説明

エリスロポエチン受容体の阻害を利用した癌治療剤

【課題】癌治療剤、抗癌剤の効果増強剤及びHCP-1の発現抑制剤の提供。
【解決手段】エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、癌治療剤、抗癌剤の効果増強剤又はHCP-1の発現抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリスロポエチン受容体の機能を阻害することにより癌化学療法剤の治療効果を増強する方法、及び増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)は、赤芽球の分化及び増殖に関わるサイトカインである。近年、癌性患者の貧血に対するEPO投与によって余命が短縮したという報告がなされており(Henke M. et al., Lancet 362, 1255-1260, 2003:非特許文献1)、FDAでは癌性患者に対するEPO投与を禁止している。
また、ある種の癌細胞は細胞表面にエリスロポエチン受容体(Erythropoietin Receptor:EPOR)を発現していることが明らかにされており、外因性EPO投与によって癌細胞の増殖を早めることが指摘されている(Joachim F, The Oncologist;13(suppl 3):16-20, 2008: 非特許文献2)。
本発明者らは、外因性EPO投与によって癌細胞特異的にHeme carrier protein 1(HCP-1)発現が亢進することを明らかにした(Hiyama K. et al., G. I. Research vol.18 no.4, 2010:非特許文献3)。また、本発明者らは、癌特異的に発現しているHCP-1の発現を抑制することにより、抗癌剤の治療効果が増強することを見出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Henke M. et al., Lancet 362, 1255-1260, 2003
【非特許文献2】Joachim F, The Oncologist;13(suppl 3):16-20, 2008
【非特許文献3】Hiyama K. et al., G. I. Research vol.18 no.4, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エリスロポエチン受容体(EPOR)の機能又はEPORをコードする遺伝子の発現を阻害する物質を含む、癌治療剤、抗癌剤の効果増強剤及びHCP-1の発現抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、癌のEPO/EPORシグナル系を抑えることにより、HCP-1の発現を抑制し、抗癌剤の治療効果を増強できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、癌治療剤。
(2)エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、抗癌剤の効果増強剤。
(3)エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、HCP-1の発現抑制剤。
本発明の癌治療剤、効果増強剤又はHCP-1の発現抑制剤において、エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質としては、例えば前記遺伝子に対するsiRNA、shRNA、マイクロRNA、アンチセンス核酸、デコイ核酸及びアプタマーからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、エリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質としては、例えばエリスロポエチン受容体に対する抗体が挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、エリスロポエチン受容体の機能又はエリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質を含む、癌治療剤、抗癌剤(例えば化学療法剤等の抗癌剤)の効果増強剤、及びHCP-1の発現抑制剤が提供される。本発明の治療剤及び増強剤は、各種癌に対して毒性を増強し、癌細胞を効率的に死滅させることができる。例えば、EPORが発現している癌細胞では、抗癌剤の効果が増強する。従って、本発明の増強剤は、EPORを発現する癌の治療に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】EPOR siRNAが抗癌剤の効果を増強したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
【0009】
1.概要
本発明は、エリスロポエチン受容体(EPOR)(タンパク質又は遺伝子)を阻害する物質を含む、癌治療剤、抗癌剤の効果増強剤及びHCP-1(Heme carrier protein 1)の発現抑制剤である。本発明者は、これまでに外因性EPO投与によって癌細胞特異的にHCP-1の発現が亢進すること、並びに癌細胞特異的に発現しているHCP-1の発現を抑制することにより抗癌剤の治療効果を増強できることを見出した。そこで、本発明者は、癌のEPO/EPORシグナル系を抑えることにより、HCP-1の発現を抑制することができ、さらには抗癌剤の効果を増強できるのではないかと考え、EPORの阻害の有無による抗癌剤の癌細胞毒性の差異を検討した。
その結果、EPOR遺伝子又はタンパク質の機能又は発現を阻害することにより、HCP-1の発現が抑制され、癌を治療しうること、及び抗癌剤(例えば化学療法剤)の効果を増強させることを見出した。すなわち、本発明は、EPORを介するシグナル伝達系を、阻害性核酸、抗体、競合阻害剤などによって阻害することにより、抗癌剤の細胞毒性を亢進させることを特徴とする。本発明は、EPOR遺伝子又はタンパク質の機能又は発現を阻害することにより、癌特異的に発現しているHCP-1の発現を抑制することができるため、癌特異的に抗癌剤の毒性を増強することができる。特に、HCP-1は癌細胞の抗癌剤に対する耐性の獲得に重要な役割を果たしていることから、HCP-1の発現を抑制することができる本発明は、抗癌剤(例えば化学療法剤)に対する耐性を有する癌の治療に極めて有用である。
本発明においては、EPORのRNAiを利用することにより、EPOR遺伝子の発現を阻害し、HCP-1の発現を抑制し、癌治療効果及び抗癌剤の治療効果を高めることができる。また、EPORに対する抗体又は核酸阻害剤を単独で、あるいは抗癌剤と同時に、又は抗癌剤投与の前若しくは後に投与することで、癌細胞に対する細胞毒性を癌選択的に高めることができる。
【0010】
2.エリスロポエチン受容体(EPOR)
前記の通り、エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)は、赤芽球の分化及び増殖に関わるサイトカインであり、エリスロポエチン受容体(Erythropoietin Receptor:EPOR)はその受容体として知られている。また、EPORはある種の癌細胞の細胞表面に発現していることが知られている。
本発明においては、上記EPORタンパク質又はEPORをコードする遺伝子を標的として癌治療を行うものである。以下、本明細書において「EPOR」というときは、便宜上、EPORタンパク質及びEPORをコードする遺伝子の両者を意味するものとして使用することもある。
EPORタンパク質のアミノ酸配列、及びEPORをコードする遺伝子の塩基配列は公知であり(NCBI)、GenBankアクセッション番号を以下に示す。
塩基配列:NM_000121.3
アミノ酸配列:NP_000112.1
【0011】
3.EPOR機能阻害物質
本発明は、EPORをコードする遺伝子の発現を阻害すること、及びEPORタンパク質の機能を阻害することを「EPOR機能阻害」といい、これらの阻害物質を「EPOR機能阻害物質」という。
「EPOR機能阻害」とは、EPORに作用してEPORの活性化を阻害すること、EPORの細胞上への発現を阻害すること、EPORの産生を阻害すること、EPORを介したシグナル伝達を阻害すること、あるいはEPOとの結合を阻害することを意味する。
従って、上記EPORの機能を阻害する限り、その「EPOR機能阻害」に限定はない。例えば、EPOR機能阻害物質として、EPORに対する抗体、EPORをコードする遺伝子(「EPOR遺伝子」ともいう)に対する阻害性核酸(例えばsiRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンス核酸、デコイ核酸、マイクロRNA)、EPORアンタゴニストなどが挙げられる。
【0012】
3−1.EPOR遺伝子に対する阻害性核酸
EPOR遺伝子に対する阻害性核酸は、その遺伝子機能又は遺伝子発現を抑制する核酸を意味し、例えば、RNA干渉に利用される核酸(マイクロRNA、shRNA、siRNA)、アンチセンス核酸、デコイ核酸、又はアプタマーなどが挙げられる。これらの阻害性核酸により、上記遺伝子の発現を抑制することが可能である。阻害の対象となるEPOR遺伝子の塩基配列は上記の通り公知であり、それぞれ配列情報を入手することができる。本発明において、EPOR遺伝子の塩基配列は配列番号1に示すものであるが、EPORのコード領域のみならず、非コード領域を使用することも可能である。
【0013】
(i)RNA干渉
本発明においては、EPOR遺伝子に対するRNA干渉(RNAi)を利用して遺伝子発現を阻害することができる。このようなRNAiとして用いられる核酸としては、例えばsiRNA、マイクロRNA(miRNA)及びshRNAが挙げられる。
【0014】
siRNA(small interfering RNA)分子は、標的となるEPOR遺伝子に対応する種々のRNAである。そのようなRNAとしては、mRNA、EPOR遺伝子の転写後修飾RNA等が挙げられる。
一般に、mRNA上の標的配列は、mRNAに対応するcDNA配列から選択することができる。但し、本発明においてはこの領域に限定されるものではない。
siRNA分子は、当分野において周知の基準に基づいて設計できる。例えば、標的mRNAの標的セグメントは、好ましくはAA、TA、GA又はCAで始まる連続する15〜30塩基、好ましくは19〜25塩基のセグメントを選択することができる。siRNA分子のGC比は、30〜70%、好ましくは35〜55%である。
siRNA分子は、二本鎖部分を生成するために自身の核酸上で折り畳む一本鎖ヘアピンRNA分子として生成することができる。siRNA分子は、通常の化学合成により得ることができるが、発現ベクターを用いて生物学的に生成することも可能である。
siRNAを細胞に導入するには、合成したsiRNAをプラスミドDNAに連結してこれを細胞に導入する方法、二本鎖RNAをアニールする方法などを採用することができる。
【0015】
また、本発明は、RNAi効果をもたらすためにshRNAを使用することもできる。shRNAとは、ショートヘアピンRNAと呼ばれ、一本鎖の一部の領域が他の領域と相補鎖を形成するためにステムループ構造を有するRNA分子である。
shRNAは、その一部がステムループ構造を形成するように設計することができる。例えば、ある領域の配列を配列Aとし、配列Aに対する相補鎖を配列Bとすると、配列A、スペーサー、配列Bの順でこれらの配列が一本のRNA鎖に存在するように連結し、全体で45〜60塩基の長さとなるように設計する。スペーサーの長さも特に限定されるものではない。
配列Aは、標的となるEPOR遺伝子の一部の領域の配列であり、標的領域は特に限定されるものではなく、任意の領域を候補にすることが可能である。そして、配列Aの長さは19〜25塩基、好ましくは19〜21塩基である。
【0016】
さらに、本発明は、マイクロRNAを用いてEPOR遺伝子の発現を阻害することができる。マイクロRNA(miRNA)とは、細胞内に存在する長さ20〜25塩基ほどの一本鎖RNAであり、他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているncRNA(non coding RNA)の一種である。miRNAは、RNAに転写された際にプロセシングを受けて生じ、標的配列の発現を抑制するヘアピン構造を形成する核酸として存在する。
miRNAも、RNAiに基づく阻害性核酸であるため、shRNA又はsiRNAに準じて設計し合成することができる。
【0017】
(ii)アンチセンス核酸
本発明の別の態様において、EPOR遺伝子の発現を阻害するためにアンチセンス核酸を使用することができる。アンチセンス核酸は、EPOR遺伝子のmRNA又はDNA配列に結合できる一本鎖核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)である。アンチセンス核酸配列の長さは、少なくとも14ヌクレオチドであり、好ましくは14〜100ヌクレオチドである。アンチセンス核酸は、上記遺伝子配列に結合して二重鎖を形成し、EPOR遺伝子の転写又は翻訳を抑制する。
【0018】
アンチセンス核酸は、当分野で公知の化学合成法又は生化学的合成法を用いて製造することができる。例えば、一般的に用いられるDNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。アンチセンス核酸は、例えば、各種DNAトランスフェクション又はエレクトロポレーション等の遺伝子導入方法によりEPORを発現する癌細胞に導入される。
【0019】
(iii)デコイ核酸
本発明の別の態様では、デコイ核酸と呼ばれるおとり核酸を使用することにより、EPOR遺伝子の発現を阻害することができる。
デコイ核酸は、EPOR遺伝子の転写因子に結合してプロモーター活性を抑制することにより、EPOR遺伝子の発現を抑制する核酸であって、転写因子の結合部位を含む短いおとり核酸を意味する。この核酸が癌細胞内に導入されると、転写因子がこの核酸に結合する。これにより、転写因子のゲノム結合部位への結合が競合的に阻害され、その結果、転写因子の発現が抑制される。
【0020】
本発明の好ましいデコイ核酸としては、例えばEPOR遺伝子のプロモーターに結合する核酸、あるいはEPORのmRNAやEPORの上流に存在する因子のプロモーターに結合する核酸などが挙げられる。デコイ核酸は、EPOR遺伝子のプロモーター配列をもとに、一本鎖又は二本鎖として設計することができる。デコイ核酸の長さは特に限定されるものではなく、15〜60塩基、好ましくは20〜30塩基である。
デコイ核酸は、DNAでもRNAでもよく、修飾された核酸が含まれていてもよい。
【0021】
本発明で用いられるデコイ核酸は、当分野で公知の化学合成法又は生化学的合成法を用いて製造することができる。例えば、遺伝子組換え技術に一般的に用いられるDNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。また、鋳型となる塩基配列を単離又は合成した後に、PCR法又はクローニングベクターを用いた遺伝子増幅法を使用することもできる。さらに、細胞内でより安定なデコイ核酸を得るために、塩基等にアルキル化、アシル化等の化学修飾を付加することができる。
なお、デコイ核酸を使用した場合のプロモーター転写活性の解析は、一般的に行われているルシフェラーゼアッセイ、ゲルシフトアッセイ、RT-PCR等を採用することができる。
【0022】
(iv)アプタマー
本発明は、アプタマーを用いてEPOR遺伝子の発現を阻害することができる。
アプタマーとは、特異的に標的物質に結合する能力を持つ合成DNA又はRNA分子及びペプチド性分子であり、試験管内において化学的に短時間で合成することができる。従って、配列番号1に示す塩基配列を基準にして、あるいは、in vitro selection法又はSELEX法として知られている進化工学的手法により得ることができる。
核酸アプタマーは、血液中ではヌクレアーゼにより速やかに分解及び除去されるため、必要に応じてポリエチレングリコール(PEG)鎖などによる分子修飾を行って半減期を伸ばしておくことが好ましい。
【0023】
3−2.EPORに対する抗体
本発明の治療剤、増強剤又はHCP-1の発現抑制剤に含まれるEPORに対する抗体は、以下のようにして作製することができる。
(i) ポリクローナル抗体の作製
上記抗体を作製するに当たり、まず、免疫原(抗原)として用いるEPORタンパク質を調製する。抗原タンパク質は、例えば配列番号2に示されるアミノ酸配列に基づいて遺伝子工学的にEPORを作製することができる。あるいは、配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつEPOR活性を有するタンパク質を用いることもできる。「EPOR活性」とは、EPOとの結合活性を意味し、例えば、プルダウン法などの免疫学的手法により当該活性を測定することができる。なお、EPORタンパク質のアミノ酸配列情報は、上記NCBIデータベースから取得することができる。
【0024】
次に、得られた精製EPORを動物に免疫する。免疫は、精製EPORを含む溶液を、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヤギ等)に投与することにより行う。投与は、主として静脈内、皮下、腹腔内に注入して行う。必要に応じて適宜アジュバントを添加することもできる。続いて、免疫により得られる血清(抗血清)を採取する。血清の採取は限定されるものではなく、常法に従い、最終投与日から1〜28日後に免疫した動物の血液から採取することができる。採取した抗血清の中から、公知の免疫検定法(immunoassay)を用いて目的の抗血清をスクリーニングする。上記スクリーニングによる目的の抗血清に含まれる抗体はポリクローナル抗体である。当該抗体の精製を必要とする場合は、例えば、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の公知の精製方法を単独で、又は2種以上を組み合わせることができる。
【0025】
(ii) モノクローナル抗体の作製
抗原及びその溶液の調製、並びに免疫方法は、上記ポリクローナル抗体の作製の場合と同様に行うことができる。
上記免疫により得られる抗体を産生する細胞(抗体産生細胞)の採取は、限定はされないが、例えば、最終投与の日から1〜14日後に行うことが好ましく、より好ましくは2〜4日後である。抗体産生細胞としては、例えば、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が好ましく、脾臓細胞がより好ましい。採取した抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行うことにより、融合細胞(ハイブリドーマ)を得る。
【0026】
ミエローマ細胞としては、マウス等の哺乳動物において一般に入手可能な株化細胞、例えば、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミン含有培地)で生育できないが、抗体産生細胞と融合した状態では生育できる性質の株化細胞が挙げられる。マウスミエローマ細胞としては、例えば、PAI、P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、NS-Iなどを用いることができる。上記細胞融合は、例えば、RPMI-1640培地等の動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合して融合反応させることにより行う。抗体産生細胞とミエローマ細胞との混合比は任意であり、例えば5:1である。
【0027】
融合反応は、一般には、細胞融合促進剤の存在下で行うことが好ましく、当該促進剤としては、平均分子量1000〜6000ダルトンのポリエチレングリコール等を使用することができる。また、エレクトロポレーションを利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
融合反応後の細胞は、例えばHAT選択培地による培養を行う。上記培養後、HAT選択培地での増殖が認められる細胞が融合細胞(ハイブリドーマ)となる。
上記培養により得られたハイブリドーマから、目的のハイブリドーマをスクリーニングする。スクリーニング方法は特に限定されるものではなく、ELISA等により行うことができる。上記スクリーニングによる目的のハイブリドーマの樹立(クローニング)は、限界希釈法を用いた培養等により、1細胞由来のコロニーを選択することによって行うことができる。
【0028】
上記クローニングにより得られたハイブリドーマから、モノクローナル抗体を採取する方法は、一般には、細胞培養法又は腹水形成法等を採用することができる。これらの方法は当分野において周知である。また、モノクローナル抗体の採取時又は採取後に当該抗体の精製を必要とする場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の公知の精製方法を、単独で、又は適宜組み合わせることができる。
また、本発明においては、ヒト型化抗体、ヒト抗体、前記抗体の断片も使用することが可能である。
【0029】
ヒト型化抗体は、遺伝子工学的に作製されるモノクローナル抗体であって、具体的には、その超可変領域の相補性決定領域(CDR)の一部又は全部がマウスモノクローナル抗体に由来する超可変領域の相補性決定領域であり、その可変領域のフレームワーク領域(FR)がヒト免疫グロブリン由来の可変領域のFRであり、かつその定常領域がヒト免疫グロブリン由来の定常領域である抗体である。ヒト型抗体は、当該分野で周知の方法により作製することができる。
ヒト抗体とは、免疫グロブリンを構成する全ての領域がヒト免疫グロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体をいう。ヒト抗体は、当該分野で周知の方法により、例えばヒト抗体を産生するトランスジェニック動物を作製し、当該トランスジェニック動物を抗原で免疫感作することにより製造することができる。
抗体断片とは、上記抗体の抗原結合領域を含む部分断片を意味し、具体的にはF(ab')、Fab'、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、scFv(single chain Fv)、dsFv(disulphide stabilised Fv)等が挙げられる。
【0030】
4.癌治療剤、抗癌剤の効果増強剤及びHCP-1の発現抑制剤
本発明において、EPORの阻害物質は、癌治療剤(癌治療用医薬組成物)、抗癌剤の効果増強剤又はHCP-1の発現抑制剤として使用することができる。
本発明の治療剤、増強剤及びHCP-1の発現抑制剤(以下「治療剤等」という)を使用する対象となる患者は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。被験者がヒトの場合は、好ましくは各種癌患者である。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ペット、動物園の動物、家畜等であり、具体的には、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、霊長類等が挙げられる。
治療の対象となる癌は、細胞表面にEPORを発現するものである限り特に限定されるものではなく、例えば、消化器系、呼吸器系、脳神経系、皮膚科系、泌尿器系、産婦人科系、血液系等に含まれる各種癌が挙げられる。
具体的には、脳腫瘍、頭頸部癌、頚癌、口腔癌(上顎又は下顎癌、舌癌を含む)、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膵癌、胃癌、胆道癌、小腸又は十二指腸の癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌を含む)、肺癌、膀胱癌、腎癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌(子宮頸癌、子宮体癌を含む)、卵巣癌、甲状腺癌、各種肉腫(例えば、骨肉腫、軟骨肉腫、カポジ肉腫、筋肉腫、血管肉腫、線維肉腫など)、悪性リンパ腫(ホジキン型リンパ腫、非ホジキン型リンパ腫を含む)、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リンパ性白血病(ALL)、リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異型成症候群などを含む)、皮膚癌及びメラノーマなどを挙げることができる。
【0031】
本発明は、EPORの機能又は発現を阻害することにより、癌特異的に発現しているHCP-1の発現を抑制し、これにより癌治療効果及び抗癌剤の治療効果を増強できると考えられるため、治療の対象となる癌は、上記の癌のうちHCP-1を発現しているものが好ましい。HCP-1はほぼ全ての癌で発現していることが予測されるが、HCP-1の発現量は癌の悪性度や原発巣などにより異なる。HCP-1及びEPORが明らかに発現している癌としては、例えば、光線力学療法(Photodynamic therapy:PDT)の対象となる癌、すなわち癌特異的なポルフィリン蓄積現象を生じる癌、例えば、脳腫瘍、上顎又は下顎癌、舌癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、十二指腸癌、結腸癌、直腸癌、膀胱癌、子宮癌、腎癌、胆管癌、肺癌、各種皮膚癌などが挙げられる。
また、HCP-1は癌細胞の抗癌剤に対する耐性の獲得に重要な役割を果たしていることから、HCP-1の発現を抑制することができる本発明は、抗癌剤(例えば化学療法剤)に対する耐性を有する癌に対し、抗癌剤の治療効果を増強することができる。
【0032】
本発明の治療剤等は、そのまま患部に適用することもできるし、あらゆる公知の方法、例えば、静脈、筋肉、腹腔内又は皮下等の注射、あるいは鼻腔又は肺からの吸入、経口投与、カテーテルなどを用いた血管内投与等により生体に導入することができる。
【0033】
さらに、本発明の治療剤等は、他の抗癌剤(化学療法剤等)と併用することも可能である。この場合、本発明の治療剤等と他の抗癌剤とを同時に投与することもできるし、一方を投与後、一定時間経過後に他方を投与する方法も採用することができる。
【0034】
本発明の治療剤等は、経口投与又は非経口投与の態様に応じて、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ剤等の経口投与剤、注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤等の非経口投与剤などの形態にすることができる。
【0035】
非経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されるものではなく、例えば、静脈内注射剤(点滴を含む)、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、皮下注射剤、坐剤等のいずれであってもよい。各種注射剤の場合は、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態や、使用時に溶解液に再溶解させる凍結乾燥粉末の状態で提供することができる。非経口剤には、前述した有効成分のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形剤や添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有することができる。例えば、各種注射剤の場合は、水、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0036】
経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されず、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等のいずれであってもよいし、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。当該経口剤には、前述した有効成分のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形剤や添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有させることができる。例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン等)、充填剤(乳糖、糖、コーンスターチ、馬鈴薯でんぷん、リン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(各種でんぷん等)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0037】
さらに、本発明の治療剤等は、溶媒和物の形態とすることもできる。溶媒和物は、例えば、水和物、非水和物などを挙げることができ、好ましくは水和物である。溶媒は、例えば、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール等)、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0038】
さらに、本発明の治療剤等は、酸又は塩基と薬理学的に許容される塩を形成したものでもよい。酸との塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、あるいはギ酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸塩などを挙げることができる。また、塩基との塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N, N’-ジベンジルエチレンジアミン、アルギニン、リジンなどの有機塩基塩、あるいはアンモニウム塩などを挙げることができる。さらに、本発明の治療剤等においては、結晶でも無結晶でもよく、また、結晶多形が存在する場合には、それらのいずれかの結晶形の単一物であっても混合物であってもよい。
【0039】
本発明の治療剤等の投与量は、患者の年齢、体重、身長、性別、臨床状態、過去の治療履歴のみならず、治療しようとする疾患の部位や程度における本発明の治療剤等の蓄積の程度や速度に応じて適宜変更することができる。
本発明の治療剤等の投与量は、一般には、製剤中の有効成分(EPOR遺伝子の阻害性核酸又は抗EPOR抗体)の配合割合を考慮した上で、投与対象(患者)の年齢、体重、病気の種類又は進行状況、さらには投与経路、投与回数、投与期間等を勘案し、適宜設定することができる。
非経口剤の投与量(1日あたり)は、限定はされないが、例えば各種注射剤であれば、一般には、前述した有効成分(siRNAの場合)は、適用対象(患者)の体重1kgあたり10μg〜100mg/日、好ましくは50μg〜50mg/日である。
経口剤の投与量(1日あたり)は、一般には、前述した有効成分を、適用対象(患者)の体重1kgあたり100μg〜2000mg/日、好ましくは1mg〜1g/日である。
例えば、siRNA、shRNA又はmiRNAを投与する場合は、その有効量は、標的mRNAのRNAi媒介分解を引き起こすのに十分な量であれば特に限定されるものではない。当業者は、被験者に投与すべき有効量を、被験者の身長及び体重、年齢、性別、投与経路、又は局所若しくは全身投与などの要素を考慮して容易に決定することができる。一般に、siRNA、shRNA又はmiRNAは、非経口投与(例えば静注)の場合約50pM〜約100nM、好ましくは1nM〜10nMの細胞内濃度である。
【0040】
本発明の別の態様では、本発明の治療剤等と、抗癌剤(例えば癌化学療法剤)との併用を行うことで、抗癌剤の治療効果を増強することができる。「増強」とは、抗癌剤の治療効果である癌の縮小率又は癌細胞の減少率が、単独で使用するときよりも少なくとも10%以上であることを意味する。
【0041】
本発明において使用される抗癌剤は特に限定されるものではなく、活性の種類により以下のものを挙げることができる。
アルキル化活性:カルボコン、ブスルファン、ニムスチン、シクロフォスファミド等
代謝拮抗活性:メトトレキサート、メルカプトプリン、シタラビン、フルオロウラシル、テガフール等
抗生物質:アクチノマイシンD、ブレオマイシン、アドリアマイシン、マイトマイシン、ブレオマイシン等
微小管阻害活性:ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン等
トポイソメラーゼ阻害活性:イリノテカン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド等
血管新生阻害活性:ベバシズマブ(アバスチン)、ソラフェニブ(ネクサバル)、スニチニブ(スーテント)等
金属錯体:シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン等
【0042】
5.キット
本発明は、EPORの発現阻害物質と抗癌剤とを含む、癌治療用キットを提供する。本発明のキットには、上記EPORの発現阻害物質のほかに、抗癌剤を含むものである。従って、本発明のキットは、抗癌剤の抗癌作用増強効果を目的として、抗癌剤と本発明のEPORの発現阻害物質とを併用するために使用することができる。
本発明のキットには、さらに、緩衝液、溶解液、注射器、取扱説明書、添付文書等を含んでいてもよい。取扱説明書又は添付文書等には、EPORの発現阻害物質と抗癌剤とを併用して用いるための組み合わせを記載することができ、また、別々の物質を投与時に併用する形態又は混合物としての形態について、用法、用量などを記載することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
<実験方法>
細胞
ヒト子宮頚癌由来培養細胞株HeLa及び扁平上皮肺癌細胞株A549を用いた。

培地
Fetal Bovine serum 10%, penicillin/streptomycin 1% を含むDulbecco's Modified Eagle Medium培地を用いた。

培養条件
96wellプレートに2×104個の細胞を播き、100μL/wellの培地で24時間培養した。

siRNA
4pg/wellのEPOR siRNAカクテル(3種類のsiRNAが混和されているもの)又はコントロールとしてscrambled RNA(配列:ランダム)を使用した。EPOR siRNAカクテルの塩基配列を以下に示す。

EPOR siRNAカクテル
センス鎖:
(i) 5'-ccgaagagcuucugugcuuTT(配列番号3)
(ii) 5’-ccgagugugugcuagagcaaTT(配列番号4)
(iii) 5’-ccuuaugagaacagccuuaTT(配列番号5)

アンチセンス鎖:
(i) 5'-aagcacagaagcucuucggTT(配列番号6)
(ii) 5'-uugcucagcacacacucggTT(配列番号7)
(iii) 5'-uaaggcuguucucauaaggTT(配列番号8)

トランスフェクション
北海道システムサイエンス社製LIPO TRUST 0.5μL/wellを使用した。無血清培地10μLにsiRNA 4pgを加え、混和した後、LIPO TRUST 0.5μLを加え、混和した。これらを20分間の室温でインキュベートした。一旦培養していた培地を抜き、血清含有培地100μL/wellと混和し、各wellに投与した。細胞は48hr培養した。

細胞毒性試験
培養していた培地を捨て、PBSで1度washした。1, 10μg/mLのシスプラチン(CDDP)及びフルオロウラシル(5-FU)(Wako社製)を投与した。なお、CDDPはDMSOにて、5-FUはDMFにて溶解させ、これらを1,000倍以上希釈して用いた。投与後、細胞を24時間培養した。
培養していた培地を除去し、PBSで2度washした。各wellに培地50μL、MTT変法であるTC-1法による細胞毒性試験実施のためTetra Color-1(生化学バイオビジネス株式会社製、TetraColor ONE-Cell Proliferation Assay System)10μLを投与し、約1時間インキュベートした後、450nmの吸光度を測定した。(リファレンス:630nm)
【0044】
<結果>
細胞毒性試験の結果を図1に示す。細胞毒性試験の結果、EPOR siRNAをトランスフェクトした細胞群(図中「A549_EPOR_KD」及び「HeLa_EPOR_KD」)は、コントロールsiRNAを投与した細胞群(図中「A549_control」及び「HeLa control」)と比較して、細胞生存率が顕著に低下していた(図1)。この結果は、EPOR siRNAの投与により、抗癌剤(CDDP、5-FU)の効果が増強されたことを示す。
【0045】
以上より、本発明におけるEPORの阻害物質が、抗癌剤の効果を増強することが示された。また、EPO/EPORシグナル系が癌細胞に対して保護的に作用していることも示された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のEPOR阻害物質は、癌の治療剤、抗癌剤の効果増強剤及びHCP-1の発現抑制剤として有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0047】
配列番号3:合成DNA/RNA
配列番号4:合成DNA/RNA
配列番号5:合成DNA/RNA
配列番号6:合成DNA/RNA
配列番号7:合成DNA/RNA
配列番号8:合成DNA/RNA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、癌治療剤。
【請求項2】
エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質が、該遺伝子に対するsiRNA、shRNA、マイクロRNA、アンチセンス核酸、デコイ核酸及びアプタマーからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
エリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質が、エリスロポエチン受容体に対する抗体である請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】
エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、抗癌剤の効果増強剤。
【請求項5】
エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質が、該遺伝子に対するsiRNA、shRNA、マイクロRNA、アンチセンス核酸、デコイ核酸及びアプタマーからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4に記載の増強剤。
【請求項6】
エリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質が、エリスロポエチン受容体に対する抗体である請求項4に記載の増強剤。
【請求項7】
エリスロポエチン受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質、又はエリスロポエチン受容体の機能を阻害する物質を含む、HCP-1の発現抑制剤。

【図1】
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【公開番号】特開2012−162500(P2012−162500A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25332(P2011−25332)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】