説明

エレクトロルミネッセンス装置

両方とも駆動回路(3)に接続可能であり、下方から電気的にアクセス可能である下部電極層(10)と上部電極層(2)とを有するエレクトロルミネッセンス装置(1)について開示している。1つ又はそれ以上の機能層(5)が、エレクトロルミネッセンス領域を形成するように電極層(2、10)間に配置されている。その装置(1)は正に傾斜した絶縁性リブ(7)を有するレリーフパターンを有し、それらのリブ間に井戸(13)が形成されている。上部電極層(2)は少なくとも1つの正に傾斜したリブ(7)を覆う延長部を有し、井戸(13)は第1側面(7´)に備えられ、接触表面(4)は正に傾斜した絶縁性リブ(7)の第2側面(7´´)に備えられている。上部電極層(2)の延長部は前記上部電極層(2)により覆われている前記接触表面の少なくとも一部を備えている。それ故、上部電極層(2)は接触表面(4)において下方からアクセス可能になる。装置(1)は、アクティブマトリクスディスプレイにおける構造化陰極のために及び/又は透明/半透明陰極におけるシート抵抗を減少させるために用いられることが可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方から電気的にアクセス可能な下部電極層と;上部電極層であって、前記下部電極と前記上部電極とが駆動回路に接続可能である、上部電極層と;少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス領域を構成するように前記下部電極と前記上部電極との間に配置された1つ又はそれ以上の機能層と;間に前記機能層のための井戸が形成された正に傾斜された少なくとも2つの絶縁性のリブを有するレリーフパターンと;を有するエレクトロルミネッセント装置に関する。前記上部電極層は、少なくとも1つの正に傾斜したリブを覆う広がりを有し、前記井戸は少なくとも1つの正に傾斜したリブの第1側部において配置されている。
【0002】
本発明は又、そのような装置の使用及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロルミネッセンス装置は、その中を電流が流れるときに、光を発光することができるエレクトロルミネッセンス材料を有する装置であり、その電流は電極により供給される。
【0004】
ポリマーに基づく発光ダイオード(PLED)は、発光ポリマー層が基板における陰極と陽極との間に挟まれている装置である。陽極と陰極との間に印加される電圧はそのポリマーが光を発光するようにする。
【0005】
有機発光ダイオード(OLED)は、それら2つの電極間に挟まれた小分子材料を有する発光層を有する。
【0006】
代表的には、今日のPLED/OLED技術において、陽極はITO(indiumtinoxide)である。最良の陰極(電子注入部)は、通常、例えば、Alに覆われたBa、Ca等のような低仕事関数を有する金属である。
【0007】
PLED及びOLEDにおいて、発光層は、一般に、個々のエレクトロルミネッセンス要素即ち画素に分割され、それらの画素は、それらを通って流れる電流を変化させることにより発光状態と非発光状態との間でスイッチングされることができる。
【0008】
画素を制御するための2つの2つの選択肢の構成、即ち、パッシブマトリクス及びアクティブマトリクスが、一般に用いられる。
【0009】
パッシブマトリクスディスプレイは、行列マトリクスの状態でパターニングされた基板上に堆積された画素のアレイを有する。各々の画素は、各々の列ラインと行ラインの交差部分に形成される発光外オードである。パッシブマトリクスにおいては、行ラインと列ラインに電気信号を印加することにより特定の画素が発光する(それらの交差部分が画素を規定する)。外部制御器回路は必要な入力電力を供給する。
【0010】
アクティブマトリクスディスプレイにおいては、行ライン及び列ラインの交差部分において形成される各々の画素有するアレイは、一連の行ラインおよび列ラインに更に分割される。TFTは、OLEDを通って流れる電流量を制御することができるスイッチである。アクティブマトリクスディスプレイにおいては、代表的には、駆動トランジスタ(TFT)は、一の端子において共通電力ラインに、そして他の端子において2つのOLEDの電極の一に接続されている。ディスプレイ制御器からのデータ信号は、列データラインにより駆動トランジスタのゲート電圧を調節する。
【0011】
好適なポリマーOLED構成においては、駆動トランジスタはPMOS(Pチャネル金属酸化物半導体)トランジスタであり、PLEDの陽極に接続されている。ソース(好適には、固定電圧)は電力ラインに接続されている。
【0012】
駆動トランジスタのゲートに対して一の端子を及び電圧ラインに対して他の端子を有するコンデンサは、ディスプレイ制御器が下のような行選択ラインに進む(アドレッシングは、典型的には、一回に1ラインである)とき、プログラミング後、その電圧に保たれる。
【0013】
電力、データライン、選択ライン、選択スイッチ、駆動トランジスタ、他のトランジスタ(異なる画素回路の変形が存在する)及び第1OLED電極は、基板において全て集積される。OLED層は第1電極上に堆積(蒸着、印刷又はスピンコーティング)される。最後の層は第2電極である。
【0014】
典型的には、I=βx(Vgs−Vt)^2であり、ここで、Vgsはゲート−ソース間電圧であり、Vtは駆動トランジスタの閾値電圧である。この電流は、光(L〜I)を発光するOLEDに供給される。
【0015】
上記の標準的アクティブマトリクスプロセスにおいては、各々のOLEDは、画素要素(駆動トランジスタ)により制御される1つの電極を有する。典型的には、ポリマーOLED(PLED)の第2電極は全ての画素に対して共通である。実際には、ディスプレイのアクティブ領域全ては堆積による金属層により覆われている。
【0016】
共通陰極の解決方法は、歩留まりにそれ程影響を与えない、比較的容易な段階であるため、ボトムエミッション(発光はアクティブ基板を透過する)を有するディスプレイに対して好適である。殆どの駆動方法は共通陰極を有する構成である。
【0017】
しかしながら、例えば、非晶質シリコン基板を用いて実現される大きいアクティブマトリクスOLEDディスプレイに対して、陰極の構造化が好ましい状態が存在する。動作中の閾値電圧の変動を補償するために特定の駆動方法を用いて改善された非晶質シリコンは、大きいディスプレイに対するオプションとして認識されてきた。
【0018】
電極、即ち、陰極及び陽極は透明であることが可能である。非常に薄い金属層、ITOのような透明導体又は透明導体ポリマー(例えば、PEDOT(ポリ3、4−エチレンジオキシチオフェン)及びPANI(ポリアニリン)は透明電極を意味する。
【0019】
透明電極は共通である又は構造化されることが可能であり、パッシブマトリクスディスプレイ及びアクティブマトリクスディスプレイの両方に対して用いられることが可能である。ボトムエミッション(基板を透過するPLED/OLEDからの発光)において、画素領域は、画素電極が透明ではない(多くの金属)ために、画素領域をOLEDのために十分使用することができないことにより、透明電極はアクティブマトリクスディスプレイに対して非常に関心が持たれるものである。
【0020】
トップエミッションにおいては、光は、有機発光層上に堆積された第2電極を透過する。それ故、この電極は透明である必要がある。
【0021】
しかしながら、通常プロセスにおける透明/半透明電極の使用は、特に、共通電極を有するアクティブマトリクスディスプレイに関係する場合、高シート抵抗のために問題となる。
【0022】
国際公開第02/089210号パンフレットにおいて、パターニングされた陰極層を有するエレクトロルミネッセンス装置について開示されている。そのパターンは、張り出し部と、張り出し部の距離において設けられ、張り出し部に沿って広がっている付随の正に傾斜したリブ部とを有するレリーフパターンにより構成されている。国際公開第02/089210号パンフレットの目的は、湿式堆積方法を用いることによりエレクトロルミネッセンス装置のための新しく、高信頼性で、単純で且つ高コストパフォーマンスの製造方法を提供することである。
【0023】
国際公開第02/089210号パンフレットにおける装置は、特に、パッシブタイプのマトリクスディスプレイに関する。パターニングされた陰極層がアクティブタイプのマトリクスディスプレイに適合することは記載されていない。対照的に、アクティブマトリクスディスプレイは、一般に、単純な共通電極を有することが記載されている。更に、透明電極におけるシート抵抗の問題点は対処されていない。
【0024】
それ故、透明電極の使用について改善し、及びアクティブマトリクスディスプレイにおいて構造化電極を用いることができる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上記不利点を克服するために、有するエレクトロルミネッセンス装置の電極を駆動回路と接触させる新しい方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的は、下方から電気的にアクセス可能な下部電極層と;上部電極層であって、前記下部電極と前記上部電極とが駆動回路に接続可能である、上部電極層と;少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス領域を構成するように前記下部電極と前記上部電極との間に配置された1つ又はそれ以上の機能層と;間に前記機能層のための井戸が形成された正に傾斜された少なくとも2つの絶縁性のリブを有するレリーフパターンと;を有するエレクトロルミネッセント装置を提供することにより達成される。前記上部電極層は、少なくとも1つの正に傾斜したリブを覆う延長部を有し、前記井戸は前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの第1側面において配置されている。接触表面は前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの第2側面において配置されて、前記延長部は前記上部電極層により覆われた前記コンタクト表面の少なくとも一部を与え、その上部電極層は、それ故、前記接触表面において下方から電気的にアクセス可能である。
【0027】
それ故、本発明に従って、電極の電気的アクセス可能性は非常に容易になり、このことは、透明電極の使用の改善及びアクティブマトリクスディスプレイにおける構造化電極の使用を提供する。
【0028】
両方の電極は駆動回路にアクセス可能であるため、最良の駆動回路の選択において更に多くの自由度が与えられる。
【0029】
前記エレクトロルミネッセンス装置は、好適には、基板において配置される。そのような基板の使用はエレクトロルミネッセンス装置の製造を容易にする。
【0030】
本発明の1つの特徴に従って、前記駆動回路は前記基板において一体化される。例えば、アクティブマトリクスディスプレイにおいて、駆動回路、即ち、画素回路は基板において一体化される。2つの電極の両方は回路にアクセス可能であるため、陰極に対するNMOS(nチャネル金属酸化物半導体)駆動トランジスタと陽極に対するPMOS(pチャネル金属酸化物半導体)駆動トランジスタの構成が有効である。それらの構成は、駆動トランジスタが固定電圧ラインに取り付けられているため、好適である。一般に、両方の電極は、画素要素であって、例えば、2つの活性要素であって駆動トランジスタ、又は1つの活性要素と専用の基板ラインにより与えられる1つの電圧ラインとにより制御されることができる。このことは、各々の(群の)OLEDの陰極及び陽極の電圧(パルス化電圧、負電圧及び/又は正電圧)がフレーム時間内に個別に設定されるため、駆動において多くの自由度を与える。
【0031】
PMOSはOLEDの陰極に電源供給することが可能である。この場合、駆動トランジスタのソースは陰極であるため、ソースにおける電圧は固定されていない。逆であることが又、可能であり、例えば、NMOSの場合であって、NMOSは陰極からPLEDに電力供給することが可能である。ここで、ソースは、固定電圧を有する電力に接続されている。好適には、非晶質シリコン基板において、NMOSが製造される。それ故、最良の方法は陰極によりPLEDを駆動することである。
【0032】
他の特徴に従って、前記駆動回路は前記基板の外部に備えられる。この場合、各々の電極から前記基板の端部まで管路が存在する。これは、パッシブマトリクスディスプレイの場合である。本発明に従って下方から駆動回路まで両方の電極を接続することができる大きい有利点があり、それ故、電極の導電特性はあまり重要ではない。実際には、何れの適切な良好な電気導体を選択することが可能である。
【0033】
透明陰極を有するディスプレイにおいては、透明/半透明層のシート抵抗を減少させるための良好な接触を実現することが期待されている。グレーティング及び画素間の金属分路について考慮されてきた。両方の場合、基板との陰極接触はディスプレイの活性領域の外側にある。
【0034】
好適には、前記レリーフパターンは、前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブからある距離にある少なくとも1つの負に傾斜したリブを更に有し、その負に傾斜したリブは前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの前記第2側面に沿って広がっている。その負に傾斜したリブは電極をパターニングする好都合の方法を与える。
【0035】
本発明の一実施形態に従って、エレクトロルミネッセンス装置は、前記基板に置ける第1及び第2方向に沿って広がっている少なくとも2つの正に傾斜したリブを有する。好適には、前記第2方向は前記第1方向と垂直である。更に、前記の負に傾斜したリブは、前記基板における前記第1方向及び第2方向の一に沿って広げられることが可能である。更に、前記接触表面は前記第1方向及び第2方向の両方において設けられることが可能である。それらの手段により、種々のアプリケーションに適合されるエレクトロルミネッセンス装置の好ましい変形を構成することができる。
【0036】
本発明の他の特徴に従って、前記機能層の一はエレクトロルミネッセンスポリマーを有する。
【0037】
本発明の他の特徴に従って、前記機能層はエレクトロルミネッセンス小分子材料を有する。
【0038】
好適には、前記上部電極層は陰極層であり、前記下部電極層は陽極層である。
【0039】
本発明に従ったエレクトロルミネッセンス装置は活性マトリクスディスプレイ又はパッシブマトリクスディスプレイであることが可能である。
【0040】
本発明は又、上記のエレクトロルミネッセンス装置の使用に関する。更に、本発明はそのエレクトロルミネッセンス装置の製造方法に関する。
【0041】
本発明の上記の及び他の特徴については、以下、詳述する実施形態を参照することにより明らかになり、理解されることであろう。それらの実施例は、本発明を例示するように意図され、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明へと繋がる研究において、駆動回路を有するエレクトロルミネッセンス装置における、例えば、基板における電極に接触させるための新しい方法が見出された。
【0043】
本発明の実施形態について、以下、添付図面を参照して更に説明する。
【0044】
図1においては、活性マトリクスPLEDを示している。上部電極層(2)は陰極層であり、下部電極層(10)は陽極層である。ディスプレイは基板(11)において備えられ、駆動回路(3)は基板(11)において一体化された画素回路である。陽極(10)は、基板における導電ラインにより画素回路と接触した状態にある。
【0045】
PLEDの構造化陰極(2)を画素回路(3)と接触させることができるように、基板(11)の外部絶縁機能層(5)に開口(4)がある。それ故、堆積された構造化陰極層(2)と基板における金属ライン(6)との間の接触が可能である。
【0046】
2種類のレジストが基板上に堆積される。
【0047】
第1レジストは、機能性ポリマー層(5)がインクジェットプリンティング法により堆積される領域を規定する。それらのレジストは正に傾斜したリブ(7)と呼ばれ、それらは井戸(13)と呼ばれる領域を規定する。正に傾斜したリブは又、開口(4)がポリマーで覆われることから除外するために規定される。
【0048】
第2レジスト、即ち、負に傾斜したリブ(8)は陰極の構造化を可能にする。このタイプのリブは、陰極のライン構造化のために用いられるために既知であり、パッシブマトリクスディスプレイにおいて用いられる標準的な処理である。負に傾斜したリブの傾斜(9)は、陰極金属表面を中断するシャドウ領域になる。負に傾斜したリブ(8)は2つの正に傾斜したリブ(7)の間に置かれ、開口(4)を覆わない。
【0049】
“接触表面”に対応する開口(4)はポリマーではなく陰極金属により覆われている。開口(4)は、それ故、ポリマーOLEDの陰極(2)と図2に示している画素回路(3)に接続された金属ライン(6)との間の接触となる。個別の陰極電極は、それにより、陰極要素と画素回路との間の接触によりアドレス可能である。
【0050】
接触表面(4)のサイズは、陰極と画素回路(3)に接続された金属ライン(6)との間の接触を与えるに十分大きい限り、変えることが可能である。更に、接触表面全てが陰極金属で覆われる必要はない。しかしながら、適切には、全体の接触表面(4)は陰極金属で覆われる。
【0051】
より大きい接触表面(4)は、接触表面(4)の一部に誤って堆積されたポリマーが接触を悪くするリスクを低減させる。ポリマーにより覆われた部分は、その接触と平行の状態にある逆バイアスダイオード(高インピーダンス)に相当するため、問題点を与えることはない。
【0052】
表現“下方から”はエレクトロルミネッセンス装置における方向を規定する。上部及び下部電極層を有するエレクトロルミネッセンス装置においては、下部電極層は上部電極層の下方に備えられる。その装置が基板において構築される場合、基板は下部電極の可能に備えられる。それ故、下方から電気的にアクセス可能であるということは、電気的接続が電極から電極の直下に備えられている回路に構築されることができることを意味する。
【0053】
それ故、電気的接続は、例えば、両方の電極の下方の基板において配置されている回路に電極層の両方から備えられることができる。このことは、電極の1つのみが下方から接触されることが可能である従来技術に対して大きく異なる。他の電極は装置の側面から接触される必要がある。
【0054】
表現“接触表面”は、上部電極層が駆動回路によりアクセス可能である領域を意味する。接触表面において堆積される機能層はない。
【0055】
上部電極層と駆動回路との間の接触は基板における接触ラインにより影響を受け得る。続く材料であって、例えば、Al、Cr、Mo等の低抵抗金属及びそれら金属の組み合わせ又はITOは、本発明に従った接触ラインとして用いられることが可能である。一実施例は、80nmのCr、500nmのAl、40nmのCrを有する。
【0056】
本発明に従った“駆動回路”は、画素回路であって、行選択ラインにより米国特許第6229506B1号明細書に記載されている画素回路又は駆動トランジスタのゲートにおける列データ電圧から電圧データ信号を書き込むことが可能である選択トランジスタを有する、米国特許第5684365号明細書に記載されている基本画素回路であることが可能である。
【0057】
パッシブマトリクスディスプレイの場合、“駆動回路”は、表示の端部から画素まで2つ又はそれ以上の導電性ラインを有する。
【0058】
表現“負に傾斜したリブ”は、ある部分であって、シャドウ領域を生成する傾斜を意味する。負に傾斜したリブは、ある環境下で垂直な側壁を有する部分を有することが可能である。負に傾斜したリブは、下部電極層を堆積するときに電極材料が堆積されないシャドウ領域を与えることにより、上部電極層をパターニングする機能を有する。負に傾斜したリブは、好適には、絶縁体材料から成り、適切な材料はポリマーを基本とするフォトレジスト、SiO、Si及びAlを有する。負に傾斜したリブの幅は、好適には、1乃至50μmの範囲内にあり、負に傾斜したリブの高さは、好適には、0.3乃至10μmの範囲内にある。
【0059】
表現“正に傾斜したリブ”は、シャドウ領域を有しない部分を意味し、垂直側壁を有する部分を有することが可能である。正に傾斜したリブは井戸を規定する役割を果たし、その井戸において、機能層が堆積されるようになっている。正に傾斜したリブは又、ポリマーにより覆われるようになっている開口を除外するために規定される。正に傾斜したリブは絶縁材料から成り、適切な材料はフォトレジストであって、例えば、HPR504のようなノボラック樹脂を有し、又、アクリル樹脂及びポリイミドに基づく樹脂を有する。正に傾斜したリブの幅は、好適には、1乃至50μmの範囲内にあり、正に傾斜したリブの高さは、好適には、0.2乃至10μmの範囲内にある。国際公開第02/089210号パンフレットを更に参照されたい。
【0060】
適切には、負に傾斜したリブは正に傾斜したリブからある距離において備えられている。
【0061】
正に傾斜したリブ及び負に傾斜したリブは絶縁性材料から成る。負に傾斜したリブは負のフォトレジストから構成されることが可能である。負に傾斜したリブは隣の画素に接続されている。負に傾斜したリブが導電性である場合、それらは画素をショートさせることとなる。
【0062】
上記例における正に傾斜したリブは陽極及び陰極と、直接、接触している。正に傾斜したリブが導電性である場合、それは画素をショートさせることとなる。しかしながら、陰極との接触が回避される場合、その正に傾斜したリブは導電性材料から成ることができる。
【0063】
表現“井戸”は、正に傾斜したリブにより範囲を定められた領域を意味する。エレクトロルミネッセンス装置のタイプ及び堆積方法に依存して、リブは、チャネルを構成するために1つ又はそれ以上の側面において終端する閉じた井戸又は開いた井戸を構成することが可能である。好適には、正に傾斜したリブは四角形領域に範囲を定める。
【0064】
陰極には、適切には、PVD(物理蒸着法)を適用する。例えば、次のような材料であって、Ba、Ca、LiF、Mg、Al又はAgを、本発明に従った陰極として用いることが可能である。透明/半透明陰極において用いられる材料の例としては、Ba、Ca、LiF、Mg、Al、AgMgの薄膜及び比較的薄いITO薄膜がある。陰極層の厚さは、好適には、金属に対して5乃至70nmの範囲内及びITOに対しては200nm以下の範囲内にある。
【0065】
陽極は、適切には、スパッタ法を適用する。例えば、次のような材料であって、ITO又は他の透明な陰極材料、例えばフッ素添加されたITOを、本発明に従った陰極として用いることが可能である。透明/半透明謡曲において用いられる材料の例としては、ときどきITOで覆われた種々の種類の金属がある。それらの金属としては、例えば、Al、Mo、Cr、Ag等がある。又、完全に透明な装置に対しては、ITOのみが可能である。陽極層の厚さは、好適には、10乃至10000nmの範囲内にある。
【0066】
陽極及び陰極形成方法は、当業者には習慣的且つ周知である。
【0067】
エレクトロルミネッセンス装置は1つ又はそれ以上の機能層を有する。そのような機能層の例は、エレクトロルミネッセンス層、電荷輸送層及び電荷注入層である。
【0068】
機能層の少なくとも1つはエレクトロルミネッセンス材料から成るエレクトロルミネッセンス層である。用いられるエレクトロルミネッセンス材料のタイプは重要ではなく、当該技術分野において周知の何れのエレクトロルミネッセンス材料を用いることができる。エレクトロルミネッセンス層の厚さは、好適には、10乃至250nmであり、よく用いられる厚さは70nmである。
【0069】
本発明において用いられるエレクトロルミネッセンスポリマーの一例はポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)である。
【0070】
本発明において用いられるエレクトロルミネッセンス小分子材料の一例は8−ヒドロキシ−キノリン−アルミニウムである。
【0071】
エレクトロルミネッセンスポリマー材料はインクジェットプリンタを用いるインクジェットプリンティングにより堆積されることが可能である。
【0072】
小分子エレクトロルミネッセンス材料は、物理蒸着法(PVD)を用いる蒸着処理を用いて堆積されることが可能である。
【0073】
任意に、エレクトロルミネッセンス装置は、好適には、電極間に堆積される有機機能層を更に有する。そのような更なる層は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層(HTL)並びに電子注入層及び/又は正孔輸送層(ETL)であることが可能である。そのような層の一例はPEDOTである。
【0074】
一般に、エレクトロルミネッセンス装置は基板を有する。好適には、基板は発光される光に対して透明である。適切な基板材料としては、ガラス、プラスチック及び金属がある。基板は、レリーフパターンのための支持表面を提供する。
【0075】
広い意味では、本発明は単一のエレクトロルミネッセンス領域を有するエレクトロルミネッセンス装置に適用可能であるが、本発明は、複数の光発光領域を有するエレクトロルミネッセンス装置に対して特に有利である。
【0076】
実施例1:陰極のライン構造化
負に傾斜したリブが、パッシブマトリクスにおけるように一方向にのみに沿って堆積され(図3参照)、金属は開口の下に形成されている場合、陰極はライン構造化される。
【0077】
これは、1度に1つのラインの陰極をパルス化することが好ましい非晶質シリコンに対して適切な構成である。
【0078】
実施例2:陰極の画素構造化(島状)
負に傾斜したリブが又、垂直方向に沿って堆積される場合、互いから完全に島状化される各々の画素に対応する陰極島を規定することが可能であり、図4を参照されたい。
【0079】
これは、画素の陰極駆動のための最適な構成である。
【0080】
実施例3:4つの側面における接触を有する島
通常処理における透明/半透明陰極を用いることは高シート抵抗であり、問題点である。基板において形成されている金属ラインを有する陰極のショートによりこの問題点を回避することができる。上記構成の両方を用いることができる。
【0081】
開口は、陰極の抵抗を更に減少させるために画素の4つの側面において規定される。この場合、プリンティングは、PLED領域のみにおいて注意深く実行されなければならない。金属は又、抵抗を更に減少させるために負に傾斜したリブの下の一部である。
【0082】
実施例4:製造方法
続いて、本発明に従って装置を製造するための方法について説明する。
【0083】
先ず、アクティブマトリクス処理がなされ、陰極(ITO)で終了する。次いで、正に傾斜したリブが基板上に堆積され、それにより、井戸が形成される。リブは、ITOに対して絶縁体(酸化物、窒化物)により開口を形成することを可能にする。このようにして、開口、接触表面が下地金属に対して形成される。
【0084】
次の段階は組み込まれたシャドウマスクを形成することである。好適な処理においては、ネガ型フォトレジストが用いられる。このレジストネガ型形状を形成するように露光される。次いで、インクジェットプリンタを用いて、PEDOT及び1つ又はそれ以上のカラーPPVがITO領域にプリントされる。井戸構造はオーバーフローを防ぐ。それ故、接触表面はポリマーで覆われない。プリンティング後、陰極が堆積される。接触表面は、陰極が下地金属と接触するようにする。負に傾斜したリブの負の傾斜のために陰極は構造化される。
【0085】
このようにして、アクティブマトリクスディスプレイにおける構造化陰極のために及び/又は透明/半透明陰極におけるシート抵抗の減少のために本発明を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に従った装置の斜視断面図である。
【図2】本発明に従った装置の電気的説明図である。
【図3】陰極ライン構造を有する、本発明に従った装置の斜視断面図である。
【図4】陰極画素構造を有する、本発明に従った装置の斜視断面図である。
【図5】4つの側面に開口を有する島状構造を有する、本発明に従った装置の斜視断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から電気的にアクセス可能な下部電極層;
上部電極層であって、前記下部電極と前記上部電極とが駆動回路に接続可能である、上部電極層;
少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス領域を構成するように前記下部電極と前記上部電極との間に配置された1つ又はそれ以上の機能層;及び
間に前記機能層のための井戸が形成された正に傾斜された少なくとも2つの絶縁性のリブを有するレリーフパターン;
を有するエレクトロルミネッセント装置であって、
前記上部電極層は少なくとも1つの正に傾斜したリブを覆う延長部を有し、前記井戸は前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの第1側面において備えられ、接触表面は前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの第2側面に備えられ、前記延長部は前記上部電極層により覆われた前記接触表面の少なくとも一部を与え、その上部電極層は、それ故、前記接触表面において下方から電気的にアクセス可能である;
ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記エレクトロルミネッセント装置は基板において備えられる、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記駆動回路は前記基板に一体化されている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記駆動回路は前記基板の外部に備えられている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記レリーフパターンは、前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブから所定の距離にある少なくとも1つの負に傾斜したリブを更に有し、該少なくとも1つの負に傾斜したリブは前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの前記第2側面に沿って広がっている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記基板における第1方向及び第2方向に沿って広がっている少なくとも2つの正に傾斜したリブを有する、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記第2方向は前記第1方向に対して垂直である、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記の負に傾斜したリブは前記基板における前記第1方向及び第2方向の一の方向に沿って広がっている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記の負に傾斜したリブは前記基板に置ける前記第1方向及び第2方向の両方向に沿って広がっている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記接触表面は前記第1方向及び前記第2方向の両方向において設けられている、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記機能層の一はエレクトロルミネッセンスポリマーを有する、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項12】
請求項1乃至10の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記機能層の一はエレクトロルミネッセンス小分子材料を有する、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記上部電極層は陰極層である、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記下部電極層は陰極層である、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記エレクトロルミネッセンス装置はアクティブマトリクスディスプレイである、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項16】
請求項1乃至14の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置であって、前記エレクトロルミネッセンス装置はパッシブマトリクスディスプレイである、ことを特徴とするエレクトロルミネッセント装置。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れ一項に記載のエレクトロルミネッセント装置の使用。
【請求項18】
エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって:
下方から電気的にアクセス可能な下部電極層を備える段階;
間に井戸を形成される少なくとも2つの正に傾斜した絶縁性リブを有するレリーフパターンを備える段階;
少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス領域を形成するように、少なくとも1つの正に傾斜したリブの第1側面の前記井戸において1つ又はそれ以上の機能層を備える段階;
前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブの第2側面において接触表面を備える段階;及び
前記の少なくとも1つの正に傾斜したリブを覆う延長部を有する上部電極層を備える段階であって、前記延長部は前記上部電極層により覆われている前記接触表面の少なくとも一部を与え、前記上部電極層は、それにより、前記接触表面において下方から電気的にアクセス可能である、段階;
を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−514271(P2007−514271A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530829(P2006−530829)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050666
【国際公開番号】WO2004/102669
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】