エレクトロウェッティングデバイスの製造方法
【課題】低コストであり、かつ生産性の高いエレクトロウェッティングデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】注入口1aと吸引口1bとを備えたパネルの前記吸引口1bから真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイル5を導入して充填する工程と、前記パネル内に前記着色オイル5を充填した後、前記吸引口1bから真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイル5の液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイル5を充填する工程と、前記パネル内の前記着色オイル5の液面を上昇させ、前記吸引口1bまで達した後も吸引を実施して、前記吸引口1bに接続された真空系に備えられたトラップ容器4に前記着色オイル5を排出させることで、前記パネル内の前記着色オイル5と前記水の充填を終了する工程と、前記パネルを加圧し、前記注入口1aと前記吸引口1bを紫外線硬化樹脂で封止する工程とを有する。
【解決手段】注入口1aと吸引口1bとを備えたパネルの前記吸引口1bから真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイル5を導入して充填する工程と、前記パネル内に前記着色オイル5を充填した後、前記吸引口1bから真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイル5の液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイル5を充填する工程と、前記パネル内の前記着色オイル5の液面を上昇させ、前記吸引口1bまで達した後も吸引を実施して、前記吸引口1bに接続された真空系に備えられたトラップ容器4に前記着色オイル5を排出させることで、前記パネル内の前記着色オイル5と前記水の充填を終了する工程と、前記パネルを加圧し、前記注入口1aと前記吸引口1bを紫外線硬化樹脂で封止する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティング現象を用いたエレクトウェッティングデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロウェッティングディスプレイは、透明電極上に撥水性(疎水性)の絶縁膜を形成し、その上に格子状の隔壁を形成する。隔壁で囲まれた部分には着色オイルで満たされており、その上方は水で満たされて透明電極が形成された対向基板と貼り合わされる。この電極間に電圧を印加すると、撥水性絶縁膜の水に対する接触角が低下して撥水性絶縁膜面が親水性に変化し、水がなじむようになる。その結果、水が着色オイルを押しのけ、画素内の着色オイルと水との面積比が変化し画素の明暗が作り出されて表示体として機能する。
【0003】
従来、エレクトロウェッティングディスプレイにおけるオイル充填方式を説明する基本的なエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を開示するものがある(例えば、非特許文献1参照)。また、従来のエレクトロウェッティングディスプレイとして、少なくとも2つの異なる状態を有する分離層または移動層を利用する、例えば光スイッチのような表示装置であって、流体の一方は、例えば油等であり、第1の状態では、少なくとも第1の支持板に隣接し、第2の状態では、他の流体の少なくとも一部が、第1の支持板に隣接し、画像素子が、親水性表面を有する領域によって分離されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなエレクトロウェッティングディスプレイを製造するには次のような工程が必要となる。
1.対向基板の画素外周部に予め環状にUV硬化シールを塗布しておき、水槽内に水没させておく。
2.画素毎に隔壁が形成された基板を、水/着色オイルが層分離している水槽に一定速度で沈降させる。
3.水槽中に水没させていた対向基板と貼り合わせる。
4.貼り合わせ後に、水中でUV照射しUVシールを硬化させる。
【0005】
しかしながら、上述した従来のようなエレクトロウェッティングディスプレイを製造するには次のような問題点がある。
・隔壁で囲まれた部分に着色オイルで満たすためには、水面上に着色オイルの油層が形成された水槽の水面上に対して基板を垂直状態で下降させながら隔壁間に着色オイルを満たした後、水中で当該基板を垂直状態から水平状態になる迄旋回させる防水機能を有する装置が必要である。
・防水機能を有し、対向基板を保持し、且つアライメント機構を備えた貼合せ装置が必要である。
・基板サイズに対応し、且つ上記装置が入る水槽が必要である。
【0006】
従って、これらを満たすためには、巨大なスペースを占有する水槽と、且つ防水機能を備えた高価な装置を導入する必要が生じる。また、水中でUV硬化する為、耐水性を持ったUV硬化シール材が必要となる。このような問題点は、比重の異なる2種類の液体(着色オイル/水)を下層から比重の低いもの(着色オイル)から比重の高いもの(水)の順番に充填しなければいけなく、複雑な工程を経て基板同士を貼り合わせるためである。このようなことから大規模な生産設備が必要であり、また、装置/使用材料が高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4610561号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K Zhou, J Heikenfeld, K A Dean, E M Howard and M R Johnson, "A full description of a simple and scalable fabrication process for electrowetting displays" Journal of Micromechanics and Microengineering 19(2009) 065029(12pp), 2009 IOP Publishing Ltd Printed in the UK
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低コストであり、かつ生産性の高いエレクトウェッティングデバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法は、エレクトウェッティングデバイスの製造方法であって、注入口と吸引口とを備えたパネルの前記吸入口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程と、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記吸入口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程と、前記パネル内の前記着色オイルの液面を上昇させ、前記吸引口まで達した後も吸引を実施して、前記吸引口に接続された真空系に備えられたトラップ容器に前記着色オイルを排出させることで、前記パネル内の前記着色オイルと前記水の充填を終了する工程と、前記パネルを加圧し、前記注入口と前記吸引口を紫外線硬化樹脂で封止する工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル内で液面を上昇しながら着色オイル/水を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いエレクトウェッティングデバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るエレクトロウェッティングディスプレイパネルを示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を説明する工程図である。
【図3】図2に続く工程図である。
【図4】図3に続く工程図である。
【図5】図4に続く工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】図6に続く工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を説明する工程図である。
【図9】図8に続く工程図である。
【図10】図9に続く工程図である。
【図11】図10に続く工程図である。
【図12】図11に続く工程図である。
【図13】図12に続く工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法について説明する。図1(a)と(b)は、エレクトロウェッティングディスプレイパネルの正面図と側面図を示し、パネル1は、注入口1aと吸引口1bをと備え、画素部毎に隔壁リブ1cが形成されている。外周シール1dのシール材は耐水性である必要はなく、LCD用のUV硬化/熱硬化型のシール材を活用できる。
【0014】
まず、図2に示すように、注入口1a/吸引口1bにそれぞれリークが発生しないようにジョイント2を接続する。注入口1aに接続されたジョイント2にはバルブ3を備え、着色オイル/水の供給を切り替えられる配管系に接続される。一方、吸引口1bに接続されたジョイント2には真空系が接続され、途中には余剰の着色オイル/水を回収するトラップ容器4を装備している。
【0015】
次に、図3に示すように、注入口1aに接続されたバルブ3を着色オイル導入側配管系に切り替え、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に着色オイル5を導入する。真空系にトラップ容器4を有していることから、着色オイル5の量は、画素充填できる丁度の量で無くてもよく、ある程度余剰の量をパネル1内に充填する。例えば、2インチサイズのパネルの場合、注入口1aのパネル端から3mm程度まで着色オイル5を充填する。
【0016】
次に、図4及び図5に示すように、適当量な着色オイル5をパネル1内に充填後、注入口1aに接続さ入れた配管系のバルブ3を水導入側配管系に切り替え、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に水6を充填しつつ、着色オイル5の液面を上昇させて、画素部に着色オイル5を充填する。この時、画素部に最適量が充填される為には、液面上昇速度と、画素サイズの間に最適値が存在する。例えば、画素サイズが250μmの場合、液面の上昇速度は0.2mm/sec〜0.5mm/secが最適であり、画素サイズが500μmであると、0.7mm/sec〜1.2mm/secが最適となる。この速度以下であれば、隔壁で着色オイルを擦り切る時の持ち出し量が多くなり画素部への充填不足が発生し、その速度以上で有れば、隔壁で着色オイルを適量に擦り切ることが出来ずに画部への充填が過剰になり、隣接画素と着色オイル5が連結してしまう。液面の上昇速度は、吸引口1bより真空引きする時の真空圧により適宜調整可能である。
【0017】
さらに、図6に示すように、液面を最適速度で上昇させ、吸引口1bまで達した後も吸引を実施しておき、トラップ容器4に着色オイル5の排出が終了したときを終点とする。その後、図7に示すように、着色オイル5/水6の充填が終了した後、ジョイント2を外す。その後、パネル1を適宜加圧し、注入口1a/吸引口1bを紫外線硬化樹脂等の封止材7で封止する。
【0018】
従って、上記実施の形態1によるエレクトウェッティングデバイスの製造方法によれば、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル1内で液面を上昇しながら着色オイル5/水6を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いものが得られる。
【0019】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法について説明する。まず、図8に示すように、実施の形態1と同様な注入口1aと吸引口1bを備えたパネル1を組み立てる。そして、着色オイル5/水6の入った水槽8を用意し、着色オイル5の層は200μm程度になるよう調整する。また、吸引口1bにそれぞれリークが発生しないようにジョイント2を接続する。さらに、吸引口1bに接続されたジョイント2には真空系が接続され、途中には余剰の着色オイル5/水6を回収するトラップ容器4を装備している。
【0020】
次に、図9に示すように、パネル1全体を下降し、着色オイル5層内100μmで停止する。ここで、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に着色オイル5を導入する。真空系にトラップ容器4を有していることから、着色オイル5の量は、画素充填できる丁度の量で無くてもよく、ある程度余剰の量をパネル1内に充填する。例えば、2インチサイズのパネルの場合、注入口1aのパネル端から3mm程度まで着色オイル5を充填する。
【0021】
次に、図10及び図11に示すように、適当量な着色オイル5をパネル1内に充填後、パネル端面が水6の層に達するように液面より200μm以上下降させる。そして、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に水6を充填しつつ、着色オイル5の液面を上昇させ、画素部に着色オイル5を充填する。液面の上昇速度は、吸引口1bより真空引きする時の真空圧により適宜調整可能である。
【0022】
さらに、図12に示すように、液面を最適速度で上昇させ、吸引口1bまで達した後も吸引を実施しておき、トラップ容器4に着色オイル5の排出が終了したときを終点とする。その後、図13に示すように、着色オイル5/水6の充填が終了した後、ジョイント2を外す。その後、パネル1を適宜加圧し、注入口1a/吸引口1bを紫外線硬化樹脂等の封止材7で封止する。
【0023】
従って、上記実施の形態2によるエレクトウェッティングデバイスの製造方法によれば、実施の形態1と同様に、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル1内で液面を上昇しながら着色オイル5/水6を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いものが得られる。
【符号の説明】
【0024】
1 パネル、1a 注入口、1b 吸引口、1c 隔壁リブ、1d 外周シール、2 ジョイント、3 バルブ、4 トラップ容器、5 着色オイル、6 水、7 封止材、8 水槽。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティング現象を用いたエレクトウェッティングデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロウェッティングディスプレイは、透明電極上に撥水性(疎水性)の絶縁膜を形成し、その上に格子状の隔壁を形成する。隔壁で囲まれた部分には着色オイルで満たされており、その上方は水で満たされて透明電極が形成された対向基板と貼り合わされる。この電極間に電圧を印加すると、撥水性絶縁膜の水に対する接触角が低下して撥水性絶縁膜面が親水性に変化し、水がなじむようになる。その結果、水が着色オイルを押しのけ、画素内の着色オイルと水との面積比が変化し画素の明暗が作り出されて表示体として機能する。
【0003】
従来、エレクトロウェッティングディスプレイにおけるオイル充填方式を説明する基本的なエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を開示するものがある(例えば、非特許文献1参照)。また、従来のエレクトロウェッティングディスプレイとして、少なくとも2つの異なる状態を有する分離層または移動層を利用する、例えば光スイッチのような表示装置であって、流体の一方は、例えば油等であり、第1の状態では、少なくとも第1の支持板に隣接し、第2の状態では、他の流体の少なくとも一部が、第1の支持板に隣接し、画像素子が、親水性表面を有する領域によって分離されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなエレクトロウェッティングディスプレイを製造するには次のような工程が必要となる。
1.対向基板の画素外周部に予め環状にUV硬化シールを塗布しておき、水槽内に水没させておく。
2.画素毎に隔壁が形成された基板を、水/着色オイルが層分離している水槽に一定速度で沈降させる。
3.水槽中に水没させていた対向基板と貼り合わせる。
4.貼り合わせ後に、水中でUV照射しUVシールを硬化させる。
【0005】
しかしながら、上述した従来のようなエレクトロウェッティングディスプレイを製造するには次のような問題点がある。
・隔壁で囲まれた部分に着色オイルで満たすためには、水面上に着色オイルの油層が形成された水槽の水面上に対して基板を垂直状態で下降させながら隔壁間に着色オイルを満たした後、水中で当該基板を垂直状態から水平状態になる迄旋回させる防水機能を有する装置が必要である。
・防水機能を有し、対向基板を保持し、且つアライメント機構を備えた貼合せ装置が必要である。
・基板サイズに対応し、且つ上記装置が入る水槽が必要である。
【0006】
従って、これらを満たすためには、巨大なスペースを占有する水槽と、且つ防水機能を備えた高価な装置を導入する必要が生じる。また、水中でUV硬化する為、耐水性を持ったUV硬化シール材が必要となる。このような問題点は、比重の異なる2種類の液体(着色オイル/水)を下層から比重の低いもの(着色オイル)から比重の高いもの(水)の順番に充填しなければいけなく、複雑な工程を経て基板同士を貼り合わせるためである。このようなことから大規模な生産設備が必要であり、また、装置/使用材料が高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4610561号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K Zhou, J Heikenfeld, K A Dean, E M Howard and M R Johnson, "A full description of a simple and scalable fabrication process for electrowetting displays" Journal of Micromechanics and Microengineering 19(2009) 065029(12pp), 2009 IOP Publishing Ltd Printed in the UK
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低コストであり、かつ生産性の高いエレクトウェッティングデバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法は、エレクトウェッティングデバイスの製造方法であって、注入口と吸引口とを備えたパネルの前記吸入口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程と、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記吸入口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程と、前記パネル内の前記着色オイルの液面を上昇させ、前記吸引口まで達した後も吸引を実施して、前記吸引口に接続された真空系に備えられたトラップ容器に前記着色オイルを排出させることで、前記パネル内の前記着色オイルと前記水の充填を終了する工程と、前記パネルを加圧し、前記注入口と前記吸引口を紫外線硬化樹脂で封止する工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル内で液面を上昇しながら着色オイル/水を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いエレクトウェッティングデバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るエレクトロウェッティングディスプレイパネルを示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を説明する工程図である。
【図3】図2に続く工程図である。
【図4】図3に続く工程図である。
【図5】図4に続く工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】図6に続く工程図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るエレクトロウェッティングディスプレイの製造方法を説明する工程図である。
【図9】図8に続く工程図である。
【図10】図9に続く工程図である。
【図11】図10に続く工程図である。
【図12】図11に続く工程図である。
【図13】図12に続く工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法について説明する。図1(a)と(b)は、エレクトロウェッティングディスプレイパネルの正面図と側面図を示し、パネル1は、注入口1aと吸引口1bをと備え、画素部毎に隔壁リブ1cが形成されている。外周シール1dのシール材は耐水性である必要はなく、LCD用のUV硬化/熱硬化型のシール材を活用できる。
【0014】
まず、図2に示すように、注入口1a/吸引口1bにそれぞれリークが発生しないようにジョイント2を接続する。注入口1aに接続されたジョイント2にはバルブ3を備え、着色オイル/水の供給を切り替えられる配管系に接続される。一方、吸引口1bに接続されたジョイント2には真空系が接続され、途中には余剰の着色オイル/水を回収するトラップ容器4を装備している。
【0015】
次に、図3に示すように、注入口1aに接続されたバルブ3を着色オイル導入側配管系に切り替え、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に着色オイル5を導入する。真空系にトラップ容器4を有していることから、着色オイル5の量は、画素充填できる丁度の量で無くてもよく、ある程度余剰の量をパネル1内に充填する。例えば、2インチサイズのパネルの場合、注入口1aのパネル端から3mm程度まで着色オイル5を充填する。
【0016】
次に、図4及び図5に示すように、適当量な着色オイル5をパネル1内に充填後、注入口1aに接続さ入れた配管系のバルブ3を水導入側配管系に切り替え、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に水6を充填しつつ、着色オイル5の液面を上昇させて、画素部に着色オイル5を充填する。この時、画素部に最適量が充填される為には、液面上昇速度と、画素サイズの間に最適値が存在する。例えば、画素サイズが250μmの場合、液面の上昇速度は0.2mm/sec〜0.5mm/secが最適であり、画素サイズが500μmであると、0.7mm/sec〜1.2mm/secが最適となる。この速度以下であれば、隔壁で着色オイルを擦り切る時の持ち出し量が多くなり画素部への充填不足が発生し、その速度以上で有れば、隔壁で着色オイルを適量に擦り切ることが出来ずに画部への充填が過剰になり、隣接画素と着色オイル5が連結してしまう。液面の上昇速度は、吸引口1bより真空引きする時の真空圧により適宜調整可能である。
【0017】
さらに、図6に示すように、液面を最適速度で上昇させ、吸引口1bまで達した後も吸引を実施しておき、トラップ容器4に着色オイル5の排出が終了したときを終点とする。その後、図7に示すように、着色オイル5/水6の充填が終了した後、ジョイント2を外す。その後、パネル1を適宜加圧し、注入口1a/吸引口1bを紫外線硬化樹脂等の封止材7で封止する。
【0018】
従って、上記実施の形態1によるエレクトウェッティングデバイスの製造方法によれば、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル1内で液面を上昇しながら着色オイル5/水6を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いものが得られる。
【0019】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係るエレクトウェッティングデバイスの製造方法について説明する。まず、図8に示すように、実施の形態1と同様な注入口1aと吸引口1bを備えたパネル1を組み立てる。そして、着色オイル5/水6の入った水槽8を用意し、着色オイル5の層は200μm程度になるよう調整する。また、吸引口1bにそれぞれリークが発生しないようにジョイント2を接続する。さらに、吸引口1bに接続されたジョイント2には真空系が接続され、途中には余剰の着色オイル5/水6を回収するトラップ容器4を装備している。
【0020】
次に、図9に示すように、パネル1全体を下降し、着色オイル5層内100μmで停止する。ここで、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に着色オイル5を導入する。真空系にトラップ容器4を有していることから、着色オイル5の量は、画素充填できる丁度の量で無くてもよく、ある程度余剰の量をパネル1内に充填する。例えば、2インチサイズのパネルの場合、注入口1aのパネル端から3mm程度まで着色オイル5を充填する。
【0021】
次に、図10及び図11に示すように、適当量な着色オイル5をパネル1内に充填後、パネル端面が水6の層に達するように液面より200μm以上下降させる。そして、吸引口1bから真空引きを行うことで、パネル1内に水6を充填しつつ、着色オイル5の液面を上昇させ、画素部に着色オイル5を充填する。液面の上昇速度は、吸引口1bより真空引きする時の真空圧により適宜調整可能である。
【0022】
さらに、図12に示すように、液面を最適速度で上昇させ、吸引口1bまで達した後も吸引を実施しておき、トラップ容器4に着色オイル5の排出が終了したときを終点とする。その後、図13に示すように、着色オイル5/水6の充填が終了した後、ジョイント2を外す。その後、パネル1を適宜加圧し、注入口1a/吸引口1bを紫外線硬化樹脂等の封止材7で封止する。
【0023】
従って、上記実施の形態2によるエレクトウェッティングデバイスの製造方法によれば、実施の形態1と同様に、従来の真空注入方式のLCDパネルと同プロセスの設備を100%有効に活用して、パネル1内で液面を上昇しながら着色オイル5/水6を順次充填することで、大規模な生産設備や、複雑なパネル組み立てプロセスを必要としなく、低コストであり、かつ生産性の高いものが得られる。
【符号の説明】
【0024】
1 パネル、1a 注入口、1b 吸引口、1c 隔壁リブ、1d 外周シール、2 ジョイント、3 バルブ、4 トラップ容器、5 着色オイル、6 水、7 封止材、8 水槽。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトウェッティングデバイスの製造方法であって、
注入口と吸引口とを備えたパネルの前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程と、
前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程と、
前記パネル内の前記着色オイルの液面を上昇させ、前記吸引口まで達した後も吸引を実施して、前記吸引口に接続された真空系に備えられたトラップ容器に前記着色オイルを排出させることで、前記パネル内の前記着色オイルと前記水の充填を終了する工程と、
前記パネルを加圧し、前記注入口と前記吸引口を紫外線硬化樹脂で封止する工程と
を有するエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法において、
前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程は、前記パネルの前記注入口に接続されたバルブを着色オイル導入側配管系に切り替え、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填し、
前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程は、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記バルブを水導入側配管系に切り替え、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する
ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法において、
前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程は、前記パネルを水面上で着色オイルが層分離している水槽に下降させて前記着色オイル層内で停止させ、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填し、
前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程は、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記パネル端面が前記水層に達するように下降させ、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する
ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【請求項1】
エレクトウェッティングデバイスの製造方法であって、
注入口と吸引口とを備えたパネルの前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程と、
前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程と、
前記パネル内の前記着色オイルの液面を上昇させ、前記吸引口まで達した後も吸引を実施して、前記吸引口に接続された真空系に備えられたトラップ容器に前記着色オイルを排出させることで、前記パネル内の前記着色オイルと前記水の充填を終了する工程と、
前記パネルを加圧し、前記注入口と前記吸引口を紫外線硬化樹脂で封止する工程と
を有するエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法において、
前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程は、前記パネルの前記注入口に接続されたバルブを着色オイル導入側配管系に切り替え、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填し、
前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程は、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記バルブを水導入側配管系に切り替え、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する
ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法において、
前記パネル内に着色オイルを導入して充填する工程は、前記パネルを水面上で着色オイルが層分離している水槽に下降させて前記着色オイル層内で停止させ、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に着色オイルを導入して充填し、
前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する工程は、前記パネル内に前記着色オイルを充填した後、前記パネル端面が前記水層に達するように下降させ、前記吸引口から真空引きを行うことで、前記パネル内に水を充填しつつ、前記着色オイルの液面を上昇させて前記パネルの画素部に前記着色オイルを充填する
ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−92702(P2013−92702A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235567(P2011−235567)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】
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