説明

エレベーター負荷検出装置およびエレベーター負荷検出方法

【課題】エレベーターのかご内の荷重を検出するための荷重検出器の個数を増やすことなく、かご内の乗客等の偏荷重の負荷量を正確に検出する。
【解決手段】エレベーターのかご床1下の中央部に設置され、かご内荷重負荷を検出する荷重検出器2と、かご内の乗客を検知するためにかご床面全体に対して複数のスイッチを配置させたシート形スイッチ7と、シート形スイッチ7の各スイッチのON/OFF状況のデータを取り込み、ON状態のスイッチの位置情報に基づいて、乗客の位置を特定し、かご内荷重の重心位置を求め、当該重心位置に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、荷重検出器2により検知されたかご内荷重負荷の値に補正係数算出手段により算出された補正係数を乗算することにより、当該かご内荷重負荷の値を補正して出力するかご荷重算出手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はエレベーター負荷検出装置およびエレベーター負荷検出方法に関し、特に、かご室内の負荷を検出し補正するためのエレベーター負荷検出装置およびエレベーター負荷検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来のエレベーター用秤装置が設置されたエレベーターかご内を示した図である。図12において、101はかご床、102は荷重検出器、103はエレベーターかごの側板、104は天井板、105はかご扉、106はエレベーターの走行方向(上昇または下降)や現在のエレベーターの位置(階情報)などを映像や音声で示すための表示器である。従来のエレベーター用秤装置においては、図12に示すように、荷重検出器102をかご床101の中央下に1箇所設置し、かご内の負荷量を検出する構成である。
【0003】
図12に示す従来のエレベーター用秤装置は、荷重検出器102がかご床101の中央下に1箇所設置されているのみであるので、かご内負荷が床面端部に偏った場合、偏荷重により誤差が発生し、負荷量を正確に検出できない。
【0004】
そのため、かごの荷重検出精度を上げるため、複数の荷重検出器を用いた、従来装置として、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【0005】
特許文献1に記載のエレベーターの荷重検出回路は、乗りかご内の積載荷重に応じて信号を出力する複数個の荷重検出器と、前記荷重検出器の各出力信号から合計荷重値を演算する合計荷重値演算回路と、前記各出力信号を比較演算し、故障判定値以上の差が発生したときに、故障を検出する故障検出回路を有し、合計荷重値に応じて、異なった前記故障判定値を有することを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−338164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12に示す従来のエレベーター用秤装置は、上述したように、荷重検出器102がかご床101の中央下に1箇所設置されているのみであるので、かご内負荷が床面端部に偏っている場合などには、その偏荷重の負荷量を正確に検出できないという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1に記載のエレベーターの荷重検出回路は、上述したように、かごの荷重検出精度を上げるために、複数の荷重検出器を設置する必要であり、また、荷重検出器の個数が増えた分だけ故障率が高くなってしまう(いずれか1つでも故障すると全体が機能しなくなってしまう)という問題点があった。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、エレベーターのかご内の荷重を検出するための荷重検出器の個数を増やすことなく、かご内の乗客等の偏荷重の負荷量を正確に検出することが可能なエレベーター負荷検出装置およびエレベーター負荷検出方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、エレベーターのかご床下の中央部に設置され、かご内荷重負荷を検出する荷重検出器と、かご内の被検出体を検知するためにかご床面全体に対して複数のスイッチを配置させたシート形スイッチと、前記シート形スイッチの各スイッチのON/OFF状況のデータを取り込み、ON状態のスイッチの位置情報に基づいて、前記被検出体の位置を特定し、かご内荷重の重心位置を求め、当該重心位置に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記荷重検出器により検知された前記かご内荷重負荷の値に前記補正係数算出手段により算出された前記補正係数を乗算することにより、当該かご内荷重負荷の値を補正して出力するかご荷重算出手段とを備えたことを特徴とするエレベーター負荷検出装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、エレベーターのかご床下の中央部に設置され、かご内荷重負荷を検出する荷重検出器と、かご内の被検出体を検知するためにかご床面全体に対して複数のスイッチを配置させたシート形スイッチと、前記シート形スイッチの各スイッチのON/OFF状況のデータを取り込み、ON状態のスイッチの位置情報に基づいて、前記被検出体の位置を特定し、かご内荷重の重心位置を求め、当該重心位置に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記荷重検出器により検知された前記かご内荷重負荷の値に前記補正係数算出手段により算出された前記補正係数を乗算することにより、当該かご内荷重負荷の値を補正して出力するかご荷重算出手段とを備えたことを特徴とするエレベーター負荷検出装置であるので、エレベーターのかご内の荷重を検出するための荷重検出器の個数を増やすことなく、かご内の乗客等の偏荷重の負荷量を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係るエレベーターかご内の構造を示した構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るエレベーターの荷重検出器とシート形スイッチの位置関係を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るエレベーター負荷検出装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るエレベーター負荷検出装置のメモリとCPUの構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るエレベーター負荷検出装置のシート形スイッチを16分割した場合の各スイッチの(x,y)位置情報の一例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るエレベーター負荷検出装置の荷重検出器の検出値を補正するための補正係数を記憶した補正係数記憶部の補正係数格納例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るエレベーター負荷検出装置における荷重検出器補正動作を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係るエレベーター負荷検出装置のシート形スイッチを16分割した場合の各スイッチの(x,y)位置情報の一例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るエレベーター負荷検出装置における挟まれ防止動作を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3に係るエレベーター負荷検出装置における奥に詰めて乗車するように注意喚起する制御動作を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4に係るエレベーター負荷検出装置における閉じ込め防止動作を示したフローチャートである。
【図12】従来のエレベーターかご内の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明のエレベーター負荷検出装置が設置されたエレベーターかご内の構造を示した図である。図1において、1はかご床、2は荷重検出器(秤装置)、3は側板、4は天井板、5はかご扉、6は映像及び/または音声を出力する表示器、7はシート形スイッチ、9はかご操作盤、30はエレベーターかごである。なお、以下の説明においては、表示器6として、映像と音声の両方が出力できる音声発生手段兼映像表示手段について説明するが、その場合に限らず、表示器6は、音声だけを出力する音声発生手段でもよく、あるいは、映像の表示だけを行う映像表示手段であってもよいこととする。
【0014】
図1に示すように、エレベーターかご30は、かご室とも呼ばれるもので、略矩形のかご床1と、かご床1に対向して設けられた同じく略矩形の天井板4と、かご床1及び天井板4の周囲に沿って、かつ、かご床1及び天井板4の面に対して垂直に設置された4枚の側板(壁)3と、側板3の1枚に設けられたかご扉5とから構成されている。
【0015】
エレベーターかご30のかご床1は下枠8a(図2参照)で支えられている。また、下枠8aは、エレベーターかご30の両側に直立して設けられている2本のたて枠8b(図2参照)を介して、上枠8c(図2参照)に連結されている。上枠8cは、天井板4を支えるとともに、ロープ吊り下げ式エレベーターでは、つり車(図示省略)と呼ばれる部材が中央に設けられており、それを介して、エレベーターかご30を吊り下げるためのロープに連結されている。
【0016】
また、かご扉5の横の側板3には、かご操作盤9が設けられている。かご操作盤9には、乗客が行先階を指定するための釦や、かご扉5の開/閉状態を保持または指示するための開/閉釦などの複数の釦が設けられている。また、かご操作盤9の上方には、映像及び/または音声を出力する表示器6が設けられており、乗客に対する音声アナウンスの出力や、エレベーターの走行方向(上昇または下降)及び現在のかご位置(階)等の表示を行う。ここまでの構成は、一般的なエレベーターかごと同じである。
【0017】
本実施の形態においては、図1に示すように、かご床1の下に、エレベーターのかご内の負荷(以下、かご荷重とする)を検出するための荷重検出器2が設けられている。荷重検出器2は、かご床1の略中央の位置(中央部)に設置されている。荷重検出器2は、エレベーターかご30内の積載荷重を検出し、検出により得られたかご荷重(かご荷重検出量)の値に応じた信号を出力する。また、本実施の形態においては、さらに、かご床1の床面全体に対して略均等に複数のスイッチを配置させたシート形スイッチ7が設置されている。シート形スイッチ7は、図1に示すように、格子状に配置された複数のパネルから構成されており、各パネルの1つずつにスイッチが埋設されている。本実施の形態では、当該パネルは、縦4枚×横4枚の計16枚設けられているが、これに限定されるものではない。また、本実施の形態では、各パネルは矩形であるが、正六角形など、別の形状であってもよい。但し、パネルの大きさとしては、ちょうど、乗客が一人乗れる程度のものであることが望ましい。図2は、本実施の形態における、荷重検出器2とシート形スイッチ7との位置関係を示した断面図である。図2に示すように、下枠8a、たて枠8b、および、上枠8cからなるかご枠8に、シート形スイッチ7が設置されたかご床1が設置され、当該かご床1の中央部の下の、かご床1と下枠8aとの間に荷重検出器2が設置されている。なお、シート形スイッチ7の各パネルに埋設されているスイッチは、重さに反応して作動するものではなく、人や物などの被検出体が当該パネル上に存在するか否かに反応して作動するもので、被検出体がパネル上に存在していればON、存在していなければOFFとなるものである。従って、各スイッチは、例えば、タッチパネルのような人や物の被検出体の接触を検知する構成のものであってもよく、あるいは、天井板4に設けられた天井照明からの光が人や物の被検出体によって遮蔽された場合に、それに反応して作動するような光センサ等から構成してもよい。すなわち、シート形スイッチ7の各スイッチは、重さを検出するものではなく、パネル上に人や物の被検出体が存在しているか否かを検出するためのものである。従って、体重の軽い子供も的確に検出することができる。
【0018】
図3は、本実施の形態に係るエレベーター負荷検出装置のブロック図を示す。図3において、符号2,6,7は、それぞれ、図1,2に示した、荷重検出器2、表示器6、シート形スイッチ7を示す。また、図3において、16はエレベーターを駆動するためのモータ、17は各階のエレベーター乗場に設けられた乗場カメラ、31はエレベーターの駆動を制御する制御装置である。制御装置31には、荷重検出器2と、シート形スイッチ7と、乗場カメラ17と、モータ16と、表示器6とが電気的に接続されている。また、制御装置31内には、2つのインターフェース回路10,18(以下、I/F回路10,18とする)と、CPU11と、メモリ12と、マルチプレクサ13と、制御装置トルク制御部14と、インバータ15とが設けられている。
【0019】
当該構成において、先ず、荷重検出器2で検出したかご荷重(荷重検出量)の値をI/F回路10でデジタル化し、CPU11の指令により、メモリ12へ格納する。また、シート形スイッチ7の16個の各スイッチのON/OFF状況のデータを、マルチプレクサ13により、順次、メモリ12へ格納する。次に、このシート形スイッチ7からのデータ(各スイッチのON/OFF状態情報とON状態のスイッチの位置情報)を元にCPU11で演算処理して重心位置を求め、当該重心位置に基づいて荷重検出器2の荷重検出量を補正演算して、制御装置トルク制御部14にトルクデータを出力する。それにより、インバータ15およびモータ16の動作を制御する。
【0020】
また、本実施の形態においては、各階の乗場に乗場カメラ17を設置しているため、その映像をI/F回路18でデータ変換し、CPU11で処理することにより、乗場の混雑状況などを判断する。その結果、かご内の乗客に注意喚起すべきと判定された場合には、表示器6により、かご内の乗客に対して映像及び/または音声で注意喚起する。
【0021】
図4は、メモリ12とCPU11との内部構成を示したブロック図である。図4に示すように、メモリ12内には、マルチプレクサ13を介して順次入力されるシート形スイッチ7の16個の各スイッチごとのON/OFF状況のデータを記憶するシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aと、シート形スイッチ7の16個の各スイッチごとの位置情報(x座標,y座標)を予め記憶したシート形スイッチ位置情報記憶部12bと、シート形スイッチ7の各スイッチごとの予想荷重を予め記憶した予想荷重テーブル記憶部12cと、表示器6から出力するための音声アナウンスデータや映像データ等を記憶した音声・映像データ記憶部12dと、エレベーターかご30内の荷重の重心位置別の補正係数の値を記憶した補正係数記憶部12eとが設けられている。また、CPU11には、シート形スイッチの各スイッチのON/OFF状況のデータをメモリ12から取り込み、ON状態のスイッチの位置情報から、エレベーターかご30内の荷重の重心位置を求め、当該重心位置に応じた補正係数を補正係数記憶部12eから求める補正係数算出手段11aと、荷重検出器2で検出されたかご荷重の値を補正係数算出手段11aから出力される補正係数で補正し、補正後のかご荷重を算出するかご荷重算出手段11bと、かご荷重算出手段11bで算出した補正後のかご荷重と予想荷重テーブルに基づく予想荷重の合計との差が予め定められた異常判定閾値を超えた場合に荷重検出器2またはシート形スイッチ7のいずれかが異常であると判定する異常判定手段11cと、表示器6の音声または映像の出力を制御する表示器制御手段11dとが設けられている。CPU11には、さらに、挟まれ防止判定手段11e、乗場映像解析手段11f、閉じ込め防止判定手段11gが設けられているように図4には記載されているが、これらの手段については、後述する実施の形態2,3,4でそれぞれ説明するものであるため、本実施の形態においては、これらは特に設ける必要はない。
【0022】
図5は、メモリ12のシート形スイッチ位置情報記憶部12bに記憶される、かご床1に設けられたシート形スイッチ7を16分割した場合の各パネルに埋設されたスイッチの(x,y)位置情報の例を示す。荷重検出器2の位置を(x,y)=(0,0)とし、右半分のx座標を正、左半分のx座標を負、上半分のy座標を正、下半分のy座標を負とし、各パネルに埋設されたスイッチの(x,y)位置情報が割り当てられている。
【0023】
また、図6は、メモリ12の補正係数記憶部12eに記憶される、エレベーターかご30内の荷重の重心位置ごとの補正係数の値の例を示す。図6に示すように、荷重検出器2から重心位置までの距離をLとすると、距離Lの値が0のとき、補正係数kは「1」と設定され、距離Lの値が0<L≦A(Aは予め設定された所定の値)の範囲であれば、補正係数kは「係数α」と設定され(αは予め設定された所定の値、但し、1<α)、距離Lの値がA≦L≦B(Bは予め設定された所定の値、但し、A<B)の範囲であれば、補正係数kは「係数β」と設定され(βは予め設定された所定の値、但し、α<β)、距離Lの値がB<Lの範囲であれば、補正係数kは「係数γ」と設定されている(γは予め設定された所定の値、但し、β<γ)。α,β,γの値は予め設定されるもので、実験等による実測値に基づいて適宜その値を設定するか、コンピュータシミュレーション等により適宜設定するようにしてもよい。
【0024】
メモリ12の予想荷重テーブル記憶部12cに記憶された予想荷重テーブルは、荷重検出器2およびシート形スイッチ7の異常(故障)判定に用いられるものである。これについては、後述する。
【0025】
図7は、本実施の形態に係るエレベーター負荷検出装置の演算プログラムを示したフローチャートである。図3〜図7に基づいて、本実施の形態に係るエレベーター負荷検出装置の動作について説明する。先ず、乗客がエレベーターかご30内に乗車し、戸閉指令後(ステップS1)に、荷重検出器2でエレベーターかご30内のかご荷重を検出し、検出荷重量として検出値Ghを出力する(ステップS2)。続けて、シート形スイッチ7の各スイッチからのON/OFF状況のデータがマルチプレクサ13を介してメモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aに記憶される。当該記憶された各スイッチからのON/OFF状況のデータには、当該スイッチがONかOFFかを示す信号と、当該スイッチを特定するためのID情報(スイッチの識別番号)を示す信号とが含まれている。CPU11は、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aに記憶されたデータのID情報に基づいて、ON状態のスイッチの位置情報を、メモリ12のシート形スイッチ位置情報記憶部12bに記憶された各スイッチの位置情報から読み出し、読みだした各ON状態のスイッチの(x,y)位置情報のx座標およびy座標別の数値の総和(X,Y)を求める(ステップS3)とともに、ON状態のシート形スイッチのスイッチ数Nを求め(ステップS4)、当該総和(X,Y)をx座標およびy座標ごとにNで割って、重心位置(Xg,Yg)=(X/N,Y/N)を求める(ステップS5)。求めた重心位置(Xg,Yg)の値を、以下の(1)式に代入し、荷重検出器2から重心位置までの距離Lを求める(ステップS6)。
【0026】
【数1】

【0027】
次に、CPU11は、求めた距離Lの値に対応する補正係数kを、メモリ12の補正係数記憶部12eから読み出す。すなわち、距離Lの値が0か否かを判定し(ステップS7)、0であれば、補正係数kとして「1」を読み出し(ステップS10)、距離Lの値が0<L≦A(Aは予め設定された所定の値)の範囲であれば(ステップS8)、補正係数kとして「係数α」の値を読み出し(ステップS11)、距離Lの値がA≦L≦B(Bは予め設定された所定の値、但し、A<B)の範囲であれば(ステップS9)、補正係数kとして「係数β」の値を読み出し(ステップS12)、距離Lの値がB<Lの範囲であれば(ステップS9)、補正係数kとして「係数γ」を読み出して、以下の(2)式に示すように、読みだした当該補正係数kを荷重検出器2で検出した検出値Ghに乗じて(ステップS10〜S13)、補正係数kによる補正後の検出値Gfを算出する(ステップS14)。
【0028】
【数2】

【0029】
このように、本実施の形態に係るエレベーター負荷検出装置は、かご床1下の中央部に設置されてエレベーターかご30内のかご荷重に応じた信号を出力する荷重検出器2と、かご床面全体に設置されて複数のスイッチを埋設したシート形スイッチ7と、シート形スイッチ7の各スイッチのON/OFF状況を示す信号を取り込み、ON状態のスイッチの位置情報から、かご内荷重の重心位置に対応する補正係数を算出する補正係数算出手段11aと、荷重検出器2の出力を補正係数算出手段11aの出力で補正し、補正後のかご荷重を算出するかご荷重算出手段11bとを備えるようにしたので、エレベーターかご30内の乗客の位置が偏っている場合であっても、シート形スイッチ7により、かご内の乗客の位置を特定して重心位置を求め、荷重検出器2が計測した検出値に、かご荷重の重心位置別補正係数を乗算することにより、1個の荷重検出器2で精度の高い荷重検出が可能となる。
【0030】
さらに、本実施の形態においては、CPU11内に異常判定手段11cが設けられている。これにより、かご荷重算出手段11bで算出されたかご荷重とメモリ12の予想荷重テーブル記憶部12cの予想荷重テーブルに基づく予想荷重の合計との差が、予め定められた異常判定閾値を超えた場合に、荷重検出器2またはシート形スイッチ7のいずれかが異常と判定する。
【0031】
予想荷重テーブルについて説明する。シート形スイッチ7の各スイッチが作動した場合のスイッチ毎の予想荷重を求めて、それを、メモリ12の予想荷重テーブル記憶部12cに予め記憶しておく。各スイッチ毎の予想荷重は、人間の一般的な平均体重を基に演算により求めてもよく、あるいは、設計段階で実際に各パネル上に平均体重程度の人を乗せて実測し、実測値を基に、予想荷重を決定してもよい。また、各スイッチ間で予想荷重を互いに異なる値にしてもよく、あるいは、同じ値にしてもよい。予想荷重の決定方法については、エレベーターのタイプや、エレベーターのサイズ等に応じて、適宜、決定してよいものとする。また、平均体重の決め方についても、エレベーターの設置環境あるいは使用環境(子供も多く使用する施設か、大人が主に使用するビジネスビルか等)などに応じて、適宜、決定する。
【0032】
異常判定手段11cは、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aのシート形スイッチ7の各スイッチのON/OFF状況を参照し、ON状態のスイッチの予想荷重を予想荷重テーブル記憶部12cの予想荷重テーブルから読み出す。次に、異常判定手段11cは、読みだした予想荷重の総和を求め、かご荷重算出手段11bで算出された荷重との差を求める。当該差が、予め定められた異常判定閾値を超えた場合に、異常判定手段11cは、荷重検出器2またはシート形スイッチ7のいずれかが異常と判定する。これにより、荷重検出器2またはシート形スイッチ7の相互の異常検出が可能となる。
【0033】
以上のように、本実施の形態1においては、格子状にスイッチが埋設されたシート形スイッチ7をエレベーターかご30のかご床1の床面全体に設け、当該シート形スイッチ7の各スイッチからのON/OFF状況を示す信号に基づいて、かご内の乗客の位置を特定し、それにより、かご内荷重の重心位置を求め、当該重心位置に基づく補正係数により、かご床1の中央部に設けられた単一の荷重検出器2で検出した検出値を補正するようにしたので、偏荷重による検出誤差の問題を解消でき、かご内の乗客の位置が偏っている場合であっても、シート形スイッチ7を組み合わせることにより、1つの荷重検出器2で、精度の高い荷重検出が可能となる。
【0034】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、エレベーター負荷検出装置における、かご内乗客の立ち位置に対する注意を喚起する制御動作について説明する。エレベーターかご30およびエレベーター負荷検出装置の基本的な構成は、実施の形態1で説明したものと基本的に同じであるため、ここでは、その説明は省略する。実施の形態1と本実施の形態2との違いは、本実施の形態2においては、CPU11に、図4に示す、挟まれ防止判定手段11eがさらに設けられている点である。
【0035】
図8は、本実施の形態を説明するためのシート形スイッチ7を示した図である。図8に示すように、本実施の形態においては、かご扉5近傍の2つのスイッチ、すなわち、(−1,2)座標のスイッチおよび(1,2)座標のスイッチをそれぞれスイッチaおよびスイッチbと呼ぶこととする。
【0036】
図9は、本実施の形態2に係るかご内乗客の立ち位置に対する注意を喚起する制御動作を示したフローチャートである。CPU11の挟まれ防止判定手段11eは、図9に示すように、まず、乗客がエレベーターかご30内に乗込んだ後、戸開閉指令出力後に(ステップS20)、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aのデータを参照して、かご扉5付近のシート形スイッチ7の各スイッチのうち、「スイッチaのみがON」(条件1)又は「スイッチbのみがON」(条件2)又は「スイッチaとスイッチbのみがON」(条件3)のいずれかが検知されたか否かを判定し(ステップS21)、それらの条件1〜3のうちのいずれかの条件が検知されていた場合に、表示器制御手段11dに対して信号を出力する。表示器制御手段11dは、当該信号を受けて、メモリ12の音声・映像データ記憶部12dから、かご扉5から離れるよう注意喚起を行うための、「扉が閉まります。扉から離れて、お乗りください。」などのアナウンス音声データ及び/または映像データを読み出し、表示器6にて、それらの音声データ及び/または映像データを出力し、かご扉5から離れるように乗客に注意喚起する(ステップS22)。なお、映像データは、注意喚起する上記例のようなメッセージ内容の文字データや、エレベーター乗務員をかたどったデジタル画像や、それが会釈をする様子などを表したデジタル動画像などが、例として挙げられる。挟まれ防止判定手段11eは、表示器6による音声または映像の出力が実施された時刻からの経過時間を計測し、5秒経過後に、ステップS21の処理に戻り、再度、「スイッチaのみがON」又は「スイッチbのみがON」又は「スイッチaとスイッチbのみがON」のいずれかが検知されたか否かを判定し(ステップS21)、これらの条件のすべてから外れるまで、ステップS21、S22の処理を繰り返し実施し、いずれの条件もステップS21で検知されなくなったら、乗客がかご扉5から離れたものと判定し、かご扉5の戸開閉動作を行う(ステップS23)。
【0037】
他の動作については、上記の実施の形態1と同じであるため、ここではその説明は省略する。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においてはCPU11に挟まれ防止判定手段11eを設け、それにより、かごの戸開閉時に、シート形スイッチ7の予め定められたかご扉5に近い位置のスイッチa,bの作動の有無を検出し、当該作動が検知された場合に、表示器制御手段11dに信号を出力し、表示器6により、乗客に対してかご扉5から離れるように注意喚起するアナウンスを行うようにしたので、これにより、かご扉5に近接している乗客に対し、かご扉5への服や持ち物の挟まれを防止するよう注意喚起することができる。
【0039】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、エレベーター負荷検出装置における、乗客乗り込み時に、エレベーターかご30内の乗客に、奥の方に詰めて乗車するように注意喚起する制御動作について説明する。エレベーターかご30およびエレベーター負荷検出装置の基本的な構成は、実施の形態1で説明したものと基本的に同じであるため、ここでは、その説明は省略する。上述の実施の形態1,2と本実施の形態3との違いは、本実施の形態3においては、CPU11に、図4に示す乗場映像解析手段11fがさらに設けられている点である。
【0040】
図10は、本実施の形態3に係る、エレベーターかご30内の乗客に、奥の方に詰めて乗車するように注意喚起する制御動作を示したフローチャートである。乗車待ち階にエレベーターかご30が到着し、戸閉指令発生後に(ステップS30,31)、CPU11の乗場映像解析手段11は、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12aのデータを参照し、シート形スイッチ7のスイッチのうち、すべてがON状態か否か(OFF状態のものが無いか)を判定し(ステップS32)、OFF状態のものもあった場合には、エレベーターかご30が着床した階に設置された乗場カメラ17により、乗場の映像を撮影する。当該乗場の映像は、I/F回路18でデータ変換され、乗場映像解析手段11fで画像処理されて、乗場映像解析手段11に入力される。乗場映像解析手段11は、当該画像処理結果から、乗場の混雑状況を判断する。それにより、乗場にまだ乗車待ちをしている人がいると判定した場合(ステップS33)には、乗場映像解析手段11fは、表示器制御手段11dに信号を出力する。表示器制御手段11dは、当該信号を受けて、メモリ12の音声・映像データ記憶部12dから、詰めて乗車するように注意喚起を行うための、「お乗りになれないお客様がいます。もう少し、奥にお繰り合わせ下さい。」などのアナウンス音声データ及び/または映像データを読み出し、表示器6にて、それらの音声データ及び/または映像データを出力し、詰めて乗車するように乗客に注意喚起する(ステップS34)。なお、映像データは、注意喚起する内容の表示文字のメッセージデータや、エレベーター乗務員をかたどったデジタル画像や、それが会釈をする様子などを表したデジタル動画像などが、例として挙げられる。乗場映像解析手段11fは、表示器6による音声または映像の出力の時刻からの経過時間を計測し、5秒後に、ステップS32,S33の処理に戻り、再度、シート形スイッチ7のスイッチのうち、すべてがON状態か否か(OFF状態のものが無いか)を判定し(ステップS32)、乗場カメラ17からの映像に基づいて、乗場に乗車待ちの人がいなくなるまで、ステップS32〜S34の処理を繰り返し実施し、ステップS33で乗場において乗車待ちの人が検知されなくなったら、乗客が全員乗客できたものと判定し、かご扉5の戸開閉動作を行う(ステップS35)。
【0041】
なお、当然のことながら、一般的にエレベーターには最大積載量が定められているので、図10のフローチャートと並行に図7のフローチャートの処理を行い、ステップS14で検出した負荷荷重値Gfの値が最大積載量を超えた場合には、図10のフローチャートの処理に対して割り込み処理を行って、表示器6により、定員オーバーの旨を音声及び/または映像により、乗客に知らせて、乗り過ぎの分の乗客には、降りてくれるように、注意喚起する。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、上述の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、CPU11に乗場映像解析手段11fを設け、それにより、戸閉指令時に、シート形スイッチ7のすべてのスイッチがON状態とならず、OFF状態のスイッチが検出され、かつ、乗場カメラ17の映像により、乗場に乗りきれない乗客が残っていると判断された場合に、表示器6により、エレベーターかご30内の乗客に、奥の方に詰めて乗車するように注意喚起するようにしたので、実際には余裕があるのに、かご内の乗客が奥に詰めないことにより、エレベーターに乗れなくなってしまう乗客が発生することを防止することができる。表示器6のアナウンスにより、注意喚起するので、スムーズに乗客を誘導し、余裕がある限り、エレベーターかごに乗客を乗せるように促すことができるので、一度に出来るだけ多くの人を運搬することができ、運搬効率をアップさせることができる。
【0043】
なお、ステップS30のエレベーター到着時からステップS32の判定の処理を開始するまでの時間は、エレベーター運行上特に問題のない範囲で、適宜、決定すればよい。一般的に、エレベーターが目的階に到着してから戸閉を開始するまでの時間(以下、時間Aと呼ぶ)は、エレベーターごとに予め設定されているので、上記の説明においては、エレベーターの到着から時間Aが経過した後に、ステップS32の判定を行うように説明したが、その場合に限らず、エレベーターの到着から時間A経過前の、例えば、時間Aの半分の時間が経過した時点で、ステップS32の判定を行うようにしてもよい。すなわち、乗場カメラ17の映像から、乗場が混雑していると判定した場合には、エレベーターの到着から時間Aが経過する前の時点で、かご内の乗客に奥に詰めるように注意喚起する。そうすることで、エレベーターの出発が遅れることなく、スムーズに運行することができる。あるいは、エレベーターが到着する前のエレベーター走行中に、ステップS32、S33の判定を予め行なうようにして、エレベーター到着とともに、ステップS34の注意喚起を行うようにしてもよく、その場合には、さらに、エレベーターの出発が遅れることなく、スムーズに運行することができる。
【0044】
実施の形態4.
本実施の形態4においては、運転休止モード中のエレベーターかご30内に閉じ込められた乗客に、外に出るように注意喚起する制御動作について説明する。本実施の形態においては、さらに、閉じ込め防止判定手段11gを設け、それにより、節電等の理由によりエレベーターを運転休止モードに移行した後に、無人であるはずのエレベーターかご30内において、シート形スイッチ7のいずれかのスイッチにおいて、ONからOFF、または、OFFからONの変化が発生した場合に、エレベーターかご30内に、乗客がとり残されている可能性が高いと判定し、エレベーターの運転を復帰させ、かご扉5を戸開して、表示器6により音声または映像を出力して、かご内から外に出るように注意喚起する。エレベーターかご30およびエレベーター負荷検出装置の基本的な構成は、実施の形態1で説明したものと基本的に同じであるため、ここでは、その説明は省略する。実施の形態1〜3と本実施の形態4との違いは、本実施の形態4においては、CPU11に、図4に示す閉じ込め防止判定手段11gがさらに設けられている点である。
【0045】
図11は、本実施の形態4に係る、運転休止モード中のエレベーターかご30内に閉じ込められた乗客に、外に出るように注意喚起する制御動作を示したフローチャートである。まず、閉じ込め防止判定手段11gは、運転休止モードに移行した(ステップS40)後に、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12bのデータを確認して、シート形スイッチ7のいずれかのスイッチにてON→OFFの変化またはOFF→ONの変化が発生していないかを周期的に判定し(ステップS41)、そのような変化が発生した場合に、エレベーターかご30内に乗客がいる可能性が高いと判定し、エレベーターの運転を復帰し、戸開指令を発生して、かご扉5の戸開をする(ステップS42)。また、その際に、閉じ込め防止判定手段11gは、表示器制御手段11dに信号を出力する。表示器制御手段11dは、当該信号を受けて、メモリ12の音声・映像データ記憶部12dから、音声及び/または映像により、エレベーターかご30内から外に出るように注意喚起を行うための、「このエレベーターは、運転休止中です。速やかに、お降り下さい」といった、アナウンス音声データ及び/または映像データを読み出し、表示器6にて、それらの音声データ及び/または映像データを出力し、速やかに降りるように乗客に注意喚起する(ステップS43)。なお、映像データは、注意喚起する内容の表示文字のメッセージデータや、エレベーター乗務員をかたどったデジタル画像や、それが会釈をする様子などを表したデジタル動画像などが、例として挙げられる。その後、閉じ込め防止判定手段11gは、再度、メモリ12のシート形スイッチON/OFF状況データ記憶部12bのデータを確認して、所定時間の間、いずれのスイッチでも変化がないことを確認するか、あるいは、乗場カメラ17の映像により乗客がかご内から降りたことを確認するか、もしくは、その両方を行って、エレベーターかご30内に乗客がいないことを確認した後に、運転休止モードに入る。あるいは、ステップS41の時点では動いていた乗客がその後気分が悪くなる等してエレベーターかご30内で動けなくなっている可能性もあるため、閉じ込め防止判定手段11gは、図11のステップS40からステップS43までの処理を行った後に、例えば、警備員室のディスプレイ等に「エレベーターの○○号機で、閉じ込め発生の可能性あり」という表示を行う等で通報し、警備員などの人間に、エレベーターかご30内の様子を念のため確認するように促すようにしてもよい。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1〜3と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、閉じ込め防止判定手段11gを設けて、運転休止モード中のエレベーターかご30内に閉じ込められた乗客がいる場合には、それを検知して、エレベーターの運転を復帰させ、かご扉5を戸開し、表示器6により音声または映像によりかご内から外に出るように注意喚起するようにしたので、荷重検出器2では検知しにくい、軽量の子供等であっても確実に検知でき、閉じ込み防止効果を得ることができる。
【0047】
なお、上記の実施の形態1の説明において、シート形スイッチ7の各スイッチについて、天井照明からの光に反応する光センサであってもよい旨を説明したが、本実施の形態においては、運転休止モード中に、乗客の有無を検知しなければならないため、天井照明は消灯されていることが予想されるため、シート形スイッチ7の各スイッチは、パネルにものが接触しているか否かを検知するタッチパネル式の方が望ましい。
【0048】
以上、上述の実施の形態1〜4で説明したように、かご床下の中央部に設置した荷重検出器1個では偏荷重に対して検出誤差を発生してしまうため、本発明は、荷重検出器をシート形スイッチと組み合わせることにより、荷重検出器1個で精度の高い荷重検出ができ、さらに、荷重検出器の異常も判定できるようにしたものである。
【0049】
本発明は、エレベーター荷重検出装置において、かご床1下の中央部に設置し、かご内の積載荷重に応じて信号を出力する荷重検出器2と、かご床面全体に設置し、複数のスイッチを埋設したシート形スイッチ7と、シート形スイッチ7の各スイッチの信号を取り込み、信号の検出位置からかご内荷重の重心位置の補正係数を算出する補正係数算出手段11aと、荷重検出器2の出力と補正係数算出手段11aの出力からかご荷重を算出するかご荷重算出手段11bとを備えるようにしたので、これにより、かご内の乗客の位置が偏っている場合であっても、重心位置別の補正係数で荷重検出器2の検出値を補正するようにしたため、荷重検出器1個で精度の高い荷重検出が可能となる。
【0050】
また、本発明においては、シート形スイッチ7の各スイッチが作動した場合の各スイッチごとの予想荷重を記憶した予想荷重テーブルを格納する予想荷重テーブル記憶部12cと、かご荷重算出手段11bで算出された荷重と予想荷重テーブルに基づく予想荷重の合計との差が、予め定められた異常判定閾値を超えた場合に、荷重検出器2またはシート形スイッチ7のいずれかが異常と判定する異常判定手段11cをさらに備えるようにしたので、これにより、シート形スイッチ7および荷重検出器2の相互の異常検出ができる。
【0051】
また、本発明においては、かご内に音声および映像が出力できる表示器6を備え、挟まれ防止判定手段11eにより、かごの戸開閉時に、シート形スイッチ7の予め定められた位置(かご扉付近)のスイッチが作動しているか否かを検出し、作動を検出した場合には、かご扉5から離れるように注意喚起するアナウンスを表示器6により行うようにしたので、これにより、かご扉5に近接している乗客に対し、注意喚起のアナウンスを行うことができ、かご扉5への衣服や荷物などの挟まれを防止することができる。すなわち、シート形スイッチ7は、引き込まれ防止センサーとしても利用できる。
【0052】
また、本発明においては、乗場を撮影する乗場カメラ17を備え、乗場映像解析手段11fが、シート形スイッチ7によりかご内に余剰空間があると検知し、乗場カメラ17で乗客が多いと判断した場合は、表示器6により、詰めて乗るように、かご内に注意喚起をするようにしたので、運搬効率をアップすることができる。
【0053】
また、本発明においては、閉じ込め防止判定手段11gを備え、運転休止モード中のエレベーターかご内で、シート形スイッチ7のいずれかのスイッチで変化があった場合に、エレベーターの運転を復帰し、戸開をして、表示器6により、外に出るように注意喚起するようにしたので、荷重検出器2では検出しにくい軽量の子供等であっても確実に検知でき、閉じ込め防止作用を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 かご床、2 荷重検出器、3 側板、4 天井板、5 かご扉、6 表示器、7 シート形スイッチ、8 かご枠、9 かご操作盤、10 I/F回路、11 CPU、12 メモリ、13 マルチプレクサ、14 制御装置トルク制御部、15 インバータ、16 モータ、17 乗場カメラ、18 I/F回路、30 エレベーターかご。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご床下の中央部に設置され、かご内荷重負荷を検出する荷重検出器と、
かご内の被検出体を検知するためにかご床面全体に対して複数のスイッチを配置させたシート形スイッチと、
前記シート形スイッチの各スイッチのON/OFF状況のデータを取り込み、ON状態のスイッチの位置情報に基づいて、前記被検出体の位置を特定し、かご内荷重の重心位置を求め、当該重心位置に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記荷重検出器により検知された前記かご内荷重負荷の値に前記補正係数算出手段により算出された前記補正係数を乗算することにより、当該かご内荷重負荷の値を補正して出力するかご荷重算出手段と
を備えたことを特徴とするエレベーター負荷検出装置。
【請求項2】
前記シート形スイッチの各スイッチが作動した場合の各スイッチごとの予想荷重を記憶した予想荷重記憶手段と、
前記かご荷重算出手段で補正された前記かご内荷重負荷と前記予想荷重の値に基づくON状態のスイッチの予想荷重の合計との差が予め定められた異常判定閾値を超えた場合に、前記荷重検出器または前記シート形スイッチのいずれかが異常と判定する異常判定手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベーター負荷検出装置。
【請求項3】
前記シート形スイッチの各スイッチのうち、かご扉近傍の予め定められた位置に設けられたスイッチが作動しているか否かを検出するための挟まれ防止判定手段をさらに備え、
前記挟まれ防止手段により、エレベーターかごの戸開閉時に、かご扉近傍の前記スイッチの作動が検出された場合に、エレベーターかごに設けられた音声発生手段により、前記かご扉から離れるように乗客に注意喚起するためのアナウンス音声を出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベーター負荷検出装置。
【請求項4】
前記シート形スイッチのすべてのスイッチが作動しているか否かを判定するとともに、エレベーターの到着階の乗場に設置された乗場カメラの映像により乗車待ちの人がいるか否かを判定するための乗場映像解析手段をさらに備え、
前記乗場映像解析手段により、エレベーター到着の際に、前記シート形スイッチのスイッチで作動していないものがあると判定するとともに、前記乗場カメラの映像により乗車待ちの人がいると判定した場合に、エレベーターかごに設けられた音声発生手段により、かご内の乗客に対して詰めて乗るように注意喚起するためのアナウンス音声を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエレベーター負荷検出装置。
【請求項5】
エレベーターの運転休止中に、前記シート形スイッチの各スイッチでON/OFF状況に変化があるか否かを周期的に確認し、変化があった場合に、エレベーターの運転を復帰させ、戸開を行うための閉じ込め防止手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエレベーター負荷検出装置。
【請求項6】
エレベーターのかご床下の中央部に設置された荷重検出器でかご内荷重負荷を検出するステップと、
かご内の被検出体の有無を検知するためにかご床面全体に対して配置された複数のスイッチを有するシート形スイッチの各スイッチのON/OFF状況のデータを取り込むステップと、
取り込んだ前記データからON状態のスイッチの位置情報を求め、当該位置情報に基づいて被検出体の位置を特定し、かご内荷重の重心位置を求めるステップと、
求めた前記重心位置に応じた補正係数を算出するステップと、
前記荷重検出器により検出された前記かご内荷重負荷の値に、算出された前記補正係数を乗算することにより、当該かご内荷重負荷の値を補正して出力するステップと
を備えたことを特徴とするエレベーター負荷検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−23352(P2013−23352A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160596(P2011−160596)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】