説明

エレベータ段差報知装置

【課題】かご床と乗場床との間に段差が生じているときだけランプを点灯して注意を喚起するエレベータ段差報知装置を得る。
【解決手段】エレベータのかごのエプロンに取付けられる磁気センサと乗場のトーガードに取付けられるとともに着床しているかごの床と乗場の床との間に段差がないとき磁気センサと対向する検出板とを備え、磁気センサは、所定の検知領域を有する磁気センサスイッチ、かごの床側から上方向に点灯するライト、及び、磁気センサスイッチの接点信号を取込んでライトを点灯/消灯する処理基板を有し、検出板は、磁束を優先的に通す磁性板を有し、磁性板が検知領域に入り込むと接点信号がONになり、逆に検知領域から磁性板が外れると接点信号がOFFになり、処理基板は、接点信号がONのときライトを消灯し、接点信号がOFFのときライトを点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのかご室が乗場に停止したときかご床が乗場床に対して段差があることを報知するエレベータ段差報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ段差報知装置は、かご床と乗場床との間の段差を認識し易くする装置であり、かご室が昇降する昇降路に設けられ各階の乗場出入口の敷居の昇降路側の側端部に設けられた第1の冷陰極蛍光ランプ照明器と、かご室の出入口の敷居の乗場出入口の敷居に対向する側端部に設けられた第2の冷陰極蛍光ランプとから成り、第1及び第2の冷陰極蛍光ランプ照明器が、それぞれの敷居に互いに対向して配されて、かご室が乗場に着床している時に点灯されて、両敷居の間隙を照明する。
また、段差を生じてかご室が停止している場合には、高い段差と成った敷居の側端部が明るく照明されて、乗降客が敷居の間隙または段差を容易に認識できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−142894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かご室が乗場に停止しているとき常時照明を点灯しているため、乗り慣れた乗客にとっては段差に対する注意も散漫になるという懸念があり、また照明電力を無駄に消費しているという問題点がある。
【0005】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、かご床と乗場床との間に段差が生じているときだけランプを点灯して注意を喚起するエレベータ段差報知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ段差報知装置は、エレベータのかごのエプロンに取付けられる磁気センサと乗場のトーガードに取付けられるとともに着床している上記かごの床と上記乗場の床との間に段差がないとき上記磁気センサと対向する検出板とを備え、上記磁気センサは、所定の検知領域を有する磁気センサスイッチ、上記かごの床側から上方向に点灯するライト、及び、上記磁気センサスイッチの接点信号を取込んで上記ライトを点灯/消灯する処理基板を有し、上記検出板は、磁束を優先的に通す磁性板を有し、上記磁性板が上記検知領域に入り込むと上記接点信号がONになり、逆に上記検知領域から上記磁性板が外れると上記接点信号がOFFになり、上記処理基板は、上記接点信号がONのとき上記ライトを消灯し、上記接点信号がOFFのとき上記ライトを点灯する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ段差報知装置は、かご床と乗場床との間にずれがある、すなわち段差があるときだけ、下方向からライトが点灯されるので、いつもは点灯していないライトが点灯しており、乗客はかごへ乗降する際に足元を注意することになり、段差に容易に気付き、段差による利用者災害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る磁気センサのブロック図である。
【図3】検出板の平面図である。
【図4】磁気センサスイッチと検出板との位置関係を示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る磁気センサのブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るエレベータ段差報知装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のエレベータ段差報知装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置の構成図である。図2は、この発明の実施の形態1に係る磁気センサのブロック図である。図3は、検出板の平面図である。図4は、磁気センサスイッチと検出板との位置関係を示す側面図である。
この発明に係るエレベータは、昇降路内を昇降するエレベータのかご1、かご1の出入口の敷居2の下方に延びるエプロン3、乗客が乗り降りする乗場4、及び、乗場4の乗降口の敷居5の下方に延びるトーガード6を備える。
【0010】
そして、この発明の実施の形態1に係る段差検出装置10は、かご1のエプロン3に取付けられる磁気センサ11と乗場4のトーガード6に取付けられる検出板12から構成される。
磁気センサ11は、所定の検知領域を有する磁気センサスイッチ13、かご1の床側から上方向に点灯するLEDライト14、及び、磁気センサスイッチ13の接点信号を取込んでLEDライト14を点灯/消灯する処理基板15を有する。なお、ライトとしてLEDライト14を採用しているが、冷陰極管、蛍光灯などであっても良い。
【0011】
検出板12は、外側を非磁性板16により囲まれた磁性板17からなり、磁気センサスイッチ13は、所定の検知領域18を有しており、その検知領域18に磁性板17が入り込むと磁気センサスイッチ13に内蔵される電気接点がONされ、逆に検知領域18から磁性板17が外れるとその電気接点がOFFされる。なお、磁気センサスイッチ13に内蔵される電気接点が、検知領域18に磁性板17が入り込むときOFFされ、逆に検知領域18から磁性板17が外れるときONされても良い。
【0012】
磁気センサスイッチ13の検知領域18の中心線19は、かご1の敷居の敷居面からLcm下方に位置している。
また、磁性板17の中心線20は、乗場の敷居の敷居面からLcm下方に位置しており、かご床の高さと乗場床の高さが揃ったときには、検知領域18の中心線19が磁性板17の中心線20が重なる。このときには磁気センサスイッチ13の電気接点はONされている。
他方、かご床の高さと乗場床の高さが異なり所定の高さの段差が生じたとき、検知領域18の所定の割合以下しか磁性板17が覆わなくなる。すると、磁気センサスイッチ13の電気接点がOFFする。
処理基板15は、磁気センサスイッチ13からの電気信号を取り込む機能とLEDライト14を駆動する機能を有する。
【0013】
次に、この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置の動作について説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS1において、磁気センサ11が検出板12を検出したか否かを判断し、磁気センサ11が検出板12を検出したときステップS2に進み、磁気センサ11が検出板12を検出しないときステップS3に進む。
ステップS2において、LEDライト14を消灯する。
ステップS3において、LEDライト14を点灯する
例えば磁気センサスイッチ13が検出板12を検出した時に接点をONする仕様であれば、接点信号がOFFのときに、LEDライト14への出力信号を駆動することでLEDライト14を点灯させ、接点信号がONのときには出力信号を駆動しない。
逆に磁気センサスイッチ13が検出板12を検出しない時に接点をONする仕様であれば、接点信号がONのときにLEDライト14への出力信号を駆動し、接点信号がOFFのときに駆動しない。
磁気センサスイッチ13が検出板12を検出しない状態は、かご1の床と乗場4の床が高さ方向にずれていることを意味し、このときにLEDライト14が床から上向きに点灯する。
【0014】
この発明の実施の形態1に係る段差報知装置は、かご床と乗場床との間にずれがある、すなわち段差があるときに、下方向からLEDライト14が点灯されるので、乗客はかご1へ乗降する際に足元を注意することになり、段差に容易に気付き、段差による利用者災害を防止することができる。
また、床ずれがない場合は点灯しないので、無用な電力を消費することがない。
【0015】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る磁気センサのブロック図である。
この発明の実施の形態2に係るエレベータ段差報知装置は、この発明の実施の形態1に係るエレベータ段差報知装置と磁気センサ11Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
この発明の実施の形態2に係る磁気センサ11Bは、図6に示すように、所定の検知領域を有する磁気センサスイッチ13、かご1の床側から上方向に点灯するLEDライト14、エレベータの加速及び減速を検出し、所定以上の加速度及び減速度を検出したときに加速度信号を出力する加速度センサ22、スピーカ23、磁気センサスイッチ13の接点信号と加速度センサ22の加速度信号を取り込み、所定の条件でLEDライト14の点灯及び消灯を制御すると共にスピーカ23から段差への注意を促すアナウンスを流す処理基板15Bを有する。
【0016】
加速度センサ22は、エレベータの加速度及び減速度を検出し、所定の加速度及び所定の減速度を超えたときにそれぞれ異なる信号を処理基板15Bへ出力する。
処理基板15Bは加速度センサ22からの信号からエレベータの起動、加速、一定速、減速、着床という状態遷移を判別する。そして、処理基板15Bは、磁気センサスイッチ13が検出板12を検出しておらず、且つ加速度センサ22の出力信号から「着床」状態であると判定した場合、LEDライト14を点灯させると共に、スピーカ23から段差に注意を促すアナウンスを流す。
【0017】
次に、この発明の実施の形態2に係るエレベータ段差報知装置の動作について説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係るエレベータ段差報知装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS101において、加速度センサ22が所定の減速度閾値以上の減速度を検出したか否かを判断し、減速度閾値以上の減速度を検出したときステップS102に進み、減速度閾値未満の減速度を検出したときステップS101を繰り返す。
ステップS102において、減速状態を記憶する。
ステップS103において、加速度センサ22が減速度を検出しなくなったか否かを判断し、減速度を検出しなくなったらステップS104に進み、減速度を検出したらステップS103を繰り返す。
ステップS104において、着床状態を記憶する。
ステップS105において、磁気センサスイッチ13が検出板12を検出したか否かを判断し、磁気センサスイッチ13が検出板12を検出したときステップS106に進み、磁気センサスイッチ13が検出板12を検出しなかったときステップS107に進み。
ステップS106において、LEDライト14を消灯してステップS108に進む。
ステップS107において、LEDライト14を点灯してステップS108に進む。
ステップS108において、加速度センサ22が所定の加速度閾値以上の加速度を検出したか否かを判断し、加速度閾値以上の加速度を検出したときステップS109に進み、加速度閾値未満の加速度を検出したときステップS105に戻る。
ステップS109において、LEDライト14を消灯してステップS110に進む。
ステップS110において、加速状態を記憶しステップS101に戻る。
【0018】
この発明の実施の形態2に係る段差報知装置は、エレベータが走行中であり、磁気センサスイッチ13が検出板12を検出していなくても、加速度センサ22によりかご1が着床していることを判定しない限りLEDライト14は点灯されないので、かご床と乗場床の間に段差があるときだけ点灯され、消費電力が節約される。
【符号の説明】
【0019】
1 かご、2 敷居、3 エプロン、4 乗場、5 敷居、6 トーガード、10 段差検出装置、11、11B 磁気センサ、12 検出板、13 磁気センサスイッチ、14 LEDライト、15、15B 処理基板、16 非磁性板、17 磁性板、18 検知領域、19 中心線、20 中心線、22 加速度センサ、23 スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごのエプロンに取付けられる磁気センサと乗場のトーガードに取付けられるとともに着床している上記かごの床と上記乗場の床との間に段差がないとき上記磁気センサと対向する検出板とを備え、
上記磁気センサは、所定の検知領域を有する磁気センサスイッチ、上記かごの床側から上方向に点灯するライト、及び、上記磁気センサスイッチの接点信号を取込んで上記ライトを点灯/消灯する処理基板を有し、
上記検出板は、磁束を優先的に通す磁性板を有し、
上記磁性板が上記検知領域に入り込むと上記接点信号がONになり、逆に上記検知領域から上記磁性板が外れると上記接点信号がOFFになり、
上記処理基板は、上記接点信号がONのとき上記ライトを消灯し、上記接点信号がOFFのとき上記ライトを点灯することを特徴とするエレベータ段差報知装置。
【請求項2】
上記磁気センサは、上記かごの加速度を検出する加速度センサを有し、
上記処理基板は、上記加速度センサにより上記かごが着床しているとともに上記磁性板が上記検知領域から外れているときだけ上記ライトを点灯することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ段差報知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate