説明

エレベータシステム

【課題】より好適に乗場ドアと乗場三方枠の縦枠との間に形成される間隙と乗場ドア同士の間に形成される間隙に異物が挟まれないようにするエレベータシステムを提供することである。
【解決手段】エレベータシステム10は、乗場三方枠8のうち乗場ドア14a,14bとの間で間隙9a,9bを形成する縦枠8a,8bの縁部82a,82b、および、片開き式の2つの乗場ドア14a,14bにおいて一方側の乗場ドア14aのうち他方側の乗場ドア14bとの間で間隙11を形成する縁部142aの少なくとも一方に設けられるタッチセンサ装置と、タッチセンサ装置の出力に基づいて乗場ドア14a,14bの停止制御または乗場ドア14a,14bの反転動作制御を行う制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステムに係り、特に、乗場ドアと乗場三方枠との間に形成される間隙と乗場ドア相互間に形成される間隙とを有するエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商業施設などの様々な場所において、エレベータシステムが設置されている。図4に示されるようにエレベータシステムにおいて、各乗場には乗場三方枠8が設置され、乗客はその乗場三方枠8によって区画された開口領域7から乗りかごに出入している。そして、その開口領域7を開閉可能な乗場ドア14a,14bと乗場三方枠8の縦枠8a,8bとの間にはそれぞれ間隙9a,9bが形成される。また、片開き式の2つの乗場ドア14aと乗場ドア14bとの間にも間隙11が形成される。
【0003】
間隙9a,9b及び間隙11に異物が挟まれることを防止するために、特許文献1には、エレベータの扉安全装置が開示されている。ここでは、出入口を電動開閉する引き戸を備えたエレベータにおいて、出入口を構成する縦枠と引き戸の間の戸袋部に、出入口の上下方向の検出域を有する光電装置が設けられている。また、この光電装置の動作に応じて、引き戸の開閉動作を制御させるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−310375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成によれば、光電装置の動作に応じて、引き戸の開閉動作を制御させているため、間隙9a,9b及び間隙11に異物が挟まれることを防止することができる。しかし、特許文献1の構成は、光電装置の動作によって異物が挟まれていることを検出しているため、光電装置を構成する投降部と受光部との間にゴミ等が落ちてしまった場合にも投降部から受光部に発せられる光が遮蔽される。これにより、引き戸の開閉動作が誤動作する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、より好適に乗場ドアと乗場三方枠の縦枠との間に形成される間隙と乗場ドア同士の間に形成される間隙に異物が挟まれないようにするエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータシステムは、乗場三方枠のうち乗場ドアとの間で間隙を形成する縦枠の縁部、および、片開き式の2つの乗場ドアにおいて一方側の乗場ドアのうち他方側の乗場ドアとの間で間隙を形成する縁部の少なくとも一方に設けられるタッチセンサ装置と、タッチセンサ装置の出力に基づいて乗場ドアの停止制御または乗場ドアの反転動作制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係るエレベータシステムにおいて、タッチセンサ装置は、それぞれ縁部の上から下にわたって設けられることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るエレベータシステムにおいて、タッチセンサ装置は、乗りかごが着床しているときにのみ作動することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のエレベータシステムによれば、乗場三方枠のうちの乗場ドアとの間で間隙を形成する縦枠の縁部、および、片開き式の2つの乗場ドアにおいて一方側の乗場ドアのうち他方側の乗場ドアとの間で間隙を形成する縁部の少なくとも一方に設けられるタッチセンサ装置が設けられている。これにより、乗客がこれらの間隙に異物が突っ込んでしまった場合であってもタッチセンサ装置に異物が触れることによる静電容量の変化を検出して、乗場ドアの停止制御あるいは乗場ドアの反転動作制御を行うことで異物が挟まれてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態であるエレベータシステムの乗場の様子を示す図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】タッチセンサ装置とエレベータ制御部との関係を示す図である。
【図4】従来のエレベータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。また、この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0013】
図1は、本発明の第一実施形態であるエレベータシステム10の乗場2の様子を示す図である。図2は、図1のA−A線断面図である。エレベータシステム10の乗場2には、縦枠8a,8bと横枠8cとから構成される乗場三方枠8と、乗場ボタン4と、乗場表示器6と、乗場ドア14a,14bとが設けられている。
【0014】
乗場ボタン4は、乗場三方枠8の縦枠8aの左側に位置する乗場壁5aに取り付けられ、乗りかごの呼び登録を行うための押しボタンである。乗場表示器6は、乗場三方枠8の横枠8cの上側に位置する乗場壁5cに取り付けられ、乗りかごの階床位置を表示するための表示器である。乗場ドア14a,14bは、乗場三方枠8の縦枠8a,8bと横枠8cとによって区画された開口領域7を開閉可能な片開き式の扉である。もちろん、乗場ドア14a,14bは両開き式扉であってもよく、この場合は、乗場ドア14a,14b同士の間には、片開き式扉のような間隙は形成されない。
【0015】
乗場三方枠8の縦枠8a,8bと横枠8cとは、乗客が乗りかごに対して乗り降りするための出入り口となる開口領域7を区画するために乗場2に設けられる部材である。縦枠8a,8bと横枠8cとは、適当な強度を有する部材、例えばステンレス部材で構成される。ここで、図2に示されるように乗場ドア14a,14bと乗場三方枠8の縦枠8a,8bとの間には、若干の幅の間隙9a,9bが形成されている。また、乗場ドア14a,14b同士の間には、若干の幅の間隙11が形成されている。
【0016】
タッチセンサ装置20の電極202(図3参照)は、乗場ドア14aの縁部142aにおいて、上側(図1参照)から下側(図1参照)にわたって取り付けられる。なお、上記では、タッチセンサ装置20の電極202は、乗場ドア14aの縁部142aの上側から下側にわたって取り付けられるものとして説明したが、少なくとも乗客が異物を間隙11に突っ込んでしまうような位置に取り付けられていればよい。
【0017】
図3は、タッチセンサ装置20とエレベータ制御部100との関係を示す図である。タッチセンサ装置20は、異物がタッチセンサ装置20に接触したか否かを検出する装置である。タッチセンサ装置20は、電極202と、電極202に異物が触れたときの静電容量を検出する検出回路204と、タッチセンサ206とを含んで構成される。
【0018】
タッチセンサ206は、この検出回路204を介して静電容量の変化を検出する。タッチセンサ206による静電容量の変化の検出方法は、検出回路204を構成するコンデンサ(図示せず)に一度充電させ、その後充電された電荷を放電させて放電時間を計測すること等によって行う。また、タッチセンサ206の出力は、エレベータ制御部100と接続されている。
【0019】
タッチセンサ装置30a,30bは、タッチセンサ装置20と同様の構成を有している。また、タッチセンサ装置30a,30bの電極は、それぞれ乗場三方枠8の縦枠8a,8bの縁部82a,82bにおいて、上側(図1参照)から下側(図1参照)にわたって取り付けられる。なお、上記では、タッチセンサ装置30a,30bの電極は、それぞれ乗場三方枠8の縦枠8a,8bの縁部82a,82bにおいて、上側から下側にわたって取り付けられるものとして説明したが、少なくとも乗客が異物を間隙9a,9bに突っ込んでしまうような位置に取り付けられていればよい。
【0020】
エレベータ制御部100は、乗りかごの昇降動作等といったエレベータシステム10全体を制御する機能を有する。また、エレベータ制御部100は、タッチセンサ装置20の出力に基づいて乗場ドア14a,14bの開閉動作を行ったり、開閉動作を停止したりする機能を有する。さらに、エレベータ制御部100は、乗りかごが各階の乗場2に着床しているときにのみタッチセンサ装置20,30a,30bが作動するように制御する。
【0021】
続いて、上記構成からなるエレベータシステム10の動作について、図1〜図3を参照して説明する。エレベータシステム10の乗場2において、乗客が間隙11に異物を突っ込んでしまった場合には、その異物が電極202に接触し、電極202の静電容量が変化する。そして、タッチセンサ206は、電極202の静電容量を検出する検出回路204を介して、電極202の静電容量の変化を検出する。
【0022】
タッチセンサ206は、電極202の静電容量が変化したときはエレベータ制御部100に対して静電容量が変化したことを検出した信号を出力する。エレベータ制御部100は、タッチセンサ206によって電極202の静電容量が変化したことを検出した信号が出力されたときに、間隙11に異物が突っ込まれたと判断し、乗場ドア14a,14bの開動作を停止あるいは反転動作の制御を行う。
【0023】
このように、エレベータシステム10によれば、タッチセンサ装置20により間隙11に異物が突っ込まれたことを検出し、乗場ドア14a,14bの開動作の停止あるいは反転動作の制御をすることができる。これにより、乗客が間隙11に異物を突っ込んでしまった場合であっても、異物が挟まれてしまうことを防止することができる。
【0024】
また、タッチセンサ装置20は、乗場ドア14a,14bの開閉動作が実際に行われる乗りかごが各階の乗場2に着床しているときにのみ作動させているため消費電力を抑制することができる。なお、タッチセンサ装置20は、乗りかごが各階の乗場2に着床しているときに作動させるだけでなく、常時作動させるものとしてもよい。
【0025】
上記では、タッチセンサ装置20により乗客が間隙11に異物を突っ込んでしまった場合の対応について説明したが、同様の手順によりタッチセンサ装置30a,30bによって乗客が間隙9a,9bに異物を突っ込んでしまった場合の対応を行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
2 乗場、4 乗場ボタン、5a,5c 乗場壁、6 乗場表示器、7 開口領域、8 乗場三方枠、8a,8b 縦枠、8c 横枠、9a,9b,11 間隙、10 エレベータシステム、14a,14b 乗場ドア、20,30a,30b タッチセンサ装置、82a,82b,142a 縁部、100 エレベータ制御部、202 電極、204 検出回路、206 タッチセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場三方枠のうち乗場ドアとの間で間隙を形成する縦枠の縁部、および、片開き式の2つの乗場ドアにおいて一方側の乗場ドアのうち他方側の乗場ドアとの間で間隙を形成する縁部の少なくとも一方に設けられるタッチセンサ装置と、
タッチセンサ装置の出力に基づいて乗場ドアの停止制御または乗場ドアの反転動作制御を行う制御部と、
を備えるエレベータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
タッチセンサ装置は、それぞれ縁部の上から下にわたって設けられることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベータシステムにおいて、
タッチセンサ装置は、乗りかごが着床しているときにのみ作動することを特徴とするエレベータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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