説明

エリスロポイエチンを含む安定な薬剤組成物

本発明はPVPで安定化されたエリスロポイエチン(EPO)の新規な安定した薬剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエリスロポイエチン(EPO)を含む新規な安定した薬剤組成物に関係する。
【0002】
EPOは哺乳動物における赤血球の形成を調節する糖タンパク質ホルモンである。EPOは、骨髄における赤血球系前駆細胞に対する増殖及び/又は分化因子として作用し、これらの前駆細胞の増殖及び赤血球への分化をもたらす。
【背景技術】
【0003】
天然に生じるヒトEPOは、腎臓で産生され、赤血球生成を刺激する体液性血漿因子である。EPOは、骨髄における関連赤血球系前駆体の分裂及び分化を刺激する(Goldwasseretら、J.Biol.Chem.、249、4202−4211、1974年、Sherwoodら、Endocrinology、103、866−870、1978年)。EPOは成体の腎臓(Sherwoodら、Endocrinology、103、866−870、1978年)及び胎児の肝臓(Zanjaniら、J.Lab.Clin.Med.、89、640−644、1977年)において産生される。
【0004】
生体へのEPOの薬剤組成物の投与は赤血球の生成を刺激及び/又は促進する。EPOの薬剤組成物は、慢性腎不全、癌における化学療法による治療に続発性の貧血、及びヒト免疫不全性ウイルス感染症のジドブジン治療と連合した貧血の治療、ならびに他の種類の貧血の治療に使用される(Dannaら、臨床用途におけるエリスロポイエチン−国際的展望(Erythropoietin in Clinical Applications−An International Perspective)、New York、NY:Marcel Dekker;301−324、1990年;Eschbach in sod.、N.England J.of Med.、316、2、73−78、1987年;Krane、Henry Ford Hosp.Med.J.、31、3、177−181、1983年)。
【0005】
哺乳動物細胞におけるヒトEPO遺伝子の発現の生成物である組換えEPOがEPOの薬剤組成物において使用されている(EP第148605号、EP第205564号、EP第255231号)。また、幾つかのEPO類似体及び誘導体も当技術分野において開示されている:EP第640619号、EP第668351号、WO第9412650号、EP第1064951号、WO第0232957号、WO第9533057号、US第5916773号、WO第09902710号、US第5580853号、US第5747446号、US第5919758号及びUS第6107272号。
【0006】
ヒト血清アルブミンを含むEPOの薬剤組成物が:EP第178665号、EP第178576号、US第5661125号、WO第0061169号に開示されている。ヒト血清アルブミンはアレルギー反応を引き起こす可能性がある(Stafford CTら、Ann Allergy、61(2)、85−88、1988年)。その上、薬剤組成物がヒト血液製剤を含んでいるときにはウイルスに感染する危険性が存在する。従って、安定しており、アルブミンなどのヒト血液製剤を含まないEPOの薬剤調合物が必要とされている。
【0007】
EP第306824号、EP第607156号、EP第528313号及びEP第528314号は、EPO安定剤として尿素を用いる薬剤組成物を開示している。
【0008】
EP第306824号、EP第178665号、GB第2171304号、EP第528314号、EP第528313号及びEP第1002547号はEPOの凍結乾燥調合物を開示している。
【0009】
US第5376632号は、アルファ及びベータシクロデキストリンを使用した薬剤調合物を開示している。
【0010】
EP第607156号、EP第178665号におけるEP第528313号は、ベンジルアルコール、パラベン、フェノール及びこれらの混合物などの抗菌保存剤を含むEPOの水性薬剤組成物を開示している。
【0011】
EP第909564号、EP第528314号、EP第430200号及びWO第0061169号は、安定剤としてアミノ酸及び/又はアミノ酸と非イオン性界面活性剤の組合せの使用を開示している。
【0012】
WO第0187329号は、ポリエチレングリコール化(ペグ化)されたEPO類似体の種々の異なる薬剤組成物を開示している。ここで開示されている薬剤組成物は、本質的に硫酸塩緩衝剤の使用に基づくものである。
【0013】
RU第2128517号、WO第0061169号、EP第528313号、EP第607156号、EP第528314号、EP第178665号:において開示されているEPOの薬剤組成物はクエン酸塩緩衝剤中において調製される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、EPOを有益に安定化させることができる、EPOを含む薬剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、特許請求項1に記載の、EPOを含む新規な安定した薬剤組成物を提供する。好適な実施態様は従属請求項で説明されている。また、本発明は請求項17に記載の使用、請求項18に記載の方法、及び請求項20に記載の使用も提供する。
【発明の効果】
【0016】
本薬剤組成物は、医薬適合性のpH緩衝系、及び安定剤として作用するポビドン(ポリビニルピロリドン;PVP)と共に調合される。EPOの安定化は、本発明の組成物が好適にはヒトまたは動物起源に由来するEPO以外の添加剤(例えば血清タンパク質)を含まない状態でありながら達成される。本薬剤組成物は、等張化剤及び/又は1つ以上の医薬適合性の賦形剤を場合によって更に含む。本発明の薬剤組成物はヒト及び獣医学において使用するのに適しており、適切な投与形態において、特に非経口的適用、例えば筋肉内、皮下及び/又は静脈内適用に対して医薬適合性である。一つの特に好適な実施態様では、本発明の薬剤組成物は液体の形態、より好適には水溶液の形態を為している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
驚くべきことに、PVPを含み、好適にはEPO以外にはヒト及び/又は動物起源に由来する添加剤を含まない薬剤組成物は、EPOを有益に安定化させることが判明した。
【0018】
本発明は:
a.治療的に有効量のEPO、
b.医薬適合性のpH緩衝系、及び
c.PVP
を含む、EPOの薬剤組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、成分a−cに加え:
d.等張化剤及び/又は
e.1つ以上の他の医薬適合性の賦形剤
を場合によって更に含む、EPOの薬剤組成物も提供する。
【0020】
本発明の組成物は、好適にはヒトまたは動物起源に由来する添加剤を含んでいない。
【0021】
「エリスロポイエチン(EPO)」という用語は、骨髄細胞に網状赤血球及び赤血球の生成を高めさせるインビボにおける生物学的活性を有するタンパク質を表し、ヒトEPO及び誘導体ならびに類似体からなる群から選択され、これらについては以下で定義される。
【0022】
「治療的に有効量のEPO」という用語は、EPOの治療的な効果を可能にする量のEPOを表す。
【0023】
「安定剤」という用語は、EPOに対する安定化効果を有する医薬適合性の賦形剤を表す。
【0024】
「EPO安定性」という用語は、EPO含量の維持及びEPOの生物学的活性の維持を表す。EPO安定性はとりわけ以下のプロセスにより影響を受け得る:容器壁へのEPOの吸着、EPOの変性または分解、及び例えばEPOダイマー及び/又はEPOマルチマー及び/又はもっと高い分子量を有する同様な分子などの凝集体形成。これらのプロセスは、サンプルが例えば比較的高い温度、不適切な容器、誤ったEPO安定剤の使用、日光、不適切な保管方法及び/又は不適切な単離手順などの種々の異なる条件に晒されることにより起こる。
【0025】
「ヒト及び/又は動物起源に由来する添加剤を含まない」という用語は、ヒト及び/又は動物に由来し、EPOとは異なるHSAまたはBSAのような血清アルブミンなどの添加剤が本組成物に意図的に加えられていない状態、または、EPO調製物中に元々存在している場合には、前述の添加剤が、EPOの精製及び/又は単離中に、不可避的な痕跡量のレベルにまで、好適には標準的な分析方法によって典型的には検出できないレベルにまで分離または低減されている状態を表す。
【0026】
驚くべきことに、本発明の組成におけるEPOの調合は、冷蔵庫内の温度(例えば2から8℃)以上の温度、特に室温(即ち、25℃以下)、更には比較的高い温度(例えば40℃)においてさえ、安定性を改善することが判明した。これは、本組成物が、有意な量の活性を失うことなく、及び有意な分解を伴うことなく、冷却せずに長期間(室温で10週間以上)保管できることを意味している。
【0027】
本発明の薬剤組成物においては、pH緩衝系のほかに、及び場合によっては等張化剤及び/又は更なる医薬適合性の賦形剤のほかに、効果的なEPO安定剤としてPVPのみを使用することができ、EPOを安定化させるために更なる安定剤は何ら必要でない。従って、PVPは、先行技術において説明されているEPOの薬剤組成物におけるEPO安定性を維持するために使用することが知られている種々の安定剤の組合せに取って代わることができる。2つ以上の安定剤の代わりに1つの効果的な安定剤のみを含む薬剤組成物の調製は経済的な観点において一層優れている。この調製は、上述の先行技術よりも容易に果たすことができ、費用を抑えられ、調製に掛かる時間が短く、患者が生体内に受容する添加物の量も少なくて済む。従って、本発明の薬剤組成物は、この様式に限定されるものではないが、好適には前述の構成成分a.−c.のみ、または場合によってa.−d.、a.−c.プラスe.、もしくはa.−e.からなっていてよい。
【0028】
先行技術から既知の幾つかの薬剤組成物においては、Polysorbate80のような非イオン性界面活性剤がEPOの安定剤として使用される。PVPの使用は、EPOダイマー、EPOマルチマー、及びEPO分子の凝集から生じるもっと高い分子量を有する関連物質を測定するための分析法としてゲル濾過法を用いることができるため、ポリソルベートを用いる場合よりも有利である。ポリソルベートは、EPOダイマーが溶出するのと同じ時間で溶出される。それ故、ポリソルベートを含む薬剤組成物の場合には、EPOダイマーに対する検出法としてゲル濾過法を使用することができない。従って、PVPの使用は、EPO安定性をもたらす一層簡単な様式、高められた安全性、及びEPOの薬剤組成物の品質の一層簡単な制御に寄与する。
【0029】
本発明の薬剤組成物は好適には液体、特に水性の薬剤組成物である。このような液体組成物は、EPOの生物学的活性の低下を招く可能性があり、更には消失させることさえあり得る再構成、希釈または付加的な調製ステップを伴うことなく、皮下、静脈内または筋肉内適用などの非経口的な適用で直接的に使用することができ、また、適用時に生じる付加的な技術的問題を回避することにも寄与できる。従って、液体薬剤組成物の使用は、凍結乾燥調合物を使用する場合よりも実用的である。EPOの液体、特に水性調合物は、凍結乾燥組成物の再構成プロセスが時間の掛かるプロセスであり、このタンパク質調合物を不適切に取り扱う危険性をもたらし、または不適切に再構成される可能性があり、更にこの薬剤の充分な活性を保持するために通常は安定剤などの特定の添加剤を必要とするため、EPOの臨床的調合物を調製する上で、凍結乾燥調合物よりも一般的に好適である。
【0030】
本発明の薬剤組成物は、最も好適には、血液スクリーニングにもかかわらず伝染性物質での感染の危険性をもたらすヒト血清タンパク質のようなヒトまたは動物起源に由来する添加剤を含んでいない。更に、組換えEPOは一般的に良好に耐性であるが、時折、このEPO調合物のある成分に対するアレルギー性過敏症を示唆する皮膚発疹及び蕁麻疹が観測されており、この成分はヒト血清アルブミンである可能性が高い。
【0031】
本発明の薬剤組成物は好ましくは等張液中において調製することができ、薬学的に許容可能であり、アレルギー性過敏症のような副作用をもたらさないことが期待される。
【0032】
本発明の薬剤組成物は、EPOの生物学的活性にかかわりなく、更には合成または製造方法にかかわりなく、EPOアルファ、EPOベータ、EPOオメガ、及び種々のイソ型プロフィールを有する他のEPO調製物を含むあらゆる形態のEPOに対して、ならびに特定のEPOイソ型、EPOムテイン、EPOフラグメント、EPOダイマーなどのEPO類似体、NESP(組換えヒトEPOの超グリコシル化類似体)、遺伝子活性化EPO、ペグ化EPO、EPOとのハイブリッド分子、EPOフラグメント、EPOとの融合タンパク質(オリゴマー及びマルチマー)、及び修飾されたグリコシル化プロフィールを有するEPOに対して使用することができ、上述の合成または製造方法は、これらに限定するものではないが、天然に生じたEPO及び(cDNAまたはゲノムDNAのどちらから生成されたかにかかわりなく)組換えEPOの単離、合成による方法、トランスジェニック法及び遺伝子活性化による方法を含むことができる。
【0033】
本発明の薬剤組成物は、1回の用量当たり500単位から100000単位まで、またはそれ以上のEPO(1IUは約10ナノグラムの組換えEPOに相当する)を含んでいてよく、好適には1回の用量当たり1000IUから40000IUまでのEPOを含んでいてよい。一般的に、有効量は、特にEPOが皮下的に与えられる場合には、1IU/kg体重から500IU/kg体重まで、より好適には50IU/kg体重から300IU/kg体重までであろうと推測される。有効量は、更に、治療される被検者の種及びサイズ、治療される個々の状態または疾患及びそれの重症度、ならびに投与経路に依存する。好適な実施態様では約1000IU、約2000IU、約3000IU、約4000IU、約10000IU、約20000IU、約25000IU及び約40000IUからなる群から選択される1回の用量当たりの量をもたらすべく、薬学的な量が調合される。
【0034】
本発明の薬剤組成物はアンプル、注射器及びバイアルに充填することができる。これらは、1回の用量当たり0.2mlから20mlまでの適切な範囲における容量での適用を可能にする。
【0035】
これらの溶液に対する好適なpH範囲は約6から約8までであり、約6.8から約7.5までの範囲がより好適であり、約7.0のpHが最も好適である。リン酸塩緩衝系、特にNaHPO×2HO/NaHPO×2HOなどのリン酸一水素ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムの使用が好適である。約6から約8までの望ましいpH範囲を維持するのに適した他の緩衝系は、これらに限定するものではないが、クエン酸ナトリウム/クエン酸、酢酸ナトリウム/酢酸、及び当技術分野において既知の他のあらゆる医薬適合性のpH緩衝剤を含む。クエン酸塩緩衝剤は注入部位に痛みをもたらす可能性がある。従って、非経口的な適用ではリン酸塩緩衝剤の方が好適である。
【0036】
緩衝系、特にリン酸塩緩衝剤の濃度は本調合物の望ましいpHに依存する。好適な濃度は10mMから50mMまで、より好適には15mMから35mMまで、最も好適には15mMから25mMまでの範囲である。pH調節剤、例えば、これらに限定するものではないが、HCl、NaOH、クエン酸またはクエン酸ナトリウムなどが加えられてよい。
【0037】
本発明の薬剤組成物はEPO安定剤としてPVPを含む。本発明の意味において、PVPは、ポビドンまたはポリビニルピロリドンとしても知られている通常の形態のポリ[1−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチレン]で代表される。低分子量PVP、特にPVP K12からK18までの使用が好適であり、PVP K12の使用が最も好適である。本発明の組成物におけるPVPの含量はEPOに対する安定化効果をもたらす量でなければならず、適切には少なくとも0.001%(w/v)の量である。PVPの濃度は好適には約0.01%から約5.0%まで、より好適には0.1%から1.0%までの範囲であり、最も好適には約0.5%(w/v)である。
【0038】
本発明の薬剤組成物は、本発明の調合物をヒト血液と等浸透圧に為すことができる物質を場合によって更に含む。典型的な適切な等張化剤は当技術分野において広く知られており、これらに限定するものではないが、NaCl、CaClなどの無機塩、マンニトール、グリシン、グルコース及びソルビトールからなる群から選択される物質を含む。本発明の調合物における等張化剤としてNaClを使用することが好適である。
【0039】
上述のように、単独の効果的な安定剤としてPVPを伴う調合物が好適であるが、本発明の薬剤組成物は、望ましい場合には、前述の成分a.、b.及び場合によってd.ならびにe.のほかに、1つより多くのタイプの安定剤を場合によって含んでよい。この付加的な安定剤は、好適には、ソルビタン誘導体/例えばPolysorbate20、Polysorbate80などのポリソルベート、及びPluronic68などのポロキサマーなどの界面活性剤を含む群から選択される。これらの中でもとりわけPluronic F68が特に好適であり、適切には約1%または1%未満の濃度、より好適には0.05%から0.2%までの濃度で使用される。
【0040】
本発明の薬剤組成物は、1つ以上の医薬適合性の賦形剤を場合によって更に含んでよい。医薬適合性の適切な賦形剤は、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコールの群から選択されるポリオール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、マクロゴールエステル及びエーテル、グリコール及びグリセロールエステル、グリシン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−グルタミン酸、L−2−フェニルアラニン、L−トレオニンなどのアミノ酸を含む。
【0041】
本発明の組成物はEPOに関連する疾患の治療用及び/又は予防用薬剤を調製するために使用することができる。医学的な用途の例は、赤血球増殖(RBC)の刺激が望まれる場合や、内因性ホルモン欠損が存在する場合、失血している場合、または患者が貧血の徴候を有している場合、もしくは患者が内因性ホルモンに対する骨髄の低応答性を有している場合などにおける様々な療法を含む。これらの医学的な適応は、例えば悪性疾患(即ち、あらゆるタイプの固形癌、または白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫を含む血液性癌)の貧血、悪性疾患の化学療法/放射線療法による治療に由来する貧血、例えばリウマチ様関節炎及び肝炎などの自己免疫疾患を含む慢性疾患の貧血、AIDS患者、特にAZTによる治療を受けているAIDS患者における貧血、早産の貧血、(慢性)腎不全との関連性を有する貧血、サラセミアの貧血、自己免疫性溶血性貧血、無形成性貧血、及び(例えば、実質的な失血を阻止すべくヘモグロビンレベルを刺激及び増加するために行われる、または骨髄移植を受ける被験者の赤血球生成を増大させるために行われる自己輸血用の術前供血を改善するための)手術との関連性を有する貧血、疲労、疼痛、慢性心不全、律動異常または痴呆の治療、非血管及び非心臓手術における同種異系輸血の必要性を低減するための術前使用、ならびにEPOに関連する他の適応症である。
【0042】
以下の実施例により本発明を例証するが、本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
【実施例】
【0043】
分析方法
以下の分析法を用いて本発明の薬剤組成物を分析した:免疫学的検出を伴うSDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、EPO−ELISA、及びマウスでのインビボ生物学的活性アッセイ。
【0044】
免疫学的検出を伴うSDS−PAGE:還元剤を含まないローディング緩衝液中においてローディングサンプルを調製した。垂直式SDS−PAGEを用いた:ゲルNuPAGE Bis−Tris12%、8×8cm、厚み1.0mm、MOPS SDS電気泳動用緩衝液(Invitrogen)中における15レーン(Invitrogen)。電気泳動は、200Vの一定電圧で1時間実行した。ゲルからニトロセルロース膜へのエレクトロトランスファー後、免疫学的検出を2段階で実施した。最初のステップでは一次抗体(抗−huEPO、マウス、モノクローナル)を使用した。第二ステップでは、西洋ワサビペルオキシダーゼに接合された二次抗体(抗−マウスIgG、ウサギ、ポリクローナル)を用いた。ペルオキシダーゼ基質の付加は酵素反応を惹起し、青色に着色された複合体を形成する。
【0045】
EPO−ELISA:システムEPO−ELISA Quantikine IVD(R&D Systems)は二重抗体サンドイッチ法に基づいている。EPOに特異的なモノクローナル(マウス)抗体で予め被覆されたマイクロプレートウェルを試料または標準と共にインキュベートする。EPOはプレート上の固定化抗体に結合する。試料または標準の除去後、ウェルを西洋ワサビペルオキシダーゼに接合された抗−EPOポリクローナル(ウサギ)抗体と共にインキュベートする。この二回目のインキュベーション中に、抗体−酵素接合体が上述の固定化されたEPOに結合する。色原体がウェルに加えられ、酵素反応により酸化されて青色に着色した複合体を形成する。この発生した色の量は、EPO抗体複合体に結合された接合体の量に直接的に比例し、これは、更に、試料または標準中のEPOの量に直接的に比例する。
【0046】
SEC:SECを用いて、2000IU/mlから10000IU/mlまでのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプル中におけるEPOダイマー及びもっと高い分子量を有する関連物質の割合を測定した。ヨーロッパ薬局方のプロトコルによる限界アッセイを用いた(European Pharmacopoeia 2002年、第4版、エリスロポイエチン濃縮溶液(Erythropoietin concentrated solution))。
【0047】
インビボ生物学的活性:
低酸素症マウスでの生物学的活性をインビボ測定するためのEur.Phに記載されているプロトコルを用いた。生物学的活性の推定もEur.Phからのプロトコルの下で実施した(ヨーロッパ薬局方−1997年;生物学的なアッセイ及び試験の結果の統計解析;平行線モデル(Statistical Analysis of Results of Biological Assays and Tests;The parallel−line model))。Eur.Phの要求の下では、生物学的活性の推定値はマークされた活性の80%から120%までの間の範囲に入っていなければならない。本方法の目的は、注入されたEPOの含量(値)(10000IU/ml)に関して80%から120%までの間の範囲に到達することであり、得られた結果は生物学的活性の推定値であって精確な値ではない。信頼限界はマークされた活性の64%から156%までの間の範囲に入っていなければならない。
【0048】
EPOの薬剤組成物の安定性を試験する条件
HL−対照標準:2℃から8℃、冷蔵庫
40:40℃±2℃、相対湿度75%±5%、気候室
25:25℃±2℃、相対湿度60%±5%、気候室
(実施例1)
安定性試験
調合物FP1からFP8までの以下の組成物を調製した:
FP1:Polysorbate80(0.03%(重量/容量(w/v))、グリシン(0.5%(w/v))、リン酸塩緩衝剤20(mmol/l)、NaCl(100mmol/l)
FP2:グリシン(0.5%(w/v))、グリセロール(1.4%(w/v))、リン酸塩緩衝剤(32mmol/l)
FP3:グリシン(0.5%(w/v))、Pluronic F68(0.1%(w/v))、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)、NaCl(90.6mmol/l)
FP4:ソルビトール(4.5%(w/v))、Pluronic F68(0.1%(w/v))、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)
FP5:デキストラン70(1%(w/v))、NaCl(123mmol/l)、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)
FP6:グリセロール(2%(w/v))、Pluronic F68(0.1%(w/v))、NaCl(17.1mmol/l)、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)
FP7:グリセロール(2%(w/v))、PVP K12(0.5%(w/v))、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)
FP8:PVP K12(0.5%(w/v))、NaCl(123mmol/l)、リン酸塩緩衝剤(20mmol/l)。
【0049】
これらの調合物におけるEPOの含量は、以下で説明されているように、2000IU/mlまたは10000IU/mlに設定される。
【0050】
それぞれ10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプルを40℃(±2℃)で1ヶ月間保管した(40)。40℃(±2℃)で1ヶ月間保管されたリン酸塩緩衝剤中のEPOバルクをEPOダイマーの含量を測定するための陽性対照(PK)として採用した。これらのサンプルをSDS−PAGEに掛けた;各レーンに0.4μgがローディングされた。図1はこれらの結果を示している。
【0051】
図1の説明:
レーン:サンプル
1:空のレーン
2:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード
3:空のレーン
4:EPO−BRP(ヨーロッパ薬局方のEPO標準)
5:FP1 40
6:FP2 40
7:FP3 40
8:FP4 40
9:FP5 40
10:FP6 40
11:FP7 40
12:FP8 40
13:PK
14:空のレーン
15:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード。
【0052】
図2は、1ヶ月間冷蔵庫内で保管した場合(HL)と40℃(±2℃)で保管した場合(40)における、それぞれ10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP4までのサンプルのSDS−PAGEを示している。40℃(±2℃)で1ヶ月間保管されたリン酸塩緩衝剤中のEPOバルクをEPOダイマーの含量を測定するための陽性対照(PK)として採用した。各レーンに0.4μgがローディングされた。
【0053】
図2の説明:
レーン:サンプル
1:空のレーン
2:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード
3:空のレーン
4:EPO−BRP(ヨーロッパ薬局方のEPO標準)
5:FP1 HL
6:FP2 HL
7:FP3 HL
8:FP4 HL
9:FP1 40
10:FP2 40
11:FP3 40
12:FP4 40
13:PK
14:空のレーン
15:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード。
【0054】
図3は、1ヶ月間冷蔵庫内で保管した場合(HL)と40℃(±2℃)で保管した場合(40)における、それぞれ10000IU/mlのEPO含量を有するFP5からFP8までのサンプルのSDS−PAGEを示している。40℃(±2℃)で1ヶ月間保管されたリン酸塩緩衝剤中のEPOバルクをEPOダイマーの含量を決定するための陽性対照(PK)として採用した。各レーンに0.4μgがローディングされた。
【0055】
図3の説明:
レーン:サンプル
1:空のレーン
2:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード
3:空のレーン
4:EPO−BRP(ヨーロッパ薬局方のEPO標準)
5:FP5 HL
6:FP6 HL
7:FP7 HL
8:FP8 HL
9:FP5 40
10:FP6 40
11:FP7 40
12:FP8 40
13:PK
14:空のレーン
15:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード。
【0056】
図4は、10週間冷蔵庫内で保管(HL)された、それぞれ10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプルのSDS−PAGEを示している。40℃(±2℃)で1ヶ月間保管されたリン酸塩緩衝剤中のEPOバルクをEPOダイマーの含量を測定するための陽性対照(PK)として採用した。各レーンに0.4μgがローディングされた。
【0057】
図4の説明:
レーン:サンプル
1:空のレーン
2:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード
3:空のレーン
4:EPO−BRP(ヨーロッパ薬局方のEPO標準)
5:FP1 HL
6:FP2 HL
7:FP3 HL
8:FP4 HL
9:FP5 HL
10:FP6 HL
11:FP7 HL
12:FP8 HL
13:PK
14:空のレーン
15:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード。
【0058】
図5は、10週間25℃(±2℃)で保管(25)された、それぞれ10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプルのSDS−PAGEを示している。40℃(±2℃)で1ヶ月間保管されたリン酸塩緩衝剤中のEPOバルクをEPOダイマーの含量を測定するための陽性対照(PK)として採用した。各レーンに0.4μgがローディングされた。
【0059】
図5の説明:
レーン:サンプル
1:空のレーン
2:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード
3:空のレーン
4:EPO−BRP(ヨーロッパ薬局方のEPO標準)
5:FP1 25
6:FP2 25
7:FP3 25
8:FP4 25
9:FP5 25
10:FP6 25
11:FP7 25
12:FP8 25
13:PK
14:空のレーン
15:予め染色されたSDS−PAGE MW標準、低レンジ、Bio−Rad、4μlロード。
【0060】
図6は、1ヶ月間冷蔵庫内で保管(HL)されたFP1からFP8までのサンプルに対する、1ヶ月間40℃(±2℃)で保管(40)された、それぞれEPO 10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプルのEPO−ELISAの相対的な応答(%単位)を示している。
【0061】
図7は、10週間冷蔵庫内で保管(HL)されたFP1からFP8までのサンプルに対する、10週間25℃(±2℃)で保管(25)された、それぞれEPO 10000IU/mlのEPO含量を有するFP1からFP8までのサンプルのEPO−ELISAの相対的な応答(%単位)を示している。
【0062】
安定性試験の結果:
免疫学的検出を伴うSDS−PAGEは、本発明の薬剤組成物(FP7及びFP8)の場合、室温において、例えばEPOダイマー及びもっと高い分子量を有する関連物質などのEPO凝集体が生じないことを示している(図1−5)。高められた温度の場合には、凝集体が少量存在する。高められた温度(40℃で一ヶ月間)における本発明の薬剤組成物のEPO安定性と、ポリソルベートとアミノ酸グリシンの組合せを用いた薬剤組成物FP1との比較(図1、2、3)は、FP1でEPOダイマーが形成されることを示している。EPOダイマーの形成は、EPOの安定性にとって一つの決定的なファクターである。また、例えばEPOダイマー及びもっと高い分子量が測定される関連物質などのEPO凝集体は、適用後の望ましくない副作用及びこの薬剤組成物で治療された患者の不快感の原因となる可能性もある。更に、これらの凝集体が生体の免疫応答を引き起こし、EPOを用いる治療を中止しなければならなくなる可能性もある。
【0063】
効果的な安定剤としてPVPのみを含む本発明の薬剤組成物(FP8)は、別な具合に調製された薬剤組成物(FP1−FP7)との高められた温度(40℃、1ヶ月間;図6)での比較において、FP8のバイアルへのEPOの吸着が、他の調合物と比較したときに、それ以下または同等であることを示す。室温の場合には、これらの吸着は同様であり、またはもっと良好である(図7)。バイアルへの吸着の増加はEPOの安定性を低減させ、全体的な生物学的活性が低下することとなる。
【0064】
先行技術において説明されている調合物では、EPOの安定剤としてアミノ酸が使用されてきた。しかし、アミノ酸は必ずしもEPOに安定化効果をもたらさない。図6及び7において、グリシンを含む薬剤組成物FP2及びFP3の高められた温度(40℃で1ヶ月間)における安定性は、グリシンを含んでいない薬剤組成物FP4、FP5、FP6及びFP8の安定性よりも低く、グリシンを含むFP1よりも低いことが分かる。種々の安定剤の正しい組合せを用いれば高いEPO安定性を得ることができるが、これらの適切な組成は予測することができない。本発明の薬剤組成物の場合には、驚くべきことに、PVPがEPOを安定化させることが判明した。
【0065】
SECにより測定されたEPOダイマー及びもっと高い分子量を有する関連物質の割合を、これらのサンプルの希釈された溶液と(2%の濃度において)比較した。これらの限界アッセイの結果が以下の表1に提示されている:
【0066】
【表1】

【0067】
インビボ生物学的活性を、25℃で10週間保管された、または4ヶ月間冷蔵庫内で保管された、10000IU/mlのEPO含量を有するサンプルF8で測定した。
【0068】
得られた結果が以下の表2に提示されている:
【0069】
【表2】

【0070】
これらの結果は、生物学的活性の推定値が要求された範囲内にあり、Eur.Phの要件を満たしていることを示す。信頼限界も要求された範囲内にある。
【0071】
(実施例2及び3)
EPOの薬剤組成物の組成
本発明の実施例2及び3(において提示されている薬剤組成物)の組成が、それぞれ表3及び4に示されている。
【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
物質の品質:
EPO:ヨーロッパ薬局方による要求通りの品質(Ph Eur.品質)、ポビドン K12(ポリ[1−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチレン]、ポリビドンまたはポリビニルピロリドン、PVP)Ph Eur品質、米国薬局方にも対応する(USP品質)、BASF、Ludwigshafen、Germanyから購入、
NaCl、NaHPO×2HO、NaHPO×2HO、NaOH、注射用水:Ph.Eur.品質。
【0075】
EPOを含む薬剤組成物の調製
PVP K12を含むプラシーボ溶液の調製:緩衝剤(NaHPO×2HO、NaHPO×2HO)、NaCl及び安定剤PVP K12を、磁気攪拌機で混合することにより、室温で注射用水に溶解した。この後、1MのNaOHでpHを7.0−7.1に調節した。透明で無色な溶液が得られた。
【0076】
EPO溶液の調製:EPO溶液の計算された容量(計算は、EPO活性に関して行われた)を上述のプラシーボ溶液に加えた。このステップの直前に、同じ容量のプラシーボ溶液を採取した。磁気攪拌機を低回転数で用いることにより、この溶液を攪拌した。透明で無色の溶液が得られた。
【0077】
この後、両濃度でEPOを含む薬剤組成物の溶液を、細孔径が0.2μmのPVDF(ポリビニリデンフルオリド)膜を用いる膜濾過により、無菌的(クラス100の清浄化レベル)に無菌濾過した。0.8mlの濾液を、洗浄及び滅菌された2ml用バイアル(無色の管状ガラス製加水分解タイプIからのバイアル)に充填した後、ブロムブチルゴムでできた弾性栓で蓋をし、アルミニウム製キャップで密封した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】40℃(±2℃)で1ヶ月間保管した後のEPOを含む本発明及び対照標準サンプルのSDS−PAGE分析を示している。
【図2】40℃(±2℃)で1ヶ月間保管した場合との比較における、冷蔵庫内で1ヶ月間保管したときのEPOを含む対照標準サンプルのSDS−PAGE分析を示している。
【図3】40℃(±2℃)で1ヶ月間保管した場合との比較における、冷蔵庫内で1ヶ月間保管したときのEPOを含む本発明及び対照標準サンプルのSDS−PAGE分析を示している。
【図4】冷蔵庫内で10週間保管したときのEPOを含む本発明及び対照標準サンプルのSDS−PAGE分析を示している。
【図5】25℃(±2℃)で10週間保管したときのEPOを含む本発明及び対照標準サンプルのSDS−PAGE分析を示している。
【図6】冷蔵庫内で1ヶ月間保管したとき(HL)の個々のサンプルに対する、40℃(±2℃)で1ヶ月間保管したとき(40)の本発明及び対照標準サンプルの相対的応答EPO−ELISA(%単位)を示している。
【図7】冷蔵庫内で10週間保管したとき(HL)の個々のサンプルに対する、25℃(±2℃)で10週間保管したとき(25)のEPOを含む本発明及び対照標準サンプルの相対的応答EPO−ELISA(%単位)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.治療的に有効量のEPO
b.医薬適合性のpH緩衝系、及び
c.ポリビニルピロリドン(PVP)
を含む、エリスロポイエチン(EPO)の安定な薬剤組成物。
【請求項2】
ヒト及び/又は動物起源に由来する添加剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
d.等張化剤及び/又は
e.1つ以上の医薬適合性の賦形剤
を場合によって更に含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
当該組成物が水性である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
EPOの薬学的量が、1回の用量当たり約500IU EPOから約100000IU EPOまでの範囲の量を与えるよう調合された、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
上記薬学的量が、1回の用量当たり約1000IU、約2000IU、約3000IU、約4000IU、約10000IU、約20000IU、約25000IU及び約40000IUからなる群から選択される量を与えるよう調合された、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
上記pH緩衝系が約6から約8までのpH範囲を与える、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
上記pH緩衝系が約6.8から約7.5までのpH範囲を与える、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
上記pH緩衝系が約7.0のpHを与える、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
上記pH緩衝系がリン酸塩緩衝剤である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
PVPが約0.01%から約1%までの範囲で含まれる、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
PVPが約0.1%から約1%までの範囲で含まれる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
PVPの濃度が約0.5%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
上記PVPがK12からK18までの範囲のK値を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
上記等張化剤が無機塩からなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
上記等張化剤がNaClである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
水溶液中においてエリスロポイエチン(EPO)を安定化させるためのPVPの使用。
【請求項18】
EPOをPVPと混合するステップを含む、エリスロポイエチン(EPO)を含有する組成物の調製方法。
【請求項19】
請求項1から16までのいずれかの組成物が調製される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
エリスロポイエチン(EPO)に関連する疾患の治療用及び/又は予防用薬剤を調製するための、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.治療的に有効量のEPO
b.医薬適合性のpH緩衝系、及び
c.ポリビニルピロリドン(PVP)
ならびに、場合によって
・付加的な安定剤としてのポロキサマー
d.等張化剤及び/又は
e.ポリオール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、マクロゴールエステル及びエーテル、グリコール及びグリセロールエステル、ならびにアミノ酸からなる群から選択される1つ以上の医薬適合性の賦形剤
からなる、エリスロポイエチン(EPO)の安定な薬剤組成物。
【請求項2】
ヒト及び/又は動物起源に由来する添加剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
当該組成物が水性である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
EPOの薬学的量が、1回の用量当たり約500IU EPOから約100000IU EPOまでの範囲の量を与えるよう調合された、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
上記薬学的量が、1回の用量当たり約1000IU、約2000IU、約3000IU、約4000IU、約10000IU、約20000IU、約25000IU及び約40000IUからなる群から選択される量を与えるよう調合された、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
上記pH緩衝系が約6から約8までのpH範囲を与える、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
上記pH緩衝系が約6.8から約7.5までのpH範囲を与える、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
上記pH緩衝系が約7.0のpHを与える、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
上記pH緩衝系がリン酸塩緩衝剤である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
PVPが約0.01%から約1%までの範囲で含まれる、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
PVPが約0.1%から約1%までの範囲で含まれる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
PVPの濃度が約0.5%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
上記PVPがK12からK18までの範囲のK値を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
上記等張化剤が無機塩からなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
上記等張化剤がNaClである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
水溶液中においてエリスロポイエチン(EPO)を安定化させるための唯一の安定剤としてのPVPの使用。
【請求項17】
EPOをPVPと混合するステップを含み、請求項1から16までのいずれかに記載の組成物が調製される、エリスロポイエチン(EPO)を含有する組成物の調製方法。
【請求項18】
エリスロポイエチン(EPO)に関連する疾患の治療用及び/又は予防用薬剤を調製するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−501193(P2006−501193A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520930(P2004−520930)
【出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【国際出願番号】PCT/IB2002/004690
【国際公開番号】WO2004/006948
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】