説明

エレベータ用ロープ

【課題】温度や滑り速度に依存せず安定した摩擦係数を有するエレベータ用ロープを得ること。
【解決手段】本発明のエレベータ用ロープは、ロープ本体、及び該ロープ本体の外周を被覆し、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体からなる樹脂被覆層を備えている。摩擦係数をより安定させるために、タルク、ガラス繊維、酸化チタンなどの無機充填材を樹脂被覆層形成組成物に混合するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに用いられ、かごを吊り下げるエレベータ用ロープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ装置においては、ロープの早期の摩耗や断線を防止するため、ロープ径の40倍以上の直径を持つシーブが使用されている。そのため、シーブの径を小さくするためには、ロープの径も小さくする必要がある。しかし、ロープ本数を変えずロープ径を小さくすると、ロープの耐荷重が低下し、かごに積載できる荷物や乗降する乗客の重量が低下する。また、ロープ本数の増加は、エレベータ装置の構成を複雑してしまう。更に、駆動シーブの径を小さくすると、ロープの繰返し曲げ疲労が大きくなり、ロープを頻繁に交換する必要がある。
これらの問題を解決する手段として、鋼製素線を複数本撚り合せてストランドを構成し、このストランドを複数本撚り合せてワイヤーロープを構成し、このワイヤーロープの最外周を樹脂材料で被覆したロープを用いることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようなロープを用いたエレベータは、シーブとロープの最外周を構成する樹脂材料との摩擦力により駆動される。そのため、樹脂材料の摩擦特性を安定させたり、向上させたりすることが望まれる。そこで、エレベータ用ロープの摩擦特性を向上させるために、ワックスを含有しないポリウレタン被覆材で被覆したロープを用いることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。一方で、シーブとベルトとの間の摩擦係数を所定の範囲内に減少させるため、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーに含油量の低いイソパラフィンワックスを添加したもので被覆したフラットベルトが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。更に、シーブとロープ又はベルトとの接触面に油が付着したような状況においても摩擦係数が大幅に下がらず且つ摺動による樹脂被覆体の摩耗が少ないロープ及びベルトを得るため、樹脂母材に不溶固体添加物粒子、特にシーブの表面部材の硬度よりも大きい硬度を有する不溶固体添加物粒子を混合した樹脂被覆体で被覆したロープ及びベルトが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【0003】
一般に、樹脂材料の摩擦係数は滑り速度や温度に大きく依存することが知られている。更に、樹脂材料の動的粘弾性等の粘弾性特性は、その速度及び温度依存性の間に換算性(Williams-Landel-Ferryの式(WLF式))があることも知られている。更に、ゴムの摩擦の場合にもその滑り速度及び温度に対して同様の換算性が成り立つことから、ゴムの粘弾性特性がそのゴムの摩擦特性に関与していることが示されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−262482号公報
【特許文献2】特表2004−538382号公報
【特許文献3】国際公開第2007/128622号公報
【特許文献4】特開2009−234791号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Grosch, K. A. : Proc. Roy. Soc., A274, 21 (1963)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のことから分かるように、特許文献2に記載されるワックスを含有しないポリウレタン被覆材であっても、材料そのものの摩擦係数が滑り速度や温度により変化するため、エレベータを安定して制動できないという問題があった。更に、非特許文献1に記載されている通り、ゴムの摩擦係数は滑り速度に対して極大値を有する。エレベータが長時間停止するためには、ロープとシーブとの摩擦力によりかごの静止状態を維持する必要があるが、従来のような摩擦係数の変動が大きな被覆材や、特許文献3に記載のような含油量の低いイソパラフィンワックスを添加した被覆材では微小な滑り速度での摩擦係数が一定以上確保できず、かごの停止位置が経時的にずれるという問題があった。また、運転中のエレベータを非常停止あるいは急停止させるためには、ロープとシーブとの摩擦力によりエレベータを制動する必要があるが、特許文献1〜4に記載されているような従来の被覆材では摩擦熱により強度低下や溶融が起こり、その結果、ロープとシーブとの間の摩擦係数が著しく低下するという問題もあった。
【0007】
従って、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、温度や滑り速度に依存せず安定した摩擦係数を有するエレベータ用ロープを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、様々な樹脂材料の摩擦特性について検討した。図1は、摩擦係数の滑り速度依存性が異なる材料における損失弾性率の周波数依存性を示す結果の一例である。発明者らは、図1から分かるように、摩擦係数の滑り速度依存性が小さい材料は、粘弾性のマスターカーブにおいて、損失弾性率の周波数依存性が小さいということを見出した。この知見に基づいて、本発明者らは、樹脂材料の組成について検討した結果、損失弾性率の周波数依存性を小さくし、摩擦係数の滑り速度依存性も小さくするためには、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体をエレベータ用ロープの樹脂被覆層として備えることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ロープ本体、及び該ロープ本体の外周を被覆し、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体からなる樹脂被覆層を備えることを特徴とするエレベータ用ロープである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体からなる樹脂被覆層でロープ本体の外周を被覆したので、温度や滑り速度に依存せず安定した摩擦係数を有するエレベータ用ロープを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】摩擦係数の滑り速度依存性が異なる材料における損失弾性率の周波数依存性を示す結果(粘弾性マスターカーブ)の一例である。
【図2】実施例で用いた微小滑り速度域での摩擦係数を測定するための装置の概念図である。
【図3】実施例で用いた非常停止時での摩擦係数を測定するための装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1によるエレベータ用ロープは、ロープ本体の外周が、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体により被覆されていることに特徴がある。
【0012】
本実施の形態において使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、エステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー、エーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー、エステル−エーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー、カーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱可塑性ポリウレタンエラストマーの中でも、使用環境で起こる加水分解を防ぐために、エーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることが好ましく、エレベータ用ロープの柔軟性や耐久性も考慮すると、JIS A硬度(JIS K7215で規定されるタイプAデュロメータによる硬さ)が85以上95以下のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることが更に好ましい。
また、ブロックイソシアネートとの混合等の取り扱い性の点から、ペレット状又はフレーク状に加工された熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることが好ましい。
【0013】
本実施の形態において使用するブロックイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるものである。1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物としては、脂肪族系ジイソシアネート化合物、脂環族系ジイソシアネート化合物、芳香族系ジイソシアネート化合物、芳香脂肪族系ジイソシアネート化合物等の有機ジイソシアネート化合物が用いられる。脂肪族系ジイソシアネート化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、1,11−ジイソシアナトウンデカン、1,12−ドデカンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族系ジイソシアネート化合物の具体例としては、イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−ジイソシアナトシクロブタン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロブタン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−シクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシル)イソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロブタン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、3(4),8(9)−ジイソシアナトメチルトリシクロ(5.2.1.2.6)デカン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−又は1,4−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)等が挙げられる。芳香族系ジイソシアネート化合物の具体例としては、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族系ジイソシアネート化合物の具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルメタン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの有機ジイソシアネート化合物の中でも、入手容易性やロープ被覆材としての機械強度物性及び耐久性の観点から、芳香脂肪族系ジイソシアネートが好ましく、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが特に好ましい。
【0014】
ブロック剤としては、フェノール系、アルコール系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸系、オキシム系、アミン系、イミン系、ピラゾール系等の公知のイソシアネート用のブロック剤が用いられる。フェノール系ブロック剤の具体例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール等が挙げられる。アルコール系ブロック剤の具体例としては、メタノール、エタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。活性メチレン系ブロック剤の具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。メルカプタン系ブロック剤の具体例としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。酸アミド系ブロック剤の具体例としては、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等が挙げられる。酸イミド系ブロック剤の具体例としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。イミダゾール系ブロック剤の具体例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。尿素系ブロック剤の具体例としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。カルバミン酸系ブロック剤の具体例としては、N−フェニルカルバミン酸フェニル等が挙げられる。オキシム系ブロック剤の具体例としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が挙げられる。アミン系ブロック剤の具体例としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。イミン系ブロック剤の具体例としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。ピラゾール系ブロック剤の具体例としては、3、5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのブロック剤の中でも、オキシム系ブロック剤が好ましく、メチルエチルケトオキシムが特に好ましい。
上記した原料から得られるブロックイソシアネートは単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本実施の形態における樹脂被覆層は、上記した熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、上記したブロックイソシアネートとを混合して樹脂被覆層形成組成物とした後、これを押出成形機、射出成形機等の成形機に投入し、ロープ本体の外周部に被覆させることにより得られる。本実施の形態において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブロックイソシアネートとの混合割合については、使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びブロックイソシアネートの種類によって変化するが、得られる成形体のJIS A硬度が98以下及びガラス転移温度が−20℃以下となる範囲で適宜調整すればよい。例えば、JIS A硬度95のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのイソシアネート基をメチルエチルケトオキシムでブロックしたブロックイソシアネートとを用いる場合、熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に対し、ブロックイソシアネートを3質量部以上15質量部以下の割合で混合することが好ましい。ブロックイソシアネートの量が3質量部未満では架橋が不充分となり、温度や滑り速度に依存しない摩擦係数を安定させる効果が十分に発揮されにくくなる場合があり、また、15質量部を超えるとその量に見合った効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる上、得られる架橋体の他の物性が低下する恐れがある。
【0016】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2によるエレベータ用ロープは、ロープ本体の外周が、芳香族ジイソシアネートと平均分子量450以上4000以下及び官能基数2の高分子量ポリオールと平均分子量60以上450未満のジオール及び平均分子量60以上450未満のトリオールの混合物からなる鎖延長剤とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体により被覆されていることに特徴がある。
【0017】
実施の形態2の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るために使用される芳香族ジイソシアネートの具体例としては、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、入手容易性やロープ被覆材としての機械強度物性及び耐久性の観点から、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。
【0018】
実施の形態2の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るために使用される高分子量ポリオールとしては、平均分子量が450以上4000以下であり且つ官能基数が2であるポリオールであればよく、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸及びアゼライン酸から選択される1種以上の酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールから選択される1種以上のグリコールとを反応させて得られるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、実施の形態1に記載したのと同様の理由で熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしてはエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましいことから、平均分子量450以上4000以下のポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0019】
実施の形態2の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るために鎖延長剤として使用されるジオールとしては、平均分子量が60以上450以下のジオールであればよく、例えば、エタンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、実施の形態2の熱可塑性ポリウレタンエラストマーの鎖延長剤として使用されるトリオールとしては、平均分子量が60以上450以下のトリオールであればよく、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等が挙げられる。
鎖延長剤に含まれるジオールとトリオールとの配合割合は、トリオール1モルに対してジオールが1モル以上、より好ましくは3モル以上7モル以下である。ジオールの配合割合が少な過ぎると得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーの溶融粘度が高くなり過ぎ、成形性及び加工性が悪くなる場合がある。
実施の形態2の熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、例えば、特許第4076893号公報に記載されるような公知の製造方法により製造することができる。
【0020】
また、ブロックイソシアネートとしては、実施の形態1に例示したのと同様のものを使用することができ、それらを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブロックイソシアネートとの混合割合については、使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びブロックイソシアネートの種類によって変化するが、実施の形態1と同様に、得られる成形体のJIS A硬度が98以下及びガラス転移温度が−20℃以下となる範囲で適宜調整すればよい。また、樹脂被覆層の成形方法も実施の形態1と同様の方法が適用できる。
【0021】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3によるエレベータ用ロープは、ロープ本体の外周が、芳香族ジイソシアネートと平均分子量450以上4000以下及び官能基数2.1以上3未満の高分子量ポリオールと平均分子量60以上450未満のジオールからなる鎖延長剤とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体により被覆されていることに特徴がある。
【0022】
実施の形態3の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るために使用される高分子量ポリオールとしては、平均分子量が450以上4000以下であり且つ官能基数が2.1以上3未満であるポリオールであればよく、実施の形態2に例示したのと同様のポリオールを使用することができる。更には、官能基数の異なる2種以上の高分子量ポリオールを混合して平均官能基数2.1以上3未満に調整した高分子量ポリオール混合物や、過剰のポリオールとイソシアネートとを反応させ、1分子中に含まれる水酸基数を2.1以上3未満に調整したポリオールプレポリマーも使用することができる。これらの中でも、入手容易性やロープ被覆材としての機械強度物性及び耐久性の観点から、平均分子量450以上4000以下及び官能基数2.1以上3未満のポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(官能基数2)と官能基数が2より大きなポリプロピレングリコールとを混合して平均官能基数2.1以上3未満に調整されたポリオール混合物が好ましい。
【0023】
また、実施の形態3の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得るために使用される芳香族ジイソシアネート及び鎖延長剤としてのジオールは、実施の形態2に例示したのと同様のものを使用することができる。
【0024】
ブロックイソシアネートとしては、実施の形態1に例示したのと同様のものを使用することができ、それらを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブロックイソシアネートとの混合割合については、使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマー及びブロックイソシアネートの種類によって変化するが、実施の形態1と同様に、得られる成形体のJIS A硬度が98以下及びガラス転移温度が−20℃以下となる範囲で適宜調整すればよい。また、樹脂被覆層の成形方法も実施の形態1と同様の方法が適用できる。
【0025】
なお、実施の形態1〜3に記載した樹脂被覆層形成組成物には、温度や滑り速度に対して摩擦係数をより安定させるために、無機充填材を更に混合することもできる。このような無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、カーボンブラック、アセチレンブラック、硫酸バリウム等の球状無機充填材、カーボン繊維、ガラス繊維等の繊維状無機充填材、マイカ、タルク、ベントナイト等の板状無機充填材が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、摩擦係数の変動をより小さくするために、繊維状無機充填材及び板状無機充填材を用いることが好ましい。またこれらの無機充填材の硬度は特に問わない。これらの無機充填材の配合量は、得られる成形体のJIS A硬度が98以下及びガラス転移温度が−20℃以下となる範囲で適宜調整すればよい。
【0026】
成形体のJIS A硬度を98以下と規定した理由は、98を超えるとロープの柔軟性が損なわれ、これをエレベータに適用して駆動させた際の消費電力が増加する傾向があることが発明者らの検討により分かったためである。成形体のJIS A硬度は、より好ましくは85以上95以下である。
また、成形体のガラス転移温度を−20℃以下と規定した理由は、成形体のガラス転移温度が高いほど摩擦係数の滑り速度依存性が小さくなるが、一方で、成形体のガラス転移温度が高いほど成形体の弾性率が大きくなり、これを樹脂被覆層としてエレベータ用ロープに適用した場合、ロープの柔軟性が低下し、成形体のガラス転移温度よりも高い環境下でロープが繰り返し曲げられると、樹脂被覆層が受ける応力により樹脂被覆層の割れ等の疲労破壊が生じ易くなる傾向があることが発明者らの検討により分かったためである。成形体のガラス転移温度は、より好ましくは−25℃以下である。
【0027】
なお、実施の形態1〜3に係るエレベータ用ロープは、ロープ本体の外周を被覆する最外層の樹脂材料に特徴があるため、ロープ本体の構造は特に限定されるものではないが、ロープ本体は、一般には、複数の鋼製素線を撚り合わせて構成されるストランドもしくはコードを荷重支持部材として含む。本実施の形態におけるロープ本体は、上記したストランドもしくはコードを含むベルト状のものであってもよい。また、ロープ本体と樹脂被覆層との密着性を向上させるために、ケムロック(登録商標)218(ロードファーイースト社製)のような金属及びポリウレタン用接着剤を上記したストランドもしくはコードに予め塗布しておくことが好ましい。また本実施の形態に係るエレベータ用ロープは、最外層の樹脂が被覆された後、ブロックイソシアネートによる熱可塑性ポリウレタンエラストマーの架橋の促進及び接着剤の硬化のために100℃〜120℃程度に加熱される。
【0028】
実施の形態1〜3によれば、エレベータかごの静止状態の維持に必要となる微小滑り速度域から運転中のエレベータを非常停止あるいは急停止させる際の大きな滑り速度域までの広範囲な滑り速度において、摩擦係数の変動が小さいエレベータ用ロープを得ることができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(芳香族ジイソシアネート)と、平均分子量1000g/molのポリテトラメチレングリコール(高分子量ポリオール)と、ブタンジオール(鎖延長剤)とを、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのイソシアネート1当量に対して高分子量ポリオール及び鎖延長剤の水酸基当量の和が1となるように混合し、重合させてエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得た。得られたエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのJIS A硬度は85であった。
上記で得られたJIS A硬度85のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートにメチルエチルケトオキシムを反応させて得られたブロックイソシアネート10質量部を十分に混合したものを押出成形機に供給し、ロープ本体の外周を被覆する樹脂被覆層として成形した。ロープ本体を樹脂被覆層で被覆した後、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの架橋反応の促進及び接着剤の硬化のために110℃で2時間加熱し、直径12mmのエレベータ用ロープを得た。なお、得られたエレベータ用ロープは、国際公開第2003/050348号の図1に記載される断面構造を有するものである。ここで、ロープ本体は、複数の鋼製素線が撚り合わされている複数の芯子縄と複数の鋼製素線が撚り合わされている複数の内層子縄とを有する内層ロープと、内層ロープの外周を被覆する樹脂製の内層被覆体と、内層被覆体の外周部に設けられ、複数の鋼製素線が撚り合わされている複数の外層子縄を有する外層ロープとからなるものに相当し、樹脂被覆層は外層被覆体に相当する。ロープ本体を樹脂被覆層で被覆する前に、外層子縄にケムロック(登録商標)218(ロードファーイースト社製)を塗布し乾燥させておいた。
【0030】
<実施例2>
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのJIS A硬度を85から95に変更した以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0031】
<実施例3>
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(芳香族ジイソシアネート)と、平均分子量1000g/molのポリテトラメチレングリコール(高分子量ポリオール)と、ブタンジオール及びトリメチロールプロパンの混合物(鎖延長剤、ブタンジオールとトリメチロールプロパンとのモル比5.9:1)とを、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのイソシアネート1当量に対して高分子量ポリオール及び鎖延長剤の水酸基当量の和が1.08となるように混合し、重合させてエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得た。得られたエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのJIS A硬度は85であった。
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代わりに、このエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0032】
<実施例4>
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(芳香族ジイソシアネート)と、平均分子量1000g/molのポリテトラメチレングリコール及び平均分子量1000g/molで平均官能基数2.4のポリプロピレングリコールの混合物(高分子量ポリオール混合物、ポリテトラメチレングリコールとポリプロピレングリコールとの重量比1:1)と、ブタンジオール(鎖延長剤)とを、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートのイソシアネート1当量に対して高分子量ポリオール混合物及び鎖延長剤の水酸基当量の和が1.08となるように混合し、重合させてエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得た。得られたエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのJIS A硬度は85であった。
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代わりに、このエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0033】
<実施例5>
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代わりに、実施例2に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーに酸化チタンを9.1質量%添加したものを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0034】
<実施例6>
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代わりに、実施例2に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーにガラス繊維(繊維長約1mm)4.8質量%添加したものを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0035】
<実施例7>
実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代わりに、実施例2に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーにタルクを9.1質量%添加したものを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0036】
<比較例1>
ブロックイソシアネートを使用せず、実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いた以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0037】
<比較例2>
ブロックイソシアネートを使用せず、実施例1に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのJIS A硬度を85から95に変更した以外は実施例1と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0038】
<比較例3>
ブロックイソシアネートを使用せず、実施例3に記載のエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いた以外は実施例3と同様にしてエレベータ用ロープを得た。
【0039】
〔樹脂被覆層のJIS A硬度〕
JIS K7215に従い、タイプAデュロメータを用いてデュロメータA硬さを測定した。結果を表1に示す。
【0040】
〔樹脂被覆層のガラス転移温度(Tg)の測定〕
樹脂被覆層のガラス転移温度(Tg)は以下のように測定した。実施例及び比較例それぞれに用いた樹脂被覆層と同一組成の樹脂被覆層形成組成物を射出成形機に供給し、100mm×100mm×厚さ2mmの平板に成形し、110℃で2時間加熱した後、その中心部から50mm×10mm×厚さ2mmの試験片を切り出した。セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータDMS120を用い、変形モード曲げモード、測定周波数10Hz、昇温速度2℃/分、加振振幅10μmの条件で、試験片の損失弾性率を測定し、損失弾性率のピーク温度をTgとした。結果を表1に示す。
【0041】
〔ロープ摩擦係数の測定〕
(1)微小滑り速度及び通常運転滑り速度での測定法
図2は、微小滑り速度域での摩擦係数を測定するための装置の概念図である。図2に示されるように、実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープ1をシーブ2に対し180度巻き付け、その一端を測定装置3に固定し、他端をおもり4に繋ぎ、エレベータ用ロープ1に張力を掛けた。ここでシーブ2を所定速度で時計回りに回転させると、エレベータ用ロープ1とシーブ2との間に生じる摩擦力だけ、固定側のロープ張力(T)が緩められ、おもり側のロープ張力(T)との間で張力差が発生する。これらのおもり側のロープ張力(T)及び固定側のロープ張力(T)を、ロープとおもりの連結部に備え付けられたロードセルによって測定した。微小滑り速度を1×10−5mm/sec、通常運転時の滑り速度を1mm/secと定義し、T及びT(ただしT>T)、ロープ巻き付け角θ(=180度)、シーブ溝の形状で決まる係数K(=1.19)を下記式1に代入して、エレベータ用ロープ1とシーブ2との間の摩擦係数を求めた。結果を表1に示す。なお、測定はいずれも25℃の雰囲気温度下で実施した。
【0042】
【数1】

【0043】
(2)非常停止させる際の大きな滑り速度域での測定法
図3は、非常停止させる際の大きな滑り速度域での摩擦係数を測定するための装置の概念図である。実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープ1を駆動シーブ5に対し180度巻き付け、その一端をおもり4aに繋ぎ、他端をおもり4aよりも質量の大きいおもり4bに繋いだ。ここで駆動シーブ5を時計周りに回転させることでおもり4aを上昇させ、ロープ速度が4m/sになった時点で駆動シーブ5を急停止させ、駆動シーブ5に対しエレベータ用ロープ1をスリップさせた。その際のおもり4aの最小減速度α、おもり4a側の張力(T)及びおもり4b側の張力(T)をロープとおもりの連結部に備え付けられたロードセルによって測定し、それらの値を下記式2に代入して、スリップ中の最小摩擦係数を求めた。表1に試験結果を示す。なお、測定はいずれも25℃の雰囲気温度下で実施した。
【0044】
【数2】

【0045】
ここでKは微小滑り速度域での測定法で用いた値と同じであり、gは重力(=9.80665m/s)、θはロープ巻付け角(=180度)である。
【0046】
【表1】

【0047】
各測定法で測定したロープ摩擦係数が、0.15未満のものを×、0.15以上0.2未満のものを△、0.2以上0.25未満のものを○、0.25以上0.6以下のものを◎とした。ただし、実施例及び比較例で0.6を超える摩擦係数を示したものはなかった。
【0048】
表1の結果から分かるように、実施例及び比較例で得られたエレベータ用ロープを用いた微小滑り速度域(1×10−5mm/s)及び非常停止時の摩擦係数は、通常運転時の摩擦係数よりも低下する傾向を示した。
実施例で得られたエレベータ用ロープは、微小滑り速度域及び非常停止時の摩擦係数がいずれも0.15以上を示した。実施例1の結果と実施例2〜3の結果との比較から、ジオール及びトリオールの混合物や官能基数2.1以上3未満の高分子量ポリオール混合物を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーを、ブロックイソシアネートと併用することで摩擦係数の変動が低減できること、実施例1の結果と実施例5〜7の結果との比較から、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに無機充填材を添加すると摩擦係数の変動が低減でき、中でも繊維状無機充填材であるガラス繊維や板状無機充填材であるタルクを添加すると、より摩擦係数の変動が低減できることが分かった。一方、比較例で得られたエレベータ用ロープはいずれも、微小滑り速度域及び非常停止時の摩擦係数が低くなり過ぎるという問題が生じた。
【符号の説明】
【0049】
1 エレベータ用ロープ、2 シーブ、3 測定装置、4,4a,4b おもり、5 駆動シーブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープ本体、及び該ロープ本体の外周を被覆し、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られるブロックイソシアネートとを混合した樹脂被覆層形成組成物の成形体からなる樹脂被覆層を備えることを特徴とするエレベータ用ロープ。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーが、芳香族ジイソシアネートと、平均分子量450以上4000以下及び官能基数2の高分子量ポリオールと、平均分子量60以上450未満のジオール及び平均分子量60以上450未満のトリオールの混合物からなる鎖延長剤とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ロープ。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーが、芳香族ジイソシアネートと、平均分子量450以上4000以下及び官能基数2.1以上3未満の高分子量ポリオールと、平均分子量60以上450未満のジオールからなる鎖延長剤とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ロープ。
【請求項4】
前記樹脂被覆層形成組成物に無機充填材が更に混合されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエレベータ用ロープ。
【請求項5】
前記無機充填材が繊維状又は板状であることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ用ロープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−17166(P2012−17166A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154894(P2010−154894)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】