説明

エレベータの出入口安全装置

【課題】かごドアの下端部の全域に亘って、かごドアの下端部付近に挟まった異物を検出し、かごドア開扉制御を実施させることができるエレベータの出入口安全装置の提供。
【解決手段】出入口を形成するかごドア2と、このかごドア2を案内するかご敷居7を有し、かごドア2の下端部とかご敷居7とによって間隙Gが形成されるエレベータの乗かご1に備えられ、かごドア2を保持するドアマシンフレーム18にそれぞれ設けられ、光を出射する発光装置3、及びこの発光装置3から出射される光を入射する受光装置4と、かご敷居7の両端部のうちの一方の端部側に設けられ、発光装置3から出射された光を反射してかごドア2の下端部に沿って間隙G内を通過させる第1反射鏡6a、及びかご敷居7の両端部のうちの他方の端部側に設けられ、第1反射鏡6aで反射された光をさらに反射して受光装置4に入射させる第2反射鏡6bとを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごドア部分に紐状体等の異物が挟まったことが検出されたとき、かごドアの開扉制御が実施されるエレベータの出入口安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータには、ドア部分に乗客等が挟まれたことを検出してドアを開くセフティーシューを有する出入口安全装置が備えられている。しかし、このセフティーシューを含む出入口安全装置は、ペットの首紐や掃除機のコードのような細長い紐状体等の異物を検出することはできない。このようなことから、特許文献1に、かごドア部分に紐状体等の異物が挟まったことが検出されたとき、かごドアの開扉制御を実施することができる技術が開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された従来技術は、かごドア閉端部近傍位置に、かご敷居と乗場敷居との間に形成される間隙を上下に通過する光を出射する光電装置すなわち発光装置と、この発光装置から出射された光を入射する光電装置すなわち受光装置とを備えた構成になっている。この構成により、かごドア閉端部近傍位置において、紐状体等の異物が乗かご側から乗場側にわたって挟まれたときには、その異物によって発光装置から出射される光が遮断される。この光の遮断によって受光装置は、かごドアの開扉制御を実施する。これにより、かごドア部分に挟まった異物の除去が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−9181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示される従来技術は、かごドア閉端部近傍位置において紐状体等の異物がかごドア部分に挟まれた場合には有効であるが、かごドアの下端部とかご敷居との間に間隙を有するエレベータにあっては、紐状体等の異物がかごドア閉端部近傍位置ばかりでなく、かごドアの下端部の全域において挟まれる懸念がある。したがって、前述した特許文献1に示される従来技術は、かごドア閉端部近傍位置から離れた位置にあるかごドア部分で紐状体等の異物が挟まったときには、有効なものではない。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、かごドアの下端部の全域に亘って、かごドアの下端部付近に挟まった異物を検出し、かごドア開扉制御を実施させることができるエレベータの出入口安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るエレベータの出入口安全装置は、出入口を形成するかごドアと、このかごドアを案内するかご敷居を有し、前記かごドアの下端部と前記かご敷居とによって間隙が形成されるエレベータの乗かごに備えられ、前記かごドア部分に異物が挟まったことが検出されたとき、前記かごドアの開扉制御が行なわれるエレベータの出入口安全装置において、前記かごドアを保持するドアマシンフレームにそれぞれ設けられ、光を出射する発光装置、及びこの発光装置から出射される光を入射する受光装置と、前記かご敷居の両端部のうちの一方の端部側に設けられ、前記発光装置から出射された光を反射して前記かごドアの下端部に沿って前記間隙内を通過させる第1反射鏡、及び前記かご敷居の両端部のうちの他方の端部側に設けられ、前記第1反射鏡で反射された光をさらに反射して前記受光装置に入射させる第2反射鏡とを備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、かごドアの下端部に沿う間隙内等のいずれかの位置に異物が侵入し、第1反射鏡から第2反射鏡に向かって通過する光が異物によって遮られたことを受光装置が検出したとき、この受光装置から出力される異常信号に基づいて閉扉動作中のかごドアの開扉制御を行なうことができ、かごドアの下端部の全域に亘って、かごドアの下端部付近に挟まった異物を検出し、かごドア開扉制御を実施させることができる。
【0009】
また、本発明に係るエレベータの出入口安全装置は、前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡のそれぞれは、反射角度を調整可能な反射鏡から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、第1反射鏡及び第2反射鏡の反射角度を調整することにより、かごドアの下端部とかご敷居とによって形成される間隙内に発光装置から出射される光を確実に通過させることができ、異物の検出を高精度に行なうことができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータの出入口安全装置は、前記かごドアを開閉制御するドア開閉制御装置を備え、前記受光装置は、入射される受光量がしきい値以下かどうか判別する判別手段を有し、この判別手段で前記受光量が前記しきい値以下と判別したとき、前記ドア開閉制御装置による前記ドアの開扉制御を実施させる前記異常信号を出力し、前記判別手段で前記受光量が前記しきい値よりも大きいと判別したとき、前記ドア開閉制御装置によるドア閉扉制御を継続させる安全信号を出力するものから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、乗かごの経時的な運行に伴って生じる第1反射鏡及び第2反射鏡の汚れ等による反射精度の低下を考慮して、受光装置の判別手段における受光量のしきい値を設定することにより、長期にわたって安定した異物の検出を行なうことができる。
【0011】
また、本発明に係るエレベータの出入口安全装置は、前記かごドアの開扉動作に伴って前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡それぞれの鏡面の清掃を行なう清掃具を備えたことを特徴としている。このように構成した本発明は、清掃具によって第1反射鏡及び第2反射鏡の鏡面を、高精度に光を反射させることができる鏡面に常時保つことができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータの出入口安全装置は、前記受光装置から前記異常信号が出力されたとき、前記異物による異常が発生している旨を前記乗かご内に報知する報知手段を備えたことを特徴としている。このように構成した本発明は、かごドア部分に異物が挟まれたときには、報知手段によってその旨が乗かご内に報知され、乗かご内の乗客に即時に異物の除去を促すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、かごドアを保持するドアマシンフレームにそれぞれ設けられ、光を出射する発光装置、及びこの発光装置から出射される光を入射する受光装置と、かご敷居の両端部のうちの一方の端部側に設けられ、発光装置から出射された光を反射してかごドアの下端部に沿って、かごドアの下端部とかご敷居とによって形成される間隙内を通過させる第1反射鏡、及びかご敷居の両端部のうちの他方の端部側に設けられ、第1反射鏡で反射された光をさらに反射して受光装置に入射させる第2反射鏡とを備えたことから、かごドアの下端部の全域に亘って、かごドアの下端部付近に挟まった異物を検出し、かごドア開扉制御を実施させることができ、従来に比べて優れた安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るエレベータの出入口安全装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に備えられる発光装置及び受光装置の配設部分を示す要部拡大側面図である。
【図3】本実施形態に備えられる乗かご側に形成されるかごドアの下端部と、かご敷居との間に形成される隙間を示す要部拡大側面図である。
【図4】本実施形態に備えられる受光装置で実施される処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る出入口安全装置が備えられるエレベータのかごドア部分に紐状体が挟まったときの第1の形態を示す正面図である。
【図6】本実施形態に係る出入口安全装置が備えられるエレベータのかごドア部分に紐状体が挟まったときの第2の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るエレベータの出入口安全装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るエレベータの出入口安全装置の一実施形態を示す斜視図、図2は本実施形態に備えられる発光装置及び受光装置の配設部分を示す要部拡大側面図、図3は本実施形態に備えられる乗かご側に形成されるかごドアの下端部と、かご敷居との間に形成される隙間を示す要部拡大側面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る出入口安全装置が設けられるエレベータの乗かご1は、出入口を形成するかごドア2と、このかごドア2を案内するかご敷居7を有し、かごドア2の下端部とかご敷居7とによって間隙Gが形成されている。
【0018】
図3に示すように、この乗かご1のかごドア2の下端に設けたドアシュー14はかご敷居7の敷居溝7aに案内され、これによりかごドア2が円滑に開閉するようになっている。乗かご1が階床に到着してかごドア2が開き、乗かご1内に乗客が乗り込む際などに、乗客の身体が閉扉動作中のかごドア2のセフティーシュー12に接触したときは、閉じようとしているかごドア2が反転して開扉動作が行なわれ、これにより乗客がかごドア2に挟まれないように安全が図られている。また、このような乗かご1のかごドア2の開閉に際しては、同図3に示すように、乗客の保持する異物例えばペットの首紐等の紐状体19が、かごドア2の下端部とかご敷居7との間隙Gに誤って侵入し、かご敷居7から乗場敷居20に亘って伸びる状況も起こり得る。
【0019】
図2に示すように、乗かご1のかごドア2の上部にはドアハンガー10が一体に設けられ、図1に示すように、このドアハンガー10にはローラ9が回転自在に取り付けられている。ローラ9は、乗かご1に固定されたドアレール8上を案内されるようになっている。ドアレール8は乗かご1に設けられたドアマシンフレーム18に固定されている。
【0020】
なお、図2に示すように、乗場側にあっては乗場ドア16が設けられており、この乗場ドア16の上部にはドアハンガー10aが一体に設けられ、このドアハンガー10aにはローラ9aが回転自在に取り付けられている。ローラ9aは乗場側に固定されたドアレール8a上を案内されるようになっている。この乗場側のドアレール8aは乗場側に設けられるポケットフレーム17に固定されている。
【0021】
前述した乗かご1に設けられる本実施形態に係る出入口安全装置は、かごドア2を保持するドアマシンフレーム18にそれぞれ設けられ、光を出射する発光装置3と、この発光装置3から出射される光を入射する受光装置4とを備えている。これらの発光装置3と受光装置4のそれぞれは、図2に示すように、ドアマシンフレーム18に設けたブラケット11にボルト等によって固定されている。
【0022】
また、本実施形態は図1に示すように、かご敷居7の両端部のうちの一方の端部側に設けられ、発光装置3から出射された光を反射してかごドア2の下端部に沿って略水平方向に間隙G内を通過させる第1反射鏡6aと、かご敷居7の両端部のうちの他方の端部側に設けられ、第1反射鏡6aで反射された光をさらに反射して受光装置4に入射させる第2反射鏡6bとを備えている。図1に示す符号「5」は、発光装置3から出射され受光装置4に入射される光軌跡を示している。前述した第1反射鏡6aと第2反射鏡6bは、例えば反射角度を調整可能な反射鏡から構成されている。
【0023】
前述した受光装置4は、例えば入射される受光量がしきい値以下かどうか判別する判別手段を有し、この判別手段で受光量がしきい値以下と判別したときに異常信号を出力し、しきい値より大きいと判別したときに安全信号を出力するものから成っている。この受光装置4の判別手段におけるしきい値は、乗かご1の経時的な運行に伴って生じる第1反射鏡6a及び第2反射鏡6bの汚れ等による反射精度の低下、例えば第1,第2反射鏡6a,6bに埃が積もるなどして受光値が減衰した場合の明度を考慮して設定してある。
【0024】
また、本実施形態は、図1に示すように、乗かご1の昇降運転全体を制御するとともに、受光装置4から出力される信号が入力される制御部23と、この制御部23から出力される制御信号に応じてかごドア2を開閉制御するドア開閉制御装置15を備えている。このドア開閉制御装置15は制御部23から出力される信号に応じて、かごドア2を開閉させるドアモータ24を駆動するものである。
【0025】
また、本実施形態は、図1,2に示すように、受光装置4から異常信号が出力されたときに、異物すなわち紐状体19がかごドア2部分に挟まった異常が発生していることを知らせ、その紐状体19を速やかに除去する旨を乗かご1内に報知する報知手段、例えば乗かご1内にその旨を放送する放送装置22を備えている。
【0026】
図4は本実施形態に備えられる受光装置で実施される処理手順を示すフローチャートである。
【0027】
前述のように構成した本実施形態にあっては、例えばかごドア2が閉扉を開始すると、制御部23から発光装置3に始動指令信号が出力され、これによって発光装置3が光を出射する。この光が第1反射鏡6aで反射され、かごドア2の下端部とかご敷居7との間に形成される間隙Gを通過して第2反射鏡6bに至り、この第2反射鏡6bでさらに反射して図4の手順S1に示すように、受光装置4に入射される。
【0028】
受光装置4では光が入射されると手順S2に移り、受光量の測定が実施される。次に手順S3に示すように、この受光装置4の判別手段で、受光量の測定値がしきい値以下かどうか判別される。ここで受光量の測定値がしきい値よりも大きいと判別されたときには、受光装置4から制御部23へ安全信号が出力される。制御部23は、この安全信号に応じて、ドア開閉制御装置15にかごドア2の閉扉動作をそのまま継続させる制御信号を出力する。この制御信号に応じてドア開閉制御装置15はドアモータ24に例えば正転駆動信号を出力し続ける。これによってかごドア2は支障なく閉じられる。かごドア2が閉じられたことが図示しない検出手段で検出されたとき、例えば制御部23から発光装置3に停止信号が出力され、これにより発光装置3からの光の出射が停止する。引き続いて制御部23の制御によって乗かご1の昇降運転が実施される。
【0029】
これに対して、前述した手順S3の判別で、受光量の測定値がしきい値以下と判別されたときには、かごドア2の下端部とかご敷居7との間隙G等に異物すなわち紐状体19が侵入して、第1反射鏡6aから第2反射鏡6bに至る光が紐状体19によって遮られた状態にあり、受光装置4から制御部23へ異常信号が出力される。制御部23は、この異常信号に応じて昇降運転の中止制御を実施するとともに、ドア開閉制御装置15にかごドア2を反転させる開扉動作を行なわせる制御信号を出力し、また、放送装置22に放送指令信号を出力する。
【0030】
前述した制御部23から出力される制御信号に応じてドア開閉制御装置15はドアモータ24に反転駆動信号を出力する。これによって閉扉動作中のかごドア2が反転して開扉動作に移行する。この間、前述した放送指令信号によって放送装置22が作動し、乗かご1内の乗客に、「紐状体19がかごドア2部分に挟まれる異常を生じています。その紐状体19を直ちに取り除くようにお願いします。」等の内容の放送がなされる。これにより、乗かご1の乗客は紐状体19がかごドア2部分に挟まっていることに気付かされ、この紐状体19をかごドア2部分から即時に取り除くことを促される。
【0031】
紐状体19が間隙Gから取り除かれた状態となると、第1反射鏡6aから第2反射鏡6bへの正常な光軌跡5が確保される。したがって、前述した手順S3の受光装置4の判別手段における判別で、受光量の測定値がしきい値よりも大きいと判別される。これにより前述した手順S4に移り、制御部23からドア開閉制御装置15にかごドア2を再び閉扉動作させる制御信号が出力される。
【0032】
図5,6は本実施形態に係る出入口安全装置が備えられるエレベータのかごドア部分に紐状体が挟まったときの異なる形態を示しており、図5は第1の形態を示す正面図、図6は第2の形態を示す正面図である。
【0033】
図5に示す第1の形態は、両開きのかごドア2の閉端部付近において紐状体19がかごドア2に挟まり、この紐状体19によって第1反射鏡6aから第2反射鏡6bに至る光が遮られた状態を示している。本実施形態は、このように紐状体19がかごドア2の閉端部付近において挟まった第1の形態を検出してかごドア2の反転開扉動作を行なわせることができる。
【0034】
図6に示す第2の形態は、前述した第1の形態とは異なり、両開きのかごドア2の閉端部から遠い位置で紐状体19がかごドア2の下端部に挟まり、この紐状体19によって第1反射鏡6aから第2反射鏡6bに至る光が遮られた状態を示している。本実施形態は、このように紐状体19がかごドア2の閉端部から遠い位置で挟まった第2の形態にあっても確実に検出して、かごドア2の反転開扉動作を行なわせることができる。
【0035】
なお、図5,6にあっては、前述した本実施形態の構成に加えて、かごドア2の開扉動作に伴って第1反射鏡6a及び第2反射鏡6bそれぞれの鏡面の清掃を行なう第1清掃具21a及び第2清掃具21bを備えた構成にしてある。第1清掃具21aは第1反射鏡6a側に位置するかごドア2の側部の下端付近に第1反射鏡6aに対向するように設けてあり、第2清掃具21bは第2反射鏡6b側に位置するかごドア2の側部の下端付近に第2反射鏡6aに対向するように設けてある。これらの第1清掃具21a及び第2清掃具21bは、ブラシ、布、あるいはスクレーパーから成っている。また、このような第1清掃具21a及び第2清掃具21bに、清掃用洗剤を含ませた構成としてもよい。
【0036】
前述のように構成した本実施形態に係る出入口安全装置によれば、かごドア2の下端部に沿う間隙G内等のいずれかの位置に異物すなわち紐状体19が侵入し、第1反射鏡6aから第2反射鏡6bに向かって通過する光が紐状体19によって遮られたことを受光装置4が検出したとき、この受光装置4から出力される異常信号に基づいて閉扉動作中のかごドア2の開扉制御を行なうことができ、かごドア2の下端部の全域に亘って、かごドア2の下端部付近に挟まった紐状体19を検出し、かごドア開扉制御を実現させることができ、優れた安全性を確保することができる。
【0037】
また、第1反射鏡6a及び第2反射鏡6bの反射角度を調整することにより、かごドア2の下端部とかご敷居7とによって形成される間隙G内に発光装置3から出射される光を確実に通過させることができ、異物すなわち紐状体19の検出を高精度に行なうことができて高い信頼性を有する。
【0038】
また、前述したように、乗かご1の経時的な運行に伴って生じる第1反射鏡6a及び第2反射鏡6bの汚れ等による反射精度の低下を考慮して、受光装置4の判別手段における受光量のしきい値を設定することにより、長期に亘って安定した異物すなわち紐状体19の検出を行なうことができ、この点でも高い信頼性を有する。
【0039】
また、図5,6に示したように、第1清掃具21a及び第2清掃具21bを備えた構成にすれば、これらの第1清掃具21a、第2清掃具21bによって第1反射鏡6a及び第2反射鏡6bの鏡面を、高精度に光を反射させることができる鏡面に常時保つことができ、この点でも高い信頼性を有する。
【0040】
また、かごドア2部分に紐状体19が挟まれたときには、放送装置22によってその旨が乗かご1内に放送され、乗かご1内の乗客に即時に紐状体19の除去を促すことができ、安全性の向上に貢献する。
【0041】
なお、前述した実施形態は、一対の第1反射鏡6a、第2反射鏡6bを設けた構成にしてあるが、複数対の第1反射鏡6a、第2反射鏡6bを設けた構成とすることもできる。
【0042】
また、前述した実施形態における構成に加えて、前述した特許文献1に示されるのと同様に、図3に示すかご敷居7と乗場敷居20との間に形成される別の間隙を上下に通過する光を出射する別の発光装置と、別の受光装置の組み合わせを設けた構成にしてもよい。
【0043】
また、前述した実施形態は、乗かご1内に報知する報知手段として放送装置22を備えた構成にしてあるが、この放送装置22に代えて報知手段を、ブザー音を発生させる警報器とか、赤色ランプを点灯させる点灯装置等によって構成してもよい。
【0044】
また、前述した実施形態では、かごドア2の下端部とかご敷居7との間に形成される間隙Gに侵入する検出対象の異物として紐状体19を例示したが、本発明は検出対象の異物が紐状体19であることには限られない。間隙Gに侵入し得る全てのものが検出対象となり得る。
【符号の説明】
【0045】
1 乗かご
2 かごドア
3 発光装置
4 受光装置
5 光軌跡
6a 第1反射鏡
6b 第2反射鏡
7 かご敷居
15 ドア開閉制御装置
18 ドアマシンフレーム
19 紐状体(異物)
21a 第1清掃具
21b 第2清掃具
22 放送装置(報知手段)
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口を形成するかごドアと、このかごドアを案内するかご敷居を有し、前記かごドアの下端部と前記かご敷居とによって間隙が形成されるエレベータの乗かごに備えられ、
前記かごドア部分に異物が挟まったことが検出されたとき、前記かごドアの開扉制御が行なわれるエレベータの出入口安全装置において、
前記かごドアを保持するドアマシンフレームにそれぞれ設けられ、光を出射する発光装置、及びこの発光装置から出射される光を入射する受光装置と、
前記かご敷居の両端部のうちの一方の端部側に設けられ、前記発光装置から出射された光を反射して前記かごドアの下端部に沿って前記間隙内を通過させる第1反射鏡、及び前記かご敷居の両端部のうちの他方の端部側に設けられ、前記第1反射鏡で反射された光をさらに反射して前記受光装置に入射させる第2反射鏡とを備えたことを特徴とするエレベータの出入口安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの出入口安全装置において、
前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡のそれぞれは、反射角度を調整可能な反射鏡から成ることを特徴とするエレベータの出入口安全装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベータの出入口安全装置において、
前記かごドアを開閉制御するドア開閉制御装置を備え、
前記受光装置は、入射される受光量がしきい値以下かどうか判別する判別手段を有し、この判別手段で前記受光量が前記しきい値以下と判別したとき、前記ドア開閉制御装置による前記ドアの開扉制御を実施させる前記異常信号を出力し、前記判別手段で前記受光量が前記しきい値よりも大きいと判別したとき、前記ドア開閉制御装置によるドア閉扉制御を継続させる安全信号を出力するものから成ることを特徴とするエレベータの出入口安全装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベータの出入口安全装置において、
前記かごドアの開扉動作に伴って前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡それぞれの鏡面の清掃を行なう清掃具を備えたことを特徴とするエレベータの出入口安全装置。
【請求項5】
請求項1に記載のエレベータの出入口安全装置において、
前記受光装置から前記異常信号が出力されたとき、前記異物による異常が発生している旨を前記乗かご内に報知する報知手段を備えたことを特徴とするエレベータの出入口安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73831(P2011−73831A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227275(P2009−227275)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】