説明

エレベータのドア装置

【課題】簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においても、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置を提供する。
【解決手段】乗場ドアパネルに設けられた係合子と、着床時に係合子に係合し、乗りかごドアパネルに互いに平行に設けられた一対の係合刃とを備える。一方の係合刃に固定された連係部材と、開閉方向に移動しつつ一方の係合刃の昇降方向の変位を案内する係合刃ローラと、係合刃ローラの昇降方向の位置を規定する係合刃ローラガイド部材と、係合刃ローラの変位を連係部材に伝達する変位伝達機構とを、さらに、備える。変位伝達機構は昇降方向に伸縮する弾性体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗りかごの着床時に乗りかごドアと乗場ドアとを係合させて、その乗りかごドアの開閉駆動力を乗場ドアに伝達させるための係合装置を備えるエレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のエレベータ乗場には、エレベータの乗りかごに乗降するための出入口が設けられ、この出入口に引き戸式の乗場ドアが設置されている。乗場ドアは、通常時は閉じられており、昇降路を昇降する乗りかごがエレベータ乗場に着床して停止した際に、乗りかごのドアからの駆動力を受けて開閉する。また、乗場ドアにはロック機構が備えられており、ロック機構は、乗りかごドアが閉じたときには乗場ドアを施錠し、乗りかごドアが開き始めるときに、乗場ドアを開錠する。乗場ドアのロック機構には係合子が含まれている。
【0003】
乗りかごドアと乗場ドアとの間には、乗りかごドアの駆動力を乗場ドアに伝達する係合部が設けられている。この係合部と乗場ドアの係合子から、エレベータのドア装置の係合装置が構成される。乗りかごが乗場階に着床し停止したときに、乗りかごドアの係合部と乗場ドアの係合子が係合し、乗りかごドアの駆動力を乗場ドアに伝達する。係合部は、ロック機構を作動させる機能を併せ持つ場合もある。この係合部は、乗りかごドアに設けられ、平行な一対のリンク部材により支持されて、平行を保ったままその間隔幅を変化させるように開閉する垂直方向に延びる一対の係合刃を備えている。
【0004】
一方、エレベータ据付時には、乗りかごドアが閉じた状態での係合刃間の寸法、その時の係合刃と係合子との間隔、乗りかごドアが開いた時の係合刃間の寸法が所定の値になるように調整する。係合装置が適切に組み立てられていない場合、例えば、乗りかごドアが開いた時の係合刃間の寸法が、乗場の係合子の直径よりも狭く調整されている場合には、一対の係合刃の間隔を変化させる機構に含まれる係合刃ローラに、係合刃を閉じきろうとする力が加えられる。この力によって、係合刃、係合子等、係合装置に含まれる部材に歪みが発生する。このような係合装置に作用する過大な力によって、リンク部材と係合刃の連結部に用いられる軸受けに曲げモーメントが作用し、軸受けが損傷する場合がある。このような事態が発生すると、ドアの円滑な開閉動作に支障をきたす。
【0005】
特許文献1には、このような問題点を解決するためのエレベータのドア装置が開示されている。この装置の乗場ドアには、乗りかごドアの駆動力を乗場ドアに伝達するローラ状の第1の係合子と、ローラ状の第1の係合子に対して相対的に変位するロック機構を作動させるローラ状の第2の係合子が設けられている。乗りかごドアには、軸受けが配設された平行リンク部材を介して互いに接離する開閉方向に平行移動する第1および第2の係合刃を有し、一対の係合刃が互いに接近して閉じ合うことによりその両係合刃間で2つの係合子を挟みつけて第2の係合子の位置をロック機構が解除される位置に保持し、挟みつけを解除してロック機構を作動させる係合機構が設けられている。この装置は、さらに、係合刃とリンク部材間またはリンク部材と乗りかごドア間に介装された支え部材を備え、この支え部材によって、平行リンク部材の連結部に介装されている軸受けに対して、曲げモーメントが作用しないようにしている。しかし、開示された装置の構成は複雑であり、摺動する支え部材が多く用いられるため耐久性が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−137958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたもので、簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においてもドアに用いられる部材に損傷を与えることなく、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるエレベータのドア装置は、エレベータの乗場の出入口を開閉する少なくとも1つの乗場ドアパネルと、昇降路側に突出するように乗場ドアパネルのいずれかに設けられた第1の係合子と、エレベータの乗りかごの出入口を開閉し乗場ドアパネルと同数の乗りかごドアパネルと、第1の係合子が設けられた乗場ドアパネルに対向する乗りかごドアパネルに、乗場側に突出するように実質的に互いに平行に設けられ、昇降方向に延びる第1の係合刃および第2の係合刃と、第1の係合刃および第2の係合刃が設けられた乗りかごドアパネルにリンク部材取り付け部材によって取り付けられ、第1の係合刃および第2の係合刃とを連結する、実質的に互いに平行な一対のリンク部材とを備える。エレベータのドア装置は、第1の係合刃および第2の係合刃のいずれかに固定された連係部材と、連係部材とともに開閉方向に移動するとともに、連係部材が固定された係合刃の昇降方向の変位を案内する係合刃ローラと、乗りかごドアパネルに設けられ、係合刃ローラの昇降方向の位置を規定する係合刃ローラガイド部材と、係合刃ローラの変位を連係部材に伝達する変位伝達機構と、乗りかごがエレベータ乗場に着床し停止したときに、乗りかごドアパネルと乗場ドアパネルを連動して開閉させる駆動機構とを、さらに、備える。係合刃ローラガイド部材と、リンク部材と、第1の係合刃および第2の係合刃は、乗りかごがエレベータ乗場に着床し停止し乗場ドアパネルが開き始めたときには第1の係合刃および第2の係合刃の側板部の間隙が狭まり第1の係合子に接触し係合する方向に移動するように配設されている。変位伝達機構は昇降路方向に伸縮する弾性体を含み、弾性体は、乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態において、昇降方向に所定量だけ圧縮されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】乗場ドアロック機構に含まれる部材を用いた係合装置を有するドア装置の実施形態が適用される乗りかごドアの一例を昇降路の外の乗場側から見た図である。
【図2】図1に示した乗りかごドアの一例の乗りかごドア側係合部を含む部分の拡大図である。
【図3】図1に示した乗りかごドアの一例に対応する乗場ドアの一例を昇降路側から見た図である。
【図4】乗場ドアに設けられるロック機構の一例を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態において乗場ドア装置に乗りかごドア側係合部が係合した状態を表す図である。
【図6】本発明の実施形態における乗場ドアに設けられるロック機構の動作の一例を説明するための図である。
【図7】係合刃ローラの昇降方向の変位量と係合刃の間隙の関係を示す図である。
【図8】乗場ドアの開閉動作を説明するための図である。
【図9】乗場ドアロック機構に含まれる部材を用いない係合装置を有するドア装置の実施形態が適用される乗場ドアの一例を昇降路側から見た図である。
【図10】図9に示した乗場ドアの一例の係合子を含む部分の拡大図である。
【図11】乗りかごドアに設けられる第1の実施形態による変位伝達機構を説明するための斜視図である。
【図12】乗りかごドアに設けられる第2の実施形態による変位伝達機構を説明するための斜視図である。
【図13】乗りかごドアに設けられる第3の実施形態による変位伝達機構を説明するための斜視図である。
【図14】他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態の説明を行う。尚、それぞれの図において、同一の部分または対応する部分には同一の参照符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
(乗場ドアロック機構に含まれる部材を利用した係合装置を有するドア装置の概要)
先ず、エレベータの着床階の乗場ドアに設けられ、乗りかごが着床階に停止していない場合に乗場ドアを閉じた状態に保つ乗場ドアロック機構の一部の部材を、エレベータドアの係合装置の一実施形態に用いた場合のドアの構成と動作の概要について図1ないし図8を参照しながら説明を行う。図1は、乗場ドアロック機構に含まれる部材を用いた係合装置を有するドア装置の実施形態が適用される乗りかご室のドア(乗りかごドア)の一例の全体を示し、乗りかごドアを昇降路の外の乗場側から見た図である。図1には、いわゆる横開きの2枚戸両開き方式の乗りかごドアパネル102および104を示している。しかし、本発明は両開き方式か片開き方式かに依存するものではなく、また、ドアを構成する枚数に依存するものでもない。乗りかごが着床階に到着し、停止したことが確認されると、乗りかごドアパネル102および104は、乗りかごドアベルト106を介して、乗りかごに設けられた乗りかごドアモータ108の動力によって、連動して開く。乗りかごドアモータ108および乗りかごドアベルト106は、乗りかごがエレベータ乗場に着床し停止したときに、乗りかごドアパネルと、後ほど述べる乗場ドアパネルを連動して開閉させる駆動機構の一部を構成する。乗りかごドアパネル102には、乗りかごドアパネル102の運動を着床階に設けられた乗場ドアに伝える乗りかごドア側係合部110が設けられている。尚、乗りかごドア側係合部110は、乗りかごドアパネル102と乗りかごドアパネル104のいずれかに設ければよいが、本明細書および添付する図面においては、乗りかごドア側係合部110は、乗りかごドアパネル102に設けられているものとする。
【0012】
図2(a)は、図1に示した乗りかごドアの一例の乗りかごドア側係合部110を含む部分の図1の拡大図である。乗りかごドア側係合部110は、一対のリンク部材202および204を含む。リンク部材202および204は、乗りかごドアパネル102に固定されたプレート206に対して、その中央部分が、それぞれリンク部取り付け部材208および210によって揺動自在に取り付けられている。リンク部取り付け部材208および210は、これらの中心が昇降方向の直線上にあるように配置されている。2つのリンク部材202および204は、それぞれ、乗りかごドアパネル102の開方向側、すなわち戸袋側の連結部212aおよび212bで、昇降方向に延びる戸袋側係合刃(第1の係合刃)216に連結され、乗りかごドアパネル102の閉方向側、すなわち戸当たり側の連結部214aおよび214bで、それぞれ、昇降方向に延びる戸当たり側係合刃(第2の係合刃)218に連結されている。リンク部材の連結部212a、212b、214a、214bには軸受け(図示せず)が設けられ、リンク部材202、204および第1の係合刃216、第2の係合刃218を含む乗りかご側係合装置を円滑に動作させる。第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗場側に突出しつつ、乗りかごの昇降方向に平行に配設される。また、2つのリンク部材202および204は、図2(a)に示すように、乗りかごドアパネル102に平行な平面にあって、第1の係合刃216および第2の係合刃218に対して、斜めに配設される。図2(a)に示した形態においては、リンク部材202および204の図において右の端部が、左の端部より下側にある。リンク部材の連結部212a、212b、214bおよび214aの4点を結ぶと、平行四辺形となる。第1の係合刃216および第2の係合刃218と、リンク部材202および204は、上述したように連結されているため、図2(a)に示した形態において、第1の係合刃216を押し上げる力が加わると、連結部212a、212bが上方に移動し、リンク部材202および204を介して、連結部214a、214bが下方に移動するため、第2の係合刃218は下方に移動する。この場合、第1の係合刃216、第2の係合刃218、リンク部材202、204が連結されているため、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が変化する。この間隔は、図2(a)に示したような形態で連結されている場合には、狭くなる。
【0013】
前述したように、乗りかごドアパネル102は、乗りかごドアベルト106を介して、乗りかごに設けられた乗りかごドアモータ108の動力によって、開閉する。乗りかごドアパネル102の上方にある、乗りかごドアの上部パネル220には乗りかごドアの開閉方向に平行にハンガーレール222が固定されている。乗りかごドアパネル102の上方には乗りかごドア吊り部材224a、224bが固定されており、これら乗りかごドア吊り部材224a、224bの上方には、それぞれ、乗りかごドアローラ226a、226bが設けられている。乗りかごドアローラ226a、226bはハンガーレール222上を転動する。すなわち、乗りかごドアパネル102は、乗りかごドアローラ226a、226bおよび乗りかごドア吊り部材224a、224bを介して、ハンガーレール222に吊り下げられた状態で、開閉する。乗りかごドアパネル104も、対応する乗りかごドアローラおよび乗りかごドア吊り部材を介して、同様に、ハンガーレール222に吊り下げられた状態で、乗りかごドアパネル102に連動して開閉する。
【0014】
第1の係合刃216の上部には、戸袋側に延在する腕木状の連係部材228が固定されている。また、乗りかごドアの上部パネル220には、乗りかごドアパネル102の開閉方向に、ほぼ平行に係合刃ローラガイド部材230が固定されている。係合刃ローラ232は、そのローラ側面が係合刃ローラガイド部材230に接するように設けられている。したがって、係合刃ローラ232の昇降方向の位置は、係合刃ローラガイド部材230によって規定される。係合刃ローラ232は、図2(a)においてはバネによって象徴的に表している変位伝達機構234を介して、連係部材228に連結されている。変位伝達機構234は、昇降路方向に伸縮する、例えば、コイルバネ、空気バネ等の流体バネまたは適切な弾性を有する合成樹脂もしくはゴム等の弾性体を含む。弾性体は、乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態において、自然長よりも昇降方向に所定量だけ圧縮されている。弾性体の圧縮量に関しては、後ほど、変位伝達機構の第1の実施形態の説明の中で詳細に記載する。変位伝達機構234は、第1の係合刃216の開閉方向の変位を、連係部材228を介して、そのまま、係合刃ローラ232に伝達する。すなわち、係合刃ローラ232は、連係部材228とともに開閉方向に移動する。また、変位伝達機構234は、係合刃ローラ232の昇降方向の変位を、連係部材228、したがって第1の係合刃216に伝達する。すなわち、係合刃ローラ232は、変位伝達機構234を介して、連係部材228が固定された第1の係合刃216の昇降方向の変位を案内する。ここで、前述したように、変位伝達機構234は弾性体を含むため、係合刃ローラ232の昇降方向の変位量が、連係部材228、第1の係合刃216に、必ずしも、そのまま伝達されるわけではない。尚、図2(a)に示した実施形態においては、戸袋側に延在する連係部材228が第1の係合刃216に固定されているが、戸当たり側に延在する連係部材を第2の係合刃218に固定した形態も実施可能である。この場合には、リンク部材202、204を図2(a)に示したように左上がりに配設せずに、右上がりに配設する。また、図2(a)に示した実施形態においては、係合刃ローラ232が連係部材228の下側に配設されているが、係合刃ローラ232を連係部材228の上側に配設した形態も実施可能である。
【0015】
乗りかごドアパネル102が完全な閉じた状態のときに係合刃ローラ232が接する係合刃ローラガイド部材230の端部230aは、一実施形態において、下向きに曲げられている。したがって、乗りかごドアパネル102が完全な閉じた状態から少し開く方向、すなわち戸袋側に移動すると、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230に沿って上方に変位する。係合刃ローラ232が上方に変位すると、この変位は、変位伝達機構234および連係部材228を介して、第1の係合刃216に伝達され、第1の係合刃216は、押し上げられる。前述したように、図2(a)に示したような場合には、第1の係合刃216が押し上げられると、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が狭くなる。尚、ドア装置の係合装置が正常に組み立てられている場合には、変位伝達機構234に余り負荷がかからず、変位伝達機構234に含まれる弾性体の昇降方向の長さは殆ど変化しない。しかし、ドア装置の係合装置が正常に組み立てられていない場合には、変位伝達機構234に所定以上の負荷がかかり、変位伝達機構234に含まれる弾性体が圧縮され、弾性体の昇降方向の長さは、乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態における長さに比べて短くなる。このような変位伝達機構234の作用によって、前述したリンク部材の連結部212a、212b、214a、214bに設けられた軸受け等に過大なモーメントがかかることが防止される。尚、図2(a)に示した実施形態においては、係合刃ローラガイド部材230の端部230aは下向きに曲げられているが、端部230aを上向きに曲げた形態も実施可能である。この場合には、リンク部材202、204を図2(a)に示したように左上がりに配設せずに、右上がりに配設する。また、図2(a)に示した実施形態においては、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230の上を接触しつつ転動するが、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230の下を接触しつつ転動する形態も実施可能である。第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が変化する作用は、後ほど述べる、乗場ドアのインターロックの動作に関連付けることができる。
【0016】
図2(b)は、乗りかごドア側係合部110を上方から見たときの模式図である。第1の係合刃216と第2の係合刃218の対向する面216a、218aは、例えば、乗りかごドアパネル102に垂直かつ昇降方向(図2(b)に垂直な方向)に平行な部分を含む。図2(b)に示した実施形態において、第1の係合刃216と第2の係合刃218はL字形となっている。本願において第1の係合刃216のうち面216aを含む板状の部分、および第2の係合刃218のうち218aを含む板状の部分を、それぞれ側板部217および側板部219と呼ぶ。
【0017】
図3は、図1に示した乗りかごドアの一例に対応する乗場ドアの一例を昇降路側から見た図である。ここで、乗場ドアパネルの数は、乗りかごドアパネルの数と同一である。図3に示すそれぞれの乗場ドアパネル302および304は、乗りかごが乗場階に着床したときには、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に対向する。乗場ドアパネル302および304は、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に連動して開閉するが、通常のエレベータシステムにおいては、着床階に乗りかごが停止していないときに、誤作動によって乗場ドアパネル302および304が開くと危険なため、乗場側には乗場ドアパネル302および304を開閉させるための動力装置は備えられていない。さらに、乗場ドアパネル302および304には、着床階に乗りかごが停止していないときに、乗場ドアパネル302および304が開くことを防止するロック機構306が備えられている。本実施形態によるロック機構306は、乗場ドア側係合部を含む。乗場ドア側係合部は、乗りかごドア側係合部110が設けられた乗りかごドアパネル102に対向する乗場ドアパネル302に設けられる。乗りかごが着床階に到着し所定の位置に停止すると、乗場ドアパネル302に設けられた乗場ドア側係合部と、乗りかごドアパネル102に設けられた乗りかごドア側係合部110が係合し、乗場ドアは乗りかごドアによって開閉する。図3には、乗場ドアパネル304を乗場ドアパネル302に連動して開閉させる部材等が取り付けられ、乗場のドアの上方に設けられた乗場ドアの上部パネル308も示している。
【0018】
次に、図4を参照しながら、一実施形態による乗場ドアに設けられるロック機構306について説明する。乗場ドアパネル302の昇降路側には、その先端部に爪状の掛止部404が形成された掛止部材(第1のインターロック部材)402が、掛止部404が揺動自在になるように取り付けられている。乗場ドアパネル304の上方にある乗場上部パネルの昇降路側には、凹部の被掛止部が形成された被掛止部材(第2のインターロック部材)406が固定されている。図4は、掛止部材402と被掛止部材406が掛止した状態を示している。すなわち、図4において、乗場ドアパネル302と304は、掛止部材402と被掛止部材406によって、施錠され、閉じた状態が保持されている。掛止部材402と被掛止部材406は、掛止した状態において、乗場ドアパネル302と304の少なくとも一方に開方向の力が加えられても、乗場ドアパネル302と304が開かないような形状、強度で形成されている。図に示した乗場ドアの施錠状態は、その乗場ドアが設置された着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止し、乗りかごドアが開き始めるまで維持され、安全性が確保される。
【0019】
また、本実施形態における掛止部材402は、昇降路側に突出するように取り付けられた第1の取付け軸408によって、軸408の中間部で軸支されている。第1の取付け軸408はベースプレート410に取り付けられ、ベースプレート410は、例えば2本の取付けネジ412aおよび412bによって乗場ドアの上方に設けられた乗場ドアの上部パネル308に固定されている。第1の取付け軸408の昇降路側の端部側には、軸受け(図示せず)を介して、第1のローラ414が回動自在に軸支されている。また、図に示すように、掛止部材402には、インターロックされた状態において、第1の取付け軸408よりも乗場ドアパネル304側、すなわち戸当たり側に設けられた第2の取付け軸416が昇降路側に突き出すように設けられている。第2の取付け軸416の昇降路側の端部側には、軸受け(図示せず)を介して、第2のローラ418が回動自在に軸支されている。第1のローラ414の径と第2のローラ418の径は、通常、同一値に設計される。第1のローラ414および第2のローラ418は、ドアの係合装置においては、それぞれ、第1の係合子および第2の係合子として機能する。乗場ドアのロック機構306の動作に関しては、後ほど図6を参照しながら説明を行う。
【0020】
図5に、乗場ドア装置に乗りかごドア側係合部110が係合した状態を示す。すなわち、乗場ドアパネル302、304が設けられた着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止した状態における、乗場ドアパネル302に設けられたロック機構306の部材と乗りかごドア側係合部110の係合状態を示す。
【0021】
図5(a)は、係合状態を昇降路側から見た図である。尚、係合状態を明らかにするために、乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は、図5(a)には示していない。乗場ドアパネル302、304が設けられた着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止した状態においては、ロック機構306の第1のローラ414および第2のローラ418は、乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216および第2の係合刃218の間に位置する。このとき、ロック機構306の掛止部材402および被掛止部材406は掛止された状態にある。
【0022】
図5(b)は、図5(a)でI−I’で示した部分を上側から見た模式図である。図5(b)には、乗場ドアパネル302に対応する乗りかごドアパネル102を併せて示している。
【0023】
図6を参照しながら、図5に示した実施形態におけるロック機構の動作の一例を説明する。図6(a)は図5(a)に示したロック機構306を拡大した図であり、乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は、図6には示していない。図6(a)に示す状態においては、掛止部材の掛止部404は凹部の被掛止部が形成された被掛止部材406に掛止しており、掛止部材402および被掛止部材406は掛止した状態にある。この状態においては第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隙の値はA0である。
【0024】
図6(b)に示す状態においては、第1の係合刃216が上方に、第2の係合刃218が下方に変位することによって、第2のローラ418が第2の係合刃218の側板部219によって図の右方(戸袋方向)に押される。この結果、掛止部材402は第1のローラ414の軸を中心として揺動することによって掛止部材の掛止部404が上方に移動し、凹部の被掛止部が形成された被掛止部材406との掛止状態が解かれる。すなわち、図6(b)は、掛止部材402と被掛止部材406による施錠が解除された状態を示す。図2を参照しながら前述したように、乗りかごドアパネル102が完全な閉状態から少し開方向に移動すると、第1の係合刃216が押し上げられ、第2の係合刃218が押し下げられることによって、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隙が値A1(A1<A0)まで狭くなる。尚、乗りかごドアが開いたときの第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隙は、例えば、第1のローラ414および第2のローラ418の直径に略等しくなるように設計される。
【0025】
図2を参照しながら前述したように、第1の係合刃216には連係部材228が固定されており、第1の係合刃216とともに開閉方向に移動する。連係部材228には、係合刃ローラ232(図示せず)の変位を連係部材228に伝達する変位伝達機構234(図示せず)が取り付けられている。図6(b)に示す状態においては、図6(a)に示す状態と比較して、係合刃ローラ232(図示せず)が昇降方向の上方に変位している。係合刃ローラ232(図示せず)の変位に応じて、連係部材228および第1の係合刃216は、図6(b)に示す状態においては、図6(a)に示す状態と比較して、上方に変位している。前述したように、説明を行ってきた実施形態においては、第1の係合刃216が上方に変位すると、第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙が小さくなる。
【0026】
第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔は所定の値以下にはならないように設計される。しかし、例えば、乗りかごドアが開いたときの第1の係合刃216の側板部217の第2の係合刃218に対向する面216aと、第2の係合刃218の側板部219の第1の係合刃216に対向する面218aとの間隙が、第1のローラ414または第2のローラ418の直径よりも小さくなるように、誤って組み立てられることもあり得る。このような場合、リンク部材の連結部212a、212b、214a、214bに用いられる軸受け等に過大なモーメントが作用することによって、係合装置が正常に動作せず、ドアの開閉動作に支障をきたす。このような事態の発生を、少なくとも低減させるため、変位伝達機構234には昇降路方向に伸縮する弾性体が設けられており、係合刃ローラ232(図示せず)の昇降方向の変位によって、第1の係合刃216の側板部217の面216aと、第2の係合刃218の側板部219の面218aとの間隙が、過度に小さくならないようにしている。
【0027】
図7に、係合刃ローラ232の昇降方向の変位量と係合刃216、218の間隙の関係の一例を定性的に示す。乗りかごドアが完全に閉まった状態において係合刃216、218の間隙の値はA0であるが、乗りかごドアが開き始めると、係合刃216、218の間隙の値は直線的に小さくなり、通常は、係合刃216、218の間隙の値は最終的には直線702に示すようにA1まで小さくなる。しかし、係合装置が誤って組み立てられている場合には、係合刃ローラ232の昇降方向の変位量がP2になると係合刃216、218の間隙が小さくなることを阻害する力が係合刃216、218に加わり、この力は連係部材228を介して変位伝達機構234に伝わる。このような力が変位伝達機構234に加えられると、変位伝達機構234に備えられている弾性体が昇降方向に、さらに、圧縮される。この結果、図中の704で示すように、係合刃ローラ232の昇降方向の変位が、そのまま係合刃216、218の間隙を変化させない状態になり、係合刃216、218の間隙の値は、概ねA2に留まる。換言すると、係合刃216、218の間隙が小さくなりつつある際に、係合刃216、218に過大な力が作用すると、この力による係合刃216、218の間隙の値への影響を、弾性体が吸収する。変位伝達機構234の具体的な構成に関しては、後ほど詳述する。
【0028】
次に、図8を参照しながら、乗場ドアパネル302および304をそれぞれ含む乗場ドアの開閉動作を説明する。尚、本図においても乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は示していない。また、図1を参照しながら前述したように、本図では図示しない乗りかごドアパネル102および104をそれぞれ含む乗りかごドアは、乗りかごに設けられた乗りかごドアモータ108の動力によって、連動して開閉する。係合刃216および係合刃218を含む乗りかごドア側係合部110は乗りかごドアパネル102に取り付けられているため、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアは、係合刃216および係合刃218とともに開閉方向に移動する。乗りかごドアパネル104を含む乗りかごドアは、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアに連動して開閉方向に移動する。
【0029】
次に、乗場ドアの開閉動作を説明する。図8(a)に、掛止部材402と被掛止部材406とのロック状態が解除されているが、乗場ドアパネル302および304をそれぞれ含む乗場ドアは未だ閉じている状態を示す。乗場側には乗場ドアを開閉させる動力源は備えられていないため、何らかの外力が加わらないと乗場ドアは閉じたままの状態を保つ。
【0030】
乗りかごに設けられた乗りかごドアモータ108の動力によって乗りかごドアが開く方向、すなわち戸袋側の方向に移動するとき、乗りかごドアパネル102に取り付けられている係合刃216および218も乗りかごドアパネル102とともに乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアの開方向に移動する。第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗場ドア302に取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418に係合しているため、第1のローラ414および第2のローラ418、およびこれらのローラが取り付けられている乗場ドア302は、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアとともに乗場ドア302の開方向に移動する。乗場ドア304は、乗場ドア302に連動して開閉するため、乗場ドア304の開方向に移動する。このような動作によって乗場ドア302、304が開いた状態を図8(b)に示す。以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、乗りかごドアパネル102の戸当たり側に取り付けられている第2の係合刃218が乗場ドア302に取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418を戸袋側に押すことによって、乗場ドアが開く。すなわち、第2の係合刃218は、乗場ドアを開く方向に移動させるドア開放用係合刃の機能を有する。
【0031】
図8(b)に示したドアが開いた状態から図8(a)に示したドアが閉じた状態にするときには、乗場ドアに取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418を、乗りかごドアに取り付けられている第1の係合刃216によって、ドアの閉方向、すなわち戸当たり側に押すことによって乗場ドアを閉じる。すなわち、第1の係合刃216は、乗場ドアを閉じる方向に移動させるドア閉鎖用係合刃の機能を有する。
【0032】
本実施形態において、第1のローラ414および第2のローラ418は、ロック機構306を構成する要素であるとともに、それぞれ、係合装置の乗場ドア側係合部としての機能を果たす構成要素である第1の係合子および第2の係合子でもある。
【0033】
以上述べた実施形態によれば、簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においてもドアに用いられる部材に損傷を与えることなく、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0034】
(乗場ドアロック機構に含まれる部材を用いない係合装置を有するドア装置の概要)
次に、乗場ドアロック機構に含まれる部材を、エレベータドアの係合装置の一実施形態に用いない場合のドアの構成と動作の概要について図9ないし図10を参照しながら説明を行う。この場合、乗りかごドアの実施形態として、図1および図2を参照しながら説明を行った実施形態と同一のものを用いることができる。したがって、乗りかごドアの実施形態に関しては、説明を割愛する。乗りかごドアと乗場ドアとの係合に関しては、本実施形態においては乗場ドアのロック機構が直接的には関係しない点、乗りかごドアに設けられる係合刃に係合する係合部材が必ずしも2つのローラである必要はない点を除き、前述した乗場ドアロック機構に含まれる部材を利用した係合装置を有するドア装置と同様であるため、詳細な説明は割愛する。また、一方の係合刃と係合刃ローラ232を連結する変位伝達機構234に関しても、前述した内容と同一であるため、説明を割愛する。さらに、以下の記載においても、いわゆる横開きの2枚戸両開き方式のドアについて説明を行うが、本発明は両開き方式か片開き方式かに依存するものではなく、また、ドアを構成する枚数に依存するものでもない。図9に、図1に示した乗りかごドアの一例に対応する乗場ドアの他の例を昇降路側から見た図を示す。ここで、乗場ドアパネルの数は、乗りかごドアパネルの数と同一である。図9に示すそれぞれの乗場ドアパネル302および304は、乗りかごが乗場階に着床したときには、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に対向する。乗場ドアパネル302および304は、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に連動して開閉する。乗場側には乗場ドアパネル302および304を開閉させるための動力装置は備えられていない。乗りかごドア側係合部110が設けられた乗りかごドアパネル102に対向する乗場ドアパネル302には、昇降路側に突出するように乗場ドア側係合部である係合子902が設けられている。乗りかごが着床階に到着し所定の位置に停止すると、乗場ドアパネル302に設けられた係合子902と、乗りかごドアパネル102に設けられた乗りかごドア側係合部110が係合し、乗場ドアは乗りかごドアによって開閉する。図9には、乗場ドアパネル304を乗場ドアパネル302に連動して開閉させる部材等が取り付けられ、乗場のドアの上方に設けられた乗場ドアの上部パネル308も示している。
【0035】
図10に、乗りかごドア102に対応し、図9に示した乗場ドア302の乗場ドア側係合部である係合子902周辺の拡大図を示す。図10(a)は、乗場ドア302を昇降路側から見た図である。図10(b)は、係合子902が乗りかごドア側係合部110に係合している状態において乗場ドア302を上方から見た図である。乗場ドアパネル302の昇降路側には、係合子902が昇降路側に突出するように設けられている。一実施形態において、係合子902は、係合子取り付け軸1004の一端側に取り付けられている。また、一実施形態において、係合子取り付け軸1004の他端は、ベースプレート1006に固定され、ベースプレート1006は、例えば、取付けネジによって乗場ドアの上方に設けられた乗場ドアの上部パネル308または乗場ドアパネル302に固定される。他の実施形態においては、係合子取り付け軸1004の他端は、直接、乗場ドアの上部パネル308乗場ドアパネル302に固定される。さらなる実施形態においては、係合子902が、直接、乗場ドアの上部パネル308乗場ドアパネル302に固定される。係合子902は、ローラである必要はなく、乗りかごに設けられた係合刃216、218との係合に適合する任意の形状とすることができる。したがって、係合子902の外形を、例えば、四角柱状にすることもできる。係合子902の材質は、乗りかごに設けられた係合刃216、218との係合に適合する任意の材質とすることができる。係合子902のドア開閉方向(図における横方向)の寸法は、乗りかごドア側係合部110に備えられた第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙に適合する値とする。すなわち、係合子902のドア開閉方向(図における横方向)の寸法は、乗りかごが走行中における第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙より小さく、乗りかごが階床に着床し停止して乗りかごドアが開き始めたときに第1の係合刃216および第2の係合刃218の少なくとも一方に接触する値に設定する。また、係合子902のドア開閉方向の位置は、乗りかごドア側係合部110に備えられた第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙に係合子902が入り得るようにするため、第1の係合刃216と第2の係合刃218の中間に相当する位置とする。
【0036】
乗りかごが乗場のある階床に着床し、所定の位置で停止し、乗りかごドア102が開方向(図10(b)における右方向)に移動するときには、乗りかごに設けられた係合刃216、218は乗りかごドア102とともに開方向に移動する。通常、係合刃216、218と係合子902は係合しており、係合子902は乗りかごドア102に連動して開方向に移動する。係合子902は乗場ドア302に取り付けられているため、乗場ドア302も乗りかごドア102に連動して開方向に移動する。ドアが開くとき係合子902を開方向に押すのは第2の係合刃218であり、第2の係合刃218はドア開放用係合刃とも言える。乗りかごドア102が閉方向(図10(b)における左方向)に移動するときには、第1の係合刃216が係合子902を閉方向に押すことによって、乗場ドア302が乗りかごドア102に連動して閉方向に移動する。前述したように、乗りかごドア104は乗りかごドア102に連動して開閉し、乗場ドア102は乗場ドア302に連動して開閉する。
【0037】
尚、係合子902を複数設けてもよいが、その場合には、係合子902のドア開閉方向の側面が昇降方向で一致するようにする。
【0038】
以上述べた実施形態によっても、簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においてもドアに用いられる部材に損傷を与えることなく、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0039】
以上、図を参照しながらエレベータのドア装置の概要を説明した。次に、乗りかごドアに設けられる変位伝達機構の実施形態について詳細に述べる。以下で説明を行う実施形態は、すべて、前述したエレベータのドア装置において用いることができる。
【0040】
(変位伝達機構の第1の実施形態)
図11に、第1の実施形態による変位伝達機構を説明するための斜視図を示す。変位伝達機構234は、係合刃ローラ232を支持する第1の支持部材1102と、弾性体を支持する第2の支持部材1104と、弾性体とを備える。
【0041】
第1の支持部材1102は、連係部材228の側面を含む面に直交し、かつ、水平方向に配設され、係合刃ローラ232を軸支する係合刃ローラ軸1106を含む。係合刃ローラ軸1106は、例えば、対向するように配設された側板1108aおよび側板1108bに取り付けられる。係合刃ローラ軸1106は、側板1108aまたは側板1108bの一方に取り付けてもよい。また、側板は1つでもよく、側板1108aのみしかない場合には係合刃ローラ軸1106の一端側を側板1108aに取り付け、側板1108bのみしかない場合には係合刃ローラ軸1106の一端側を側板1108bに取り付ける。また、第1の支持部材1102は、係合刃ローラ軸1106と実質的に平行であって側板1108に結合した第1の水平板1110を含む。第1の水平板1110を、側板1108a、側板1108b、または側板1108aおよび側板1108bと、一体的に形成してもよい。第1の水平板1110には、その一部に第1の案内用開口が形成されている。図11においては、第1の案内用開口は、第1の水平板1110のほぼ中央に形成されている。
【0042】
第2の支持部材1104は、連係部材228に結合し、第1の支持部材1102の第1の水平板1110に実質的に平行な第2の水平板1112を含む。尚、連係部材228の一端側(図において左側)の側面は、前述したように、例えば、第1の係合刃216に固定されている。第2の水平板1112を連係部材228と一体的に形成してもよい。第2の水平板1112には、第1の案内軸1114の一端側が第2の水平板1112に実質的に直交するように固定されている。第1の案内軸1114の他端側は第1の支持部材1102の第1の水平板1110に形成された第1の案内用開口に挿入されている。第1の案内軸1114の断面寸法は、第1の案内用開口の断面寸法に比較して、例えば、0.05mm〜1mm程度、小さい。第1の案内軸1114の第1の案内用開口を通過した他端には、第1の案内用開口の断面寸法よりも大きな断面寸法の終端部材1116が固定されている。第2の水平板1112に一端が固定され他端に終端部材1116が固定された第1の案内軸1114が、第1の水平板1110に形成された第1の案内用開口に挿入されていることによって、第1の支持部材1102と第2の支持部材1104は連結されている。したがって、第1の支持部材1102に取り付けられた係合刃ローラ軸1106に軸支された係合刃ローラ232は、連係部材228に結合した第2の支持部材1104とともに、変位する。第1の案内軸1114の断面寸法は第1の案内用開口の断面寸法に略等しいため、乗りかごドアパネルの開閉方向の変位が、係合刃、連係部材228、第1の案内軸1114、第1の水平板1110等を介して、係合刃ローラ232に、そのまま、伝達される。すなわち、係合刃ローラ232のドア開閉方向の変位量は、連係部材228が固定された係合刃のドア開閉方向の変位量と実質的に等しい。しかし、係合刃ローラ232の昇降方向の変位量は、連係部材228が固定された係合刃の昇降方向の変位量と、等しいとは限らない。
【0043】
昇降方向の変位に関して言えば、第2の水平板1112に一端が固定され他端に終端部材1116が固定された第1の案内軸1114は、第1の支持部材1102の第1の水平板1110と第2の支持部材1104の第2の水平板1112との間の間隙の最大値を定めている。換言すると、第1の案内軸1114の終端部材1116は、第1の水平板1110と第2の水平板1112との間の間隙の最大値を定めるように、第1の案内軸1114に固定される。しかし、第1の水平板1110と第2の水平板1112との間の間隙は当該最大値より小さい所定の範囲で変化し得る。ここで、弾性体1118が、第1の支持部材1102の第1の水平板1110と第2の支持部材1104の第2の水平板1112との間に、第1の案内軸1114を囲むように介装されている。前述したように、弾性体1118として、コイルバネ、空気バネ等の流体バネまたは適切な弾性を有する合成樹脂もしくはゴム等を用いることができる。弾性体1118として、柱状の形態の合成樹脂もしくはゴム等を用いる場合には、例えば、軸方向に中空部を設け、第1の案内軸1114が貫通できるようにする。前述したように、弾性体1118は、乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態において、自然長よりも昇降方向に所定量だけ圧縮されている。係合刃ローラ232の昇降方向の位置は係合刃ローラガイド部材230によって規定されるため第1の支持部材の第1の水平板1110の昇降方向の位置は係合刃ローラガイド部材230によって規定される。第1の水平板1110に弾性体1118を載置し、連係部材228を介して係合刃に連結されている第2の水平板1112を弾性体1118の他端に載せると、第2の水平板1112を介して、弾性体1118に昇降方向の圧縮力が加わる。乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態においては、係合装置は係合していないため、第2の水平板1112および第2の水平板1112に連結されている部材の重量に基づく圧縮力以外の力は弾性体1118に加わらない。このような圧縮力に応じた長さだけ弾性体1118を自然長よりも昇降方向に圧縮しておく。弾性体1118を昇降方向に所定量だけ圧縮するためには、第1の案内軸の終端部材1116の第1の案内軸1114の軸に沿った位置を適切に設定することによって行うことができる。このように弾性体1118を昇降方向に所定量だけ圧縮しておけば、係合装置が適切に組み立てられている場合には、乗りかごドアパネルが開閉する際に弾性体1118に付加的な力が加わらないため、弾性体1118を昇降方向の長さは変化せず、係合刃ローラ232の昇降方向の変位が、そのまま、連係部材228が取り付けられた係合刃に伝達される。しかし、係合装置が適切に組み立てられていない場合には、乗りかごドアパネルが開閉する際に弾性体1118に付加的な力が加わり、弾性体1118が圧縮されその昇降方向の長さが短くなる。したがって、係合刃ローラ232が係合刃間の間隙をさらに狭くするように昇降方向に変位しても、係合刃ローラ232の昇降方向のさらなる変位は連係部材228が取り付けられた係合刃に伝達されなくなり、係合刃間の間隙は所定の値よりも小さくならない。この結果、係合装置を構成する部材に過大な力が加わらず、ドアに用いられている部材に損傷を与えることが回避される。
【0044】
本実施形態による変位伝達機構を用いることによって、簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においてもドアに用いられる部材に損傷を与えることなく、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0045】
続いて、本実施形態を基礎とする変位伝達機構の他の実施形態を説明するが、以下で説明する実施形態においても本実施形態に関して行った説明内容は、そのまま、あてはまるため、以下に記載する実施形態の説明においては、本実施形態に関して行った説明と同一の内容の説明は割愛する。以下に記載する実施形態におけるエレベータのドア装置は、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230に沿って乗りかごドアの開閉方向に転動する際に、係合刃ローラ232が水平方向に揺動することを制限する係合刃ローラ案内機構を備える。先ず、係合刃ローラ案内機構が変位伝達機構に実装されている実施形態から、順次、説明を行う。
【0046】
(変位伝達機構の第2の実施形態)
本実施形態においては、係合刃ローラ案内機構が変位伝達機構に設けられている。前述したように、係合刃ローラ232は、係合刃ローラガイド部材230に沿って開閉方向に変位するとともに、昇降方向(上下方向)にも変位する。係合刃ローラ232の側面は、本来、係合刃ローラガイド部材230に平行であり、係合刃ローラ232が水平方向に揺動すると係合装置が正常に動作しない虞がある。この問題を解決するために、本実施形態による変位伝達機構は、第1の実施形態による変位伝達機構234の構成に加えて、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230に沿って乗りかごドアの開閉方向に転動するとともに昇降方向に変位する際に、係合刃ローラ232が水平方向に揺動することを制限する係合刃ローラ案内機構を、さらに、備える。
【0047】
本実施形態にしたがった変位伝達機構の一例を図12に示す。図12に示した変位伝達機構234には、図11に示した第1の実施形態による変位伝達機構に、第2の支持部材1104の第2の水平板1112に実質的に直交するように設けられた第2の案内軸1202と、第1の支持部材1102の第1の水平板1110に形成された第2の案内用開口1204が付加されている。第2の案内軸1202には、例えば、ボルトを用いることができる。第2の案内軸1202の一端側は、第2の水平板1112に固定されている。第2の案内用開口1204の断面寸法は、第2の案内軸1202の断面寸法に比較して、例えば、0.05mm〜1mm大きく、第2の案内軸1202の他端側は、第2の案内用開口1204に挿入されている。このような構成によって、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230に沿って昇降方向に変位したときにも、第2の案内軸1202が第2の案内用開口1204の水平方向の変位を制限する。第2の案内用開口1204の水平方向の変位が制限されると、第2の案内用開口1204が形成された第1の水平板1110を含む第1の支持部材1102の水平方向の変位が制限され、第1の支持部材1102に取り付けられた係合刃ローラ232が水平方向に揺動することが制限される。さらに、係合刃ローラ232が係合刃ローラガイド部材230に沿って昇降方向に変位したときに、第2の支持部材1104の第1の支持部材1102に対する水平方向の相対的な位置の変動が制限される。これらの効果によって係合装置は正常に動作する。
【0048】
本実施形態による変位伝達機構を用いることによって、第1の実施形態による変位伝達機構を用いた場合の効果に加えて、係合刃ローラの水平方向の揺動を制限することによって、円滑なドア開閉動作をより確実に可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0049】
(変位伝達機構の第3の実施形態)
本実施形態においても、係合刃ローラ案内機構が変位伝達機構に設けられている。本実施形態における変位伝達機構には、図11に示した第1の実施形態による変位伝達機構に、第1の支持部材1102に設けられた第1の側板1108に対向し、第2の支持部材1104の第2の水平板1112に結合された第2の側板が付加されている。第1の側板1108および第2の側板、または係合刃ローラ軸1106および第2の側板には、互いのドア開閉方向の相対的変位を制限する機構が設けられている。
【0050】
本実施形態にしたがった変位伝達機構の一例を図13に示す。第2の支持部材1104の第2の水平板1112には第2の側板1302が結合されている。第2の側板1302は第1の支持部材1102の第1の側板1108に対向するように配設される。図においては、第2の側板1302が第1の側板1108bに対向する位置に設けられているが、第2の側板1302を第1の側板1108aに対向する位置に設けてもよい。第2の水平板1112と第2の側板1302を一体的に形成してもよい。さらに、図に示した形態においては、第2の水平板1112、第2の側板1302および連係部材228を一体的に形成してもよい。第1の側板1108と第2の側板1302、または係合刃ローラ軸1106と第2の側板1302には、互いのドア開閉方向の相対的変位を制限する機構が設けられている。
【0051】
本実施形態は様々な実施形態を含む。
【0052】
一実施形態においては、第1の側板1108または係合刃ローラ軸1106の端部に第2の側板1302側に突出する第1の突起部1304が固定されている。図13に示す実施形態においては、第1の突起部1304が係合刃ローラ軸1106(図示せず)の端部に固定されている。第1の突起部1304は、第1の側板1108に固定してもよい。一方、第2の側板1302には、第1の突起部1304の少なくとも一部が係合し、第1の突起部1304と第2の側板1302のドア開閉方向の相対的変位を制限する第1の案内機構が形成されている。図13には、第2の側板1302に形成された第1の案内機構が、昇降方向の有効長が第1の水平板1110と第2の水平板1112との間の間隙の変化量より大きく、第2の側板1302に形成された切り欠き1306である実施形態を示している。第2の側板1302に形成される第1の案内機構は、図13に示したような切り欠きである必要は必ずしもなく、昇降方向の有効長が第1の水平板1110と第2の水平板1112との間の間隙の変化量より大きく、第2の側板1302に形成された第1の開口または第2の側板1302の第1の側板1108側に形成された溝としてもよい。
【0053】
以上述べた変位伝達機構を用いることによって、第1の実施形態による変位伝達機構を用いた場合の効果に加えて、係合刃ローラの水平方向の揺動を制限することによって、円滑なドア開閉動作をより確実に可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0054】
以上述べた実施形態に、第2の実施形態の変位伝達機構に含まれる第2の支持部材1104の第2の水平板1112に実質的に直交するように設けられた第2の案内軸1202と、第1の支持部材1102の第1の水平板1110に形成された第2の案内用開口1204を付加した形態も実施することができ、より確実に、係合刃ローラ232が水平方向に揺動することを制限し、係合装置を正常に動作させることができる。
【0055】
(変位伝達機構の第4の実施形態)
本実施形態においても、係合刃ローラ案内機構が変位伝達機構に設けられており、本実施形態による変位伝達機構は、前述した第3の実施形態による変位伝達機構を変形したものである。第2の側板1302に第1の側板1108側に突出する第2の突起部(図示せず)が固定されている。一方、第1の側板1108には、第2の突起部の少なくとも一部が係合し、第2の突起部と第1の側板1108のドア開閉方向の相対的変位を制限する第2の案内機構(図示せず)が形成されている。
【0056】
一実施形態において、第1の側板1108に形成された第2の案内機構は、昇降方向の有効長が第1の水平板と第2の水平板との間の間隙の変化量より大きく、第1の側板1108に形成された切り欠きまたは第2の開口または第1の側板1108の第2の側板1302側に形成された溝である。
【0057】
本実施形態による変位伝達機構を用いることによって、第1の実施形態による変位伝達機構を用いた場合の効果に加えて、係合刃ローラの水平方向の揺動を制限することによって、円滑なドア開閉動作をより確実に可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0058】
また、第3の実施形態の変位伝達機構を用いる場合と同様に、第2の実施形態の変位伝達機構に含まれる第2の支持部材1104の第2の水平板1112に実質的に直交するように設けられた第2の案内軸1202と、第1の支持部材1102の第1の水平板1110に形成された第2の案内用開口1204を付加した形態も実施することができ、より確実に、係合刃ローラ232が水平方向に揺動することを制限し、係合装置を正常に動作させることができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上、係合刃ローラ案内機構として変位伝達機構を用いた実施形態について説明を行った。次に述べる実施形態は、係合刃ローラ案内機構として、変位伝達機構ではなく、係合刃ローラガイド部材、または係合刃ローラおよび係合刃ローラガイド部材の両方を用いたものである。但し、本実施形態は、前述した第1の実施形態による変位伝達機構を用いたエレベータのドア装置に適用可能であり、第2の実施形態ないし第4の実施形態による変位伝達機構を用いたエレベータのドア装置にも適用することができる。
【0060】
以下、図14を参照しながら、3つの形態について説明を行う。図14(a)に係合刃ローラ案内機構の一例を示す。尚、本図を含め、図14に示す図は、係合刃ローラ232と係合刃ローラガイド部材230を、ドアの開閉方向に見た図である。図14(a)に示す形態においては、外形が円柱状の係合刃ローラ232の外周面に同軸状に径大部1402が形成されている。係合刃ローラガイド部材230には、係合刃ローラ232に形成された径大部1402の軸方向の寸法に略等しい幅の溝1404がドアの開閉方向に亘って形成されている。係合刃ローラ232は、その径大部1402の側面が、係合刃ローラガイド部材230に形成されている溝1404の側面に係合しつつ案内されながら、係合刃ローラガイド部材230に沿って転動する。したがって、図14(a)に示した形態においては、係合刃ローラ案内機構が、係合刃ローラ232および係合刃ローラガイド部材230の両方から構成されている。
【0061】
図14(b)に係合刃ローラ案内機構の他の例を示す。図14(b)に示す形態においては、図14(a)に示した形態とは反対に、外形が円柱状の係合刃ローラ232の外周面に同軸状に溝(径小部)1406が形成されている。係合刃ローラガイド部材230には、係合刃ローラ232に形成された溝1406の軸方向の寸法に略等しい幅の凸部1408がドアの開閉方向に亘って形成されている。係合刃ローラ232は、その溝1406の側面が、係合刃ローラガイド部材230に形成されている凸部1408の側面に係合しつつ案内されながら、係合刃ローラガイド部材230に沿って転動する。したがって、図14(b)に示した形態においては、係合刃ローラ案内機構が、係合刃ローラ232および係合刃ローラガイド部材230の両方から構成されている。
【0062】
図14(c)に係合刃ローラ案内機構の他の例を示す。図14(c)に示す形態においては、係合刃ローラ232には径大部も溝も形成されていない。係合刃ローラガイド部材230には、係合刃ローラ232の軸方向の幅に略等しい幅の溝1410が形成されている。換言すると、係合刃ローラガイド部材230には、対向する面の間隔が係合刃ローラ232の軸方向の幅に略等しい、一対の側板1412が形成されている。係合刃ローラ232は、その外周部側の側面が、係合刃ローラガイド部材230に形成されている溝1410の側面に係合しつつ案内されながら、係合刃ローラガイド部材230に沿って転動する。したがって、図14(c)に示した形態においては、係合刃ローラ案内機構が、係合刃ローラガイド部材230から構成されている。尚、他の実施形態においては、図14(a)または図14(b)に示した係合刃ローラを用いることもできる。
【0063】
本実施形態による係合刃ローラ案内機構を用いることによって、係合刃ローラの水平方向の揺動を制限することによって、円滑なドア開閉動作をより確実に可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0064】
以上述べた実施形態によれば、簡潔な構成で、係合装置が適切に組み立てられていない場合においてもドアに用いられる部材に損傷を与えることなく、円滑なドア開閉動作を可能とするエレベータのドア装置が提供される。
【0065】
尚、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で開示した構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示した全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
102、104…乗りかごドアパネル、 106…乗りかごドアベルト、
108…乗りかごドアモータ、 110…乗りかごドア側係合部、
202、204…リンク部材、 206…プレート、
208、210…リンク部取り付け部材、
212a、212b、214a、214b…リンク部材の連結部、
216…第1の係合刃、 217…第1の係合刃の側板部、
218、218’…第2の係合刃、 219、219’…第2の係合刃の側板部、
220…乗りかごドアの上部パネル、 222…ハンガーレール、
224a、224b…乗りかごドア吊り部材、
226a、226b…乗りかごドアローラ、
228…連係部材、 230…係合刃ローラガイド部材、
230a、230b…係合刃ローラガイド部材の端部、 232…係合刃ローラ、
234…変位伝達機構、 302、304…乗場ドアパネル、 306…ロック機構
308…乗場ドアの上部パネル、 402…掛止部材、第1のインターロック部材、
404…掛止部材の掛止部、 406…被掛止部材、第2のインターロック部材、
408、416…ローラ取付け軸、 410…ベースプレート、
412a、412b…ベースプレート取付けネジ、
414、414’、418、418’…ローラ、
902…係合子、 1004…係合子取り付け軸、 1006…ベースプレート、
1102…変位伝達機構の第1の支持部材、
1104…変位伝達機構の第2の支持部材、
1106…係合刃ローラ軸、
1108、1108a、1108b…第1の支持部材の第1の側板、
1110…第1の支持部材の第1の水平板、
1112…第2の支持部材の第2の水平板、
1114…第1の案内軸、 1116…第1の案内軸の終端部材、 1118…弾性体、
1202…第2の案内軸、 1204…第2の案内用開口、 1302…第2の側板、
1304…第1の突起部、 1306…切り欠き、第1の案内機構、
1402…係合刃ローラに形成された径大部、
1404…係合刃ローラガイド部材に形成された溝、
1406…係合刃ローラに形成された溝、
1408…係合刃ローラガイド部材に形成された凸部、
1410…係合刃ローラガイド部材に形成された溝、
1412…係合刃ローラガイド部材に形成された側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場の出入口を開閉する少なくとも1つの乗場ドアパネルと、
昇降路側に突出するように前記乗場ドアパネルのいずれかに設けられた第1の係合子と、
エレベータの乗りかごの出入口を開閉し前記乗場ドアパネルと同数の乗りかごドアパネルと、
前記第1の係合子が設けられた乗場ドアパネルに対向する乗りかごドアパネルに、前記乗場側に突出するように実質的に互いに平行に設けられ、昇降方向に延びる第1の係合刃および第2の係合刃と、
前記第1の係合刃および前記第2の係合刃が設けられた乗りかごドアパネルにリンク部材取り付け部材によって取り付けられ、前記第1の係合刃および前記第2の係合刃とを連結する、実質的に互いに平行な一対のリンク部材と
前記第1の係合刃および前記第2の係合刃のいずれかに固定された連係部材と、
前記連係部材とともに開閉方向に移動するとともに、前記連係部材が固定された係合刃の昇降方向の変位を案内する係合刃ローラと、
前記乗りかごドアパネルに設けられ、前記係合刃ローラの昇降方向の位置を規定する係合刃ローラガイド部材と、
前記係合刃ローラの変位を前記連係部材に伝達する変位伝達機構と、
前記乗りかごが前記エレベータ乗場に着床し停止したときに、前記乗りかごドアパネルと前記乗場ドアパネルを連動して開閉させる駆動機構とを備え、
前記係合刃ローラガイド部材と、前記リンク部材と、前記第1の係合刃および前記第2の係合刃は、前記乗りかごが前記エレベータ乗場に着床し停止し前記乗場ドアパネルが開き始めたときには前記第1の係合刃および前記第2の係合刃の側板部の間隙が狭まり前記第1の係合子に接触し係合する方向に移動するように配設され、
前記変位伝達機構は、昇降路方向に伸縮する弾性体を含み、
この弾性体は、前記乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態において、昇降方向に所定量だけ圧縮されていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項2】
前記エレベータのドア装置は、
前記第1の係合子が設けられた前記乗場ドアパネルに、前記第1の係合子を回動自在に取り付ける第1の取付け部材と、
前記乗場ドアパネルと前記第1の係合子の中間部で前記第1の取付け部材によって揺動自在に軸支され、一端に掛止部を有する掛止部材と、
この掛止部材に前記昇降路側に突出するように取り付けられた第2の取付け部材と、
この第2の取付け部材に回動自在に取り付けられた第2の係合子と、
前記乗場ドアパネルより上方にある乗場上部パネルに設けられ、前記乗りかごが前記エレベータ乗場に停止していないときに前記掛止部材の前記掛止部が掛止し、前記乗場ドアパネルを閉じた状態に保つ被掛止部とを、さらに、備え、
前記第1の係合子および前記第2の係合子は、ローラであり、
前記第2の係合子は、前記乗りかごが前記エレベータ乗場に停止したときに前記第1の係合刃および前記第2の係合刃の側板部の間隙が狭まり、前記第1の係合刃または前記第2の係合刃の側板部によって押されることによって前記第1の係合子に対して相対的に変位することにより前記掛止部材を揺動させ、前記掛止部材の前記掛止部と前記被掛止部との掛止状態を解除することを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア装置。
【請求項3】
前記弾性体は、バネまたは合成樹脂またはゴムを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【請求項4】
前記変位伝達機構は、
前記係合刃ローラを支持する第1の支持部材と、
前記弾性体を支持する第2の支持部材と、
前記弾性体とを備え、
前記第1の支持部材は、
前記連係部材の側面を含む面に直交し、かつ、水平方向に配設され、前記係合刃ローラを軸支する係合刃ローラ軸と、
この係合刃ローラ軸が取り付けられる第1の側板と、
前記係合刃ローラ軸と実質的に平行であって前記側板に結合し、その一部に第1の案内用開口が形成された第1の水平板とを含み、
前記第2の支持部材は、
前記連係部材に結合し、前記第1の支持部材の前記第1の水平板に実質的に平行な第2の水平板と、
この第2の水平板に実質的に直交するように一端側が固定され、他端側が前記第1の支持部材の前記第1の水平板に形成された前記第1の案内用開口に挿入され、かつ、前記第1の案内用開口を通過した他端に前記第1の案内用開口の断面寸法よりも大きな断面寸法の終端部材が固定され、前記第1の水平板と前記第2の水平板との間の間隙の最大値を定める第1の案内軸とを含み、
前記弾性体は、前記第1の水平板と前記第2の水平板との間に、前記第1の案内軸を囲むように介装され、前記乗りかごドアパネルが完全に閉じた状態において、昇降方向に所定量だけ圧縮されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【請求項5】
前記エレベータのドア装置は、前記係合刃ローラが前記係合刃ローラガイド部材に沿って乗りかごドアの開閉方向に転動する際に、前記係合刃ローラが水平方向に揺動することを制限する係合刃ローラ案内機構を、さらに、備えることを特徴とする請求項4に記載のエレベータのドア装置。
【請求項6】
前記係合刃ローラ案内機構は、前記変位伝達機構に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のエレベータのドア装置。
【請求項7】
前記第2の支持部材は、前記第2の水平板に実質的に直交するように一端側が固定された第2の案内軸を、さらに、含み、
前記第1の支持部材の前記第1の水平板には、さらに、第2の案内用開口が形成され、
前記第2の案内軸の他端側は、前記第2の案内用開口に挿入されていることを特徴とする請求項6に記載のエレベータのドア装置。
【請求項8】
前記変位伝達機構は、
前記第1の支持部材に設けられた前記第1の側板に対向し、前記第2の支持部材の前記第2の水平板に結合された第2の側板を、さらに、含み、
前記第1の側板または前記係合刃ローラ軸、および前記第2の側板には、互いのドア開閉方向の相対的変位を制限する機構が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のエレベータのドア装置。
【請求項9】
前記第1の側板または前記係合刃ローラ軸の端部には、前記第2の側板側に突出する第1の突起部が固定され、
前記第2の側板には、前記第1の突起部の少なくとも一部が係合し、前記第1の突起部と前記第2の側板のドア開閉方向の相対的変位を制限する第1の案内機構が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のエレベータのドア装置。
【請求項10】
前記第1の案内機構は、昇降方向の有効長が前記第1の水平板と前記第2の水平板との間の間隙の変化量より大きく、前記第2の側板に形成された切り欠き、または第1の開口、または前記第1の側板側に形成された溝であることを特徴とする請求項9に記載のエレベータのドア装置。
【請求項11】
前記第2の支持部材は、前記第2の水平板に実質的に直交するように一端側が固定された第2の案内軸を、さらに、含み、
前記第1の支持部材の前記第1の水平板には、さらに、第2の案内用開口が形成され、
前記第2の案内軸の他端側は、前記第2の案内用開口に挿入されていることを特徴とする請求項10に記載のエレベータのドア装置。
【請求項12】
前記第2の側板には、前記第1の側板側に突出する第2の突起部が固定され、
前記第1の側板には、前記第2の突起部の少なくとも一部が係合し、前記第2の突起部と前記第1の側板のドア開閉方向の相対的変位を制限する第2の案内機構が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のエレベータのドア装置。
【請求項13】
前記第2の案内機構は、昇降方向の有効長が前記第1の水平板と前記第2の水平板との間の間隙の変化量より大きく、前記第1の側板に形成された切り欠きまたは第2の開口または前記第2の側板側に形成された溝であることを特徴とする請求項12に記載のエレベータのドア装置。
【請求項14】
前記係合刃ローラ案内機構は、前記係合刃ローラガイド部材、または前記係合刃ローラおよび前記係合刃ローラガイド部材の両方から構成されることを特徴とする請求項5に記載のエレベータのドア装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−49553(P2013−49553A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189342(P2011−189342)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】