説明

エレクトロルミネセント・ディスプレイのためのシールおよびシール方法

本発明は、大気中の汚染物質へのディスプレイ部品の露出を防止する周囲シールを組み込むシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイであり、また、同様のものを作るためのシール方法に関する。シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイは、基板、カバープレート、および基板とカバープレートと間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有する。大気中の汚染物質へのエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の露出を防止するために基板からカバープレートに延在する周囲シールが提供される。周囲シールはシール材料の1つ以上の層を有し、その状況で、さらに少なくとも1つの層がゲッター材料を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレクトロルミネセント・ディスプレイに関わり、特に、本発明は、少なくとも1つの大気中の汚染物質へのディスプレイ部品の露出を防止する周囲シールを有するエレクトロルミネセント・ディスプレイ、および同様のものを作るためのシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレクトロルミネセント・ディスプレイは、大気中の汚染物質に露出することにより、ディスプレイの寿命を短縮することが知られている。エレクトロルミネセント・ディスプレイを保護するために、様々なタイプのシールが利用されてきた。
【0003】
薄膜発光体を使うエレクトロルミネセント・ディスプレイにおいて、発光体材料は、通常、1組のアドレス指定可能な電極間にサンドイッチにされ、大抵、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、または他の耐熱基板上に作られる。発光体の材料は電極間で発生する電界の印加により活性化する。これらのディスプレイは、作製されたディスプレイ上に化学的に不浸透性のカバープレートを配置することにより、また、出願人の特許文献1に例示されているように、発光体材料と電極を基板とカバープレートの間に隔離するために周囲シールで基板とカバープレートとの間の周囲をシールすることにより、大気中の汚染物質から保護することができる。場合によっては、カバープレートはディスプレイの目視側にあり、その場合にそれは光学的に透明でなければならず、また他の場合には、ディスプレイは光学的に透明な目視側基板で構成され、カバープレートは目視側の反対側に置かれる。
【0004】
薄膜発光体および厚膜誘電体層を使ったフルカラー厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイは、伝統的な薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイより大きな輝度とそれ凌ぐ優れた信頼性を提供する。厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイは、大気中の水蒸気との反応に起因した劣化に影響されやすい発光体材料と絶縁体材料を通常、使用する。さらに、そのようなディスプレイの厚い誘電体層は、ディスプレイの明度を使用可能なレベルに高めるが、大気中の汚染物質との反応に起因した劣化に影響されやすい可能性もある。
【0005】
厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイは、通常、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、または他の耐熱基板などで構成される。ディスプレイの作製方法は、最初に1組の下部電極を基板上に堆積(または蒸着)することを必要とする。厚膜誘電体層は、次に、特許文献2(その開示内容は参照として全体がここに組み込まれている)に例示された厚膜堆積法を使用して堆積される。次に、1つ以上の薄い発光体膜をサンドイッチする1つ以上の薄膜誘電体層から成る薄膜構造が堆積され、それに続いて、特許文献3(その開示内容は全体がここに組み込まれている)によって例示されたように真空の技術を使用して1組の光学的に透明な上部電極が堆積される。大気中の汚染物質への層の露出を最小にするために、出願人の特許文献1に例示されたような、薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイのために説明されたものと同様の処理を使用できる。
【0006】
特許文献4は、酸素と水蒸気からデバイスを保護するためにバリア層と色変換層の間にシール層を組み込んだ有機発光デバイス(OLED)を開示している。このシール層は、ディスプレイ中のいくつかのOLEDをカバーでき、また、デバイス中のOLEDの周りだけに熱接着性周囲シールを含むことができる。
【0007】
特許文献5は、ガラス基板とガラスカバーの間にサンドイッチされた有機エレクトロルミネセント・デバイスを開示している。第1および第2のシールが、ガラス基板およびガラスカバーのシールに使用される。第1および第2のシールの間に、乾燥剤および/または不活性過フッ化炭化水素液体を供給する。
【0008】
特許文献6は、接着剤によって共に接着された透明基板とシールキャップを有する有機薄膜エレクトロルミネセント・デバイスを開示している。接着剤は異なる硬化条件を持った接着剤の組み合わせとすることができる。
【0009】
特許文献7は、第1および第2の基板を有し、それら基板の間にサンドイッチされた液晶材料の周囲がシールをされた液晶ディスプレイを開示している。
【0010】
特許文献8は、水または酸素が有機発光デバイスに達するのを防ぐためのバリアを開示している。そのバリアは、自身の間に無機物層を持った重合体層を有している。ゲッター材料を、無機物層に供給でき、または重合体層とディスプレイの間の別々の層として供給することができる。このタイプのバリアは、自身を通して蒸気種の比較的高い輸送速度をもたらす、厚さに対する大きい面積比のために、実用性を制限してきた傾向がある。
【0011】
前述の各文献は、多種のタイプのシールの使用と、エレクトロルミネセント・ディスプレイのシール配置について教示するが、その一方で、これらのシールとシール配置は、エレクトロルミネセント・ディスプレイへの大気中の汚染物質の流れ込みをそれほど不動にできない。したがって、エレクトロルミネセント・ディスプレイの動作の安定性を改良するための、その適切なシールおよびシール方法の必要性が、未だ残る。
【特許文献1】米国同時係属特許出願第60/406,661号明細書
【特許文献2】米国特許第5,432,015号明細書
【特許文献3】国際公開第00/70917号パンフレット
【特許文献4】米国特許第5,920,080号明細書
【特許文献5】米国特許第6,081,071号明細書
【特許文献6】米国特許第6,210,815号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0054270号明細書
【特許文献8】米国特許第6,146,225号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、エレクトロルミネセント・ディスプレイのディスプレイ動作安定性を向上するためのシールおよびシール方法に対するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
シールは、カバープレートと基板の間に提供されるエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造に否定的に影響しうる大気中の汚染物質の流れを効率的に最小にするために、ディスプレイの基板からディスプレイのカバープレートに接触して延在する周囲シールである。言い換えれば、周囲シールは、基板とカバープレートの間のギャップの高さ全体を占める。周囲シールはエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の機能を妨げない。周囲シールの提供は、それが組み込まれるエレクトロルミネセント・ディスプレイの動作デバイスを増加させることの助けとなる。
【0014】
第1の態様では、本発明の周囲シールは、ゲッター材料およびシール材料を有する単一層シールである。シールは、ディスプレイの外側の境界であるエレクトロルミネセント・ディスプレイの周囲に提供される。本発明の他の態様では、周囲シールは、丁度今説明したような第1の単一層シールと、シール材料を有する第2の外側層であって自身の中にゲッター材料を含むか、または含まない第2の外側層とを有する。これは二重シールを形成する。本発明のさらに他の態様においては、本発明の周囲シールは、複数のシール材料の層を有することができ、その状況で、1つ以上の層が追加的にゲッター材料を有する。周囲シールが2つ以上の層を有するとき、好ましくは、層はお互いに隣接し、お互いに直接接触する。
【0015】
本発明の一態様によると、カバープレート、基板、およびそれらの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有するエレクトロルミネセント・ディスプレイのための周囲シールであって、
シール材料の1つ以上の層を有し、その状況で、シール材料の少なくとも1つの層がゲッター材料を追加的に有し、その状況で、前記周囲シールが前記カバープレートと前記基板の間のシールに接触しシールを形成することを特徴とする、周囲シールが提供される。好適な態様では、周囲シールはエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造に接触しない。
【0016】
本発明のさらに他の態様によると、
基板と、
カバープレートと、
基板とカバープレートとの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造と、
大気中の汚染物質へのエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の露出を防止するために基板からカバープレートに接触し延在する周囲シールを有する、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイが提供される。
【0017】
本発明のさらに他の態様によると、ゲッター材料は、周囲シールに浸透する大気中の汚染物質がゲッター材料に遭遇して吸収されるように、シール材料に亘って一様に分布し、大気中の汚染物質を不動にする材料である。また、ゲッター材料は、エレクトロルミネセント・ディスプレイ中で捕らえられた少なくとも1つの大気中の汚染物質を除去する機能も果たす。
【0018】
本発明のさらに他の態様によると、ゲッター材料の濃度は、シール材料体積の少なくとも約5%で、多くとも約50%であり、さらに好ましくは、周囲シールのどれかの層を形成するシール材料体積の約10%と約30%の間である。
【0019】
さらなる態様において、ゲッター材料は、単一層、二重層、または複数層のシールとして提供されるかどうかに関係なく、周囲シールの厚さを超えることのない粒径を有する。好ましくは、ゲッター材料は約0.1から約250マイクロメートルの範囲の粒径を有している。
【0020】
本発明のさらに他の態様においては、ゲッター材料は、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、過塩素酸塩、およびそれらの混合物から成るグループから選択される。また、ゲッター材料は、モレキュラーシーブ(molecular sieve;分子ふるい)、酸化カルシウム、酸化バリウム、リン五酸化物、硫酸カルシウムおよびそれらの混合物から成るグループから選択することもできる。
【0021】
本発明のさらに他の態様によると、シール材料は、UVまたは熱で硬化可能な接着剤から成るグループから選択される。シール材料は、エポキシ、フェノキシ(phenoxy)、酢酸セルロース、シロキサン、メタクリレート、スルフォン、フタレート(phthalate;フタル酸エステル)およびそれらの混合物から成るグループから選択できる。
【0022】
シール材料の粘性は、硬化の前に、約2500ポイズ(poise)未満で約10ポイズを超える。
【0023】
本発明のさらに他の態様によると、エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造および薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造から成るグループから選択される。
【0024】
本発明のさらに他の態様によると、
基板、カバープレート、およびそれらの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有する、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作る方法であって、
基板、および/または、カバープレートの周囲に周囲シールを堆積し、その状況で、前記周囲シールが少なくとも1つのゲッター材料および少なくとも1つのシール材料の混合物を有するようにし、そして、
前記周囲シールを硬化する
ことを特徴とする、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作る方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、ここに与えられた詳細な説明と、そして添付図面とから、より完全に理解できるようになるが、これは、例としてのみ与えられるものであって、本発明の意図する範囲を限定するものではない。
【0026】
本発明は、エレクトロルミネセント・ディスプレイのための新規なシールおよびシール方法である。このシールは、少なくとも1つの大気中の汚染物質、例えば酸素や水などの原子的な種または分子的な種の総合的な流れを十分かつ大幅に不動にし、エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造に悪影響を与えることを回避する周囲シールである。本発明によるシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイの好適な実施形態を図1〜図4に示す。
【0027】
本発明の第1の実施形態における周囲シールはゲッター材料とシール材料を有する。ゲッター材料は大気中の汚染物質不動化(固定)材料である。この周囲シールは、エレクトロルミネセント・ディスプレイのカバープレートと基板の両方に接触し、カバープレートと基板とのギャップが完全にシールをされるようにした単一層として提供される。まず、図1および図1Aを参照すると、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイの第1のこの実施形態の平面図と部分的な断面図がそれぞれ示され、参照数字10で総合的に示される。エレクトロルミネセント・ディスプレイ10は、基板20、カバープレート22、それらの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造24、およびエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造24を1つ以上の大気中の汚染物質から保護するための、基板20とカバープレート22との間の周囲シール26を有する。周囲シール26は、カバープレート22と基板20に延在および接触し、その結果、カバープレート22と基板20の間のギャップ全体に充填するように示されている。周囲シール26はエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造24に接触しない。
【0028】
図2は、図1および図1Aのエレクトロルミネセント・ディスプレイ10を示し、ディスプレイがエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造24中に厚膜誘電体層を組み込んださらに詳細な状態を示す。基板20は、その基板上に列 (row;ロウ)電極30を配置し、さらに厚膜誘電体層32、次に、薄膜誘電体層34が配置されている。薄膜誘電体層34は、その上に3つの画素カラム(column;行)36、38、および40を配置されたものとして示している。画素カラム36、38、および40は、3つの基本色、つまり赤、緑、および青を提供する発光体層を含んでいる。画素カラム36は、薄膜誘電体層34上に配置された赤色発光体層42を有する。他の薄膜誘電体層44が赤色発光体層42上に配置されており、カラム電極46は薄膜誘電体層44上に配置されている。同様に、画素カラム38は、薄膜誘電体層34上に配置された緑色発光体層48を有し、その上に他の薄膜誘電体層50およびカラム電極52を有する。画素カラム40は、薄膜誘電体層34上に配置された青色発光体層54を有し、その上に他の薄膜誘電体層56およびカラム電極58を有する。カバープレート22は、堆積膜に面した基板の上方に配置され、周囲シール26で基板にシールされる。
【0029】
周囲シールはゲッター材料とシール材料を有する。ゲッター材料は、シールに浸透する少なくとも1つの大気中の汚染物質がシールの厚さ全体を浸透して、エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造24が構築される基板20と上方に横たわるカバープレート22との間のスペースに入る前に、その汚染物質がゲッターに遭遇でき、吸収されうるように、シール材料中に亘って分散されている。ゲッター材料は、製造中のエレクトロルミネセント・ディスプレイ中に捕らえられた汚染物質を吸収する機能も果たす。
【0030】
好適な実施形態では、シール材料単位体積当たりのゲッター材料の最大荷重は約50%である。ゲッター材料荷重がさらに高くなると、シール材料の粘性が増加して材料を広げるのが難しくなる。好ましくは、単位体積あたりのゲッター荷重は少なくとも約5%であり、より好ましくは、ゲッター材料濃度はシール材料体積の約10%から約30%の間であり、もっとも好ましくは、シール材料体積の約15%から約25%の間である。
【0031】
理想的には、ゲッター材料はシール材料中に一様に分布し、シールと基板20の間の界面、およびシールとカバープレート22の間の界面において、水蒸気がゲッター材料との接触を起こすことなくシールに浸透しうるようないかなる亀裂も溝もシール材料中には存在しない。
【0032】
ゲッター材料は、例えば水を吸収する材料のような、大気中の汚染物質を不動にする何らかの材料である。適切なゲッター材料は、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、過塩素酸塩、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。好適なゲッター材料は、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、リン五酸化物、硫酸カルシウム、およびそれらの混合物を含む。
【0033】
ゲッター材料は、シールの厚さに応じて、約0.1から約250マイクロメートルの範囲の粒径を有することができる。蒸気の通過の際に容易にゲッター粒子と蒸気が接触することになる程度に、粒子間隔が十分小さくなるように、十分小さい粒径が選択されることが好ましい。また、粒径は、シール構成過程の際にシール材料を平坦に伸ばすことを実現し、粒の大きさが周囲シールの厚さを超えないように、十分小さくもできる。
【0034】
シール材料は、基板をカバープレートに付着させる助けとなり、またゲッター材料のマトリクス(matrix;母材)としても機能する。シール材料として適切な材料は、カバープレート22を介してUV光を指向することによって、またはディスプレイを加熱することによって硬化することができるUVまたは熱で硬化可能な接着剤を含むが、それらに限定されない。基板およびカバープレートは、シールと、基板および/またはカバープレートとの間に、気泡を存在させないことを確実にし、それらに適切な結合力を実現するために、適切に濡らすことができる。好ましくは、シール材料の粘性は、シール形成の間に適切なシール材料が伸びることを容易にするために、硬化の前に、約2500ポイズ(poise)未満で約10ポイズを超える。
【0035】
シール材料は、エポキシ、フェノキシ、酢酸セルロース、シロキサン、メタクリレート、スルフォン、フタレートおよびそれらの混合物を含む単量体および重合体からから選択される。電子部品に使用される市販のシール材料のような低い水分を有し容易に機能する材料を選択することが好ましい。
【0036】
図3および図3Aは、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイの第2の実施形態の平面図と部分的な断面図をそれぞれ示し、参照数字110で総合的に示される。エレクトロルミネセント・ディスプレイ110は、基板120、カバープレート122、それらの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造124を有する。周囲シール126は、基板120とカバープレート122との間に提供される。この実施形態では、周囲シール126は内側層126aと外側層126bを有する。内側層126aはシール材料とゲッター材料を有する。外側層126bはゲッター材料のないシール材料を有する。実質的に、外側層126bを通り抜けることができる大気中の汚染物質のすべての流れが、内側層126aに通り抜けて、化学的に不動化されることになる。さらに、内側層126aは、すべての大気中の汚染物質の流れが周囲シール126の層を通り抜けずに、むしろ実質的にゲッター材料に接触する結果となるように、制御され機能的に一定にされた多孔性を有する。
【0037】
図4は、図3および図3Aのディスプレイ110を、図2に示したディスプレイと同様の詳細な状態で示す。この特定の実施形態では、図3および図3Aで説明したように、周囲シール126が内側層126aと外側層126bを有していることを示す。
【0038】
図3、図3A、および図4に示すような内側層および外側層を有する周囲シールの第2の実施形態においては、シールの2つの層の間に、ディスプレイ基板のより大きな領域を占めることになるようなスペースを与えないことが好ましく、そのようなスペースは一般には好ましくない。
【0039】
本発明の周囲シールの実際の厚さ、すなわちカバープレートから基板までの距離は、当業者によって理解されるような、基板上に作られるディスプレイ構造の厚さに依存している。この厚さは、約5マイクロメートルから約2ミリメートルまでの範囲にでき、この範囲の間のいくらかの要求される範囲にできる。典型的な厚さは、約25から35マイクロメートルである。
【0040】
周囲シールの幅は大気中の汚染物質の許容できる移動速度に依存する。大気中の汚染物質の許容できる移動速度は、周囲シールの厚さ、ディスプレイ面積、シール材料の選択、ゲッター材料の選択、およびゲッター材料の荷重に依存する。周囲シールの幅の範囲は、約0.5から約15ミリメートルにでき、好ましくは、約1.5から約4ミリメートルまでにできる。周囲シールがシール材料とゲッター材料の単一層を有するとき(すなわち第1の好適な実施形態)、シールを適用できる基板面積に相応してより広いシール幅が使用できる。ゲッター材料を有する周囲シールの幅は、シールを通した大気中の汚染物質の許容される最大の浸透速度を、ディスプレイに対する必要条件と関連させつつ測定することによって、決定できる。一般に、ゲッター材料の粒径がシールの厚さに匹敵しているか、またはそれより小さいならば、単位厚さ当たりの汚染物質の吸収される確率は、ゲッター材料の量にほぼ比例する。
【0041】
内側層126aと外側層126bを有する周囲シール126の第2の実施形態においては、内側層126aの幅は外側層126bと同様であるが、内側層126aの幅はディスプレイの要求される寿命に基づいて選ぶことが好ましく、その寿命は、内側層および外側層を通した大気中の汚染物質の蓄積される漏れに順次依存する。
【0042】
本発明では、周囲シールの内側端部とディスプレイ構造の活性領域(すなわちエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造)の間にギャップが残されることが通常であり、カバープレートが基板に圧されるときにシールが伸びることを可能にする。周囲シールは、隣接する層により完全に遮断できない厚い誘電体層などのディスプレイ構造のいくつかの層の上に流出しないことが好ましい。というのは、それがディスプレイ構造の活性領域への大気中の汚染物質の横方向拡散を許容できるからである。
【0043】
本発明の周囲シールは、一般に、シールの周りに大気中の汚染物質が通過する経路が存在しないように、ディスプレイの基板とカバープレートのギャップの高さ全体を占め、その意味で、それは密封シール(hermetic seal)である。より詳しく述べると、シール材料とゲッター材料を有する単一層として提供される周囲シールに関して、周囲シールは、ゲッター材料がディスプレイ構造の活性領域の内部空間に入りうる前に、汚染物質を吸収する機会をゲッター材料が持つように、基板とカバープレートのギャップの高さ全体を占めるべきである。
【0044】
本発明の周囲シールは実施形態で以下の点を有するものとして説明してきた。
(a)シール材料とゲッター材料を有する単一層の第1の実施形態
(b)(a)で説明したような内側層と、シール材料を有するさらなる外側層を持った二重層構造の第2の実施形態
【0045】
しかしながら、本発明は、周囲シールの他の実施形態を包含する。例えば、本発明の周囲シールは、シール材料の複数の層を有することができ、そのどれか1つの層もまたゲッター材料を有する。最内層がシール材料とゲッター材料の両方を含むような周囲シールを有することが最も好ましいが、一方で、内側層がシール材料のみを有し、かつ外側層、または複数の外側層がシール材料とゲッター材料とを有するようにすることも可能である。
【0046】
さらに、本発明の周囲シールに使用されるゲッター材料は、周囲シールの1つまたは幾つかの層で使用される様々なゲッター材料の混合物を有することができる。言い換えれば、本発明の第2の実施形態では、使用されるゲッター材料を、内側層から外側層まで異なるようにできる。シール材料について同様の変化も可能である。
【0047】
どれか1つの層にゲッター材料を有するか、または有しない2つ以上のシール材料の層を持った層状周囲シール構造として提供される時に、各層は一様に提供されるが、しかし厳密に集中的な方法では提供されない、ということが当業者には理解される。言い換えれば、1つ以上の層を有する周囲シールにおいて、層は他の内側にあり、同時に外縁、すなわち、シールされるエレクトロルミネセント・デバイスの周囲部を描く。エレクトロルミネセント・デバイスを効果的にシールするためにお互いの内側、および隣接するお互いの内側に層が提供される。図に示すように、「内側」の層がエレクトロルミネセント・デバイス構造に最も近くの層のことを言い、「外側」の層がエレクトロルミネセント・デバイス構造から遠くの方にある層のことを言う、ということも、当業者には理解される。
【0048】
基板およびカバープレートのための適切な材料に関し、基板の適切な材料はガラス、ガラスセラミック、セラミックの、または他の耐熱基板などである。もっとフレキシブルなディスプレイのためには、ガス不浸透性で可撓性の基板も使用できる。カバープレートのための適切な材料は、ガラスまたはガス不浸透性で光学的に透明な他のシート材料を含む。好ましくは、カバープレートは、実質的に基板に一致する熱膨張係数を有し、周囲シールの品質が悪化しないよう周囲シールの過度の曲げが制限される。基板およびカバープレートの厚さは重要ではない。
【0049】
本発明のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイは、電気伝導性電極に直接接触するが、大気中の汚染物質からディスプレイをさらに保護するためのカバープレートの下にある、コンフォーマル(conformal)なシール層をも有する。
【0050】
本発明の周囲シールは、無機エレクトロルミネセント・ディスプレイまたは有機エレクトロルミネセント・ディスプレイ(OLED)などのような、さらに詳細には、厚膜または薄膜の無機エレクトロルミネセント・ディスプレイなどのような、様々なエレクトロルミネセント・ディスプレイと共に使用できる。最も好ましくは、本発明のシールは、厚膜の無機エレクトロルミネセント・ディスプレイと共に使用される。典型的な厚膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、1組の列 (row;ロウ)電極、その列電極を横たえる強誘電材料から成る厚膜誘電体層を含み、列電極と薄膜構造の間にサンドイッチされる。薄膜構造は、1つ以上の発光体膜をサンドイッチにする1つ以上の薄膜誘電体層を含む。1組の光学的に透明なカラム電極は薄膜構造上に堆積される。このようなディスプレイは、出願人の特許文献2(その開示内容は全体がここに組み込まれている)に例示されている。
【0051】
本発明のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作るために、上にエレクトロルミネセント・ディスプレイの構造が堆積された基板の周囲に、周囲シールが堆積される。カバープレートは、カバープレートがその周囲の基板にシールされ、エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造がカバープレートと基板の間にサンドイッチされるように、基板の上に配置される。周囲シールは単一以上の層を有するべきであり、そして、ゲッター材料を有するか、または有しないシール材料のさらなる層または複数層が基板の周囲に追加的に堆積できる。やはり、周囲シールがゲッター材料とシール材料の混合物を有する単一層であることは、好適な態様である。周囲シールが二重層または複数層構造として提供される状況では、エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造に最も近い最内層がゲッター材料を含むことが好ましい。
【0052】
本発明のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作る方法の好適な実施形態においては、ゲッター材料は、ドライボックスなどの汚染物質がない大気中でシール材料と混合され、ゲッター材料を非活性化させるような、水蒸気によるゲッター材料の汚染が避けられる。シール材料へのゲッター材料の荷重は、必要な汚染物質吸収能力とシール中での汚染物質吸収効率を達成するように調整できる。
【0053】
ゲッター材料とシール材料の混合物を含んだ周囲シールは、基板上、および/または、カバープレートの周囲に堆積されたエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造と共に、ビーズ・ディスペンサ(bead dispenser)、ステンシル、またはスクリーン印刷法を使用して、基板の周囲に堆積される。二重シールが使用される場合(すなわち本発明の第2の実施形態)、ゲッター材料とシール材料の混合物を有する一方の層と、ゲッター材料を有するか、または有しないシール材料を持った他方の外側層とが、ビーズ・ディスペンサ、ステンシル、またはスクリーン印刷法を使用して、基板および/またはカバープレートの周囲に堆積される。通常、この堆積ステップは、水蒸気汚染を防ぐためにドライボックス内で行われる。
【0054】
シールが適用されている状態の基板とカバープレートは、配置装置を使用して一体にすることができる。それらの間に空気が捕獲されないようにするために、このステップは、通常、真空下で行われる。あるいは、プレートと基板が共に圧縮される時に、シールされる容器内に含まれる空気を流出させる小さいギャップが、周囲シール中に作られる。次に、ギャップはシールされなければならない。
【0055】
次に、UV硬化のためにカバープレートを介して紫外線に露出することによるか、または熱硬化のためのオーブンで加熱することによるか、のいずれかによって、シールが硬化される。
【0056】
上記の開示は、一般に、本発明の好適な実施形態について説明するものである。以下の特定の実施例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。これらの実施例は、例示の目的のためだけに説明するものであって、発明の範囲を制限することを意図するものではない。状況によって得策が示唆または提供されるのに応じ、均等な事項の形態的変化と代替が意図される。特定の用語がここで使われたが、そのような用語は説明的なものを意図しており、限定的な目的を意図するものではない。
【0057】
[実施例]
[実施例1]
この実施例は、シール材料に混合されたゲッター材料の、通常の周囲空気から水蒸気を吸収する能力を例証している。米国オハイオ州ウェストチェスターのスリーボンド・インターナショナル株式会社(Three Bond International Inc. of West Chester Ohio, USA)から入手した30Y−296CというUV硬化可能な接着剤を、平均粒径約5マイクロメートルを有する20重量%の13Xモレキュラーシーブ粉末と混合した。混合前に、モレキュラーシーブ粉末を、まず300℃で1時間活性化した。
【0058】
続いて、混合されたゲッター材料とシール材料を、プレート上に0.3から0.5ミリメートル厚さに広げ、そしてUV硬化して膜を形成させた。次に、そのプレート上の膜を、100万分の1500の水を含む空気中に置いた。その膜を、約23℃の温度で維持し、膜の重量増加を時間に沿ってモニターした。図5に膜の重量増加を時間の関数として示す。膜の重量は、800時間に亘り時間に比例して約2.5%増加した。比較のために、モレキュラーシーブのない同様の膜を同じ条件で処理したが、図5に示すように、その膜は顕著な重量増加をしなかった。したがって、重量増加はモレキュラーシーブによる水分吸収の結果と考えられる。
【0059】
[実施例2]
シール材料が、30Y−296CというUV硬化可能な接着剤ではなくて、米国ニュージャージー州のノーランド・プロダクツ・オブ・クランベリー社(Norland Products Inc. of Cranbury, New Jersey, USA)から入手したUVS91というUV硬化可能な接着剤のみから成る点を除いて、この実施例は実施例1と同様である。その結果を図6に示す。図6は、モレキュラーシーブを含む膜の重量が約200時間で比較的早く約2.5%増加し、そして約3%で一定値になっていることを示す。実施例1については、シール材料がモレキュラーシーブを含まない場合、顕著な重量増加がなかった。この実施例は、UVS91というUV硬化可能な接着剤への水の浸透速度が、実施例1の混合接着剤での浸透速度よりもかなり速いことを示している。
【0060】
[実施例3]
この実施例は、シール材料中に分散されたゲッター材料の、シールされた体積中の水蒸気分圧を下げる能力を示す。実施例2のものと同様のUVS91というUV硬化可能な接着剤中に分散された13Xモレキュラーシーブの0.225グラムサンプルを、露点プローブを取り付けた130cmのシールされたセル中に入れた。図7はセル中の測定された水蒸気濃度を、時間の関数として示す。セル中の水分量は約100時間で約100ppmまで減少し、その材料の低い水蒸気濃度で水を吸収する効果を示している。
【0061】
[実施例4]
この実施例は、テストセル中の水蒸気濃度の増加を示し、そのテストセルは、エレクトロルミネセント・ディスプレイの基板とカバープレートの間の空隙体積と、基板とカバープレートの間の重合体シールの水蒸気耐性と、をシミュレートしている。図8に示すような筒状のテストセル200を組み立てた。筒状のテストセル200は、片端が開いたステンレス・シリンダ202を有する。シリンダ202は、約35ミリメートルの直径と約130ミリメートルの長さを有する。UVS91というUV硬化可能な接着剤を有するディスク形状のテスト・シール204をシリンダ202の上部に接着し、名目的に気密性の容器を形成した。このテスト・シール204は約0.3から0.4ミリメートル厚さであった。内部の水蒸気濃度を測定するのに、筒状のテストセル200内に露点プローブ206を取り付けた。図11は、約23℃の温度で約2.5%の水蒸気濃度の高湿度環境に置いた時の、筒状のテストセル200内部の水蒸気濃度の増加を、時間の関数として示す。筒状のテストセル200は、約0.15%から約0.18%の水蒸気濃度を含んだ空気中で組み立てた。図11は、テストセル200中の水蒸気濃度が、70時間後に、約0.18%から約1.2%に上昇したことを示している。
【0062】
[実施例5]
この実施例は、図9に示したような実施例4のテストセル100中で、4平方センチメートルのガラス基板220に0.5ミリメートル厚さのゲッター膜を含めた効果を示す。ゲッター膜は、実施例2と同様の30Y−296CというUV硬化可能な接着剤に混合した13Xモレキュラーシーブを有する。その結果を図11に示す。ゲッターの存在は、テストセル200における水蒸気濃度の増加速度をかなり減少させ、70時間後の濃度が約0.4%に上がっただけであった。
【0063】
[実施例6]
この実施例は、実施例4のテストセル200中に、ゲッター材料を含んだ内側シール226aを有する二重シール226を使用した効果を示す。この場合、図10に示すように、シールは、30Y−296というUV硬化可能な接着剤に混合した13Xモレキュラーシーブを有する内側シール226aと、モレキュラーシーブのないUVS91というUV硬化可能な接着剤を有する外側シール226bと、から成る。結果を図11に示す。70時間後に、水蒸気圧は、約0.15%の初期値から100万分の200未満まで低下した。したがって、シールは、外部雰囲気からの水蒸気浸透を防ぐのに成功しただけでなく、引き続く組み合わせにより、それは首尾よくセル中に存在する水蒸気を吸収した。
【0064】
[実施例7]
この実施例は、テスト用エレクトロルミネセント・デバイスの動作安定性における様々なシール構成の効果を示すのに役立つ。それぞれ厚膜誘電体、およびバリウム・チオアルミネート(barium thioaluminate)薄膜発光体で励起した青色発光ユーロピウムを有する4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイス340、350、360、および370を、特許文献3、国際公開第02/058438号パンフレット、および米国特許仮出願第60/434,639号明細書(その開示内容は全体がここに組み込まれている)で例示されているように、5センチメートルかける5センチメートルのアルミナ基板上に構築した。
【0065】
図12aから図12dに示すように、それぞれの4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイス340、350、360、および370は、4つのエレクトロルミネセント画素372を含んでいた。それぞれのデバイス340、350、360、および370は、約4センチメートルかける4センチメートルで基板320上に中心を置くガラス・カバープレート322を有していた。デバイス340は、2ミリメートル幅で0.5ミリメートル厚さの周囲シール326を有していた。周囲シール326は、シール材料としてUV硬化可能な接着剤30Y−296Cの層を有していた(図12a)。図12bはデバイス350として同様の配置を示すが、4ミリメートル幅で0.5ミリメートル厚さの層の周囲シール326を有する。図12cはデバイス360として同様の配置を示すが、周囲シールが、米国コロラド州のエレクトロニクス・マテリアル・インク・オブ・ブレッケンリジ社(Electronic Materials Inc. of Breckenridge Colorado, USA)からのUV硬化可能なEMI3553エポキシを分散した、粒径5マイクロメートルの13Xモレキュラーシーブから成った内側層326aを有する。この内側のシール層326aも2ミリメートル幅であるが、外側シール層326bを浸透する水蒸気が、モレキュラーシーブを含む内側層326aの周りに流れることができるように、わずか0.35ミリメートル厚さであった。図12dは、デバイス370として360と同様の配置を示すが、外側シール層326bを浸透する水蒸気が、モレキュラーシーブを含む内側シール層326aを通過しなければならないので、内側シール層360は0.5ミリメートル厚さであった。
【0066】
図13は、約85℃の温度で約85%の相対湿度における、テストチャンバ内のデバイス340、350、360、および370の、蓄積時間の関数として表した相対光度を示す。この環境における蓄積の効果を見るために、240Hzのパルス周波数でこれらデバイスの敷居電圧を60ボルト超える電圧振幅を持った交流極性電圧パルスを使用し、1つのデバイスを短期間動作させた。図13からわかるように、2ミリメートルの周囲シール326を有するデバイス340(図12a)は約50時間の蓄積後に当初の輝度の50%を失っている。4ミリメートル幅の周囲シール326を有するデバイス350(図12b)は約24時間の蓄積に対して安定であるが、約50時間の蓄積後には当初の輝度の半分を失っており、より広いシールがデバイスシールを通した水蒸気の浸透を遅らせたものの、その後には浸透速度を低下させなかったことを示している。完全でない厚さの内側周囲シール326を備えたデバイス360(図12c)は約400時間の蓄積に対して安定した輝度を示したが、次の150時間の蓄積では輝度の50%を失った。最後に、完全な厚さを有する内側層326aを持つシールを備えたデバイス370(図12d)は570時間のテスト蓄積期間中で安定した輝度を示したが、これは、本発明の二重シールの実施形態に関する効用を示している。
【0067】
本発明の好適な実施形態をここで詳細に説明してきたが、発明の精神から逸脱することなくそれに変化を施すことができるということが、当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の周囲シールの第1の実施形態によるエレクトロルミネセント・ディスプレイの平面図であって、カバーシールを部分的に切り取った状態を示す。
【図1A】図1のエレクトロルミネセント・ディスプレイの一部の部分的な図である。
【図2】図1のエレクトロルミネセント・ディスプレイの断面を詳細に示す図である。
【図3】本発明の周囲シールの第2の実施形態によるエレクトロルミネセント・ディスプレイの平面図であって、カバーシールを部分的に切り取った状態を示す。
【図3A】図3のエレクトロルミネセント・ディスプレイの一部の部分的な図である。
【図4】図3のエレクトロルミネセント・ディスプレイの断面を詳細に示す図である。
【図5】実施例1のUV硬化可能な接着剤のブレンドにおける13Xモレキュラーシーブ粉末の吸湿速度のグラフ表示である。
【図6】実施例2のUV硬化可能な接着剤UVS91における13Xモレキュラーシーブ粉末の吸湿速度のグラフ表示である。
【図7】実施例3のUV硬化可能な接着剤UVS91における13Xモレキュラーシーブ粉末を含むシールされたセルからの水分除去速度のグラフ表示である。
【図8】実施例4の水分浸透テストセルの断面図であって、実施例4のシールを通した水分浸透を測定するために構成されたものを示す。
【図9】実施例4の水分浸透テストセルの断面図であって、実施例4のシールを通した水分浸透とテストセル中の実施例5のゲッター材料を有する膜による吸湿との間のバランスの結果として、セル中の動的な水分を測定するために構成されたものを示す。
【図10】実施例4の水分浸透テストセルの断面図であって、ゲッター材料を組み込んだ内部周囲シールを有する実施例6の二重シールを通して、水分浸透を測定するために構成されたものを示す。
【図11】高湿度環境に置かれ、実施例4、5、および6の様々なシールと水分制御構成を評価するために構成された水分浸透テストセルへの時間の関数としての水分浸透を示すグラフである。
【図12a】様々なシール配置による4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイスの平面図と部分断面図を示す図である。
【図12b】様々なシール配置による4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイスの平面図と部分断面図を示す図である。
【図12c】様々なシール配置による4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイスの平面図と部分断面図を示す図である。
【図12d】様々なシール配置による4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイスの平面図と部分断面図を示す図である。
【図13】様々なシール配置による4つのテスト用エレクトロルミネセント・デバイスに対する、蓄積時間と輝度の関係を示す。
【符号の説明】
【0069】
10 エレクトロルミネセント・ディスプレイ
20 基板
22 カバープレート
24 エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造
26 周囲シール
30 電極
32 厚膜誘電体層
34 薄膜誘電体層
36、38、40 画素カラム
42 赤色発光体層
44 薄膜誘電体層
46 カラム電極
48 緑色発光体層
50 薄膜誘電体層
52 カラム電極
54 青色発光体層
56 薄膜誘電体層
58 カラム電極
110 エレクトロルミネセント・ディスプレイ
120 基板
122 カバープレート
124 エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造
126 周囲シール
126a 内側層
126b 外側層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
カバープレートと、
基板とカバープレートとの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造と、
大気中の汚染物質へのエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の露出を防止するために基板からカバープレートに延在する周囲シールを有する、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイであって、
前記周囲シールはシール材料の1つ以上の層を有し、その状況で、少なくとも1つの層がゲッター材料をさらに有することを特徴とする、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項2】
前記周囲シールは、少なくとも1つのゲッター材料および少なくとも1つのシール材料の単一層を有することを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項3】
前記周囲シールは、少なくとも1つのゲッター材料および少なくとも1つのシール材料の内側層と、少なくとも1つのシール材料を有する外側層と、を有することを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項4】
前記内側層は、前記外側層に隣接し直接接触することを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項5】
前記ゲッター材料は、大気中の汚染物質不動化材料であることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項6】
前記ゲッター材料は、前記周囲シールに浸透する前記大気中の汚染物質が前記ゲッター材料によって吸収されるように、シール材料の前記層に亘って一様に分布することを特徴とする請求項5に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項7】
前記ゲッター材料は、前記内側層に浸透する前記大気中の汚染物質が前記ゲッター材料によって吸収されるように、前記内側層に亘って一様に分布することを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項8】
前記ゲッター材料は、エレクトロルミネセント・ディスプレイ中に捕らえられた少なくとも1つの大気中の汚染物質を除去することを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項9】
前記ゲッター材料の濃度は、前記シール材料体積の少なくとも約5%で、多くとも約50%であることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項10】
前記ゲッター材料の濃度は、前記シール材料体積の約10%と約30%の間であることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのゲッター材料は、最大でも、前記少なくとも1つの周囲シールの前記1つの厚さの粒径を有していることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項12】
前記ゲッター材料は、約0.1から約250マイクロメートルの範囲の粒径を有していることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項13】
前記ゲッター材料は、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、過塩素酸塩、およびそれらの混合物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項12に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項14】
前記ゲッター材料は、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、リン五酸化物、硫酸カルシウムおよびそれらの混合物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項12に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項15】
前記シール材料は、UVまたは熱で硬化可能な接着剤から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項16】
前記内側層の前記シール材料は、前記外側層の前記シール材料と異なることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項17】
前記内側層の前記シール材料は、前記外側層の前記シール材料と同じであることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項18】
前記シール材料は、エポキシ、フェノキシ、酢酸セルロース、シロキサン、メタクリレート、スルフォン、フタレートおよびそれらの混合物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項19】
前記シール材料の粘性は、硬化の前に、約2500ポイズ未満で約10ポイズを超えることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項20】
前記周囲シールは基板とカバープレートの間のギャップの高さ全体を占めることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項21】
前記内側層および前記外側層は、基板とカバープレートと間のギャップの高さ全体を占めることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項22】
前記内側層および前記外側層は、約5マイクロメートルから約2ミリメートルまでの範囲の厚さを有していることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項23】
前記内側層および前記外側層は、約25マイクロメートルから約35マイクロメートルまでの範囲の厚さを有していることを特徴とする請求項22に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項24】
前記内側層および前記外側層は、約0.5ミリメートルから約15ミリメートルの幅を有していることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項25】
前記幅は、約1.5ミリメートルから約4ミリメートルであることを特徴とする請求項24に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項26】
前記内側層の内側端部と、前記内側層が伸びることの可能なエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造との間に、ギャップが残されることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項27】
基板は、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、およびガス不浸透性で可撓性基板から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項28】
カバープレートは、ガス不浸透性で光学的に透明なシート材料であることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項29】
ガス不浸透性で光学的に透明なシート材料はガラスであることを特徴とする請求項28に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項30】
カバープレートは、周囲シールの過度の曲げが制限されるように、基板にほぼ一致する熱膨張係数を有していることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項31】
カバープレートとエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造との間にコンフォーマルなシール層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項32】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造および薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項33】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造および薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造から成るグループから選択されることを特徴とする請求項3に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項34】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造であることを特徴とする請求項33に記載のシールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイ。
【請求項35】
基板、および/または、カバープレートの周囲に周囲シールを堆積し、前記基板が自身の上にエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有するようにする、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作る方法であって、
前記周囲シールが少なくとも1つのゲッター材料および少なくとも1つのシール材料の混合物を有するようにし、そして、
カバープレートが基板にシールされ、周囲シールがカバープレートと基板の両方に接触するように、基板上にカバープレートを配置することを特徴とする、シールされたエレクトロルミネセント・ディスプレイを作る方法。
【請求項36】
前記周囲シールは内側層と外側層を有し、その状況で、前記内側層および前記外側層は、少なくとも1つの前記ゲッター材料と前記少なくとも1つのシール材料の混合物を有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
内側層は、前記少なくとも1つのゲッター材料と前記少なくとも1つのシール材料の前記混合物を有し、外側層は、少なくとも1つのシール材料を有することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、ほぼ汚染物質のない大気中で行われることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記方法はドライボックス内で行われることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記周囲シールはビーズ・ディスペンサ、ステンシル、およびスクリーン印刷法の少なくとも1つを使用して堆積されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記内側層および前記外側層は、ビーズ・ディスペンサ、ステンシル、およびスクリーン印刷法の少なくとも1つを使用して堆積されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項42】
基板上にカバープレートを配置するのに配置装置が使用されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記周囲シールが硬化されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記周囲シールは、紫外線への露出および/または加熱から選択された方法により硬化されることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造および薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造から成るグループから選択されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項46】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造および薄膜エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造から成るグループから選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項47】
エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造は、前記厚膜誘電体エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造であることを特徴とする請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
基板、カバープレート、および基板とカバープレートとの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有するエレクトロルミネセント・ディスプレイ内に提供される周囲シールであって、
前記周囲シールは、大気中の汚染物質へのエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の露出を防止するために、基板とカバープレートの両方から延在し、かつ両方に接触し、その状況で、前記周囲シールはシール材料とゲッター材料を有する層であることを特徴とする周囲シール。
【請求項49】
前記周囲シールは、シール材料の外側層を追加的に有することを特徴とする請求項48に記載のシール。
【請求項50】
前記外側層は、1つ以上のゲッター材料をさらに有することを特徴とする請求項49に記載のシール。
【請求項51】
前記外側層は、シール材料のさらなる1つ以上の外側層を追加的に有し、それぞれの前記さらなる外側層には、1つ以上のゲッター材料が提供され、または提供されないことを特徴とする請求項49に記載のシール。
【請求項52】
前記層、外側層、またはさらなる外側層は、お互いに隣接し、お互いに直接接触することを特徴とする請求項48、49または51に記載のシール。
【請求項53】
前記シールは、前記エレクトロルミネセント・ディスプレイ構造に接触しないことを特徴とする請求項48に記載のシール。
【請求項54】
基板、カバープレート、および基板とカバープレートとの間のエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造を有するエレクトロルミネセント・ディスプレイ内に提供される周囲シールであって、
前記周囲シールは、大気中の汚染物質へのエレクトロルミネセント・ディスプレイ構造の露出を防止するために、基板とカバープレートの両方から延在し、かつ両方に接触し、その状況で、前記周囲シールはシール材料と1つ以上の外側層とを有し、その状況で、1つ以上の前記外側層は1つ以上のゲッター材料を付加的に有することを特徴とする周囲シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−505445(P2007−505445A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517914(P2006−517914)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000895
【国際公開番号】WO2005/004544
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505089913)アイファイアー・テクノロジー・コープ (18)
【Fターム(参考)】