説明

エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、エレクトロルミネッセンス装置、電子機器

【課題】基板の貼り合わせに際して加熱を必要としないエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、及び当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明に係るエレクトロルミネッセンス装置は、有機発光層56を含むEL側機能層22が形成されたガラス基板21mと、TFT側機能層12が形成されたガラス基板11mとを、接着剤50及び導電ペースト60を介して貼り合わせて製造される。ここで、導電ペースト60の近傍には反射板65が形成されている。また、EL側機能層22には、接着剤50の配置位置に開口部70aが、また反射板65に対向する位置に開口部70bがそれぞれ形成されている。基板貼り合わせ後、開口部70a,70bから入射した紫外線71により、それぞれ接着剤50、導電ペースト60が硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向して貼り合わされた2枚の基板を有するエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、及び当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、エレクトロルミネッセンス(以下「EL」とも略す)装置は、陽極としての透明電極と陰極との間に有機発光層を備える構成において、両極間に印加された電圧に応じて有機発光層を発光させ、その光を透明電極側から取り出すものである。陰極は、光の取り出し効率を上げるための反射膜としても機能するよう、金属の薄膜によって構成される場合が多い。
【0003】
こうしたEL装置は、ボトムエミッションタイプとトップエミッションタイプに大別される。ボトムエミッションタイプのEL装置は、基板上に透明電極、有機発光層、陰極がこの順に形成された構成を有し、基板側から光を取り出す装置である。一方、トップエミッションタイプのEL装置は、基板上に陰極、有機発光層、透明電極がこの順に形成された構成を有し、基板とは反対側から光を取り出す装置である。
【0004】
ボトムエミッションタイプには、TFT素子等の駆動素子の存在によって開口率が低下するという問題があるが、トップエミッションタイプにおいてはこうした問題は生じない。一方、トップエミッションタイプには、有機発光層の保護のための封止を光の取り出し側において行わなければならないという問題がある。トップエミッションタイプにおいて、効果的な封止を行うことと、良好な光学特性を維持することの両立には技術的な困難が伴う。
【0005】
そこで、上記開口率及び封止の問題をともに解消可能な構成が提案されている(特許文献1参照)。これは、ボトムエミッションタイプの基板から駆動素子を除いたEL基板と、駆動素子を備えた別のTFT基板とを貼り合わせたものである(以下本稿では、こうした構成を「擬似トップエミッション」とも呼ぶ)。この構成によれば、EL基板には駆動素子がないため、トップエミッションタイプと同様に高開口率化が可能である。また、EL基板は基本的にボトムエミッション構造であるので、封止は光の取り出し側と反対側において、光学特性に関する制約なく行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−3048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした擬似トップエミッション構造のEL装置の製造には、両基板を接着する際に、熱硬化性の接着剤を使わなければならないという制約がある。EL基板には金属の陰極が全面に配置され、またTFT基板には素子や配線が高密度で配置されているため、両基板とも光を透過する部位が少なく、光硬化性の接着剤が使用できないからである。そして、一般に有機発光層は熱に弱いため、接着剤の硬化のための加熱によって劣化し、光学特性が低下してしまうという問題点があった。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、基板の貼り合わせに際して加熱を必要としない擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、及び当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、接着剤を介して互いに対向して貼り合わされ、画素ごとに設けられた基板間導通領域において電気的に接続された第1の基板及び第2の基板を有し、複数の前記画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1の基板の対向面上に、前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を含む機能層を形成する工程と、前記第2の基板の対向面上に、透光性を有する電極を形成する工程と、前記電極上に有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層上に金属の陰極を形成する工程と、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上の、前記接着剤が形成されるべき領域に配置された、光を吸収又は反射する第1遮光要素を除去する工程Aと、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上の前記基板間導通領域に対応する位置に、導電性を有するペーストを配置する工程と、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上のうち、前記発光領域を囲う領域に接着剤を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせて複合基板を製造するとともに、前記スイッチング素子と前記陰極とを前記基板間導通領域において前記ペーストを介して電気的に接続させる工程と、前記複合基板に、前記工程Aにおいて前記第1遮光要素の除去が行われた部位に光を照射することにより、当該光によって前記接着剤を硬化させる工程Bと、を有することを特徴とする。
【0010】
上記製造方法によれば、工程Aにおいて、第1の基板又は第2の基板上の第1遮光要素が除去されることによって、当該除去が行われた基板は、その部位において光を透過することができるようになる。これにより、両基板を貼り合わせた後に外部から光を入射する際の、基板表面から接着剤までの光路が確保される。そして、工程Bにおいて、接着剤を硬化させることが可能な波長の光を照射すれば、当該光が接着剤に入射し、接着剤が硬化されて第1の基板と第2の基板とが固着される。このように、上記方法によれば、基板の貼り合わせに際して加熱を行うことなく擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
【0011】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1遮光要素は、前記陰極を形成する工程において形成された金属を含んでいてもよい。このような製造方法によれば、金属を蒸着させることによって陰極が形成され、かつ当該金属が第2の基板の略全面に配置されているような場合であっても、接着剤を硬化させるための光の光路を確保することができる。その他、第1遮光要素には、各種絶縁層、樹脂層、金属配線及び当該配線と同一の工程で形成された金属等が含まれていてもよい。
【0012】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法においては、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上に、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面の法線方向から入射した光の少なくとも一部を前記基板間導通領域に向けて反射させる反射板を形成する工程をさらに有し、前記工程Aは、前記第1の基板及び前記第2の基板のうち前記反射板の形成されていない基板の対向面上の、前記第1の基板及び前記第2の基板を貼り合わせる際に前記反射板に対向する領域に配置された、光を吸収又は反射する第2遮光要素を除去する工程を含み、前記工程Bは、前記複合基板に、前記工程Aにおいて前記第2遮光要素の除去が行われた部位に光を照射することにより、当該光によって前記ペーストを硬化させる工程を含むことが好ましい。
【0013】
上記製造方法によれば、工程Aにおいて、第1の基板又は第2の基板上の第2遮光要素が除去されることによって、当該除去が行われた基板は、その部位において光を透過することができるようになる。両基板を貼り合わせた後に第2遮光要素が除去された部位から入射した光は、反射板に入射し、当該反射板によって反射されて基板間導通領域に入射する。したがって、工程Bにおいて、ペーストを硬化させることが可能な波長の光を照射すれば、当該光が基板間導通領域に配置されたペーストに入射し、ペーストが硬化されて第1の基板と第2の基板との間の電気的な導通が確実になされる。また、同時に両基板が固着される。このように、上記方法によれば、基板の貼り合わせに際して加熱を行うことなく擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
【0014】
ここで、第2遮光要素は、第1遮光要素と同一の構成要素からなっていてもよいし、異なる構成要素からなっていてもよい。また、第1遮光要素と第2遮光要素とが同一の基板上の構成要素であってもよいし、異なる基板上の構成要素であってもよい。いずれの場合であっても、第1遮光要素が除去された部位に入射した光は接着剤を硬化させ、第2遮光要素が除去された部位に入射した光はペーストを硬化させる。また、反射板の高さは、20μm以下であることが好ましい。こうした構成によれば、導電ペーストの高さを抑えて基板間の電気的な導通の確実性を高めることができるとともに、第2遮光領域を除去した部位から入射した光の多くを導電ペーストに向けて反射させることができる。
【0015】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第2遮光要素は、前記陰極を形成する工程において形成された金属を含んでいてもよい。このような製造方法によれば、金属を蒸着させることによって陰極が形成され、かつ当該金属が第2の基板の略全面に配置されているような場合であっても、ペーストを硬化させるための光の光路を確保することができる。その他、第2遮光要素には、各種絶縁層、樹脂層、金属配線及び当該配線と同一の工程で形成された金属等が含まれていてもよい。
【0016】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記接着剤又は前記ペーストには、直径が前記反射板の高さよりも大きい粒子が混入されていることが好ましい。このような粒子を混入させると、基板の貼り合わせの際に当該粒子が両基板を支えることとなり、基板間隔が当該粒子の直径以下となることがなくなる。したがって、上記製造方法によれば、基板の貼り合わせの際に、反射板が両基板に挟まれて変形することを防ぐことができる。上記粒子は、接着剤又はペーストのいずれか一方に混入されていてもよいし、双方に混入されていてもよい。
【0017】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法においては、前記工程Bの前に、前記第2の基板の、対向面とは反対側の面上のうち、前記工程Aにおいて前記第1遮光要素及び前記第2遮光要素の除去が行われるべき部位又は行われた部位に対応する領域を除く領域であって、少なくとも前記有機発光層が形成される部位又は形成された部位に対応する領域に、前記光を吸収又は反射する保護膜を形成する工程を有することが好ましい。
【0018】
上記領域に保護膜を形成することによって、接着剤及びペーストを硬化させるための光が有機発光層に入射するのを防ぐことができる。このため、上記製造方法によれば、当該光によって有機発光層を劣化させることなくエレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。保護膜を形成する工程は、前記工程Aの前又は後のいずれにおいて行ってもよく、また、有機発光層を形成する工程の前又は後のいずれにおいて行ってもよい。
【0019】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記工程Aは、レーザー光を照射することによって前記第1遮光要素及び前記第2遮光要素を除去する工程を含んでいることが好ましい。このような製造方法によれば、第1遮光要素及び第2遮光要素を高い位置精度で除去することができるので、接着剤又はペーストを硬化させるための光をより確実に接着剤又はペーストに照射させることができる。また、第1遮光要素及び第2遮光要素が複数の構成要素からなる場合であっても、これらを一度に除去することができ、製造工程を簡略化させることができる。
【0020】
上記エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記工程Bにおいて照射する前記光は、紫外線であることが好ましい。このような製造方法によれば、接着剤、ペーストに紫外線硬化性材料を用いることにより、工程Bにおいてこれらを硬化させて第1の基板及び第2の基板を固着させることができる。
【0021】
本発明によるエレクトロルミネッセンス装置は、上記製造方法によって製造されたことを特徴とする。このような構成によれば、製造工程における有機発光層の熱による劣化の少ない、高品位なエレクトロルミネッセンス装置が得られる。
【0022】
本発明による電子機器は、上記エレクトロルミネッセンス装置を搭載したことを特徴とする。こうした構成の電子機器は、有機発光層が熱によって劣化していないエレクトロルミネッセンス装置を用いて高品位な表示又は発光を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
<A.有機EL装置>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る「エレクトロルミネッセンス装置」としての有機EL装置1の平面図であり、(b)は全体図、(a)は(b)の左上部分の拡大図である。また、図2(a)は、図1(a)中のA−A線で有機EL装置1を切断したときの断面図であり、図2(b)は、図1(a)中のB−B線で有機EL装置1を切断したときの断面図である。なお、図1は、各構成要素の平面的な位置関係を説明するための図であり、奥行き方向の相対関係は一部度外視されている。
【0025】
これらの図に示すように、有機EL装置1は、ガラス基板11とガラス基板21とが接着剤50を介して互いに対向して貼り合わされた構成となっている。ガラス基板11上には「機能層」としてのTFT側機能層12が、またガラス基板21上にはEL側機能層22がそれぞれ形成されている。ガラス基板11上には、ドライバ38が実装されている。TFT側機能層12及びEL側機能層22には、複数の行及び列に沿ってマトリクス状に配列された複数の画素5に対応する構成要素が含まれている。画素5は、図1(a)に示すように細長い矩形状であり、赤色の発光を行う画素5R、緑色の発光を行う画素5G、青色の発光を行う画素5Bの3種類がある。画素5R,5G,5Bは、行方向にこの順に繰り返して配列されている。有機EL装置1は、これらのすべての画素5を含む発光領域6において、発光及び当該発光に基づく表示を行う装置である。なお、以下では、ガラス基板11及びTFT側機能層12を合わせたものを「TFT基板10」と呼び、ガラス基板21及びEL側機能層22を合わせたものを「EL基板20」と呼ぶ。
【0026】
図2(b)に示すように、ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面(対向面)には、絶縁層42、ゲート絶縁層44、層間絶縁膜46がこの順に積層されている。これらは、SiO2、SiON等の無機絶縁物質からなる。絶縁層42とゲート絶縁層44との間には、ポリシリコンからなるソース領域31、能動層32、ドレイン領域33が形成されており、またゲート絶縁層44と層間絶縁膜46との間には、ゲート電極34が形成されている。以下では、ソース領域31、能動層32、ドレイン領域33、ゲート電極34をまとめて「TFT素子30」と呼ぶ。TFT素子30は、本発明の「スイッチング素子」に対応するものであり、各々の画素5に対応して形成されている。
【0027】
層間絶縁膜46上には、ソース電極35、及びドレイン電極36が形成されている。ソース電極35、ドレイン電極36は、層間絶縁膜46及びゲート絶縁層44を貫通するコンタクトホールを介して、それぞれソース領域31、ドレイン領域33に電気的に接続されている。また、ドレイン電極36は、導電ペースト60の配置された位置にまで延設されている。この延設部は、本実施形態のようにコンタクトホール部から連なる一体の部材として形成されていてもよいし、ドレイン領域33から層間絶縁膜46上までの領域と、延設部とを別々に形成し、電気的に接続された構成とすることもできる。
【0028】
ゲート電極34及びソース電極35は、ドライバ38に電気的に接続されている。ゲート電極34、ソース電極35には、それぞれドライバ38から走査信号、画像信号が供給され、このうち画像信号はTFT素子30のスイッチング機能によってドレイン電極36に供給される。より詳細には、TFT素子30は、ゲート電極34に供給される走査信号に応じてスイッチを開閉し、当該スイッチが閉じた状態においてゲート電極34に印加された画像信号をドレイン電極36に供給する。
【0029】
上記絶縁層42、ゲート絶縁層44、層間絶縁膜46、TFT素子30、ソース電極35、ドレイン電極36が、上述のTFT側機能層12に相当し、ガラス基板11とともにTFT基板10を構成する。
【0030】
一方、ガラス基板21の、ガラス基板11に対向する面(対向面)には、ほぼ全面にわたってITO(Indium Tin Oxide)からなる「透光性を有する電極」としての透明電極52が形成されている。透明電極52上には、樹脂からなる第1バンク53が形成されているとともに、当該第1バンク53を下地として同じく樹脂からなる第2バンク54が積層されている。第2バンク54は、有機EL装置1において発光の行われない領域に配置される。換言すれば、第2バンク54は、画素5を区画する。また、第2バンク54は一定の高さを有しているため、ガラス基板21上には、各画素5に対応した凹部が形成されることとなる。より詳細には、透明電極52及び第1バンク53の一部を底部とし、第2バンク54を側壁とする凹部が、各画素5に形成されている。第2バンク54の上には、逆テーパーレジスト57が形成されている。
【0031】
上記凹部には、正孔輸送層55、有機発光層56がこの順に積層されている。有機発光層56は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。有機発光層56には、赤色の発光を行う有機発光層56R、緑色の発光を行う有機発光層56G、青色の発光を行う有機発光層56Bの3種があり、これらはそれぞれ画素5R,5G,5Bに配置されている。有機発光層56は、図1(a)に示すようにトラック形状をなしている。これは、凹部の側壁、すなわち第2バンク54が、当該トラック形状をなすように形成されていることによる。なお、有機発光層56上にさらに電子輸送層が積層された構成とすることもできる。
【0032】
以上に述べた構成要素がガラス基板21上に形成された状態で、アルミニウム、銀、又はマグネシウム等の金属を蒸着させることによって、有機発光層56上及び逆テーパーレジスト57上の全面に金属の陰極58が形成される。ただし、有機発光層56上の陰極58は、逆テーパーレジスト57の効果によって当該逆テーパーレジスト57上の陰極58とは物理的に断絶されている。図1(a)における、有機発光層56の周囲の矩形の枠は、当該断絶を表している。このため、各画素5の陰極58は、他の画素5の陰極58に対して物理的、電気的に独立となっている。
【0033】
上記透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、正孔輸送層55、有機発光層56、逆テーパーレジスト57、陰極58が、上述のEL側機能層22に相当し、ガラス基板21とともにEL基板20を構成する。
【0034】
以上のような構成のTFT基板10及びEL基板20は、発光領域6の外部であってEL基板20の外縁部近傍に、発光領域6を囲って配置された接着剤50(図1(b)参照)を介して貼り合わされている。
【0035】
また、各画素5においては、ドレイン電極36と陰極58とが対向する位置に、本発明における「導電性を有するペースト」としての導電ペースト60が配置されており、ドレイン電極36と陰極58とは、当該導電ペースト60によって電気的に接続されている。導電ペースト60には、紫外線硬化性接着剤中にカーボン粒子、銀粒子あるいは銅粒子のような導電性粒子が分散含有されたものを用いることができる。導電ペースト60が配置された領域が、本発明における「基板間導通領域」に対応する。
【0036】
接着剤50及び導電ペースト60には、後述する反射板65の高さより大きな直径を有する粒子(不図示)が混入されている。
【0037】
導電ペースト60の導電性により、上述したドレイン電極36に印加される画像信号は、導電ペースト60を介して陰極58に印加される。そして、有機発光層56には、固定電位とされた透明電極52と陰極58との間にかかる電圧に応じた電流が流れ、発光が行われる。
【0038】
有機発光層56からの光は、一部は直接ガラス基板21を透過し、一部は陰極58によって反射されてからガラス基板21を透過する。いずれにせよ、有機発光層56からの光はガラス基板21の側から射出される。有機EL装置1は、こうした各画素5における発光の集合によって、発光領域6において画像信号に基づく表示を行う。
【0039】
EL側機能層22には、接着剤50が配置された領域の一部に開口部70aが設けられている。開口部70aにおいては、EL側機能層22の構成要素のすべて、すなわち透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、逆テーパーレジスト57、陰極58が取り除かれている。このため、EL基板20は、当該開口部70aにおいて光を透過させることが可能である。開口部70aを透過した光は、接着剤50に入射する。
【0040】
また、EL側機能層22には、導電ペースト60の近傍に開口部70bが設けられている。開口部70bは、図1(a)に示すように導電ペースト60を三方から囲うような「コ」の字型に設けられており、この部位においても、EL側機能層22の構成要素のすべてが取り除かれている。このため、EL基板20は、当該開口部70bにおいて光を透過させることができる。
【0041】
開口部70a,bの幅は、45μm以上とすることが好ましい。こうした幅を有する開口部70a,70bであれば、レーザーエッチング法によって形成することができる。
【0042】
TFT側機能層12上の、上記開口部70bに対向する領域(すなわち、導電ペースト60を中心とする「コ」の字型の領域)には、反射板65が配置されている。反射板65は、レーザー加工技術によって曲面の斜面を有する形状に成型されたアクリル材料の表面に、アルミニウムの薄膜が蒸着されたものである。上記曲面は、導電ペースト60に向けられており、上述した開口部70bより有機EL装置1の内部に入射した光が、導電ペースト60に向かって反射するように設計されている(図7参照)。また、斜面が曲面となっていることにより、反射光は様々な角度で反射し、導電ペースト60の広い範囲に照射される。
【0043】
上述したように、接着剤50及び導電ペースト60には、反射板65の高さより大きな直径を有する粒子が混入されているので、TFT基板10とEL基板20とは、当該粒子によって支えられ、基板間隔がその直径より小さくなることがない。このため、反射板65は、EL基板20に接触しないので、両基板間にあってその形状を保つことができる。
【0044】
以上のような構造(擬似トップエミッション構造)によれば、有機発光層56とガラス基板21との間にTFT素子30等の障害物がないため、トップエミッションタイプと同様に高開口率化が可能である。また、封止も容易である。すなわち、有機発光層56を含むEL基板20を、TFT基板10及び接着剤50によって、光の取り出し側と反対側において光学特性に関する制約なく封止することができる。
【0045】
<B.有機EL装置の製造方法>
次に、図3から図7を用いて、上記有機EL装置1の製造方法について説明する。図3は、有機EL装置1の製造方法を示す工程図である。図3において、工程P11から工程P13は複合TFT基板を製造するための工程であり、工程P21から工程P25は複合EL基板を製造するための工程である。工程P31から工程P34は、複合TFT基板及び複合EL基板を組み合わせて最終的に有機EL装置1を製造するための工程である。工程P11から工程P13と、工程P21から工程P25とは、それぞれ独立に行われる。
【0046】
ここで、複合TFT基板とは、ガラス基板11を多数含むような大きさのマザーガラス基板11m(図4参照)の上に複数の有機EL装置1に対応するTFT側機能層12をマトリクス状に形成したものであり、複数のTFT基板10を内包する。同様に、複合EL基板は、マザーガラス基板21m(図5参照)上に複数の有機EL装置1に対応するEL側機能層22をマトリクス状に形成したものであり、複数のEL基板20を内包する。個々の有機EL装置1は、複合TFT基板及び複合EL基板を貼り合わせて複合基板を製造した後に、これを個々の有機EL装置1に対応する形状にブレイク(分割)する工程を経て製造される。ここで、マザーガラス基板11mが本発明における「第1の基板」に対応し、マザーガラス基板21mが本発明における「第2の基板」に対応する。図4(a)から(c)は、複合TFT基板の製造工程における断面図、図5(a)から(e)は、複合EL基板の製造工程における断面図、図6(a)から(d)は、複合基板及び有機EL装置1の製造工程における断面図、図7は、工程P32における複合基板の断面図である。
【0047】
まず、複合TFT基板の製造工程について説明する。工程P11では、マザーガラス基板11mの対向面上に、公知の薄膜形成技術等を用いてTFT側機能層12を形成する(図4(a)参照)。断面図の切断位置の関係上、図4(a)には描かれていないが、このとき、TFT素子30を画素5ごとに形成するとともに、TFT素子30のドレイン領域33に電気的に接続されたドレイン電極36を最表面に形成する(図2(b)参照)。
【0048】
次に、工程P12では、TFT側機能層12上の所定の領域に、反射板65を形成する(図4(b)参照)。ここで所定の領域とは、後に複合EL基板の開口部70bと対向する領域である。この工程は、曲面の斜面を有する形状に成型されたアクリル材料の表面に、アルミニウムの薄膜を蒸着させて行う。
【0049】
続く工程P13では、マザーガラス基板11m上の所定の領域に、接着剤50を配置する(図4(c)参照)。ここで所定の領域とは、有機EL装置1となるべき個々の領域の外縁部であって、発光領域6を囲うような領域である。接着剤50には、紫外線硬化性樹脂が用いられる。この工程は、スクリーン印刷法によって行われるが、その他、液滴吐出法、オフセット印刷法、ディスペンサー塗布法等によって行ってもよい。以上の工程を経て複合TFT基板が完成する。
【0050】
続いて、複合EL基板の製造工程について説明する。工程P21では、マザーガラス基板21mの対向面とは反対側の面上の所定の領域に、紫外線吸収剤63を形成する(図5(a)参照)。ここで所定の領域とは、後にEL側機能層22に設けられる開口部70a,70bに対応する領域を除いた領域である。紫外線吸収剤63としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ケイ皮酸系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアジン系化合物、アエトフェノン誘導体等の有機化合物、酸化セリウム系、酸化チタン系、酸化亜鉛系、酸化マグネシウム系、酸化ジルコニア系等の無機化合物、又はこれらとヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等の光安定剤とを併用したもの等を用いることができる。この工程は、フォトリソグラフィー法等によって行われる。紫外線吸収剤63が、本発明における「保護膜」に対応する。
【0051】
次に、工程P22では、マザーガラス基板21mの対向面上に、透明電極52及び有機発光層56を形成する。より詳細には、まず公知の薄膜形成技術及びパターニング技術等を用いて、透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、逆テーパーレジスト57をこの順に形成し(図5(a)参照)、その後、透明電極52、第1バンク53、第2バンク54によって形作られた凹部に液滴吐出法によって正孔輸送層55、有機発光層56を形成する(図5(b)参照)。なお、説明の都合上、図5(a)から(e)においてはマザーガラス基板21mが対向面を下にした状態に描かれているが、工程P22から工程P25までは、実際には対向面を上にした状態で行われる。
【0052】
続いて、工程P23では、逆テーパーレジスト57上及び有機発光層56上を含むマザーガラス基板21mの対向面の全面にアルミニウムを蒸着させ、陰極58を形成する(図5(c)参照)。このとき、第2バンク54上、つまり画素5の外部に形成された逆テーパーレジスト57の効果によって、陰極58は、画素5の内部と画素5の外部との間で物理的に断絶された状態に形成される(従って、電気的にも絶縁されている)。このため、各画素5の陰極58は、他の画素5の陰極58に対して物理的、電気的に独立となっている。
【0053】
次に、工程P24では、レーザーエッチング法によって、EL側機能層22の所定の位置に開口部70a,70bを形成する(図5(d)参照)。ここで所定の位置とは、開口部70aについては、接着剤50が配置される領域の一部に相当する領域、開口部70bについては、導電ペースト60が配置される位置を三方から囲うような「コ」の字型の領域である。この工程は、マザーガラス基板21mの対向面側からEL側機能層22にレーザー光を照射させ、当該レーザー光のエネルギーによってEL側機能層22の構成要素を溶解、蒸発させることによって行われる。本実施形態では、第2バンク54、逆テーパーレジスト57、及び陰極58が、光を吸収又は反射する材料からなっており、これらのうち開口部70aの形成時に除去されるものが本発明の「第1遮光要素」に、また、開口部70bの形成時に除去されるものが本発明の「第2遮光要素」に対応する。
【0054】
次に、工程P25では、マザーガラス基板21m上の所定の領域に、導電ペースト60を配置する(図5(e)参照)。ここで所定の領域とは、各画素5のうち、後にマザーガラス基板11mとマザーガラス基板21mとが貼り合わされる際にドレイン電極36と陰極58のいずれにも接触する位置を含む領域である。導電ペースト60には、接着剤50と同様、紫外線硬化性の材料が用いられる。この工程は、スクリーン印刷法によって行われるが、その他、液滴吐出法、オフセット印刷法、ディスペンサー塗布法等によって行ってもよい。以上の工程を経て複合EL基板が完成する。
【0055】
次に、工程P31では、上記工程で製造された複合TFT基板と複合EL基板とを貼り合わせて複合基板を製造する。具体的には、複合TFT基板と複合EL基板とを、互いに対向面を対向させた状態でアライメント(位置合わせ)を行い(図6(a)参照)、接着剤50及び導電ペースト60を介して貼り合わせる。この工程においては、工程P25で配置された導電ペースト60が、マザーガラス基板11m上のドレイン電極36と、マザーガラス基板21m上の陰極58のいずれにも接する状態となる。これによって、ドレイン電極36と陰極58との電気的な導通が確保される。
【0056】
続いて、工程P32では、上記複合基板の複合EL基板側、すなわち紫外線吸収剤63が形成された側から紫外線71を照射することによって、接着剤50及び導電ペースト60を硬化させる(図6(b)参照)。
【0057】
このときの様子を、図7を用いて詳述する。図7は、図1(a)中のA−A線における断面図に相当する図である。EL側機能層22に設けられた開口部70aに入射した紫外線71は、複合EL基板を透過し、接着剤50に直接入射する。この紫外線71によって、接着剤50が硬化される。
【0058】
また、EL側機能層22に設けられた開口部70bに入射した紫外線71は、複合EL基板を透過し、複合TFT基板上の反射板65に入射する。そして、当該反射板65における入射位置によって異なる角度で反射し、導電ペースト60に入射する。導電ペースト60は、こうして入射した紫外線71によって硬化される。なお、反射板65によって反射した紫外線71は、金属の陰極58を透過することはないので有機発光層56には入射しない。このため、有機発光層56が紫外線71によって劣化することはない。開口部70a,70b以外の領域、すなわち紫外線吸収剤63が配置された領域に入射した紫外線71は、当該紫外線吸収剤63によって吸収される。こうして、工程P32においては、紫外線71によって接着剤50及び導電ペースト60が硬化される。
【0059】
次に、工程P33では、マザーガラス基板21m上の紫外線吸収剤63を除去する(図6(c)参照)。
【0060】
最後に、工程P34では、上記複合基板を有機EL装置1に対応する大きさにブレイク(分割)する。ブレイクは、マザーガラス基板11m,21mの表面をスクライブした後に、外力を印加して分割することによって行われる。この工程を経て、有機EL装置1が完成する(図6(d)参照)。
【0061】
以上の製造方法によれば、マザーガラス21m上に金属の陰極58をほぼ全面に蒸着する工程を含んでいるにも関わらず、紫外線71によって接着剤50及び導電ペースト60を硬化させることができる。このため、熱硬化性の接着剤を用いる必要がなく、基板の貼り合わせに際して加熱を必要としない。よって、有機発光層56が接着剤硬化のための熱によって劣化することがない。従って、以上の製造方法によれば、製造工程における有機発光層56の劣化の少ない有機EL装置1が得られる。
【0062】
<C.電子機器への搭載例>
上述した有機EL装置1は、例えば、図8に示すような「電子機器」としての携帯電話機500に搭載して用いることができる。携帯電話機500は、表示部510及び操作ボタン520を有している。表示部510は、内部に組み込まれた有機EL装置1によって、操作ボタン520で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について、熱による劣化のない、高品位な表示を行うことができる。
【0063】
なお、本発明を適用した有機EL装置1は、上記携帯電話機500の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0065】
(変形例1)
上記実施形態において、開口部70a,70bは、その位置におけるEL側機能層22の構成要素のすべて、つまり透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、逆テーパーレジスト57、陰極58が取り除かれて形成されているが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、開口部70a,70bにおいて光が複合EL基板を透過できる構成であればよい。換言すれば、上記の構成要素のうち、光を吸収又は反射するものが除去されていればよい。
【0066】
例えば、透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、逆テーパーレジスト57がすべて透光性を有する材料で形成されている場合は、陰極58のみを除去すれば足りる。この場合は、開口部70aの形成位置における陰極58が本発明の「第1遮光要素」に対応し、開口部70bの形成位置における陰極58が本発明の「第2遮光要素」に対応する。
【0067】
(変形例2)
上記実施形態では、EL側機能層22に開口部70a,70bを設けているが、これに代えて、TFT側機能層12に設ける構成とすることもできる。この場合も、開口部70a,70bの形成領域においてTFT側機能層12の構成要素をすべて除去してもよいし、光を吸収又は反射する要素のみ除去してもよい。このとき、反射板65はEL側機能層22上に、また紫外線吸収剤63はガラス基板11の対向面と反対側の表面にそれぞれ形成し、複合TFT基板の側から紫外線71を照射して接着剤50及び導電ペースト60を硬化させる。こうした構成及び方法によっても、基板の貼り合わせに際して加熱が不要となるので、製造工程における有機発光層56の劣化の少ない有機EL装置1が得られる。
【0068】
さらに、開口部70aをEL側機能層22に設け、開口部70bをTFT側機能層12に設ける構成、もしくは開口部70aをTFT側機能層12に設け、開口部70bをEL側機能層22に設ける構成とし、マザーガラス基板11m,21mの表面にいずれも紫外線吸収剤63を形成する構成としてもよい。この場合は、まず一方のマザーガラス基板の側から紫外線71を照射することによって、接着剤50と導電ペースト60のいずれか一方を他方と独立して先に硬化させることができる。
【0069】
(変形例3)
上記実施形態において、開口部70a,70bの形成はレーザーエッチング法を用いて行っているが、この他の方法を用いることもできる。例えば、レジストでマスキングした後にウェットエッチング又はドライエッチングでパターニングする方法等を用いてもよい。
【0070】
(変形例4)
上記実施形態において、開口部70b及び反射板65が形成される領域は、導電ペースト60の配置位置の三方を囲う「コ」の字の領域としたが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、他にも様々な形状の領域とすることができる。例えば、導電ペースト60の配置位置を囲う半円形としたり、長方形、楕円形、多角形等やこれらの一部、もしくは単なる線分の形状とすることもできる。いずれの形状であっても、開口部70bを透過した紫外線71が反射板65によって反射して導電ペースト60に照射されるような構成であれば本発明の効果を得ることができる。
【0071】
(変形例5)
上記実施形態においては、本発明の「保護膜」として紫外線吸収剤63を用いているが、これに代えて遮光剤を用いることもできる。遮光剤としては、例えばルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム等が適用できる。また、この他にもフォトマスクやメタルマスク等、光を吸収又は反射する性質を有する種々の材料を「保護膜」として用いることができる。
【0072】
(変形例6)
上記実施形態では、あらかじめ紫外線吸収剤63を所定の形状にパターニングするが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、紫外線照射工程の前であればいつパターニングを行ってもよい。例えば、開口部70a,70bの形成と同時にレーザーエッチング法によって紫外線吸収剤63のパターニングを行ってもよい。
【0073】
(変形例7)
上記実施形態においては、開口部70a,70bを形成しているが、これに代えて、接着剤50の配置領域の開口部70aのみを形成して開口部70b及び反射板65を設けず、接着剤50のみを紫外線71で硬化させる構成としてもよい。この場合でも、導電ペースト60によってTFT基板10とEL基板20とを電気的に接続することが可能であり、両基板は、専ら紫外線によって硬化された接着剤50によって固着される。
【0074】
(変形例8)
上記実施形態は、接着剤50及び導電ペースト60を紫外線で硬化させる構成であるが、これに代えて、他の波長の光によって硬化させる構成としてもよい。この場合は、紫外線吸収剤63には、使用する波長の光を吸収又は反射する材料を用いることが好ましい。また、本稿における「光」にはレーザー光も含まれる。
【0075】
(変形例9)
上記実施形態では、「スイッチング素子」としてTFT素子30を用いているが、これに代えて、TFD(Thin Film Diode)素子を始めとするその他のスイッチング素子を用いる構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL装置の平面図であり、(a)は拡大図、(b)は全体図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る有機EL装置の断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る有機EL装置の製造方法の工程図。
【図4】(a)から(c)は、有機EL装置の製造工程における、複合TFT基板の断面図。
【図5】(a)から(e)は、有機EL装置の製造工程における、複合EL基板の断面図。
【図6】(a)から(d)は、有機EL装置の製造工程における断面図。
【図7】紫外線照射工程における有機EL装置の断面図。
【図8】本発明の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【符号の説明】
【0077】
1…「エレクトロルミネッセンス装置」としての有機EL装置、5,5R,5G,5B…画素、6…発光領域、10…TFT基板、11,21…ガラス基板、11m…「第1の基板」としてのマザーガラス基板、12…「機能層」としてのTFT側機能層、21m…「第2の基板」としてのマザーガラス基板、20…EL基板、22…EL側機能層、30…「スイッチング素子」としてのTFT素子、50…接着剤、52…「透光性を有する電極」としての透明電極、53…第1バンク、54…第2バンク、55…正孔輸送層、56,56R,56G,56B…有機発光層、57…逆テーパーレジスト、58…陰極、60…導電ペースト、63…「保護膜」としての紫外線吸収剤、65…反射板、70a,70b…開口部、71…紫外線、500…携帯電話機。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を介して互いに対向して貼り合わされ、画素ごとに設けられた基板間導通領域において電気的に接続された第1の基板及び第2の基板を有し、複数の前記画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1の基板の対向面上に、前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を含む機能層を形成する工程と、
前記第2の基板の対向面上に、透光性を有する電極を形成する工程と、
前記電極上に有機発光層を形成する工程と、
前記有機発光層上に金属の陰極を形成する工程と、
前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上の、前記接着剤が形成されるべき領域に配置された、光を吸収又は反射する第1遮光要素を除去する工程Aと、
前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上の前記基板間導通領域に対応する位置に、導電性を有するペーストを配置する工程と、
前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上のうち、前記発光領域を囲う領域に接着剤を配置する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせて複合基板を製造するとともに、前記スイッチング素子と前記陰極とを前記基板間導通領域において前記ペーストを介して電気的に接続させる工程と、
前記複合基板に、前記工程Aにおいて前記第1遮光要素の除去が行われた部位に光を照射することにより、当該光によって前記接着剤を硬化させる工程Bと、
を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1遮光要素は、前記陰極を形成する工程において形成された金属を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面上に、前記第1の基板又は前記第2の基板の対向面の法線方向から入射した光の少なくとも一部を前記基板間導通領域に向けて反射させる反射板を形成する工程をさらに有し、
前記工程Aは、前記第1の基板及び前記第2の基板のうち前記反射板の形成されていない基板の対向面上の、前記第1の基板及び前記第2の基板を貼り合わせる際に前記反射板に対向する領域に配置された、光を吸収又は反射する第2遮光要素を除去する工程を含み、
前記工程Bは、前記複合基板に、前記工程Aにおいて前記第2遮光要素の除去が行われた部位に光を照射することにより、当該光によって前記ペーストを硬化させる工程を含む
ことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第2遮光要素は、前記陰極を形成する工程において形成された金属を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記接着剤又は前記ペーストには、直径が前記反射板の高さよりも大きい粒子が混入されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記工程Bの前に、前記第2の基板の、対向面とは反対側の面上のうち、前記工程Aにおいて前記第1遮光要素及び前記第2遮光要素の除去が行われるべき部位又は行われた部位に対応する領域を除く領域であって、少なくとも前記有機発光層が形成される部位又は形成された部位に対応する領域に、前記光を吸収又は反射する保護膜を形成する工程を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記工程Aは、レーザー光を照射することによって前記第1遮光要素及び前記第2遮光要素を除去する工程を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記工程Bにおいて照射する前記光は、紫外線であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項9に記載のエレクトロルミネッセンス装置を搭載したことを特徴とする電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−194101(P2007−194101A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12043(P2006−12043)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】