説明

エレベーター式メダル送出装置

【課題】メダルカウントセンサーのチャタリングに起因する送出メダルの過剰カウントを防ぐ。
【解決手段】送出メダル検知ユニット(U)のメダルカウントセンサー(92)からマイコン(96)へメダルカウント信号が入力した時、そのマイコン(96)のタイマー割込み処理によって、上記メダルカウント入力信号のパルス幅(T1)よりも広いパルス幅(T3)のメダルカウント信号をマイコン(96)から出力すると共に、その後そのメダルカウント出力信号の終端からやはりマイコン(96)のタイマー割込み処理によって、次サイクルのメダルカウント信号がマイコン(96)へ入力する直前までの一定時間(T5だけ、そのメダルカウント信号をマイコン(96)から出力しない状態に保持するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメダルを使用する遊技機(ゲーム機)や両替機、メダル貸出し機、その他の各種本機に内蔵設置されるエレベーター式又はリフト式のメダル送出装置に関し、特にその送出メダルの過剰カウントを防ぐために工夫されたものである。
【背景技術】
【0002】
この種エレベーター式メダル送出装置の出口部(メダル通路の上端部)には送出メダルのカウントセンサー(フォトインタラプター)が設置されており、これによりメダル同士の切れ目(隣接境界部)を検知して、その送出メダルを1枚づつ正しくカウントするようになっているが、使用するメダルのサイズ(直径)やメダル通路をなすレールの長さ、そのレールに送り込まれ待機するメダルの枚数などが変ると、メダル同士の切れ目に相当する最先位置も異なってしまうこととなり、メダルのカウント不良を惹起するため、下記特許文献1、2に開示されているメダル投出検出ユニット(送出メダル検知ユニット)では、検出部(メダル検知部)をセンサーベース部(ユニットベース)の長穴(スライドガイド溝レール)に沿って、メダルの送り方向(上下方向)へ移動させることにより、その検出部(メダル検知部)における揺動レバー(回動レバー)のベアリング(当接部)をメダルの最先位置に合わせるべく、微調整できるように構成している。
【0003】
尚、特許文献2に記載の送出メダル検知ユニットでは、メダルのサイズ(直径)変化に応じて、メダル通路となるレールの幅はもとより、メダル検知センサー(フォトインタラプター)を回動レバーのセンサードグに対して位置調整することもできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−350537号公報
【特許文献2】特許第4327245号公報
【特許文献3】特開昭53−131899号公報
【特許文献4】特開2000−31797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、たとえ上記メカニカル(物理的)な位置調整を行なって、アクチュエーターである揺動レバー(回動レバー)のセンサードグがメダル検知センサー(フォトインタラプタ)を閉じた初期状態(遮光状態)に取り付けたとしても、そのメダル検知出力信号のチャタリングが必らずや発生する。
【0006】
即ち、この種エレベーター式メダル送出装置の実施状況では、その1台が約21mm〜約26mmの許容範囲内にある各種サイズ(直径)のメダルに兼用されており、そのためその何れのメダルを使用する場合でも、アクチュエーターである揺動レバー(回動レバー)のベアリング(当接部)と、最先位置にあるメダルとの間隔(クリヤランス)を経験上、予じめ約3mm〜約5mmの寸法に調整セットしている通例である。
【0007】
しかし、上記エレベーター式メダル送出装置の特殊性として、メダル通路となる長尺なレールには約50枚〜約150枚のメダルが積み重なる待機状態にあり、これを下方から回転ディスク(メダル投出円板)によって押し進める関係上、そのメダル通路の円弧状弯曲部分も含む送出過程において起生するバウンド現象、使用メダルにおけるサイズ(直径)のバラツキ、上記ベアリング(当接部)をメダル通路の内側方向へ付勢しているコイルバネの張力や軸受け摩擦、メダルの送出速度(回転ディスクの回転数)、古く変形したメダルの混在、レールに付着・堆積する塵埃などの抵抗物、上記メカニカルな位置調整状態の良否などに起因して、上記初期寸法(先に例示した約3mm〜約5mm)が零となり、最先位置のメダルが上記ベアリング(当接部)と当接するため、上記チャタリングの発生が必至である。
【0008】
しかも、そのチャタリングの発生タイミングや持続時間、メダル検知出力信号(センサーパルス)のパルス幅なども、上記諸原因でのアットランダムに変動する結果、メダルの不正な過剰カウントを予防することができない。
【0009】
更に言えば、マイクロスイッチやトグルスイッチなどのメカニカル接点から発生するチャタリングの除去回路として、上記特許文献3、4が提案されており、これらは硬貨計数器の誤動作防止に寄与し得る点で、本発明と同じ技術分野に属すると考えられるが、その特許文献3に記載された立ち上がり検出器は微分回路から成り、禁止ゲートから硬貨計数器に与えられる硬貨計数信号のパルス幅が狭く一定不変であって、立ち上がり検出器から立ち上がり検出パルス(ワンショットパルス)を一発出した後の状態(Lレベル)だけが保持されるに過ぎない。他方、上記特許文献3の改良技術に相当する特許文献4のチャタリング除去回路でも、ゲート部の出力信号はスイッチ接点のオン時における状態(Hレベル)だけを保持するに過ぎない。
【0010】
そのため、一定許容範囲内でのサイズ(直径)が異なるメダルの使用やその他の上記諸原因に基いて、メダル検知出力信号(センサーパルス)のパルス幅が大きく変化し(メダルのサイズが大きい程そのセンサーパルスのパルス幅は広くなる)、チャタリング中の出力パルスとしてHレベルとLレベルとの何れをも出力する必要があるエレベーター式のメダル送出装置には、上記特許文献3、4のチャタリング除去回路を採用することができない。
【0011】
又、特許文献3、4は言わばハードウエアとしてのロジックICから組み合わされたチャタリング除去回路であるため、そのタイマーによるマスキング時間の変更を行なうことが難かしく、特に上記特許文献3の硬貨計数信号は狭いパルス幅のため、カウントミスを招来するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、あくまでもエレベーター式のメダル送出装置を対象として、その送出メダルの過剰なカウントを防ぐために、請求項1ではメダルエレベーターにおけるメダル通路の出口部に設置された送出メダル検知ユニットのメダルカウントセンサーを、遊技機やその他の各種本機が備える主制御基板へ、マイコンが搭載されたメダル送出装置制御基板を介して電気的に接続し、
【0013】
そのメダル送出装置制御基板上のマイコンに上記主制御基板での取り込み可能なパルス幅を予じめ設定しておくと共に、
【0014】
上記メダルカウントセンサーからマイコンへ入力したメダルカウント信号のパルス幅が、上記取り込み可能な設定パルス幅よりも狭い場合には、そのメダルカウント信号の入力時からマイコンのタイマー割込み処理によって、上記設定パルス幅と同じパルス幅のメダルカウント信号を出力し、
【0015】
その後メダルカウント出力信号の終端からマイコンのタイマー割込み処理によって、次サイクルのメダルカウント信号がマイコンへ入力する直前までの一定時間だけ、そのメダルカウント信号を出力しない状態に保持して、
【0016】
メダル送出の1サイクル時間中に発生するチャタリングパルスをマスキングし得るように構成したことを特徴とする。
【0017】
又、請求項2ではメダルエレベーターにおけるメダル通路の出口部に設置された送出メダル検知ユニットのメダルカウントセンサーを、遊技機やその他の各種本機が備える主制御基板へ、マイコンが搭載されたメダル送出装置制御基板を介して電気的に接続し、
【0018】
そのメダル送出装置制御基板上のマイコンに上記主制御基板での取り込み可能なパルス幅を予じめ設定しておくと共に、
【0019】
上記メダルカウントセンサーからマイコンへ入力したメダルカウント信号のパルス幅が、上記取り込み可能な設定パルス幅よりも広い場合には、そのメダルカウント信号の入力時からマイコンのタイマー割込み処理によって、上記メダルカウント入力信号と同じパルス幅のメダルカウント信号を出力し、
【0020】
その後メダルカウント出力信号の終端からマイコンのタイマー割込み処理によって、次サイクルのメダルカウント信号がマイコンへ入力する直前までの一定時間だけ、そのメダルカウント信号を出力しない状態に保持して、
【0021】
メダル送出の1サイクル時間中に発生するチャタリングパルスをマスキングし得るように構成したことを特徴とする。
【0022】
更に、上記請求項1又は2に従属する請求項3では主制御基板での取り込み可能な最も狭いパルス幅を25msecに設定する一方、メダルカウント出力信号を立ち下がり時から42.5msecの一定時間だけLレベルに保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、2の上記構成によれば、ユーザー側の遊技機やその他の各種本機に搭載されている主制御基板での取り込み可能なパルス幅が、メダル送出装置制御基板に搭載されていマイコンのRAMに設定されており、メダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅が上記設定パルス幅より狭い場合でも、マイコンからその設定幅と同じ広いパルス幅のメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力するようになっているため、ユーザー側の各種本機に使われている主制御基板の処理速度が万一遅くても、上記メダル送出装置からのメダルカウント出力信号(マイコンパルス)を支障なく取り込んで、アクチュエーター式メダルカウントセンサー(フォトインタラプター)のチャタリングとこれに起因する送出メダルの過剰カウントを確実に予防することができ、その送出メダルのカウントミスも無くせる効果がある。
【0024】
その場合、メダル送出装置制御基板に搭載されているマイコンのタイマー割込み機能を用いた処理により、メダル送り出しの1サイクル時間中に発生するチャタリングパルスを、マスキング(無視)し得るプログラムになっているため、冒頭に述べたハードウェアとしてのロジックICから成るチャタリング除去回路と異なり、上記主制御基板での取り込み可能なパルス幅の数値(カウント値)と、メダルカウント出力信号の終端(立ち下がり時)からLレベルに保持するマスキング時間の数値(カウント値)との何れをも、使用メダルにおけるサイズ(直径)のバラツキやその他の冒頭に述べたエレベーター式メダル送出装置特有の諸原因に応じて、容易に正しく変更・調整することができ、その数値設定上の臨機応変性と製造コストの低廉化に役立つ。
【0025】
又、メダルカウント入力信号(センサーパルス)の終端(立ち下がり時)とメダルカウント出力信号(マイコンパルス)のそれとは同期しており、その終端(立ち下がり時)から次サイクルのメダルカウント信号(センサーパルス)が入力する(立ち上がる)直前までの一定時間だけは、メダルカウント信号(マイコンパルス)を出力せず、その時間中のチャタリングパルスを自づとマスキング(無視)するようになっているため、上記立ち下がり時をタイミングとして、穴明き回転ディスクの駆動モーターにブレーキをかけることにより、その駆動モーターがオーバーランして、メダル送出枚数の過不足が発生するおそれを予防できる効果もある。
【0026】
殊更、請求項3の構成を採用するならば、上記チャタリングの発生タイミングや持続時間、メダル検知出力信号(センサーパルス)のパルス幅などが、エレベーター式メダル送出装置の冒頭に述べた特殊な諸原因に基いて、アットランダムに変動するため、その主制御基板での取り込み可能な最も狭いパルス幅の数値「25msec」と、メダルカウント出力信号の立ち下がり時からマスキングする一定時間の数値「42.5msec」とを、豊富な実験に安全度を見込んだ最適の設定値として、実用上の高い信頼性を得られるものと確信する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るエレベーター式メダル送出装置の概略全体を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1からホッパータンクとメダルエレベーターを取りはずして示すメダル送出シュートの拡大正面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図4の弯曲部分を抽出して示す拡大図である。
【図6】図3の6−6線に沿う拡大断面図である。
【図7】図3の7−7線に沿う拡大断面図である。
【図8】図3の8−8線に沿う拡大断面図である。
【図9】図3の9−9線に沿う拡大断面図である。
【図10】図1のメダルエレベーターを抽出して示す拡大正面図である。
【図11】図10の11−11線に沿う拡大断面図である。
【図12】図1の12−12線に沿う拡大断面図である。
【図13】図12の接続金具を抽出して示す斜面図である。
【図14】図1の送出メダル検知ユニットを抽出して示す斜面図である。
【図15】その送出メダル検知ユニットの分解斜面図である。
【図16】送出メダル検知ユニットのレール部へユニットベースを取り付けた工程の側面図である。
【図17】図16の正面図である。
【図18】図16のユニットベースへ回動レバーのレバー受け台を取り付けた工程の側面図である。
【図19】図18の正面図である。
【図20】図18のレバー受け台へメダル検知センサーのセンサーホルダーを取り付けた工程の側面図である。
【図21】図20の正面図である。
【図22】回動レバーのメダル投出用ベアリングが下限位置へ移動調整された送出メダル検知ユニットを示す正面図である。
【図23】同じくメダル投出用ベアリングが上限位置へ移動調整された状態を示す図22に対応する送出メダル検知ユニットの正面図である。
【図24】回動レバーの回動支点軸に開口する下穴へ咬み込み防止用誘導子を植え付けた使用状態の説明図である。
【図25】回動レバーのセンサードグによるメダル検知センサーの遮光状態を示す説明図である。
【図26】図25と異なる方式の仕様として、回動レバーのセンサードグによるメダル検知センサーの入光状態を示す説明図である。
【図27】メダル検知センサーにおけるセンサースリットの開口幅を広く調整した状態の説明図である。
【図28】同じくメダル検知センサーにおけるセンサースリットの開口幅を狭く調整した状態の説明図である。
【図29】本発明に係るメダル送出装置の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【図30】上記メダル送出装置のマイコンによるメインルーチンを示すフローチャートである。
【図31】同じくマイコンによるタイマー割込みルーチンを示すフローチャートである。
【図32】センサーパルスと、これよりも時間幅の広いマイコンパルスとのタイミング波形を示すオシロスコープである。
【図33】センサーパルスと、これと同じ広い時間幅のマイコンパルスとのタイミング波形を示すオシロスコープである。
【図34】メダルカウント信号(マイコンパルス)とモーターブレーキ信号のタイミング波形を示す説明図である。
【図35】従来のメダル送出装置における電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【図36】図35のマイコンが実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基いて本発明の機械的な構成を詳述すると、図1、2はその遊技機に内蔵設置されたエレベーター式又はリフト式メダル送出装置の概略全体を示しており、(M)は一定な鋭角(α)(例えば約40度)の後上がり傾斜天板(1)を有する金属製の据付け台であって、その傾斜天板(1)のフラットな表面にはメダル収容用の合成樹脂製ホッパータンク(2)が、係脱自在に係止されている一方、同じく傾斜天板(1)の裏面には穴明き回転ディスク用の駆動モーター(3)が固定設置されている。
【0029】
駆動モーター(3)の出力軸(4)は上記据付け台(M)の傾斜天板(1)を貫通しており、これに表側(上側)から嵌め付け一体化されたメダル送出用の穴明き回転ディスク(R)が、上記ホッパータンク(2)の対応的な円形の開口底面に臨むこととなる。(5)は上記据付け台(M)の傾斜天板(1)から表向きに突出する複数のホッパータンク用係止ピンであり、図外の圧縮コイルバネにより裏側(下側)から常時押し上げ付勢されている。
【0030】
穴明き回転ディスク(R)は金属製品又はこれと同等の高強度な合成樹脂製品として、放射対称型に開口分布する複数(図例では合計4個)のメダル取り込み穴(6)と、その取り込み穴(6)同士の隣り合う相互間から裏向き一体的に突出する複数の円弧弯曲羽根(7)とを備えており、上記ホッパータンク(2)からメダル取り込み穴(6)へ取り込んだメダル(C)を、その円弧弯曲羽根(7)によって図3の矢印(A)で示す方向へ押し進め、上記据付け台(M)の傾斜天板(1)から連続的な後上がりの張り出し状態にあるメダル送出シュート(S)へ、1枚づつ順次送り出し作用する。
【0031】
茲に、メダル送出シュート(S)は図3〜9に拡大して示す如く、上記据付け台(M)の傾斜天板(1)へ延長状態に突き合わせ一体化されたバックプレート(8)と、その傾斜天板(1)とバックプレート(8)との双方へ表側(上側)から、各々固定ビス(9)(10)を介して取り付けられた左右一対のサイドスペーサー(11)と、その左右両サイドスペーサー(11)へ固定ビス(12)を介して施蓋状態に被着されたフラットな剛性フロントプレート(13)と、同じく左右両サイドスペーサー(11)へネジ締結具(14)を介して施蓋状態に被着された円弧状のバネ性フロントプレート(F)とから成り、その組み立て内部に断面ほぼ長方形のメダル通路(P1)を区画している。
【0032】
つまり、メダル通路(P1)の上流側を形作るメダル送出シュート(S)の約下半部は、上記据付け台(M)の傾斜天板(1)と同じ鋭角(α)(先に例示した約40度)のフラットな後上がり傾斜状態にある。(15)は上記メダル通路(P1)の入口部へメダル(C)を誘導するためのメダル変向ガイドピン、(16)(17)は同じくメダル(C)を誘導するためのメダル送出ガイドローラーとセパレートローラーであり、メダル通路(P1)の入口部を左右横方向(幅方向)から挟む位置関係に臨んでいる。
【0033】
そして、上記メダル通路(P1)を表側(上側)から施蓋するフラットなフロントプレート(13)の下端中央部が、左右一対の割り溝(18)により区分された円弧状のメダル逆流防止片(19)として、上記穴明き回転ディスク(R)によりメダル通路(P1)の入口部へ送出されてきたメダル(C)を、その凸曲面により弾力的に押え付け保持し得るようになっている。(20)は同じく剛性なフロントプレート(13)の上端中央部に区分されたメダルカバー片であり、メダル(C)を表側(上側)から部分的に被覆する。
【0034】
他方、上記メダル通路(P1)の下流側を形作るメダル送出シュート(S)の約上半部は、据付け台(M)の傾斜天板(1)から一定な鈍角(β)(例えば約130度)の円弧状に弯曲されており、この弯曲部分に上記バネ性フロントプレート(F)が取り付けられているのである。
【0035】
茲に、バネ性フロントプレート(F)は極めて薄肉(例えば約0.2〜0.5mmの厚み)なバネ性を有するステンレス鋼板やその他の金属板から、図3〜9のような輪郭形状にプレス加工されている。
【0036】
即ち、バネ性フロントプレート(F)は上下方向(メダルの送り方向)に沿って延在するほぼ長方形なしているが、その下端部(上流側)と上端部(下流側)から各々互いに等しい一定深さだけ深く切り込まれた平行な左右一対づつの割り溝(21)を介して、上記メダル通路(P1)の開口幅(W1)よりも狭い一定幅(X)のセンター押圧帯(F−a)と、その両隣り位置に左右一対のサイド取付帯(F−b)とが並ぶ合計3列に区分されており、その左右両サイド取付帯(F−b)をメダル通路(P1)の左右両サイドスペーサー(11)とバックプレート(8)へネジ締結具(14)によって、表側から強制的な弯曲状態に取り付け固定した時、センター押圧帯(F−a)の下端部と上端部が接触片(22)として、メダル(C)を表側から弾力的に軽く押え付けるようになっている。
【0037】
更に言えば、上記左右両サイド取付帯(F−b)はその下端部(上流側)と上端部(下流側)から各々互いに等しい一定深さだけ浅く付与された切欠(23)の左右一対づつにより、その左右両サイド取付帯(F−b)の狭幅なインサイド部分がメダル誘導カバー片(24)として、上記メダル通路(P1)を表側から被覆すると共に、残る狭幅なアウトサイド部分がメダル通路(P1)のバックプレート(8)と左右両サイドスペーサー(11)へ取り付け固定し得るように、区分されている。
【0038】
尚、(25)はその左右両サイド取付帯(F−b)におけるアウトサイド部分の下端部と上端部に折り曲げられた一対の接地座であり、その接地作用によって左右両サイド取付帯(F−b)を左右両サイドスペーサー(11)の表側から浮上する状態に保っている。
【0039】
何れにしても、上記メダル送出シュート(S)の固定ビス(9)(10)(12)はフラットな剛性フロントプレート(13)から、左右両サイドスペーサー(11)の左右横方向に沿う細長い楕円形のビス逃し入れ用バカ孔(26)を通じて、バックプレート(8)のネジ孔(27)へ各々螺合締結されており、そのビス逃し入れ用の楕円形バカ孔(26)によってメダル通路(P1)の開口幅(W1)を、使用するメダル(C)のサイズ(例えば約21mm〜約26mmの直径)に応じて広く又は狭く調整できるようになっている。上記左右両サイドスペーサー(11)の板厚を調整することにより、そのメダル(C)の厚み変化に対応させることも可能である。
【0040】
(E)は上記メダル送出シュート(S)におけるメダル通路(P1)のほぼ真上方向を目指す出口部(上端部)へ、別個なメダルカバープレート(28)と接続金具(29)を介して、継ぎ足し状態に連通接続されたほぼ垂直なメダルエレベーターであり、上記穴明き回転ディスク(R)によって押し進め送出されてきたメダル(C)を、そのメダル送出シュート(S)のメダル通路(P1)から引き続き真上方向へ案内して、そのメダルエレベーター(E)の上端部(出口部)をなす送出メダル検知ユニット(U)から、遊技機の外部へ投げ出すようになっている。
【0041】
メダルエレベーター(E)も図10〜13のように、バックプレート(30)とフロントプレート(31)並びにその前後相互間に介在する左右一対のサイドスペーサー(32)とから成り、これらが固定ビス(33)により組み立てられて、上記メダル送出シュート(S)側のメダル通路(P1)と対応合致し得る断面ほぼ長方形のメダル通路(P2)を区画している。
【0042】
その場合、メダルエレベーター(E)の固定ビス(33)はそのフロントプレート(31)から、左右両サイドスペーサー(32)の左右横方向に沿う細長い楕円形のビス逃し用バカ孔(34)を通じて、バックプレート(30)のネジ孔(35)へ各々螺合締結されるようになっており、そのメダル通路(P2)の開口幅(W2)をやはりメダル(C)のサイズ(先に例示した直径)に応じて広く又は狭く調整することができ、又左右両サイドスペーサー(32)の板厚を調整することにより、そのメダル(C)の厚み変化に対応させることも可能である。
【0043】
上記メダル送出シュート(S)とメダルエレベーター(E)との接続金具(29)は、図12、13のような平・底面視のチャンネル溝形鋼板として、その双方のバックプレート(8)(30)と密着する背後面に、上記メダル送出シュート(S)側の固定ビス(12)と螺合締結するネジ孔(36)のみならず、メダルエレベーター(E)側の固定ビス(33)と螺合締結するネジ孔(37)も開口分布されており、そのメダル送出シュート(S)側の固定ビス(12)によって上記メダルカバープレート(28)を取り付けている。
【0044】
更に、(38)は上記メダルエレベーター(E)のバックプレート(30)又は/及びフロントプレート(31)に開口分布された左右一対づつのメダル透視窓であって、上下方向(メダルの送り方向)への細長い楕円形をなし、ここからメダル通路(P2)内のメダル(C)を透視・点検することができるようになっている。
【0045】
(39)は同じくメダルエレベーター(E)におけるフロントプレート(31)のネジ孔(37)へ螺合締結される長い固定ビス(33)の左右一対によって、メダルエレベーター(E)の下端部(入口部)付近へ取り付け一体化されたメダル逆流防止器であり、上記メダル送出シュート(S)側からほぼ垂直なメダルエレベーター(E)を取りはずし分離した保守・点検時において、そのメダルエレベーター(E)のメダル通路(P2)からメダル(C)が抜け落ちてしまうことを予防する。
【0046】
先に一言した送出メダル検知ユニット(U)は図12、13と同じ構成の別個な接続金具(29)を介して、メダルエレベーター(E)におけるメダル通路(P2)の上端部(出口部)へ継ぎ足し状態に連通接続されるレール部(U1)と、そのレール部(U1)のメダル通路(P3)からメダル(C)を左方向又は右方向へ投げ出す投出部(U2)と、その投出されるメダル(C)を検知し、カウントする検知部(U3)とから図1、2、14、15のように組み立てユニット化されている。
【0047】
即ち、その送出メダル検知ユニット(U)の構成部材を図14、15に基いて説明すると、先ずレール部(U1)はフロントプレート(40)とバックプレート(41)、その前後相互間に介在する長短差のある左右両サイドスペーサー(42)(43)並びにその左右何れか片サイドスペーサー(42)の言わば上端延長状態に配置される別個なほぼ円弧状のメダル変向誘導片(44)とから成り、これらが図15のような第1〜6固定ビス(45a)(45b)(45c)(45d)(45e)(45f)により組み立てられて、上記メダルエレベーター(E)側のメダル通路(P2)と対応合致し得る断面ほぼ長方形のメダル通路(P3)を画定している。
【0048】
その場合、図15の右サイドに並ぶ第1〜3固定ビス(45a)(45b)(45c)のうち、その第1、2固定ビス(45a)(45b)はフロントプレート(40)の円形バカ孔(46)から対応的な長い右サイドスペーサー(43)の楕円形バカ孔(47)を通じて、バックプレート(41)のネジ孔(48)へ各々螺合締結され、残る第3固定ビス(45c)は同じくフロントプレート(40)の円形バカ孔(46)からやはり右サイドスペーサー(43)の楕円形バカ孔(47)と、バックプレート(41)の円形バカ孔(49)とを通じて、上記接続金具(29)のネジ孔(50)へ螺合締結されるようになっている。
【0049】
他方、同じ図15の上端と左サイドに点在分布する第4〜6固定ビス(45d)(45e)(45f)のうち、第4、5固定ビス(45d)(45e)はフロントプレート(40)の円形バカ孔(46)から上記メダル変向誘導片(44)の楕円形バカ孔(51)を通じて、バックプレート(41)のネジ孔(48)へ各々螺合締結され、残る第6固定ビス(45f)は上記第3固定ビス(45c)に準じてフロントプレート(40)の円形バカ孔(46)から、対応的な短かい左サイドスペーサー(42)の楕円形バカ孔(47)と、バックプレート(41)の円形バカ孔(49)とを通じて、やはり接続金具(29)のネジ孔(50)へ螺合締結されるようになっている。
【0050】
上記左右両サイドスペーサー(42)(43)とメダル変向誘導片(44)に開口分布する楕円形のバカ孔(47)(51)は、その何れも左右横方向へ細長く延在することにより、上記メダル通路(P3)の開口幅(W3)をメダル(C)のサイズ(先に例示した直径)に応じて、広く又は狭く調整することができる。尚、左右両サイドスペーサー(42)(43)とメダル変向誘導片(44)の板厚を調整することによって、そのメダル(C)の厚み変化に対応させることも可能である。
【0051】
(52)はフロントプレート(40)とバックプレート(41)との対応的な中途高さ位置へ、左右何れか片サイド(図例では前方から見て左サイド)が一定長さ(Y)だけ開放するほぼコ字形に加工されたベアリング用逃し入れ切欠であり、ここに投出部(U2)の後述するメダル投出用ベアリングやメダル咬み込み防止用誘導子が逃し入れられることとなる。
【0052】
(53)は上記フロントプレート(40)に開口分布された複数のメダル透視窓であり、上記メダルエレベーター(E)のメダル透視窓(38)に準じて、ここからメダル通路(P3)内のメダル(C)を透視・点検することができる。
【0053】
次に、送出メダル検知ユニット(U)のメダル投出部(U2)は図15のような平面視のほぼL字形をなす金属板のユニットベース(54)と、そのユニットベース(54)へ背後から重合されるレバー受け台(55)と、そのレバー受け台(55)へ中途高さ位置が回動支点軸(56)を介して、メダル通路(P3)の内外方向(幅方向)へ回動可能に枢着された回動レバー(57)とから成り、そのユニットベース(54)の水平な取付座板(58)が複数の皿孔(59)から、上記レール部(U1)のバックプレート(41)に開口分布する対応的な楕円形のバカ孔(60)を通じて、短かい片サイド(左サイド)スペーサー(42)のネジ孔(61)へ螺合締結される皿ビス(62)により、その片サイド(左サイド)スペーサー(42)へ取り付け固定されている。
【0054】
その場合、バックプレート(41)の楕円形バカ孔(60)は左右横方向に沿って開口延在しているため、そのユニットベース(54)が取り付けられた片サイドスペーサー(42)を横移動させて、メダル通路(P3)の開口幅(W3)をメダル(C)のサイズ(直径)に応じて、広く又は狭く調整することができる。尚、(63)はその皿ビス(62)を逃し入れるために、フロントプレート(40)に開口分布された楕円形のバカ孔である。
【0055】
(64)は上記ユニットベース(54)の取付座板(58)から約90度だけ後向きに曲げ起された壁板片であって、その取付座板(58)を固定する上記皿ビス(62)と逆な右サイド位置に延在しており、ここにはスライドガイド溝レール(65)が上下方向(メダルの送り方向)に沿って切り欠かれている。しかも、そのスライドガイド溝レール(65)の上端部は開放状態にある。
【0056】
又、同じくユニットベース(54)における取付座板(58)のほぼ上端中央部からは、レバー受け台(55)を上記スライドガイド溝レール(65)に沿ってスライドさせる時の上限ストッパーとなる係止フック(66)が後向きに切り起されており、これによってユニットベース(54)の取付座板(58)を背後から拘束してもいる。
【0057】
レバー受け台(55)は上記ユニットベース(54)と対応する基本的なL字形の金属板から成り、その水平な重合座板(67)が上記レール部(U1)のベアリング用逃し入れ切欠(52)内へ臨む中途高さ位置に、上記回動レバー(57)の回動支点軸(56)がかしめ付け一体化されている。(68)はその回動支点軸(56)に差し込み套嵌された軸受ボス、(69)は上記回動支点軸(56)の基端部に穿設された誘導子植え付け用の予備となる下穴であって、好ましくはネジ孔から成り、前向き開口状態にあるため、ここには後述するメダル咬み込み防止用の誘導子を、追って固定ピンや固定ビス、固定リベットなどにより植え付け使用することができる。
【0058】
(70)は同じく回動支点軸(56)の近辺位置において、上記重合座板(67)から後向きに曲げ起されたゴム受け片であり、ここに取り付けられたクッションゴム(71)によって、回動レバー(57)の中途部を受け止めるようになっている。尚、レバー受け台(55)の重合座板(67)には左右横方向(メダル通路の幅方向)へ延在する補強ビード(図示省略)を突き加工しておくことが好ましい。
【0059】
又、同じくレバー受け台(55)の水平な重合座板(67)からは上記ユニットベース(54)側の壁板片(64)と接触し得るスライド板片(72)が、やはり約90度だけ後向きに曲げ起されており、ここには上記ユニットベース(54)側のスライドガイド溝レール(65)と係合するガイド凸子(73)が突設されているほか、ネジ孔(74)も開口形成されている。
【0060】
(75)は上記スライドガイド溝レール(65)からスライド板片(72)のネジ孔(72)へ螺合締結された固定ビスであり、これを弛緩させて、レバー受け台(55)と延いてはメダル投出用ベアリングやメダル咬み込み防止用誘導子を上下方向(メダルの送り方向)に沿ってスライド操作することができる。
【0061】
(76)は上記スライド板片(72)との並列状態として、重合座板(67)の上端部から後向きに6げ起されたバネ受け片、(77)は同じく重合座板(67)の下端部から約90度だけ後向きに曲げ起されたセンサー用支持脚であって、側面視の倒立L字形をなし、そのフラットな曲げ起し先端面には複数のガイド凸子(78)が突設されているほか、ネジ孔(79)も開口形成されている。
【0062】
その場合、複数のガイド凸子(78)は図25〜28から確認できるように、回動レバー(57)の回動支点軸(56)を中心とする一定な回動半径(r1)の円弧軌跡上に点在分布している。
【0063】
更に、メダル投出部(U2)の回動レバー(57)も剛性な金属板から成り、その中途高さ位置の回動支点軸(56)からレール部(U1)のベアリング用逃し入れ切欠(52)に向かって比較的短かく張り出す上端部には、バネ受けピン(80)が後向きの突出状態にかしめ付け一体化されている。そして、そのバネ受けピン(80)と上記レバー受け台(55)におけるバネ受け片(76)との向かい合う左右相互間には、引張りコイルバネ(リターンバネ)(81)が連繋掛架されている。
【0064】
(82)は上記バネ受けピン(80)と回動支点軸(56)との上下相互間から前向き一体的に突設されたローラー支軸であって、これにメダル投出用のベアリング(遊転ローラー)(83)が嵌め付けられており、このベアリング(83)が上記レール部(U1)のベアリング用逃し入れ切欠(52)からメダル通路(P3)へ臨み、そのメダル通路(P3)の開口幅(W3)をメダル(C)のサイズ(先に例示した直径)よりも予じめ若干狭く規定している。
【0065】
メダル投出用ベアリング(83)が上記引張りコイルバネ(リターンバネ)(81)によって、常時メダル通路(P3)の内側方向へ弾圧付勢されており、メダル(C)と当接するようになっているのである。(84)は上記ローラー支軸(82)の軸受ボスであり、ベアリング(83)をメダル通路(P3)のメダル(C)と正しく対応位置させるためのスペーサーとしても機能する。
【0066】
他方、回動レバー(57)の回動支点軸(56)から比較的長く張り出す下端部は、センサードグ(85)として約90度だけ後向きに曲げ起されている。(86)は上記回動支点軸(56)とセンサードグ(85)との上下相互間から、やはり後向きに曲げ起されたストッパー片であって、上記レバー受け台(55)側のゴム受け片(70)と対応位置しており、そのゴム受け片(70)のクッションゴム(71)によって受け止められることとなる。
【0067】
更に、(87)はほぼ扇形の金属板から成るセンサーホルダーであって、その左右何れか片半部(図例では前方から見て右半部)には円弧状の第1、2スライドガイド長孔(88)(89)が並列状態に切り抜かれている。
【0068】
その場合、第1スライドガイド長孔(88)は上記回動レバー(57)の回動支点軸(56)を中心とする長い回動半径(r1)の円弧軌跡上に延在して、上記レバー受け台(55)におけるセンサー用支持脚(77)側のガイド凸子(78)と係合する状態にある一方、第2スライドガイド長孔(89)は同じく回動支点軸(56)を中心とする短かい回動半径(r2)の円弧軌跡上に延在しており、その第2スライドガイド長孔(89)から上記センサー用支持脚(77)側のネジ孔(79)へ螺合締結される固定ビス(90)によって、上記センサーホルダー(87)をレバー受け台(55)のセンサー用支持脚(77)へ取り付けている。
【0069】
(91)は同じくセンサーホルダー(87)の残る片半部(左半部)に加工された爪受け入れ切欠であり、ここに下方から透過型メダルカウントセンサー(フォトインタラプター)(92)の取付爪(図示省略)が差し込み係止されている。つまり、センサーホルダー(87)とこれに取り付け一体化されたメダルカウントセンサー(92)とから、上記送出メダル検知ユニット(U)の検知部(U3)が構成されているのであり、そのメダルカウントセンサー(92)の詳細は図示省略してあるが、上記回動レバー(57)のセンサードグ(85)を挟んで向かい合う発光素子と受光素子との一対から成り、メダル(C)がメダル通路(P3)を通過中には、発光素子の発光駆動信号が高レベルとなる一方、受光素子の受光出力信号は低レベル(受光していない状態)となり、メダルカウント出力信号はオン状態を持続する。
【0070】
そして、その検知部(U3)のメダルカウントセンサー(フォトインタラプター)(92)を開閉する上記回動レバー(57)のセンサードグ(85)が、常時引張りコイルバネ(リターンバネ)(81)の付勢力を受けて、そのメダルカウントセンサー(92)を遮蔽する復元状態(カウント出力信号のオフ状態)に保っている。
【0071】
但し、上記レバー受け台(55)におけるセンサー用支持脚(77)側のネジ孔(79)へ螺合締結されている固定ビス(90)を緩めて、上記メダルカウントセンサー(92)が付属しているセンサーホルダー(87)を円弧状の平行な第1、2スライドガイド長孔(88)(89)に沿って移動させることにより、そのメダルカウントセンサー(92)の同じ制御回路素子を採用しつつも、そのカウント出力信号がオン又はオフとなる方式を、図25と図26との正反対(受光素子の受光出力信号が高レベルと低レベルとの正反対)に変更したり、更にはそのセンサースリットの開口幅(透光度)(Z)を図27のように広く、又は図28のように狭く調整したりすることができる。尚、図25〜28の実線はセンサードグ(85)の復元停止状態を、同じく点線はその復元状態からの回動状態を各々示している。
【0072】
本発明の送出メダル検知ユニット(U)は上記した物理的な構成を備えており、その組立順序を図16〜21に基いて説明すると、先ず第1〜6固定ビス(45a)〜(45f)の使用によってレール部(U1)を組み立てる際に、その短かい片サイド(左サイド)スペーサー(42)のネジ孔(61)へメダル投出部(U2)におけるユニットベース(54)の取付座板(58)を、皿ビス(62)によって図16、17のように取り付け固定する。
【0073】
次いで、回動レバー(57)が回動支点軸(56)によって予じめ枢着されたレバー受け台(55)の重合座板(67)を、上記ユニットベース(54)の取付座板(58)へ図18、19のように背後から重合させると共に、そのレバー受け台(55)におけるスライド板片(72)のガイド凸子(73)を上記ユニットベース(54)における壁板片(64)のスライドガイド溝レール(65)と係合させて、そのスライドガイド溝レール(65)からスライド板片(72)のネジ孔(74)へ固定ビス(75)を螺合締結することにより、上記ユニットベース(54)へレバー受け台(55)を取り付ける。
【0074】
そして、上記回動レバー(57)のバネ受けピン(80)とレバー受け台(55)のバネ受け片(76)との向かい合う左右相互間へ、引張りコイルバネ(リターンバネ)(81)を連繋掛架し、最後にレバー受け台(55)の上記重合座板(67)から後向きに起立するセンサー用支持脚(77)のガイド凸子(78)へ、図20、21のように予じめメダルカウントセンサー(フォトインタラプター)(92)が差し込み係止されたセンサーホルダー(87)の第1スライドガイド長孔(88)を係合させて、そのセンサーホルダー(87)の第2スライドガイド長孔(89)から上記支持脚(77)のネジ孔(79)へ固定ビス(90)を螺合締結することにより、その支持脚(77)へセンサーホルダー(87)を取り付けるのである。
【0075】
そうすれば、上記回動レバー(57)から前向き一体的に突出するローラー支軸(82)上のメダル投出用ベアリング(遊転ローラー)(83)が、自づとレール部(U1)のベアリング用逃し入れ切欠(52)からメダル通路(P3)へ臨み、上記引張りコイルバネ(リターンバネ)(81)の付勢力を受けて、そのメダル通路(P3)の内側方向へ常時張り出す状態に保たれることとなる。
【0076】
その場合、上記ユニットベース(54)とこれに皿ビス(62)を介して固定一体化された片サイド(左サイド)スペーサー(42)とは、フロントプレート(40)並びにバックプレート(41)の楕円形バカ孔(63)(60)により、左右横方向(メダル通路の幅方向)に沿って移動し得る取付状態にあるため、そのユニットベース(54)に支持された回動レバー(57)の上記メダル投出用ベアリング(83)を、使用するメダル(C)のサイズ(先に例示した直径)に応じて容易に正しく位置調整することができる。
【0077】
又、上記回動レバー(57)を枢着したレバー受け台(55)はユニットベース(54)へ、そのユニットベース(54)の壁板片(64)に切り欠かれたスライドガイド溝レール(65)と、レバー受け台(55)におけるスライド板片(72)のガイド凸子(73)並びに固定ビス(75)を介して、上下方向(メダルの送り方向)に沿うスライド自在に取り付けられてもいるため、上記メダル(C)のサイズだけでなく、そのメダル送出シュート(S)からメダルエレベーター(E)を経て送出メダル検知ユニット(U)のレール部(U1)に至るレール(メダル通路)の長さや、そのレールに送り込まれるメダル(C)の枚数などに応じて、上記回動レバー(57)のメダル投出用ベアリング(83)をやはり容易に位置調整することができ、そのベアリング(83)をメダル(C)同士の切れ目(隣り合う境界部)に正しく合わせることにより、メダル(C)のカウント不良を防止し得るのである。
【0078】
この点、図22、23は上記回動レバー(57)のメダル投出用ベアリング(83)をレール部(U1)のベアリング用逃し入れ切欠(52)における一定長さ(Y)との関係上、その下限位置に調整した状態と上限位置に調整した状態とを例示しているが、特に使用されるメダル(C)が小サイズであるにも拘らず、図23、24のようなレバー受け台(55)の重合座板(67)がユニットベース(54)の係止フック(66)に受け止められる上限位置での調整を行なうと、メダル通路(P3)からメダル(C)が外側へはずれ出るおそれや、そのメダル投出用ベアリング(83)と次位のメダル(C)並びに短かい片サイド(左サイド)スペーサー(42)との間へ、メダル(C)が突っ張り状態に咬み込れまてしまうおそれなしとしない。
【0079】
そこで、このような場合には図14、15や図23、24に示す如く、上記回動レバー(57)の回動支点軸(56)に穿設されたメダル誘導子植え付け用下穴(好ましくはネジ孔)(69)へ、その前方から固定ビス(93)や固定ピン(ローラー支軸)などを植え付けることにより、メダル咬み込み防止用となる誘導子(94)を軸支して、この誘導子(94)によりメダル(C)が通路外方向へ偏倚する動きを防ぎ、メダル通路(P3)の内部を滑らかに正しく直進させるのである。(95)はその固定ビス(93)に差し込み套嵌された頭部張り出しフランジ付きの軸受ボスを示している。
【0080】
次に、図29は本発明に係るメダル送出装置の電気的な構成を示す機能ブロック図であり、マイクロコンピューター(ワンチップマイコン)(96)とメダルカウント信号入力回路(97)並びに上記メダル送出用穴明き回転ディスク(R)のモーター駆動回路(98)を搭載したメダル送出装置制御基板(99)が図4のように、上記据付け台(M)の傾斜天板(1)と交叉する壁板の裏面(内壁面)へ格納状態に取り付け固定されている。
【0081】
そして、このようなメダル送出装置制御基板(99)を介して、上記送出メダル検知ユニット(U)の検知部(U3)を構成するメダルカウントセンサー(フォトインタラプター)(92)が、遊技機の主制御基板(100)と電気的に接続されている。そのメダルエレベーター(E)におけるメダル通路(P3)の出口部(上端部)に臨んでいる上記メダルカウントセンサー(92)は、従来のように遊技機の主制御基板(100)へ直かに接続配線されておらず、一旦メダル送出装置制御基板(99)のメダルカウント信号入力回路(97)に接続配線されているのである。
【0082】
上記マイクロコンピューター(96)はCPU(101)やROM(102)、RAM(103)、I/Oポート(104)などを収めており、ROM(102)には処理プログラムとその処理に必要なデータや、後述のデータ割込み処理を行なうためのカウント値を収納するRAM(103)のアドレスなどが保存されている。
【0083】
上記メダル通路(P3)の出口部(上端部)を通過したメダル(C)が、メダルカウントセンサー(フォトインタラプター)(92)により検知されると、そのセンサー(92)から出力されたメダルカウント信号(センサーパルス)は図29のように、上記メダル送出装置制御基板(99)のメダルカウント信号入力回路(97)を経て、マイコン(96)に入力される。
【0084】
そのマイコン(96)の処理プログラムは図30のフローチャートに示すメインルーチンと、図31のフローチャートに示すタイマー割込みルーチンとを実行するようになっており、上記メダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅(T1)が図32のように、遊技機の主制御基板(100)において取り込み可能なパルス幅(T2)と同じか又はこれよりも狭い場合(T1≦T2である場合)には、マイコン(96)から出力されるメダルカウント信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)を、その遊技機側での取り込み可能な広いパルス幅(T2)に波形整形する。(T3=T2の関係が成り立つように整形するのである。)
【0085】
又、同じくメダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅(T1)が図33のように、遊技機の主制御基板(100)において取り込み可能なパルス幅(T2)よりも広い場合(T1>T2である場合)には、マイコン(96)から出力されるメダルカウント信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)を、上記センサーパルスの広いパルス幅(T1)と同じに整形する。(T3=T1の関係が成り立つように波形整形するのである。)尚、図32、33ではHレベルがメダル(C)の通過するオン状態を示す正論理になっている。
【0086】
何れにしても、メダルカウント出力信号(マイコンパルス)が上記メダルカウント入力信号(センサーパルス)の立ち上がり時から、Hレベルを保持した一定時間(T3)の経過後には、そのメダルカウント出力信号(マイコンパルス)を立ち下がり時から次サイクルのメダルカウント信号(センサーパルス)が入力する直前までの一定時間(T5)だけ、Lレベルに保持する(マイコンパルスを出力しない)ことによって、その間に万一チャタリングパルス(108)が発生するも、これを無視(マスキング)するようになっている。(T4)はメダル(C)を送り出す1サイクル時間であって、上記穴明き回転ディスク(R)の回転数(r/min)に比例した関数となるが、図示実施形態の一例では「167msec」である。
【0087】
上記遊技機の主制御基板(100)は遊技(ゲーム)動作を総括的に制御するものであり、図29のようにメダル送出装置制御回路(105)を有している。そのメダル送出装置制御回路(105)のメダルカウント信号入力回路(106)に対して、上記マイコン(96)からのメダルカウント出力信号(マイコンパルス)が入力される一方、同じく主制御基板(100)におけるメダル送出装置制御回路(105)のモーター制御信号出力回路(107)からマイコン(96)へ、メダル送出装置のモーター制御信号(ブレーキ信号)が出力され、そのマイコン(96)からのモーター駆動信号を受けたメダル送出装置制御基板(99)のモーター駆動回路(98)やその駆動モーター(3)により、メダル送出用の穴明き回転ディスク(R)が回転されて、遊技機の遊技動作に応じた必要な枚数のメダル(C)を送り出すことになる。その送り出されるメダル(C)が上記メダル通路(P3)の出口部(上端部)において、メダルカウントセンサー(92)により1枚づつカウントされるのである。
【0088】
図30は上記メダル送出装置制御基板(99)に搭載されたマイコン(96)によるメインルーチンを示すフローチャートであり、そのマイコン(96)を予じめイニシャライズして(ステップS10)、タイマー割込み禁止処理を行ない(ステップS12)、メダル送出装置におけるメダル送出用穴明き回転ディスク(R)の駆動モーター(3)を停止させる(ステップS14)。
【0089】
そして、先ずメダルカウント入力信号(実際のセンサーパルス)の有無を判断して(ステップS16)、YES(有り)である場合にはメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力する(ステップS18)。このことは、サービスマンによる保守・点検などの作業中である状態を意味する。他方、センサーパルスのNO(無し)である場合、上記マイコンパルスを出力しない(ステップS20)。
【0090】
次に、割込みステップ1未終了フラグをセットした上(ステップS22)、遊技機の主制御基板(100)におけるメダル送出装置制御回路(105)のモーター制御信号出力回路(107)からマイコン(96)へ、メダル送出装置のモーター制御信号(ブレーキ信号)が入力しているか否かを判断する(ステップS24)。そして、その判断がNO(入力無し)である場合、上記ステップS16へリターンする一方、同じく判断がYES(入力有り)である場合には、タイマー割込み処理の許可を与え(ステップS26)、図31のタイマー割込みルーチンに示す後述の割込み処理を実行する。
【0091】
更に、上記停止状態にあった穴明き回転ディスク(R)の駆動モーター(3)を回転させて(ステップS28)、過電流検出信号の有無やその発生原因の除去処理(図示省略)を行なった後、そのモーター回転中に再度遊技機の主制御基板(100)側からマイコン(96)へ、モーター制御信号(ブレーキ信号)が入力しているか否かを判断し(ステップS30、その判断がNO(入力無し)である場合、上記ステップS12へリターンする一方、同じく判断がYES(入力有り)である場合には、上記ステップS30へリターンして、モーター制御信号における入力の有無を繰り返し判断するのである。
【0092】
図31のタイマー割込みルーチンを説明すると、これは図30の上記メインルーチンを実行中に、タイマー割込み許可の命令があった場合、そのメインルーチンの実行を一時中断し、タイマー割込みルーチンをその独立した割込みステップ1から割込みステップ4まで割込み毎に順次処理して、そのすべてを完了後、割込みステップ1に戻るという動作を繰り返す。
【0093】
先ず、タイマー割込みルーチンの割込みステップ1はメダルカウント入力信号(センサーパルス)の有無を判断すると共に、遊技機の主制御基板(100)において取り込み可能なパルス幅(時間データ)(T2)を、RAM(102)内のカウント値を収納するカウンターA(レジスターA)にセットする工程である。
【0094】
即ち、割込みステップ1ではその終了しているか否かの判断を行ない(ステップS32)、YES(終了)である場合次の割込みステップ2に進むが、未だマイコン(96)の割込みステップ1終了フラグがセットされていないため、割込みステップ2に進むことはない。
【0095】
他方、NO(未終了)の判断である場合にはメダルカウント入力信号(センサーパルス)の有無を判断し(ステップS34)、NO(無し)であれば、メダルカウント出力信号(マイコンパルス)をLレベルに保持して(ステップS36)、タイマー割込み処理を終了する(ステップS38)。もっとも、そのタイマー割込みを終了しても、マイコン(96)の割込みステップ1終了フラグがセットされていないため、次の割込みステップ2に進むことはない。
【0096】
又、上記メダルカウント入力信号(センサーパルス)の有無がYES(有り)と判断された場合には、メダルカウント信号(マイコンパルス)を出力する(ステップS40)。そして、割込みステップ1の終了フラグをセットし(ステップS42)、マイコン(96)のカウンターAに上記パルス幅(時間データ)(T2)の数値を設定すれば(ステップS44)、タイマー割込み処理が終了する(ステップS38)。
【0097】
茲に予じめ設定された上記パルス幅(時間データ)(T2)の数値は、図示実施形態の場合「25msec」として、メダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅(T1)よりも広く、上記メダルカウント信号(マイコンパルス)をその設定パルス幅(T2)の数値「25msec」と同じパルス幅(T3)として出力させることにより、本発明のメダル送出装置を内蔵することになるユーザー側の遊技機に搭載されている主制御基板(マイコン)(100)の処理速度が遅い場合でも、そのメダル送出装置のマイコン(96)から出力されて来るメダルカウント信号(マイコンパルス)を、支障なく取り込むことができるようになっている。但し、このような趣旨を達成し得るならば、上記パルス幅(T2)を「25msec」の好適な数値だけに限らず、メダルカウント入力信号(センサーパルス)における最も狭いパルス幅(T1)の2倍から10倍までの数値範囲内を選んで、適当に設定してもさしつかえない。
【0098】
次に、タイマー割込みルーチンの割込みステップ2は上記パルス幅(時間データ)(T2)と同じパルス幅(T3)のメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力する工程であり、割込みステップ2終了フラグがセットされていないため、次の割込みステップ3に進むことはない。つまり、割込みステップ2では上記パルス幅(時間データ)(T2)の数値が予じめ設定された「25msec」から、「0msec」までカウント(減算処理)されない限り、その割込みステップ2終了の判断がYESにならないのである。
【0099】
他方、上記割込みステップ2終了の判断がNO(未終了)である場合には、タイマー割込み毎にカウンターAの上記数値「25msec」から「1」づつ減算し(ステップS48)、そのカウンターAの数値が「0msec」になったか否かを判断する(ステップS50)。つまり、マイコン(96)からメダルカウント信号(マイコンパルス)が上記数値「25msec」のパルス幅(T3)だけ出力された否かを判断するのである。
【0100】
そして、その判断がNOである場合、タイマー割込み処理は未だ終了せず、同じく判断がYESである場合には、割込みステップ2の終了フラグをセットする(ステップS52)。そのため、割込み処理が終了し(ステップS54)、次のタイマー割込み後、割込みステップ3に進む。
【0101】
次に、タイマー割込みルーチンの割込みステップ3は上記メダルカウント出力信号(マイコンパルス)の終端(立ち下がり時)におけるメダルカウント入力信号(センサーパルス)の変化を検査すると共に、そのメダルカウント入力信号(センサーパルス)が立ち下がった時、マイコン(96)からメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力しない時間(マスキング時間)(T5)の数値を設定する工程である。
【0102】
即ち、割込みステップ3ではその割込みステップ3が終了しているか否かを判断し(ステップS56)、NO(未終了)の判断である場合にはメダルカウント入力信号(センサーパルス)の有無を判断する(ステップS58)。
【0103】
メダルカウント入力信号(センサーパルス)の有無判断がYES(有り)である場合、未だマイコン(96)の割込みステップ3終了フラグがセットされていないため、タイマー割込みは終了しない。他方、上記判断がNO(無し)である場合には、マイコン(96)からメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力せず(ステップS60)、割込みステップ3の終了フラグをセットし(ステップS62)、マイコン(96)のカウンターB(RAMのレジスターB)に上記時間データ(T5)の一定数値をセットする(ステップS64)。そうすれば、タイマー割込みが終了し(ステップS66)、次のタイマー割込み後、割込みステップ4に進む。
【0104】
茲に予じめ設定された時間データ(T5)の数値は、図示実施形態の場合「42.5msec」である。この「42.5msec」の数値に設定した理由は、上記メダルカウント出力信号(マイコンパルス)の終端(立ち下がり時)から、この程度の一定時間(T5)だけメダルカウント出力信号(マイコンパルス)をLレベルに保持すれば、その以後に万一チャタリングパルスが発生しても、これを悉くマスキング(無視)でき、メダル(C)の過剰カウントを防止し得るという豊富な経験に基く。
【0105】
但し、そのメダル(C)の過剰カウントを防止できる安全性があるならば、メダルカウント出力信号(マイコンパルス)の終端(立ち下がり時)から次サイクルのメダルカウント入力信号(センサーパルス)が入力する(立ち上がる)直前までの時間を、上記マスキングのための時間データ(T5)として設定してもさしつかえない。このことは「0<T5<T4−T3」という式の成り立つように、その時間データ(T5)を設定することをい意味する。その場合、「直前まで」とは次のメダルカウント入力信号の始端(立ち上がり時)と最も狭い「1msec」の一定時間(T6)を確保する意味であり、そうすれば次サイクルの立ち上がるメダルカウント入力信号(センサーパルス)とオーバーラップせず、これを正確に取り込むことができるほか、チャタリングパルスのマスキング効果も最大になるからである。
【0106】
次に、割込み処理ルーチンの割込みステップ4は上記カウンターBの減算処理により、その設定時間だけメダルカウント信号(マイコンパルス)を出力しないマスキング工程であって、割込みステップ4ではその終了したか否かを判断し(ステップS68)、NO(未終了)である場合タイマー割込み毎にカウンターBから「1」を減算し(ステップS70)、そのカウンターBが「0msec」になったか否かを判断する(ステップS72)。
【0107】
そして、その判断がNOであれば「0msec」になるまで減算処理を繰り返し、同じく判断がYESである場合には、割込みステップ4の終了フラグをセットして(ステップS74)、そのタイマー割込みを終了する(ステップS76)。
【0108】
他方、上記割込みステップ4が終了したか否かの判断において、YES(終了)である場合は割込みステップ1の未終了フラグをセットし(ステップS78)、タイマー割込みを終了するのである(ステップS80)。
【0109】
上記メダル送出装置制御基板(99)に搭載されたマイコン(96)のタイマー割込み処理機能を活用して、図30のメインルーチンとその処理中に図31のタイマー割込みルーチンとを実行する内容について、図32、33のオシロスコープに基き説明すると、本発明のメダル送出装置ではメダルカウント信号(実際のセンサーパルス)の入力(立ち上がり)と同期して、即座にタイマー割込み処理を始め、メダルカウント信号(マイコンパルス)を出力している。
【0110】
しかも、図32(a)(b)(c)のようにメダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅(T1)が例えば「10msec」として、上記遊技機の主制御基板(100)での取り込み可能な設定パルス幅(時間データ)(先に例示した25msec)(T2)よりも狭い場合には、上記メダルカウント出力信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)を上記の広い設定パルス幅(T2)と同じになるよう波形整形している。
【0111】
他方、図33のようにメダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅(T1)が、メダル通路となるレールに付着の抵抗物や歪み変形したメダルの混在などに起因して、上記数値「25msec」の設定パルス幅(時間データ)(T2)よりも広い一例の「31.4msec」である場合には、遊技機の主制御基板(100)による取り込み可能であるため、そのセンサーパルスのパルス幅(T1)をそのままメダルカウント出力信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)として波形整形している。
【0112】
そのため、メダルカウント入力信号(センサーパルス)を遅れずに早く検知することができ、又本発明のメダル送出装置が内蔵設置されることになるユーザーの遊技機における主制御基板(マイコン)(100)が、その処理速度の遅い場合でも、上記メダルカウント出力信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)は広いので、そのユーザーにおける遊技機の主制御基板(100)と支障なく接続使用でき、メダル(C)の過剰カウントを防止し得ると共に、そのパルス幅(T3)の狭いことによるカウントミスも防止できるのである。
【0113】
又、図32(a)(c)のようにメダルカウント出力信号(マイコンパルス)を一定の時間幅(T3)だけHレベルに保持中、万一チャタリングパルス(108)が発生したとしても、これは自づとマスキング(無視)されてしまう結果となり、メダル(C)の過剰カウントを生じない。
【0114】
更に、図32(a)(b)(c)と図33との何れにあっても、メダルカウント出力信号(マイコンパルス)の終端(立ち下がり時)に、メダルカウント入力信号(センサーパルス)の変化を検査して、そのメダルカウント入力信号(センサーパルス)も立ち下がった時から、次サイクルのメダルカウント入力信号(センサーパルス)が立ち上がる直前までの一定時間(先に例示した42.5msec)(T5)だけは、メダルカウント信号(マイコンパルス)を出力せず、その一定時間中に万一チャタリングパルス(108)が発生したとしても、これを自づとマスキング(無視)するようになっている。
【0115】
茲に、メダルカウント入力信号(センサーパルス)の立ち下がりとメダルカウント出力信号(マイコンパルス)の立ち下がりとは、同期するようになっているため、遊技機の遊技動作と対応する必要な枚数のメダル(C)を送出すべく、その送出後上記穴明き回転ディスク(R)の駆動モーター(3)を停止させるブレーキ信号のタイミングを、上記マイコンパルスの立ち下がり時を基点として位置決めすることにより、そのタイミングの遅速や延いてはメダル送出枚数の過不足が発生することを予防し得るのであり、メダル送出装置の信頼性が向上する。
【0116】
メダルカウント出力信号(マイコンパルス)の立ち下がり時から上記メダル(C)を送出する1サイクル時間(T4)の50%未満のタイミング、好ましくは図34のような安全性を見込んだ約30%に相当するタイミング(T7)において、駆動モーター(3)にブレーキをかけ停止させれば、次サイクルのメダルカウント入力信号(センサーパルス)が立ち上がるおそれはなく、オーバーランによってメダル(C)が送り出されてしまったり、或いは出かかって止まったりする過剰カウントを防止できるのである。上記タイミング(T7)が約60%以上であると、次サイクルのセンサーパルスが立ち上がり始めたり、完全に発生したりすることになる。
【0117】
何れにしてもエレベーター式メダル送出装置におけるメダルカウント入力信号(実際のセンサーパルス)のパルス幅(T1)は、冒頭に述べた多種多様な原因のために、例えば「5msec」から「48msec」までの広範囲において千変万化し、チャタリングに基くメダル(C)の過剰カウントを招きやすいが、上記メダルカウント出力信号(マイコンパルス)のパルス幅(T3)は、メダルカウント入力信号(センサーパルス)におけるパルス幅(T1)の変化に応じて、そのマイコン(96)のRAM(103)などに書き変え設定することができるため、そのメダルカウント出力信号(マイコンパルス)の終端(立ち下がり時)から以後には、そのポート出力のオフ状態を持続して、チャタリングパルスをマスキング(無視)し得ることとも相俟って、メダル(C)の過剰カウントを予防し得るのであり、エレベーター式メダル送出装置にふさわしく有用な発明と言える。
【0118】
この点、従来のエレベーター式メダル送出装置ではメダルカウントセンサー(フォトインタラプター)が、遊技機の主制御基板へ直かに接続配線されている旨を既述したが、そのメダル送出装置制御基板に搭載されているマイコンは図35の機能ブロック図と、その処理を示す図36のフローチャートから明白なように、メダル送出用穴明き回転ディスクの駆動モーターを回転制御することと、そのための過電流を検出することに使用されているだけであって、本発明のようなチャタリングに起因するメダルの過剰カウントを防ぐためのプログラムは作成されておらず、そのためのタイマー割込み処理も全然実行されていないのである。
【0119】
尚、図32、33を含む図示の実施形態ではメダルカウント信号のHレベルがメダルの通過するオン状態を示す正論理になっているが、その論理の反転した負論理になっていても、上記した効果を同等に達成し得るため、本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0120】
(1)・後上がり傾斜天板
(2)・ホッパータンク
(3)・駆動モーター
(6)・メダル取り込み穴
(7)・円弧弯曲羽根
(8)(30)(41)・バックプレート
(11)(32)(42)(43)・サイドスペーサー
(13)(31)(40)・フロントプレート
(19)・メダル逆流防止片
(20)・メダルカバー片
(22)・接触片
(24)・メダル誘導カバー片
(25)・接地座
(28)・メダルカバープレート
(29)・接続金具
(38)(53)・メダル透視窓
(39)・メダル逆流防止器
(44)・メダル変向誘導片
(45a)・第1固定ビス
(45b)・第2固定ビス
(45c)・第3固定ビス
(45d)・第4固定ビス
(45e)・第5固定ビス
(45f)・第6固定ビス
(52)・ベアリング用逃し入れ切欠
(54)・ユニットベース
(55)・レバー受け台
(56)・回動支点軸
(57)・回動レバー
(58)・取付座板
(59)・皿孔
(62)・皿ビス
(64)・壁板片
(65)・スライドガイド溝レール
(66)・係止フック
(67)・重合座板
(69)・下穴(ネジ孔)
(70)・ゴム受け片
(71)・クッションゴム
(72)・スライド板片
(73)・ガイド凸子
(74)・ネジ孔
(75)・固定ビス
(76)・バネ受け片
(77)・支持脚
(78)・ガイド凸子
(79)・ネジ孔
(80)・バネ受けピン
(81)・引張りコイルバネ
(82)・ローラー支軸
(83)・メダル投出用ベアリング
(84)・軸受ボス
(85)・センサードグ
(86)・ストッパー片
(87)・センサーホルダー
(88)・第1スライドガイド長孔
(89)・第2スライドガイド長孔
(90)・固定ビス
(91)・爪受け入れ切欠
(92)・メダルカウントセンサー(フォトインタラプター)
(93)・固定ビス
(94)・咬み込み防止用誘導子(遊転ローラー)
(95)・軸受ボス
(96)・ワンチップマイコン(マイクロコンピューター)
(97)・メダルカウント信号入力回路
(98)・モーター駆動回路
(99)・メダル送出装置制御基板
(100)・遊技機の主制御基板
(101)・CPU
(102)・ROM
(103)・RAM
(104)・I/Oポート
(105)・メダル送出装置制御回路
(106)・メダルカウント信号入力回路
(107)・モーター制御信号出力回路
(108)・チャタリングパルス
(C)・メダル
(E)・メダルエレベーター
(F)・バネ性フロントプレート
(F−a)・センター押圧帯
(F−b)・サイド取付帯
(M)・据付け台
(P1)(P2)(P3)・メダル通路
(R)・穴明き回転ディスク
(S)・メダル送出シュート
(T1)・メダルカウント入力信号(センサーパルス)のパルス幅
(T2)・主制御基板での取り込み可能な設定パルス幅
(T3)・メダルカウント出力信号(マイコンパルス)のパルス幅
(T4)・メダルの送り出しサイクル時間
(T5)・マスキング時間
(U)・送出メダル検知ユニット
(U1)・レール部
(U2)・メダル投出部
(U3)・メダル検知部
(W1)(W2)(W3)・開口幅
(Y)・長さ
(Z)・センサースリットの開口幅
(r1)(r2)・回動半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルエレベーターにおけるメダル通路の出口部に設置された送出メダル検知ユニットのメダルカウントセンサーを、遊技機やその他の各種本機が備える主制御基板へ、マイコンが搭載されたメダル送出装置制御基板を介して電気的に接続し、
そのメダル送出装置制御基板上のマイコンに上記主制御基板での取り込み可能なパルス幅を予じめ設定しておくと共に、
上記メダルカウントセンサーからマイコンへ入力したメダルカウント信号のパルス幅が、上記取り込み可能な設定パルス幅よりも狭い場合には、そのメダルカウント信号の入力時からマイコンのタイマー割込み処理によって、上記設定パルス幅と同じパルス幅のメダルカウント信号を出力し、
その後メダルカウント出力信号の終端からマイコンのタイマー割込み処理によって、次サイクルのメダルカウント信号がマイコンへ入力する直前までの一定時間だけ、そのメダルカウント信号を出力しない状態に保持して、
メダル送出の1サイクル時間中に発生するチャタリングパルスをマスキングし得るように構成したことを特徴とするエレベーター式メダル送出装置。
【請求項2】
メダルエレベーターにおけるメダル通路の出口部に設置された送出メダル検知ユニットのメダルカウントセンサーを、遊技機やその他の各種本機が備える主制御基板へ、マイコンが搭載されたメダル送出装置制御基板を介して電気的に接続し、
そのメダル送出装置制御基板上のマイコンに上記主制御基板での取り込み可能なパルス幅を予じめ設定しておくと共に、
上記メダルカウントセンサーからマイコンへ入力したメダルカウント信号のパルス幅が、上記取り込み可能な設定パルス幅よりも広い場合には、そのメダルカウント信号の入力時からマイコンのタイマー割込み処理によって、上記メダルカウント入力信号と同じパルス幅のメダルカウント信号を出力し、
その後メダルカウント出力信号の終端からマイコンのタイマー割込み処理によって、次サイクルのメダルカウント信号がマイコンへ入力する直前までの一定時間だけ、そのメダルカウント信号を出力しない状態に保持して、
メダル送出の1サイクル時間中に発生するチャタリングパルスをマスキングし得るように構成したことを特徴とするエレベーター式メダル送出装置。
【請求項3】
主制御基板での取り込み可能な最も狭いパルス幅を25msecに設定する一方、メダルカウント出力信号を立ち下がり時から42.5msecの一定時間だけLレベルに保持することを特徴とする請求項1又は2記載のエレベーター式メダル送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−55542(P2012−55542A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202819(P2010−202819)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【特許番号】特許第4681081号(P4681081)
【特許公報発行日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(506154421)松下金属工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】