説明

エレベーターの制御装置

【課題】ドアスイッチの投入時に一般の利用者が間違えてかごに乗り込んでしまうことを確実に防止することができるエレベーターの制御装置を提供する。
【解決手段】エレベーターのかご4に設けられたブザー装置13及びドア駆動装置12と、エレベーターの保守員が操作するためのドアスイッチ14乃至16と、制御盤8とを備える。制御盤8は、ドアスイッチ14乃至16が投入されている時にかご4がドアゾーンに配置されると、所定の開放条件が成立することにより、ドア駆動装置12を制御し、エレベーターのドアを開放させる。また、制御盤8は、かご4がドアゾーンに配置されている時にドアスイッチ14乃至16の何れかが遮断状態から投入され、全てのドアスイッチ14乃至16が投入状態になると、ブザー装置13から警告音を出力させるとともに、エレベーターのドアを開放させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のエレベーターの制御装置の要部を示す構成図である。
図3において、11はエレベーターのかごがドアゾーンに配置されていることを検知するドアゾーン検知装置、14乃至16は、エレベーターの保守を行う保守員が操作するためのドアスイッチである。
【0003】
エレベーターのドアは、上記ドアスイッチ14乃至16の全てが投入されていなければ開閉しない。エレベーターの通常運転時、ドアスイッチ14乃至16は、全て投入されている。このため、エレベーターの制御盤8aは、かごがドアゾーンに配置されていることがドアゾーン検知装置11によって検知されていれば、所定の開放条件が成立することにより、ドア駆動装置12を制御して、エレベーターのドアを開放させる。
【0004】
エレベーターの保守員は、かご上で保守作業を行う場合、かご上に設置されたドアスイッチ15を遮断する。ドアスイッチ14乃至16の何れか一つでも遮断されると、制御盤8aは、ドアの開閉を行わない。その後、保守員は、保守作業が終了すると、かご上から降りる際にドアスイッチ15を投入する。遮断されていたドアスイッチ15が投入され、全てのドアスイッチ14乃至16が投入状態になると、制御盤8aは、その時にかごがドアゾーンに配置されていれば、ドア駆動装置12を制御して、エレベーターのドアを開放させる。
【0005】
なお、エレベーターのドアに関する従来技術として、エレベーターの利用者が乗場ドアに接近すると、警報を発して、利用者に知らせるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−341962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のエレベーターでは、ドアスイッチの投入時にかごがドアゾーンに配置されていると、かご位置に関わらずエレベーターのドアが開放されてしまう。このため、その乗場に一般の利用者がいると、通常のサービスが行われているものと勘違いし、利用者がかごに乗り込んでしまう恐れがある。なお、エレベーターの保守時には、かごの床面と乗場の床面との間に段差が形成されていることがある。かかる場合は、利用者がその段差に気付かないことも考えられる。
【0008】
なお、上記特許文献1に記載のものでは、このような問題を解決することはできない。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、ドアスイッチの投入時に一般の利用者が間違えてかごに乗り込んでしまうことを確実に防止することができるエレベーターの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るエレベーターの制御装置は、エレベーターのかごに設けられた報知装置と、かごに設けられたドア駆動装置と、エレベーターの保守員が操作するためのドアスイッチと、ドアスイッチが投入されている時にかごがドアゾーンに配置されると、所定の開放条件に基づいてドア駆動装置を制御し、エレベーターのドアを開放させる制御手段と、を備え、制御手段は、かごがドアゾーンに配置されている時にドアスイッチが遮断状態から投入されると、報知装置から所定の報知を行なわせ、エレベーターのドアを開放させるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るエレベーターの制御装置であれば、ドアスイッチの投入時に一般の利用者が間違えてかごに乗り込んでしまうことを確実に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1における制御装置を備えたエレベーターの全体構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるエレベーターの制御装置の要部を示す構成図である。
【図3】従来のエレベーターの制御装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における制御装置を備えたエレベーターの全体構成を示す図、図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターの制御装置の要部を示す構成図である。
【0015】
図1及び図2において、1はエレベーターの昇降路、2はエレベーターの機械室、3はビルの各階に備えられたエレベーターの乗場である。機械室2は、昇降路1の上方に設けられている。4はエレベーターのかご、5はつり合いおもりである。かご4及びつり合いおもり5は、主ロープ6により、昇降路1内で釣瓶式に懸架されている。
【0016】
7はエレベーターの駆動装置からなる巻上機である。巻上機7は、機械室2に設置されている。主ロープ6は、その一部が巻上機7(の駆動綱車)に巻き掛けられている。かご4は、巻上機7の駆動綱車の回転に連動して主ロープ6がその長手に移動することにより、主ロープ6の移動方向に応じた方向に、昇降路1内を昇降する。つり合いおもり5は、かご4とは逆方向に昇降路1内を昇降する。
【0017】
8はかご4の走行を含め、エレベーターの運行を制御する制御盤(制御手段)である。制御盤8は、機械室2に設置されている。
【0018】
9は昇降路1の固定体に設けられたドアゾーン検知用プレート、10はかご4に設けられたプレート検知器である。ドアゾーン検知装置11は、ドアゾーン検知用プレート9及びプレート検知器10により構成される。ドアゾーン検知装置11は、かご4がドアゾーンに配置されていることを検知するためのものである。
【0019】
かご4には、かご出入口を開閉するかごドア(図示せず)が、各乗場3には、乗場出入口を開閉する乗場ドア(図示せず)が設置されている。乗場3には、乗場ドアを駆動するための電動機等の装置は備えられていない。かごドア(及び乗場ドア)を開閉するドア駆動装置12は、かご4に設けられている。かごドアと各乗場ドアとには、乗場ドアをかごドアの開閉動作に連動させる連動装置(図示せず)が設けられている。上記ドアゾーンは、乗場ドアがかごドアに連動して開閉する範囲のことである。即ち、かご4がある乗場3のドアゾーンに配置されている場合、ドア駆動装置12によってかごドアを開閉すると、その乗場3に設置された乗場ドアも、かごドアに連動して開閉する。
【0020】
ドアゾーン検知装置11は、かご4がドアゾーンに配置されていれば、その旨の信号を制御盤8に出力する。具体的には、プレート検知器10によってドアゾーン検知用プレート9の存在が検知されると、プレート検知器10から制御盤8に対して検知信号が送信される。
【0021】
13はかご4に設けられたブザー装置(報知装置)である。制御盤8は、所定の条件が成立すると、ブザー装置13を鳴動させて、ブザー音(警告音)を鳴り響かせる。
【0022】
14乃至16は投入(ON)状態及び遮断(OFF)状態に切り換え可能なドアスイッチである。ドアスイッチ14乃至16は、ドア駆動装置12の動作を規制及び制御するためのものである。ドアスイッチ14乃至16は、投入状態であれば、ON信号を制御盤8に出力する。制御盤8は、入力される信号に基づいて、ドアスイッチ14乃至16のそれぞれの状態を検出する。ドアスイッチ14乃至16の全てが投入されている場合、制御盤8は、かご4がドアゾーンに配置されていれば、所定の開放条件が成立することにより、ドア駆動装置12を制御して、エレベータードア(かごドア及び乗場ドア)を開放させる。例えば、かご4内の戸開釦(図示せず)が押されることにより、上記開放条件は成立する。なお、制御盤8は、プレート検知器10から入力される検知信号の有無に基づいて、かご4がドアゾーンに配置されているか否かの判定を行う。ドアスイッチ14乃至16の何れか一つでも投入されていない(遮断されている)場合、制御盤8は、かご4がドアゾーンに配置されていても、ドア駆動装置12の動作を規制してエレベータードアを開放させない。
【0023】
ドアスイッチ14乃至16は、エレベーターの保守を行う保守員が操作するためのものである。このため、ドアスイッチ14乃至16は、一般のエレベーター利用者が操作できない場所に設置されている。
【0024】
ドアスイッチ14は、保守員がかご4内で操作するためのものである。ドアスイッチ14は、例えば、かご4内に設置された保守用操作盤17に設けられている。保守用操作盤17には、例えば、保守員が所有する鍵によって開閉可能な蓋が設けられている。ドアスイッチ14や他の保守用スイッチは、上記蓋を開放することによって操作可能となる。即ち、エレベーターの通常運転時、上記蓋は施錠されており、一般の利用者が保守用操作盤17(ドアスイッチ14等)を操作することができないように構成されている。
かご4内には、一般の利用者が操作するためのかご内操作盤(図示せず)も別途備えられている。
【0025】
ドアスイッチ15は、保守員がかご4上で操作するためのものである。ドアスイッチ15は、かご4上に設置されている。
ドアスイッチ16は、保守員が制御盤8の周辺(本実施の形態では、機械室2内)で操作するためのものである。ドアスイッチ16は、例えば、制御盤8に備えられている。
【0026】
上記構成を有するエレベーターでは、通常運転時、ドアスイッチ14乃至16は全て投入されている。このため、制御盤8では、かご4がドアゾーンに配置されていることがドアゾーン検知装置11によって検知されていれば、所定の開放条件が成立することにより、ドア駆動装置12を制御して、かごドア(及びその乗場3の乗場ドア)を開閉させる。
【0027】
エレベーターの保守時、保守員は、例えば、かご4上で作業を行う場合は、ドアスイッチ15を遮断する。また、かご4内で作業を行う場合はドアスイッチ14を、機械室2で作業を行う場合はドアスイッチ16を遮断する。ドアスイッチ14乃至16の何れか一つでも遮断されると、制御盤8は、かご4がドアゾーンに配置されていることがドアゾーン検知装置11によって検知されていても、ドアの開閉を行わない。このため、例えば、保守員がかご4上でかご4を昇降させ、かご4がドアゾーンに移動しても、エレベーターのドアは開かない。
【0028】
エレベーターの保守員は、保守作業が終了し、例えば、かご4上から降りる時、ドアスイッチ15を投入する。このため、ドアスイッチ14及び16が予め投入されていれば、上記保守員の操作によって、ドアスイッチ14乃至16の全てが投入状態となる。制御盤8は、かご4がドアゾーンに配置されている時に何れか一つのドアスイッチ(上記例では、ドアスイッチ15)が遮断状態から投入状態に切り替えられ、全てのドアスイッチ14乃至16が投入状態になると、ブザー装置13から警告音を出力させるとともに、かごドアを開放させる。
【0029】
なお、かご4はドアゾーンに配置されているため、その乗場3の乗場ドアもかごドアに連動して開放される。かごドア及び乗場ドアが開いた時にその乗場3に一般の利用者がいても、ブザー装置13から警告音が鳴り響いているため、利用者が間違ってかご4に乗り込んでしまうことはない。制御盤8は、ドアスイッチ15が遮断状態から投入されると、所定時間が経過した後に、ブザー装置13からの警告音を停止させる。これにより、エレベーターは通常動作に復帰する。
【0030】
この発明の実施の形態1によれば、保守員がドアスイッチを投入した時に、一般の利用者が間違えてかご4に乗り込んでしまうことを確実に防止することができる。
なお、本実施の形態では、警告音を出力するための報知装置としてブザー装置13を備えているが、ブザー装置13と同様の機能を備えることができれば、他の報知装置がかご4に備えられていても構わない。
【符号の説明】
【0031】
1 昇降路
2 機械室
3 乗場
4 かご
5 つり合いおもり
6 主ロープ
7 巻上機
8、8a 制御盤
9 ドアゾーン検知用プレート
10 プレート検知器
11 ドアゾーン検知装置
12 ドア駆動装置
13 ブザー装置
14、15、16 ドアスイッチ
17 保守用操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごに設けられた報知装置と、
前記かごに設けられたドア駆動装置と、
エレベーターの保守員が操作するためのドアスイッチと、
前記ドアスイッチが投入されている時に前記かごがドアゾーンに配置されると、所定の開放条件に基づいて前記ドア駆動装置を制御し、エレベーターのドアを開放させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記かごがドアゾーンに配置されている時に前記ドアスイッチが遮断状態から投入されると、前記報知装置から所定の報知を行なわせ、エレベーターのドアを開放させるエレベーターの制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記かごがドアゾーンに配置されている時に前記ドアスイッチが遮断状態から投入されると、所定時間経過後に、前記報知装置からの報知を停止させる請求項1に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項3】
複数の前記ドアスイッチが設けられ、
前記制御手段は、全ての前記ドアスイッチが投入されている時に前記かごがドアゾーンに配置されると、所定の開放条件に基づいて前記ドア駆動装置を制御し、エレベーターのドアを開放させるとともに、前記かごがドアゾーンに配置されている時に、何れか一つの前記ドアスイッチが遮断状態から投入されて全ての前記ドアスイッチが投入状態になると、前記報知装置から所定の報知を行なわせ、エレベーターのドアを開放させる
請求項1又は請求項2に記載のエレベーターの制御装置。
【請求項4】
前記ドアスイッチは、
保守員が前記かご上で操作するための第1ドアスイッチと、
保守員が前記かご内で操作するための第2ドアスイッチと、
保守員が機械室内で操作するための第3ドアスイッチと、
を備えた請求項3に記載のエレベーターの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−6648(P2013−6648A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139393(P2011−139393)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】