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エレクトロクロミックガラス製品用のイオン伝導性の熱可塑性組成物
説明

エレクトロクロミックガラス製品用のイオン伝導性の熱可塑性組成物

本発明は、部分アセタール化されたポリビニルアルコール、少なくとも1つの導電性塩及び少なくとも1つの可塑剤からなるイオン伝導性の熱可塑性組成物に関するものであり、その際に部分アセタール化されたポリビニルアルコールは異なる2つのアセタール単位を有する。さらに本発明は、イオン伝導性組成物を使用したエレクトロクロミック合わせガラス系及びそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分アセタール化されたポリビニルアルコール、少なくとも1つの導電性塩及び少なくとも1つの可塑剤からなるイオン伝導性の熱可塑性組成物及びこれから製造されたシート(Folien)の、エレクトロクロミック合わせガラス製品(elektrochromen Verbundverglasungen)における使用に関する。
【0002】
技術分野
透明度もしくは色が電圧の印加により変更されることができる合わせガラス製品は、文献においてエレクトロクロミックガラス製品と呼ばれる。典型的に、図1によるエレクトロクロミックガラス製品は次のように構成されている:ガラス板(a)−透明な導電性層(b)−エレクトロクロミック層(c)−固体電解質(d)−酸化還元可能なイオン貯蔵層又は(c)に対して相補的なエレクトロクロミック層(e)−透明な導電性層(f)−ガラス板(g)。
【0003】
層c)及びe)は固体電解質(d)により互いに分離されている。電極b)及びf)に電圧を印加した際に、層c)及びe)は電気化学的に酸化もしくは還元され、その際に層c)及び/又はe)がエレクトロクロミック層である場合には、それらの色及び光透過性が変わる。層c)及びe)の酸化及び還元は、固体電解質d)とのイオンの交換を伴う。故にこの固体電解質は十分に高いイオン濃度を有していなければならない。さらに、迅速なスイッチ操作のために固体電解質の相応して高いイオン伝導度が必要である。
【0004】
エレクトロクロミックガラス製品用の固体電解質は、十分に高いイオン伝導度に加え化学的及び電気化学的な安定性並びに光学的な透明性も有していなければならない。
【0005】
エレクトロクロミックガラス製品用の固体電解質を製造するために、既に多くの材料が提案されている。
【0006】
技術水準
EP 1 056 097には、固体電解質の製造のために、可塑剤及び導電性塩と並びに無機又は高分子の充填剤の粒子との組合せでのアクリル化合物、メタクリル化合物又はスチレン化合物のホモポリマー又はコポリマーが開示されている。
【0007】
US 5,244,557、EP 392 839、EP 461 685及びEP 499 115には、ポリエチレンオキシドをベースとする固体電解質が記載されている。
【0008】
エレクトロクロミック特性を有しない市販の合わせガラス製品において、しばしばポリビニルブチラール(PVB)、すなわち部分アセタール化されたポリビニルアルコールからなる中間膜が使用される。ポリビニルブチラールシートは高い透明度の利点を有し、かつこれらから製造された合わせガラスに良好な機械的強さを付与する。
【0009】
故にエレクトロクロミック合わせガラス製品におけるポリビニルブチラールシートの使用も公知であり、かつ例えばEP 1 227 362及びEP 0 657 897に開示されている。これらの出願明細書において提案されたイオン伝導性のポリビニルブチラールシートは、従来のPVB−樹脂、可塑剤及び導電性塩並びに場合により別の添加剤から製造される。しかしながら、十分に高いイオン伝導度を保証するために、ここでは、イオン伝導性ではない従来のPVB−シート中よりも高い可塑剤含量が必要である。高められた可塑剤含量はシートの機械的性質を劣悪化させる。故にエレクトロクロミックガラス製品中のポリビニルブチラールシートは、良好な機械的安定度の場合に十分でないイオン伝導度又は−高められた可塑剤含量の場合に−低下された機械的安定度の場合に改善されたイオン伝導度のいずれかを有する。
【0010】
課題
本発明の課題は、合わせガラス製品においてしばしば使用される、部分アセタール化されたポリビニルアルコールをベースとする混合物を、これらから製造されたエレクトロクロミックガラス製品の十分に良好な機械的性質で十分な長期安定性、良好なイオン伝導度及び満足のいくスイッチ挙動が生じるように変性することであった。
【0011】
部分アセタール化されたポリビニルアルコール、ここでは特にポリビニルブチラールは、ポリ酢酸ビニルがけん化され、かつ引き続いてアルデヒド(ブタナール)でアセタール化されることによって大工業的に製造される。その際に通例5質量%までの残留酢酸エステル含量、15〜30質量%のポリビニルアルコール含量及び40〜80%のアセタール化度を有する三元ポリマーが生じる。
【0012】
発明の提示
意外なことに、少なくとも1つの導電性塩、少なくとも1つの可塑剤及び酸官能化された部分アセタール化されたポリビニルアルコールからなる混合物が、高められたイオン伝導度並びにこれらから製造されたエレクトロクロミックガラス製品中で改善されたスイッチ挙動及び改善された長期安定性を有することが見出された。
【0013】
故に本発明の対象は、部分アセタール化されたポリビニルアルコール、少なくとも1つの導電性塩及び少なくとも1つの可塑剤を含有するイオン伝導性の熱可塑性組成物であり、その際に部分アセタール化されたポリビニルアルコールは、次のモノマー単位:
・ 酢酸ビニル
・ ビニルアルコール
・ ビニルアルコールと、式I
−CHO I
[式中、Rは炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基である]で示される少なくとも1つのアルデヒドとからなるアセタールI
・ ビニルアルコールと、式II
【0014】
【化1】

[式中、RはH、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基であり、
は直接結合、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基、炭素原子6〜18個を有するアリール基であり、かつ
Y=−COH、−SOH、−POである]で示されるカルボニル化合物とからなるアセタールII
を含有するコポリマーである。
【0015】
本発明による組成物は好ましくは次のもの:
・ 前記の部分アセタール化されたポリビニルアルコール 50〜90質量%、特に50〜70質量%
・ 少なくとも1つの可塑剤 10〜50質量%、特に20〜40質量%及び
・ 少なくとも1つの導電性塩 0.1〜25質量%、特に2〜10質量%
を含有する。
【0016】
本発明において使用される部分アセタール化されたポリビニルアルコールは、少なくとも2つの異なるアセタール単位I及びIIを含有し、それらの中でアセタール単位IIは好ましくはビニルアルコールもしくはポリビニルアルコールのビニルアルコール単位及び酸官能化されたアルデヒドから取得される。酸官能化されたアルデヒドとして、特にグリオキシル酸(ここでRは酸官能基Yとカルボニル炭素原子との間の直接結合を表す)又は焦性ブドウ酸が使用されることができる。
【0017】
アセタールIは、好ましくはビニルアルコールもしくはポリビニルアルコールのビニルアルコール単位と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、n−ブタナール(ブチルアルデヒド)、イソブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール及び/又はノナナールの群からの少なくとも1つのアルデヒドとの反応によりその都度純物質又は異性体混合物として製造される。特に好ましくはn−ブタナールが使用され、これは市販のポリビニルブチラールの製造の際にも使用される。
【0018】
アセタールI及びアセタールIIからなる部分アセタール化されたポリビニルアルコールのモノマー単位の数の比は、幅広い範囲で調節されることができ、かつ好ましくは1:1〜10,0000:1、特に10:1〜1000:1もしくは100:1〜1000:1である。
【0019】
部分アセタール化されたポリビニルアルコールの製造は、市販のポリビニルブチラールの製造に類似して行うことができ、その際にポリビニルアルコールと少なくとも2つの異なるアルデヒドもしくはカルボニル化合物とのコアセタール化はアセタール基I及びIIの取得下に行われる。選択的にDE 10 143 190に従って既に製造されたポリビニルブチラールの付加的なアセタール化が行われることができる。
【0020】
さらに、複数の部分アセタール化されたポリビニルアルコールからなる、例えば市販のPVBを有する、混合物を使用することが可能である。
【0021】
官能化されたアセタール単位IIを、部分アセタール化されたポリビニルアルコール中に依然として存在しているビニルアルコール単位と、架橋下に反応させることができることを指摘することができる。架橋反応は、とりわけシート製造の際の材料の熱処理に依存しており、故に極めて多様な架橋度をもたらすことができる。
【0022】
本発明による組成物は好ましくは、次の繰返し単位
・ 酢酸ビニル 0.01〜5質量%
・ ビニルアルコール 10〜40質量%、好ましくは15〜35質量及び
・ アセタールI及びII 40〜80質量%、好ましくは45〜75質量%
を有する部分アセタール化されたポリビニルアルコールを含有する。
【0023】
導電性塩として、Li、K、Na、Cs、Rb、NH、Mg2+、Sr2+、Ca2+、La3+及び/又はZn2+のようなカチオン及びPF、SbF、AsF、F、Cl、Br、CFSO、ClO、ClO、BF、N(SOCF、CFCO、B2−、五ホウ酸イオン、シュウ酸イオン、ビスオキサラトホウ酸イオン(CBO)、AlClの群からのアニオン及び/又は有機スルホン酸のアニオンを有する塩が使用されることができる。
【0024】
好ましい導電性塩は、LiClO、LiPF、LiSbF、LiAsF、Li(CFCOO)、LiBF、LiCFSO、Li、LiN(SOCF又はビスオキサラトホウ酸リチウム(LiCBO)である。
【0025】
本発明による組成物のための可塑剤もしくは可塑剤成分として、好ましくは式III
−(OCHCH−OR III
で示される化合物が使用され、その際にR、Rは同じか又は異なり、炭素原子1〜15個を有し、分枝鎖状又は非分枝鎖状の、環式又は非環式の、脂肪族及び/又は芳香族の炭化水素基又はHを表し、かつnは1〜5の整数を表す。
【0026】
付加的に、通常ポリビニルブチラールと共に使用される全ての可塑剤が使用されることができる。これらには、多価の脂肪族又は芳香族の酸のエステル、多価の脂肪族又は芳香族のアルコール又は1つもしくはそれ以上の非分枝鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は芳香族の置換基を有するエーテル単位1〜10個、好ましくは1〜4個を有するオリゴエーテルグリコール、例えばジアルキルアジペート、ジアルキルセバケート、ジグリコール、トリグリコール又はテトラグリコールと線状又は分枝鎖状の脂肪族カルボン酸とのエステルが属している。
【0027】
特にトリエチレングリコール−ジ−2−エチル−ヘキサノエート(3G8)、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)及び/又は安息香酸のグリコールエステルとの組合せでの、トリエチレングリコールジメチルエーテル又はテトラエチレングリコールジメチルエーテルが特に適している。
【0028】
本発明による組成物の成分は、市販のニーダー、ミキサー又は押出機中で互いに混合されることができる。ポリビニルブチラールをシートに加工する際に使用される押出しラインを使用することが特に可能である。組成物のさらなる加工のためには、通常使用されるポリビニルブチラールシート(0.38、0.76、1.14及び1.5mm)に類似したシート厚が適することが判明している。
【0029】
イオン伝導性シートの製造方法は同様に本発明の対象であり、その際に前記の部分アセタール化されたポリビニルアルコールと少なくとも1つの可塑剤及び少なくとも1つの導電性塩との混合物はその都度前記の含分及び好ましい実施態様を用いて、シートに押し出される。
【0030】
本発明による押出法は、ざらざらにしたシートを得るために、メルトフラクチャー条件下で、例えばEP 0 185 863に記載されたように、実施されることができる。
【0031】
選択的に、ざらざらではないシートのエンボシングを、相応するローラー又はベルトを用いて40〜120μmの片面又は両面の粗さの取得下に行うことができる。
【0032】
好ましくは、表面構造は押出法において押出ダイからのプラスチックメルトの排出の直前に前記のメルトフラクチャー法によりEP 0 185 863 B1に従って施与され、その内容がここで明らかに言及される。異なる粗さ水準は、出口スリット幅及びダイ−リップ温度の変更によりダイ出口で直接に目標を定めて生じることができる。この方法は、不規則な、(確率論的な)ほぼ等方性の粗さ(ランダムラフネス)をもたらす。すなわち、粗さの測定値は、全ての方向に関して測定されてほぼ同じであるが、しかしながら個々の高所及び低所はそれらの高さ及び分布において不規則に配置されている。
【0033】
シートの表面粗さ、すなわち粗さの値Rの測定は、DIN 4768又はDIN EN ISO 4287及びDIN ISO 4288に従って行われる。表面粗さの測定に使用される測定装置は、EN ISO 3274を満たさなければならない。使用されるプロフィールフィルターは、DIN EN ISO 11562に適合しなければならない。
【0034】
さらに本発明の対象は、電極で被覆された2つの物体から構成されており、そのうちの少なくとも1つが透明であり、かつそのうちの少なくとも1つがエレクトロクロミックフィルムを有しており、その際に電極で被覆された物体は本発明によるイオン伝導性の熱可塑性組成物からなるシートにより分離されている、エレクトロクロミック複合系(elektrochromes Verbundsystem)である。
【0035】
本発明による合わせガラス系を製造するためには、特に2つの透明な物体(図1中a及びg)、特に好ましくは2枚のガラス板は、電極としての伝導性の透明な層(図1中b及びf)で、被覆される。
【0036】
好ましくは透明な電極材料としてインジウムドープされた酸化スズ(ITO)、アルミニウムドープされた酸化亜鉛、フッ素−又はアンチモンドープされた二酸化スズ(FTOもしくはATO)が使用される。
【0037】
これらの電極の少なくとも一方(図1中b)の上に、陽極酸化又は陰極還元の際に色もしくは透明度が変わるエレクトロクロミックフィルム(c)が施与される。好ましくはこのためにはポリシアノ金属酸金属、例えばヘキサシアノ鉄酸鉄、遷移金属酸化物、例えば三酸化タングステン又は伝導性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリチオフェン又はそれらの誘導体が使用される。
【0038】
他方の電極(f)上に、酸化還元可能なイオン貯蔵層又は好ましくは(c)に対して相補的なエレクトロクロミック層(e)が施与される。
【0039】
好ましくは、本発明によるエレクトロクロミック合わせガラス系は、エレクトロクロミック被覆としてヘキサシアノ鉄酸鉄(紺青とも呼ばれる、図1中c)及び三酸化タングステン(図1中e)を含有する。
【0040】
次の例は、本発明をより詳しく説明するが、しかし特許請求の範囲に定義されているような、保護範囲を制限するものではない。
【0041】
実施例
1.比較例:技術水準によるイオン伝導性のPVB−シート及びこれを用いて製造されたエレクトロクロミックエレメント
次の組成:
・ 77.5質量%のポリビニルブチラール−含量、20.5%のPVOH−含量及び2%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVB 65質量%及び
・ 導電性塩としてのトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(7.33質量%)並びにUV−吸収体Tinuvin 571(0.15質量%)を含有する可塑剤テトラエチレングリコールジメチルエーテル 35質量%
で示されるイオン伝導性のPVB−シートを、メルトポンプ及びスロットダイを備え、同方向回転型スクリューを有する二軸スクリュー押出機(製造者:Leistritz社、型式LSM 30.34)上で160℃の材料温度で押し出した。
【0042】
このシートを用いて、エレクトロクロミックエレメントを製造した。このためには、一方のK−ガラス−板(FTO−被覆フロートガラス)を電気化学的に三酸化タングステンで及び他方のK−ガラス−板を紺青で被覆した。前記のエレクトロクロミックフィルムが設けられたこれらの双方の板を、前記のイオン伝導性のPVB−シート(前もって23℃及び相対大気湿度50%で状態調節した)と技術水準に従って合わせ安全ガラス用の標準オートクレーブ法において一緒に貼り合わせた。このエレメントのアクティブなスイッチ可能な面積は、7.5cm×18.5cm(213.75cm)であった。貼り合わせ後に、エポキシ樹脂とのエレクトロクロミックエレメントの接触及び密閉を行った。完成したエレメント中のシートのイオン伝導度を40kHzでの交流抵抗から決定した。3.3・10−6S/cmの値が得られた。
【0043】
2.実施例:本発明によるイオン伝導性のPVB−シート
次の組成:
・ 20.2%のPVOH−含量、1.8%のポリ酢酸ビニル含量、0.5%のグリオキシル酸由来のアセタール含量及び77.5%のポリビニルブチラール含量を有するPVB 65質量%及び
・ 導電性塩としてのトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(7.33質量%)並びにUV−吸収体Tinuvin 571(0.15質量%)を含有する可塑剤テトラエチレングリコールジメチルエーテル 35質量%
を有するイオン伝導性のPVB−シートを、例1に記載されたように製造した。
【0044】
このシートを用いて、エレクトロクロミックエレメントを、例1に記載されたように製造した。このエレメントのアクティブなスイッチ可能な面積は9cm×30cm(270cm)であった。貼り合わせ後に、エレクトロクロミックエレメントの接触及び密封を例1に記載されたように行った。完成したエレメント中のシートのイオン伝導度を40kHzでの交流抵抗から決定した。6.9・10−6S/cmの値が得られた。
【0045】
PVBのポリマー鎖中へのグリオキシル酸基の組み込みは、すなわちそれ以外は同じシート組成の場合に2倍のイオン伝導度の増大をもたらす。
【0046】
3.実施例1及び2によるエレクトロクロミックエレメントの電気スイッチ特性の比較
3.3・10−6S/cm(比較例1)もしくは6.9・10−6S/cm(実施例2)の伝導性のイオン伝導性のシートを用いて製造された、大きさ10cm×30cmのエレクトロクロミックエレメントから、1.4Vの直流電圧を用いてスイッチする際の電気スイッチ特性を記録した。その際に、三酸化タングステンで被覆された板は負に及び紺青で被覆された板は正に極性化している(gepolt)。脱色の際に、逆の極性の直流電圧を印加した。
【0047】
図2は双方のエレメントの電流密度−時間−曲線を比較して示す。1は、技術水準によるエレメントの電流密度−時間−特性曲線を、かつ2は、本発明によるポリマー電解質を用いたものを示している。本発明によるエレクトロクロミックエレメントのより高いスイッチ速度は、本質的により高い、着色の際に並びに脱色の際に流れる電流に関して明らかに認識されることができる。エレメント2の場合に、着色の際に3分以内に12.48mC/cmの電荷が流れる。エレメント1の場合に、着色の際に3分後にようやく5.87mC/cmが、かつまた5分後にようやく8mC/cmが流れている。色の深さは流れた電荷に比例しているので、この実施例からは、本発明によるエレクトロクロミックエレメントが、技術水準による1よりも、本質的により迅速にスイッチすることがわかる。
【0048】
4.温度変化負荷下での例1及び2によるエレクトロクロミックエレメントの持続的スイッチ安定性の比較
比較例1もしくは実施例2によるイオン伝導性のシートを用いて製造された、大きさ10cm×10cmのエレクトロクロミックエレメントを用いて、エレクトロクロミックエレメントの長期安定性を調べるために、温度変化負荷下での持続的スイッチ試験を行った。その際に、板を、温度依存性の直流電圧を用いて着色させ、かつ逆の極性の同じ温度依存性の電圧を用いて脱色させた(例3に記載されたような極性化)。
【0049】
電圧Uの温度依存性は次の等式により与えられている:
U=2.05V−0.0145V/K・ΔT
ここで、U:相応する板温度Tでの電圧[V]、ΔT:温度差T+20℃[K]。
【0050】
着色−及び脱色工程はその都度直接前後して続け、その際に着色−及び脱色時間はその都度3分間であった、その結果、1時間あたり10スイッチサイクルもしくは1日あたり240スイッチサイクルを走らせた。
【0051】
スイッチする間の温度変化負荷を調節戸棚(Klimaschrank)中で実現させた。温度サイクルはその際にその都度1日間かかる。温度はこの温度サイクルで+30゜で4h保持し、ついで4hかけて+30℃から+80℃に高め、ついで+80℃で4h保持し、その後4hかけて+80℃から−25℃に低下させ、−25℃で4h保持し、最終的に再び4hかけて−25℃から+30℃に高める。
【0052】
温度変化負荷下での持続的スイッチ試験の開始の前に、試料のスイッチ可能な帯電容量を、その都度3分間の着色時間もしくは脱色時間及び板温度約20℃での1.4Vの電圧で測定した。この測定を、4、11、18、32、60もしくは88温度サイクル(=日)後に繰り返した。88温度サイクル(21,120着色−/脱色サイクルに相当)後に、比較例1による試料のスイッチ可能な帯電容量及びそれを用いて達成可能な光学的なスイッチ行程(Schalthub)は出発容量のわずかに26%にすぎなかった、すなわち出発値のほぼ1/4に低下した。それに反して、実施例2による試料のスイッチ可能な帯電容量は出発値のまだ69%であった。すなわち本発明によるエレクトロクロミックエレメントは技術水準によるエレメントよりも本質的により高い長期安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】エレクトロクロミックガラス製品の構成を示す略示図。
【図2】本願発明の例と比較例のエレメントの電流密度−時間−曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
【0054】
a ガラス板、 b 透明な導電性層、 c エレクトロクロミック層、 d 固体電解質、 e 酸化還元可能なイオン貯蔵層又は(c)に対して相補的なエレクトロクロミック層、 f 透明な導電性層、 g ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分アセタール化されたポリビニルアルコール、少なくとも1つの導電性塩及び少なくとも1つの可塑剤を含有しているイオン伝導性の熱可塑性組成物において、部分アセタール化されたポリビニルアルコールが、次のモノマー単位:
・ 酢酸ビニル
・ ビニルアルコール
・ ビニルアルコールと、式I
−CHO I
[式中、Rは炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基である]で示される少なくとも1つのアルデヒドとからなるアセタールI
・ ビニルアルコールと、式II
【化1】

[式中、RはH、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基であり、
=直接結合、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基、炭素原子6〜18個を有するアリール基であり、かつ
Y=−COH、−SOH、−POである]で示されるカルボニル化合物とからなるアセタールII
を含有するコポリマーであることを特徴とする、イオン伝導性の熱可塑性組成物。
【請求項2】
アセタールIとアセタールIIとの部分アセタール化されたポリビニルアルコール中のモノマー単位の比が、1:1〜10,000:1である、請求項1記載のイオン伝導性の熱可塑性組成物。
【請求項3】
部分アセタール化されたポリビニルアルコールが、
・ 酢酸ビニル 0.01〜5質量%
・ ビニルアルコール 10〜40質量%及び
・ アセタールI及びII 40〜80質量%
を含有している、請求項1又は2記載のイオン伝導性の熱可塑性組成物。
【請求項4】
式IIのカルボニル化合物として酸官能化されたアルデヒドが使用されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のイオン伝導性の熱可塑性組成物。
【請求項5】
電極で被覆された2つの物体から構成されており、そのうちの少なくとも1つが透明であり、かつそのうちの少なくとも1つがエレクトロクロミックフィルムを有しており、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成を有するシートにより分離されている、エレクトロクロミック複合系。
【請求項6】
少なくとも1つのエレクトロクロミックフィルムが陰極還元の際に色を変化させるポリシアノ金属酸金属、遷移金属酸化物又は伝導性ポリマーを含有している、請求項5記載のエレクトロクロミック複合系。
【請求項7】
少なくとも1つのエレクトロクロミックフィルムが陽極酸化の際に色を変化させるポリシアノ金属酸金属、遷移金属酸化物又は伝導性ポリマーを含有している、請求項5記載のエレクトロクロミック複合系。
【請求項8】
イオン伝導性のシートの製造方法において、
a)次のモノマー単位
・ 酢酸ビニル
・ ビニルアルコール
・ ビニルアルコールと、式I
−CHO I
[式中、Rは炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基である]で示されるアルデヒドとからなるアセタールI
・ ビニルアルコールと、式II
【化2】

[式中、RはH、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基であり、
は炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基、炭素原子6〜18個を有するアリール基であり、かつ
Y=−COH、−SOH、−POである]で示されるカルボニル化合物とからなるアセタールIIを含有している部分アセタール化されたポリビニルアルコール 50〜90質量%
b)少なくとも1つの可塑剤 10〜50質量%及び
c)少なくとも1つの導電性塩 0.1〜25質量%
の混合物を押し出すことを特徴とする、イオン伝導性のシートの製造方法。
【請求項9】
押出しをメルトフラクチャー条件下で実施する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
シートをR 40〜120μmの粗さで片面又は両面でエンボシングする、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−526926(P2007−526926A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516159(P2006−516159)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051141
【国際公開番号】WO2004/112054
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(507052393)クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Brueningstrasse 50, D−65926 Frankfurt , Germany
【出願人】(505468277)ゲジマット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】