説明

エレベータの制御機器据付台

【課題】本発明は、機械室レスエレベータの制御機器を床面上に強固に設置し、制御機器の共用化を図ることを目的とするものである。
【解決手段】据付台本体21は、機械室2の床面2aに固定設置された台座部26と、台座部26上に鉛直に立設されている左右一対の支持柱(制御機器取付部)27とを有している。固定板22は、左右の支持柱27間に取り付けられている。制御機器6の上下端部は、固定板22に取り付けられている。即ち、制御機器6は、固定板22を介して据付台本体21に取り付けられている。第1の配線カバー23は、電線30を覆うように、制御機器6の下部で支持柱27間に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの制御機器を機械室等の床面上に据え付けるための制御機器据付台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、機械室レスエレベータの制御機器は、その上下端部を昇降路壁などの強固な構造物に固定することにより、昇降路内に鉛直に設置される。また、昇降路内の限られたスペースに配置されるため、奥行き寸法が小さい薄型の筐体が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、機械室を有するエレベータの制御機器は、機械室の床面上に自立するかたちで、地面に対して水平に固定設置される構造が一般的であり、地震等の外力に対して耐えうる強度を有している。また、機械室内に設置される制御機器では、筐体内へのねずみ等の侵入を防止するため、筐体に大きな開口部を設けないようにしており、筺体下部の電線の入線部も電線が露出しないように覆われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159453号公報
【特許文献2】特開2005−67880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の機械室レスエレベータの制御機器は、筺体単体での強度が十分ではなく、床面上に自立させて設置することが困難であるため、機械室を有するエレベータに適用することができず、機械室レスエレベータと機械室を有するエレベータとで制御機器を共用化することができない。このため、制御機器の種類が増え、それぞれの生産設備が必要となる等の問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、機械室レスエレベータの制御機器を床面上に強固に設置することができ、制御機器の共用化を図ることができるエレベータの制御機器据付台を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベータの制御機器据付台は、床面に固定設置される台座部と、台座部上に立設されている制御機器取付部とを有する据付台本体、制御機器取付部に取り付けられ、エレベータの制御機器が取り付けられる固定板、及び据付台本体に取り付けられ、制御機器に接続された電線を覆う配線カバーを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明のエレベータの制御機器据付台は、床面に固定設置された据付台本体に固定板を介して制御機器を取り付け、さらに、電線を覆う配線カバーを据付台本体に取り付けるので、機械室レスエレベータの制御機器を床面上に強固に設置することができ、電線が露出することもなく、機械室レスエレベータと機械室を有するエレベータとで制御機器の共用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータを示す概略の構成図である。
【図2】図1の制御機器据付台を示す正面図である。
【図3】図2の制御機器据付台を示す右側面図である。
【図4】図2の制御機器据付台を示す背面図である。
【図5】図2の制御機器据付台への制御機器の第2の配置例を示す右側面図である。
【図6】図5の制御機器据付台を示す背面図である。
【図7】図2の制御機器据付台への制御機器の第3の配置例を示す右側面図である。
【図8】図7の制御機器据付台を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータを示す概略の構成図である。図において、昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。機械室2には、巻上機(駆動装置)3が設置されている。巻上機3は、駆動シーブ4と、駆動シーブ4を回転させる巻上機モータと、駆動シーブ4の回転を制動する巻上機ブレーキ(電磁ブレーキ)とを有している。
【0011】
機械室2の床面には、制御機器据付台5が設置されている。制御機器据付台5には、巻上機3を制御する制御機器(制御盤)6が取り付けられている。制御機器6は、機械室レスエレベータにも適用可能な縦長薄型のものであり、筐体に自立するための構造を有していない。
【0012】
駆動シーブ4の近傍には、そらせ車7が配置されている。駆動シーブ4及びそらせ車7には、懸架手段8が巻き掛けられている。懸架手段8としては、複数本のロープ又は複数本のベルトが用いられている。懸架手段8の第1端部には、かご9が接続されている。懸架手段8の第2端部には、釣合おもり10が接続されている。
【0013】
かご9及び釣合おもり10は、懸架手段8により昇降路1内に吊り下げられており、巻上機3により昇降路1内を昇降される。制御機器6は、巻上機3を制御することにより、かご9の運行を制御する。
【0014】
かご9には、かご出入口を開閉するかごドア装置11が設けられている。複数階の乗場には、それぞれ乗場ドア装置12が設けられている。乗場ドア装置12は、かご9の着床時にかごドア装置11が係合することにより、かごドア装置11に連動して開閉動作される。
【0015】
図2は図1の制御機器据付台5を示す正面図、図3は図2の制御機器据付台5を示す右側面図、図4は図2の制御機器据付台5を示す背面図である。制御機器据付台5は、据付台本体21と、複数(ここでは上下一対)の固定板22と、第1及び第2の配線カバー23,24と、ダクト塞ぎ板25とを有している。
【0016】
据付台本体21は、機械室2の床面2aに固定設置された台座部26と、台座部26上に鉛直に立設されている左右一対の支持柱(制御機器取付部)27とを有している。支持柱27は、水平方向に互いに間隔をおいて互いに平行に配置されている。
【0017】
台座部26は、床面2aに固定された複数本のアンカーボルト28に強固に固定されている。また、台座部26には、アンカーボルト28を通す複数の固定孔が設けられている。さらに、据付後には、床面2a上にシンダーコンクリート29等が敷き詰められ、台座部26はシンダーコンクリート29内に埋設される。
【0018】
固定板22は、ボルト・ナット等の締結具を用いて、左右の支持柱27間に取り付けられている。また、固定板22は、上下方向に互いに間隔をおいて互いに平行かつ水平に配置されている。
【0019】
支持柱27には、固定板22や第1及び第2の配線カバー23,24を取り付けるための複数の支持柱側取付孔27aが設けられている。支持柱側取付孔27aは、上下方向に互いに等間隔をおいて配置されている。
【0020】
制御機器6の上下端部は、ボルト・ナット等の締結具を用いて、固定板22に取り付けられている。即ち、制御機器6は、固定板22を介して据付台本体21に取り付けられている。
【0021】
固定板22の支持柱27への取付位置は、制御機器6のサイズ(上下方向寸法)に応じて支持柱側取付孔27aを選択することにより、上下方向へ調節可能になっている。固定板22には、固定板22を支持柱27に取り付けたり、制御機器6を固定板22に取り付けたりするための複数の固定板側取付孔22aが設けられている。
【0022】
制御機器6には、複数本の電線30が接続されている。第1の配線カバー23は、電線30を覆うように、ボルト・ナット等の締結具を用いて、制御機器6の下部で支持柱27間に取り付けられている。第2の配線カバー24は、制御機器6の背面側全体を覆うように、ボルト・ナット等の締結具を用いて、制御機器6とは反対側で支持柱27間に取り付けられている。
【0023】
台座部26内には空洞が設けられており、この空洞は電線30の余長を処理するスペースとして使用可能となっている。即ち、台座部26は、配線ダクトを兼ねた構造となっている。台座部26には、電線30を外部へ引き出す複数の配線ダクト口26aが設けられている。
【0024】
床面2a上には、他機器間ダクト31が敷設されている(図3)。他機器間ダクト31は、配線ダクト口26aに隣接している。配線ダクト口26aから引き出された電線30は、他機器間ダクト31内を通されて他の機器に接続される。他機器間ダクト31は、据付後にシンダーコンクリート29内に埋設される。使用しない配線ダクト口26aは、ダクト塞ぎ板25により塞がれている(図4)。
【0025】
このようなエレベータの制御機器据付台5では、床面2aに固定設置された据付台本体21に固定板22を介して制御機器6を取り付け、さらに、電線30を覆う配線カバー23,24を据付台本体21に取り付けるので、壁など地面に対して鉛直方向に固定設置する構造の制御機器6を床面2a上に強固に設置することができ、かつ電線30が露出することもなく、機械室レスエレベータと機械室2を有するエレベータとで制御機器6の共用化を図ることができる。
【0026】
また、固定板22の支持柱27への取付位置が上下方向へ調節可能になっているので、サイズの異なる制御機器6にも容易に対応することができる。
さらに、支持柱27には支持柱側取付孔27aが上下方向に互いに間隔をおいて設けられているので、固定板22の支持柱27への取付位置の調節を可能にしつつ、固定板22を支持柱27に強固に固定することができる。
さらにまた、台座部26が配線ダクトを兼ねた構造となっているので、据付台本体21の下部に別途ダクトを設ける必要がない。
【0027】
ここで、図5は図2の制御機器据付台5への制御機器の第2の配置例を示す右側面図、図6は図5の制御機器据付台5を示す背面図であり、正面図は図2と同じである。図において、据付台本体21の裏面には、第2の制御機器32、第3の制御機器33、第2の配線カバー34及び第3の配線カバー35が取り付けられている。これらの取付方法は、制御機器(第1の制御機器)6及び第1の配線カバー23と同様である。また、第2及び第3の制御機器32,33は、上下に並べて配置されている。
【0028】
さらに、第1の制御機器6に接続された電線30は、台座部26の正面の配線ダクト口26aから引き出されており、第2及び第3の制御機器32,33に接続された電線30は、台座部26の背面の配線ダクト口26aから引き出されている。
【0029】
このように、2個以上の制御機器6,32,33を据付台本体21の両面に振り分けて配置することもできる。
また、1つの面内に2個以上の制御機器32,33を上下に並べて配置することもできる。
【0030】
次に、図7は図2の制御機器据付台5への制御機器の第3の配置例を示す右側面図、図8は図7の制御機器据付台5を示す背面図であり、正面図は図2と同じである。図において、据付台本体21の裏面には、第2の制御機器36、第3の制御機器37、第2の配線カバー38及び第3の配線カバー39が取り付けられている。これらの取付方法は、第1の制御機器6及び第1の配線カバー23と同様である。また、第2及び第3の制御機器36,37は、左右に並べて配置されている。さらに、第2及び第3の制御機器36,37は、共通の固定板22に固定されている。
【0031】
このように、1つの面内に2個以上の制御機器36,37を左右に並べて配置することもできる。
また、第2の配置例と第3の配置例とを組み合わせて、3個以上の制御機器を上下左右に並べて配置することもできる。
【0032】
なお、上記の説明では、エレベータの制御機器を機械室2の床面上に据え付ける場合について述べたが、この発明の制御機器据付台は、例えば製作時、評価試験時又は展示時等に、制御機器を自立状態で保持したい場合にも利用できる。
また、上記の説明では、制御機器6がかご9の運行を制御すると述べたが、この発明の制御機器据付台に取り付けられる制御機器の機能はこれに限定されるものではなく、例えばエレベータの安全監視を行うもの(電子安全装置)などであってもよい。
さらに、この発明を適用するエレベータのレイアウトは図1に限定されるものではなく、例えば2:1ローピングのエレベータ、ダブルデッキエレベータ、ワンシャフトマルチカー方式のエレベータ等にもこの発明は適用できる。
【符号の説明】
【0033】
2a 床面、5 制御機器据付台、6 制御機器(第1の制御機器)、21 据付台本体、22 固定板、23 第1の配線カバー、24,34,38 第2の配線カバー、26 台座部、27 支持柱(制御機器取付部)、27a 支持柱側取付孔、30 電線、32,36 第2の制御機器、33,37 第3の制御機器、35,39 第3の配線カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に固定設置される台座部と、前記台座部上に立設されている制御機器取付部とを有する据付台本体、
前記制御機器取付部に取り付けられ、エレベータの制御機器が取り付けられる固定板、及び
前記据付台本体に取り付けられ、前記制御機器に接続された電線を覆う配線カバー
を備えていることを特徴とするエレベータの制御機器据付台。
【請求項2】
前記制御機器取付部は、互いに間隔をおいて配置された一対の支持柱であり、
前記固定板は、前記支持柱間に取り付けられており、
前記固定板の前記支持柱への取付位置が上下方向へ調節可能になっていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの制御機器据付台。
【請求項3】
前記支持柱には、複数の支持柱側取付孔が上下方向に互いに間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項2記載のエレベータの制御機器据付台。
【請求項4】
前記台座部は、配線ダクトを兼ねた構造となっていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの制御機器据付台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35661(P2013−35661A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173555(P2011−173555)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】