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エラストマー組成物の製造方法
説明

エラストマー組成物の製造方法

【課題】熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーの両方を含有し、さらに非芳香族系軟化剤を含有してなる、破断強度等の機械的強度及び圧縮永久歪が共に改善されたエラストマー組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)熱可塑性エラストマー、(B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(C)非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の製造方法であって、下記工程1及び2を有することを特徴とするエラストマー組成物の製造方法。
工程1:前記(B)成分と前記(C)成分とを混合する工程
工程2:工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー組成物の製造方法に関する。詳しくは、熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加した水添ブロック共重合体に、軟化剤としてオイルを添加して所定の硬度とした熱可塑性エラストマー組成物が数多く開発されてきた。
具体的には、(1)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水素添加して得られる、特定の重量平均分子量の水添ブロック共重合体、(2)特定の動粘度及び特定の分子量分布を有する非芳香族系ゴム用軟化剤及び(3)ポリプロピレンをそれぞれ特定量含有する低硬度の熱可塑性エラストマー組成物が、軟化剤のブリードアウトが少なく、かつ圧縮永久歪が小さいことが知られている(特許文献1参照)。
また、スチレン系エラストマーとオイル(軟化剤)とを含有するスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる基材の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂と(メタ)アクリレートモノマーと光重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させてなるエラストマー積層体が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−254809号公報
【特許文献2】特開2010−274586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー組成物では、圧縮永久歪が小さいと記載されているものの、実施例で得られた熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪は必ずしも満足のいく程度とはいえず、更なる改良の余地がある。一方、特許文献2に記載の積層体は、基材からのオイルのブリードアウト抑制のために、硬化された活性エネルギー線硬化性組成物を用いているが、熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化性組成物とを共に含有する組成物については何ら記載されていない。通常、活性エネルギー線硬化性組成物は破断強度が小さく、例えばシール材、ガスケット材、防振材等の用途に用いるには、破断強度を改善する必要がある。よって、圧縮永久歪が小さく、かつ破断強度が高い組成物を得るために、本発明者らは、熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーの両方を含有し、さらに非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の開発を検討した。しかし、比較的分子量の高い熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーとを用いる場合、そもそも各成分の混練が困難であり、各成分が全く均一に分散されなかったため、圧縮永久歪が小さくて破断強度が高い組成物を容易に得ることはできないことが判明した。
そこで、本発明の課題は、熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーの両方を含有し、さらに非芳香族系軟化剤を含有してなる、破断強度等の機械的特性及び圧縮永久歪が共に改善されたエラストマー組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記問題に着目し、鋭意検討した結果、(A)熱可塑性エラストマー、(B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(C)非芳香族系軟化剤を特定の順番で混合及び混練することによって、破断強度等の機械的特性に優れ、圧縮永久歪が低減され、さらに成形性に優れるエラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[11]に関する。
[1](A)熱可塑性エラストマー、(B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(C)非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の製造方法であって、下記工程1及び2を有することを特徴とするエラストマー組成物の製造方法。
工程1:前記(B)成分と前記(C)成分とを混合する工程
工程2:工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する工程
[2]工程1において、(B)成分と(C)成分とを5〜40℃で混合する、上記[1]に記載のエラストマー組成物の製造方法。
[3]工程2において、前記混合物へ(A)成分を添加した後の溶融混練温度が130〜270℃である、上記[1]又は[2]に記載のエラストマー組成物の製造方法。
[4]工程1において、(B)成分と(C)成分とを(D)光重合開始剤と共に混合する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[5]工程2において、さらに(E)ポリプロピレンを添加してから溶融混練する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[6]前記(A)成分が、ビニル芳香族化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[7]前記(A)成分の重量平均分子量が30万〜70万である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[8]前記(B)成分が、(メタ)アクリロイル基を有する水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[9]前記(B)成分の重量平均分子量が5,000〜40,000である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
[10]さらに下記工程3を有する、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
工程3:工程2で得られたエラストマー組成物を射出成形する工程
[11]さらに下記工程4を有する、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
工程4:工程2又は3で得られたエラストマー組成物に活性エネルギー線を照射する工程
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、破断強度等の機械的特性及び圧縮永久歪が共に改善され、さらに成形性が良好なエラストマー組成物を提供することができる。なお、エラストマー組成物に活性エネルギー線を照射することにより、照射前のエラストマー組成物よりもさらに破断強度及び圧縮永久歪が改善されたエラストマー組成物を提供することができる。
本発明の製造方法により得られるエラストマー組成物は、破断強度等の機械的特性及び圧縮永久歪が共に改善されているため、高温での繰り返し耐久性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のエラストマー組成物の製造方法は、(A)熱可塑性エラストマー、(B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(C)非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の製造方法であって、下記工程1及び2を有するものである。
工程1:前記(B)成分と前記(C)成分とを混合する工程
工程2:工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する工程
まず、エラストマー組成物の製造に用いる成分について以下に詳細に説明する。
【0009】
((A)熱可塑性エラストマー)
(A)成分である熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリビニルブチラール(PVB)樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコン樹脂;ポリエステル樹脂;ウレタン樹脂などのほか、「ビニル芳香族化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体」(以下、水添ブロック共重合体と略称することがある)が挙げられる。本発明では、(A)成分として前記水添ブロック共重合体を用いることが好ましい。
該水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)に特に制限は無いが、エラストマー組成物の破断強度等の機械的特性及び圧縮永久歪の観点から、好ましくは10万〜70万、好ましくは30万〜70万、より好ましくは30万〜45万、さらに好ましくは33万〜42万、特に好ましくは35万〜42万である。また、後述する(C)成分のブリードアウトを抑制する観点からは、(A)成分の重量平均分子量は30万以上が好ましい。特に、(A)成分の重量平均分子量は30万以上であると、(A)成分と後述する(B)成分との溶融混練が一層困難になり、本発明の製造方法による効果が顕著となる。なお、(A)成分の重量平均分子量が70万以下であれば、混練性の悪化によって成形性が著しく低下することが少ない。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、単分散ポリスチレンを基準としてポリスチレン換算で求めた値である。
【0010】
前記ビニル芳香族化合物単位を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンなどが挙げられる。ビニル芳香族化合物単位を含有する重合体ブロックにおけるビニル芳香族化合物単位の含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは実質的に100モル%である。その他の構造単位としては、後述する共役ジエン化合物単位などが挙げられる。
また、前記共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。共役ジエン化合物単位を含有する重合体ブロックにおける共役ジエン化合物単位の含有量は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは実質的に100モル%である。その他の構造単位としては、前記ビニル芳香族化合物単位などが挙げられる。
(A)成分としては、具体的には、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEBSと略す。)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEPSと略す。)、ポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEEPSと略す。)などが好ましく挙げられ、SEEPSがより好ましい。
熱可塑性エラストマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
SEBSにおいては、ポリスチレンブロックの含有率に特に制限は無いが、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%である。また、ポリブタジエンブロックの水素添加率に特に制限は無いが、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。
SEPSにおいては、ポリスチレンブロックの含有率に特に制限は無いが、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは10〜40質量%である。また、ポリイソプレンブロックの水素添加率に特に制限は無いが、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。
【0012】
SEEPSにおいては、ポリスチレンブロックの含有率に特に制限は無いが、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜40質量%である。また、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの水素添加率に特に制限は無いが、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。
共役ジエン化合物単位が2種以上の共役ジエン化合物から構成される場合、その混合割合に特に制限は無いが、ブタジエンとイソプレンの2種から構成される場合、ブタジエンとイソプレンとの含有割合[ブタジエン/イソプレン]は、モル比で、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40である。SEEPSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
【0013】
SEBS、SEPS及びSEEPSは市販品を使用してもよいし、公知の方法、例えばリチウム開始剤を用いてビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とをアニオン重合した後、ラネーニッケルなどの公知の水素添加触媒によって水素添加することにより製造することもできる。
【0014】
((B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー)
本発明により得られるエラストマー組成物は、(B)成分として、活性エネルギー線硬化性官能基を有する活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーを含有してなるものである。該(B)成分の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜40,000、より好ましくは5,000〜30,000、さらに好ましくは8,000〜25,000、特に好ましくは10,000〜20,000であり、常温(5〜30℃程度)にて液状である。活性エネルギー線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。この活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーとしては、エラストマー組成物の破断強度等の機械的特性、圧縮永久歪及び成形性などの観点から、分子内に少なくとも2個の活性エネルギー線硬化性官能基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有するオリゴマーが好ましい。1分子中の活性エネルギー線硬化性官能基の個数は、通常、好ましくは2〜6個程度、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2個である。本発明においては、活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を指す。
エラストマー組成物中における(B)成分の含有量は、エラストマー組成物の破断強度等の機械的特性、圧縮永久歪及び成形性などの観点から、(A)成分100質量部に対して5〜180質量部であることが必要である。この観点から、エラストマー組成物中における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜100質量部、特に好ましくは10〜60質量部である。加えて、活性エネルギー線を照射しないエラストマー組成物の場合には、(B)成分の含有量は、上記同様の観点から、(A)成分100質量部に対して10〜40質量部が最も好ましい。
以下、活性エネルギー線硬化性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化型液状オリゴマーについて説明する。
【0015】
(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化型オリゴマーとしては、特に制限はなく、例えば共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー及びその水素添加物、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。
【0016】
−共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー及びその水素添加物−
共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、常温(5〜30℃程度)で液状の水添スチレン−ブタジエンゴム(以下、スチレン−ブタジエンゴムをSBRと称することがある)や常温(5〜30℃程度)で液状の水添スチレン−イソプレンゴム(以下、スチレン−イソプレンゴムをSIRと称することがある)をアクリル変性して得られる水添SBRジ(メタ)アクリレートなどの、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ジ(メタ)アクリレートオリゴマー;ポリイソプレンをアクリル変性して得られるポリイソプレンジ(メタ)アクリレートなどの、共役ジエン重合体ジ(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、エラストマー組成物の破断強度等の機械的特性、圧縮永久歪及び成形性などの観点から、水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ジ(メタ)アクリレートオリゴマー((メタ)アクリロイル基を有する水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)が好ましく、水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマー((メタ)アクリロイル基を有する水添SBR)、水添SIRジ(メタ)アクリレートオリゴマー((メタ)アクリロイル基を有する水添SIR)がより好ましく、水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマー((メタ)アクリロイル基を有する水添SBR)がさらに好ましい。
共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば両末端に水酸基を有する、水添ポリブタジエン又は水添ポリイソプレンの前記水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ここで、水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法について詳細に説明する。
(水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法)
水添SBRのジ(メタ)アクリレート化物の製造方法としては特に制限はないが、例えば、水添SBRとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとを反応させることにより、分子末端に水酸基を導入し、さらに(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させる方法が挙げられる。
【0017】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物との反応としては、例えば、分子末端に水酸基が導入された水添SBRと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等によるウレタン化反応;分子末端に水酸基が導入された水添SBRとメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の低級アルキル(メタ)アクリレートによるエステル交換反応;分子末端に水酸基が導入された水添SBRをイソシアネート化合物と反応させて得られるプレポリマーと2−ヒドロキシエチルアクリレート等との反応等により、水添SBRジ(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0018】
なお、原料のSBRは、スチレンとブタジエンの共重合により得ることができ、例えば、ナフタレンジリチウム、ジリチオヘキシルベンゼン等の公知のジリチウム化合物及び反応に不活性な溶媒の存在下、10〜80℃にてスチレンと1,3−ブタジエンを共重合させる方法により得られる。また、水添SBRは、SBR又は分子末端に水酸基が導入されたSBRを水素添加することにより得ることができる。
SBR又は分子末端に水酸基が導入されたSBRを水素添加する方法に特に制限は無く、公知の方法を利用することができる。例えば、シクロヘキサン等の飽和炭化水素溶液中で、スチレンブタジエンゴムを、ラネーニッケル又はPt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒:ニッケル、コバルト等の第8〜10族金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物又は有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒:チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛又はマグネシウム等の有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒等の公知の水素添加触媒の存在下及び水素加圧下に50〜180℃で反応させることにより、共役ジエン部位の一部又は全部を水素添加することができる。
また、SBR又は分子末端に水酸基が導入されたSBRの水素添加率に特に制限は無いが、耐熱性などの観点から、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%である。
【0019】
水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜40,000、より好ましくは5,000〜30,000、さらに好ましくは10,000〜25,000、特に好ましくは15,000〜20,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1.2以下である。水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量がこの範囲内であると、水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーの粘度が高くなり過ぎず、エラストマー組成物の成形性が良好である。また、分子量分布が3以下であれば、量産する場合に再現性を得やすく、同程度の分子量のものを得ることが容易になる。
なお、本明細書において、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、単分散ポリスチレンを基準としてポリスチレン換算で求めた重量平均分子量と数平均分子量から算出した値である。
水添SBRジ(メタ)アクリレートオリゴマーのスチレン由来の構成単位の含有量(以下、スチレン含有量と称する。)に特に制限はないが、全構成単位に対して、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
【0020】
−ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー−
また、前記ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートジオールなどとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
−ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー−
前記ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
−ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー−
前記ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールオリゴマーの両末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリカーボネートポリオールオリゴマーの両末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを指し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
【0021】
((C)非芳香族系軟化剤)
本発明により得られるエラストマー組成物は、さらに(C)成分として非芳香族系軟化剤を含有させてなるものである。該非芳香族系軟化剤は、エラストマー組成物の硬度を下げる効果のほか、特に(A)成分と(B)成分とを混合及び混練し易くする効果を有する。
非芳香族系軟化剤の動粘度(40℃)は、他の成分と充分に混合して組成物中に充分に分散させる観点から、好ましくは25〜2,000mm2/sec、より好ましくは100〜1,600mm2/sec、さらに好ましくは500〜1,600mm2/sec、特に好ましくは700〜1,500mm2/secである。なお、動粘度はJIS K2283に準じて測定した値である。
また、非芳香族系軟化剤のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量(Mw)は、好ましくは200〜4,000、より好ましくは500〜3,000、さらに好ましくは1,000〜3,000、特に好ましくは1,500〜3,000である。
【0022】
上記のような(C)成分として、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、シリコーンオイル、植物系オイルなどを利用できる。これらの中でも、相容性の観点から、パラフィン系オイル、シリコーンオイルが好ましく、パラフィン系オイルがより好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、相容性が良好であれば、2種以上を併用してもよい。
パラフィン系オイルとしては、例えば「ルーカントHC−100」(分子量2,400、三井化学株式会社製、動粘度(40℃)=1,300mm2/s)、「ダイアナプロセスオイルPW32」(商品名、出光興産株式会社製、Mw=400、Mw/Mn=1.15、動粘度(40℃)=31mm2/s)、「ダイアナプロセスオイルPW380」(商品名、出光興産株式会社製、Mw=750、Mw/Mn=1.15、動粘度(40℃)=380mm2/s)などを利用可能である。
シリコーンオイルとしては、市販されているシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルを使用できる。
植物系オイルとしては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、梛子油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油などが挙げられる。
非芳香族系軟化剤は、1種を単独で使用してもよいし、動粘度を調整するなどのために2種以上を併用してもよい。
エラストマー組成物中における(C)成分の含有量は、エラストマー組成物の硬度を調整しつつ、(C)成分のブリードアウトも抑制するという観点から、(A)成分100質量部に対して0.5〜450質量部であり、好ましくは5〜450質量部、より好ましくは10〜450質量部、より好ましくは40〜450質量部、より好ましくは50〜250質量部、より好ましくは50〜200質量部、さらに好ましくは70〜150質量部、特に好ましくは70〜120質量部である。
【0023】
((D)光重合開始剤)
本発明により得られるエラストマー組成物は、さらに(D)成分として光重合開始剤を含有させてなるものであることが好ましい。光重合開始剤としては、公知のものを広く用いることができ、特に制限されるものではない。
例えば、分子内開裂型の光重合開始剤が挙げられ、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4’−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤等が挙げられる。これらの中でも、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤が好ましい。
また、その他水素引き抜き型の光重合開始剤としてベンゾフェノン/アミン系光重合開始剤、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン/アミン系光重合開始剤等を挙げることができる。
また、未反応光重合開始剤のマイグレーションを避けるために、非抽出型光重合開始剤を用いることができる。例えばアセトフェノン系開始剤を高分子化したもの、ベンゾフェノンにアクリル基の二重結合を付加したものがある。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明により得られるエラストマー組成物が光重合開始剤を含有してなるものである場合、その含有量は、(B)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。また、上記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用することもできる。
【0024】
((E)ポリプロピレン)
本発明により得られるエラストマー組成物は、さらに(E)成分として光重合開始剤を含有させてなるものであることが好ましい。該ポリプロピレンは、エラストマー組成物の成形性を高める効果を有する。
(E)成分のポリプロピレンに特に制限は無いが、成形性の観点からは、JIS K7210[190℃、21.18N(2.16kgf)]に従って測定したメルトフローレート(以下、MFRと略称する。)が、0.1〜100g/10分であるポリオレフィンを使用することが好ましく、0.5〜50g/10分であるポリオレフィンを使用することがより好ましい。このようなポリプロピレンは市販されており、市販品としては、例えば「ノバテック(登録商標)BC05B」(商品名、日本ポリプロ株式会社製)、M1600(商品名、サンアロマー株式会社製)などがあり、これらを使用してもよい。
本発明により得られるエラストマー組成物が(E)成分を含有してなるものである場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部である。(A)成分100質量部に対して0.5質量部以上であれば、混練後にエラストマー組成物をカットする際に、前記(C)成分がブリードアウトする恐れがなく、かつ成形性が良好となる。また、(A)成分100質量部に対して20質量部以下であれば、エラストマー組成物の硬度が高くなりすぎることがない。この観点から、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、より好ましくは3〜15質量部、より好ましくは5〜15質量部、さらに好ましくは8〜15質量部である。
【0025】
(E)成分であるポリプロピレンには、エラストマー組成物の成形性及び耐熱性を向上させる目的で、スチレン系樹脂を併用することができる。
該スチレン系樹脂は、公知の製造方法で得られたものを使用でき、ラジカル重合法、イオン重合法のいずれの方法で製造してもよい。スチレン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜250,000、さらに好ましくは100,000〜250,000であり、分子量分布は5以下のものが好ましく、3以下のものがより好ましい。
該スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン単位含有量60質量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−t−ブチルスチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)成分と上記スチレン系樹脂を併用する場合、(E)成分とスチレン系樹脂の合計に対するスチレン系樹脂の含有量が、5〜15質量%であることが好ましい。
【0026】
(任意成分)
本発明により得られるエラストマー組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて任意成分を含有してなるものであってもよい。該任意成分としては、例えば、(メタ)アクリルモノマー;タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、ガラス粉、ガラスバルーンなどの無機中空フィラー、セラミックス粉、マイカなどの無機充填剤;コルク粉末、木粉、グラファイトなどの有機充填剤;有機系チクソ性付与剤;カップリング剤;酸化防止剤(老化防止剤);光安定剤;難燃剤;帯電防止剤;抗菌剤;カルボジイミド類;ステアリン酸などの脂肪酸;ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アミド;脂肪酸エステル;セラミック、カーボンブラック、アンバー、シェンナ、カオリン、ニッケルチタンイエロー、コバルトブルー、プラマスターグレー、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの顔料;レベリング剤;:ロジン誘導体などの粘着付与剤(タッキファイヤー);「レオストマー(登録商標)B」(商品名、理研テクノス株式会社製)などの接着性エラストマー;クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂などが挙げられる。また、本発明の製造方法では基本的には溶媒は用いないが、必要に応じて各種溶媒を用いてもよい。
本発明により得られるエラストマー組成物が上記任意成分を含有してなるものである場合、その含有量はそれぞれ、(A)成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0027】
[エラストマー組成物の製造方法]
本発明の製造方法は、下記工程1及び2を有する。
工程1:前記(B)成分と前記(C)成分とを混合する工程
工程2:工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する工程
つまり、前記(B)成分と前記(C)成分とを混合した後に、前記(A)成分を添加する必要がある。以下、工程1及び工程2について順に説明する。
【0028】
(工程1)
工程1では、まず、(B)成分と(C)成分とを混合する。混合する際の温度に特に制限はないが、通常、好ましくは5〜40℃、より好ましくは5〜30℃であり、室温程度でよい。また、公知の混合機及び撹拌混合機を用いて混合することができ、中でも、(B)成分と(C)成分とを充分に分散させて混合し、工程2にて(A)成分と効率良く混合できるようにする観点から、ヘンシェルミキサーを用いることが好ましい。
混合に要する時間は、各成分の混合量にもよるが、(B)成分と(C)成分とを充分に分散させて混合し、工程2にて(A)成分と効率良く混合できるようにする観点から、通常、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上である。混合時間は、通常は20分以内で充分であり、10分以内であってもよい。
(B)成分と(C)成分との混合は、1回の操作で済ませてもよいし、2回以上に分けて行ってもよい。(B)成分と(C)成分との混合では、混合機や撹拌混合機の壁面に各成分が付くことがあるため、各成分を充分に混合するためには、壁面に付いた成分を取ってヘラなどによって全体と混ぜ合わせてから、さらに混合機や撹拌混合機によって混合することが好ましい。そのため、2回以上に分けて混合を行うことが好ましく、2〜5回に分けて混合を行うことがより好ましい。なお、2回以上に分けて混合を行う場合でも、(B)成分と(C)成分とを充分に分散させて混合し、工程2にて(A)成分と効率良く混合できるようにする観点から、1回目に(B)成分と(C)成分を全て混合機や撹拌混合機に入れてしまうことが好ましい。2回以上に分けて混合を行う場合、前記した「混合に要する時間」は、合計の混合時間に相当するが、1回目や2回目の混合時間を短くして、隔壁についた成分を充分に全体と混ぜ合わせ、隔壁につく成分が少なくなる3回目以降の混合時間を長く設定することが好ましい。
なお、(D)成分を用いる場合、該(D)成分は、工程1にて(B)成分及び(C)成分と共に混合することが好ましい。
工程1を実施すると、剪断熱によって組成物の温度が40℃以上に上がることがあるため、工程1は、組成物のこの温度上昇過程までをも含み得る。
【0029】
(工程2)
工程2では、前記工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する。各成分を充分に分散されたエラストマー組成物を得る観点から、(A)成分を添加した後であって溶融混練する前に、あらかじめよく混合しておく工程(工程2−a)を設けることが好ましい。該工程2−aにおいて混合する際の温度に特に制限はなく、通常、工程1を経たあとの温度のままであることが好ましい。また、公知の混合機及び撹拌混合機を用いて混合することができ、中でも、各成分を充分に分散されたエラストマー組成物を得る観点から、ヘンシェルミキサーを用いることが好ましい。
工程2−aにおける混合に要する時間は、各成分の混合量にもよるが、各成分を充分に分散されたエラストマー組成物を得る観点から、通常、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上、さらに好ましくは10分以上である。混合時間は、通常は40分以内で充分であり、30分以内であってもよく、さらには20分以内であってもよい。
工程2−aにおける混合は、1回の操作で済ませてもよいし、2回以上に分けて行ってもよい。工程2−aにおける混合では、工程1と同様、混合機や撹拌混合機の壁面に各成分が付くことがあるため、各成分を充分に混合するためには、壁面に付いた成分を取ってヘラなどによって全体と混ぜ合わせてから、さらに混合機や撹拌混合機によって混合することが好ましい。そのため、2回以上に分けて混合を行うことが好ましく、2〜5回に分けて混合を行うことがより好ましい。なお、2回以上に分けて混合を行う場合、前記した「工程2−aにおける混合に要する時間」は、合計の混合時間に相当する。
その後、一軸混練機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサーなどを用いて溶融混練する。溶融混練温度は、好ましくは130〜270℃、より好ましくは150〜260℃、さらに好ましくは170〜240℃である。
なお、特に制限されるものではないが、(E)成分は、工程2にて他の成分と混合することが好ましい。また、その他の任意成分についても、工程2にて混合することが好ましい。これは、工程1において、(B)成分と(C)成分、さらには(D)成分の充分な混合を優先し、工程2における(A)成分との混合を効率良く行うためである。
こうして得られるエラストマー組成物は、破断強度等の機械的特性に優れ、かつ圧縮永久歪が低減されており、さらに成形性に優れている。
【0030】
なお、工程2で得られたエラストマー組成物を、必要に応じて射出成形(工程3)した後、活性エネルギー線を照射する(工程4)ことによって、エラストマー組成物の少なくとも一部が硬化されたエラストマー組成物が得られる。活性エネルギー線照射後のエラストマー組成物は、破断強度及び圧縮永久歪がさらに改善されている。
該活性エネルギー線としては、粒子線、電磁波及びこれらの組み合わせが挙げられる。粒子線としては、電子線(EB)及びα線が挙げられ、電磁波としては、紫外線(UV)、可視光線、赤外線、γ線及びX線等が挙げられる。紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。これらの中でも、活性エネルギー線としては、紫外線(UV)を使用することが好ましい。
活性エネルギー線は、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気又は酸素濃度を低下させた雰囲気下にて照射することが好ましいが、通常の空気雰囲気下でも十分に硬化させることができる。照射温度は、好ましくは10〜200℃であり、照射時間は、好ましくは10秒〜10分である。積算光量は、通常、好ましくは1,000〜20,000mJ/cm2、より好ましくは1,000〜10,000mJ/cm2である。
【0031】
本発明の製造方法により得られる活性エネルギー線照射前のエラストマー組成物は、ショアA硬度が39度以下(15〜39度程度)である。活性エネルギー線照射前のエラストマー組成物は、70℃における圧縮永久歪が31%以下(21〜31%)である。また、23℃における破断強度(Tb)は1.3MPa以上(1.3〜4.6MPa)であり、80℃における破断強度(Tb)は1.9MPa以上(1.9〜2.1MPa程度)、さらに、23℃における破断伸び(Eb)は540%以上(540〜680%)である。
また、本発明の製造方法により得られる活性エネルギー線照射後のエラストマー組成物は、ショアA硬度が42以下(39〜42度程度)である。活性エネルギー線照射後のエラストマー組成物は、70℃における圧縮永久歪が24%以下(17〜24%)である。また、23℃における破断強度(Tb)は5.0MPa以上(5.0〜10.4MPa)であり、80℃における破断強度(Tb)は2.3MPa以上(2.3〜4.4MPa)、さらに、23℃における破断伸び(Eb)は400%以上(400〜570%)である。
なお、いずれも実施例に記載の方法により測定したものである。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0033】
<製造例1>水添SBRジアクリレートオリゴマーの製造方法
アルゴン置換した内容積7Lの反応器に、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液2kg、20.0質量%のスチレンのシクロヘキサン溶液0.573kg、1.6mol/Lの2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液130.4mlを添加した後、0.5mol/Lのジリチウム重合開始剤108.0mlを添加して重合を開始させた。混合液を50℃に昇温し、1.5時間重合を行なった後、1mol/Lのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液108.0mlを添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。
得られた共重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて、分子末端に水酸基を有するスチレンブタジエンゴム(スチレン含有量:20質量%、重量平均分子量18,000、分子量分布1.15)を得た。なお、重量平均分子量は、GPC法(Gel Permeation Chromatography)を用い、ポリスチレン換算により求めた。
【0034】
(水素添加処理)
上記で得られた分子末端に水酸基を有するスチレンブタジエンゴム120gを、十分に脱水精製したヘキサン1Lに溶解した後、予め別の容器で調整したナフテン酸ニッケル、トリエチルアルミニウム及びブタジエン[それぞれ1:3:3(モル比)]の触媒液を、前記スチレンブタジエンゴムのブタジエン由来の構成単位1,000molに対してニッケル1molになるように仕込んだ。密閉反応容器に水素を2.758MPa(400psi)で加圧添加し、110℃にて4時間、水素添加反応を行なった。
その後、3mol/m3の塩酸で触媒残渣を抽出分離し、さらに遠心分離をして触媒残渣を沈降分離した。そして、分子末端に水酸基を有する水添スチレンブタジエンゴムをイソプロピルアルコール中に沈殿させ、さらに十分に乾燥させて、分子末端に水酸基を有する水添スチレンブタジエンゴム(スチレン含有量20質量%、重量平均分子量16,500、水素添加率98%、分子量分布1.1)を得た。
(分子末端への活性エネルギー線硬化性官能基の導入)
上記で得られた分子末端に水酸基を有する水添スチレンブタジエンゴムをシクロヘキサンに溶解し、40℃にて撹拌しながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(「カレンズ(登録商標)AOI」、昭和電工株式会社製)をゆっくり滴下し、さらに4時間撹拌を行なった後、イソプロピルアルコール中に結晶を沈殿させ、末端変性水添スチレンブタジエンゴム(水添SBRジアクリレートオリゴマー)を得た。
【0035】
<実施例1〜5>
(工程1)
表1に示した配合量(単位:質量部)で、まず(B)〜(D)成分をヘンシェルミキサーにて1分間撹拌混合した後、ヘンシェルミキサーの壁面に付いた成分をヘラで取って全体と合わせてから1分間撹拌混合し、再度、ヘンシェルミキサーの壁面に付いた成分をヘラで取って全体と合わせてから5分間撹拌混合した。
(工程2)
得られた混合物に(A)成分及び(E)成分を添加してから5分間撹拌混合した後、ヘンシェルミキサーの壁面に付いた成分をヘラで取って全体と合わせてから5分間撹拌混合し、再度、ヘンシェルミキサーの壁面に付いた成分をヘラで取って全体と合わせてから5分間撹拌混合した(工程2−a)。
こうして得られた混合物を、ベント式二軸混練機を用いて、210℃で溶融混練し、ストランド状に押し出しながらカッターにてカットし、エラストマー組成物のペレットを得た。
(工程3)
得られたペレットを用いて、射出成形機(シリンダー温度180℃)により厚み2mm又は10mmの試験用シートを作製し、以下の方法に従って、ショアA硬度、圧縮永久歪、破断強度、破断伸び及び射出成形性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(工程4)
さらに、得られた試験用シートに下記条件にて紫外線を照射して得られた厚み2mm又は10mmの試験片について、ショアA硬度、圧縮永久歪、破断強度及び破断伸びの測定・評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
(紫外線照射条件)
メタルハライドランプ(装置名「SE−1500M」、センエンジニアリング株式会社製)を使用し、紫外線照射機(装置名「UV1501BA−LT」、センエンジニアリング株式会社製)により、空気雰囲気下で放射照度150mW/cm2にて、厚み2mmの試験片の両面から60秒間、紫外線照射を行った(積算光量:9,000J/cm2)。
【0037】
(1)ショアA硬度
厚み2mmの試験片を3枚重ねた状態で、JIS K6253(タイプAデュロメータ)に準拠して測定した。
(2)圧縮永久歪
JIS K6262に準拠し、直径20mm、厚み10mmの試験片を用いて、25%圧縮で70℃にて22時間圧縮して測定した。なお、圧縮永久歪は小さい方が好ましい。
(3)破断強度、破断伸び
「JIS K6251 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じ、DIN3号ダンベル形状の厚み2mmのサンプルを用い、23℃又は80℃にて、引張り速度200mm/minで測定した。切断時の引張応力を破断強度(Tb)とし、切断時の伸びを破断伸び(Eb)とした。
(4)射出成形性
試験用シート(8cm×1.3cm×厚み2mm)2枚を貼り合わせ、50g/cm2で24時間圧着した後、100mm/分で剥離させた際の強度(剥離強度)を測定してタック性を評価し、射出成形性の指標とした。剥離強度が低いほどタック性が低く、射出成形性が高いことを示す。なお、下記評価基準に従って評価した結果を表1に併せて示す。
A:剥離強度が0gf以上10gf未満
B:剥離強度が10gf以上30gf未満
C:剥離強度が30gf以上50gf未満
D:剥離強度が50gf以上100gf未満
E:剥離強度が100gf以上
【0038】
【表1】

【0039】
1):「セプトン(登録商標)4099」、SEEPS、Mw=40万、ポリスチレンブロック含有率30%、株式会社クラレ製
2):製造例1で得た水添SBRジアクリレートオリゴマー
3):「ルーカントHC−100」、パラフィン系オイル、分子量2,400、動粘度(40℃)=1,300mm2/s、三井化学株式会社製
4):「LUCIRIN(登録商標)TPO」、アシルホスフィンオキシド、BASFジャパン株式会社製
5):「ノバテック(登録商標)BC05B」、MFR=50(g/10分)、日本ポリプロ株式会社製
【0040】
表1に示すように、本発明の製造方法であれば、活性エネルギー線を照射する前であっても、圧縮永久歪の小ささと破断強度の高さとを両立し、さらに、破断伸びも良好であり、かつ成形性(射出成形性)も良好なエラストマー組成物を得ることができる。特に、(B)成分の含有量が100質量部以下、60質量部以下、さらには40質量部以下となると、圧縮永久歪、破断強度及び成形性(射出成形性)が特に優れたエラストマー組成物を得ることができる。
また、活性エネルギー線を照射した後では、破断強度及び圧縮永久歪がさらに改善されたエラストマー組成物が得られることがわかる。
【0041】
<比較例1>
表1の実施例1に示した配合量(単位:質量部)で、全成分をヘンシェルミキサーに投入したが、各成分を充分に混練できておらず、各成分の大部分が分離した状態であった。
【0042】
<比較例2>
実施例1において、工程1で、(B)〜(D)成分の変わりに(A)成分と(B)成分を用い、工程2で、(A)成分の代わりに(C)成分及び(D)成分を用いたこと以外は同様に操作を行なった。
しかし、得られた組成物は、各成分が充分に混練できておらず、各成分の大部分が分離した状態であった。
【0043】
<比較例3>
実施例1において、工程1で、(B)〜(D)成分の変わりに(A)成分と(C)成分を用いたこと以外は同様に操作を行ない、工程2で、(A)成分の代わりに(B)成分及び(D)成分を用いたこと以外は同様に操作を行なった。
しかし、得られた組成物は、各成分が充分に混練できておらず、各成分の大部分が分離した状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の製造方法により得られるエラストマー組成物は、圧縮永久歪が低減されており、かつ破断強度等の機械的強度が高いなどの特性を有するため、高温での繰り返し耐久性にも優れている。そのため、幅広い用途、例えばシール材、ガスケット材、防振材、衝撃吸収材、カバー材(例えばインクジェットプリンター用インクのカバー剤)、緩衝材、音響用部材(例えばスピーカーエッジ)、液体流路又は気体流路(例えば冷媒輸送用チューブ、ガス輸送用チューブ、化学薬品用チューブ、医療用チューブ、飲料輸送用チューブ)などの用途に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性エラストマー、(B)活性エネルギー線硬化型液状オリゴマー及び(C)非芳香族系軟化剤を含有してなるエラストマー組成物の製造方法であって、下記工程1及び2を有することを特徴とするエラストマー組成物の製造方法。
工程1:前記(B)成分と前記(C)成分とを混合する工程
工程2:工程1で得られた混合物へ前記(A)成分を添加して溶融混練する工程
【請求項2】
工程1において、(B)成分と(C)成分とを5〜40℃で混合する、請求項1に記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項3】
工程2において、前記混合物へ(A)成分を添加した後の溶融混練温度が130〜270℃である、請求項1又は2に記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項4】
工程1において、(B)成分と(C)成分とを(D)光重合開始剤と共に混合する、請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項5】
工程2において、さらに(E)ポリプロピレンを添加してから溶融混練する、請求項1〜4のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項6】
前記(A)成分が、ビニル芳香族化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物単位を含有する重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項7】
前記(A)成分の重量平均分子量が30万〜70万である、請求項1〜6のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項8】
前記(B)成分が、(メタ)アクリロイル基を有する水添芳香族ビニル−共役ジエン共重合体である、請求項1〜7のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項9】
前記(B)成分の重量平均分子量が5,000〜40,000である、請求項1〜8のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項10】
さらに下記工程3を有する、請求項1〜9のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
工程3:工程2で得られたエラストマー組成物を射出成形する工程
【請求項11】
さらに下記工程4を有する、請求項1〜10のいずれかに記載のエラストマー組成物の製造方法。
工程4:工程2又は3で得られたエラストマー組成物に活性エネルギー線を照射する工程

【公開番号】特開2012−246402(P2012−246402A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119742(P2011−119742)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】