説明

エレクトロクロミック装置、およびそのようなエレクトロクロミック装置を有するフォトダイナミック処理装置

現在、健康医療分野において、多くの多様な光処理技術が使用されている。主な例は、生体内(in vivo)または生体外(ex vivo)のフォトダイナミック処置(PDT)であり、これには、肌の疾患、癌/腫瘍、乾癬、気分障害、膀胱感染症、創縫合の促進、脊髄損傷の回復、および筋肉/骨萎縮への対抗等がある。PDTは、感光物質または感光剤とも呼ばれる試薬と、特定の種類の光線とを用いた処置である。本発明は、改良されたPDT装置に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック装置に関する。また、本発明は、そのようなエレクトロクロミック装置を有するフォトダイナミック処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、健康医療分野において、多くの多様な光処理技術が使用されている。主な例は、生体内(in vivo)または生体外(ex vivo)のフォトダイナミック処置(PDT)であり、これには、肌の疾患、癌/腫瘍、乾癬、気分障害、膀胱感染症、創縫合の促進、脊髄損傷の回復、および筋肉/骨萎縮への対抗等がある。PDTは、感光物質または感光剤とも呼ばれる試薬と、特定の種類の光線とを用いた処置である。感光物質は、特定の波長の光に露光されると、酸素ラジカルのような、近傍の細胞を死滅させる反応生成物を形成する。各感光物質は、特定の波長の光によって活性化される。この波長は、光が体内に進入する距離を定めるため、特定の感光物質および光の波長が利用され、体の異なる領域が処理される。現在のところ、大部分のPDT装置には、レーザまたはLEDのような、様々な別個の単色光源が利用され、赤外(IR、1100nm)から紫外(UV、300nm)までの、波長範囲が網羅される。従来のPDT装置の主な問題は、フォトダイナミック治療に、単一の波長のみしか利用することができないことである。特定の(生物的)処理プロセスには、ある(単なる)特定の波長が要求されるため、従来のPDT装置の適用は、PDT装置によって放射される波長範囲に属する感光物質の活性化に限定される。複数の感光物質を、同時におよび連続的に活性化するように適合された、PDT装置に対する要望が高まっており、このためには、相互に異なる活性化波長または波長範囲が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2005/027245号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、複数の感光物質を連続的に活性化することができる、改良された装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、前述のようなエレクトロクロミック装置であって、
少なくとも一つの多色照明装置と、
少なくとも一つの切り替え可能なエレクトロクロミック窓であって、該エレクトロクロミック窓に印加される電圧に応じて、前記照明装置によって放射される少なくとも一つの特定の波長の透過性を選択的に調整するエレクトロクロミック窓と、
を有するエレクトロクロミック装置を提供することにより達成される。本発明によるエレクトロクロミック装置のエレクトロクロミック窓は、電圧の印加によって生じる、前記エレクトロクロミック窓内での電気化学的酸化還元により、異なる不透明度を示し、このエレクトロクロミック窓によって、異なる光透過特性(不透明度)が得られる。従って、切り替え可能なエレクトロクロミック装置により、多色照明装置によって放射される光を、選択的にフィルタ処理することが可能となり、さらには、エレクトロクロミック窓に印加される電圧に応じて、特定の波長または波長バンドを持つ光を、選択的に透過することが可能になる。エレクトロクロミック窓を選択的に切り替え、結果的にエレクトロクロミック窓を調整することにより、本発明によるエレクトロクロミック装置は、複数の波長および/または複数の波長範囲(バンド)を、同時にさらには連続的に、効果的に放射するように適合される。従って、本発明による装置がPDTに組み込まれた場合、相互に異なる活性化波長が必要となる、複数の感光物質を連続的に活性化させることが、有意に可能となる。本願において、「光」という表現は、広く解釈する必要があることに留意する必要がある。この表現は、可視スペクトル(通常、380nmから780nmの波長範囲を有する)に属する単なる電磁放射線の他、赤外線、紫外線、さらにはX線をも含む不可視電磁放射線を含むものである。
【0006】
本発明によるエレクトロクロミック装置の実施例では、照明装置は、複数の単色光源を有する。単色光源の一例は、レーザおよび発光ダイオード(LED)である。この実施例では、複数のLEDを適用することが好ましく、これらのLEDは、相互に積層されることが好ましい。好適実施例では、照明装置は、少なくとも一つの多色光源を有する。この方法では、照明装置、さらにはエレクトロクロミック装置を、比較的小型に製造することができる。本発明による装置には、従来の(多色)電球も使用され得るが、1または2以上の多色有機LED(OLED)、あるいは1または2以上の多色プラスチックまたは高分子LED(PLED)を適用することがより好ましい。ただし、PLEDの製造コストは、より高くなる。多色LEDは、従来の電球に比べて、より顕著に小型化される。従来の固体LEDに対して、OLEDには、より多くのものを安価に製造することができる可能性がある。また、OLEDは、LEDよりも軽く、従来の成膜技術により、比較的容易に製造することができる。通常のOLEDは、アノード、カソード、およびアノードとカソードの間に設置された、少なくとも2つの誘起材料層を有する。多くのOLEDにおいて、アノードは、比較的仕事関数の大きな材料、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)を有し、通常、カソードは、比較的仕事関数の小さな材料、例えばカルシウム(Ca)を有する。通常のOLEDにおいて、有機材料層の一つは、ホールを輸送する機能を持つ材料を有し、従って通常の場合、ホール輸送層と呼ばれる。別の有機材料層は、通常、電子を輸送する機能を持つ材料を有し、従って通常の場合、電子輸送層と呼ばれる。また電子輸送層は、発光媒体(または発光層)として機能しても良い。あるいは、ホール輸送層と電子輸送層の間に、追加の発光層が設置されても良い。いずれかの場合において、OLEDが適正にバイアス化されると、アノードは、ホール輸送層にホール(正の帯電担体)を注入し、カソードは、電子輸送層に電子を注入する。注入されたホールと電子は、それぞれ、逆極性に帯電された電極の方に泳動する。電子とホールが同じ分子上に局在化すると、フレンケル励起が形成され、(可視)光が放射される。
【0007】
好適実施例では、エレクトロクロミック装置は、複数のエレクトロクロミック窓を有する。この実施例は、比較的大領域の照明領域が望ましくあるいは必要な場合、有意であり、異なるエレクトロクロミック窓が、相互に隣接して配置されるという特徴を示す。別の実施例では、少なくとも2つのエレクトロクロミック窓は、前記窓に印加された電圧に応じて、異なる光学的特性を示すように適合される。この実施例では、前記相互に異なるエレクトロクロミック窓を、相互の上部に積層することができるという利点が得られる。各エレクトロクロミック窓は、オンとオフが切り替えられ、従って、実際には、切り替え可能な光フィルタとして機能するため、複数の切り替え可能なフィルタが、相互の上部に積層される。この累積フィルタ処理により、透過性、さらには所望の特定のスペクトルの有効な放射が最適化され、調整される。
【0008】
エレクトロクロミック窓は、支持表面に配置された、複数の層のスタックを有することが好ましい。エレクトロクロミック窓の複数の層のスタックは、1または2以上のLEDによって、特にOLEDによって形成された、照明装置上に配置されることがより好ましい。エレクトロクロミック窓は、通常、イオン貯蔵層、エレクトロクロミック層、およびイオン貯蔵層とエレクトロクロミック層を分離する適当な固体電解質のスタックを有し、エレクトロクロミック層の材料選定により、エレクトロクロミック層によって吸収され、透過される波長または波長範囲がそれぞれ定められる。スタックは、基板上に設置されるように適合される。通常の場合、イオン貯蔵層およびエレクトロクロミック層のそれぞれには、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)のような、透明電流コレクタが設置される。一般に、層の組立体は、2つのガラス層により取り囲まれる。2つのITO層には、電源が配線され、電圧によって、イオン貯蔵層からのイオンが、イオン伝導性層(電解質)を介して、エレクトロクロミック層に移動する。これにより、ガラスが不透明になる。適当な電圧に調整することにより、イオンは、エレクトロクロミック層から、イオン貯蔵層内に駆動される。イオンがエレクトロクロミック層から排出されると、窓は、再度透明に戻る。
【0009】
照明装置およびエレクトロクロミック窓の給電に必要な電圧は、電気の主管のような、外部電源から供給することができる。しかしながら、好適実施例では、エレクトロクロミック装置は、少なくとも一つの電気化学的エネルギー源を有し、これにより、少なくとも一つの照明装置およびエレクトロクロミック窓に給電されても良い。より好適な実施例では、電気化学的エネルギー源は、本発明によるエレクトロクロミック装置の統合部分を構成しても良い。電気化学的エネルギー源は、基板上に配置された、少なくとも一つのバッテリスタックを有することが好ましく、このバッテリスタックは、第1のバッテリ電極、第2のバッテリ電極、および第1のバッテリ電極と第2のバッテリ電極を分離する中間固体電解質、を有する。そのような薄膜バッテリスタックは、照明装置およびエレクトロクロミック窓と一緒に、システムインパッケージ(SiP)と完全に統合される。薄膜バッテリスタックは、3D配向を有し、バッテリスタックのバッテリ特性が改善されることが好ましい。3D配向薄膜バッテリスタックの実施例は、国際公開第WO2005/027245号に既に示されている。本発明によるエネルギー源の少なくとも一つの電極は、以下の元素の少なくとも一つの活性種の貯蔵に適合されることが好ましい:水素(H)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、およびカリウム(K)、または周期律表の群1もしくは群2に割り当てられた、他のいかなる適当な元素。従って、本発明によるエネルギーシステムの電気化学的エネルギー源は、各種インターカレーション機構に基づくものであっても良く、従って、例えばリチウムイオンバッテリセル、NiMHバッテリセル等、異なる種類のバッテリセルの構成に適する。好適実施例では、少なくとも一つの電極、特にバッテリアノードは、以下の少なくとも一つの材料を有する:C、Sn、Ge、Pb、Zn、Bi、Sb、Li、および好ましくはドープされたSi。また、これらの材料の組み合わせを用いて、電極を構成しても良い。電極として、n型もしくはp型のドープされたSiを使用し、あるいはドープされたSi系化合物、例えばSiGeもしくはSiGeCを使用することが好ましい。また、アノードとして、他の適当な材料を適用しても良く、好ましくは、バッテリ電極の材料が、反応種のインターカレーションおよび貯蔵に適する場合、周期律表の12〜16群の一つに割り当てられた、いかなる他の適当な元素を適用しても良い。前述の材料は、リチウムイオン系のバッテリセルへの適用に、特に適している。水素系のバッテリセルを適用する場合、正極は、特にLaNi5などのAB5型材料、および特にMgxTi1-xのようなマグネシウム系合金のような、水素化物形成材料を有することが好ましい。リチウムイオン系セルの場合、負極は、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2のような、少なくとも一つの金属酸化物系材料、あるいはこれらの組み合わせ、例えばLi(NiCoMn)O2を有することが好ましい。水素系エネルギー源の場合、カソードは、Ni(OH) 2および/またはNiM(OH)2を有することが好ましい。ここで、Mは、例えばCd、Co、またはBiの群から選定された、1または2以上の元素によって構成される。
【0010】
本発明によるエレクトロクロミック装置の好適実施例では、エレクトロクロミック装置は、制御ユニットを有し、少なくとも一つのエレクトロクロミック窓に印加される電圧が制御される。また制御ユニットは、エレクトロクロミック装置の統合電気化学的エネルギー源によって、電力供給され得る。
【0011】
エレクトロクロミック装置からの実質的に均一な光出力を確保するため、少なくとも一つのエレクトロクロミック窓には、1または2以上の光フォイルが設置されることが好ましく、これにより、前記エレクトロクロミック窓により透過した光が拡散する。これらの拡散および/または反射フォイルは、従来技術として知られている。
【0012】
好適実施例では、エレクトロクロミック装置は、パッケージによって、部分的に取り囲まれる。エレクトロクロミック装置の損傷を防止し、または少なくとも抑制するため、保護パッケージが設置される。通常、パッケージは、不透明材料で構成されるため、エレクトロクロミック窓は、パッケージによって実質的に被覆されない状態に維持されることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、フォトダイナミック処理装置(PDT)に関し、この装置は、本発明によるエレクトロクロミック装置を有する。このため、前記照明装置により放射される光の波長によって、少なくとも一つの感光物質が活性化され得るように、多色照明装置が選定されることが好ましい。好適実施例では、PDT装置は、人または動物の体の生体内処理に適合される。特に、PDT装置は、生体移植可能であることが好ましい。好適実施例では、PDTは、人または動物の体の生体外処理に適合される。これらの(統合または移植可能な)PDT装置は、以下のような生体内または生体外の処置に、有意に使用することができる:肌の疾患、癌/腫瘍、乾癬、気分障害、膀胱感染症、創縫合の促進、脊髄損傷の回復、および筋肉/骨萎縮への対抗。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるエレクトロクロミック装置の概略的な断面図である。
【図2】本発明による別のエレクトロクロミック装置の概略的な断面図である。
【図3A】図1および2によるエレクトロクロミック装置に使用され得る、エレクトロクロミック窓の拡大概略断面図である。
【図3B】図1および2によるエレクトロクロミック装置に使用され得る、別のエレクトロクロミック窓の拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、非限定的な例を用いて、本発明について説明する。
【0016】
図1には、本発明によるエレクトロクロミック装置1の概略的な断面図を示す。図1に示すエレクトロクロミック装置1は、フォトダイナミック処理(PDT)装置としての使用に適合されている。エレクトロクロミック装置1は、基板(明確には示されていない)上に設置された、薄膜固体バッテリ3の積層体2を有し、このバッテリ3上には、第1の分離層4、制御ユニット5、第2の分離層6、多色OLED7、およびエレクトロクロミック窓8が、順次設置されている。統合バッテリ3は、多色OLED7と、エレクトロクロミック窓8の両方に給電するように適合される。エレクトロクロミック窓8は、制御ユニット5により切り替え可能であり、従ってオンとオフを切り替えることができる。エレクトロクロミック窓8は、少なくとも、実質的に透明な状態と、窓8が少なくとも部分的に不透明となる状態の間で、切り替えることができる。この方法では、エレクトロクロミック窓8は、事実上、調節可能な光フィルタとして機能し、多色OLED7で放射された光が選択的にフィルタ処理される。これにより、エレクトロクロミック装置1によって、所定の波長または波長範囲の光を効果的に放射することが可能となる一方、他の波長(最初、OLED7によっても放射される)は、エレクトロクロミック窓8により吸収される。フォトダイナミック処理の場合、エレクトロクロミック装置1は、該エレクトロクロミック装置1によって、同時にまたは連続的に、異なる所定の波長または異なる所定の波長範囲が、効果的に放射されるように制御され、切り替えられる。これにより、エレクトロクロミック装置1は、異なる感光物質の、同時のまたは連続的な活性化に適するようになる。積層体2は、保護パッケージ9により取り囲まれる。エレクトロクロミック装置1は、生体外の使用に適合されるが、生体移植を介して、生体内に使用されても良い。
【0017】
図2には、本発明による別のエレクトロクロミック装置10の概略断面図を示す。図2に示すエレクトロクロミック装置10は、図1に示すエレクトロクロミック装置1と実質的に同様に構成されるが、このエレクトロクロミック装置10は、相互に上部に設置された複数の単色LED11a、11bを有する点が異なっている。LED11a、11bは、異なる色を有する光を放射するように適合される。さらに、エレクトロクロミック装置10は、上部に固体バッテリ12が設置された基板を有し、このバッテリ12の上部には、第1の分離層13、制御ユニット14、第2の分離層15、いずれも単色のLED11a、11b、およびエレクトロクロミック窓16が順次設置される。バッテリ12、制御ユニット14、および単色LED11a、11bを保護するため、保護パッケージ17が設置される。単色LED11a、11bは、ともに多色照明装置を形成する。エレクトロクロミック装置10の機能は、図1に示したエレクトロクロミック装置1と同様である。
【0018】
図3aには、図1および2によるエレクトロクロミック装置に使用され得る、エレクトロクロミック窓18の概略的な拡大断面図を示す。図3に示すエレクトロクロミック窓18は、リチウム系の活性種が存在するときのエレクトロクロミック窓18である。エレクトロクロミック装置18は、2つのガラス基板19、20を有し、両者の間には、第1の電流コレクタ21、イオン貯蔵層22、電解質23、エレクトロクロミック層24、および第2の電流コレクタ25が設置される。この例では、電流コレクタ21、25は、インジウムスズ酸化物(ITO)で構成される。イオン貯蔵層22は、CeO2−TiO2層により形成され、電解質23は、LiPONにより形成され、エレクトロクロミック層24は、LixWO3により形成される。電源(図示されていない)は、2つの電流コレクタ24、25に配線され、電圧により、リチウムイオンは、イオン貯蔵層からイオン伝導性層23を介して、エレクトロクロミック層24まで駆動される。これにより、エレクトロクロミック窓18は、少なくとも部分的に不透明となる。適当な電圧に調整することにより、イオンは、エレクトロクロミック層24から駆動され、イオン貯蔵層22に入る。イオンがエレクトロクロミック層24から排出されると、エレクトロクロミック窓18は、再度透明に戻る。
【0019】
図3bには、図1および2によるエレクトロクロミック装置1、10に使用され得る、別のエレクトロクロミック窓26の概略的な拡大断面図を示す。この図に示したエレクトロクロミック窓26は、水素系活性種が存在するエレクトロクロミック窓26である。エレクトロクロミック窓26は、2つのガラス基板27、28を有し、両者の間には、第1の電流コレクタ29、イオン貯蔵層30、第1のパラジウム層31、電解質32、第2のパラジウム層33、エレクトロクロミック層34、および第2の電流コレクタ35が設置される。この例では、電流コレクタ29、35は、インジウムスズ酸化物(ITO)で構成される。イオン貯蔵層30は、Ni(OH)2層により構成され、電解質32は、ZrOyHxで構成され、エレクトロクロミック層34は、MgyGd(1-y)Hxで形成される。通常、パラジウム層31、33は、極めて薄く、イオン貯蔵層30およびエレクトロクロミック層34での水素の吸収と脱着の触媒反応に適している。
【0020】
前述の実施例は、一例であって、本発明を限定するものではないこと、および当業者には、添付の特許請求の範囲から逸脱しないで、多くの代替実施例を設計することができることに留意する必要がある。請求項において、括弧内に記載されたいかなる参照符号も、請求項を限定するものと解してはならない。「有する」という動詞およびその変化形は、請求項に記載されたもの以外の他の素子またはステップの存在を排斥するものではない。素子の前の「一つの」という用語は、そのような素子が複数存在することを排斥するものではない。単に、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されていないという事実から、これらの手段の組み合わせが有意に使用することができないと解してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの多色照明装置と、
少なくとも一つの切り替え可能なエレクトロクロミック窓であって、該エレクトロクロミック窓に印加される電圧に応じて、前記照明装置によって放射される少なくとも一つの特定の波長の透過性を選択的に調整するエレクトロクロミック窓と、
を有するエレクトロクロミック装置。
【請求項2】
前記照明装置は、複数の単色光源を有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項3】
前記照明装置は、少なくとも一つの多色光源を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項4】
前記照明装置は、少なくとも一つの発光ダイオード(LED)を有することを特徴とする請求項2または3に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項5】
前記LEDは、有機LED(OLED)であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項6】
前記照明装置は、複数のLEDを有することを特徴とする請求項4または5に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項7】
当該エレクトロクロミック装置は、複数のエレクトロクロミック窓を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項8】
少なくとも2つのエレクトロクロミック窓は、該窓に印加された電圧に応じて、異なる光学的特性を示すように適合されていることを特徴とする請求項7に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのエレクトロクロミック窓は、支持表面に設置された、複数の層のスタックを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項10】
前記複数の層のスタックは、前記照明装置上に設置されることを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項11】
当該エレクトロクロミック装置は、少なくとも一つの電気化学的エネルギー源を有し、前記少なくとも一つの照明装置、および前記少なくとも一つのエレクトロクロミック窓に給電されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項12】
前記電気化学的エネルギー源は、基板上に設置された少なくとも一つのバッテリスタックを有し、
前記バッテリスタックは、第1のバッテリ電極、第2のバッテリ電極、および前記第1のバッテリ電極と前記第2のバッテリ電極を分離する、中間の固体電解質を有することを特徴とする請求項11に記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項13】
当該エレクトロクロミック装置は、前記少なくとも一つのエレクトロクロミック窓に印加される電圧を制御する、制御ユニットを有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項14】
当該エレクトロクロミック装置は、前記少なくとも一つのエレクトロクロミック窓に設置された、少なくとも一つの光フォイルを有し、前記エレクトロクロミック窓によって透過した光が拡散されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項15】
当該エレクトロクロミック装置は、パッケージにより、部分的に取り囲まれていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一つに記載のエレクトロクロミック装置を有するフォトダイナミック処理装置。
【請求項17】
当該フォトダイナミック処理装置は、体の生体内処理用に適合されていることを特徴とする請求項16に記載のフォトダイナミック処理装置。
【請求項18】
当該フォトダイナミック処理装置は、生体移植可能であることを特徴とする請求項17に記載のフォトダイナミック処理装置。
【請求項19】
当該フォトダイナミック処理装置は、体の生体外処置用に適合されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一つに記載のフォトダイナミック処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2010−513971(P2010−513971A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542302(P2009−542302)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055058
【国際公開番号】WO2008/075263
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】