.00)を利用して較正する。複合電極を、40℃に平衡化され、50.0mlの沈降懸濁物および50.0mlの脱イオン水からなる試験溶液または懸濁液に浸す。続いて、0.5mol/lの濃度の塩酸溶液を、8.30の一定pHが確定されるまで滴加する。シリカと遊離アルカリ内容物との平衡状態が、最初はゆっくりと確立されるため、酸消費量を最終的に読み取れるまで15分の待ち時間を要する。選択された量および濃度から、塩酸消費量のml単位の読み取りは、無次元で報告されるアルカリ価に直接対応する。
【0106】
pHの測定
シリカのpHを、DIN EN ISO787−9に基づいて、室温で5%水性懸濁液として測定する。この標準の要件と比較して、開始質量を変更した(脱イオン水100mlに対してシリカ5.00g)。
【0107】
導電性の測定
シリカの導電性の測定を、DIN EN ISO 787−14に基づいて、室温で4%水性懸濁液として実施する。この標準の要件と比較して、開始質量を変更した(脱イオン水100mlに対してシリカ4.00g)。
【0108】
水分の測定
シリカの水分を、通風乾燥キャビネットにて105℃で2時間乾燥させた後に、ISO787−2に従って測定する。この乾燥減量は、主に水分からなる。
【0109】
シリカの修正シアーズ数Vol2の測定
pH6〜pH9の範囲の塩酸カリウム溶液でシリカを滴定することによって、遊離ヒドロキシル基の数の測定値として修正シアーズ数Vol2を測定することが可能である。
【0110】
測定法は、「Si」−OHがシリカのシラノール基を表すことを意図する以下の化学反応に基づく。
「Si」−OH + NaCl → 「Si」−ONa + HCl
HCl + KOH → KCl + H2
【0111】
手順
水分が5±1%の粉末の形の、またはほぼ球形の粒子を有する、または顆粒の形の10.00gのシリカをIKA汎用ミルM20(550W;20000rpm)で60秒間細分する。場合によっては、出発物質の水分を、乾燥キャビネットにて105℃で乾燥するか、または均一な加湿によって調節しなければならず、細分を繰り返さなければならない。そのようにして処理された2.50gのシリカを室温にて250mlの滴定容器に秤量導入し、60.0mlのメタノールp.Aと混合する。サンプルを十分に湿潤させた後、40.0mlの脱イオン水を添加し、Ultra Turrax T 25攪拌機(KV−18G撹拌軸、直径18mm)を用いて30秒間にわたって18000rpmの速度で分散を行う。100mlの脱イオン水を使用して、容器壁および攪拌機に粘着するサンプル粒子を洗浄して懸濁物に導入し、それを恒温浴にて25℃に平衡化する。
【0112】
pH計(KNICK、温度センサを備えたCalimatic 766pH計)およびpH電極(Schottの複合電極)を、室温にて緩衝液(pH7.00および9.00)を使用して較正する。最初にpH計を使用して、25℃における懸濁物の開始pHを測定し、次いでその結果に応じて、pHを水酸化カリウム溶液(0.1mol/l)または塩酸溶液(0.1mol/l)で6.00に調節する。pH6.00に対するml単位のKOHまたはHCl溶液の消費量は、V1’に対応する。
【0113】
その後、20.0mlの塩化ナトリウム溶液(脱イオン水で1lとした250.00gのNaCl p.A)を計量導入する。次いで、0.1mol/lのKOHを使用して、pH9.00まで滴定を継続する。pH9.00までのml単位のKOH溶液の消費量は、V2’に対応する。
【0114】
続いて、最初にV1’およびV2’を1gの理論開始質量に対して正規化し、5を乗じて、ml/(5g)の単位のVol1および修正シアーズ数Vol2を求める。
【0115】
DBP吸収の測定
沈降シリカの吸着能力の測定値であるDBP吸収(DBP数)を、規格DIN53601に基づいて以下のように測定する。
粉末の形の、またはほぼ球形の粒子を有し、水分が0〜10%の12.50gのシリカ(適切であれば、水分を乾燥キャビネットにて105℃で乾燥させることによって調節する)を、(トルク変換器の出口フィルタを湿らせていない)Brabender吸収計「E」の混練機チャンバ(製品番号279061)に導入する。顆粒の場合は、(顆粒をプラスチックスパチュラで穏やかに加圧して孔径が3.15mmのスクリーンに通すことによる)1〜3.15mmのスクリーニング分級(Retschのステンレス鋼篩)を使用する。絶えず混合しながら(混練機パドルの周速度125rpm)、Brabender T90/50Dosimatを用いて、4ml/分の速度でジブチルフタレートを室温で混合物に滴加する。それを、少量の力を用いて混合することによって混入させ、デジタルディスプレイを使用して監視する。測定の終わりに近づくにつれて、混合物が、必要な力の急速な増加によって示されるペースト状になる。ディスプレイが600デジット(0.6Nmのトルク)を示すと、電気接触子が混練機およびDBP計量の両方を停止させる。DBP供給のための同期モータをデジタル計数器に連結することで、ml単位のDBPの消費量を読み取ることができる。
【0116】
DBP吸収は、g/(100g)の単位で報告され、以下の式に従って計算される。
DBP=V*D*100/E*g/100g+K
式中、
DBP=g/(100g)単位のDBP吸収
V=ml単位のDBPの消費量
D=g/ml単位のDBPの密度(20℃で1.047g/ml)
E=g単位のシリカの開始質量
K=水分補正表に基づくg/(100g)単位の補正値
DBP吸収は、無水乾燥シリカに対して定義される。湿性の沈降シリカを使用する場合、DBP吸収の計算に補正値Kを考慮すべきである。この値を以下の補正表を参照して求めることができる。例えば、シリカの水分が5.8%であることは、DBP吸収のために33g/(100g)が添加されることを意味する。シリカの水分を、「水分または乾燥減量を測定する」方法によって測定する。
【0117】
第1表:ジブチルフタレート吸収(無水)のための水分補正表
【表2】

【0118】
BET表面積の測定
粉末の形の、またはほぼ球形の粒子を有する、または顆粒の形のシリカの比窒素表面積(以後BET表面積と称する)を、DIN―ISO9277による多点測定によって、(Micromeriticsの)TRISTAR3000計測器を用いて、ISO5794−1/Annex Dに基づいて測定する。
【0119】
CTAB表面積の測定
方法は、ASTM3765またはNFT45−007(第5.12.1.3章)に基づくシリカの「外側」表面へのCTAB(臭化N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム)の吸着に基づく。
【0120】
CTABを撹拌および超音波処理しながら水溶液に吸着させる。過剰の未吸着CTABを、titroprocessorを用いて、NDSS(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム溶液、「エアロゾルOT」溶液)で逆滴定することによって測定し、終点は、溶液の濁りが最大になることによって示され、フォトトローデを用いて測定する。すべての処理が実施されている間の温度は、CTABの結晶化を防止するために、23〜25℃である。逆滴定は、以下の反応式に基づく、
(C20374)SO3Na+BrN(CH33(C1633)→(C20374)SO3N(CH3
3(C1633)+NaBr
NDSS CTAB
【0121】
計測器
それぞれpH電極を備えたMETTLER Toledo DL55titroprocessorおよびMETTLER Toledo DL70titroprocessor(製造者:METTLER、DG111)およびフォトトローデ(製造者:Mettler、DP550)。
100mlのポリプロピレン滴定カップ。
蓋付き滴定ガラス容器、150ml
加圧濾過装置、容量100ml
硝酸セルロース製メンブレンフィルタ、孔径0.1μm、径47mm、例えばWhatman(カタログ番号7181−004)。
【0122】
試薬
CTABの溶液(CCTBA=脱イオン水中0.015mol/l)およびNDSSの溶液(濃度=脱イオン水中0.00423mol/l)をすぐに使用できる状態で購入し((Bernd Kraft GmbH、47167Duisburg:カタログ番号6056.4700CTAB、濃度0.015mol/lの溶液;カタログ番号6057.4700NDSS、0.00423mol/lの溶液)、25℃で保管し、1ヶ月以内に使用する。
【0123】
手順
1.ブランク滴定
5mlのCTAB溶液の滴定に対応するNDSS溶液の消費量を各試験シリーズの前に毎日1回チェックすべきである。このために、滴定に先だって、フォトロードを1000±20mV(100%の透過度に対応する)に調整する。
【0124】
5.00mlのCTAB溶液を滴定カップにピペットで正確に採取し、50.0mlの脱イオン水を添加する。撹拌しながら、NDSS溶液の滴定を、溶液の濁りが最大になるまで、DL55titroprocessorを用いて、当業者が熟知する試験法によって実施する。NDSS溶液の消費量VAをml単位で測定する。各滴定を三重測定として実施すべきである。
【0125】
2.吸着
水分が5±2%の粉末の形の、またはほぼ球形の粒子を有する、または顆粒の形の10.0gのシリカ(適切であれば、乾燥キャビネットにて105℃で乾燥させるか、または均一な加湿によって水分を調節する)を、ミル(M21ステンレス鋼ビーターを備えたIKA M20ミル)を用いて60秒間にわたって細分する。正確に500.0mgの細分サンプル(開始質量E)を、磁気撹拌棒を備えた150mlの滴定容器に移し、正確に100.0mlのCTAB溶液(T1)を計量導入する。滴定容器を蓋で閉じ、1分を超えない時間にわたって18000rpmでUltra Turrax T25攪拌機(KV−18G撹拌軸、直径18mm)を用いて湿潤が完了するまで撹拌する。滴定容器をDL70titroprocessorにネジ留めし、懸濁物のpHをKOH(0.1mol/l)で9±0.05の値に調整する。
【0126】
その後に、25℃で超音波浴(Bandelin、Sonorex RK 106 S、35kHz、100Wの有効電力または200Wの最大電力)にて滴定容器における懸濁物を4分間超音波処理する。この後に、1.2バールの窒素圧力でメンブレンフィルタを介する即時的な加圧濾過を行う。最初の5mlの処理物を廃棄する。
【0127】
3.滴定
5.00mlの残留濾液をピペットで100mlの滴定カップに採取し、脱イオン水で50.00mlとする。滴定カップをDL55titroprocessorにネジ留めし、濁りが最大になるまで撹拌しながら、NDSS溶液による滴定を実施する。NDSS溶液の消費量VBをml単位で測定する。各滴定を三重測定として実施すべきである。
【0128】
計算
CTAB(水分補正していない)=VA−VB/VA*CCTAB*MCTBA*T1*P/E
A=ブランクサンプルの滴定におけるml単位のNDSS溶液の消費量
B=濾液を使用したml単位のNDSS溶液の消費量
CTAB=mol/l単位のCTAB溶液の濃度
CTAB=CTABのモル質量=364.46g/mol
1=l単位のCTAB溶液の添加量
P=CTABの必要空間=578.435m2/g
E=シリカの初期質量
CTAB表面積は、無水シリカに基づくため、以下の補正を実施する。
CTAB=m2/g単位のCTAB(水分補正していない)*100%/100%−%単位の水分
シリカの水分を記載の「水分測定」法によって測定する。
【0129】
粒径分布の測定
シリカの粒径分布を測定する。試験すべきサンプルを粉砕し、次いで水溶液に分散させ、ディスク型遠心分離機でその粒径に応じて分別する。すなわち、粒子がより大きく、そのため重いほど、遠心の重力場で迅速に移動する。そこで、それらは、遮光体を通過する。吸収を時間の関数として測定する。これらのデータを使用して、粒径分布、すなわち粒径の関数としての周波数を計算する。
【0130】
使用した計測器:
ディスク型遠心分離機 CPS Instruments Inc.、DC24000
超音波触針 S14ソノトロードを備えたHielscher UP200S
汎用ミル M21ステンレス鋼ビーターを備えたIKA M20
RMS低温熱電対を備えたLauda冷却浴 RM6
分析天秤
シリンジ:1.0mlおよび2.0ml
白色のスナップ蓋を備えたビードエッジガラスボトル;30ml;75mm×28mm;製造者:Scherf、品番:47407、供給元:J.Fleischhacker GmbH&Co.KG、品番:125623075
化学物質:
Merkのエタノールp.A
脱イオン水
Acrosのスクロース
Merkのドデカン
PVC対照標準;使用する対照標準の最大ピークは、500〜600nmとする。
【0131】
ディスク型遠心分離機の製造
動作中のディスク型遠心分離機にある密度勾配のスクロース溶液を充填し、ドデカン被覆層を設ける。
【0132】
手順:
異なる濃度の糖溶液を調製する。糖溶液の質量比率は、w=8.0%〜24.0%である。密度勾配を以下の9段階で構成する。
24.0%/22.0%/20.0%/18.0%/16.0%/14.0%/12.0%/10.0%/8.0%。それぞれの場合において、1密度段階当たり1.6mlの異なる糖溶液を、最大濃度からディスク型遠心分離機に注入する。最後に、0.5mlのドデカンを注入する。
【0133】
サンプル調製
分散に先立って、シリカサンプルを粉砕する。このために、15g(±0.5g)のサンプル材料を60秒間にわたってIKA汎用ミルで粉砕する。0.75g(±0.05g)のこの粉砕材料を30mlのビードエッジスナップ蓋ガラスボトルに秤量導入し、15mlの脱イオン水と混合する。満たされたビードエッジスナップ蓋ガラスボトルを、約5℃の制御温度で冷却浴にクランプを利用して固定する。超音波触針を、ソノトロードが、ビードエッジボトルの上端から測定した場合に5.5cm(少なくとも5cm)の深さまでボトルに浸されるように配置する。サンプルを100%の振幅および100%のパルス(サイクル=1)にて15分間にわたって超音波で処理する。
【0134】
手順
測定の開始に先立って、遠心分離機を予め設定した速度(20000rpm)で少なくとも30分間にわたって暖める。すべての測定を同様に20000rpmの周速度で実施する。測定手順を計測器ソフトウェアに取り込む。測定のために、以下のパラメータを設定すべきである。
サンプルパラメータ:
最大直径:5.10ミクロン
最小直径:0.01ミクロン
粒子密度:2.0g/ml
粒子屈折率:1.44
粒子吸収:0.001K
非球形度:1.1
較正標準パラメータ(使用する較正標準に応じて決まる)
例:
最大直径:0.585ミクロン
半高最大幅:0.2ミクロン
粒子密度:1.385g/ml
流体パラメータ:
流体密度:1.045g/ml
流体屈折率:1.344
流体粘度:1.2cps
「システム構成」サブメニューにおいて、測定波長を470nmに設定する。
【0135】
「ランタイムオプション」サブメニューにおいて、以下のパラメータを設定する。
力の基線:はい
ノンストロークに対する補正:いいえ
追加ソフトウェアノイズ濾過:追加フィルタなし
基線揺れ表示:表示せず
較正方法:外部
較正毎のサンプル数:1
サンプル分散体を測定するために、「オペレートアナライザー」サブメニューを選択する。分析に必要な工程を「インストラクションズ」ラインに連続的に入力要求する。各分析の前に、較正標準を記録すべきである。それぞれの場合において、0.1mlの標準またはサンプル分散体を注入する。分析すべき各サンプルの二重測定(超音波による分散を含む)を実施する。一般には30nm〜250nmである、分析すべきピークの記録後の吸収が再び出発値、一般には0に達した時点で、分析すべきシリカ分散体に対する分析を手動で終了させる。
【0136】
結果
質量分布を計測器ソフトウェア(2006年2月に発売されたCPS ディスク型遠心分離機動作ソフトウェア;バージョン9.5b)によって(光散乱により補正した)生データ曲線から測定する。それぞれの場合において、結果を二重測定の平均値から求める。
【0137】
以下の結果を報告する。
【0138】
ピーク(モード)(単位μm)。最も一般的な粒径。分布関数の極大の横軸値に対応する。この値を計測器ソフトウェアによって計算する。
【0139】
(半幅)(単位μm)。分布関数の極大値の50%における幅に対応する。この値を計測値ソフトウェアによって計算する。
【0140】
過大粒径百分位数(単位μm)。質量分布の報告された粒径より大きい粒子の指定比率(1%、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、99%)に対応する。これらの値を計測器ソフトウェアによって計算する。
【0141】
25%/75%四分位数(無単位)。25%および75%の粒径の比から形成された分布の幅のさらなる測定値を過大粒径百分位数パラメータから読み取ることができる。この値をマニュアルで計算しなければならない。
【0142】
半幅/ピーク(無単位)。半高幅データおよびピークの比をマニュアルで計算しなければならない。
【0143】
レーザ回折による粒径の測定
粉末の粒径を測定するためのレーザ回折の使用は、粒子が、単色光を異なる強度パターンですべての方向に散乱させる現象に基づく。散乱は、粒径に左右される。粒径が小さいほど、散乱の角度が大きい。サンプル調製および分析(モジュールのフラッシング等)を、親水性沈降シリカの場合は脱塩水を用いて実施し、加湿性が不十分な沈降シリカの場合は純粋のエタノールを用いて実施する。
【0144】
分析の開始に先立って、LS230レーザ回折計測器(Coulter)および液体モジュール(Coulterの小容量モジュールプラス、120ml)を2時間暖め、モジュールを脱塩水で3回フラッシングし、較正し、疎水性沈降シリカの場合は、エタノールで3回フラッシングする。
【0145】
計測器ソフトウェアのコントロールバーにおいて、「アナリシス」メニュー項目を使用して、ファイルウィンドウ「カルキュレートOpt.モデル」を選択し、屈折率を.rfdファイルに記録する。液体屈折率B.I.実数=1.332(エタノールでは1.359);材料屈折率実数=1.46;虚数=0.1;形状係数1。加えて、このファイルウィンドウにおいて、以下のポイントを選択する。オフセット分析、調整、バックグラウンド測定、分析濃度の調整、サンプル情報の入力、分析情報の入力、分析時間60秒、測定回数1、PIDSデータなし、粒径分布。ポンプ速度を計器上で30%に設定する。
【0146】
40mlの脱塩水中1gのシリカの均一な懸濁液を、2mlの使い捨てピペットを用いて計測器の液体モジュールに、8〜12%の光吸収を伴う一定の濃度が達成され、計測器が「OK」を示すようにして添加する。分析を室温で実施する。生データ曲線をソフトウェアで使用して、ミー理論および光モデルパラメータ(.rfdファイル)を考慮して、容量分布に基づいて、粒径分布およびd50値(中央値)を計算する。
【0147】
篩残留物の測定(Alpine)
この篩残留物測定は、Alpine S 200エアジェット篩分システムを用いた、DIN ISO 8130−1に基づくエアジェット篩分である。微粒および顆粒のd50値を測定するために、300μmを超えるメッシュサイズの篩もこの目的に使用される。d50を測定するために、図2に従ってそこからd50値を求めることができる粒径分布を与えるような篩を選択しなければならない。グラフ表示および評価は、ISO 2591−1、第8.2章に類似する。
【0148】
50値は、粒子の50%が、d50値の粒径を有する粒子の粒径以下の粒径を有する累積粒径分布における粒径を指すものと理解される。
【0149】
篩残留物の測定(Ro−Tap)
この方法を使用して、篩分により顆粒の比較的粗い粒子(>300μm)の比率および比較的微細な粒子(<75μm)の比率を測定する。
【0150】
それぞれの場合においてスクリーン直径が200mmである篩分パン、金属線ガーゼを有する分析篩(DIN ISO 565 T.2、見かけのメッシュサイズ75μm)、金属線ガーゼを有する分析篩(DIN ISO 565 T.2、見かけのメッシュサイズ150μm)、金属線ガーゼを有する分析篩(DIN ISO 565 T.2、見かけのメッシュサイズ300μm)を使用する。篩分塔を、Tylerのタイムスイッチ付きRo−Tap B 8260分析篩分機に指定の手順で導入し、100.00gのシリカ顆粒の均一な量のサンプルを最上位の篩に移す。篩蓋およびタッパーを取りつけ、循環およびタッピング運転で5分間にわたって篩分を実施する。
【0151】
篩残留物(Ro−Tap)を以下の式に従って求める。
篩分級物(Ro−Tap、<75μm)(%)=(AS/E)*100%、
および
篩残留物(Ro−Tap、>300μm)(%)=(A300/E)*100%
式中、
S=篩分パンにおける残留物の最終質量(g)
300=見かけのメッシュサイズ300μmの篩上の残留物の最終質量(g)
E=開始質量(g)
酸化アルミニウム含有量の測定
酸化アルミニウム含有量を、309.3nmの波長でフレーム原子分光分析によってDIN EN ISO 3262−18に基づいて測定する。
【0152】
約20gのシリカを白金坩堝に0.01gまで正確に秤量導入し、蒸留水で加湿する。1mlの濃フッ化水素酸(40%、p.a.)を添加し、該混合物を、上記を発するまでサンドバスで加熱する。シリカが完全に溶解するまで硝酸を徐々に滴加する。濃縮して乾固させた後、残留物を3mlの濃塩酸に溶解させる。冷却した溶液を100ml標準フラスコに定量的に移し入れ、そこで、蒸留水で100mlとする。
【0153】
そのようにして調製した溶液を動作説明書に従ってフレーム原子吸光分析装置(波長:309.3nm、スリットS:0.7nm、気流:アセチレン/N2O)にて分析する。
【0154】
酸化アルミニウム含有量を元サンプルに対して測定するが、含有量は、1000℃で2時間焼成したサンプルに基づく。
%Al23焼成物質に基づく=%Al23元物質に基づく×100/100%−強熱減量(%)
【0155】
孔径分布の測定
水銀圧入の前のシリカの前処理
分析の前に、シリカに圧力処理を施す。この目的のために、手動液圧プレスを使用する(Specac Ltd.、River House,97 Cray Avenue,Orpington,Kent BR5 4HE,U.K.のカタログ番号15011)。250mgのシリカをSpecac Ltd.の内径13mmのペレットダイに秤量導入し、表示に従って、1tを装填する。この装填を5秒間維持し、適切であれば、再調整する。その再調整は、装填表示が1tを下回ることによって認識可能な圧力低下の場合に、5秒間の加圧段階を通じて圧力をオペレータによって再び上昇させることで、加圧を極めて十分に永続的に一定の装填で実施するようにして実施される。圧力表示が1tを下回るや否や再調整を実施しなければならない。続いて、サンプルを通風乾燥キャビネットにて105±2℃で4時間減圧し、乾燥させる。
【0156】
水銀圧入分析の手順
方法は、MicromeriticsのAutopore IV9500計測器を使用して、DIN 66133に従ってHgを圧入することに基づく。シリカを10型ペネトロメーター(Micrometricsのペネトロメーターの製品番号は950−61710−00である)に0.001gまで正確に秤量導入する。続いて、ペネトロメーターを50mmHgカラムに徐々に排気し、この圧力で5分間放置する。Autopore計測器を、ソフトウェアバージョンIV1.05を用いて動作説明書に従って運転する。各測定値をペネトロメーターのブランク測定値によって補正する。少なくとも136個の平衡測定点を使用して、測定範囲を0.0025〜420MPaとする(計測器特有の基準は10sである)(0.0025〜0.25MPaの範囲では30点、0.25〜15MPaの範囲では53点、15〜150MPaの範囲では40点、150〜420MPaの範囲では13点)。適切であれば、ソフトウェアは、圧入用量の増加が0.04ml/gを上回ると、さらなる測定点を挿入する。各直径(d)に対する値がこの直径まで導入された水銀(V)の特定量である関数V(d)の記述を表す圧入曲線を得る。圧入曲線を計測器ソフトウェアの「平滑微分」関数によって平滑化する。
【0157】
(圧力前処理を含む)微粒度F.V.(単位Å)の測定
微粒度F.V.は、凝集体内孔の平均半径、すなわち以上に示した水銀圧入法によって測定され多孔表面積S0/2(S0は、その直径が100Å以上のすべての孔が寄与する表面積である)が対応する孔の半径を表す。微粒度F.V.(加圧)を計算するための手順は、以下の通りである。WASHBURN式から測定される孔半径rに対してDIN 66133(1993年から有効)に記載されているように計算される孔表面分布の曲線A(r)を確立する。その計算には、140°の接触角および484mN/mの表面張力が想定される。
【0158】
B(r)は、rから∞の孔表面分布の積分である。この文脈における∞は、水銀圧入測定のための初期圧力が、絶対圧力4.2kPaであることを表す。図3は、上記の関係のグラフ表示である。
【0159】
式1〜3が適用される。
【0160】
【数1】

【0161】
A(r)とB(r)の関係は、式1によって示され、r=5nmについて図3にグラフで示される。A(r)曲線下の陰影部は、r=5nm(100Åの直径)におけるs0=B(r)の値に対応する。矢印は、矢印に最も近い曲線A(r)またはB(r)の値を、矢印が示す軸から読み取ることができることを示す。
【0162】
0は、直径が100Å(10nm)以上の孔の半径rに対する孔表面分布の積分である(式2)。
【0163】
そこで、微粒度F.V.(加圧)は、半径に対する孔表面分布の積分がS0/2になる最大半径である(式3)。
【0164】
(圧力前処理を含む)孔容量比V2/V1の測定
孔容量比V2/V1(無単位)
その計算では、130°の接触角および484mN/mの表面張力を想定する。孔容量V1を5.5〜40nmの孔径範囲の累積孔容量から測定する。孔容量V2を17.5〜27.5nmの孔径範囲の累積孔容量から測定する。V2範囲の孔の比率をV2/V1比から測定する。
【0165】
(圧力前処理を含む)孔径分布の相対幅γの測定
相対幅γ(単位(gnm)/ml)
その計算では、140°の接触角および480mN/mの表面張力を想定する。孔径分布の相対幅γを測定するために、3.5nm〜5μmの孔径範囲において圧入曲線の負の対数微分のデータに以下のアルゴリズムを適用する。アルゴリズムは、大きな孔径に由来し、圧入曲線の負の対数微分の3つの連続測定点で構成される可動ウィンドウを使用し、それらの点の間に放物線を描く。放物線の極大値は、孔径aにおける探索後極大値Aとして定義される。点aが、探索後孔径範囲内であり、圧入曲線後の負の対数微分の全体的な極大値であるかどうかを確認する。そうでない場合は、ウィンドウを一点だけシフトさせ、別の放物線を描き、両方の基準が満たされるまで動作を繰り返す。次いで、Bを0.300Aと定義する。bを、B値が最初に得られるaより小さい曲線の孔径とする。最後に、孔径分布の相対幅γを、γ=(a−b)/(A−B)=(a−b)/(0.7A)[式中、aおよびbはナノメートル単位であり、γは単位(gnm)/mlを有する]とする。i個の測定点および特徴a、b、AおよびBを有する、孔径xに関する式1による累積孔容量Vの負の対数微分の典型的な曲線プロファイルを図2に示す。式1:
【数2】

【0166】
形態指数の測定
炎イオン検出器(FID)を備えたFISONS HRGC Mega 2計測器を使用して分析を実施した。13mmの直径および5mmの高さを有する単一の円形ペレットを得るために、2トンの負荷で2分間にわたってICL(International Crystal Laboratories)液圧実験用プレスでシリカを加圧した。
【0167】
次いで、このペレットを、30秒間にわたってAchatモルタルの乳棒(容量30ml、内径65mm)を用いて手作業で粉砕する。次いで、粉砕物を、100mmの直径および45mmの高さを有するBioblock Scientificの2つのステンレス鋼篩を介して手作業で篩分する。篩のメッシュは、0.425mm(メッシュ40)および0.106mm(メッシュ140)である。篩を、メッシュサイズが大きい順に配置する。最後の篩の下には、回収皿が存在する。
【0168】
カラムを満たすために十分な材料が利用可能になるまで、いくつかのペレットを用いてこの手順を繰り返す。メッシュサイズ0.106mm(0.425〜0.106mmの篩分級)の篩上に残留する材料を使用してカラムを満たす。
【0169】
クロマトグラフィーのカラムを以下のように製造する。直径1/8"のステンレス鋼管を必要な長さに切断する。カラムの長さは、分析すべき固体の比表面積に応じて決まる。ここでの規則は、カラムにおける当該量の固体が20〜40m2の表面積を有さなければならないことである。この管の製造者はInterchromである。
【0170】
調製した粉末(以上の記載を参照)を、円錐漏斗を介して、クロマトグラフィーカラムに均一に導入する。床に空洞が形成しないようにすべきである。炎イオン検出器を150℃で動作させ、注入器を120℃に加熱する。分析の前に、15時間にわたって15ml/分の流量でヘリウムを流しながら160℃で焼き出しすることによってカラムを焼き出しする。n−アルカンおよび表面ナノ粗度の直線の測定を、20ml/分の流量のヘリウム流動下で110℃にて実施する。炎イオン検出器については、検出器の最も高感度な設定を選択する。
【0171】
直線の測定に使用した直鎖状アルカンは、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナンおよびn−デカンである(図2参照)。溶液毎に少なくとも3回の注入を実施し、正味滞留時間を測定し、値を平均する。
【0172】
各溶液の正味滞留時間を総滞留時間と無駄時間との差から計算する。無駄時間は、メタンの総滞留時間に基づく。総滞留時間は、クロマトグラフィーのピーク(ピーク頂点でない)の中心滞留時間に対応する。
【0173】
ここで、正味滞留時間は、注入量と無関係であることが重要である(これは、分析が無限の希釈条件下で実施されることを証明するものである)。
【0174】
ナノ粗度の測定のための分枝状および環式アルカンサンプルは、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ジメチル−ヘキサンおよびシクロオクタンである。形態指数(IM)を、シリカ表面への到達能力が同じである、特定の分枝状または環式アルカンの滞留用量VG(M)とn−アルカンの滞留用量VG(C)との比から計算する。
IM=VG(M)/VG(C)
このように、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ジメチルヘキサンおよびシクロオクタンについてそれぞれ1つのIMを測定する。請求項および明細書に記載のIMは、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ジメチルヘキサンおよびシクロオクタンについて予め測定された3つの形態指数の平均値に対応する。
【0175】
注入したすべての溶液は、クロマトグラフィー品質を有する。以下の製品を使用した。
n−ヘプタン、HPLC用、≧99.5%(GC)、FLUKA
n−オクタン、puriss.p.a.、GC用標準、≧99.8%(GC)、FLUKA
n−ノナン、puriss.p.a.、GC用標準、≧99.8%(GC)、FLUKA
n−デカン、puriss.purum、≧98.0%(GC)、FLUKA
シクロオクタン、purum、≧99.0%(GC)、FLUKA
2,2,4−トリメチルペンタン、HPLC用、≧99.5%(GC)、FLUKA
2,2−ジメチルヘキサン、purum、〜98.0%(GC)、FLUKA
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】図1は、特徴a、b、AおよびBを有する孔径xに関する累積孔容量Vの負の対数微分の典型的な曲線プロファイルを示している。
【図2】図2は、形態指数を求めるためのn−アルカンの直線の例を示している。
【図3】図3は、比孔表面分布A(r)およびその積分B(r)を示している。
【0177】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく、本発明を詳細に説明することを意図する。
【0178】
実施例1
最初に、角度付ベースおよびMIG角度付ブレード攪拌システムを備えたステンレス鋼ジャケット付反応器(高さ1.60m、内径1.60m)に1552lの水および141.3kgの水ガラス(密度1.348kg/l、27.0質量%のSiO2、8.05質量%のNa2O)を充填する。続いて、83℃の温度で80分間撹拌しながら、5.53kg/分の上記水ガラスおよび約0.65kg/分の硫酸(密度1.83kg/l、96質量%のH2SO4)を同時に計量導入する。硫酸の計量添加を、20.0+/−0.2のANが計量添加の継続時間全体にわたって反応媒体内に存在するように制御する。水ガラスの添加を停止し、(室温で測定した)9.0のpHが達成されるまで0.60kg/分で硫酸をさらに供給する。その直後に、懸濁物を90℃に加熱し、この温度で60分間撹拌する。(室温で測定した)7.0のpHが達成されるまで0.60kg/分の硫酸の添加を再開する。0.3kg/分の硫酸の添加を用いて、(室温で測定した)懸濁物の最終pHを4.0に設定する。
【0179】
得られた懸濁物をメンブレンフィルタプレスで濾過し、濾過ケーキを水で洗浄する。続いて、固形分が22.5質量%の濾過ケーキを回転フラッシュ乾燥させる。Alexanderwerk AGのWP 50N/75ローラプレスを用いてローラ造粒を実施する。粉末状製造物を、結合剤または液体をさらに添加することなく、単軸スクリュー(速度120rpm)を備えた水平供給システムを介して、真空システム(減圧0.65バール)により脱気し、両側に装着された垂直ローラの間に均一に導入する。13rpmの速度および9バールの圧力で、粉末を金属塊に押しつけ、粉砕機(メッシュサイズ8mm)を用いて細分する。微粉(約20質量%)をジグザグ形シフターで除去し、粉末導入にリサイクルする。
【0180】
顆粒(実施例1)の代表的なサンプルの物理化学データを第2表に示す。
【0181】
実施例2
最初に、角度付ベースおよびMIG角度付ブレード攪拌システムを備えたステンレス鋼ジャケット付反応器(高さ1.60m、内径1.60m)に1552lの水および141.3kgの水ガラス(密度1.348kg/l、27.0質量%のSiO2、8.05質量%のNa2O)を充填する。続いて、83℃の温度で80分間にわたって撹拌およびEkato流体剪断タービンによる追加的な剪断を行いながら、5.53kg/分の上記水ガラスおよび約0.65kg/分の硫酸(密度1.83kg/l、96質量%のH2SO4)を同時に計量導入する。硫酸の計量添加をタービンディスク上に行い、20.0+/−0.2のANが計量添加の継続時間全体にわたって反応媒体内に存在するように制御する。水ガラスの添加を停止し、(室温で測定した)9.0のpHが達成されるまで0.60kg/分で硫酸をさらに供給する。その直後に、懸濁物を90℃に加熱し、この温度で60分間撹拌する。タービンをオフに切り換え、(室温で測定した)7.0のpHが達成されるまで0.60kg/分の硫酸の添加を再開する。0.3kg/分の硫酸の添加を用いて、(室温で測定した)懸濁物の最終pHを4.0に設定する。
【0182】
得られた懸濁物をメンブレンフィルタプレスで濾過し、濾過ケーキを水で洗浄する。続いて、固形分が22.5質量%の濾過ケーキを回転フラッシュ乾燥させる。Alexanderwerk AGのWP 50N/75ローラプレスを用いてローラ造粒を実施する。粉末状製造物を、結合剤または液体をさらに添加することなく、単軸スクリュー(速度120rpm)を備えた水平供給システムを介して、真空システム(減圧0.65バール)により脱気し、両側に装着された垂直ローラの間に均一に導入する。13rpmの速度および9バールの圧力で、粉末を金属塊に押しつけ、粉砕機(メッシュサイズ8mm)を用いて細分する。微粉(約20質量%)をジグザグ形シフターで除去し、粉末導入にリサイクルする。
【0183】
粉末(実施例2b)および顆粒(実施例2a)の代表的なサンプルの物理化学データを第2表に示す。
【0184】
実施例3
最初に、角度付ベースおよびMIG角度付ブレード攪拌システムを備えたステンレス鋼ジャケット付反応器(高さ1.60m、内径1.60m)に1552lの水および141.3kgの水ガラス(密度1.348kg/l、27.0質量%のSiO2、8.05質量%のNa2O)を充填する。続いて、84℃の温度で80分間撹拌しながら、5.53kg/分の上記水ガラスおよび約0.65kg/分の硫酸(密度1.83kg/l、96質量%のH2SO4)を同時に計量導入する。硫酸の計量添加を、20.0+/−0.2のANが計量添加の継続時間全体にわたって反応媒体内に存在するように制御する。水ガラスの添加を停止し、(室温で測定した)9.0のpHが達成されるまで0.60kg/分で硫酸をさらに供給する。その直後に、懸濁物を90℃に加熱し、この温度で60分間撹拌する。(室温で測定した)7.0のpHが達成されるまで0.60kg/分の硫酸の添加を再開する。0.3kg/分の硫酸の添加を用いて、(室温で測定した)懸濁物の最終pHを3.0に設定する。
【0185】
得られた懸濁物をメンブレンフィルタプレスで濾過し、濾過ケーキを水で洗浄する。続いて、固形分が24.5質量%の濾過ケーキを回転フラッシュ乾燥させる。Alexanderwerk AGのWP 50N/75ローラプレスを用いてローラ造粒を実施する。粉末状製造物を、結合剤または液体をさらに添加することなく、単軸スクリュー(速度120rpm)を備えた水平供給システムを介して、真空システム(減圧0.67バール)により脱気し、両側に装着された垂直ローラの間に均一に導入する。13rpmの速度および12バールの圧力で、粉末を金属塊に押しつけ、粉砕機(メッシュサイズ8mm)を用いて細分する。微粉(約20質量%)をジグザグ形シフターで除去し、粉末導入にリサイクルする。
【0186】
顆粒(実施例3)の代表的なサンプルの物理化学データを第2表に示す。
【0187】
実施例4
最初に、角度付ベースおよびMIG角度付ブレード攪拌システムを備えたステンレス鋼ジャケット付反応器(高さ1.60m、内径1.60m)に1540lの水および141.0kgの水ガラス(密度1.348kg/l、27.0質量%のSiO2、8.05質量%のNa2O)を充填する。続いて、85.5℃の温度で80分間撹拌しながら、5.53kg/分の上記水ガラスおよび約0.65kg/分の硫酸(密度1.83kg/l、96質量%のH2SO4)を同時に計量導入する。硫酸の計量添加を、20.0+/−0.2のANが計量添加の継続時間全体にわたって反応媒体内に存在するように制御する。水ガラスの添加を停止し、(室温で測定した)7.0のpHが達成されるまで0.65kg/分で硫酸をさらに供給する。その後、(室温で測定した)pHが3.8に低下するまで0.3kg/分の低い計量速度で計量添加を継続する。
【0188】
得られた懸濁物をメンブレンフィルタプレスで濾過し、濾過ケーキを水で洗浄する。続いて、固形分が16〜19質量%の濾過ケーキを剪断装置にて水、硫酸およびアルミン酸ナトリウムで液化する。アルミン酸ナトリウムを、最終製造物に基づいて0.5%のAl23濃度が達成されるように制御する。しかし、水ガラスにおけるAl分級の結果として0.65%のAl23濃度を達成した。次いで、15〜16%の固形分および6.0のpHを有するシリカ供給物を噴霧乾燥する。Alexanderwerk AGのWP 50N/75ローラプレスを用いてローラ造粒を実施する。粉末状製造物を、結合剤または液体をさらに添加することなく、単軸スクリュー(速度120rpm)を備えた水平供給システムを介して、真空システム(減圧0.65バール)により脱気し、両側に装着された垂直ローラの間に均一に導入する。13rpmの速度および9バールの圧力で、粉末を顆粒体(金属塊)に押しつけ、粉砕機(メッシュサイズ8mm)を用いて細分する。微粉(約20質量%)をジグザグ形シフターで除去し、粉末導入にリサイクルする。
【0189】
顆粒(実施例4)の代表的なサンプルの物理化学データを第2表に示す。
【0190】
上記シリカの物理データを以下の第2表に集約する。示されている参照値は、2つの沈降シリカUltrasil7000GR(Evonik Degussa GmbH;参照1)およびZeosil1165MP(Rhodia Deutschland GmbH;参照2)のデータである。
【0191】
【表3】

【0192】
実施例5:
性能試験
ゴム混合物および加硫物を製造するために、実施例1、2a、3および4を使用する。
【0193】
一般手順
ゴム混合物(グリーンタイヤ混合物)に使用される配合物を以下の第3表に示す。この表において、単位[phr]は、使用された非加硫ゴム100部に対する質量部を指す。
【0194】
【表4】

【0195】
ポリマーVSL5052−2は、スチレン含有量が25質量%でブタジエン含有量が75質量%である、Lanxess Deutschland GmbHの溶液にて重合されたSBRコポリマーである。該コポリマーは、37.5phrのTDAE(油)を含み、約47のムーニー粘度(ML1+4/100℃)を有する。ポリマーBuna CB24は、ムーニー粘度(ML1+4/100℃)が44〜50のLanxess Deutschland GmbHのシス−1,4−ポリブタジエン(チタン型)である。TESPD(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)は、商品名Si 266でEvonik Degussa GmbHにより販売されている。使用した可塑剤は、ViVatec 500(TDAE;油)であった。Vulkanox 4020は、Rhein Chemieの6PPDであり、Protektor G 3180は、Paramelt B.V.のオゾン保護ワックスである。Vulkacit D(DPG)およびVulcacit CZ(CBS)は、Rhein Chemieの商品である。Perkacit TBzTDは、Flexsys B.V.の商品である。
【0196】
ゴム混合物を以下の表の概要(第4表)に従って内部ミキサーにて3段階で調製する。
【0197】
第4表:
【表5】

【0198】
ゴム混合物を製造し、それらを加硫するための一般的方法が、"Rubber Technology Handbook"、W.Hofmann,Hanser Verlag 1994に記載されている。
【0199】
160℃における試験品の加硫時間は、それぞれの場合において18分である。加硫試験を、第5表に示される方法によって実施する。
【0200】
第5表:
物理試験
【表6】

【0201】
以下の第6表は、第3〜5表に従って配合および試験された実施例1、2a、3および4の性能データを示す。使用した参照は、2つの沈降シリカUltrasil 7000 GR(Evonik Degussa GmbH;参照1)およびZeosil 1165 MP(Rhodia Deutschland GmbH;参照2)である。
【0202】
【表7】

【0203】
参照と比較して、実施例は、特に全体性能に反映される加硫物値の優れたプロファイルを提供する。例えば、参照に匹敵する硬度で非常に良好な強化が見られる。しかし、先行技術と比較した発明のシリカの優位性は、なかでも、摩耗レベルの向上、DIN摩耗、および動的性能の向上に示される。これは、23℃における反発弾性がより低いことによって示され、それは、発明のシリカが充填されたタイヤトレッドのウェットグリップ性能の向上を示す。また、60℃における動的複素弾性率E*が高いことが、より高い乗車安定性をもたらす。従って、実施例1および4によるシリカは、先行技術によって今日まで達成不可能であった全体性能を提供する。実施例4によるシリカは、記載の利点に加えて、MDR試験における最も低いトルク最小値(ML)によって定量可能なすべての他の試験シリカと比較して最良の加工性をさらに特徴とする。加えて、このシリカは、MDR試験におけるすべての発明のシリカの最大の加硫速度(t80%〜t20%)を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の物理化学特性
CTAB表面積 ≧150m2/g
BET表面積 ≧150m2/g
DBP数 180〜350g/(100g)
半幅/ピーク ≦0.95
d25%/d75% 1.00〜1.80
相対幅γ(加圧) ≦2.8(gnm)/ml
微粉度F.V.(加圧)100〜140Å
を有する沈降シリカ。
【請求項2】
0.20〜0.85の形態指数IMを有することを特徴とする、請求項1に記載の沈降シリカ。
【請求項3】
0.20〜0.75の孔容量比V2/V1(加圧)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の沈降シリカ。
【請求項4】
Al23含有量が0.1〜5.0質量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項5】
加圧状体の微粒度F.V.(加圧)が100〜130Åであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項6】
孔径分布の相対幅γ(加圧)が1.5〜2.5(gnm)/mlであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項7】
ピークの位置に対して正規化されたピークの半高幅(半幅/ピーク)が0.65〜0.9であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項8】
d25%/d75%比が1.20〜1.80であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項9】
d25%/d75%比が1.4〜1.75であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項10】
BET表面積が160〜210m2/gであり、かつ/またはCTAB表面積が160〜190m2/gであり、かつ/または形態指数IMが0.50〜0.80であり、かつ/または孔容量比V2/V1(加圧)が0.3〜0.6であり、かつ/またはAl23含有量が0.1〜2質量%であり、かつ/または修正シアーズ数Vol2が23〜27ml/(5g)である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項11】
篩残留物測定(Ro−Tap)により、粒子の少なくとも80質量%が300μmより大きく、10質量%以下が75μmより小さくなるように構成された粒径分布を有する造粒物であるか、またはレーザ回折によって測定された平均粒径d50が15〜80μmである粉末であるか、または篩残留物測定(Alpine)によって測定された粒径d50が80μm〜1000μmである球形粒子であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の沈降シリカ。
【請求項12】
沈降シリカを製造するための方法であって、
a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属珪酸塩の水溶液、および/または有機および/または無機塩基を初充填する工程と、
b)少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属珪酸塩と少なくとも1つの酸性化剤とを、75〜88℃で60〜120分、好ましくは70〜90分にわたって撹拌しながらこの初充填物に同時に計量導入する工程と、
d)少なくとも1つの酸性化剤を用いて再度酸性化して、pHを約5〜約8とする工程と、
e)少なくとも1つの酸性化剤を用いて再度酸性化して、pHを4〜5とする工程と、その際、酸性化剤の計量導入速度は工程d)の計量導入速度より小さい、
f)沈殿懸濁物を濾過する工程と、
g)濾過ケーキを洗浄する工程と、
h)濾過ケーキを場合によって液化する工程と、
i)乾燥する工程と、
j)場合によって粉砕および/または造粒する工程と、
を含む方法。
【請求項13】
工程b)と工程d)との間に、
c)工程b)で使用した酸性化剤および/または別の酸性化剤の添加を、工程b)における計量導入速度と同じまたは異なる計量導入速度で、沈殿懸濁物のpHが7〜10に達するまで継続し、このpHの得られた懸濁物を80〜98℃の高温で40〜80分間継続的に撹拌する工程を実施することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程g)と工程i)との間に、
h)濾過ケーキを液化する工程を実施することを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
液化中に、好ましくはアルミン酸塩の形、より好ましくはアルミン酸ナトリウムの形のアルミニウムを添加することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程i)の後に、
j)粉砕および/または造粒する工程を実施することを特徴とする、請求項12から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ローラ圧縮機を用いて造粒を実施することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
使用する塩基が、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属珪酸塩および/またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属水酸化物であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程a)からj)の1つの工程中に、有機または無機塩を添加することを特徴とする、請求項12から18までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
回転フラッシュ乾燥器またはノズル塔を乾燥に使用することを特徴とする、請求項12から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の沈降シリカ、または請求項12から20までのいずれか一項に従って製造された沈降シリカであって、それらの表面が、式I〜III:
[SiR1n(RO)r(Alk)m(Ar)pq[B] (I)
SiR1n(RO)3-n(アルキル) (II)、または
SiR1n(RO)3-n(アルケニル) (III)
[式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH2、−OC(O)CHCH2、−OC(O)C(CH3)CH2(q=1のとき)または−Sw−(q=2のとき)であり、Bは、Alkに化学的に結合し、
RおよびR1は、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシド基、シアニド基、チオシアニド基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、有機シラン基によって場合によって置換されていてよい、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族、オレフィン、芳香族またはアリール芳香族基であり、RおよびR1は、同一の、または異なる定義または置換を有することができ、
nは、0、1または2であり、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する二価の非分枝状または分枝状炭化水素基であり、
mは、0または1であり、
Arは、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシド基、シアニド基、チオシアニド基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チオール基、安息香酸基、安息香酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アクリレート基、メタクリレート基、有機シラン基によって置換されていてよい、6〜12個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を有するアリール基であり、
pは、pおよびnがどちらも0でないことを条件として0または1であり、
qは、1または2であり、
wは、2〜8の数字であり、
rは、r+n+m+p=4であることを条件として1、2または3であり、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の非分枝状または分枝状飽和炭化水素基であり、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する一価の非分枝状または分枝状不飽和炭化水素基である]の有機シランで改質されたことを特徴とする、沈降シリカ。
【請求項22】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の沈降シリカ、または請求項12から20までのいずれか一項に従って製造された沈降シリカであって、それらの表面が、組成がSiR24-nn(n=1、2、3、4)、
[SiR2xyO]z(0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、x+y=2)、
[SiR2xyN]z(0≦x≦2;0≦y≦2;3≦z≦10、x+y=2)、
SiR2nmOSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、n+m=3、o+p=3)、
SiR2nmNSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦o≦3;0≦p≦3、n+m=3、o+p=3)、および/または
SiR2nm[SiR2xyO]zSiR2op(0≦n≦3;0≦m≦3;0≦x≦2;0≦y≦2;0≦o≦3;0≦p≦3;1≦z≦10000、n+m=3、x+y=2、o+p=3)
[式中、
2は、1〜20個の炭素原子を有する置換および/または非置換のアルキルおよび/またはアリール基、および/またはアルコキシ基および/またはアルケニル基および/またはアルキニル基および/または硫黄含有基であり、
Xは、シラノール、アミノ、チオール、ハロゲン、アルコキシ、アルケニルおよび/または水素基である]の有機珪素化合物で改質されたことを特徴とする、沈降シリカ。
【請求項23】
請求項21および22のいずれかに記載のシリカを製造するための方法であって、沈降シリカを、沈降シリカ100部に対して0.5〜50部、特に沈降シリカ100部に対して1〜15部の混合物での有機珪素化合物で改質し、沈降シリカと有機珪素化合物の反応を、有機珪素化合物とシリカ懸濁物を混合し、続いて乾燥および熱処理することによって、混合物の調製時に(インサイチューで)実施するか、または混合物を噴霧し、次いで加熱することによって外部で実施することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−516386(P2011−516386A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503394(P2011−503394)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053243
【国際公開番号】WO2009/124829
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】