説明

エレクトロルミネッセンス装置の製造方法

【課題】 サイズや形状に制約されることなく発光輝度の範囲を拡張したエレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 外側陽極層21及び内側陽極層31を有したチューブ11を、正孔輸送層形成液に浸漬して引き出し、各陽極層21,31上に、それぞれ正孔輸送層形成液からなる各正孔輸送層液状膜を形成した。そして、各正孔輸送層液状膜を乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側正孔輸送層22と内側正孔輸送層32を形成するようにした。また、各正孔輸送層22,32を有したチューブ11を、発光層形成液に浸漬して引き出し、各正孔輸送層22,32上に、それぞれ発光層形成液からなる各発光層液状膜を形成した。そして、各発光層液状膜を乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側発光層23と内側発光層33を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状の発光装置には、ガラス管内に封入された希ガス等の放電現象を利用する蛍光灯やネオン管等が知られている。しかし、これら放電現象を利用した発光装置は、その小型化や低消費電力化が困難であるといった問題を有していた。そこで、近年では、小型化と低消費電力化の双方を解決可能にする棒状の発光装置として、棒状部材の外周面にエレクトロルミネッセンス(以下単に、「EL」という。)素子を有した棒状のエレクトロルミネッセンス装置(以下単に、「EL装置」という。)が注目されている。
【0003】
こうした棒状EL装置の製造方法には、可撓性のシート基板上に、第1電極(陽極)、有機層、第2電極(陰極)を順次積層して、そのシート基板を支持棒に巻付ける巻付け法や、棒状の陰極に、順次有機層、陽極、封止層を蒸着する蒸着法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−265785号公報
【特許文献2】特開2005−108643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の巻付け法では、シート基板上に形成したEL素子を曲折して支持棒の外周面に巻付けている。そのため、発光輝度の範囲を拡張するために、複数の発光層を有したシート基板を前記外周面に巻付ける、あるいは複数のシート基板を重ねて巻きつけると、巻付けたEL素子の各層に、過剰な圧縮ストレスや伸張ストレスが掛かる。その結果、各層の電気的特性の劣化を招いて、ひいてはEL装置の発光不良を招く問題があった。
【0005】
一方、特許文献2に記載の蒸着法によれば、EL素子の各層を順次蒸着するため、上記ストレスを緩和して複数の発光層からなるEL素子を形成することができ、発光輝度の範囲を拡張することができると考えられる。しかし、指向性の強い蒸着によって各層を形成するために、EL装置のサイズの大型化や形状の複雑化の要請に対して対応することが困難である。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、サイズや形状に制約されることなく発光輝度の範囲を拡張したエレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレクトロルミネッセンス装置(以下単に、「EL装置」という。)の製造方法は、管状に形成されたエレクトロルミネッセンス層(以下単に、「EL層」という。)を有するEL装置の製造方法において、光透過性の管状部材をエレクトロルミネッセンス層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側面と内側面の双方に設けられた光透過性の第1電極上に、前記エレクトロルミネッセンス層形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記管状部材の外側と内側の双方に前記エレクトロルミネッセンス層を形成するようにした。
【0008】
本発明のEL装置の製造方法によれば、光透過性の管状部材をEL層形成液に浸漬する
ことによって、管状部材の外側と内側の双方に、それぞれ第1電極に沿うEL層を形成することができる。従って、管状部材の外側と内側の双方に、管状部材(EL装置)のサイズや形状の変更に対応したEL層を形成することができる。その結果、管状部材のサイズや形状に制約されることなく、EL装置の発光輝度の範囲を拡張することができる。
【0009】
このEL装置の製造方法は、前記管状部材を第1電極形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の前記内側面と前記外側面の双方に前記第1電極形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記第1電極を形成するようにしてもよい。
【0010】
このEL装置の製造方法によれば、光透過性の管状部材を第1電極形成液に浸漬することによって、管状部材の外側面と内側面の両側面に、それぞれ内側面と外側面に沿う第1電極を形成することができる。従って、管状部材の外側面と内側面の双方に、管状部材(EL装置)のサイズや形状の変更に対応した第1電極を形成することができる。
【0011】
このEL装置の製造方法は、前記管状部材を第2電極形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の内側に形成された前記エレクトロルミネッセンス層上と前記管状部材の外側に形成された前記エレクトロルミネッセンス層上の双方に、前記第2電極形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記エレクトロルミネッセンス層上に、それぞれ光透過性の第2電極を形成するようにしてもよい。
【0012】
このEL装置の製造方法によれば、光透過性の管状部材を第2電極形成液に浸漬することによって、管状部材の外側と内側の双方に、それぞれEL層に沿う第2電極を形成することができる。従って、管状部材の外側と内側の双方に、管状部材(EL装置)のサイズや形状の変更に対応した第2電極を形成することができる。
【0013】
このEL装置の製造方法は、前記管状部材を封止層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成された前記第2電極上に、前記封止層形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記第2電極上に、それぞれ前記エレクトロルミネッセンス層への外気の侵入を遮断する光透過性の封止層を形成するようにしてもよい。
【0014】
このEL装置の製造方法によれば、光透過性の管状部材を封止層形成液に浸漬することによって、管状部材の外側と内側の双方に、それぞれEL層に沿う封止層を形成することができる。従って、管状部材の外側と内側の双方に、管状部材(EL装置)のサイズや形状の変更に対応した封止層を形成することができる。
【0015】
このEL装置の製造方法において、前記エレクトロルミネッセンス層形成液は、前記第1電極に対する後退接触角が45度以下であってもよい。
このEL装置の製造方法によれば、第1電極に対するEL層形成液の後退接触角が45度以下であるため、EL層形成液の液状膜を、より確実に形成することができる。
【0016】
このEL装置の製造方法において、前記エレクトロルミネッセンス層は、発光層と正孔輸送層とを備え、前記管状部材を発光層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記発光層形成液の液状膜を乾燥して前記発光層を形成し、前記管状部材を正孔輸送層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記正孔輸送層形成液の液状膜を乾燥して前記正孔輸送層を形成するようにしてもよい。
【0017】
このEL装置の製造方法によれば、EL装置のサイズや形状に関わらず、均一な膜厚の発光層及び正孔輸送層を形成することができる。その結果、積層構造からなるEL層を有
したEL装置の生産性を向上することができる。
【0018】
このEL装置の製造方法において、前記エレクトロルミネッセンス層は、発光層と正孔輸送層とを備え、前記管状部材を正孔輸送層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記正孔輸送層形成液の液状膜を乾燥して前記正孔輸送層を形成し、前記管状部材を発光層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記発光層形成液の液状膜を乾燥して前記発光層を形成するようにしてもよい。
【0019】
このEL装置の製造方法によれば、EL装置のサイズや形状に関わらず、均一な膜厚の発光層及び正孔輸送層を形成することができる。その結果、積層構造からなるEL層を有したEL装置の生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。図1は、エレクトロルミネッセンス装置(以下単に、「EL装置」という。)を示す概略斜視図であって、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0021】
図1に示すように、EL装置10は、略円管状に形成された絶縁材料からなる管状部材としてのチューブ11を有している。チューブ11は、例えば各種ガラス材料等の無機材料、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等の可撓性樹脂材料で形成されている。本実施形態のチューブ11は、内径が約5mm、長さが約200mmで形成されているが、これに限らず、その外側面(外周面12)及び内側面(内周面13)に、後述する各種液状膜を形成可能なサイズであればよい。そのチューブ11の外周面12及び内周面13には、それぞれ外側EL素子20及び内側EL素子30が形成されている。
【0022】
外側EL素子20及び内側EL素子30には、図2に示すように、前記チューブ11側から順に、それぞれ第1電極としての外側陽極層21及び内側陽極層31、エレクトロルミネッセンス層(以下単に、「EL層」という。)を構成する外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32、EL層を構成する外側発光層23及び内側発光層33、第2電極としての外側陰極層24及び内側陰極層34が備えられている。
【0023】
外側陽極層21及び内側陽極層31は、それぞれ前記外周面12及び内周面13の全体にわたって均一な膜厚で形成された光透過性の陽極であって、陽極層形成材料としてのITO(Indium−Tin−Oxide)によって形成されている。尚、陽極層形成材料は、後述する正孔輸送層材料に応じて選択されて、外側陽極層21及び内側陽極層31のフェルミ順位と外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32のHOMOとの間のエネルギー障壁が低くなるように、仕事関数の大きい光透過性の導電性材料であればよい。
【0024】
そして、外側陽極層21及び内側陽極層31は、図1に示すように、それぞれ外側電源装置G1及び内側電源装置G2の一端に電気的に接続されて、それぞれ外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32に正孔を注入するようになっている。
【0025】
外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32は、それぞれ対応する前記外側陽極層21及び内側陽極層31の全体にわたって均一な膜厚で積層される有機層であって、正孔輸送層材料としてのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下単に、「PEDOT」という。)で形成されているが、公知の各種低分子又は各種高分子の正孔輸送層材料によって形成してもよい。
【0026】
例えば、低分子の正孔輸送層材料としては、ベンジジン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ピラゾリン誘導体、カルバゾール誘導体、ポルフィリン化合物等を利用することができる。
【0027】
高分子の正孔輸送層材料としては、上記低分子構造を一部に含む(主鎖あるいは側鎖にする)高分子化合物、あるいはポリアニリン、ポリチオフェンビニレン、ポリチオフェン、α−ナフチルフェニルジアミン、「PEDOT」とポリスチレンスルホン酸との混合物(Baytron P、バイエル社商標)、トリフェニルアミンやエチレンジアミン等を分子核とした各種デンドリマー等を利用することができる。
【0028】
そして、外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32は、対応する外側陽極層21及び内側陽極層31から注入された正孔を、それぞれ外側発光層23及び内側発光層33まで輸送するようになっている。
【0029】
外側発光層23及び内側発光層33は、前記外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32の全体にわたって均一な膜厚で形成される有機層であって、発光層材料としてのフルオレン−ジチオフェンコポリマー(以下単に、「F8T2」という。)で形成されているが、これに限らず、公知の各種低分子又は各種高分子の発光層材料を利用することができる。
【0030】
低分子の発光層材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体物、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体等を利用することができる。
【0031】
高分子の発光層材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリビニレンスチレン誘導体、及びそれらの共重合体、トリフェニルアミンやエチレンジアミン等を分子核とした各種デンドリマー等を利用することができる。
【0032】
そして、外側発光層23及び内側発光層33は、それぞれ外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32からの正孔と、外側陰極層24及び内側陰極層34からの電子が再結合するときに、放出するエネルギーによってエキシトン(励起子)を生成する。そして、このエキシトンが基底状態に戻るときのエネルギー放出によって、蛍光や燐光を発する(発光する)ようになっている。
【0033】
外側陰極層24及び内側陰極層34は、それぞれ対応する前記外側発光層23及び内側発光層33の全体にわたって均一な膜厚で積層された光透過性の陰極であって、陰極層形成材料としてのIZO(Indium−Zinc−Oxide)によって形成されている。尚、外側陰極層24及び内側陰極層34は、前記発光層材料に応じて選択されて、外側陰極層24及び内側陰極層34のフェルミ準位と前記外側発光層23及び内側発光層33のLUMOとの間のエネルギー障壁が低くなるように、前記外側発光層23及び内側発光層33との接触面で仕事関数の小さい光透過性の導電性材料であればよい。そのため、外側陰極層24及び内側陰極層34は、例えば前記外側発光層23及び内側発光層33との接触面に、貴金属の超薄膜(膜厚が5〜15nm程度のAu、Ag、Pd等の貴金属膜)を有した電極であってもよい。
【0034】
そして、外側陰極層24及び内側陰極層34は、図1に示すように、それぞれ前記外側電源装置G1及び前記内側電源装置G2の他端に電気的に接続されて、それぞれ前記外側発光層23及び内側発光層33に電子を注入するようになっている。
【0035】
外側陰極層24及び内側陰極層34には、図1及び図2の2点鎖線で示すように、それぞれEL装置10の全体を覆う封止層15が積層されている。封止層15は、ガスバリヤ性を有した光透過性の無機あるいは有機高分子膜であって、前記外側正孔輸送層22、前記内側正孔輸送層32、前記外側発光層23及び前記内側発光層33等への水分や酸素等の侵入を遮断するようになっている。
【0036】
そして、外側電源装置G1を駆動して外側陽極層21と外側陰極層24との間に電圧を印加すると、外側陽極層21からの正孔が外側正孔輸送層22を介して外側発光層23に移動し、外側陰極層24からの電子が外側発光層23に移動し、外側発光層23において、正孔と電子とが再結合する。正孔と電子とが再結合すると、外側発光層23は、再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)を生成して、生成したエキシトンの基底状態への遷移によって発光し、発光した光が、外側陰極層24を介してEL装置の外方に放出される。
【0037】
また、内側電源装置G2を駆動して内側陽極層31と内側陰極層34との間に電圧を印加すると、内側陽極層31からの正孔が内側正孔輸送層32を介して内側発光層33に移動し、内側陰極層34からの電子が内側発光層33に移動し、内側発光層33において、正孔と電子とが再結合する。正孔と電子とが再結合すると、内側発光層33は、生成したエキシトンの基底状態への遷移によって発光し、発光した光が、外側陽極層21、外側正孔輸送層22、外側発光層23及び外側陰極層24を介してEL装置10の外方に放出される。
【0038】
従って、EL装置10は、外側発光層23(外側EL素子20)と内側発光層33(内側EL素子30)の双方の駆動制御によって、その輝度範囲を拡張することができる。
次に、上記するEL装置10の製造方法について、図3〜図6に従って説明する。
【0039】
まず、チューブ11の外周面12及び内周面13に外側陽極層21及び内側陽極層31を形成する陰極層形成工程を行う。すなわち、図3に示すように、チューブ11の略全体を、第1電極形成液としての陽極層形成液L1の中に浸漬する。本実施形態の陽極層形成液L1は、上記する陽極層形成材料のITOのナノ微粒子を有機系分散媒に分散させた液状体であって、後述する外側陽極層液状膜21F及び内側陽極層液状膜31Fを形成しやすくするために、好ましくは外周面12及び内周面13に対する後退接触角θ1を45°以下にする液状体である。
【0040】
チューブ11を陽極層形成液L1の中に浸漬すると、浸漬したチューブ11を徐々に引き出し、前記外周面12及び内周面13の略全体に、それぞれ陽極層形成液L1からなる外側陽極層液状膜21F及び内側陽極層液状膜31Fを形成する。この際、外側陽極層液状膜21F及び内側陽極層液状膜31Fの膜厚は、前記後退接触角θ1に支配されて、チューブ11の略全体にわたり均一な膜厚で形成される。尚、引き出したチューブ11の端面11a(図1参照)には、外側陽極層液状膜21F及び内側陽極層液状膜31Fを連結する陽極層形成液L1が付着するため、チューブ11を引き出した後に、端面11aを払拭して外側陽極層液状膜21F及び内側陽極層液状膜31Fを分離する。
【0041】
各陽極層液状膜21F,31Fを形成すると、チューブ11を乾燥・焼成炉に搬入し、陽極層形成液L1に対応した所定の乾燥温度及び焼成温度まで昇温して、各陽極層液状膜21F,31Fを乾燥・焼成する。これによって、チューブ11の外径や長さ、形状の変
更に対応して、チューブ11の外周面12及び内周面13の双方に、それぞれ均一な膜厚の外側陽極層21及び内側陽極層31を形成する。
【0042】
尚、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成によって形成した各陰極層24,34の膜厚が、所定の膜厚に満たない場合には、再度上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成を繰り返して、各陰極層24,34を厚膜化する構成にしてもよい。また、前記陽極層形成液L1の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ1を低下させ、各陽極層液状膜21F,31Fを厚膜化する構成にしてもよい。反対に、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成によって形成した各陽極層21,31の膜厚が、所定の膜厚を超える場合には、チューブ11を引き出した後に、チューブ11の全体に加圧エアーを吹き付けて、各陽極層液状膜21F,31Fの膜厚を薄くする構成にしてもよい。また、前記陽極層形成液L1の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ1を増加させ、各陽極層液状膜21F,31Fを薄膜化する構成にしてもよい。
【0043】
陽極層形成工程を終了すると、外側陽極層21及び内側陽極層31に、それぞれ外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32を形成する正孔輸送層形成工程を行う。すなわち、図4に示すように、チューブ11の略全体を、エレクトロルミネッセンス層形成液を構成する正孔輸送層形成液L2の中に浸漬する。本実施形態の正孔輸送層形成液L2は、上記する正孔輸送層形成材料の「PEDOT」を水系溶媒(例えば、水、メタノール等の低級アルコール、エトキシエタノール等のセロソルブ系溶媒等)に溶解させた液状体である。尚、正孔輸送層形成液L2は、これに限らず、上記する低分子系の正孔輸送層形成材料と、当該正孔輸送層形成材料に対応した有機系あるいは無機系の溶媒あるいは分散媒からなる液状体であってもよい。また、正孔輸送層形成液L2は、後述する外側正孔輸送層液状膜22F及び内側正孔輸送層液状膜32Fを形成しやすくするために、好ましくは外側陽極層21及び内側陽極層31に対する後退接触角θ2が45°以下となる液状体であってもよい。
【0044】
チューブ11の略全体を正孔輸送層形成液L2の中に浸漬すると、浸漬したチューブ11を徐々に引き出し、外側陽極層21及び内側陽極層31の略全体に、それぞれ正孔輸送層形成液L2からなる外側正孔輸送層液状膜22F及び内側正孔輸送層液状膜32Fを形成する。この際、外側正孔輸送層液状膜22F及び内側正孔輸送層液状膜32Fの膜厚は、前記後退接触角θ2に支配されて、各陽極層21,31の略全体にわたり均一な膜厚で形成される。尚、陽極層形成工程と同じく、引き出したチューブ11の端面11aには、外側正孔輸送層液状膜22F及び内側正孔輸送層液状膜32Fを連結する正孔輸送層形成液L2が付着するため、チューブ11を引き出した後に、端面11aを払拭して外側正孔輸送層液状膜22F及び内側正孔輸送層液状膜32Fを分離する。
【0045】
各正孔輸送層液状膜22F,32Fを形成すると、チューブ11を乾燥炉に搬入し、正孔輸送層形成液L2に対応した所定の乾燥温度まで昇温して、各正孔輸送層液状膜22F,32Fを乾燥する。これによって、チューブ11の外径や長さ、形状の変更に対応して、外側陽極層21及び内側陽極層31の双方に、それぞれ均一な膜厚の外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32を形成する。
【0046】
尚、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥によって形成した各正孔輸送層22,32の膜厚が、所定の膜厚に満たない場合には、再度上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥を繰り返して、各正孔輸送層22,32を厚膜化する構成にしてもよい。また、前記正孔輸送層形成液L2の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ2を低下させて、各正孔輸送層液状膜22F,32Fを厚膜化する構成にしてもよい。反対に、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥によって形成した各正孔輸送層22,32の膜厚が、所定の膜厚を超える場合には、チューブ11を引き出した後に、チューブ11
の全体に加圧エアーを吹き付けて、各正孔輸送層液状膜22F,32Fの膜厚を薄くする構成にしてもよい。また、前記正孔輸送層形成液L2の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ2を低下させ、各正孔輸送層液状膜22F,32Fを薄膜化する構成にしてもよい。
【0047】
正孔輸送層形成工程を終了すると、外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32に、それぞれ外側発光層23及び内側発光層33を形成する発光層形成工程を行う。すなわち、図5に示すように、チューブ11の略全体を、発光層形成液L3の中に浸漬する。本実施形態の発光層形成液L3は、上記する発光層材料の「F8T2」を無極性有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等)に溶解させた液状体である。尚、発光層形成液L3は、これに限らず、上記する低分子系の発光層形成材料と、当該発光層形成材料に対応した有機系あるいは無機系の溶媒あるいは分散媒からなる液状体であってもよい。また、発光層形成液L3は、後述する外側発光層液状膜23F及び内側発光層液状膜33Fを形成しやすくするために、好ましくは外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32に対する後退接触角θ3が45°以下となる液状体であってもよい。
【0048】
チューブ11の略全体を発光層形成液L3の中に浸漬すると、浸漬したチューブ11を徐々に引き出し、外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32の略全体に、それぞれ発光層形成液L3からなる外側発光層液状膜23F及び内側発光層液状膜33Fを形成する。この際、外側発光層液状膜23F及び内側発光層液状膜33Fの膜厚は、前記後退接触角θ3に支配されて、各正孔輸送層液状膜22F,32Fの略全体にわたり均一な膜厚で形成される。尚、陽極層形成工程と同じく、引き出したチューブ11の端面11aには、外側発光層液状膜23F及び内側発光層液状膜33Fを連結する発光層形成液L3が付着するため、チューブ11を引き出した後に、端面11aを払拭して外側発光層液状膜23F及び内側発光層液状膜33Fを分離する。
【0049】
各発光層液状膜23F,33Fを形成すると、チューブ11を乾燥炉に搬入し、発光層形成液L3に対応した所定の乾燥温度まで昇温して、各発光層液状膜23F,33Fを乾燥する。これによって、チューブ11の外径や長さ、形状の変更に対応して、外側正孔輸送層22及び内側正孔輸送層32の双方に、それぞれ均一な膜厚の外側発光層23及び内側発光層33を形成する。
【0050】
尚、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥によって形成した各発光層23,33の膜厚が、所定の膜厚に満たない場合には、再度上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥を繰り返して、各発光層23,33を厚膜化する構成にしてもよい。また、前記発光層形成液L3の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ3を低下させ、各発光層液状膜23F,33Fを厚膜化する構成にしてもよい。反対に、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥によって形成した各発光層23,33の膜厚が、所定の膜厚を超える場合には、チューブ11を引き出した後に、チューブ11の全体に加圧エアーを吹き付けて、各発光層液状膜23F,33Fの膜厚を薄くする構成にしてもよい。また、前記発光層形成液L3の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ3を低下させ、各発光層液状膜23F,33Fを薄膜化する構成にしてもよい。
【0051】
発光層形成工程を終了すると、外側発光層23及び内側発光層33に、それぞれ外側陰極層24及び内側陰極層34を形成する陰極層形成工程を行う。すなわち、図6に示すように、チューブ11の略全体を、陰極層形成液L4の中に浸漬する。本実施形態の陰極層形成液L4は、上記する陰極層形成材料のIZOのナノ微粒子を有機系分散媒に分散させた液状体であって、後述する外側陰極層液状膜24F及び内側陰極層液状膜34Fを形成しやすくするために、好ましくは外側発光層23及び内側発光層33に対する後退接触角
θ4を45°以下にする液状体である。
【0052】
チューブ11を陰極層形成液L4の中に浸漬すると、浸漬したチューブ11を徐々に引き出し、前記外側発光層23及び内側発光層33の略全体に、それぞれ陰極層形成液L4からなる外側陰極層液状膜24F及び内側陰極層液状膜34Fを形成する。この際、外側陰極層液状膜24F及び内側陰極層液状膜34Fの膜厚は、前記後退接触角θ4に支配されて、チューブ11の略全体にわたり均一な膜厚で形成される。尚、陽極層形成工程と同じく、引き出したチューブ11の端面11a(図1参照)には、外側陰極層液状膜24F及び内側陰極層液状膜34Fを連結する陰極層形成液L4が付着するため、チューブ11を引き出した後に、端面11aを払拭して外側陰極層液状膜24F及び内側陰極層液状膜34Fを分離する。
【0053】
各陰極層液状膜24F,34Fを形成すると、チューブ11を乾燥・焼成炉に搬入し、陰極層形成液L4に対応した所定の乾燥温度及び焼成温度まで順次昇温して、各陰極層液状膜24F,34Fを乾燥する。これによって、チューブ11の外径や長さ、形状の変更に対応して、外側陰極層24及び内側陰極層34の双方に、それぞれ均一な膜厚の外側陰極層24及び内側陰極層34を形成する。
【0054】
尚、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成によって形成した各陰極層24,34の膜厚が、所定の膜厚に満たない場合には、再度上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成を繰り返して、各陰極層24,34を厚膜化する構成にしてもよい。また、前記陰極層形成液L4の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ4を低下させ、各陰極層液状膜24F,34Fを厚膜化する構成にしてもよい。反対に、上記するチューブ11の浸漬、引き出し、乾燥・焼成によって形成した各陰極層24,34の膜厚が、所定の膜厚を超える場合には、チューブ11を引き出した後に、チューブ11の全体に加圧エアーを吹き付けて、各陰極層液状膜24F,34Fの膜厚を薄くする構成にしてもよい。また、前記陰極層形成液L4の溶媒あるいは分散媒を変更して前記後退接触角θ4を低下させ、各陰極層液状膜24F,34Fを薄膜化する構成にしてもよい。
【0055】
これによって、チューブ11の外周面12及び内周面13の双方に、それぞれ外側EL素子20及び内側EL素子30を形成することができる。
陰極層形成工程を終了すると、外側EL素子20及び内側EL素子30を覆うように封止層15を形成する封止層形成工程を行う。すなわち、前記各工程と同じく、外側EL素子20及び内側EL素子30を有したチューブ11の全体を封止層形成液に浸漬して引き出し、封止層形成液からなる液状膜を、外側EL素子20及び内側EL素子30を覆うように形成して硬化させる。これによって、ガスバリヤ性を有した無機あるいは有機高分子膜からなる封止層15を形成する。尚、この際、各陽極層21,31及び各陰極層24,34の一部にマスクを施し、それぞれに外側電源装置G1及び内側電源装置G2と接続するための図示しない接続領域を形成する。これによって、封止層15に保護されて各電源装置G1及びG2に接続可能な外側EL素子20及び内側EL素子30を有するEL装置10を形成することができる。
【0056】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、外側陽極層21及び内側陽極層31を有したチューブ11を、正孔輸送層形成液L2に浸漬して引き出し、各陽極層21,31上に、それぞれ正孔輸送層形成液L2からなる各正孔輸送層液状膜22F,32Fを形成した。そして、各正孔輸送層液状膜22F,32Fを乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側正孔輸送層22と内側正孔輸送層32を形成するようにした。また、各正孔輸送層22,32を有したチューブ11を、発光層形成液L3に浸漬して引き出し、各正孔輸送層22,32上に、それぞれ発光層形成液L3からなる各発光層液状膜2
3F,33Fを形成した。そして、各発光層液状膜23F,33Fを乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側発光層23と内側発光層33を形成するようにした。
【0057】
従って、チューブ11の外周面12と内周面13の双方に、それぞれチューブ11の径や長さ、形状に対応した均一な膜厚の各正孔輸送層22,32及び各発光層23,33を形成することができる。その結果、サイズや形状を制約することなく発光輝度の範囲を拡張したEL装置10を製造することができる。
【0058】
(2)しかも、各正孔輸送層22,32及び各発光層23,33を、それぞれ同じタイミングで形成することができる。そのため、各正孔輸送層22,32及び各発光層23,33を、それぞれ別々の工程で形成する場合に比べて、EL装置10の生産性を向上することができる。
【0059】
(3)上記実施形態によれば、チューブ11を陽極層形成液L1に浸漬して引き出し、外周面12及び内周面13の双方に、それぞれ陽極層形成液L1からなる各陽極層液状膜21F,31Fを形成した。そして、各陽極層液状膜21F,31Fを乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側陽極層21と内側陽極層31を形成するようにした。また、各陽極層21,31と同様に、チューブ11を、陰極層形成液L4に浸漬して引き出し、各発光層23,33上に、それぞれ陰極層形成液L4からなる各陰極層液状膜24F,34Fを形成した。そして、各陰極層液状膜24F,34Fを乾燥することによって、チューブ11の外側と内側の双方に、それぞれ外側陰極層24と内側陰極層34を形成するようにした。
【0060】
従って、チューブ11の外周面12と内周面13の双方に、それぞれチューブ11の径や長さ、形状に対応した均一な膜厚の各陽極層21,31及び各陰極層24,34を形成することができる。その結果、チューブ11の外周面12と内周面13の双方に、より確実な方法で、外側EL素子20と内側EL素子30を形成することができる。
【0061】
(4)しかも、各陽極層21,31及び各陰極層24,34を、それぞれ同じタイミングで形成することができる。そのため、各陽極層21,31及び各発光層23,33を、それぞれ別々の工程で形成する場合に比べて、EL装置10の生産性を向上することができる。
【0062】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、チューブ11を略円柱状に具体化したが、これに限らず、例えばチューブ11の断面が楕円形状や矩形状であってもよい。また、チューブ11を棒状に形成したが、これに限らず、例えば螺旋形状であってもよい。
・上記実施形態では、各陽極層21,31及び各陰極層24,34を液相プロセスによって形成する構成したが、これに限らず、蒸着等の気相プロセスによって形成する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、外側EL素子20を、チューブ11の外周面12から順に、外側陽極層21、外側正孔輸送層22、外側発光層23、及び外側陰極層24の順序で構成するようにした。これに限らず、チューブ11の外周面12から順に、外側陰極層24、外側発光層23、外側正孔輸送層22及び外側陽極層21の順序で構成するようにしてもよい。また、内側EL素子30に対しても、チューブ11の内周面13から順に、内側陰極層34、内側発光層33、内側正孔輸送層32及び内側陽極層31の順序で構成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、発光層形成材料を有機系高分子あるいは有機系低分子によって構成した。これに限らず、例えば発光層形成材料を、ZnS/CuCl、ZnS/CuBr、
ZnCdS/CuBr等の無機分子で構成してもよい。この際、当該発光層形成材料を有機バインダーに分散させて発光層形成液L3を形成する構成が好ましい。尚、有機バインダーには、シアノエチルセルロース、シアノエチルスターチ、シアノエチルプルラン等の多糖類のシアノエチル化物、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルグリセロールプルラン等の多糖類誘導体のシアノエチル化物、シアノエチルポリビニルアルコール等のポリオール類のシアノエチル化物等が挙げられる。
・上記実施形態では、外側EL素子20及び内側EL素子30に、それぞれ対応する外側発光層23及び内側発光層33を一層のみ形成する構成にした。これに限らず、例えば外側EL素子20あるいは内側EL素子30を、対応する発光層と電荷発生層からなるユニットを複数積層した、いわゆるマルチフォトン構造で構成してもよい。
・上記実施形態では、外側陽極層21(内側陽極層31)に、対応する外側正孔輸送層22(内側正孔輸送層32)を積層する構成にした。これに限らず、例えば外側正孔輸送層22(内側正孔輸送層32)を省略する構成してもよく、あるいは外側陽極層21(内側陽極層31)と外側正孔輸送層22(内側正孔輸送層32)との間に、対応する外側発光層23(内側発光層33)への正孔の注入効率を高めるための正孔注入層を形成する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、外側正孔輸送層22(内側正孔輸送層32)に、対応する外側発光層23(内側発光層33)を積層する構成にした。これに限らず、例えば外側正孔輸送層22(内側正孔輸送層32)と外側発光層23(内側発光層33)との間に、電子の移動を抑制する電子障壁層を形成する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、外側発光層23(内側発光層33)に外側陰極層24(内側陰極層34)を積層する構成にした。これに限らず、例えば外側発光層23(内側発光層33)と外側陰極層24(内側陰極層34)との間に、外側陰極層24(内側陰極層34)から注入された電子を外側発光層23(内側発光層33)まで輸送する電子輸送層を形成する構成にしてもよい。あるいは、外側発光層23(内側発光層33)と対応する電子輸送層との間に、正孔の移動を抑制する正孔障壁層を形成する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を具体化したエレクトロルミネッセンス装置を示す概略斜視図。
【図2】同じく、エレクトロルミネッセンス装置を示す概略断面図。
【図3】同じく、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明する説明図。
【図4】同じく、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明する説明図。
【図5】同じく、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明する説明図。
【図6】同じく、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を説明する説明図。
【符号の説明】
【0064】
10…エレクトロルミネッセンス装置、11…管状部材としてのチューブ、15…封止層、21…第1電極としての外側陽極層、22…エレクトロルミネッセンス層を構成する外側正孔輸送層、23…エレクトロルミネッセンス層を構成する外側発光層、24…第2電極としての外側陰極層、31…第1電極としての内側陽極層、32…エレクトロルミネッセンス層を構成する内側正孔輸送層、33…エレクトロルミネッセンス層を構成する内側発光層、34…第2電極としての内側陰極層、L1…第1電極形成液としての陽極層形成液、L2…エレクトロルミネッセンス層形成液を構成する正孔輸送層形成液、L3…発光層形成液、L4…第2電極形成液としての陰極層形成液、θ1,θ2,θ3,θ4…後退接触角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状に形成されたエレクトロルミネッセンス層を有するエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
光透過性の管状部材をエレクトロルミネッセンス層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側面と内側面の双方に設けられた光透過性の第1電極上に、前記エレクトロルミネッセンス層形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記管状部材の外側と内側の双方に前記エレクトロルミネッセンス層を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記管状部材を第1電極形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の前記内側面と前記外側面の双方に前記第1電極形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記第1電極を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記管状部材を第2電極形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の内側に形成された前記エレクトロルミネッセンス層上と前記管状部材の外側に形成された前記エレクトロルミネッセンス層上の双方に、前記第2電極形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記エレクトロルミネッセンス層上に、それぞれ光透過性の第2電極を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記管状部材を封止層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成された前記第2電極上に、前記封止層形成液の液状膜を形成し、前記液状膜を乾燥することによって、前記第2電極上に、それぞれ前記エレクトロルミネッセンス層への外気の侵入を遮断する光透過性の封止層を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記エレクトロルミネッセンス層形成液は、前記第1電極に対する後退接触角が45度以下であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記エレクトロルミネッセンス層は、発光層と正孔輸送層とを備え、
前記管状部材を発光層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記発光層形成液の液状膜を乾燥して前記発光層を形成し、前記管状部材を正孔輸送層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記正孔輸送層形成液の液状膜を乾燥して前記正孔輸送層を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
前記エレクトロルミネッセンス層は、発光層と正孔輸送層とを備え、
前記管状部材を正孔輸送層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した前記正孔輸送層形成液の液状膜を乾燥して前記正孔輸送層を形成し、前記管状部材を発光層形成液に浸漬して引き上げ、前記管状部材の外側と内側の双方に形成した
前記発光層形成液の液状膜を乾燥して前記発光層を形成するようにしたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−59098(P2007−59098A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240324(P2005−240324)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】