エレベータ制御システム
【課題】住民のプライバシーやセキュリティを向上させることのできるエレベータ制御システムを提供する。
【解決手段】エレベータ籠2には、一対の扉3と操作盤10を備える。玄関フロア60には、住民を認証する認証機5を備える。居住フロア70には、一対のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を居宅玄関72につなぐ廊下74を備える。操作盤10には、各居住フロア70のエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11を配列する。そして、玄関フロア60の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、エレベータ籠2が着床したときには、そのエレベータ乗降口73に対応する側の扉3が、開放されるように設ける。
【解決手段】エレベータ籠2には、一対の扉3と操作盤10を備える。玄関フロア60には、住民を認証する認証機5を備える。居住フロア70には、一対のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を居宅玄関72につなぐ廊下74を備える。操作盤10には、各居住フロア70のエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11を配列する。そして、玄関フロア60の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、エレベータ籠2が着床したときには、そのエレベータ乗降口73に対応する側の扉3が、開放されるように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のエレベータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅においては、一般的に、複数の居宅が位置する居住フロアと、玄関フロアとの間を移動するために、エレベータ籠が上下動自在に設置されている。このエレベータ籠として、近年は、互いに別方向にむけて開放される複数(例えば一対)の扉を備え、それぞれの扉が専用のエレベータ乗降口につながるように設けたものがある(特許文献1参照)。各居宅の住民は、自宅玄関からつながるエレベータ乗降口を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−171442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のエレベータを備える集合住宅では、他のエレベータ乗降口に降りること自体は自由である。つまり、集合住宅の住民が、自宅につながるエレベータ乗降口以外の他のエレベータ乗降口に降りることは、特に制限されない。また、ある居宅を訪ねた客が、その居宅につながるエレベータ乗降口以外の他のエレベータ乗降口に降りることも、特に制限されない。そのため、プライバシーやセキュリティを保つという点では不十分である。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、住民のプライバシーやセキュリティを向上させることのできるエレベータ制御システムを提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のエレベータ制御システムを、下記の特徴を備えたものとする。
【0007】
本発明のエレベータ制御システムは、複数の居宅が位置する居住フロアと玄関フロアとの間を上下移動するようにエレベータ籠を設置した集合住宅のエレベータ制御システムであって、エレベータ籠には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉と、エレベータ籠の行き先を登録する操作盤とを備え、玄関フロアには、各居宅の住民を認証する認証機を備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を対応する居宅の居宅玄関につなぐ廊下とを備え、エレベータ籠の操作盤には、各居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、玄関フロアの認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けたことを特徴とする。
【0008】
また、エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ操作可能となるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0009】
また、エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、集合住宅は、住民用の共用スペースが位置する共用フロアを有し、エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、行き先として登録可能となるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0010】
また、エレベータ籠の操作盤では、玄関フロアに対応する登録ボタンを、認証機での認証結果に関わらず、行き先として登録自由に設けていることを、更なる特徴としてもよい。
【0011】
また、各居宅の住民を認証する認証機は、居宅ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダであることを、更なる特徴としてもよい。
【0012】
また、各居宅には、インターホンと訪問許可ボタンとを備え、玄関フロアには、各居宅のインターホンと通話可能な集合玄関機を備え、各居宅の訪問許可ボタンを操作したときに、その居宅の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応した登録ボタンが、所定時間内だけ操作盤で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0013】
また、エレベータ籠には扉を一対備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えたことを、更なる特徴としてもよい。
【0014】
また、集合住宅は、単一居宅が位置する単一居住フロアをさらに有し、この単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を単一居宅が有する居宅玄関と第二玄関のいずれかにつなぐ廊下とを備え、エレベータ籠の操作盤には、単一居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、玄関フロアの認証機で単一居宅の住民を認証したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、優先的に自動登録されるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0015】
このとき、エレベータ籠には扉を一対備え、単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えたことを、更なる特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、集合住宅に備えたエレベータ籠の制御によって、集合住宅の住民のプライバシーやセキュリティを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のエレベータ制御システムの概略構成図である。
【図2】同上のエレベータ制御システムを用いた集合住宅の地下1階フロアの平面図である。
【図3】同上の集合住宅の1階フロアの平面図である。
【図4】同上の集合住宅の2、3階フロアの平面図である。
【図5】同上の集合住宅の4階フロアの平面図である。
【図6】同上の集合住宅の5階フロアの平面図である。
【図7】同上の集合住宅のエレベータ籠内の制御盤の正面図である。
【図8】住民が帰宅するケースのエレベータ制御を示す説明図である。
【図9】5階の住民が帰宅するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図10】住民が外出するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図11】住民が他の居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図12】客が居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図13】客が居宅を訪問する他ケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図14】客が5階の居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図14は、本発明の一実施形態のエレベータ制御システムについて示している。
【0019】
図1には、本実施形態のエレベータ制御システムの構成を、概略的に示している。図2〜図6には、本実施形態のエレベータ制御システムを用いてエレベータ制御を行う集合住宅の、各階フロアを示している。図7には、エレベータ籠内の制御盤を示している。図8〜図14には、本実施形態のエレベータ制御システムでのエレベータ制御を、状況に分けてフローで示している。以下においては、これら添付図面に基づいて、本実施形態のエレベータ制御システムについて説明する。
【0020】
まず、集合住宅の基本的な構造について説明する。この集合住宅は、地下1階のフロアと、1階〜5階のフロアを有するマンションである。図2に示す地下1階が、玄関フロア60である。玄関フロア60には、マンション出入口50に通じる風除室61、風除室61に集合玄関扉1を介してつながるエントランス62、エントランス62につながるエレベータホール63、エレベータホール63に設けたエレベータ乗降口64、等が位置する。
【0021】
図3〜図6に示す1階〜5階が、住民の居住する居住フロア70である。各居住フロア70には、一つ又は複数の居宅71が位置し、各居宅71の居宅玄関72が、その居宅玄関72と対応するエレベータ乗降口73に廊下74を介してつながっている。
【0022】
図3に示す1階の居住フロア70は、部屋番号「101」〜「104」の四軒の居宅71を有する。同様に、図4に示す2階、3階の居住フロア70は、それぞれ部屋番号「201」〜「204」、「301」〜「304」の四軒の居宅71を有する。図5に示す4階の居住フロア70は、部屋番号「401」、「402」の二軒の居宅71を有し、図6に示す5階の居住フロア70は、部屋番号「501」の単一の居宅71を有する。
【0023】
1階〜5階の各居住フロア70には、一対のエレベータ乗降口73を独立して設けている。また、各居住フロア70には、エレベータ乗降口73と一対一で対応するように、廊下74を一対設けている。廊下74同士は、建物構造により隔離させて設けている。
【0024】
1階〜3階の居住フロア70では、居宅71が四軒である(図3、図4参照)。そのため、一つのエレベータ乗降口73は、これに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が二軒の居宅71の居宅玄関72につながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、二軒の居宅71専用のものとして機能する。
【0025】
4階の居住フロア70では、居宅71が二軒である(図5参照)。そのため、一つのエレベータ乗降口73は、これに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が一軒の居宅71の居宅玄関72につながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、一軒の居宅71専用のものとして機能する。
【0026】
5階の居住フロア70では、居宅71が一軒である(図6参照)。この単一の居宅71(以下「単一居宅71a」という。)は、居宅玄関72とは別に第二玄関75(勝手口)を有する。そのため、一つのエレベータ乗降口73がこれに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が、単一居宅71aの居宅玄関72に専用でつながるように設けている。また、残り一つのエレベータ乗降口73はこれに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が、単一居宅71aの第二玄関75に専用でつながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、単一居宅71aのメインのエントランス専用として機能し、もう一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、単一居宅71aのサブエントランス専用として機能する。
【0027】
これら複数の居住フロア70と玄関フロア60との間を上下移動するように、集合住宅の中央部にはエレベータ籠2を設置している。エレベータ籠2は、二方向から出入自在のタイプであり、一対の扉3を、互いに別方向(反対方向)にむけて開放されるように備えている。これらエレベータの制御は、図1に示すエレベータ制御部7により行う。
【0028】
地下1階の玄関フロア60では、エレベータ籠2の一対の扉3のうち一方が、エレベータホール63のエレベータ乗降口64にむけて開放される。1階〜5階の居住フロア70では、一対の扉3のうち一方が、これに一対一で対応するエレベータ乗降口73にむけて開放され、一対の扉3のうち他方が、これに一対一で対応する別のエレベータ乗降口73にむけて開放される。つまり、開放される扉3によって、その扉3からエレベータ乗降口73および廊下74を通じて行き着くことのできる居宅玄関72(又は第二玄関75)が相違する。
【0029】
以上、集合住宅の基本的な構造について述べた。以下においては、本実施形態のエレベータ制御システムをなす各構成について、さらに詳しく説明する。
【0030】
図1、図2に示すように、玄関フロア60の風除室61には、集合玄関機4を設置している。この集合玄関機4には、各居宅71の住民を認証する認証機5として、カードキー(図示略)のデータを非接触で読み取るカードリーダ6を接続させている。カードキーは居宅71ごと専用に設けたものであり、そのカードキーのデータを読み取ることで、どの居宅(例えば「301」号室等)の住民であるかを認識することができる。
【0031】
同様の認証機5は、玄関フロア60のエレベータホール63と、さらにエレベータ籠2内にも設置している。エレベータホール63の認証機5は、“玄関フロア60側の認証機5”をなすものであり、同様のカードリーダ6により構成される。エレベータ籠2内の認証機5は、操作盤10に配置され、やはり同様のカードリーダ6により構成される(図7参照)。なお、認証機5としてはカードリーダ6に限定されず、各居宅71の住民を認証できるものであれば、暗証番号入力、指紋認証等の他の方式の機器を用いてもよい。
【0032】
エレベータ籠2内の操作盤10は、図7に示すような多数の登録ボタン11を配したものであり、これら登録ボタン11を操作することで、行き先を登録することができる。登録ボタン11は、1階〜5階の各居住フロア70にある一対のエレベータ乗降口64と一対一に対応する形で、マトリクス状に配列させている。
【0033】
つまり、1階〜3階の居住フロア70においては、一つの登録ボタン11が二軒の居宅71に対応する。4階の居住フロア70においては一つの登録ボタン11が一軒の居宅71に対応し、5階の居住フロア70においては二つの登録ボタン11が一軒の居宅71に対応する。
【0034】
図1に示すように、各居宅71には、インターホン20と、訪問許可ボタン21を配置している。インターホン20は、玄関フロア60に配した集合玄関機4との間で通話を行うためのものである。訪問許可ボタン21は、その居宅71への訪問を許可するためのものである。この訪問許可ボタン21を操作することで、エレベータ制御システム全体をコントロールするシステム制御部8に対して、訪問許可指令が出力される。
【0035】
本実施形態のエレベータ制御システムでは、システム制御部8によって、以下に述べるような制御が行われる。図8や図9は、住民が帰宅した際のエレベータ制御について示している。
【0036】
マンション出入口50から玄関フロア60の風除室61に入った住民はまず、集合玄関機4のカードリーダ6に自らのカードキーをかざして集合玄関扉1を開放させ、集合玄関扉1およびエントランス62を通過してエレベータホール63にまで至る。ここで、図8中の(1)に示すように、エレベータホール63に設置されるカードリーダ6にカードキーをかざすと、住民であることを認証したシステム制御部8が、エレベータ制御部7によりエレベータ籠2を玄関フロア60に着床させ、一方の扉3を開放させる。
【0037】
住民は、エレベータ乗降口64を通じてエレベータ籠2内に乗り込み、操作盤10を操作する。このとき、操作盤10では、その住民の居宅玄関72とつながる側(以下これを「自住戸側」という。)のエレベータ乗降口73に対応した登録ボタン11が、所定時間内だけ、ボタン操作により登録可能となる。このとき、いずれの登録ボタン11が登録可能であるかを住民に通知するため、自住戸側の登録ボタン11を点滅させる。
【0038】
住民が自住戸側の登録ボタン11を押すと、その登録ボタン11が点灯に切り替わる。エレベータ籠2は、その住民の居宅71が位置するの居住フロア70にまで上昇した後、自住戸側のドアウィンカー(図示略)を点灯させたうえで、自宅戸階側の扉3を開放させる。なお、他の登録ボタン11を押した場合にはそのボタン操作はキャンセルされ、「押された階には止まりません」等の音声出力がされる。
【0039】
異なるエレベータ乗降口64を利用する住民が共に認証されているときは、それぞれの自住戸側の登録ボタン11が共に登録可能となる。なお、同一の居住フロア70で一対の扉3の両方が開閉される場合でも、一対の扉3が同時に開くことなく、一方の扉3の開閉が完了した後に、他方の扉3が開閉される。
【0040】
図8中の(2)〜(4)には、自住戸側とは異なるエレベータ乗降口73に降りてしまった場合の対応を示している。これらの場合には、エレベータ籠2内のカードリーダ6を利用する。
【0041】
例えば、図8中の(2)のように、誤って自住戸側の反対側のエレベータ乗降口73に降りてしまった場合には、まずそのエレベータ乗降口73に設置している乗場呼ボタン(図示略)を押し、エレベータ籠2を呼ぶ。これによりエレベータ籠2がその居住フロア70着床し、扉3を開く。エレベータ籠2に乗り込んだ住民は、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざして住民であることを認証させる。すると、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11と、1階の一方の(西側の)登録ボタン11とが登録可能になる。ここで、自住戸側の登録ボタン11を押せば、自住戸側の扉3が開き、自宅の居宅玄関72に通じる側のエレベータ乗降口73に降りることができる。
【0042】
ところで、1階は、駐輪場やミニバイク置場、駐車場等の住民用の共用スペースを有しており、居住フロア70であるとともに、共用フロアともなっている。そのため、操作盤10においては、エレベータ籠2内のカードリーダ6でいずれかの居宅71の住民であることを認証したときに、1階の一方のエレベータ乗降口73が行き先として登録可能となるように設けている。
【0043】
また、操作盤10において、地下1階の登録ボタン11は、常に操作可能である。そのため、玄関フロア60については、エレベータの利用者が誰であるか関わらず、常にアクセス可能となっている。
【0044】
図8中の(3)には、4階の住民が誤って3階に降りた場合の対応を示している。この場合、エレベータ乗降口73の乗場呼ボタンの「△」(昇る)ボタンを押し、エレベータ籠2を呼ぶ。着床したエレベータ籠2に乗り込んだ住民が、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざすと、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11が登録可能になる。ここで自住戸側の登録ボタン11を押せばよい。
【0045】
図8中の(4)には、3階の住民が誤って4階に降りた場合の対応を示している。この場合、エレベータ乗降口73の乗場呼ボタンの「▽」(降りる)ボタンを押し、エレベータ籠2を呼ぶ。着床したエレベータ籠2に乗り込んだ住民がカードリーダ6にカードキーをかざすと、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11と、1階の一方の(西側の)登録ボタン11とが登録可能になる。ここで自住戸側の登録ボタン11を押せばよい。
【0046】
ところで、5階の居住フロア70は、単一居宅71aが位置するだけの単一居住フロア70aである。そのため、5階の住民の場合は、他階の住民の場合とは異なるエレベータ制御となる。具体的には、図9中の(1)に示すように、エレベータホール63のカードリーダ6で5階の住民を認証したときは、5階のエントランス側の登録ボタン11が、優先的に自動登録される。
【0047】
第二玄関75側に降りたい場合は、図9中の(2)に示すように、エレベータ籠2に乗り込んだ後にエントランス側の登録ボタン11を2回押す等してその登録を解除し、サブエントランス側の登録ボタン11を押せばよい。エントランス側の登録ボタン11の登録を解除せずにサブエントランス側の登録ボタン11を押せば、図9中の(3)に示すように、両側の扉3が順に開閉される。このとき、居宅玄関72に通じる側の扉3が先に開閉する。
【0048】
図10には住民が外出する場合について示している。住民が地下1階のエントランス62に降りるときは、図10中の(1)に示すように、その居住フロア70の乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、フリーに登録可能である地下1階の登録ボタン11を押せばよい。
【0049】
一方、住民が共有スペースである1階の駐輪場、ミニバイク置場等にいくときには、図10中の(2)に示すように、その居住フロア70の乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざして認証を行ったうえで、この認証により登録可能となった1階西側の登録ボタン11を押せばよい。なお、故意の通り抜けを防ぐため、1階東側の住民は1階西側の登録ボタン11を押せないように設定してもよい。
【0050】
図11には、住民が他の居宅71を訪問する場合について示している。図11中の(1)に示すように、住民は乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、地下1階の登録ボタン11を押して、玄関フロア60にまで一旦降りる。その後は、エントランス62に設置している集合玄関機4を利用して、通常の来客が風除室61の集合玄関機4で行う手順と同様の手順により、目的の居宅71を訪問する。
【0051】
つまり、一旦降りた住民が、訪問先の居宅71のインターホン20との間で、エントランス62の集合玄関機4を用いて通話を行い、その居宅71に設置した訪問許可ボタン21を押してもらう。訪問許可ボタン21が押されると、エレベータホール63に配している乗場ボタンが、所定時間だけ操作可能となる。ここで乗場ボタンを押せば、エレベータ籠2がエレベータホール63に着床し、扉3を開く。エレベータ籠2内の操作盤10では、訪問許可ボタン21を操作した居宅71に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となっている。この登録ボタン11を押せば、エレベータ籠2が目的先の居住フロア70に着床して扉3を開き、目的の居宅71を訪問可能とする。
【0052】
図12には、来客が目的の居宅71を訪問する場合を示している。客が一人の場合、図12中の(1)に示すように、風除室61内の集合玄関機4を用いて、訪問先の居宅71のインターホン20との間で通話を行い、その居宅71の訪問許可ボタン21を押してもらう。訪問許可ボタン21が押されると、集合玄関扉1のロックが解除され、エレベータホール63に配している乗場ボタンが、所定時間だけ操作可能となる。ここで乗場ボタンを押せば、エレベータ籠2がエレベータホール63に着床し、扉3を開く。エレベータ籠2内の操作盤10では、訪問許可ボタン21を操作した居宅71に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となっている。この登録ボタン11を押せば、目的先を訪問することができる。
【0053】
一方、複数の客が互いに異なる住戸側を訪問する場合には、エレベータ籠2内の操作盤10では、複数の居宅71にそれぞれ対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。この登録ボタン11を押せば、それぞれの客が目的先を訪問することができる。
【0054】
ところで、図12中の(2)に示すように、例えば3階を訪問する予定の客が間違って1階に降りた場合、その階の乗場呼ボタンを押してエレベータ籠2に乗り込んだうえで、一旦玄関フロア60にまで降りる。このとき地下1階以外の登録ボタン11を操作してもキャンセルされ、3回以上キャンセルがあれば「一度地下1階に戻ってください」等の音声案内を行う。風除室61の集合玄関機4にまで戻った客は、同様の手順をやり直せばよい。
【0055】
図13には、二人の客が、同一階の異なる側の扉3を利用する場合を示している。この場合、エレベータ籠2内の操作盤10では、同一階の両方の登録ボタン11が所定時間内だけ登録可能となり、この登録ボタン11を押せば、目的先の住戸側の扉3を通じて、それぞれの客が目的の居宅71を訪問することができる。客が間違って反対側の扉3から降りた場合、やはり一旦玄関フロアにまで降り、集合玄関機4を用いて同様の手順をやり直す。
【0056】
図14には、5階の居宅71における来客時の対応を、住民側と客側に分けて示している。この居宅71には、訪問許可ボタン21として、居宅玄関72用のボタンと、第二玄関75用のボタンの、二つを備えている。そして、居宅玄関72用の訪問許可ボタン21を操作した場合、エレベータ籠2内の操作盤10では、居宅玄関72に対応する側の登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。第二玄関75用の訪問許可ボタン21を操作した場合には、第二玄関75に対応する側の登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のエレベータ制御システムは、複数の居宅71が位置する居住フロア70(1階〜4階フロア)と玄関フロア60との間を上下移動するようにエレベータ籠2を設置した集合住宅のエレベータ制御システムである。エレベータ籠2には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉3と、エレベータ籠2の行き先を登録する操作盤10とを備えている。玄関フロア60には、各居宅71の住民を認証する認証機5を備えている。居住フロア70には、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を対応する居宅71の居宅玄関72につなぐ廊下74とを備えている。エレベータ籠2の操作盤10には、各居住フロア70の複数のエレベータ乗降口73に一対一で対応する登録ボタン11を配列している。そして、玄関フロア60の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロア70にエレベータ籠2が着床したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73側の扉3が、開放されるように設けている。
【0058】
したがって、本実施形態のエレベータ制御システムによれば、住民が自宅側のエレベータ乗降口73にエレベータ移動することは自由にする一方で、それ以外のエレベータ移動に関しては、制限を加えることができる。そのため、各住民のプライバシーやセキュリティが向上することになる。
【0059】
また、本実施形態のエレベータ制御システムでは、エレベータ籠2内にも、各居宅71の住民を認証する認証機5を備えている。そして、エレベータ籠2の操作盤では、エレベータ籠2内の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ操作可能となるように設けている。
【0060】
したがって、目的先でないエレベータ乗降口73に降りてしまったような場合には、エレベータ籠2を呼んでこれに乗り込み、エレベータ籠2内の認証機5を利用して目的先のエレベータ乗降口73に到達することができる。
【0061】
また、本実施形態のエレベータ制御システムでは、エレベータ籠2内にも、各居宅71の住民を認証する認証機5を備え、集合住宅は、住民用の共用スペース(駐輪場、ミニバイク置場等)が位置する共用フロア(1階フロア)を有している。そして、エレベータ籠2の操作盤では、エレベータ籠2内の認証機5で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、行き先として登録可能となるように設けている。
【0062】
したがって、住民であれば、エレベータ籠2内の認証機5を利用して、共同スペースと自宅との間を自由に行き来することができる。
【0063】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2の操作盤10では、玄関フロア60に対応する登録ボタン11を、認証機5での認証結果に関わらず、行き先として登録可能に設けている。
【0064】
したがって、利用者が誰であるかに関わらず、居住フロア70から玄関フロア60には自由に行けるようになっている。
【0065】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、各居宅71の住民を認証する認証機5は、居宅71ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダ6である。
【0066】
したがって、カードキーをカードリーダ6にかざす等して、認証作業を速やかに行うことができる。また、この専用のカードキーを予め来客に渡しておけば、集合玄関機4を通じて住民が対応する等の面倒な作業なく、来客自らが認証作業を行って目的先に到達することもできる。
【0067】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、各居宅71には、インターホン20と訪問許可ボタン21とを備えている。玄関フロア60(風除室61)には、各居宅71のインターホン20と通話可能な集合玄関機4を備えている。そして、各居宅71の訪問許可ボタン21を操作したときに、その居宅71の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応した登録ボタン11が、所定時間内だけ操作盤10で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロア70にエレベータ籠2が着床したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73側の扉3が、開放されるように設けている。
【0068】
したがって、来客が訪問先のエレベータ乗降口73にエレベータ移動することは自由にする一方で、それ以外のエレベータ移動に関しては、制限を加えることができる。そのため、住民のプライバシーやセキュリティが向上することになる。
【0069】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2には扉3を一対備え、居住フロア70には、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に、エレベータ乗降口73を一対備えている。
【0070】
つまり、一対の扉3とこれに対応するエレベータ乗降口73を利用したエレベータ制御システムにより、各住民のプライバシーやセキュリティを向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、集合住宅は、単一居宅71aが位置する単一居住フロア70a(5階フロア)をさらに有する。この単一居住フロア70aには、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を単一居宅71aが有する居宅玄関72と第二玄関75のいずれかにつなぐ廊下74とを備えている。エレベータ籠2の操作盤10には、単一居住フロア70aの複数のエレベータ乗降口73に一対一で対応する登録ボタン11を配列している。そして、玄関フロア60の認証機5で単一居宅71aの住民を認証したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、優先的に自動登録されるように設けている。
【0072】
したがって、単一居住フロア70aの住民は、認証機5での認証作業を行えば、特に登録ボタン11を操作しなくとも居宅玄関72にまで至ることができ、利便性が向上する。
【0073】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2には扉3を一対備え、単一居住フロア70aには、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に、エレベータ乗降口73を一対備えている。
【0074】
つまり、一対の扉3とこれに対応するエレベータ乗降口73を利用したエレベータ制御システムにより、単一居住フロア70aの住民のプライバシーやセキュリティ、さらには利便性を向上させることができる。
【0075】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0076】
2 エレベータ籠
3 扉
4 集合玄関機
5 認証機
6 カードリーダ
8 システム制御部
10 操作盤
11 登録ボタン
20 インターホン
21 訪問許可ボタン
60 玄関フロア
70 居住フロア
71 居宅
72 居宅玄関
73 エレベータ乗降口
74 廊下
75 第二玄関
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のエレベータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅においては、一般的に、複数の居宅が位置する居住フロアと、玄関フロアとの間を移動するために、エレベータ籠が上下動自在に設置されている。このエレベータ籠として、近年は、互いに別方向にむけて開放される複数(例えば一対)の扉を備え、それぞれの扉が専用のエレベータ乗降口につながるように設けたものがある(特許文献1参照)。各居宅の住民は、自宅玄関からつながるエレベータ乗降口を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−171442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のエレベータを備える集合住宅では、他のエレベータ乗降口に降りること自体は自由である。つまり、集合住宅の住民が、自宅につながるエレベータ乗降口以外の他のエレベータ乗降口に降りることは、特に制限されない。また、ある居宅を訪ねた客が、その居宅につながるエレベータ乗降口以外の他のエレベータ乗降口に降りることも、特に制限されない。そのため、プライバシーやセキュリティを保つという点では不十分である。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、住民のプライバシーやセキュリティを向上させることのできるエレベータ制御システムを提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のエレベータ制御システムを、下記の特徴を備えたものとする。
【0007】
本発明のエレベータ制御システムは、複数の居宅が位置する居住フロアと玄関フロアとの間を上下移動するようにエレベータ籠を設置した集合住宅のエレベータ制御システムであって、エレベータ籠には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉と、エレベータ籠の行き先を登録する操作盤とを備え、玄関フロアには、各居宅の住民を認証する認証機を備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を対応する居宅の居宅玄関につなぐ廊下とを備え、エレベータ籠の操作盤には、各居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、玄関フロアの認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けたことを特徴とする。
【0008】
また、エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ操作可能となるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0009】
また、エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、集合住宅は、住民用の共用スペースが位置する共用フロアを有し、エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、行き先として登録可能となるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0010】
また、エレベータ籠の操作盤では、玄関フロアに対応する登録ボタンを、認証機での認証結果に関わらず、行き先として登録自由に設けていることを、更なる特徴としてもよい。
【0011】
また、各居宅の住民を認証する認証機は、居宅ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダであることを、更なる特徴としてもよい。
【0012】
また、各居宅には、インターホンと訪問許可ボタンとを備え、玄関フロアには、各居宅のインターホンと通話可能な集合玄関機を備え、各居宅の訪問許可ボタンを操作したときに、その居宅の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応した登録ボタンが、所定時間内だけ操作盤で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0013】
また、エレベータ籠には扉を一対備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えたことを、更なる特徴としてもよい。
【0014】
また、集合住宅は、単一居宅が位置する単一居住フロアをさらに有し、この単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を単一居宅が有する居宅玄関と第二玄関のいずれかにつなぐ廊下とを備え、エレベータ籠の操作盤には、単一居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、玄関フロアの認証機で単一居宅の住民を認証したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、優先的に自動登録されるように設けたことを、更なる特徴としてもよい。
【0015】
このとき、エレベータ籠には扉を一対備え、単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えたことを、更なる特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、集合住宅に備えたエレベータ籠の制御によって、集合住宅の住民のプライバシーやセキュリティを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のエレベータ制御システムの概略構成図である。
【図2】同上のエレベータ制御システムを用いた集合住宅の地下1階フロアの平面図である。
【図3】同上の集合住宅の1階フロアの平面図である。
【図4】同上の集合住宅の2、3階フロアの平面図である。
【図5】同上の集合住宅の4階フロアの平面図である。
【図6】同上の集合住宅の5階フロアの平面図である。
【図7】同上の集合住宅のエレベータ籠内の制御盤の正面図である。
【図8】住民が帰宅するケースのエレベータ制御を示す説明図である。
【図9】5階の住民が帰宅するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図10】住民が外出するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図11】住民が他の居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図12】客が居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図13】客が居宅を訪問する他ケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【図14】客が5階の居宅を訪問するケースのエレベータ制御フローを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図14は、本発明の一実施形態のエレベータ制御システムについて示している。
【0019】
図1には、本実施形態のエレベータ制御システムの構成を、概略的に示している。図2〜図6には、本実施形態のエレベータ制御システムを用いてエレベータ制御を行う集合住宅の、各階フロアを示している。図7には、エレベータ籠内の制御盤を示している。図8〜図14には、本実施形態のエレベータ制御システムでのエレベータ制御を、状況に分けてフローで示している。以下においては、これら添付図面に基づいて、本実施形態のエレベータ制御システムについて説明する。
【0020】
まず、集合住宅の基本的な構造について説明する。この集合住宅は、地下1階のフロアと、1階〜5階のフロアを有するマンションである。図2に示す地下1階が、玄関フロア60である。玄関フロア60には、マンション出入口50に通じる風除室61、風除室61に集合玄関扉1を介してつながるエントランス62、エントランス62につながるエレベータホール63、エレベータホール63に設けたエレベータ乗降口64、等が位置する。
【0021】
図3〜図6に示す1階〜5階が、住民の居住する居住フロア70である。各居住フロア70には、一つ又は複数の居宅71が位置し、各居宅71の居宅玄関72が、その居宅玄関72と対応するエレベータ乗降口73に廊下74を介してつながっている。
【0022】
図3に示す1階の居住フロア70は、部屋番号「101」〜「104」の四軒の居宅71を有する。同様に、図4に示す2階、3階の居住フロア70は、それぞれ部屋番号「201」〜「204」、「301」〜「304」の四軒の居宅71を有する。図5に示す4階の居住フロア70は、部屋番号「401」、「402」の二軒の居宅71を有し、図6に示す5階の居住フロア70は、部屋番号「501」の単一の居宅71を有する。
【0023】
1階〜5階の各居住フロア70には、一対のエレベータ乗降口73を独立して設けている。また、各居住フロア70には、エレベータ乗降口73と一対一で対応するように、廊下74を一対設けている。廊下74同士は、建物構造により隔離させて設けている。
【0024】
1階〜3階の居住フロア70では、居宅71が四軒である(図3、図4参照)。そのため、一つのエレベータ乗降口73は、これに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が二軒の居宅71の居宅玄関72につながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、二軒の居宅71専用のものとして機能する。
【0025】
4階の居住フロア70では、居宅71が二軒である(図5参照)。そのため、一つのエレベータ乗降口73は、これに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が一軒の居宅71の居宅玄関72につながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、一軒の居宅71専用のものとして機能する。
【0026】
5階の居住フロア70では、居宅71が一軒である(図6参照)。この単一の居宅71(以下「単一居宅71a」という。)は、居宅玄関72とは別に第二玄関75(勝手口)を有する。そのため、一つのエレベータ乗降口73がこれに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が、単一居宅71aの居宅玄関72に専用でつながるように設けている。また、残り一つのエレベータ乗降口73はこれに一対一で対応する一つの廊下74につながり、その一つの廊下74が、単一居宅71aの第二玄関75に専用でつながるように設けている。これにより、一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、単一居宅71aのメインのエントランス専用として機能し、もう一つのエレベータ乗降口73および廊下74が、単一居宅71aのサブエントランス専用として機能する。
【0027】
これら複数の居住フロア70と玄関フロア60との間を上下移動するように、集合住宅の中央部にはエレベータ籠2を設置している。エレベータ籠2は、二方向から出入自在のタイプであり、一対の扉3を、互いに別方向(反対方向)にむけて開放されるように備えている。これらエレベータの制御は、図1に示すエレベータ制御部7により行う。
【0028】
地下1階の玄関フロア60では、エレベータ籠2の一対の扉3のうち一方が、エレベータホール63のエレベータ乗降口64にむけて開放される。1階〜5階の居住フロア70では、一対の扉3のうち一方が、これに一対一で対応するエレベータ乗降口73にむけて開放され、一対の扉3のうち他方が、これに一対一で対応する別のエレベータ乗降口73にむけて開放される。つまり、開放される扉3によって、その扉3からエレベータ乗降口73および廊下74を通じて行き着くことのできる居宅玄関72(又は第二玄関75)が相違する。
【0029】
以上、集合住宅の基本的な構造について述べた。以下においては、本実施形態のエレベータ制御システムをなす各構成について、さらに詳しく説明する。
【0030】
図1、図2に示すように、玄関フロア60の風除室61には、集合玄関機4を設置している。この集合玄関機4には、各居宅71の住民を認証する認証機5として、カードキー(図示略)のデータを非接触で読み取るカードリーダ6を接続させている。カードキーは居宅71ごと専用に設けたものであり、そのカードキーのデータを読み取ることで、どの居宅(例えば「301」号室等)の住民であるかを認識することができる。
【0031】
同様の認証機5は、玄関フロア60のエレベータホール63と、さらにエレベータ籠2内にも設置している。エレベータホール63の認証機5は、“玄関フロア60側の認証機5”をなすものであり、同様のカードリーダ6により構成される。エレベータ籠2内の認証機5は、操作盤10に配置され、やはり同様のカードリーダ6により構成される(図7参照)。なお、認証機5としてはカードリーダ6に限定されず、各居宅71の住民を認証できるものであれば、暗証番号入力、指紋認証等の他の方式の機器を用いてもよい。
【0032】
エレベータ籠2内の操作盤10は、図7に示すような多数の登録ボタン11を配したものであり、これら登録ボタン11を操作することで、行き先を登録することができる。登録ボタン11は、1階〜5階の各居住フロア70にある一対のエレベータ乗降口64と一対一に対応する形で、マトリクス状に配列させている。
【0033】
つまり、1階〜3階の居住フロア70においては、一つの登録ボタン11が二軒の居宅71に対応する。4階の居住フロア70においては一つの登録ボタン11が一軒の居宅71に対応し、5階の居住フロア70においては二つの登録ボタン11が一軒の居宅71に対応する。
【0034】
図1に示すように、各居宅71には、インターホン20と、訪問許可ボタン21を配置している。インターホン20は、玄関フロア60に配した集合玄関機4との間で通話を行うためのものである。訪問許可ボタン21は、その居宅71への訪問を許可するためのものである。この訪問許可ボタン21を操作することで、エレベータ制御システム全体をコントロールするシステム制御部8に対して、訪問許可指令が出力される。
【0035】
本実施形態のエレベータ制御システムでは、システム制御部8によって、以下に述べるような制御が行われる。図8や図9は、住民が帰宅した際のエレベータ制御について示している。
【0036】
マンション出入口50から玄関フロア60の風除室61に入った住民はまず、集合玄関機4のカードリーダ6に自らのカードキーをかざして集合玄関扉1を開放させ、集合玄関扉1およびエントランス62を通過してエレベータホール63にまで至る。ここで、図8中の(1)に示すように、エレベータホール63に設置されるカードリーダ6にカードキーをかざすと、住民であることを認証したシステム制御部8が、エレベータ制御部7によりエレベータ籠2を玄関フロア60に着床させ、一方の扉3を開放させる。
【0037】
住民は、エレベータ乗降口64を通じてエレベータ籠2内に乗り込み、操作盤10を操作する。このとき、操作盤10では、その住民の居宅玄関72とつながる側(以下これを「自住戸側」という。)のエレベータ乗降口73に対応した登録ボタン11が、所定時間内だけ、ボタン操作により登録可能となる。このとき、いずれの登録ボタン11が登録可能であるかを住民に通知するため、自住戸側の登録ボタン11を点滅させる。
【0038】
住民が自住戸側の登録ボタン11を押すと、その登録ボタン11が点灯に切り替わる。エレベータ籠2は、その住民の居宅71が位置するの居住フロア70にまで上昇した後、自住戸側のドアウィンカー(図示略)を点灯させたうえで、自宅戸階側の扉3を開放させる。なお、他の登録ボタン11を押した場合にはそのボタン操作はキャンセルされ、「押された階には止まりません」等の音声出力がされる。
【0039】
異なるエレベータ乗降口64を利用する住民が共に認証されているときは、それぞれの自住戸側の登録ボタン11が共に登録可能となる。なお、同一の居住フロア70で一対の扉3の両方が開閉される場合でも、一対の扉3が同時に開くことなく、一方の扉3の開閉が完了した後に、他方の扉3が開閉される。
【0040】
図8中の(2)〜(4)には、自住戸側とは異なるエレベータ乗降口73に降りてしまった場合の対応を示している。これらの場合には、エレベータ籠2内のカードリーダ6を利用する。
【0041】
例えば、図8中の(2)のように、誤って自住戸側の反対側のエレベータ乗降口73に降りてしまった場合には、まずそのエレベータ乗降口73に設置している乗場呼ボタン(図示略)を押し、エレベータ籠2を呼ぶ。これによりエレベータ籠2がその居住フロア70着床し、扉3を開く。エレベータ籠2に乗り込んだ住民は、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざして住民であることを認証させる。すると、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11と、1階の一方の(西側の)登録ボタン11とが登録可能になる。ここで、自住戸側の登録ボタン11を押せば、自住戸側の扉3が開き、自宅の居宅玄関72に通じる側のエレベータ乗降口73に降りることができる。
【0042】
ところで、1階は、駐輪場やミニバイク置場、駐車場等の住民用の共用スペースを有しており、居住フロア70であるとともに、共用フロアともなっている。そのため、操作盤10においては、エレベータ籠2内のカードリーダ6でいずれかの居宅71の住民であることを認証したときに、1階の一方のエレベータ乗降口73が行き先として登録可能となるように設けている。
【0043】
また、操作盤10において、地下1階の登録ボタン11は、常に操作可能である。そのため、玄関フロア60については、エレベータの利用者が誰であるか関わらず、常にアクセス可能となっている。
【0044】
図8中の(3)には、4階の住民が誤って3階に降りた場合の対応を示している。この場合、エレベータ乗降口73の乗場呼ボタンの「△」(昇る)ボタンを押し、エレベータ籠2を呼ぶ。着床したエレベータ籠2に乗り込んだ住民が、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざすと、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11が登録可能になる。ここで自住戸側の登録ボタン11を押せばよい。
【0045】
図8中の(4)には、3階の住民が誤って4階に降りた場合の対応を示している。この場合、エレベータ乗降口73の乗場呼ボタンの「▽」(降りる)ボタンを押し、エレベータ籠2を呼ぶ。着床したエレベータ籠2に乗り込んだ住民がカードリーダ6にカードキーをかざすと、操作盤10では、自住戸側の登録ボタン11と、1階の一方の(西側の)登録ボタン11とが登録可能になる。ここで自住戸側の登録ボタン11を押せばよい。
【0046】
ところで、5階の居住フロア70は、単一居宅71aが位置するだけの単一居住フロア70aである。そのため、5階の住民の場合は、他階の住民の場合とは異なるエレベータ制御となる。具体的には、図9中の(1)に示すように、エレベータホール63のカードリーダ6で5階の住民を認証したときは、5階のエントランス側の登録ボタン11が、優先的に自動登録される。
【0047】
第二玄関75側に降りたい場合は、図9中の(2)に示すように、エレベータ籠2に乗り込んだ後にエントランス側の登録ボタン11を2回押す等してその登録を解除し、サブエントランス側の登録ボタン11を押せばよい。エントランス側の登録ボタン11の登録を解除せずにサブエントランス側の登録ボタン11を押せば、図9中の(3)に示すように、両側の扉3が順に開閉される。このとき、居宅玄関72に通じる側の扉3が先に開閉する。
【0048】
図10には住民が外出する場合について示している。住民が地下1階のエントランス62に降りるときは、図10中の(1)に示すように、その居住フロア70の乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、フリーに登録可能である地下1階の登録ボタン11を押せばよい。
【0049】
一方、住民が共有スペースである1階の駐輪場、ミニバイク置場等にいくときには、図10中の(2)に示すように、その居住フロア70の乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、エレベータ籠2内のカードリーダ6にカードキーをかざして認証を行ったうえで、この認証により登録可能となった1階西側の登録ボタン11を押せばよい。なお、故意の通り抜けを防ぐため、1階東側の住民は1階西側の登録ボタン11を押せないように設定してもよい。
【0050】
図11には、住民が他の居宅71を訪問する場合について示している。図11中の(1)に示すように、住民は乗場呼ボタンの「▽」を押してエレベータ籠2に乗り込み、地下1階の登録ボタン11を押して、玄関フロア60にまで一旦降りる。その後は、エントランス62に設置している集合玄関機4を利用して、通常の来客が風除室61の集合玄関機4で行う手順と同様の手順により、目的の居宅71を訪問する。
【0051】
つまり、一旦降りた住民が、訪問先の居宅71のインターホン20との間で、エントランス62の集合玄関機4を用いて通話を行い、その居宅71に設置した訪問許可ボタン21を押してもらう。訪問許可ボタン21が押されると、エレベータホール63に配している乗場ボタンが、所定時間だけ操作可能となる。ここで乗場ボタンを押せば、エレベータ籠2がエレベータホール63に着床し、扉3を開く。エレベータ籠2内の操作盤10では、訪問許可ボタン21を操作した居宅71に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となっている。この登録ボタン11を押せば、エレベータ籠2が目的先の居住フロア70に着床して扉3を開き、目的の居宅71を訪問可能とする。
【0052】
図12には、来客が目的の居宅71を訪問する場合を示している。客が一人の場合、図12中の(1)に示すように、風除室61内の集合玄関機4を用いて、訪問先の居宅71のインターホン20との間で通話を行い、その居宅71の訪問許可ボタン21を押してもらう。訪問許可ボタン21が押されると、集合玄関扉1のロックが解除され、エレベータホール63に配している乗場ボタンが、所定時間だけ操作可能となる。ここで乗場ボタンを押せば、エレベータ籠2がエレベータホール63に着床し、扉3を開く。エレベータ籠2内の操作盤10では、訪問許可ボタン21を操作した居宅71に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となっている。この登録ボタン11を押せば、目的先を訪問することができる。
【0053】
一方、複数の客が互いに異なる住戸側を訪問する場合には、エレベータ籠2内の操作盤10では、複数の居宅71にそれぞれ対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。この登録ボタン11を押せば、それぞれの客が目的先を訪問することができる。
【0054】
ところで、図12中の(2)に示すように、例えば3階を訪問する予定の客が間違って1階に降りた場合、その階の乗場呼ボタンを押してエレベータ籠2に乗り込んだうえで、一旦玄関フロア60にまで降りる。このとき地下1階以外の登録ボタン11を操作してもキャンセルされ、3回以上キャンセルがあれば「一度地下1階に戻ってください」等の音声案内を行う。風除室61の集合玄関機4にまで戻った客は、同様の手順をやり直せばよい。
【0055】
図13には、二人の客が、同一階の異なる側の扉3を利用する場合を示している。この場合、エレベータ籠2内の操作盤10では、同一階の両方の登録ボタン11が所定時間内だけ登録可能となり、この登録ボタン11を押せば、目的先の住戸側の扉3を通じて、それぞれの客が目的の居宅71を訪問することができる。客が間違って反対側の扉3から降りた場合、やはり一旦玄関フロアにまで降り、集合玄関機4を用いて同様の手順をやり直す。
【0056】
図14には、5階の居宅71における来客時の対応を、住民側と客側に分けて示している。この居宅71には、訪問許可ボタン21として、居宅玄関72用のボタンと、第二玄関75用のボタンの、二つを備えている。そして、居宅玄関72用の訪問許可ボタン21を操作した場合、エレベータ籠2内の操作盤10では、居宅玄関72に対応する側の登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。第二玄関75用の訪問許可ボタン21を操作した場合には、第二玄関75に対応する側の登録ボタン11が、所定時間内だけ登録可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のエレベータ制御システムは、複数の居宅71が位置する居住フロア70(1階〜4階フロア)と玄関フロア60との間を上下移動するようにエレベータ籠2を設置した集合住宅のエレベータ制御システムである。エレベータ籠2には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉3と、エレベータ籠2の行き先を登録する操作盤10とを備えている。玄関フロア60には、各居宅71の住民を認証する認証機5を備えている。居住フロア70には、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を対応する居宅71の居宅玄関72につなぐ廊下74とを備えている。エレベータ籠2の操作盤10には、各居住フロア70の複数のエレベータ乗降口73に一対一で対応する登録ボタン11を配列している。そして、玄関フロア60の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロア70にエレベータ籠2が着床したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73側の扉3が、開放されるように設けている。
【0058】
したがって、本実施形態のエレベータ制御システムによれば、住民が自宅側のエレベータ乗降口73にエレベータ移動することは自由にする一方で、それ以外のエレベータ移動に関しては、制限を加えることができる。そのため、各住民のプライバシーやセキュリティが向上することになる。
【0059】
また、本実施形態のエレベータ制御システムでは、エレベータ籠2内にも、各居宅71の住民を認証する認証機5を備えている。そして、エレベータ籠2の操作盤では、エレベータ籠2内の認証機5で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、所定時間内だけ操作可能となるように設けている。
【0060】
したがって、目的先でないエレベータ乗降口73に降りてしまったような場合には、エレベータ籠2を呼んでこれに乗り込み、エレベータ籠2内の認証機5を利用して目的先のエレベータ乗降口73に到達することができる。
【0061】
また、本実施形態のエレベータ制御システムでは、エレベータ籠2内にも、各居宅71の住民を認証する認証機5を備え、集合住宅は、住民用の共用スペース(駐輪場、ミニバイク置場等)が位置する共用フロア(1階フロア)を有している。そして、エレベータ籠2の操作盤では、エレベータ籠2内の認証機5で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、行き先として登録可能となるように設けている。
【0062】
したがって、住民であれば、エレベータ籠2内の認証機5を利用して、共同スペースと自宅との間を自由に行き来することができる。
【0063】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2の操作盤10では、玄関フロア60に対応する登録ボタン11を、認証機5での認証結果に関わらず、行き先として登録可能に設けている。
【0064】
したがって、利用者が誰であるかに関わらず、居住フロア70から玄関フロア60には自由に行けるようになっている。
【0065】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、各居宅71の住民を認証する認証機5は、居宅71ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダ6である。
【0066】
したがって、カードキーをカードリーダ6にかざす等して、認証作業を速やかに行うことができる。また、この専用のカードキーを予め来客に渡しておけば、集合玄関機4を通じて住民が対応する等の面倒な作業なく、来客自らが認証作業を行って目的先に到達することもできる。
【0067】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、各居宅71には、インターホン20と訪問許可ボタン21とを備えている。玄関フロア60(風除室61)には、各居宅71のインターホン20と通話可能な集合玄関機4を備えている。そして、各居宅71の訪問許可ボタン21を操作したときに、その居宅71の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応した登録ボタン11が、所定時間内だけ操作盤10で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロア70にエレベータ籠2が着床したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73側の扉3が、開放されるように設けている。
【0068】
したがって、来客が訪問先のエレベータ乗降口73にエレベータ移動することは自由にする一方で、それ以外のエレベータ移動に関しては、制限を加えることができる。そのため、住民のプライバシーやセキュリティが向上することになる。
【0069】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2には扉3を一対備え、居住フロア70には、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に、エレベータ乗降口73を一対備えている。
【0070】
つまり、一対の扉3とこれに対応するエレベータ乗降口73を利用したエレベータ制御システムにより、各住民のプライバシーやセキュリティを向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、集合住宅は、単一居宅71aが位置する単一居住フロア70a(5階フロア)をさらに有する。この単一居住フロア70aには、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口73と、各エレベータ乗降口73を単一居宅71aが有する居宅玄関72と第二玄関75のいずれかにつなぐ廊下74とを備えている。エレベータ籠2の操作盤10には、単一居住フロア70aの複数のエレベータ乗降口73に一対一で対応する登録ボタン11を配列している。そして、玄関フロア60の認証機5で単一居宅71aの住民を認証したときには、その住民の居宅玄関72とつながるエレベータ乗降口73に対応する登録ボタン11が、優先的に自動登録されるように設けている。
【0072】
したがって、単一居住フロア70aの住民は、認証機5での認証作業を行えば、特に登録ボタン11を操作しなくとも居宅玄関72にまで至ることができ、利便性が向上する。
【0073】
また、本実施形態のエレベータ制御システムにおいて、エレベータ籠2には扉3を一対備え、単一居住フロア70aには、エレベータ籠2の各扉3が開放される位置に、エレベータ乗降口73を一対備えている。
【0074】
つまり、一対の扉3とこれに対応するエレベータ乗降口73を利用したエレベータ制御システムにより、単一居住フロア70aの住民のプライバシーやセキュリティ、さらには利便性を向上させることができる。
【0075】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0076】
2 エレベータ籠
3 扉
4 集合玄関機
5 認証機
6 カードリーダ
8 システム制御部
10 操作盤
11 登録ボタン
20 インターホン
21 訪問許可ボタン
60 玄関フロア
70 居住フロア
71 居宅
72 居宅玄関
73 エレベータ乗降口
74 廊下
75 第二玄関
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居宅が位置する居住フロアと玄関フロアとの間を上下移動するようにエレベータ籠を設置した集合住宅のエレベータ制御システムであって、
エレベータ籠には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉と、エレベータ籠の行き先を登録する操作盤とを備え、
玄関フロアには、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を対応する居宅の居宅玄関につなぐ廊下とを備え、
エレベータ籠の操作盤には、各居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、
玄関フロアの認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けた
ことを特徴とするエレベータ制御システム。
【請求項2】
エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ操作可能となるように設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
集合住宅は、住民用の共用スペースが位置する共用フロアを有し、
エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、行き先として登録可能となるように設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
エレベータ籠の操作盤では、玄関フロアに対応する登録ボタンを、認証機での認証結果に関わらず、行き先として登録可能に設けている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
各居宅の住民を認証する認証機は、居宅ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
各居宅には、インターホンと訪問許可ボタンとを備え、
玄関フロアには、各居宅のインターホンと通話可能な集合玄関機を備え、
各居宅の訪問許可ボタンを操作したときに、その居宅の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応した登録ボタンが、所定時間内だけ操作盤で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けた
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
エレベータ籠には扉を一対備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
集合住宅は、単一居宅が位置する単一居住フロアをさらに有し、
この単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を単一居宅が有する居宅玄関と第二玄関のいずれかにつなぐ廊下とを備え、
エレベータ籠の操作盤には、単一居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、
玄関フロアの認証機で単一居宅の住民を認証したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、優先的に自動登録されるように設けた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項9】
エレベータ籠には扉を一対備え、単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えた
ことを特徴とする請求項8に記載のエレベータ制御システム。
【請求項1】
複数の居宅が位置する居住フロアと玄関フロアとの間を上下移動するようにエレベータ籠を設置した集合住宅のエレベータ制御システムであって、
エレベータ籠には、互いに別方向にむけて開放される複数の扉と、エレベータ籠の行き先を登録する操作盤とを備え、
玄関フロアには、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を対応する居宅の居宅玄関につなぐ廊下とを備え、
エレベータ籠の操作盤には、各居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、
玄関フロアの認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けた
ことを特徴とするエレベータ制御システム。
【請求項2】
エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、所定時間内だけ操作可能となるように設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
エレベータ籠内にも、各居宅の住民を認証する認証機を備え、
集合住宅は、住民用の共用スペースが位置する共用フロアを有し、
エレベータ籠の操作盤では、エレベータ籠内の認証機で住民を認証したときに、共用フロアのエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、行き先として登録可能となるように設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
エレベータ籠の操作盤では、玄関フロアに対応する登録ボタンを、認証機での認証結果に関わらず、行き先として登録可能に設けている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
各居宅の住民を認証する認証機は、居宅ごとに設けた専用のカードキーのデータを読み取るカードリーダである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
各居宅には、インターホンと訪問許可ボタンとを備え、
玄関フロアには、各居宅のインターホンと通話可能な集合玄関機を備え、
各居宅の訪問許可ボタンを操作したときに、その居宅の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応した登録ボタンが、所定時間内だけ操作盤で行き先として登録可能となり、登録操作後に、その住民の居住フロアにエレベータ籠が着床したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口側の扉が、開放されるように設けた
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
エレベータ籠には扉を一対備え、居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
集合住宅は、単一居宅が位置する単一居住フロアをさらに有し、
この単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に一対一で設置される複数のエレベータ乗降口と、各エレベータ乗降口を単一居宅が有する居宅玄関と第二玄関のいずれかにつなぐ廊下とを備え、
エレベータ籠の操作盤には、単一居住フロアの複数のエレベータ乗降口に一対一で対応する登録ボタンを配列し、
玄関フロアの認証機で単一居宅の住民を認証したときには、その住民の居宅玄関とつながるエレベータ乗降口に対応する登録ボタンが、優先的に自動登録されるように設けた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項9】
エレベータ籠には扉を一対備え、単一居住フロアには、エレベータ籠の各扉が開放される位置に、エレベータ乗降口を一対備えた
ことを特徴とする請求項8に記載のエレベータ制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−91924(P2012−91924A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242711(P2010−242711)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(397012071)新星和不動産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(397012071)新星和不動産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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