説明

エレベータの操作盤乱用防止装置

【課題】身障者用操作盤に対する健常者の操作の防止を図ることができ、かつ身障者用操作盤に対する身障者の操作の負担を軽減することができるエレベータの操作盤乱用防止装置を得る。
【解決手段】エレベータの操作盤乱用防止装置16は、身障者用操作盤8に設けられている。また、操作盤乱用防止装置16は、身障者用操作盤8の周囲に設定された所定の検出領域内への被検出物の進入を検出する物体検出センサ17と、身障者用操作盤8に設けられたアナウンス装置18とを有している。アナウンス装置18は、検出領域内への被検出物の進入が検出装置により検出されることにより、健常者が身障者用操作盤を操作することを阻止するための所定のアナウンスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般者用操作盤及び身障者用操作盤を有するエレベータに設けられ、健常者が身障者用操作盤に対して操作することを防止するためのエレベータの操作盤乱用防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、健常者だけでなく身障者(例えば車椅子の利用者等)によっても利用される共用のエレベータが例えば公共の施設(市役所等)に設置されることがある。共用のエレベータでは、健常者が操作するための一般用操作盤の他に、身障者が操作するための専用操作盤がかご内に設けられている。専用操作盤の操作によって行われる車椅子専用運転は、戸開状態の時間を延長する等、一般のサービス運転よりも運転効率が低くなるような運転とされる。従って、健常者のみがかごに乗車しているときに専用操作盤が操作されると、一般のサービス運転が可能であるにもかかわらずエレベータの運転が車椅子専用運転となってしまい、エレベータの運転効率が低くなってしまう。
【0003】
従来、健常者による専用操作盤の操作を防止するために、専用操作盤の同じ行先階ボタンが所定時間内に2度押された場合にのみ、車椅子専用運転を行うエレベータの呼び登録装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−226465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、所定時間内に行先階ボタンを2度押さなければならないので、身障者にとっては専用操作盤の操作が負担になることがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、身障者用操作盤に対する健常者の操作の防止を図ることができ、かつ身障者用操作盤に対する身障者の操作の負担を軽減することができるエレベータの操作盤乱用防止装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベータの操作盤乱用防止装置は、一般者用操作盤及び身障者用操作盤のうち、一般者用操作盤に対する操作によって行われる運転の効率よりも身障者用操作盤に対する操作によって行われる運転の効率が低くなるエレベータに設けられ、身障者用操作盤に対する健常者の操作を防止するためのエレベータの操作盤乱用防止装置であって、身障者用操作盤の周囲に設定された所定の検出領域内への被検出物の進入を検出する検出装置、及び身障者用操作盤に設けられ、検出領域内への被検出物の進入が検出装置により検出されることにより、健常者が身障者用操作盤を操作することを阻止するための所定のアナウンスを行うアナウンス装置を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエレベータの操作盤乱用防止装置では、身障者用操作盤の周囲に設定された所定の検出領域内への被検出物の進入が検出装置により検出され、検出装置による被検出物の検出により、健常者が身障者用操作盤を操作することを阻止するための所定のアナウンスがアナウンス装置により行われるので、身障者用操作盤に対する操作を所定のアナウンスによって健常者に思い留まらせることができ、操作すべきでない健常者が身障者用操作盤を操作するという身障者用操作盤の操作の乱用の防止を図ることができる。これにより、運転効率の低い身障者専用運転が無駄に行われることの防止を図ることができ、エレベータの運転効率の向上を図ることができる。また、従来のように2度押しすることもないので、身障者用操作盤に対する身障者の操作の負担も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータの乗場を示す正面図である。
【図2】図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】図2の身障者用かご操作盤を示す正面図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図3の身障者用かご操作盤を示す斜視図である。
【図6】図2の身障者用乗場操作盤を示す正面図である。
【図7】図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図6の身障者用乗場操作盤を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態2によるエレベータの身障者用かご操作盤を示す正面図である。
【図10】この発明の実施の形態2によるエレベータの身障者用乗場操作盤を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータの乗場を示す正面図である。また、図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図において、エレベータは、複数のエレベータ号機1を有している。建物の各階床の乗場(エレベータホール)には、各エレベータ号機1にそれぞれ対応する複数の乗場出入口2が互いに間隔を置いて設けられている。各乗場出入口2は、一対の乗場ドア3により開閉可能になっている。
【0011】
各エレベータ号機1は、昇降路内を昇降するかご4を有している。かご4には、図2に示すように、かご出入口5が設けられている。かご出入口5は、一対のかごドア6により開閉可能になっている。かご4が乗場に停止している状態では、乗場ドア3及びかごドア6が互いに係合しながら水平方向へ移動されることにより、乗場出入口2及びかご出入口5が開閉される。
【0012】
各エレベータ号機1のいずれかは、健常者(一般者)及び身障者(例えば車椅子の利用者等)のいずれによっても利用される共用のエレベータ号機1aとされている。また、共用のエレベータ号機1a以外のエレベータ号機1は、健常者によって主に利用される一般用のエレベータ号機1bとされている。
【0013】
共用のエレベータ号機1aのかご4内には、図2に示すように、一般者用かご操作盤(一般者用操作盤)7及び身障者用かご操作盤(身障者用操作盤)8が設けられている。一般者用かご操作盤7はかご出入口5に隣接して配置され、身障者用かご操作盤8はかご出入口5から離れたかご4の内側面に配置されている。一般用のエレベータ号機1bのかご4内には、一般者用かご操作盤7が設けられているが、身障者用かご操作盤8は設けられていない。
【0014】
一般者用かご操作盤7及び身障者用かご操作盤8は、かご4の行先階を指定して呼び登録を行うための操作ボタンである複数の行先階ボタン(呼び登録ボタン)9をそれぞれ有している。行先階ボタン9が操作されると、行先階ボタン9の操作により指定された行先階へかご4を移動させる呼び登録が行われる。
【0015】
乗場には、一般者用乗場操作盤(一般者用操作盤)10及び身障者用乗場操作盤(身障者用操作盤)11が設けられている。身障者用乗場操作盤11は、共用のエレベータ号機1aに対応する乗場出入口2に隣接する位置に配置されている。
【0016】
一般者用乗場操作盤10及び身障者用乗場操作盤11は、かご4を呼び寄せる呼び登録を行うための操作ボタンである一対の乗場ボタン(呼び登録ボタン)13をそれぞれ有している。一方の乗場ボタン13は上方向ボタンとされ、他方の乗場ボタン13は下方向ボタンとされている。乗場ボタン13が操作されると、乗場ボタン13の操作により指定された方向へ移動するかご4を呼び寄せる呼び登録が行われる。
【0017】
身障者用かご操作盤8の行先階ボタン9の操作、及び身障者用乗場操作盤11の乗場ボタン13の操作によって行われるエレベータの運転は、身障者が共用のエレベータ号機1aを利用していることを想定した身障者専用運転とされている。身障者専用運転では、例えば乗場出入口2及びかご出入口5の戸開状態の時間を通常よりも延長する動作等が行われる。従って、身障者専用運転は、一般者用かご操作盤7の行先階ボタン9の操作、及び一般者用乗場操作盤10の乗場ボタン13の操作によって行われるエレベータの運転(通常サービス運転)よりも、運転効率の低い運転となる。
【0018】
図3は、図2の身障者用かご操作盤8を示す正面図である。また、図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。さらに、図5は、図3の身障者用かご操作盤8を示す斜視図である。図において、身障者用かご操作盤8は、各行先階ボタン9に加えて、かご4の内壁に固定されたかご操作盤ボックス14と、かご操作盤ボックス14に設けられ、かご4内に露出するかご操作盤パネル15とをさらに有している。各行先階ボタン9は、かご操作盤パネル15に並べて取り付けられている。この例では、図3及び図5に示すように、1階から10階までの各階を個別に指定する10個の行先階ボタン9がかご操作盤パネル15に取り付けられている。
【0019】
身障者用かご操作盤8には、健常者による身障者用かご操作盤8の操作の乱用を防止するためのかご操作盤乱用防止装置(操作盤乱用防止装置)16が設けられている。かご操作盤乱用防止装置16は、かご操作盤パネル15に設けられた物体検出センサ(検出装置)17と、物体検出センサ17からの情報に基づいて動作されるアナウンス装置18と、物体検出センサ17及びアナウンス装置18のそれぞれへの給電を行う電源装置19とを有している。
【0020】
物体検出センサ17は、身障者用かご操作盤8の周囲にあらかじめ設定された所定の検出領域20内への被検出物(例えば利用者の手等)21の進入の有無を検出する。物体検出センサ17の検出領域20は、図2及び図5に示すように、かご4内からみて各行先階ボタン9よりも手前の空間に設定されている。この例では、検出領域20は、かご操作盤パネル15から所定の距離だけ離れた位置にかご操作盤パネル15と平行に設定された領域とされている。物体検出センサ17は、検出領域20を介して互いに対向する投光器22及び受光器23を有する光電センサとされている。投光器22及び受光器23は、かご操作盤パネル15にそれぞれ取り付けられている。
【0021】
投光器22は、図5に示すように、かご操作盤パネル15に沿って水平方向へ検出領域20内を通るように光を照射する複数の照射部22aを有している。各照射部22aは、検出領域20の高さの範囲に亘って上下方向に並べて配置されている。
【0022】
受光器23は、各照射部22aからの光を個別に受ける複数の受光部23aを有している。各受光部23aは、各照射部22aの位置に合わせて上下方向に並べて配置されている。各受光部23aによる受光は、図5に示すように、検出領域20に進入した被検出物21によって照射部22aからの光が遮られることにより停止される。かご操作盤パネル15から各照射部22aまでの距離は、例えば5cm程度の距離とされている。
【0023】
物体検出センサ17は、各受光部23aによる受光の有無の情報に基づいて、検出領域20への被検出物21の進入の有無を検出する。即ち、物体検出センサ17は、各受光部23aによる受光の少なくともいずれかが停止されたときに検出領域20への被検出物21の進入を検出し、各受光部23aのすべてが照射部22aからの光を受けているときに検出領域20への被検出物21の進入の検出を停止する。
【0024】
アナウンス装置18は、物体検出センサ17が検出領域20への被検出物21の進入を検出することにより、健常者が身障者用かご操作盤8を操作することを阻止するための所定のアナウンスを行う。また、アナウンス装置18は、図3及び図4に示すように、かご操作盤ボックス14内に収容されたアナウンス基板24と、かご操作盤パネル15に設けられ、アナウンス基板24の制御により音声を発生するスピーカ25とを有している。
【0025】
アナウンス基板24は、投光器22、受光器23、スピーカ25及び電源装置19のそれぞれに電気配線によって電気的に接続されている。また、アナウンス基板24は、物体検出センサ17からの情報に基づいて、スピーカ25を制御する。即ち、アナウンス基板24は、検出領域20への被検出物21の進入を物体検出センサ17が検出するとスピーカ25から音声を発生させ、検出領域20への被検出物21の進入の検出を物体検出センサ17が停止するとスピーカ25からの音声の発生を停止する。
【0026】
アナウンス装置18は、スピーカ25から音声を発生させることにより所定のアナウンスを行う。所定のアナウンスの内容は、健常者が身障者用かご操作盤8の操作を控えるような内容とされている。アナウンスの内容としては、例えば、「車椅子専用ボタンです。一般の方のご利用はおやめ下さい。」のように健常者に対して明確に操作をやめてもらう内容としてもよいし、「車椅子専用ボタンです。車椅子の方はご利用下さい。ドアの開閉時間が長くなり安全に乗り降りができます。」のように健常者に対して操作を暗黙に控えてもらう内容としてもよい。
【0027】
図6は、図2の身障者用乗場操作盤11を示す正面図である。また、図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。さらに、図8は、図6の身障者用乗場操作盤11を示す斜視図である。図において、図において、身障者用乗場操作盤11は、各乗場ボタン13に加えて、乗場の壁に固定された乗場操作盤ボックス26と、乗場操作盤ボックス26に設けられ、乗場に露出する乗場操作盤パネル27とをさらに有している。各乗場ボタン13は、乗場操作盤パネル27に上下に取り付けられている。
【0028】
身障者用乗場操作盤11には、健常者による身障者用乗場操作盤11の操作の乱用を防止するための乗場操作盤乱用防止装置(操作盤乱用防止装置)28が設けられている。乗場操作盤乱用防止装置28は、乗場操作盤パネル27に設けられた物体検出センサ(検出装置)29と、物体検出センサ29からの情報に基づいて動作されるアナウンス装置30と、物体検出センサ29及びアナウンス装置30のそれぞれへの給電を行う電源装置31とを有している。
【0029】
物体検出センサ29は、身障者用乗場操作盤11の周囲にあらかじめ設定された所定の検出領域32内への被検出物(例えば利用者の手等)21の進入の有無を検出する。物体検出センサ29の検出領域32は、図2及び図8に示すように、乗場からみて各乗場ボタン13よりも手前の空間に設定されている。物体検出センサ29は、検出領域32を介して互いに対向する投光器34及び受光器35を有している。投光器34及び受光器35は、乗場操作盤パネル27にそれぞれ取り付けられている。
【0030】
投光器34は、図8に示すように、乗場操作盤パネル27に沿って水平方向へ検出領域32内を通るように光を照射する複数の照射部34aを有している。各照射部34aは、検出領域32の高さの範囲に亘って上下方向に並べて配置されている。
【0031】
受光器35は、各照射部34aからの光を個別に受ける複数の受光部35aを有している。各受光部35aは、各照射部34aの位置に合わせて上下方向に並べて配置されている。各受光部35aによる受光は、図8に示すように、検出領域32に進入した被検出物21によって照射部34aからの光が遮られることにより停止される。乗場操作盤パネル27から各照射部34aまでの距離は、例えば5cm程度の距離とされている。
【0032】
物体検出センサ29は、各受光部35aによる受光の有無の情報に基づいて、検出領域32への被検出物21の進入の有無を検出する。即ち、物体検出センサ29は、各受光部35aによる受光の少なくともいずれかが停止されたときに検出領域32への被検出物21の進入を検出し、各受光部35aのすべてが照射部34aからの光を受けているときに検出領域32への被検出物21の進入の検出を停止する。
【0033】
アナウンス装置30は、物体検出センサ29が検出領域32への被検出物21の進入を検出することにより、健常者が身障者用乗場操作盤11を操作することを阻止するための所定のアナウンスを行う。また、アナウンス装置30は、乗場操作盤ボックス26内に収容されたアナウンス基板36と、乗場操作盤パネル27に設けられ、アナウンス基板36の制御により音声を発生するスピーカ37とを有している。
【0034】
アナウンス基板36は、投光器34、受光器35、スピーカ37及び電源装置31のそれぞれに電気配線によって電気的に接続されている。また、アナウンス基板36は、物体検出センサ29からの情報に基づいて、スピーカ37を制御する。即ち、アナウンス基板36は、検出領域32への被検出物21の進入を物体検出センサ29が検出するとスピーカ37から音声を発生させ、検出領域32への被検出物21の進入の検出を物体検出センサ29が停止するとスピーカ37からの音声の発生を停止する。
【0035】
アナウンス装置30は、スピーカ37から音声を発生させることにより所定のアナウンスを行う。所定のアナウンスの内容は、健常者が身障者用乗場操作盤11の操作を控えるような内容とされている。アナウンスの内容としては、身障者用かご操作盤8に設けられたアナウンス装置18によるアナウンスの内容と同様とされている。
【0036】
次に、動作について説明する。物体検出センサ17,29によって被検出物21が検出されていない状態では、アナウンス装置18,30によるアナウンスは停止されている。
【0037】
例えばかご4内の利用者が身障者用かご操作盤8の行先階ボタン9を操作しようとした場合、利用者の手が検出領域20に差し掛かると、物体検出センサ17が利用者の手を検出する。これにより、アナウンス装置18が所定のアナウンスを開始する。
【0038】
また、例えば乗場の利用者が身障者用乗場操作盤11の乗場ボタン13を操作しようとした場合、利用者の手が検出領域32に差し掛かると、物体検出センサ29が利用者の手を検出する。これにより、アナウンス装置30が所定のアナウンスを開始する。
【0039】
このようなエレベータの操作盤乱用防止装置16,28では、身障者用操作盤8,11の周囲に設定された所定の検出領域20,32内への被検出物21の進入が物体検出センサ17,29により検出され、物体検出センサ17,29による被検出物21の検出により、健常者が身障者用操作盤8,11を操作することを阻止するための所定のアナウンスがアナウンス装置18,30により行われるので、身障者用操作盤8,11に対する操作を所定のアナウンスによって健常者に思い留まらせることができ、操作すべきでない健常者が身障者用操作盤8,11を操作するという身障者用操作盤8,11の操作の乱用の防止を図ることができる。これにより、運転効率の低い身障者専用運転が無駄に行われることの防止を図ることができ、エレベータの運転効率の向上を図ることができる。また、従来のように2度押しすることもないので、身障者用操作盤8,11に対する身障者の操作の負担も軽減することができる。
【0040】
また、物体検出センサ17,29は、検出領域20,32を介して互いに対向する投光器22,34及び受光器23,35を有する光電センサとされているので、物体検出センサ17,29のコストの低減化を図ることができる。
【0041】
実施の形態2.
なお、実施の形態1では、物体検出センサ17,29が投光器22,34及び受光器23,35を有する光電センサとされているが、物体検出センサ17,29を赤外線センサ(人感センサ)としてもよい。
【0042】
即ち、図9は、この発明の実施の形態2によるエレベータの身障者用かご操作盤8を示す正面図である。図において、かご操作盤パネル15には、光電センサではなく、赤外線により被検出物21の熱を感知する赤外線センサ(人感センサ)が物体検出センサ(検出装置)17として設けられている。この例では、各行先階ボタン9が設けられた範囲の上方に物体検出センサ(赤外線センサ)17が配置されている。
【0043】
物体検出センサ17は、身障者用かご操作盤8の周囲にあらかじめ設定された検出領域内への被検出物21の進入の有無を検出する。物体検出センサ17の検出領域は、かご4内からみて各行先階ボタン9よりも手前の空間に設定されている。
【0044】
図10は、この発明の実施の形態2によるエレベータの身障者用乗場操作盤11を示す正面図である。図において、乗場操作盤パネル27には、光電センサではなく、赤外線により被検出物21の熱を感知する赤外線センサ(人感センサ)が物体検出センサ(検出装置)29として設けられている。この例では、各乗場ボタン13が設けられた範囲の上方に物体検出センサ(赤外線センサ)29が配置されている。
【0045】
物体検出センサ29は、身障者用乗場操作盤11の周囲にあらかじめ設定された検出領域内への被検出物21の進入の有無を検出する。物体検出センサ29の検出領域は、乗場からみて各乗場ボタン13よりも手前の空間に設定されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0046】
このように、物体検出センサ17,29に赤外線センサを適用しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、被検出物21を検出する物体検出センサ17,29の構成を簡単にすることができる。
【0047】
なお、各上記実施の形態では、物体検出センサ17が身障者用かご操作盤8に設けられているが、これに限定されず、かご4内の身障者用かご操作盤8から外れた位置に物体検出センサ17を設けてもよい。例えば、物体検出センサ17の投光器22をかご4の天井及び床のいずれか一方に設け、物体検出センサ17の受光器23をかご4の天井及び床のいずれか他方に設けて、投光器22と受光器23との間に検出領域20を設定してもよい。このようにしても、身障者用かご操作盤8の周囲に所定の検出領域20を設定することができる。
【0048】
また、各上記実施の形態では、物体検出センサ29が身障者用乗場操作盤11に設けられているが、これに限定されず、身障者用乗場操作盤11から外れた位置に物体検出センサ29を設けてもよい。例えば、物体検出センサ29の投光器34を乗場の天井及び床のいずれか一方に設け、物体検出センサ29の受光器35を乗場の天井及び床のいずれか他方に設けて、投光器34と受光器35との間に検出領域32を設定してもよい。このようにしても、身障者用乗場操作盤11の周囲に所定の検出領域32を設定することができる。
【0049】
また、各上記実施の形態では、物体検出センサ17,29が光電センサや赤外線センサとされているが、所定の検出領域への被検出物21の進入を検出可能な検出装置であればよく、例えばビデオカメラ等を物体検出センサ17,29としてもよい。
【0050】
また、各上記実施の形態では、アナウンス装置18,30がスピーカ25,37からの音声により所定のアナウンスを行うようになっているが、アナウンスの方法はこれに限定されない。例えば、身障者用操作盤8,11に表示器を設けて、表示器の表示により所定のアナウンスを行うようにしてもよい。また、身障者用操作盤8,11にスピーカ25,37及び表示器をいずれも設けて、表示器の表示により所定のアナウンスを行うとともに、スピーカ25,37からは例えば警告音等を発生させてもよい。さらに、操作の乱用防止の対象が身障者用操作盤8,11であることを認識しやすくするために身障者用操作盤8,11にランプを設け、ランプを点滅させながらスピーカ25,37からの音声により所定のアナウンスを行ってもよい。
【0051】
また、各上記実施の形態では、各階(1階〜10階)の乗場に設けられた身障者用乗場操作盤11のすべてに乗場操作盤乱用防止装置28が設けられているが、例えばエレベータの利用者の多い基準階(1階)の乗場に設けられた身障者用乗場操作盤11にのみ乗場操作盤乱用防止装置28を設けてもよい。
【0052】
また、各上記実施の形態では、かご操作盤乱用防止装置16が身障者用かご操作盤8に設けられ、乗場操作盤乱用防止装置28が身障者用乗場操作盤11に設けられているが、身障者用かご操作盤8及び身障者用乗場操作盤11のいずれかのみにかご操作盤乱用防止装置16又は乗場操作盤乱用防止装置28を設けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
4 かご、7 一般者用かご操作盤(一般者用操作盤)、8 身障者用かご操作盤(身障者用操作盤)、9 行先階ボタン、10 一般者用乗場操作盤(一般者用操作盤)、11 身障者用乗場操作盤(身障者用操作盤)、13 乗場ボタン、16 かご操作盤乱用防止装置(操作盤乱用防止装置)、17,29 物体検出センサ(検出装置)、18,30 アナウンス装置、20,32 検出領域、21 被検出物、28 乗場操作盤乱用防止装置(操作盤乱用防止装置)、22,34 投光器、23,35 受光器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般者用操作盤及び身障者用操作盤のうち、上記一般者用操作盤に対する操作によって行われる運転の効率よりも上記身障者用操作盤に対する操作によって行われる運転の効率が低くなるエレベータに設けられ、上記身障者用操作盤に対する健常者の操作を防止するためのエレベータの操作盤乱用防止装置であって、
上記身障者用操作盤の周囲に設定された所定の検出領域内への被検出物の進入を検出する検出装置、及び
上記身障者用操作盤に設けられ、上記検出領域内への上記被検出物の進入が上記検出装置により検出されることにより、上記健常者が上記身障者用操作盤を操作することを阻止するための所定のアナウンスを行うアナウンス装置
を備えていることを特徴とするエレベータの操作盤乱用防止装置。
【請求項2】
上記検出装置は、投光器と、上記検出領域を介して上記投光器に対向し、上記投光器からの光を受ける受光器とを有し、
上記検出領域への上記被検出物の進入は、上記受光器による受光が停止されることにより検出されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの操作盤乱用防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−193027(P2012−193027A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59121(P2011−59121)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】