説明

エレベータかごの戸安全装置

【課題】より高い安全性を有するエレベータかごの戸安全装置を得る。
【解決手段】この発明に係るエレベータかごの戸安全装置は、戸4の端部に設けられ、戸4の全開時又は全閉時に戸4に対する突出量が最小で、また戸4の開閉中に突出量が最大となるセーフティシュー1と、セーフティシュー1の戸4側に対する押し込みの有無を検知するとともに、有の場合に戸4に対する反転の信号を出力するシュースイッチ9と、戸4に設けられ、戸4に対するセーフティシュー1の突出量が所定の量以上か否かを検知するサブスイッチ15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かごの戸が閉まる途中、戸の端部に設けられたセーフティシューが障害物に接触したときに、戸を反転して開くようになっているエレベータかごの戸安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベータかごの戸が閉まる途中に障害物が挟まれるのを防止する安全装置としては、多光軸の赤外線ビームを用いたセンサを利用する方式が主流である。
この赤外線ビーム方式の場合、利用者が乗り込む際に、必ずビームを遮ることとなるので、センサのOFF故障(赤外線ビームが遮られていることを検知できない故障)を検知することが容易であり、実際に故障検知機能を有しているものが実用化されている。
【0003】
一方、セーフティシューを備えた機械式のエレベータかごの戸安全装置についても、コストが安いこと、赤外線ビーム方式のセンサが使えないような外乱光のある環境でも使用できる等の利点からエレベータ装置に多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
このエレベータかごの戸安全装置では、セーフティシューが押し込まれない状況下の戸の全閉中において、シュースイッチに電流が遮断されたままの状態(シュースイッチのOFF故障)であってセーフティシューの戸反転信号が「ON」となっていることを検知することで、セーフティシューのON故障(戸から突出したセーフティシューに対する押し込みが無いのに、セーフティシューの押し込みと判断)を検知している。
このセーフティシューのON故障は、シュースイッチに接続されたケーブルの断線、シュースイッチの取付位置の誤り等に起因している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-97364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このエレベータかごの戸安全装置は、セーフティシューのON故障を検知する機能を有しているものの、フェールセーフの観点からより高い安全性を得る必要があるという問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決することを課題とするものであって、セーフティシューのOFF故障の検知も可能にすることで、より高い安全性を有するエレベータかごの戸安全装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベータかごの戸安全装置は、戸の端部に設けられ、戸の全開時又は全閉時に戸に対する突出量が最小で、また戸の開閉中に突出量が最大となるセーフティシューと、前記セーフティシューの前記戸側に対する押し込みの有無を検知するとともに、有の場合に前記戸に対する反転の信号を出力するシュースイッチと、前記戸に設けられ、戸に対する前記セーフティシューの突出量が所定の量以上か否かを検知するサブスイッチとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明のエレベータかごの戸安全装置によれば、戸に対するセーフティシューの突出量が所定の量以上か否かを検知するサブスイッチを戸に設けたので、セーフティシューのON故障を検知する機能のみではなく、セーフティシューのOFF故障の検知も可能となり、より高い安全性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置を備えたエレベータ装置の要部正面図であって、かごの戸が全閉時のエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。
【図2】図1のエレベータ装置の要部正面図であって、戸の開閉途中のエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。
【図3】図1のエレベータ装置の要部正面図であって、戸が閉途中にセーフティシューが押されたときのエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。
【図4】戸の位置とセーフティシューの突出量との関係を示す図である。
【図5】セーフティシューのON故障(シュースイッチのOFF故障)を検知する手順を示すフローチャート図である。
【図6】サブスイッチのOFF故障を検知する手順を示すフローチャート図である。
【図7】セーフティシューのOFF故障(シュースイッチのON故障)を検知する手順を示すフローチャート図である。
【図8】サブスイッチのON故障を検知する手順を示すフローチャート図である。
【図9】この発明の実施の形態2のエレベータかごの戸安全装置を備えたエレベータ装置の要部正面図であって、戸が全閉時のエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。
【図10】図9のA-A線に沿った矢視断面図である。
【図11】図9のエレベータ装置の要部正面図であって、戸の開閉途中のエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態3のエレベータかごの戸安全装置を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態4のエレベータかごの戸安全装置を示すブロック図である。
【図14】エレベータかごの戸安全装置のシュースイッチが故障したときにサブスイッチを用いて戸を反転させる手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0011】
図1はこの発明の実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置を備えたエレベータ装置の要部正面図であって、かごの戸4が全閉時のエレベータかごの戸安全装置の態様を示す図である。なお、図において、一方の戸4側についてのみ示されているが、他方の戸側も左右対称の構成で動作も同様であるので、他方の戸側の説明は省略する。
このエレベータかごの戸安全装置は、戸4が閉まる途中、戸4の先端に設けられたセーフティシュー1が障害物に接触したときに、戸4を反転させて開くようになっている。
図1のエレベータ装置は、エレベータ昇降路内を昇降するかごの一部を乗場側から視たときの図であり、かごに形成された出入口は、左右の戸4により開閉される。
戸4は、ドアハンガ20により吊下されている。このドアハンガ20には、ハンガローラ21が回転自在に取り付けられている。かごの出入口の上方には水平にレール22が設けられており、下部には敷居14が設けられている。
戸4は、かごに設けられたドア駆動モータ(図示せず)の駆動により、ハンガローラ21がレール22上を転動することで、敷居14の溝(図示せず)に沿って左右に移動する。
【0012】
このエレベータ装置は、エレベータかごの戸安全装置を備えている。
このエレベータかごの戸安全装置では、戸4の片側縁部には、上下方向に延びたセーフティシュー1が設けられている。このセーフティシュー1の上部には、支点40を介して回動自在に第1のリンク2の一端部が取り付けられている。第1のリンク2の他端部は支点42を介して戸4に回転自在に取り付けられている。この第1のリンク2の下部には、第1のばね8の一端部が取り付けられている。
セーフティシュー1の下部には、支点41を介して回動自在に第2のリンク3の一端部が取り付けられている。第2のリンク3は、中間部で支点5を介して回動自在に戸4に取り付けられている。また、第2のリンク3の他端部には、当接部43が設けられている。
第1のリンク2及び第2のリンク3は、支点40と支点41との距離と、支点42と支点5との距離が等しく、互いに平行が確保された平行リンク機構を構成し、セーフティシュー1は、垂直状態を確保しつつ、戸4に対して水平方向に突出するようになっている。
【0013】
第2のリンク3の支点5には、従動リンク6の一端部が回動自在に取り付けられている。従動リンク6は、中間下縁部に第2のリンク3の下端部に向かって突出したストッパ7が設けられている。このストッパ7には、セーフティシュー1の自重及び第1のばね8の弾性力により、支点5を中心に時計方向に回動した第2のリンク3が接触している。
また、従動リンク6の下端部にはシュースイッチ9が取り付けられている。シュースイッチ9のレバー9aは、セーフティシュー1の自重及び第1のばね8の弾性力により、支点5を中心に時計方向に回動した第2のリンク3の先端部の当接部43に接触している。
そして、戸4に対してセーフティシュー1が押し込まれることで、第2のリンク3は、支点5を中心に反時計方向に回動し、従動リンク6のストッパ7から離間し、また第2のリンク3の当接部43がシュースイッチ9のレバー9aから離間することで、戸4に対するセーフティシュー1の押し込みの有無が検知される。
【0014】
即ち、このシュースイッチ9は、戸4から突出したセーフティシュー1を押し込まないときには、常に「ON」であり、押し込みがあったときに「OFF」となる。
ここで、シュースイッチ9が「ON」のときには、シュースイッチ9には電流が流れ、セーフティシュー1における戸4の反転信号は「OFF」のままである。
また、シュースイッチ9は、レバー9aが当接部42から離れた「OFF」のときには、シュースイッチ9では電流が遮断され、セーフティシュー1における戸4の反転信号が「ON」となり、戸4を移動させるドア駆動モータの回転方向が反転する。
【0015】
ここで、セーフティシュー1のON故障とは、戸4から突出したセーフティシュー1に対する押し込みが無いのに、セーフティシュー1の押し込みと判断し、セーフティシュー1での戸4の反転信号が「ON」の状態のままのことを言い、このことはシュースイッチ9では電流が遮断されたままであり、シュースイッチ9のOFF故障でもある。
【0016】
また、セーフティシュー1のOFF故障とは、セーフティシュー1が押し込まれたにも拘わらず、セーフティシュー1の押し込みを検知できず、セーフティシュー1での戸4の反転信号が「OFF」の状態のままのことを言い、このことはシュースイッチ9では電流が通電したままの状態であり、シュースイッチ9のON故障でもある。
【0017】
なお、シュースイッチ9のOFF故障は、例えばケーブルの断線、シュースイッチ9の取付け位置の誤り等により生じ、またシュースイッチ9のON故障は、シュースイッチ9のレバー9aの当接部42への凝着、シュースイッチ9の取付け位置の誤り等により生じる。
【0018】
従動リンク6の上側縁部には、カムフォロア10が回転自在に取り付けられている。戸4には、カム11が支点45を中心に回動自在に取り付けられている。カム11は、2連リンク13を介して、戸袋側の敷居14に固定されており、戸4の位置の変動に応じて、カム11は、支点45を中心に回動するようになっている。
このカム11の支点45と従動リンク6の上縁部との間には、第2のばね12が張設されており、この第2のばね12の弾性力により、カムフォロア10の周面は、カム11の周面と常に面接触している。
このカム11の形状により、戸4の全閉及び全閉近傍、並びに全開及び全開近傍で戸4に対するセーフティシュー1の突出量が小さく、それ以外の戸4の開閉領域では戸4に対するセーフティシュー1の突出量が大きくなるように、カム11の形状は設計されている。
【0019】
また、エレベータかごの戸安全装置では、戸4にサブスイッチ15が取り付けられている。セーフティシュー1には、サブスイッチ15のレバー15aが当接する当て金16が取り付けられている。
このシュースイッチ9は、戸4の全閉及び全閉近傍、並びに全開及び全開近傍で戸4に対するセーフティシュー1の突出量が小さいときには、サブスイッチ15のレバー15aが当て金16に当接し、サブスイッチ15は「ON」である。
また、このサブスイッチ15は、戸4の閉途中において突出したセーフティシュー1が押し込まれることで、「ON」となる。
また、このサブスイッチ15は、戸4の閉途中においてセーフティシュー1が戸4に対して突出することで、サブスイッチ15のレバー15aが当て金16から離間し、サブスイッチ15は「OFF」である。
【0020】
シュースイッチ9は、セーフティシュー1のON故障を検知する機能を有しているものの、セーフティシュー1のOFF故障(セーフティシュー1が押し込まれたのに、セーフティシュー1の押し込みを検知できない故障)を検知できないが、このサブスイッチ15は、セーフティシュー1のOFF故障を検知することで、シュースイッチ9の有しない機能を補足している。
サブスイッチ15は、セーフティシュー1の突出量が規定の量以上の場合にOFFとなり、規定の量未満の場合にONとなるように設定されている。
セーフティシュー1のOFF故障のときは、セーフティシュー1を押し込んでも、セーフティシュー1での戸4の反転信号が「OFF」の状態のままであり、シュースイッチ9では電流を通電したままの状態で、シュースイッチ9のON故障でもある。
【0021】
図4は、戸4の位置とセーフティシュー1の突出量との関係を示す図である。
セーフティシュー1が利用者により押し込まれない場合、セーフティシュー1の突出量は、図の実線に示す量であり、戸4の全閉及び全開では戸4に対するセーフティシュー1の突出量が最小であり、それ以外の戸4の開閉領域では戸4に対するセーフティシュー1の突出量が最大となる。
一方、利用者により、セーフティシュー1が押され、突出量が図示の二点鎖線の示す量より小さくなると、シュースイッチ9がOFFとなる。
図4から分かるように、戸4の位置に関わらず、セーフティシュー1を少し押すだけで、シュースイッチ9はOFFとなることを示す。サブスイッチ15は、戸4の位置に関わらず規定の量よりセーフティシュー1が突出した場合にOFFとなり、規定の量より突出しない場合にONとなる。
【0022】
次に、上記構成のエレベータかごの戸安全装置の動作について説明する。
このエレベータかごの戸安全装置では、戸4が全閉の時、図1に示すように、セーフティシュー1の突出量は小さく抑えられており、サブスイッチ15のレバー15aがセーフティシュー1に固定された当て金16と接触しているので、サブスイッチ15はONとなっている。また、シュースイッチ9もONである。
【0023】
戸4の開閉途中では、カム11の支点45を中心に時計方向に回動し、このカム11の回動に伴い、カムフォロア10を介して従動リンク6は支点5を中心に時計方向に回動する。
従動リンク6のストッパ7には、セーフティシュー1の自重及び第1のばね8の弾性力により、支点5を中心にして第2のリンク3には時計方向の力が付勢しており、第2のリンク3は、従動リンク6の支点5を中心にした時計方向の回動に追従するようにして支点5を中心に時計方向に回動する。この結果、図2に示すように、セーフティシュー1は、戸4に対して突出する。
このときには、サブスイッチ15はOFFであり、またシュースイッチ9はONである。
【0024】
また、戸4の閉途中において、戸4に対して突出したセーフティシュー1を、利用者が図3の矢印Aに示す方向に押圧すると、第2のリンク3は支点5を中心に反時計方向に回動し、第2のリンク3の当接部43がシュースイッチ9のレバー9aから離間し、シュースイッチ9はOFFとなり、またサブスイッチ15のレバー15aに当て金16が当接し、サブスイッチ15は再びONになる。
この結果、シュースイッチ9では電流が遮断され、セーフティシュー1における戸4の反転信号が「ON」となり、戸4を移動させるドア駆動モータの回転方向が反転し、戸4は開く方向に移動する。
【0025】
次に、セーフティシュー1の故障、サブスイッチ15の故障を検知する処理手順について、フローチャート図に基づいて説明する。
図5はセーフティシュー1のON故障(シュースイッチ9のOFF故障)を検知する処理手順を示すフローチャート図である。
ステップS1において、戸4が全閉中であるか否かが判定され、Yesと判定された場合には、シュースイッチ9のOFFか否かが判定される(ステップS2)。ステップS2において、シュースイッチ9のOFFがYesと判定された場合には、シュースイッチ9のOFF故障が検知される(ステップ3)。つまり、セーフティシュー1のON故障が検知され、図5の処理手順は終了する。
なお、ステップS1において、Noと判定され、またはステップS2において、Noと判定された場合には、そのまま図5の処理手順は終了する。
【0026】
図6はサブスイッチ15のOFF故障を検知する処理手順を示すフローチャート図である。
ステップS1において、戸4が全閉中であるか否かが判定され、Yesと判定された場合には、サブスイッチ15がOFFか否かが判定される(ステップS2)。ステップS2において、サブスイッチ15のOFFがYesと判定された場合には、サブスイッチ15のOFF故障が検知されて(ステップS3)、図6の手順は終了する。
なお、ステップS1において、Noと判定され、またはステップS2において、Noと判定された場合には、そのまま図6の処理手順は終了する。
【0027】
図7はセーフティシュー1のOFF故障(シュースイッチ9のON故障)を検知する処理手順を示すフローチャート図である。
ステップS1において、戸4が閉中であるか否かが判定され、Yesと判定された場合には、戸4の位置がOFF故障検出範囲か否かが判定される(ステップS2)。Yesと判定された場合は、セーフティシュー1が押し込まれており(ステップS3)、このときにシュースイッチ9がONであれば(ステップS4)、シュースイッチ9のON故障が検知される(ステップS5)。つまり、セーフティシュー1のOFF故障が検知され、図7の処理手順は終了する。
なお、ステップS1〜ステップS4において、Noと判定された場合には、そのまま図7の処理手順は終了する。
【0028】
図8はサブスイッチ15のON故障を検知する処理手順を示すフローチャート図である。
ステップS1において、戸4が開中であるか否かが判定され、Yesと判定された場合には、戸4の位置がOFF故障検出範囲か否かが判定される(ステップS2)。Yesと判定された場合には、シュースイッチ9がONか否かが判定される(ステップS3)。Yesと判定された場合には、サブスイッチ15がONか否かが判定される(ステップS4)。Yesと判定された場合には、サブスイッチ15のON故障が検知されて(ステップS5)、図8の処理手順は終了する。
ステップS1〜ステップS4において、Noと判定された場合には、そのまま図8の処理手順は終了する。
【0029】
以上説明したように、この実施の形態によるエレベータかごの戸安全装置によれば、戸4の端部に設けられ、戸4の全開時又は全閉時に戸4に対する突出量が最小で、また戸4の開閉中に突出量が最大となるセーフティシュー1と、セーフティシュー1の戸4側に対する押し込みの有無を検知するとともに、有の場合に戸4に対する反転の信号を出力するシュースイッチ9と、戸4に設けられ、戸4に対するセーフティシュー1の突出量が所定の量以上か否かを検知するサブスイッチ15とを備えているので、セーフティシュー1のON故障を検知することができるだけではなく、セーフティシュー1のOFF故障の検知も可能となり、より高い安全性を得ることができる。
【0030】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2のエレベータかごの戸安全装置を備えたエレベータ装置の要部正面図であり、戸4が全閉時のエレベータかごの戸安全装置の態様を示している。図10は図9のA-A線に沿った矢視断面図である。
このエレベータかごの戸安全装置では、サブスイッチである磁気近接スイッチ17が戸4に固定されている。セーフティシュー1には、プレート18が取付けられている。
戸4の閉途中のエレベータかごの戸安全装置を示す図11から分かるように、戸4に対してセーフティシュー1が規定の量以上突出したときには、磁気近接スイッチ17からプレート18が離れるように、磁気近接スイッチ17が戸4に取付けられている。
【0031】
この磁気近接スイッチ17は、戸4の全閉及び全閉近傍、並びに全開及び全開近傍で戸4に対するセーフティシュー1の突出量が小さいときには、磁気近接スイッチ17にプレート18が接近し、サブスイッチである磁気近接スイッチ17は「ON」である。
他の構成は、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置と同じであり、また実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置と同じく、戸4の全閉及び全開時は、シュースイッチ9及び磁気近接スイッチ17は共にONとなる。
また、戸4の開閉途中では、シュースイッチ9はONであり、磁気近接スイッチ17はOFFとなる。
【0032】
この実施の形態のエレベータかごの戸安全装置では、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置の効果と同様の効果を得ることができるとともに、サブスイッチとして、非接触の磁気近接スイッチ17を用いているので、スイッチの寿命が長くなるとともに、スイッチの接点のクリック音が生じないという効果がある。
【0033】
実施の形態3.
図12は、この発明の実施の形態3のエレベータかごの戸安全装置を示すブロック図である。
この実施の形態では、制御部26は、シュースイッチ9及びサブスイッチ15の故障情報を入力するセンサ入力部25を備えている。制御部26は、制御ケーブル27を通じて制御盤28に接続されている。制御盤28は、通信ケーブル29を通じて監視センタ30に接続されている。
他の構成は、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置と同じである。
【0034】
この実施の形態3のエレベータかごの戸安全装置によれば、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置の効果と同様の効果を得ることができるとともに、セーフティシュー1の故障情報、サブスイッチ15の故障情報を監視センタ30で簡単に知ることができるという効果がある。
【0035】
実施の形態4.
図13は、この発明の実施の形態3のエレベータかごの戸安全装置を示すブロック図である。
この実施の形態では、戸4の制御基盤32に、シュースイッチ9及びサブスイッチ15の故障情報を入力するセンサ入力部25及びその情報を表示する表示器31を備えている。
表示器31としては、例えば、LEDの点灯または点滅する方法、7セグメントディスプレイにより表示する方法等がある。
他の構成は、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置と同じである。
【0036】
この実施の形態4のエレベータかごの戸安全装置によれば、実施の形態1のエレベータかごの戸安全装置の効果と同様の効果を得ることができるとともに、セーフティシュー1の故障情報、サブスイッチ15の故障情報を表示器31で簡単に知ることができるという効果がある。
【0037】
実施の形態5.
図14はシュースイッチ9またはサブスイッチ15の一方が故障した場合に、戸4の反転機能を残すことで、エレベータのサービスを損なわないようにした、処理手順を示したフローチャート図である。
シュースイッチ9及びサブスイッチ15の何れか一方のスイッチが故障した場合には、故障情報を記録、発報するなどした上で、故障していない方のシュースイッチ9またはサブスイッチ15によりセーフティシュー1の押し込みを監視し、戸4の反転機能を残すようにしたものである。
【0038】
シュースイッチ9が故障した場合には、図14のステップS1において、戸4が全閉中であるか否かが判定され、Yesと判定された場合には、戸4の位置がOFF故障検出範囲か否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、Yesと判定された場合には、サブスイッチ15がONか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3においてYesと判定された場合には、戸4は反転され、図14の処理手順は終了する。
ステップS1〜ステップS3において、それぞれNoと判定された場合には、そのまま図14の処理手順は終了する。
【符号の説明】
【0039】
1 セーフティシュー、2 第1のリンク、3 第2のリンク、4 かご戸、5 支点、6 従動リンク、7 ストッパ、8 第1のばね、9 シュースイッチ、9a レバー、10 カムフォロア、11 カム、12 第2のばね、13 二連リンク、14 敷居、15 サブスイッチ、15a レバー、16 当て金、17 磁気近接スイッチ(サブスイッチ)、20 ドアハンガ、21 ハンガローラ、22 レール、25 センサ入力部、26 制御部、27 制御ケーブル、28 制御盤、29 通信ケーブル、30 監視センタ、31 表示器、32 制御基盤、40,41,42,45 支点、43 当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸の端部に設けられ、戸の全開時又は全閉時に戸に対する突出量が最小で、また戸の開閉中に突出量が最大となるセーフティシューと、
前記セーフティシューの前記戸側に対する押し込みの有無を検知するとともに、有の場合に前記戸に対する反転の信号を出力するシュースイッチと、
前記戸に設けられ、戸に対する前記セーフティシューの突出量が所定の量以上か否かを検知するサブスイッチと
を備えたことを特徴とするエレベータかごの戸安全装置。
【請求項2】
前記サブスイッチは、非接触スイッチであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータかごの戸安全装置。
【請求項3】
前記シュースイッチ及び前記サブスイッチの故障情報を入力するセンサ入力部を有する制御部と、この制御部に電気的に接続され前記故障情報を入力する監視センタとを備えてことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータかごの戸安全装置。
【請求項4】
前記戸の制御基盤には、前記シュースイッチ及び前記サブスイッチの故障情報を入力するセンサ入力部、及びこのセンサ入力部に電気的に接続され前記故障情報を表示する表示器を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエレベータかごの戸安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−35677(P2013−35677A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175064(P2011−175064)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】