説明

エレベータの安全確保装置

【課題】保守点検時に作業員が乗場ドアを手動で開くときに、その開きの開始からその乗場ドアの開きによる開放空間部を遮断して安全を確保し、この状態で昇降路内を確認することができるエレベータの安全確保装置を提供する。
【解決手段】乗場ドア2のドアパネル2bの背面には、巻き軸32に巻かれたシート状の遮断幕33が設けられている。遮断幕33には支持棒37が取り付けられている。保守点検時に乗場ドア2のロックを手動で解除する操作のとき、支持棒37が係合子38を介して係合体42に係合する。ドアパネル2a,2bを手動で開くときに、支持棒37の係合子38と係合体42との係合で、ドアパネル2a,2bの移動に応じて遮断幕33が巻き軸32から自動的に引き出され、その遮断幕33でドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間に生じた開放空間部が遮断され、作業員の転落が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、エレベータの昇降路に対する点検作業の際の安全を確保するための安全確保装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの昇降路内を保守点検する形態の一つとして、作業員が昇降路内のかごの上に乗り、かごを昇降移動させながら作業を進めることがある。この場合、作業員は建屋の乗場ドアを手動で開き、その乗場口から昇降路内に入り込んでかごの上に乗り込む。かごの上に乗り込むときには、その乗り込む階にかごが停止していることを確認する必要がある。もし、その乗り込む階にかごが停止していないまま、乗場ドアを開くと、作業員が昇降路内に転落する恐れがある。
【0003】
そこで、乗場ドアを少しだけ開いたときに、その開いた間隔を保持器具で所定の寸法に保持し、かごの停止を安全に確認することができるようにした安全装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−67293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の安全装置は、乗場ドアを少し開いたときに、その開きによる開放空間部内に保持器具を挿入し、その保持器具を開放空間部間に掛け渡して乗場ドアの移動を拘束してそれ以上の移動を防止するものである。したがって、乗場ドアが開きつつあるときには、開放空間部は空間のままで、その後に保持器具を開放空間部内に挿入し、乗場ドアを拘束した後に安全が確保される。
【0006】
このため、乗場ドアを手動で開くときに、その乗場ドアを開きすぎたり、あるいは保持器具を挿入するときに、作業員が誤って昇降路内に転落する恐れがある。
【0007】
この発明の実施形態は、このような課題に着目し、作業員が乗場ドアを手動で開くときに、その開きの開始からその乗場ドアの開きによる開放空間部を自動的に遮断して安全を確保し、この状態で昇降路内を確認することができるエレベータの安全確保装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、請求項1の発明は、エレベータホールの乗場口に設けられてその乗場口を開閉する乗場ドアと、前記乗場ドアをロックしてその開放を阻止し、エレベータの保守点検時に前記乗場ドアを手動で開くときに、前記エレベータホール側から作業員が操作部材を用いる手動操作でそのロックを解除することが可能なロック装置と、前記乗場ドアを手動で開いたときに、その開きに応じて前記乗場ドアの戸当り側に生じる開放空間部を遮断する遮断装置とを具備し、前記遮断装置は、前記乗場ドアに取り付けられた伸縮可能な遮断体と、前記遮断体と係合可能な係合体を有し、その遮断体と係合体との係合で前記乗場ドアの開きの移動に応じて前記遮断体を前記開放空間部に伸長させることが可能な連動機構とを備え、通常時には前記遮断体と前記係合体とは非係合状態にあり、保守点検時に前記操作部材で前記ロック装置を解除操作する動作で前記遮断体と前記係合体とが係合することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、前記遮断装置の遮断体が、巻き軸に巻かれたシート状の遮断幕からなり、この遮断幕が保守点検時に作業員が前記乗場ドアを手動で開くときの動作で前記巻き軸から繰り出されて前記空間部を遮断することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、前記遮断装置の遮断体が、伸縮可能な折り畳み柵からなり、この折り畳み柵が保守点検時に作業員が前記乗場ドアを手動で開くときの動作で前記乗場ドアから繰り出されて前記空間部を遮断することを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明は、前記乗場ドアが、水平方向に無端走行するワイヤの上部走行側の一部と下部走行側の一部とに分けて連結された一対のドアパネルを備え、これらドアパネルが前記ワイヤの無端走行に応じて左右に移動して前記乗場口を開閉する両開き式構造で、前記遮断装置の遮断体は、前記一方のドアパネルに取り付けられ、前記係合体は、前記ワイヤの前記他方のドアパネルが連結された走行側の一部に取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明は、前記乗場ドアが、前後に位置をずらして配置された複数のドアパネルを備え、その複数のドアパネルが同じ方向に異なる速度で移動することで前記乗場口を開閉する片開き式構造で、前記遮断装置の遮断体は、前記ドアパネルのうちの最も戸当り側に配置するドアパネルに取り付けられ、前記係合体は、前記最も戸当り側に配置するドアパネルの戸当り側縁部の近傍の固定部位に取り付けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、前記遮断体と係合体との係合が、前記操作部材で前記ロック装置が解除操作される前のタイミングで達成されることを特徴としている。
【0014】
請求項7の発明は、表示灯、警報灯、警報チャイムのうちの少なくとも一つを有する警報手段を備え、前記遮断装置の遮断体と係合体とが前記操作部材により係合操作されたときに、前記警報手段が動作することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る安全確保装置を備える乗場ドアを示す斜視図。
【図2】その乗場ドアを昇降路側から見た正面図。
【図3】その乗場ドアの要部を拡大して示す正面図。
【図4】その乗場ドアの要部を拡大して示す側面図。
【図5】その乗場ドアの動作を説明するための説明図。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る安全確保装置を備える乗場ドアの動作を説明するための説明図。
【図7】この発明の第3の実施形態に係る安全確保装置を備える乗場ドアの昇降路側から見た正面図。
【図8】その乗場ドアの要部の側面図。
【図9】その乗場ドアの動作を説明するための説明図。
【図10】この発明の第4の実施形態に係る安全確保装置を備える乗場ドアの動作を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜図5にはこの発明の第1の実施形態を示してある。図1は建屋のエレベータホールに設けられた乗場口1を示してあり、この乗場口1には乗場ドア2が設置され、この乗場ドア2により乗場口1が開閉される。乗場口1には三方枠3が据え付けられ、この三方枠3は両側の一対の側板3aと、上部の幕板3bとで門形に構成されている。乗場口1の脇には乗場操作盤4が設けられ、この乗場操作盤4にかご呼び用の操作ボタン4aが配設され、また乗場操作盤4の上方部に表示灯5が設けられている。
【0018】
この実施形態における乗場ドア2は、一対のドアパネル2a,2bが互いに左右の逆方向に移動することで乗場口1を開閉する両開き式構造となっている。図2は乗場口1をかごが昇降する昇降路側から見た正面図を示してあり、乗場口1の周辺部にはドア枠9が据え付けられ、このドア枠9を介して一対のドアパネル2a,2bが支持されている。
【0019】
ドア枠9は、一対の側枠10a,10bと、その側枠10a,10bの上部間に架設されたヘッダケース11、及び下部間に架設された敷居12とを備え、ヘッダケース11にはガイドレール14が水平に架設されている。ドア枠9におけるヘッダケース11の上には、警報灯7及び報知チャイム8が設けられている。
【0020】
各ドアパネル2a,2bはそれぞれ上部にハンガー13を有し、これらハンガー13にそれぞれ複数のガイドローラ15a,15bが回転自在に取り付けられ、これらガイドローラ15a,15bがガイドレール14の上に掛け合わされ、この掛け合わせで各ドアパネル2a,2bがヘッダケース11の下方に懸架されている。そして各ガイドローラ15a,15bがガイドレール14に沿って転動することでドアパネル2a,2bが左右に移動する。
【0021】
ヘッダケース11の両端部にはプーリ18が回転自在に取り付けられ、これらプーリ18間に水平方向に無端走行するワイヤ19が掛け渡されている。ドアパネル2a,2bの上部にはそれぞれ止め具20a,20bが取り付けられ、一方のドアパネル2aの止め具20aがワイヤ19の上部走行側の一部に連結され、他方のドアパネル2bの止め具20bがワイヤ19の下部走行側の一部に連結され、これにより一方のドアパネル2aが左右に移動するときに、この一方のドアパネル2aに連動して他方のドアパネル2bが逆方向に移動する。
【0022】
また、ドアパネル2a,2bの下部には、それぞれガイドシュー21a,21bが取り付けられ、これらガイドシュー21a,21bが敷居12のガイド溝(図示せず)内に摺動自在に係合し、ドアパネル2a,2bが左右に移動するときに、そのガイドシュー21a,21bの摺動でその移動がガイドされる。
【0023】
乗場ドア2には、ドアパネル2a,2bの戸当り側縁部が互いに当接して閉じ合う戸閉状態を保持するロック装置25が設けられている。このロック装置25は例えば一方のドアパネル2aのハンガー13に設けられたロックレバー26と、ヘッダケース11に取り付けられたロック体27とを備え、ロックレバー26はピン28を介して回動可能にドアパネル2aのハンガー13に取り付けられ、その回動でロック体27に係脱可能に係合し、その係合でドアパネル2a,2bの閉じ合わせ状態がロックされ、ドアパネル2a,2bの開放が阻止される。
【0024】
通常時には、乗場ドア2の両ドアパネル2a,2bは閉じ合わされ、ロック装置25によりロックされ、乗場口1が閉鎖されている。この状態で、昇降路内でかごが昇降移動し、そのかごが目的階のエレベータホールに到着して着床停止するときに、かごドアが乗場ドア2に係合し、その係合時の動作でロック装置25のロックレバー26が回動してロック体27から外れ、ロック装置25によるロックが解除される。そして、かごドアが駆動装置により駆動され戸開方向に移動する。この際、かごドアと係合しているドアパネル2aがかごドアと一体的に戸開方向に移動し、さらにこの一方のドアパネル2aに連動して他方のドアパネル2bが逆方向に移動し、これにより乗場口1が開放され、かごへの乗り降りが可能となる。
【0025】
乗り降りの終了後には、かごドアと一体的に乗場ドア2が戸閉方向に移動し、両ドアパネル2a,2bが閉じ合わされるときに、ロックレバー26が動作し、両ドアパネル2a,2bがロックされ、かごが次の目的階に向って移動する。
【0026】
一方、保守点検時には、まず作業員が図1に示すように、エレベータホール側から乗場ドア2の前に立ち、ドアパネル2aの表面と三方枠3の幕板3bとの間の隙間内にロック装置解除用の操作部材Aを差し込み、この操作部材Aでロック装置25のロックを手動で解除する。そして、ドアパネル2a,2bを手動で開き、乗場口1を通して昇降路内を目視し、そのエレベータホールの階にかごが停止しているか否かを確認する。そしてかごが停止していることを確認したときには、作業員がエレベータホール側から乗場口1を通ってそのかごの上に乗り込み、保守点検の作業を開始する。
【0027】
このようなエレベータにおいて、この実施形態ではかご確認作業時の安全を確保するための安全確保装置が設けられている。この安全確保装置の構成を図2〜図5に示してある。安全確保装置は、遮断装置30を有している。この遮断装置30は遮断体としてのシート状の遮断幕33を有し、この遮断幕33はエレベータホール側から見た乗場ドア2の背面に設けられている。すなわち、乗場ドア2のドアパネル2bの背面に軸受31を介して巻き軸32が回転可能に取り付けられ、この巻き軸32に遮断体としてのシート状の遮断幕33が巻き付けられている。遮断幕33は、不燃性材料あるいは難燃性材料からなる。またこの遮断幕33は、透明材料であることが好ましい。
【0028】
巻き軸32は、ドアパネル2bの上部から下部に渡る上下区間の部分に垂直に設けられ、この巻き軸32のほぼ全長区間の部分に遮断幕33が巻き付けられている。巻き軸32は、スプリングなどの弾性体36により遮断幕33を巻き取る回転方向に弾性的に付勢されている。遮断幕33の巻き取り終端側の縁部には支持棒37が垂直に取り付けられている。
【0029】
支持棒37の上端側は遮断幕33の上方に延び、その上端部に係合子38が設けられている。この係合子38はワイヤ19の長手方向に沿って支持棒37からその側方に突出するように設けられている。支持棒37の下端側は遮断幕33の下方に延び、その下端部が敷居12に形成されたガイド溝内に摺動自在に係合されている。
【0030】
一方、水平方向に平行に延びるワイヤ19の上部走行側の一部には、前記係合子38とで連動機構を構成する係合体42が取り付けられている。係合体42には、図3に明示するように係合子38に対応する形状の係合穴43が形成され、この係合穴43に対して係合子38が係脱可能となっている。係合体42はワイヤ19に回動可能に取り付けられ、スプリングなどの弾性体44により係合子38から離間する方向に弾性的に付勢されている。係合体42の回動範囲はストッパ(図示せず)により一定範囲に規制されている。ドアパネル2a,2bの閉合時は、係合子38が係合体42の係合穴43に離間して対向する非係合状態にある。また、係合体42には、係合子38との係脱を検出する検出センサ45が取り付けられている。
【0031】
ドアパネル2aの上部側にはリンク部材46が設けられている。このリンク部材46は、図4に明示するように、一端部が係合体42に当接する押圧部46a、他端部が係合体42の下方に延びる操作部46bとなっていて、中間部がピン47を介してハンガー13に回動可能に支持されている。リンク部材46は、スプリングなどの弾性体48により時計方向に弾性的に付勢されている。リンク部材46の回動範囲はストッパ(図示せず)により一定範囲に規制されている。
【0032】
保守点検時にドアパネル2aと三方枠3の幕板3bとの間の隙間にロック装置解除用の操作部材Aを差し込んだときには、その操作部材Aが押圧部46aに当接し、この当接でリンク部材46の全体がピン47を中心に図4における反時計方向に回動し、この回動で押圧部46aが係合体42を弾性体44に抗して押圧するようになっている。操作部材Aの差し込みに応じるリンク部材46の動作は、その操作部材Aによるロック装置25の解除動作の前に達成されるようになっている。
【0033】
次に作用について説明する。
【0034】
通常時には、遮断幕33が巻き軸32に巻き取られ、支持棒37の係合子38が係合体42と非係合状態に保持され、この状態でドアパネル2a,2bの開閉動作が繰り返される。
【0035】
保守点検時には、ドアパネル2a,2bの閉合状態のもとで、図1及び図4に示すように作業員がドアパネル2aと三方枠3の幕板3bとの間の隙間内にロック装置解除用の操作部材Aを差し込んで上方に押し込む。この押し込みに応じてリンク部材46がピン47を中心に図4における反時計方向に回動し、この回動で係合体42がリンク部材46の押圧部46aで押圧されてワイヤ19の軸回り方向(時計方向)に回動し、この回動で係合体42の係合穴43が係合子38に嵌合し、係合体42と係合子38とが係合する。この後、さらに操作部材Aが上方に押し込まれることにより、ロック装置25が解除される。
【0036】
この状態を図5(A)に示してある。この状態から、図5(B)に示すように作業員は閉合状態のドアパネル2a,2bを手動で開く。すなわち、例えば一方のドアパネル2aを右側に移動させる。一方のドアパネル2aを右側に移動させると、ワイヤ19が時計回り方向に走行し、このワイヤ19の走行で他方のドアパネル2bが左側方向に移動し、ドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間が開放される。
【0037】
係合体42及びドアパネル2aは共にワイヤ19の上部走行側に連結されており、したがってドアパネル2aが右側に移動するときには係合体42も右側にドアパネル2aと同じ速度で移動する。そして係合体42は支持棒37の係合子38と係合しており、このため支持棒37がドアパネル2aの戸当り側縁部と隣接したままそのドアパネル2aと一体的に右側に移動し、この支持棒37の移動で遮断幕33が巻き軸32から繰り出され、その遮断幕33でドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間の開放空間部が遮断される。なお、支持棒37は、その下端部が敷居12のガイド溝内に摺動自在に嵌合されているからその敷居12に沿って円滑に移動する。
【0038】
このように、ドアパネル2a,2bを手動で開いてドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間に開放空間部を生じさせたときには、そのドアパネル2a,2bの動作に応じて巻き軸32から遮断幕33が伸び出るように繰り出され、この遮断幕33で前記開放空間部が遮断される。
【0039】
したがって、作業員がドアパネル2a,2bを手動で開いてエレベータホール側から前記開放空間部を通して昇降路内を目視し、そのエレベータホールの階にかごが停止しているか否かを確認する際に、その開放空間部が遮断幕33で遮断されているから、誤って作業員が開放空間部から昇降路内に転落するような恐れがなく、また遮断幕33が張られていることで、視覚的に注意が喚起され、より慎重な行動をとるようになる。このため、昇降路内を確認する際の安全性をより確実に高めることができる。
【0040】
操作部材Aによる操作で、係合体42と係合子38とが係合したときには、その係合が検出センサ45により検出される。そしてこの検出の信号に基づいて、エレベータホールの表示灯5及び昇降路内の警報灯7が点灯し、さらに昇降路内の報知チャイム8が鳴動する。表示灯5、警報灯7、報知チャイム8は、各階のエレベータホールに対して設けられており、したがって保守点検のために乗場ドア2が手動で開かれたときには、その状況が各階に報知される。
【0041】
昇降路内のかごの停止を確認した後には、操作部材Aを下方に引き下げて抜き取る。この操作部材Aの抜き取りにより、リンク部材46が時計方向に回動し、このリンク部材46の回動に応じて係合体42が時計方向に回動し、この回動で係合体42が係合子38から離間して係合体42の係合穴43と係合子38との係合が解除される。
【0042】
係合体42と係合子38との係合の解除により、遮断幕33が弾性体36による付勢力で巻き軸32に巻き取られて縮小し、ドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間の空間部から遮断幕33が排除され、その空間部が開放される。したがって、作業員はその空間部から昇降路内に入り、かごの上に乗り込んで保守点検の作業を開始する。この際、ドアパネル2a,2bは、楔形止め具などを用いてその開放状態を保持しておく。
【0043】
保守点検の作業が終了した後には、前記止め具を取り外し、ドアパネル2a,2bを手動で閉じる。ドアパネル2a,2bが閉じてその戸当り側縁部が互いに当接する際には、ロック装置25によりドアパネル2a,2bがロックされ、また係合子38が係合体42の係合穴43に対向し、当初の状態に戻る。そしてこの状態で、エレベータの通常運行が行なわれる。
【0044】
次に、この発明の第2の実施形態について図6を参照して説明する。
【0045】
前記第1の実施形態では、安全確保装置の遮断体としてシート状の遮断幕が用いられているが、この第2の実施形態では、遮断体として伸縮式の折り畳み柵55が用いられている。折り畳み柵55は、図6(B)に示すように、一対の柵材56をX状にピン57を介して回動自在に結合し、そのX状に結合した柵材56を横に複数順次並べるとともに、その各柵材56の端部相互をピン58で結合することにより、左右に伸縮自在な折り畳み可能な構造に構成されている。そして、この折り畳み柵55の一端側の各柵材56の端部がドアパネル2bにピン59を介して回動自在に結合され、他端側の各柵材56の端部が支持棒37にピン60を介して回動自在に結合されている。ピン59はドアパネル2bに上下摺動可能に取り付けられ、ピン60は支持棒37に上下摺動可能に取り付けられている。支持棒37はドアパネル2aの戸当り側縁部に隣接して配置され、前記第1の実施形態の場合と同様の機構構造で動作するようになっている。
【0046】
ドアパネル2a,2bの閉合時には、折り畳み柵55は図6(A)に示すように縮小された折り畳み状態に保持されている。この状態のもとで、保守点検時に前記第1の実施形態の場合と同様に作業員がドアパネル2a,2bを手動で開き、ドアパネル2a,2bが左右側に移動すると、この動作に連動して図6(B)に示すように、支持棒37がドアパネル2aと隣接したままそのドアパネル2aと一体的に右側に移動する。そしてこの支持棒37の移動により、縮小状態の折り畳み柵55が引き伸ばされてドアパネル2a,2bの戸当り側縁部間の開放空間部に張り出し、この折り畳み柵55により前記開放空間部が遮断される。
【0047】
したがって、作業員が戸当り側縁部間の開放空間部を通して昇降路内を目視してかごの有無を確認する際に、誤って作業員が前記空間部から昇降路内に転落するような恐れがなく、また折り畳み柵55が張られていることで、注意が喚起され、このため昇降路内を確認する際の安全性をより確実に高めることができる。
【0048】
昇降路内のかごの停止を確認した後に、前記第1の実施形態の場合と同様に、操作部材Aを下方に引き下げて抜き取ると、支持棒37の係合子38とワイヤ19に取り付けられている係合体42(図4参照)との係合が解除され、この係合の解除で折り畳み柵55の伸縮移動が可能となる。したがって、この状態で作業員が手動で伸長状態の折り畳み柵55を支持棒37と一体的に縮小方向に引き戻し、戸当り縁部間の開放空間部を開放することができる。そしてその開放した空間部から昇降路内に入り、かごの上に乗り込んで保守点検の作業を開始する。
【0049】
なお、折り畳み柵55には、この折り畳み柵55を常時縮小方向に弾性的に付勢するスプリングなどの弾性体を設けることも可能である。この場合には、折り畳み柵55が伸長して前記開放空間部が遮断された後の、支持棒37の係合子38とワイヤ19の係合体42との係合が解除されときに、その伸長状態の折り畳み柵55が前記弾性体による付勢力で自動的に縮小方向に移動して前記空間部が開放される。したがって、手動で折り畳み柵55を開く手間を省くことができる。
【0050】
以上の第1及び第2の実施形態は、複数のドアパネルが互いに左右の逆方向に移動することで乗場口を開閉する両開き式の乗場ドアの場合であるが、この発明の実施形態は複数のドアパネルが同じ方向に異なる速度で移動することで乗場口を開閉する片開き式の乗場ドアに対しても適用することができる。
【0051】
図7〜図9には、第3の実施形態としての片開き式の乗場ドア2を示してある。図8にはその要部の構造を拡大して示してある。乗場ドア2は例えば一対のドアパネル2a,2bを有し、これらドアパネル2a,2bがドア枠9の内側に前後に位置をずらして配置されている。ドア枠9のヘッダケース11にはドアパネル2a,2bに対応するガイドレール14a,14bが前後に位置をずらして設けられ、これらガイドレール14a,14bにガイドローラ15a,15bを介してドアパネル2a,2bが左右に移動自在に懸架されている。
【0052】
乗場口1の閉鎖時には、ドアパネル2a,2bが前後に位置をずらして左右に並び、この状態からかごの着床停止時に、そのかごのかごドアに駆動されてドアパネル2aが左方向(戸袋方向)に戸開移動し、さらにこのドアパネル2aに連動して他方のドアパネル2bも左方向(戸袋方向)に戸開移動する。一方のドアパネル2aは他方のドアパネル2bのほぼ2倍の速度で移動し、したがって両ドアパネル2a,2bは最終的に前後に重なってドア枠9の戸袋部に収納され、乗場口1が開放される。また、戸閉時には、一方のドアパネル2aが他方のドアパネル2bのほぼ2倍の速度で右方向(戸当り方向)に戸閉移動して乗場口1が閉鎖される。
【0053】
ドアパネル2aとドア枠9との間には、ドアパネル2a,2bの閉合状態をロックするためのロック装置25が設けられている。このロック装置25はドアパネル2aのハンガー13に回動可能に取り付けられたロックレバー26と、ドア枠9のヘッダケース11に取り付けられたロック体27とを備え、ロックレバー26はピン28を介して回動可能にドアパネル2aのハンガー13に取り付けられ、その回動でロック体27に係脱可能に係合し、その係合でドアパネル2a,2bの戸閉状態がロックされる。そして、かごが着床停止してかごドアがドアパネル2aに係合するときに、その動作に連動してロックレバー26が回動し、ロック体27との係合が外れるようになっている。また、このロックレバー26は、保守点検時にドアパネル2aと三方枠3の幕板3bとの間に操作部材Aを差し込むことにより、手動で回動させてロック体27との係合を外すことが可能となっている。
【0054】
この実施形態においても、前記第1の実施形態の場合とほぼ同様の安全確保用の遮断装置30が設けられている。すなわちこの遮断装置30は、乗場ドア2の最も戸当り側に配置するドアパネル2aの背面に軸受31を介して回転可能に設けられた巻き軸32を有し、この巻き軸32に遮断体としてシート状の遮断幕33が巻き付けられている。遮断幕33は、不燃性材料あるいは難燃性材料からなる。またこの遮断幕33は透明な材料であることが好ましい。巻き軸32は、ドアパネル2aの上部から下部に渡る上下区間の部分に垂直に設けられ、この巻き軸32のほぼ全長区間の部分に遮断幕33が巻き付けられている。
【0055】
巻き軸32は、スプリングなどの弾性体36により遮断幕33を巻き取る回転方向に弾性的に付勢されている。遮断幕33の巻き取り終端側の縁部には支持棒37が垂直に取り付けられている。支持棒37は、ドアパネル2aの戸当り側縁部に隣接してその縁部に沿って延びるように配置されている。
【0056】
支持棒37の上端側は遮断幕33の上方に延び、その上端部には図7及び図8に示すように、その側方に突出する係合子38を有している。支持棒37の下端側は遮断幕33の下方に延び、その下端部が敷居12に形成されたガイド溝内に摺動自在に嵌合されている。
【0057】
一方、ドア枠9のヘッダケース11には、係合子38に対応して係合体42が取り付けられている。係合体42には、係合子38に対応する形状の係合穴43が形成されている。ドアパネル2a,2bの閉合時には係合子38は係合体42の係合穴43に離間して対向する非係合状態にある。
【0058】
係合体42は、ヘッダケース11の取り付けられたピン11aを介して支持され、そのピン11aを中心に係合子38に対して接離する回動方向に回動することが可能となっている。ピン11aにはスプリングなどの弾性体44が設けられ、この弾性体44により係合体42が係合子38から離間する方向に弾性的に付勢されている。係合体42の回動範囲はストッパ(図示せず)により一定範囲に規制されている。
【0059】
ドア枠9のヘッダケース11には、リンク部材46が設けられている。このリンク部材46は、一端部が係合体42に当接する押圧部46a、他端部が係合体42の下方に延びる操作部46bとなっていて、中間部がピン47を介して回動可能に支持されている。リンク部材46はスプリングなどの弾性体48により図8における時計方向に弾性的に付勢されている。リンク部材46の回動範囲はストッパ(図示せず)により一定範囲に規制されている。
【0060】
保守点検時にドアパネル2aと三方枠3の幕板3bとの間の隙間にロック装置解除用の操作部材Aが差し込まれたときには、その操作部材Aが押圧部46aに当接し、この当接でリンク部材46の全体がピン47を中心に図8における反時計方向に回動し、この回動で押圧部46aにより係合体42が弾性体44に抗して押圧される。操作部材Aの差し込みに応じるリンク部材46の動作は、その操作部材Aによるロック装置25の解除動作の前に達成されるようになっている。
【0061】
次に作用について説明する。
【0062】
通常時には、図9(A)に示すように、遮断幕33が巻き軸32に巻き取られ、支持棒37の係合子38が係合体42と非係合状態に保持され、この状態でドアパネル2a,2bの開閉動作が繰り返される。
【0063】
保守点検時には、ドアパネル2a,2bの閉合状態のもとで、作業員がドアパネル2aと三方枠3の幕板3bとの間の隙間内にロック装置解除用の操作部材Aを差し込んで上方に押し込む。この押し込みに応じてリンク部材46がピン47を中心に反時計方向に回動し、この回動で係合体42がリンク部材46の押圧部46aで押圧されてピン11aを中心に時計方向に回動し、この回動で係合体42の係合穴43が係合子38に嵌合し、係合体42と係合子38とが係合する。この後、さらに操作部材Aが上方に押し込まれることにより、ロック装置25が解除される。
【0064】
この状態のもとで、図9(B)に示すように、作業員は閉合状態のドアパネル2a,2bを手動で開く。すなわち、ドアパネル2aを左側に移動させる。これによりドアパネル2aの戸当り側に空間が生じる。
【0065】
ドアパネル2aが左側に移動するときには、このドアパネル2aと一体的に巻き軸32が左側に移動する。これに対し、支持棒37は係合子38と係合体42との係合により移動が阻止され、ドア枠9の戸当り側縁部の近傍位置つまりドア枠9における側枠10aと隣接する位置にとどまる。このため、ドアパネル2aの左側への移動に伴い、巻く軸32から弾性体36に抗して遮断幕33が繰り出され、その遮断幕33でドアパネル2aの戸当り側に生じた開放空間部が遮断される。
【0066】
このように、ドアパネル2aを手動で開いてドアパネル2aの戸当り側に開放空間部が生じときには、そのドアパネル2aの動作に応じて巻き軸32から遮断幕33が伸び出るように繰り出され、この遮断幕33で前記開放空間部が遮断される。
【0067】
したがって、作業員がドアパネル2aを手動で開いてエレベータホール側から前記開放空間部を通して昇降路内を目視し、そのエレベータホールの階にかごが停止しているか否かを確認する際に、その開放空間部に遮断幕33が張られているから、誤って作業員が開放空間部から昇降路内に転落するような恐れがなく、また遮断幕33が張られていることで、転落に対する注意が視覚的に喚起され、より慎重な行動をとるようになる。このため、昇降路内を確認する際の安全性をより確実に高めることができる。
【0068】
昇降路内のかごの停止を確認した後には、操作部材Aを下方に引き下げて抜き取る。この操作部材Aの抜き取りにより、リンク部材46が弾性体48の付勢力で時計方向に回動し、このリンク部材46の回動に応じて係合体42が反時計方向に回動し、この回動で係合体42が係合子38から離間して係合体42の係合穴43と係合子38との係合が解除される。
【0069】
係合体42と係合子38との係合の解除により、遮断幕33が弾性体36による付勢力で巻き軸32に巻き取られて縮小し、ドアパネル2aの戸当り側の開放空間部から遮断幕33が排除され、その空間部が開放される。したがって、作業員はその空間部から昇降路内に入り、かごの上に乗り込んで保守点検の作業を開始する。この際、ドアパネル2a,2bは、楔形止め具などを用いてその開放状態を保持しておく。
【0070】
保守点検の作業が終了した後には、前記止め具を取り外し、ドアパネル2a,2bを手動で閉じる。ドアパネル2aが閉合する際には、ロック装置25によりドアパネル2aがロックされ、また係合子38が係合体42の係合穴43に対向し、当初の状態に戻る。そしてこの状態で、エレベータの通常運行が行なわれる。
【0071】
この実施形態においても、操作部材Aによる操作で、係合体42と係合子38とが係合したときには、その係合が検出センサ45により検出される。そしてこの検出の信号に基づいて、エレベータホールの表示灯5及び昇降路内の警報灯7が点灯し、さらに昇降路内の報知チャイム8が鳴動する。表示灯5、警報灯7、報知チャイム8は、各階のエレベータホールに対して設けられており、したがって保守点検のために乗場ドア2が手動で開かれたときには、その状況が各階に報知される。
【0072】
図10には第4の実施形態を示してあり、この実施形態においては、安全確保装置として、片開き式の乗場ドア2に前記第2の実施形態の場合とほぼ同様の伸縮式の折り畳み柵55が設けられている。
【0073】
すなわち、折り畳み柵55は、一対の柵材56をX状にピン57を介して回動自在に結合し、そのX状に結合した柵材56を横に複数順次並べるとともに、その各柵材56の端部相互をピン58で結合することにより、左右に伸縮自在な折り畳み可能な構造に構成されている。そして、この折り畳み柵55の一端側の各柵材56の端部がドアパネル2aにピン59を介して回動自在に結合され、他端側の各柵材56の端部が支持棒37にピン60を介して回動自在に結合されている。ピン59はドアパネル2aに上下摺動可能に取り付けられ、ピン60は支持棒37に上下摺動可能に取り付けられている。支持棒37はドアパネル2aの戸当り側縁部に隣接して配置され、前記第3の実施形態の場合と同様の機構構造で動作するようになっている。
【0074】
ドアパネル2aの閉合時には、折り畳み柵55は図10(A)に示すように縮小された折り畳み状態に保持されている。この状態のもとで、保守点検時に前記第3の実施形態の場合と同様に作業員がドアパネル2aを手動で開き、ドアパネル2aが左側に移動するとき、支持棒37は停止状態を保ち、このためドアパネル2aの左側への移動に応じて縮小状態の折り畳み柵55が引き伸ばされてドアパネル2aの戸当り側の開放空間部に張り出し、この折り畳み柵55により前記開放空間部が遮断される。
【0075】
したがって、作業員が戸当り側の空間部を通して昇降路内を目視してかごの有無を確認する際に、誤って作業員が前記空間部から昇降路内に転落するような恐れがなく、また折り畳み柵55が張られていることで、注意が視覚的に喚起され、より慎重な行動をとるようになる。このため、昇降路内を確認する際の安全性をより確実に高めることができる。
【0076】
昇降路内のかごの停止を確認した後に、前記第3の実施形態の場合と同様に、操作部材Aを下方に引き下げて抜き取ると、支持棒37の係合子38と係合体42との係合が解除され、この係合の解除で折り畳み柵55の伸縮移動が可能となる。したがって、この状態で作業員が手動で伸長状態の折り畳み柵55を支持棒37と一体的に左側方向(縮小方向)に引き戻し、戸当り側の空間部を開放することができる。そしてその開放した空間部から昇降路内に入り、かごの上に乗り込んで保守点検の作業を開始する。
【0077】
なお、折り畳み柵55には、この折り畳み柵55を常時縮小方向に弾性的に付勢するスプリングなどの弾性体を設けることも可能である。この場合には、折り畳み柵55が伸長して前記開放空間部が遮断された後の、支持棒37の係合子38と係合体42との係合が解除されときに、その伸長状態の折り畳み柵55が前記弾性体による付勢力で自動的に縮小方向に移動して前記開放空間部が開放される。したがって、手動で折り畳み柵55を開く手間を省くことができる。
【0078】
なお、以上説明したこの発明の幾つかの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この発明の新規な実施形態は、その他の様々な形態とすることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。その実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…乗場口
2…乗場ドア
2a.2b…ドアパネル
5…表示灯
7…報知チャイム
8…報知チャイム
9…ドア枠
13…ハンガー
14…ガイドレール
14a.14b…ガイドレール
15a.15b…ガイドローラ
18…プーリ
19…ワイヤ
25…ロック装置
26…ロックレバー
27…ロック体
30…遮断装置
31…軸受
32…巻き軸
33…遮断幕
37…支持棒
38…係合子
42…係合体
43…係合穴
46…リンク部材
55…折り畳み柵
56…柵材
A…操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータホールの乗場口に設けられてその乗場口を開閉する乗場ドアと、
前記乗場ドアをロックしてその開放を阻止し、エレベータの保守点検時に前記乗場ドアを手動で開くときに、前記エレベータホール側から作業員が操作部材を用いる手動操作でそのロックを解除することが可能なロック装置と、
前記乗場ドアを手動で開いたときに、その開きに応じて前記乗場ドアの戸当り側に生じる開放空間部を遮断する遮断装置と、を具備し、
前記遮断装置は、前記乗場ドアに取り付けられた伸縮可能な遮断体と、
前記遮断体と係合可能な係合体を有し、その遮断体と係合体との係合で前記乗場ドアの開きの移動に応じて前記遮断体を前記開放空間部に伸長させることが可能な連動機構と、を備え、
通常時には前記遮断体と前記係合体とは非係合状態にあり、保守点検時に前記操作部材で前記ロック装置を解除操作する動作で前記遮断体と前記係合体とが係合することを特徴とするエレベータの安全確保装置。
【請求項2】
前記遮断装置の遮断体は、巻き軸に巻かれたシート状の遮断幕からなり、この遮断幕が保守点検時に作業員が前記乗場ドアを手動で開くときの動作で前記巻き軸から繰り出されて前記空間部を遮断することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの安全確保装置。
【請求項3】
前記遮断装置の遮断体は、伸縮可能な折り畳み柵からなり、この折り畳み柵が保守点検時に作業員が前記乗場ドアを手動で開くときの動作で前記乗場ドアから繰り出されて前記空間部を遮断することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの安全確保装置。
【請求項4】
前記乗場ドアは、水平方向に無端走行するワイヤの上部走行側の一部と下部走行側の一部とに分けて連結された一対のドアパネルを備え、これらドアパネルが前記ワイヤの無端走行に応じて左右に移動して前記乗場口を開閉する両開き式構造で、前記遮断装置の遮断体は、前記一方のドアパネルに取り付けられ、前記係合体は、前記ワイヤの前記他方のドアパネルが連結された走行側の一部に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエレベータの安全確保装置。
【請求項5】
前記乗場ドアは、前後に位置をずらして配置された複数のドアパネルを備え、その複数のドアパネルが同じ方向に異なる速度で移動することで前記乗場口を開閉する片開き式構造で、前記遮断装置の遮断体は、前記ドアパネルのうちの最も戸当り側に配置するドアパネルに取り付けられ、前記係合体は、前記最も戸当り側に配置するドアパネルの戸当り側縁部の近傍の固定部位に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエレベータの安全確保装置。
【請求項6】
前記遮断体と係合体との係合は、前記操作部材で前記ロック装置が解除操作される前のタイミングで達成されることを特徴とする請求項1乃至5に記載のエレベータの安全確保装置。
【請求項7】
表示灯、警報灯、警報チャイムのうちの少なくとも一つを有する警報手段を備え、前記遮断装置の遮断体と係合体とが前記操作部材により係合操作されたときに、前記警報手段が動作することを特徴とする請求項1乃至6に記載のエレベータの安全確保装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−49569(P2013−49569A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189581(P2011−189581)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】