説明

エレベーターの昇降かご内の養生構造

【課題】フック部材に養生パネル部材を掛着して垂設するだけでエレベーターの昇降かごの内側壁面を簡易にして、かつ迅速に養生できる養生構造を提供すること。
【解決手段】側壁面6を養生する縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16と床面7を養生する床面養生パネル部材17および縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16を側壁面6に沿って掛着垂設させる複数のフック部材を備え、側壁面6の上部に横一列に設けられた複数のフック部材の各フック部に縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16の上部に設けられた各掛着穴が掛着されてこれら側壁面養生パネル部材10、16により側壁面6が養生されるとともに、床面7上には床面養生パネル部材17が定置されて床面7が養生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの昇降かごの内側壁面、床面を各養生パネル部材により簡易にして、かつ速やかに一時的に養生保護することができるエレベーターの昇降かご内の養生構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にエレベーターは、図1に示されているように、乗場1に面して設けられた三方枠2と、この三方枠2の内側に形成された出入口3と、この出入口3に設けられた乗場ドア4と、この乗場ドア4の内側に設けられた昇降かご5を有している。
【0003】
昇降かご5は、図2に概略的に示されているように、側壁面6、床面7、天井8及び昇降かごドア9を有し、昇降かごドア9と乗場ドア4はほぼ同時に開閉するようになっている。
【0004】
このような構成に係るエレベーターは、例えば、建築物であるビルオーナーの所有物であり、ビル入居者の使用物である。
【0005】
そこで、エレベーターの設置してあるビル等において建築作業や改築作業等を行う場合、建築資材や工具類等の搬入・搬出、作業員の出入りが階段の上がり下がりであるとすると、作業効率が悪いばかりか、疲労度が増すためにエレベーターを借りて使用することになる。
【0006】
ところで、エレベーターを借用する以上はこれを傷付けたり、汚したりすることは許されないために、これら外傷等からエレベーターの出入口や昇降かご内を養生保護する必要がある。
【0007】
特許文献1には、昇降かご内の床を養生保護する床面養生パネルの三辺の端縁適所と残り一辺の端縁中央部位に、それぞれ連結材の一方の挟着部が差し込まれ、かつ磁性体を介して前記床の表面に着脱可能に吸着固定されるとともに、前記三辺の端縁適所に取り付けられた前記各連結材における他方の挟着部はヒンジ部を介して略L形に折り曲げ形成され、かつ磁性体を介して各側壁の表面下端に着脱可能に吸着固定されて、前記床上に前記床面養生パネルが設けられ、床面養生パネルの残り一端縁の中央部位に設けられた前記連結材の他方の挟着部には、乗場ドアと昇降かごドアの全開状態が維持されて形成された出入口上面を養生保護し、かつエレベーターの運転時には前記昇降かご内に折り返される折り返し養生パネルの端縁中央部位が差し込まれて連結され、各側壁のコーナー縦方向の適所には、略L形に折り曲げ形成された前記各連結材が、その挟着部をそれぞれ側壁の表面に磁性体を介して着脱可能に吸着固定して設けられ、各側壁の表面下端に吸着固定の前記各連結材における上向き挟着部と、前記各側壁のコーナー縦方向に吸着固定の前記各連結材における挟着部に各側壁を養生保護する側壁面養生パネルの下端縁と側端縁が差し込まれて設けられ、天井を養生保護する穴明き天井養生パネルの四辺の端縁適所に、それぞれ前記連結材の一方の挟着部が差し込まれ、かつ磁性体を介して各側壁の表面上部に着脱可能に吸着固定されるとともに、前記それぞれの連結材の他方の下向き挟着部に前記側壁面養生パネルの上端縁が差し込まれて前記穴明き天井養生パネルが設けられ、以って、前記昇降かご内の床、側壁及び天井と出入口が前記それぞれの各養生パネルにより養生保護されるエレベーターの養生構造が開示されている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1に開示のものは、一対の挟着部における一対の挟着片をコ字形に拡開して養生パネルを差し込めばよく、これにより各養生パネルは一対の挟着片のばね性により固定的に挟着連結されるので、養生パネルの連結に蝶番や連結金具を一切必要とせず、簡易にして、かつ従来に比して迅速に養生パネルを連結することができ、その目的を達成し得るものであるが、ばね性を有する一対の挟着片を拡開させて養生パネルを差し込む作業が大変であって、ある程度の熟練を要し、なかなか思うように作業が進ず、作業の迅速性に問題があった。
【特許文献1】特開2006−290596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、養生パネルの連結部材を不可欠とし、かつ連結部材の挟着片に養生パネルを挟み込むという面倒な作業を要するために、その連結作業が面倒で養生作業を簡単にして、迅速に行うことができないという点である。
【0010】
また、養生パネルは大きな一枚物であるために嵩張って、昇降かご内への搬入や搬出が簡単ではなく、また、保管場所もとり、その取り扱いが面倒であるという点である。
【0011】
したがって、本発明の目的は、連結材を用いることなく、フック部材に養生パネル部材を掛着して垂設するだけで養生できて、熟練を要することなく素人でもエレベーターの昇降かご内の養生保護を簡易にして、かつ迅速に行うことができる養生構造を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、各養生パネル部材を構成している複数のパネル基板を交互に折り畳み可能とすることによって、各養生パネル部材を簡単容易にコンパクトに折り畳むことができて、持ち運びや保管等を簡単、容易に行うことができるようにしたことである。
【0013】
また、本発明の目的は、各養生パネル部材を交互に折り畳み可能な構成とすることによって、側壁面の角部においては略直角に折り曲げられた養生パネル部材で角部に隙間をつくることなく側壁面を完全、かつ容易に養生保護できるようにしたことにある。
【0014】
これらの目的のため、本発明の請求項1に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、エレベーターの昇降かご5内の側壁面6、床面7の被養生面を、各養生パネル部材10、16、17により一時的に養生保護するエレベーターの昇降かご内の養生構造であって、
前記側壁面6を養生する縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16と、
前記床面7を養生する床面養生パネル部材17及び前記縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16を前記側壁面6に沿って掛着垂設させる複数のフック部材21を備え、
前記縦型側壁面養生パネル部材10は、塩化樹脂等の複数の難燃性基板11がそれぞれ縦向きで、かつ間隔を有して横一列に配列され、これら配列された難燃生基板11の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート12が熱溶着されて、前記難燃性シート12同士の熱溶着ヒンジ部13を介して前記それぞれの難燃性基板11が交互に折り畳み可能とされるとともに、前記それぞれの難燃性基板11の最上部には、前記フック部材21のフック部24が掛着される掛着穴15がそれぞれ等間隔で横一列に設けられて構成され、
前記横型側壁面養生パネル部材16は、塩化樹脂等の複数の難燃性基板11がそれぞれ横向きで、かつ間隔を有して縦一列に配列され、これら配列された難燃生基板11の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート12が熱溶着されて、前記難燃性シート12同士の熱溶着ヒンジ部13を介して前記それぞれの難燃性基板11が交互に折り畳み可能とされるとともに、前記それぞれの難燃性基板11のうちの最上部の難燃性基板11には、前記フック部材21のフック部24が掛着される掛着穴15がそれぞれ等間隔で横一列に設けられて構成され、
前記床面養生パネル部材17は、硬質樹脂製等の複数の基板18が間隔を有して配列され、これら配列された基板18の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート19が熱溶着されて、前記難燃性シート19同士の熱溶着ヒンジ部20を介して前記それぞれの基板18が折り畳み可能とされて構成され、
前記複数のフック部材21は、それぞれ吸着部23とフック部24を含み、かつこれら複数のフック部材21は、共通基板25に前記縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16の各掛着穴15と適合する間隔をもって横一列に設けられて構成され、
前記共通基板(25)に配設された複数のフック部材21が前記側壁面6の上部に取り付けられ、次いで、これらフック部材21の各フック部24に前記縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16の各掛着穴15が掛着されてこれら側壁面養生パネル部材10、16が掛着垂設され、前記床面7上には前記床面養生パネル部材17が定置され、
以って、前記昇降かご5内の前記側壁面6、床面7が前記それぞれの養生パネル部材10、16、17により養生保護される構成を特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項2に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、前記フック部材21を構成する吸着部23は、前記側壁面6が鉄製の場合には、磁石等の磁性体22であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項3に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、前記フック部材21を構成する吸着部23は、前記側壁面6が樹脂等の非鉄製の場合には、吸着盤であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項4に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、前記フック部材21を構成する吸着部23が磁性体22の場合には、前記共通基板25は硬質樹脂製の上板部26と、折り返しヒンジ部27を介して連設の下板部28から形成され、不使用時等において、前記ヒンジ部27を介して各板部26、28が折り重ねられることにより、前記磁性体22が不用意に吸着しないようになっていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項5に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、前記側壁面6が鉄製であって、前記フック部材21として磁石付フックを用いる場合には、前記側壁面6の傷付け防止用として、のり残りの少ない粘着テープ30を取り付けてからこの粘着テープ30の上に前記フック部材21を取り付けることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項6に記載のエレベーターの昇降かご内の養生構造は、前記側壁面6の角部aにおいては、前記縦型側壁面養生パネル部材10が、その前記熱溶着ヒンジ部13を介して略直角に折り曲げられて掛着垂設され、これら両角部aの縦型側壁面養生パネル部材10間の養生面には、前記横型側壁面養生パネル部材16が掛着垂設されて各側壁面6が養生される構成を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、2、3に記載の発明によれば、共通基板25の横方向に等間隔の一列に取り付けられた各フック部材21が養生すべき昇降かご5の内側壁面6の上部に吸着させて取り付けられ、これら各フック部材21のフック部24に縦型および横型側壁面養生パネル部10、16がそれぞれの掛着穴15を介して掛着垂設されるものであるから、熟練を要することなく、素人であっても簡易にして、かつ速やかにエレベーターの昇降かご5の内側壁面6を養生保護することができる。
【0021】
また、縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16は、塩化樹脂等の複数の難燃性基板11がそれぞれ縦向きで、または横向きで、かつ間隔を有して横一列、または縦一列に配列され、これら配列された難燃生基板11の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート12が熱溶着されて、難燃性シート12同士の熱溶着ヒンジ部13を介してそれぞれの難燃性基板11が交互に折り畳み可能とされ、また、床面養生パネル部材17も硬質樹脂製等の複数の基板18が間隔を有して配列され、これら配列された基板18の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート19が熱溶着されて難燃性シート19同士の熱溶着ヒンジ部20を介してそれぞれの基板18が折り畳み可能とされているから、それぞれの養生パネル部材10、16、17は、一人の作業員で簡単にコンパクトに折り重ねることができて、養生パネル部材の搬出・搬入等の取り扱いが簡易であり、また保管場所も少ない場所ですむという利点を有する。
【0022】
また、フック部材21は、共通基板25の横方向に等間隔の一列に取り付けられているから、各フック部材21の取り付け位置決めが簡易で、一度で複数のフック部材21の着脱を行うことができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、フック部材21を構成する吸着部23が磁性体22の場合には、共通基板25は硬質樹脂製の上板部26と、折り返しヒンジ部27を介して連設の下板部28から形成されているから、不使用時等においては、ヒンジ部27を介して各板部26、28が折り重ねられて、この重ね状態が保持されれば磁性体22が不用意に吸着しないので、取り扱いが簡単となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、粘着テープ30によって側壁面6の磁性体22による傷付きが防止される。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、側壁面6の角部aにおいては、縦型側壁面養生パネル部材10が、その熱溶着ヒンジ部13を介して略直角に折り曲げられて掛着垂設されるものであるから、側壁面6の角部aに隙間をあけることなく完全に養生保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態についてその作用と共に説明する。
【0027】
本発明に係るエレベーターの昇降かご内の養生構造は、エレベーターの昇降かご5内の側壁面6、床面7等の被養生面を、各養生パネル部材により一時的に養生保護するものであって、側壁面6を養生する縦型および横型側壁面養生パネル部材10、16と床面7を養生する床面養生パネル部材17及び縦型および横型側壁面養生パネル部材を側壁面6に沿って掛着垂設させる複数のフック部材21を備えている。
【0028】
図3は、本発明に係るエレベーターの昇降かご内の養生構造の一例での一部横断の概略平面図で、乗場ドア1と昇降かご3のドア2の開成状態で、昇降かご3の養生内側壁面のうち、側壁面6と床面7を養生パネル部材により養生している状態を示す。
【0029】
養生パネル部材は、縦型側壁面養生パネル部材と横型側壁面養生パネル部材、床面養生パネル部材の3種類が用意される。
【0030】
縦型側壁面養生パネル部材10は、図4、図5、図6に例示されているように、塩化樹脂材により矩形状に形成された複数枚の難燃性基板11がそれぞれ縦向きで、かつ間隔を有して横一列に配列され、これら配列された難燃性基板11の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート12が高周波加工により熱溶着されて、これら難燃性シート12同士の熱溶着ヒンジ部13を介してそれぞれの難燃性基板11が交互に折り畳み可能とされ、それぞれの難燃性基板11の最上部には、後述のフック部材のフック部が掛着される鳩目金具14付の掛着穴15が等間隔で横一列に複数設けられている。
【0031】
横型側壁面養生パネル部材16は、図7に例示されているように、縦型側壁面養生パネル部材10を横型にしたものであって、塩化樹脂材により矩形状に形成された複数枚の難燃性基板11がそれぞれ横向きで、かつ間隔を有して縦一列に配列され、これら配列された難燃性基板11の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート12が高周波加工により熱溶着されて、これら難燃性シート12同士の熱溶着ヒンジ部13を介してそれぞれの難燃性基板11が交互に折り畳み可能とされ、それぞれの難燃性基板11の最上部の難燃性基板11には、後述のフック部材のフック部が掛着される鳩目金具14付の掛着穴15が等間隔で横一列に複数設けられている。
【0032】
また、床面養生パネル部材17は、図8、図9に例示されているように、硬質樹脂製等の複数の矩形状基板18が間隔を有して配列され、これら配列された基板18の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート19が高周波加工により熱溶着されて、難燃性シート19同士の熱溶着ヒンジ部20を介してそれぞれの基板18が折り畳み可能とされてコンパクト化できるようになっている。
【0033】
複数のフック部材21は、図10、図11に例示されているように、磁石等の磁性体22が固装された吸着部23と、吸着部23に可動的に連結された金属線製のフック部24を含み、かつこれら複数のフック部材21は、横長矩形状にして、かつ二つ折り可能な共通基板25に等間隔で横一列に設けられている。
【0034】
共通基板25は、好ましくは硬質樹脂製の板体であって、上板部26と肉薄細帯状のヒンジ部27を介して一体に連設された下板部28から形成され、複数のフック部材21は上板部26に等間隔で横一列に取り付けられ、被養生側壁面が鉄製の場合には、共通基板25の位置決めをもって一度で複数のフック部材21を横一列に吸着させることができるようになっている。
【0035】
また、養生作業が終了して、フック部材21を取り外した後は、ヒンジ部27を介して上下板部26、28を相対的に折り重ね、この折り重ね状態を保持させれば、フック部材21の磁性体22が不用意に吸着することはなく、持ち運びや保管等の取り扱い上において楽である。
【0036】
なお、図10、図11において附されている数字29は、フック部材21を取り付けるための切り込みである。
【0037】
次に、養生作業の手順について説明する。
【0038】
先ず、図11に2点鎖線で示されているように、被養生面である側壁面6の上部横方向全体に、所定の幅を有するのり残りの少ない、例えば和紙粘着テープ30が粘着される。
【0039】
この和紙粘着テープ30は、フック部材21の磁性体22による鉄製側壁面6を傷付けないようにするためである。
【0040】
次いで、一部横断の概略平面図である図3と、側壁面6の全体を展開した模式図である図12に示されているように、共通基板25に横一列に取り付けられた複数のフック部材21が、その磁性体22を和紙粘着テープ30上において吸着させて取り付けられる。
【0041】
次いで、側壁面6同士の角部aにおいては、縦型側壁面養生パネル部材10が、その熱溶着ヒンジ部13を介して略直角状に折り曲げられて、折り曲げられた二辺上部に横一列に設けられた各掛着穴15を介して各フック部材21のフック部24に掛着されて垂設され、これにより両側壁面6の一部分と角部aは縦型側壁面養生パネル部材10により養生保護される。
【0042】
次いで、両角部aを含む両側壁面6を除く残された両側壁面6には、それぞれ横型側壁面養生パネル部材16がその各掛着穴15を介して各フック部材21のフック部24に掛着されて垂設され、これにより残された両側壁面6が養生保護され、これら養生パネル部材10、16によって側壁面の略全面が養生保護される。
【0043】
次いで、床面7上に床面養生パネル部材17が定置される。なお、この床面養生パネル部材17は、最初に定置してもよい。
【0044】
以上は、被養生壁面が鉄製の場合であるが、側壁面6がステンレス製や樹脂製の非鉄製の場合には、磁性体22による取り付けはできないため、特に図示しないが、各フック部材21としては公知の吸着盤付フック部材が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】エレベーターの概略正面図である。
【図2】一部を切欠して示す昇降かごの概略斜視図である。
【図3】本発明に係るエレベーターの昇降かご内の養生構造の一例での一部横断の概略平面図である。
【図4】縦型側壁面養生パネル部材の一例を示す一部を切欠し、かつ省略の正面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った一部省略の拡大縦断面図である。
【図6】図4の6−6線に沿った一部省略の拡大断面図である。
【図7】横型側壁面養生パネル部材の一例を示す一部を切欠し、かつ省略の正面図である。
【図8】床面養生パネル部材の一例を示す一部切欠の正面図である。
【図9】図8の9−9線に沿った一部省略の拡大断面図である。
【図10】フック部材が共通基板に取り付けられた状態を示す一部を切欠し、かつ省略の正面図である。
【図11】図10の11−11線に沿った部分拡大断面図である。
【図12】全側壁面の養生状態を展開して示す模式図である。
【符号の説明】
【0046】
5 昇降かご
6 側壁面
7 床面
10 縦型側壁面養生パネル部材
11 難燃性基板
12 難燃性シート
13 熱溶着ヒンジ部
14 鳩目金具
15 掛着穴
16 横型側壁面養生パネル部材
17 床面養生パネル部材
18 基板
19 難燃性シート
20 熱溶着ヒンジ部
21 フック部材
23 吸着部
24 フック部
25 共通基板
26 上板部
27 下板部
28 ヒンジ部
30 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの昇降かご(5)内の側壁面(6)、床面(7)の被養生面を、各養生パネル部材(10)、(16)、(17)により一時的に養生保護するエレベーターの昇降かご内の養生構造であって、
前記側壁面(6)を養生する縦型および横型側壁面養生パネル部材(10)、(16)と、
前記床面(7)を養生する床面養生パネル部材(17)および前記縦型および横型側壁面養生パネル部材(10)、(16)を前記側壁面(6)に沿って掛着垂設させる複数のフック部材(21)を備え、
前記縦型側壁面養生パネル部材(10)は、塩化樹脂等の複数の難燃性基板(11)がそれぞれ縦向きで、かつ間隔を有して横一列に配列され、これら配列された複数の難燃生基板(11)の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート(12)が熱溶着されて、前記難燃性シート(12)同士の熱溶着ヒンジ部(13)を介して前記それぞれの難燃性基板(11)が交互に折り畳み可能とされるとともに、前記それぞれの難燃性基板(11)の最上部には、前記フック部材(21)のフック部(24)が掛着される掛着穴(15)がそれぞれ等間隔で横一列に設けられて構成され、
前記横型側壁面養生パネル部材(16)は、塩化樹脂等の複数の難燃性基板(11)がそれぞれ横向きで、かつに間隔を有して縦一列に配列され、これら配列された複数の難燃生基板(11)の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート(12)が熱溶着されて、前記難燃性シート(12)同士の熱溶着ヒンジ部(13)を介して前記それぞれの難燃性基板(11)が交互に折り畳み可能とされるとともに、前記それぞれの難燃性基板(11)のうちの最上部の難燃性基板(11)には、前記フック部材(21)のフック部(24)が掛着される掛着穴(15)がそれぞれ等間隔で横一列に設けられて構成され、
前記床面養生パネル部材(17)は、硬質樹脂製等の複数の基板(18)が間隔を有して配列され、これら配列された基板(18)の表裏両面には、塩化ビニールシート等の難燃性シート(19)が熱溶着されて、前記難燃性シート(19)同士の熱溶着ヒンジ部(20)を介して前記それぞれの基板(18)が折り畳み可能とされて構成され、
前記複数のフック部材(21)は、それぞれ吸着部(23)とフック部(24)を含み、かつこれら複数のフック部材(21)は、共通基板(25)に前記縦型および横型側壁面養生パネル部材(10)、(16)の各掛着穴(15)と適合する間隔をもって横一列に設けられて構成され、
前記共通基板(25)に配設された複数のフック部材(21)が前記側壁面(6)の上部に取り付けられ、次いで、これらフック部材(21)の各フック部(24)に前記縦型および横型側壁面養生パネル部材(10)、(16)の各掛着穴(15)が掛着されてこれら側壁面養生パネル部材(10)、(16)が掛着垂設され、前記床面(7)上には前記床面養生パネル部材(17)が定置され、
以って、前記昇降かご(5)内の前記側壁面(6)、床面(7)が前記それぞれの養生パネル部材(10)、(16)、(17)により養生保護される構成を特徴とするエレベーターの昇降かご内の養生構造。
【請求項2】
前記フック部材(21)を構成する吸着部(23)は、前記側壁面(6)が鉄製の場合には、磁石等の磁性体(22)である請求項1のベーターの昇降かご内の養生構造。
【請求項3】
前記フック部材(21)を構成する吸着部(23)は、前記側壁面(6)が樹脂等の非鉄製の場合には、吸着盤である請求項1のエレベーターの昇降かご内の養生構造。
【請求項4】
前記フック部材(21)を構成する吸着部(23)が磁性体(22)の場合には、前記共通基板(25)は硬質樹脂製の上板部(26)と、折り返しヒンジ部(27)を介して連設の下板部(28)から形成され、不使用時等において、前記ヒンジ部(27)を介して各板部(26)、(27)が折り重ねられることにより、前記磁性体(22)が不用意に吸着しないようになっている請求項1のエレベーターの昇降かご内の養生構造。
【請求項5】
前記側壁面(6)が鉄製であって、前記フック部材(21)として磁石付フックを用いる場合には、前記側壁面(6)の傷付け防止用として、のり残りの少ない粘着テープ(30)を取り付けてからこの粘着テープ(30)の上に前記フック部材(21)を取り付ける請求項2のエレベーターの昇降かご内の養生構造。
【請求項6】
前記側壁面(6)の角部(a)においては、前記縦型側壁面養生パネル部材(10)が、その前記熱溶着ヒンジ部(13)を介して略直角に折り曲げられて掛着垂設され、これら両角部(a)の縦型側壁面養生パネル部材(10)間の養生面には、前記横型側壁面養生パネル部材(16)が掛着垂設されて各側壁面(6)が養生される特許請求項1のエレベーターの昇降かご内の養生構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−179404(P2009−179404A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17009(P2008−17009)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【特許番号】特許第4125779号(P4125779)
【特許公報発行日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(392023038)宝養生資材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】