説明

エレベータ装置の搬器

【課題】本発明は、移動の際に生じる騒音の発生を抑制することができるエレベータ装置の搬器を提供する。
【解決手段】エレベータ装置10の搬器30は、マスト20に連結されてマスト20に対して移動する駆動部40と、駆動部40上にローラ72を介して載せられる荷台50とかご60とを備える。ローラ72において荷台50に接触する部分は、非金属材料で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設現場で用いられるエレベータ装置の搬器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばビルなどの建物の建築現場では、作業員や荷物の搬送のために、工事用のエレベータ装置が設置される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
エレベータ装置は、一般に、ラックピニオンギヤ駆動式である。ラックピニオンギヤ駆動式のエレベータ装置は、マストと、マストに沿って昇降する搬器とを備えている。
【0004】
マストには、ラックギヤが設けられている。搬器は、昇降する際の動力を発生する電動機を有してマストに沿って昇降する駆動部と、駆動部上に置かれる荷台と、荷台上に置かれるかごとを備えている。電動機と直結された減速機の出力軸部にはピニオンギヤが連結されている。ピニオンギヤは、ラックギヤに噛み合っている。
【0005】
左右の駆動部と荷台との間には、搬器が昇降する際のマスト設置間隔の誤差を吸収するために、金属製のローラが介装されている。具体的には、駆動部には、荷台が置かれる荷台受け部が設けられている。荷台は、金属製のローラを介して荷台受け部上に置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−137960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ローラは金属製であるので、ローラが転がる際には、騒音が発生することがある。特に、ラックピニオンギヤ駆動式のエレベータ装置では、ラックギヤとピニオンギヤとが噛み合う構造であるので、搬器の昇降の際に生じる振動が大きくなる傾向にあるので、搬器の移動の際に生じる騒音は大きくなる傾向にある。
【0008】
本発明は、搬器の昇降の際に生じる騒音の発生を抑制することができる搬器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベータ装置の搬器は、搬送物が載せられてマストに沿って昇降するエレベータ装置の搬器である。前記搬器は、前記マストに連結されて前記マストに対して昇降する駆動部と、前記駆動部上にローラを介して載せられる載置部とを備える。前記ローラにおいて前記載置部に接触する外周部は、非金属材料で形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬器の移動の際に生じる騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置を示す正面図。
【図2】図1に示された搬器を拡大して示す正面図。
【図3】図2に示された搬器を示す斜視図。
【図4】図3に示された搬器を分解して示す分解斜視図。
【図5】図4に示された荷台受け部を拡大して示す正面。
【図6】図5に示された荷台受け部を拡大して示す側面図。
【図7】図3に示されたかご上扉とかご下扉が全閉位置にある状態を、駆動フレームが並ぶ方向に見た側面図。
【図8】図2に示されたかご上扉とかご下扉が、全開位置にある状態を示す斜視図。
【図9】同かご上扉と同かご下扉とが閉じた状態において、第1の方向に沿う同かご上扉と同かご下扉の一端部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の搬器を、図1〜8を用いて説明する。図1は、本実施形態の搬器30を備えるエレベータ装置10を示す正面図である。エレベータ装置10は、例えば、建設中の建物に用いられ、この建物の各階に、資材、工具、作業員を搬送するために用いられる。資材、工具、作業員は、搬器が搬送する搬送物の一例である。なお、図8には、搬送物の一例である資材Mが示されている。
【0013】
図1に示すように、エレベータ装置10は、ラックピニオンギヤ駆動式のエレベータ装置である。エレベータ装置10は、一対のマスト20と、搬器30とを備えている。マスト20は、上下方向に延びている。なお、上下方向は、重力の作用する方向に平行である。重力の作用する方向が、下方向である。
【0014】
図1中に、範囲F1で囲む範囲を拡大するとともに斜めから見た状態を示している。範囲F1は、マスト20の一部を示している。図1中に拡大して示すように、マスト20は、上下方向に延びる4つの主材21と、主材21間を連結する連結板22とを備えている。主材21は、上下方向に延びる円柱形状の部材である。4つの主材21は、連結板22によって、マスト20を上方から見たときに仮想四角形の角部に1つずつ配置される。連結板22は、マスト20が延びる方向に一定の幅をおいて設けられている。
【0015】
また、マスト20は、ラックギヤ23を備えている。ラックギヤ23は、マスト20に沿って延びている。
【0016】
図2は、搬器30を拡大して示す正面図である。図3は、搬器30を斜めから見た状態を示す斜視図である。図4は、図3に示された搬器30を分解して示す斜視図である。図2〜4に示すように、搬器30は、駆動部40と、荷台50と、かご60とを備えている。
【0017】
図1,2に示すように、駆動部40は、各マスト20に対して1つ設けられている。このため、搬器30は、2つの駆動部40を備えている。各駆動部40は、同じである。駆動部40は、マスト20に沿って延びる駆動フレーム41と、搬器30を昇降するための動力発生装置の一例としての電動機42を備えている。電動機42は、一例として4つ用いられている。2つの電動機42は、一方の駆動フレーム41の上端部に固定されている。残りの2つの電動機42は、他方の駆動フレーム41の上端部に固定されている。
【0018】
各電動機42の出力軸部は、減速機43に連結されている。各電動機42の出力軸部の回転は、減速機43によって減速される。減速機43の出力軸部には、ピニオンギヤ44が設けられている。ピニオンギヤ44は、マスト20のラックギヤ23に噛み合っている。電動機42が駆動することによってラックギヤ23に噛み合ったピニオンギヤ44が回転する。このことによって、駆動フレーム41は、マスト20に沿って昇降する。
【0019】
駆動フレーム41の上下端部には、それぞれ、ガイドローラ48が設けられている。図3では、駆動フレーム41の上端部は、省略されており、下端部に設けられるガイドローラ48が示されている。なお、上端部においても、下端部と同様にガイドローラ48が設けられる。
【0020】
駆動フレーム41の上下端部には、マスト20の主材21に向かって延びるガイドローラ固定部45が設けられている。ガイドローラ固定部45には、主材21を挟み込むように配置される一対のガイドローラ48が設けられている。ガイドローラ48は、駆動フレーム41が昇降する際に回転することによって、マスト20に対する駆動フレーム41の昇降をガイドする。
【0021】
一方の駆動フレーム41と他方の駆動フレーム41とは、連結シャフト46によって連結されており、互いに一体に昇降する。各駆動フレーム41の下端部には、外側に向かって突出する荷台受け部70が設けられている。荷台受け部70には、後述される荷台50が載置される。
【0022】
図5は、荷台受け部70を拡大して示す正面図である。図6は、荷台受け部70を拡大して示す側面図である。図4〜6に示すように、荷台受け部70は、1つの駆動フレーム41の下端部において、駆動フレーム41を間に挟むように駆動フレーム41の両側に1つずつ配置されて固定されている。各荷台受け部70の構造は同じである。
【0023】
図5,6に示すように、荷台受け部70は、駆動フレーム41に固定される基部71と、ローラ72と、ローラ72を支持する支持用縦壁73と、ローラ72を支持用縦壁73に回転自由に支持する軸部材74とを備えている。
【0024】
基部71は、駆動フレーム41に固定されており、一方の駆動フレーム41と他方の駆動フレーム41とが並ぶ方向と上下方向とに垂直な方向に突出している。ここで、一方の駆動フレーム41と他方の駆動フレーム41とが並ぶ方向を第1の方向Aと定義する。第1の方向Aは、上下方向に垂直である。基部71は、基部71の剛性を高めるために、補強用縦壁部75を備えている。
【0025】
支持用縦壁73は、基部71上に、第1の方向Aと上下方向に垂直な方向に隙間を有して並んで配置されて固定されている。ここで、支持用縦壁73が並ぶ方向を第2の方向Bと定義する。第2の方向Bは、上下方向と第1の方向Aとに垂直である。
【0026】
軸部材74は、一方の支持用縦壁部73と他方の支持用縦壁部73とに渡って設けられている。軸部材74は、両支持用縦壁部73に固定されている。軸部材74は、第2の方向Bに平行に延びている。ローラ72は、軸部材74に回転可能に支持されている。このため、ローラ72の回転軸は、第2の方向Bに平行である。
【0027】
荷台50は、一方の駆動フレーム41と他方の駆動フレーム41とに掛け渡されている。図4に示すように、荷台50は、上下一対の梁部材51,53を備えている。両上梁部材51は、互いに平行に配置されて第1の方向Aに平行に延びている。両上梁部材51の両端には、ストッパープレート52が設けられている。ストッパープレート52は、梁部材51の端面よりも大きく、かつ、内側にこの端面が収容されるように、設けられている。両上梁部材51は、複数の荷台横梁部材57によって連結固定されている。
【0028】
下梁部材53は、上梁部材51との間に隙間を有して配置されており、上梁部材51に、骨組み体56を用いて連結されて固定されている。下梁部材53は、上梁部材51よりも短く、それゆえ、両上梁部材51と両下梁部材53とが骨組み体56によって連結固定された状態では、両上梁部材51の両端部は、両下梁部材53の両端よりも第1の方向Aに沿って外側に突出している。
【0029】
駆動フレーム41に荷台50が取り付けられた状態では、連結シャフト46は、第1の方向Aに平行に延びており、上梁部材51と下梁部材53との間に収容される。
【0030】
つぎに、荷台50を荷台受け部70上に載置する構造を説明する。なお、各駆動フレーム41に対して第2の方向Bに一方の荷台受け部70への載置構造と、各駆動フレーム41に対して第2の方向Bに他方の荷台受け部70への載置構造とは同じであるので、各駆動フレーム41に対して第2の方向Bに一方の荷台受け部70への載置構造を説明する。
【0031】
一方の上梁部材51の一端部54は、一方の駆動フレーム41に固定される荷台受け部70のローラ72の上におかれる。一方の上梁部材51の他端部55は、他方の駆動フレーム41に固定される荷台受け部70のローラ72に置かれる。
【0032】
ここで、ローラ72について、具体的に説明する。ローラ72は、全体が非金属材料で形成されている。本実施形態では、非金属材料の一例として、ウレタンゴムで形成されている。このため、ローラ72において、荷台50に接触する部分である外周部は非金属材料で形成されている。
【0033】
上梁部材51と上梁部材51の両端のストッパープレート52と駆動フレーム41とは、荷台50が両駆動フレーム41に掛け渡されたときに、第1の方向A、つまり両駆動フレーム41が並ぶ方向に荷台横梁部材57およびかご60と駆動フレーム41間に隙間Cができるように、かつ、駆動フレーム41とストッパープレート52との間に隙間Dができるように、お互いの配置および大きさが考慮されて設定されている。隙間Cの第1の方向Aに沿う大きさは、隙間Dの第1の方向Aに沿う大きさよりも、大きい。
【0034】
隙間Cの第1の方向Aに沿う大きさが、隙間Dの第1の方向Aに沿う大きさよりも大きいことによって、荷台50が左右に移動した場合、荷台50が荷台受け70に当たる前に
ストッパープレート52に当たるようになる。
【0035】
上記したように、ローラ72は、その回転軸が第2の方向Bつまり両駆動フレーム41が並ぶ方向と上下方向とに垂直な方向に延びるように配置されている。さらに、上記したように荷台横梁部材57およびかご60と駆動フレーム41との間に隙間が設定されている。このため、荷台50は、ローラ72が転がることによって、駆動フレーム41に対して移動することができる。非金属材料のローラ72を移動するにより、搬器30が昇降する際の振動が吸収される。
【0036】
かご60は、かご本体61と、かご上扉62と、かご下扉63と、かご上扉62とかご下扉63とを開閉する開閉システム64とを備えている。かご本体61は、荷台50上のかご支持部材59のロードセル59a上に載せられて位置決め金具58で固定される。
【0037】
図2に示すように、かご支持部材59は、各上梁部材51の両端の近傍の側面に、1つずつ設けられている。図2中範囲F21には、かご支持部材59を拡大して示している。範囲F21に示すように、かご支持部材59は、上梁部材51の側面から外側に突出している。かご支持部材59は、一例として、ロードセル59aが載置される上板と、上板を上梁部材51に支持する一対の支持板とを備えている。
【0038】
ロードセル59aは、かご60の重さに対応する電気信号を、エレベータ装置10の制御部310に送信する。制御部310は、ロードセル59aから受信した信号に応じた荷重を算出し、かご60に収容されたものの重さを算出する。制御部310は、かご60に収容できるものの重さが上限値を超えた場合は、搬器30の昇降を停止する。
【0039】
図2に示すように、位置決め金具58は、第1の方向Aの両端に配置される2つの横梁部材57の、それぞれの長手方向の両端部に1つずつ設けられている。図2中の範囲F22には、位置決め金具58を拡大して示している。範囲F22に示すように、位置決め金具58は、正面からみた形状が、U字状である。位置決め金具58は、開口が上方を向くように、内側に横梁部材57を収容している。
【0040】
位置決め金具58の上端には、かご本体61に固定される固定面部58eが形成されている。各載固定面部58eには、貫通孔58fが形成されている。ボルト58gが貫通孔58fを通った後かご本体61に螺合して固定されることによって、かご本体61は、位置決め金具58に固定される。
【0041】
また、横梁部材57は、上梁部材51に対向する縦壁部58hを備えている。縦壁部58hにおいて、横梁部材57を第1の方向Aに沿って挟んだ両側には、ねじ孔58iが形成されている。ねじ孔58iは、縦壁部58hを貫通している。ねじ孔58iには、ボルト58fが螺合する。ボルト58fの先端は、上梁部材51の側面に当接している。ねじ孔58iに対するボルト58fの螺合状態を調整することによって、上梁部材51に対する位置決め金具58に固定されたかご本体61の位置を調節することができる。
【0042】
また、位置決め金具58は、横梁部材57に対向する縦壁部58aを備えている。縦壁部58aにおいて、横梁部材57を第1の方向Aに挟んだ両側には、ねじ孔58bが形成されている。各ねじ孔58bには、ボルト58cが螺合している。各ボルト58cの先端は、横梁部材57に当接している。位置決め金具58は、横梁部材57の両端部において、一対のボルト58bで横梁部材57を挟みこむことによって、横梁部材58に固定されている。
【0043】
かご本体61は、搬送物を収容する空間を有している。かご本体61は周囲を覆う周壁部61aと、床板部61cと、一対の開口61bとを有している。開口61bは、搬送物をかご本体61内に収容するとき、または、かご本体61から搬送物を外に出すときに用いられる。
【0044】
図5に示すように、かご本体61が荷台50上に配置されたときには、かご本体61の第1の方向Aに沿う両端は、第1の方向Aに沿って両端に配置される横梁部材57の両端と、上下方向に重なる。
【0045】
かご上扉62は、開口61bの上側部分を塞ぐとともに、後で説明される開閉システム64によって、開口61bの上側部分を塞ぐ位置から上方に移動することによって、開口61bの上側部分を露出する。つまり、開口61bの上側部分を開く。開口61bの上側部分は、かご上扉62に対して割り当てられた範囲となる。
【0046】
かご下扉63は、開口61bの下側部分を塞ぐ。なお、下側部分とは、開口61bにおいてかご上扉62によってふさがれない部分全てである。かご下扉63は、開閉システム64によって、開口61bの下側部分を塞ぐ位置から下方に移動することによって、開口61bの下側部分を露出する。つまり、開口61bの下側部分を開く。開口61bの下側部分は、かご下扉63に対して割り当てられた範囲となる。
【0047】
なお、一方の開口61bと他方の開口61bとに対して設けられるかご上扉62とかご下扉63と開閉システム64とは、同じである。
【0048】
開口61bにおいて、かご上扉62によって塞がれる上側部分は、開口61bにおいて上下方向に中間位置より上側の部分であり、かご下扉63によって塞がれる下側部分は、開口61bにおいて上下方向に中間位置よりも下側の部分である。
【0049】
荷台50とかご60とは、駆動部40上にローラ72を介して載せられる載置部200の一例を構成している。
【0050】
開閉システム64について、一方の開口61bに設けられる開閉システム64を代表して説明する。他方の開口61bに対して設けられる開閉システム64も同様である。開閉システム64は、かご上扉62とかご下扉63を開閉する際の動力発生装置の一例である開閉用電動機65と、一対のかご上扉用プーリ66と、一対のかご下扉用プーリ67と、一対のかご上扉保持部80と、一対のかご下扉保持部90と、第1,2のかご上扉ガイドローラ300,305と、かご下扉ガイドローラ301と、一対の上下扉ガイドレール302を備えている。かご上扉ガイドローラ300とかご下扉ガイドローラ301と一対の上下扉ガイドレール302とは、かご上扉62とかご下扉63との開閉をガイドする。
【0051】
図9は、かご上扉62と、かご下扉63と、かご上扉ガイドローラ300と、かご下扉ガイドローラ301と、上下扉ガイドレール302とを説明するべく、これらのみを示しており、他の構成は、省略している。図9は、かご上扉62と、かご下扉63とが閉じた状態において、第1の方向Aの沿う一端部を示している。なお、他端部は省略されているが、一端部と同じ構造である。
【0052】
図9に示すように、かご上扉62の下端部において、第1の方向Aに沿う両端部には、かご上扉ガイドローラ300が設けられている。かご上扉ガイドローラ300は、第2の方向Bに延びる回転軸回りに回転可能に、かご上扉62に取り付けられている。
【0053】
かご下扉63の上端部において第1の方向Aに沿う両端部には、かご下扉ガイドローラ301が設けられている。かご下扉ガイドローラ301は、第2の方向Bに延びる回転軸回りに回転可能に、かご下扉63に取り付けられている。
【0054】
かご上扉62とかご下扉63を間に挟んだ第1の方向Aの両側には、上下扉ガイドレール302が1つずつ設けられている。上下扉ガイドレール302は、上下方向に延びている。上下扉ガイドレール302は、かご上扉62とかご下扉63との開閉に対して、移動しない部位に固定されている。本実施形態では、上下扉ガイドレール302は、かご本体61に固定されている。
【0055】
図9中、かご上扉ガイドローラ300およびこの近傍を第1の方向Aに沿うF91−F91線に沿って切断して示す断面図を、範囲F91内に示す。範囲F91内に示すように、かご上扉ガイドローラ300の周縁部には、回転軸回りに連続する溝300aが形成されている。上下扉ガイドレール302の断面形状は、L字状である。かご上扉ガイドローラ300の溝300a内に、上下扉ガイドレール302が収容されている。かご下扉ガイドローラ301の形状は、かご上扉ガイドローラ300と同じであり、溝を有している。かご下扉ガイドローラ301の溝内には、上下扉ガイドレール302が収容されている。
【0056】
また、かご上扉62の上端部において第1の方向Aに沿う両端部の近傍において、かご上扉62の開閉に対して移動しない部分には、第2のかご上扉ガイドローラ305が回転可能に設けられている。本実施形態では、第2のかご上扉ガイドローラ305は、かご60に固定されている。第2のかご上扉ガイドローラ305の回転軸は、第2の方向Bに延びている。
【0057】
第2のかご上扉ガイドローラ305およびの近傍を第1の方向Aに沿うF92−F92線に沿って切断して示す断面図を、範囲F92内に示す。範囲F92内に示すように、第2のかご上扉ガイドローラ305は、回転軸回りに一周連続する溝305aを有している。かご上扉62の周縁部において上下方向に延びる部分は、溝305a内に収容されている。
【0058】
かご下扉63の下端部において第1の方向Aに沿う両端部には、ガイドレール収容溝部306が設けられている。ガイドレール収容溝部306およびこの近傍を第1の方向Aに沿うF93−F93線に沿って切断して示す断面図を、範囲F93内に示す。範囲F93に示すように、ガイドレール収容溝部306は、内側に、上下扉ガイドレール302を収容する。
【0059】
上記のように、第1のかご上扉ガイドローラ300とかご下扉ガイドローラ301の溝内に上下扉ガイドレール302が収容され、第2のガイドかご上扉ガイドローラ305の溝305a内にかご上扉62の一部が収容され、ガイドレール収容溝部306内に上下扉ガイドレール302が収容されることによって、かご上扉62とかご下扉63が開閉する際に、この開閉が、第1,2のかご上扉ガイドローラ300,305とかご下扉ガイドローラ301とガイドレール収容溝部306と上下扉ガイドレール302とによってガイドされる。
【0060】
かご上扉62とかご下扉63とは、つるべ式に移動するように、第1のチェーン100と第2のチェーン101で吊るされている。第1のチェーン100の一端部は、かご上扉62に固定されている。第1のチェーン100の他端部は、かご下扉63に固定されている。第2のチェーン101は、一端がかご上扉62に固定され、他端がかご下扉63に固定されている。
【0061】
図3中に、かご60において開閉用電動機65の近傍を拡大して示している。拡大して示すように、開閉用電動機65に直結された減速機の出力軸部65aには、第1,2のスプロケット65b,65cが、出力軸部65aと一体に回転するように固定されている。第1のチェーン100は、第1のスプロケット65bにまわしかけられている。第2のチェーン101は、第2のスプロケット65cにまわしかけられている。
【0062】
第1,2のチェーン100,101の第1,2のスプロケット65b,65cへのまわしかけ方は、開閉用電動機65に直結された減速機の出力軸部65aが回転すると、かご上扉62が開口61bの上側部分を塞ぐ位置から上方に移動し、かつ、かご下扉63が開口61bの下側部分を塞ぐ位置から下方に移動するように、調整されている。
【0063】
かご上扉62が、かご上扉62が塞ぐように設定されている開口61bの上側部分を塞ぐ状態にあるとき、かご上扉62は、全閉位置P1にあるとする。かご上扉62が開口61bの上側部分を予め設定されている最大に開く状態にあるとき、かご上扉62は、全開位置P2にあるとする。
【0064】
かご下扉63が、かご下扉63が塞ぐように設定されている開口61bの下側部分を塞ぐ状態にあるとき、かご下扉63は、全閉位置P3にあるとする。かご下扉63が開口61bの下側部分を予め設定されている最大に開く状態にあるとき、かご下扉63は、全開位置P4にあるとする。
【0065】
かご上扉62が全閉位置P1にあるときは、かご下扉63も全閉位置P3にある。かご上扉62とかご下扉63が全閉位置P1,P3にあるとことによって、開口61bの全域が塞がれる。かご上扉62が全開位置P2にあるときは、かご下扉63も全開位置P4にある。
【0066】
図7は、かご上扉62が全閉位置P1にあり、かつ、かご下扉63が全閉位置P3にある状態を、第1の方向Aに沿って見る側面図である。図7に示すように、かご上扉62の下端には、緩衝材の一例としてゴムで形成された上側緩衝部110が形成されている。かご下扉63の上端には、緩衝材の一例としてゴムで形成された下側緩衝部111が形成される。かご上扉62とかご下扉63が全閉位置P1,P3にあるとき、上側緩衝部110と下側緩衝部111とが互いに接触する。
【0067】
一方のかご上扉用プーリ66は、かご本体61の上壁部おいて一方の駆動フレーム41側の端部に配置されており、第1のチェーン100が回しかけられている。一方のかご上扉用プーリ66は、第1のチェーン100において第1のスプロケット65bからかご上扉62までの部分の延びる方向を変更するとともに移動をガイドしている。他方のかご上扉用プーリ66は、かご本体61の上壁において他方の駆動フレーム41側の端部に配置されており、第2のチェーン101が回しかけられている。他方のかご上扉用プーリ66は、第2のチェーン101において第2のスプロケット65cからかご上扉62までの部分の延びる方向を変更するとともに移動をガイドしている。
【0068】
一方のかご下扉用プーリ67は、かご本体61の上壁部おいて一方の駆動フレーム41側の端部に配置されており、第1のチェーン100が回しかけられている。一方のかご下扉用プーリ67は、第1のチェーン100において第1のスプロケット65bからかご下扉63までの部分の延びる方向を変更するとともに移動をガイドしている。他方のかご下扉用プーリ67は、かご本体61の上壁において他方の駆動フレーム41側の端部に配置されており、第2のチェーン101が回しかけられている。第2のかご下扉用プーリ67は、第2のチェーン101において第2のスプロケット65cからかご下扉63までの部分の延びる方向を変更するとともに移動をガイドしている。両かご上扉用プーリ66と、両かご下扉用プーリ67とは、駆動フレーム41に接触しないように考慮されて配置されている。
【0069】
図3に示すように、かご上扉62の第1の方向Aの両端には、かご上扉用ガイド板102が1つずつ設けられている。かご上扉用ガイド板102は、第1の方向Aに沿って延びている。
【0070】
図4に示すように、かご上扉保持部80は、各開口61bに対して1組設けられている。なお、一方の開口61bに対して設けられる一組のかご上扉保持部80と、他方の開口61bに対して設けられる一組のかご上扉保持部80とは同じであるので、一方の開口61bに対して設けられるかご上扉保持部80を代表して説明する。
【0071】
かご上扉保持部80は、かご上扉62の第1の方向Aに沿って両側に1つずつ配置されている。かご上扉保持部80は、かご上扉62が全閉位置P1にあるときに、かご上扉用ガイド板102を挟みこんで保持する。両かご上扉保持部80は、同じ構造である。かご上扉保持部80は、第1,2の固定板81,82と、第1,2の板ばね86,87と、固定用ブラケット85とを備えている。
【0072】
図7に示すように、第1,2の固定板81,82は、かご上扉62が全閉位置P1にあるときに、かご上扉用ガイド板102を挟むように配置されている。図4に示すよう第1,2の固定板81,82は、固定用ブラケット85によってかご本体61に固定されている。固定用ブラケット85は、かご本体61に固定されている。固定用ブラケット85は、駆動フレーム41に接触しない。第1,2の固定板81,82が固定用ブラケット85を介してかご本体61に固定されることによって、第1,2の固定板81,82は、かご本体61に対してその位置が固定される。言い換えると、かご上扉保持部80は、かご本体61に対してその位置が相対的に固定される。
【0073】
図7中、かご上扉保持部80を拡大して示している。図中、拡大して示すように、第1の固定板81において第2の固定板82に対向する面には、第1の板ばね86が固定されている。第1の板ばね86は、上下方向に延びるとともに、下方に進むにつれて第2の固定板82に近づくように、上下方向に対して傾斜している。言い換えると、第1の板ばね86は、下端部が上端部に対して第2の固定板82側に突出する形状であって、第1,2の固定板81,82が並ぶ方向にたわむことができるように形成されている。そして、上側から下側に向かって、第2の固定板82側に傾斜する。
【0074】
第2の固定板82において第1の固定板81に対向する面には、第2の板ばね87が固定されている。第2の板ばね87は、上下方向に延びるとともに、下方に進むにつれて第1の固定板81に近づくように、上下方向に対して傾斜している。言い換えると、第2の板ばね87は、下端部が上端部に対して第1の固定板81側に突出する形状であって、第1,2の固定板81,82が並ぶ方向にたわむことができるように形成されている。そして、上側から下側に向かって、第1の固定板81側に傾斜する。
【0075】
第1,2の板ばね86,87において相手側にもっとも突出する突出部86a,87aは、かご上扉62が全閉位置P1にあるときに第1,2の板ばね86,87がたわんだ状態で突出部86a,87a間にかご上扉用ガイド板102がはさみ込まれるように、その位置が設定されている。
【0076】
このため、かご上扉62は、全閉位置P1にあるとき、一方のかご上扉用ガイド板102が、一方のかご上扉保持部80の第1,2の板ばね86,87の突出部86a,87a間に挟まれる。同様に、かご上扉62は、全閉位置P1にあるとき、他方のかご上扉用ガイド板102が、他方のかご上扉保持部80の第1,2の板ばね86,87の突出部86a,87a間に挟まれる。このため、かご上扉62は、全閉位置P1にあるとき、両端部のそれぞれが一対の板ばねで挟みこまれて保持されるので、姿勢が安定する。
【0077】
また、第1,2の板ばね86,87は、突出部86a,87a間にかご上扉用ガイド板102を挟んだ状態であっても、さらに、第1,2の固定板81,82が第2の方向Bにたわむことができるように、たわみ代を有するように形成されている。このため、かご上扉62が全閉位置P1にあるときに、かご上扉62が振動しても、第1,2の板ばね86,87がたわむことによって、かご上扉62の振動を吸収することができる。
【0078】
さらに、第1,2の板ばね86,87が上下方向に対して傾斜することによって、かご上扉62が全開位置P2から全閉位置P1に移動するときに、かご上扉用ガイド板102は、第1,2の板ばね86,87の表面によって、突出部86a,87a間にスムーズに導かれる。
【0079】
図3,4に示すように、かご下扉保持部90は、各開口61bに対して一組設けられている。かご下扉保持部90は、全閉位置P3にあるかご下扉63を、第2の方向Bのうちかご本体61に対して外側から内側に向かう方向に付勢する。一方の開口61bに対して設けられる一組のかご下扉保持部90と、他方の開口61bに対して設けられる一組のかご下扉保持部90とは同じであるので、一方の開口61bに対して設けられる一組のかご下扉保持部90を代表して説明する。
【0080】
かご下扉保持部90は、かご下扉63の両側に1つずつ設けられている。両かご下扉保持部90は、同じ構造である。かご下扉保持部90は、かご下扉用固定板91と、かご下扉用板ばね92と、固定用ブラケット93とを備えている。
【0081】
かご下扉63の第1の方向Aに沿って両端部の下端部には、それぞれ、かご下扉用ガイド板103が設けられている。かご下扉用ガイド板103は、第1の方向Aに沿って、かご下扉63から離れる方向に延びている。
【0082】
図7に示すように、かご下扉用固定板91は、かご下扉63が全閉位置P3にあるときに、かご下扉用ガイド板103と第2の方向Bに対向する位置に配置されている。図3に示すようかご下扉用固定板91は、固定用ブラケット93によってかご本体61に固定されている。固定用ブラケット93は、かご下扉用固定板91が固定されているとともに、かご本体61の側面に固定されている。固定用ブラケット93は、駆動フレーム41に接触しない。かご下扉用固定板91が固定用ブラケット93を介してかご本体61に固定されることによって、かご下扉用固定板91は、かご本体61に対してその位置が固定される。言い換えると、かご下扉保持部90は、かご本体61に対してその位置が相対的に固定される。
【0083】
かご下扉用固定板91においてかご下扉用ガイド板103側の面には、かご下扉用板ばね92が固定されている。かご下扉用板ばね92は、上下方向に延びるとともに、上方に進むにつれてかご下扉用ガイド板103に近づくように、上下方向に対して傾斜している。言い換えると、かご下扉用板ばね92は、上端部がした端部に対してかご下扉用ガイド板103側に突出する形状であって、第2の方向Bにたわむことができるように形成されている。そして、下側から上側に向かって、かご下扉用ガイド板103側に傾斜する。
【0084】
かご下扉用板ばね92においてかご下扉用ガイド板103側に最も突出する突出部92aの位置は、かご下扉63が全閉位置P3にあるときにかご下扉用ガイド板103に接触するとともに、かご下扉用板ばね92がかご下扉用ガイド板103を第2の方向Bに付勢するように設定されている
このため、かご下扉63は、全閉位置P3にあるとき、一方のかご下扉用ガイド板103が一方のかご下扉保持部90のかご下扉用板ばね92によって付勢され、他方のかご下扉用ガイド板103が他方のかご下扉保持部90のかご下扉用板ばね92によって付勢される。このため、かご下扉63は、全閉位置P3にあるとき、両端部のそれぞれが板ばねによって付勢されることによって、姿勢が安定する。
【0085】
かご下扉63は、全閉位置P3にあるとき、上記のように、かご下扉用ガイド板103によって第2の方向Bに付勢される。かご下扉63は、全閉位置P3にあるとき、かご下扉用板ばね92によって付勢される方向に対して反対方向に、後述される渡し板120によって付勢されている。
【0086】
かご下扉用板ばね92は、突出部92aがかご下扉用ガイド板103に接触して付勢している状態であっても、さらに、第2の方向Bにたわむことができるようにたわみ代を有するように形成されている。このため、かご下扉63が全閉位置P3にあるときに、かご下扉63が振動しても、かご下扉用板ばね92がたわむことによって、かご下扉63の振動を吸収することができる。
【0087】
さらに、かご下扉用板ばね92が上下方向に対して傾斜することによって、かご下扉63が全開位置P4から全閉位置P3に移動するときに、かご下扉用ガイド板103は、かご下扉用板ばね92の表面によって、突出部92aまでにスムーズに導かれる。
【0088】
図7に示すように、かご本体61の下端部には、渡し板120が設けられている。図8に示すように、渡し板120は、渡し板120は、かご上扉62とかご下扉63が全開位置P2,P4にあるときに建物5のフロア面6に向かって開き、かご本体61の内側の収容空間の底面と建物5のフロア面6との間の隙間を塞ぐ機能を有している。図8は、渡し板120が、開いた状態を示している。
【0089】
図7中には、かご本体61の底壁部において渡し板120が設けられる箇所を拡大して示している。図7中に拡大して示すように、渡し板120の一端部121は、床板部61cに、回転支持部122によって支持されている。回転支持部122は、回転軸部材123によって渡し板120を、回転軸部材123回りに回動自由に支持している。回転軸部材123は、第1の方向Aに延びている。
【0090】
渡し板120は、かご下扉63が全閉位置P3にあるときに、かご下扉63によりかかる。図7中に渡し板120が、全閉位置P3にあるかご下扉63によりかかる状態を、閉じている状態とし、図8に示すように、外側に向かって回転している状態を開いている状態とする。図7中、閉じている状態を実線で示し、開いている状態を2点鎖線で示している。
【0091】
渡し板120は、かご60の渡し板120の取り付け部の付勢部材によって、開く方向に付勢されている。付勢部材の一例としては、つるまきばね124が用いられている。
【0092】
図8は、かご上扉62とかご下扉63が、全開位置P2,P4にある状態を示す斜視図である。なお、図8では、かご本体61は、床板部61cの一部のみ示されている。図8に示すように、渡し板120は、つるまきばね124によって付勢されることによって、かご下扉63が全閉位置P3から下方に下がると、この移動にともなって次第に開く方向に回転する。
【0093】
かご下扉63が全開位置P4まで開くと、渡し板120は、建物5のフロア面6上にのる。このため、かご下扉63の全開位置P4は、かご下扉63の上端、本実施形態では、下側緩衝部111が、フロア面6よりも下に位置するように設定されている。
【0094】
このため、渡し板120が開いた状態にあるとき、渡し板120がかご下扉63に接触するなど干渉することがない。
【0095】
図7に示すように、かご下扉63においてかご本体61に面する面には、ローラ130が固定用ブラケット131を介して回転可能に支持されている。ローラ130は、かご下扉63が全閉位置P3から下方に下がるときにかご下扉63に向かって倒れかかる渡し板120と接触している。ローラ130を固定用ブラケット131に回転可能に支持する回転軸部材133は、第1の方向Aに平行である。このため、かご下扉63が開閉するとき、かご下扉63に渡し板120が寄りかかっていても、ローラ130が回転することによってかご下扉63の開閉がスムーズに行われる。
【0096】
渡し板120は、搬送物の荷重に対して変形しないだけの強度を有する材料で形成されており、一例として鉄などの金属材料で形成されている。ローラ130は、非金属材料で形成されている。非金属材料の一例としてウレタンゴムで形成されている。
【0097】
ローラ130は、かご下扉63に、第1の方向Aに複数設けられている。複数設けられるローラ130の一つは、一方のかご下扉用ガイド板103と対向する位置、または、一方のかご下扉用ガイド板103の近傍に設けられている。同様に、複数設けられるローラ130の一つは、他方のかご下扉用ガイド板103と対向する位置、または、他方のかご下扉用ガイド板103の近傍に設けられている。
【0098】
ローラ130が上記のように配置されることによって、かご下扉63において、かご下扉用板ばね92の付勢が作用する部位つまりかご下扉用ガイド板103が固定される部位、または、この部位の近傍に、渡し板120の荷重が作用する。この結果、かご下扉63には、かご下扉用板ばね92の付勢力と渡し板120の荷重とがバランスよく荷重が作用する。
【0099】
上記のように、かご下扉63が全閉位置P3にあるとき、かご下扉63は、かご下扉用板ばね92と、渡し板120とによって付勢されるので、その姿勢が安定して保持される。
【0100】
このように構成される搬器30では、駆動フレーム41の荷台受け部70と荷台50との間に介装されるローラ72は、非金属材料の一例としてウレタンゴムで形成されている。このため、搬器30がマスト20に沿って昇降する際に生じる振動を吸収するべくローラ72が転がる場合、騒音の発生が抑制される。
【0101】
かご上扉62は、全閉位置P3にあるとき、第1,2の板ばね86,87によって挟み込まれて保持されるので、姿勢が安定する。このため、搬器30が振動してもかご上扉62が振動すること抑制されるので、この振動に起因する騒音の発生が抑制される。かご下扉63は、全閉位置P1にあるとき、かご下扉用板ばね92によって付勢されるので、姿勢が安定する。このため、搬器30が振動してもかご下扉63が振動することが抑制されるので、この振動に起因する騒音の発生が抑制される。
【0102】
第1,2の板ばね86,87は、かご上扉62が全閉位置P1にある時のみ保持される。かご下扉用板ばね92は、かご下扉63が全閉位置P3にある時のみに保持される。
【0103】
かご下扉63にローラ130を設けることによって、かご下扉63が閉じた際にかご下扉63に渡し板120が接触しない構造とすることで、搬器30がマスト20に沿って昇降する際に生じる振動による騒音を防止すると同時に、載荷時の床板部62cのたわみにより発生する渡し板120の上下動に起因する渡し板120とかご下扉63とが擦れることを抑制できるので、同時に騒音の発生も抑制される。ローラ130は非金属材料の一例としてウレタンゴムで形成されているので、ローラ130が渡し板120と接触している状態で回転しても、騒音の発生が抑制される。
【0104】
本実施形態では、荷台50とかご60とは、駆動部40上にローラ72を介して載せられる載置部200を構成している。載置部200は、駆動部上にローラを介して載せられる載置部の一例である。例えば、荷台50とかご60が分離される構造でなく一体に形成される構造である場合には、この一体物が載置部の一例となる。要するに、載置部とは、駆動部にローラを介して載せられるものである。
【0105】
本実施形態では、かご上扉保持部80と、かご下扉保持部90とは、開口を塞ぐ位置つまり全閉位置にあるかご扉であるかご上扉62とかご下扉63とを付勢する付勢部の一例である。そして、第1,2の固定板81,82と固定用ブラケット85とは、かご本体に対して相対的に移動しない所定の位置に固定される固定部の一例である。同様に、かご下扉用固定板91と固定用ブラケット93とは、固定部の一例である。
【0106】
渡し板120は、かご本体に回転可能に支持されて、かご扉が塞ぐ位置にあるときかご扉に向かってよりかかる板部材の一例である。
【0107】
本実施形態では、ローラ72は、非金属材料の一例として、ウレタンゴムで形成されたが、他の非金属材料で形成されてもよい。例えば、ローラ72は、樹脂材料で形成されてもよい。または、合成樹脂材料で形成されてもよい。ローラ72が樹脂材料や、合成樹脂材料で形成される場合であっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0108】
本実施形態では、ローラ72は、全体が非金属材料で形成されており、それゆえ、ローラ72において荷台50に接触する外周部が非金属材料となっている。ローラ72は、少なくとも荷台50と接触する外周部が非金属で形成されればよい。例えば、鉄などの金属材料で形成されるしん部材を備えて、このしん部材の周囲を非金属材料で覆うことによってローラ状に形成されてもよい。このことによって、ローラ72の外周部は、非金属材料で形成される。非金属材料の一例は、上記説明した、樹脂材料や、合成樹脂材料や、ウレタンゴムである。このようの構造であっても、ローラにおいて荷台受け部と荷台とに接触する外周部が非金属材料になるので、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
本実施形態では、渡し板に接触するローラ130は、全体が非金属材料の一例としてウレタンゴムで形成されている。ローラ130は、非金属材料の他の例として、樹脂材料や合成樹脂材料で形成されてもよい。また、ローラ130は、全体が非金属材料で形成されているが、例えば、ローラ130において渡し板120に接触する外周部のみが非金属材料で形成されてもよく、この非金属材料の一例として、ウレタンゴム、樹脂材料、合成樹脂材料がある。
【0110】
本実施形態では、付勢部の一例であるかご上扉保持部80は、かご上扉用ガイド板102を付勢することによって、かご上扉62を付勢している。このように、付勢部は、かご扉に設けられるガイド板のような部材を介してかご扉を付勢してもよいし、または、直接、ガイド扉の面などを付勢してもよい。
【0111】
本実施形態のようにかごが複数のかご扉を備える構造の場合、1つのかご扉が、開口のうちこの1つの扉に対して割り当てられる範囲を全て塞ぐ位置にあるとき、この1つのかご扉は、全閉位置にある。また、この1つのかご扉が、この1つの扉に対して割り当てられる開閉範囲を全て開く位置にあるとき、この1つのかご扉は、全開位置にある。
【0112】
本実施形態では、かご上扉62が全閉位置P1にあるとき、かご上扉62は、開口61bにおいてかご上扉62に対して割り当てられる範囲を塞ぐ。かご下扉63が全閉位置P3にあるとき、かご下扉63は、開口61bにおいてかご下扉63に対して割り当てられる範囲を塞ぐ。
【0113】
例えばかご本体61の開口を開閉するかご扉として3つや4つなどの複数のかご扉が用いられる場合、各かご扉に対して、全閉位置つまり塞ぐ位置にあるときに各かご扉を付勢する例えば上扉保持部80のような付勢部が設けられる。このことによって、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
1つのかご扉のみが用いられてこの1つのかご扉が開口の全域を塞ぐ機能を有する場合、開口の全範囲が、この1つのかご扉に対して割り当てられる範囲となる。そして、この1つのかご扉に対して、全閉位置つまり開口を塞ぐ位置にあるときにこのかご扉を付勢する例えばかご上扉保持部80のような付勢部が設けられる。このことによって、この1つの扉が全閉位置にあるときに、このかご扉が振動することが抑制される。
【0115】
本実施形態のかご下扉保持部90は、かご下扉63に対してかご本体61を挟んで第2の方向Bの一方側のみにかご下扉用固定板91が固定される構造である。しかしながら、かご下扉保持部90は、かご下扉用固定板91が、かご上扉保持部80のように、かご下扉用ガイド板103を第2の方向Bに挟むように一対に設けられる構造であってもよい。なお、本実施形態のように、かご下扉用固定板91が、第2の方向Bの一方側に配置されて、かご下扉63を他方側から渡し板120の荷重を利用して付勢する構造を採用することによって、全閉位置P3にあるかご下扉63を保持する作用を、1つのかご下扉用固定板91のみ用いるという簡素な構造で得ることができる。
【0116】
なお、かご上扉保持部80のように、全閉位置にあるかご扉の両側に付勢部を配置してかご扉を両側から付勢して挟みこむことによって、全閉位置にあるかご扉の振動をより一層抑制することができる。
【0117】
本実施形態では、かご上扉保持部80の第1,2の固定板81,82は、固定用ブラケット85を介してかご本体61に固定されている。かご上扉保持部80は、かご本体61に対する相対位置が変化しなければよい。このため、固定用ブラケット85は、例えば、駆動フレーム41に固定されてもよい。同様に、かご下扉保持部90は、固定用ブラケット93を介してかご本体61に固定されている。かご下扉保持部90は、かご本体61に対する相対位置が変化しなければよい。このため、固定用ブラケット93は、例えば、駆動フレーム41に固定されてもよい。
【0118】
本実施形態では、エレベータ装置10は、一対のマスト20を備える構造であるが、例えば1つのマストのみを用いる構造であってもよい。
【0119】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0120】
10…エレベータ装置、20…マスト、30…搬器、40…駆動部、50…荷台(載置部)、かご60(載置部)、61…かご本体、61b…開口、62…かご上扉(かご扉)、63…かご下扉(かご扉)、72…ローラ、80…かご上扉用ガイド部(付勢部)、81…第1の固定板(固定部)、82…第2の固定板(固定部)、85…固定用ブラケット(固定部)、86…第1の板ばね(板ばね)、87…第2の板ばね(板ばね)、90…かご下扉用ガイド部(付勢部)、91…かご下扉用固定板(固定部)、92…かご下扉用板ばね(板ばね)、93…固定用ブラケット、120…渡し板(板部材)、130…ローラ、M…資材(搬送物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が載せられてマストに沿って昇降するエレベータ装置の搬器であって、
前記マストに連結されて前記マストに対して昇降する駆動部と、
前記駆動部上にローラを介して載せられる載置部と
を具備し、
前記ローラにおいて前記載置部に接触する外周部は、非金属材料で形成される
ことを特徴とするエレベータ装置の搬器。
【請求項2】
付勢部を具備し、
前記載置部は、前記搬送物を内側に収容する際に通す開口を有するかご本体と、前記開口のうち割り当てられた範囲を開閉するかご扉とを備えるかごを具備し、
前記付勢部は、
前記開口のうち割り当てられた範囲を塞ぐ全閉位置にある前記かご扉を付勢する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置の搬器。
【請求項3】
前記かご扉は、複数用いられ、
前記複数のかご扉の各々は、前記各々に対して割り当てられた範囲を開閉する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ装置の搬器。
【請求項4】
前記かご扉は、スライドすることによって前記かご扉に対して割り当てられた範囲を塞ぐ全閉位置とそれ以外の位置との間を移動し、
前記付勢部は、
前記かご本体に対して相対的に移動しない所定の位置に固定される固定部と、
前記固定部に設けられる板ばねであって、前記かご扉のスライド方向に延びて前記かご扉のスライドをガイドするとともに前記全閉位置にある前記かご扉を前記スライド方向に対して交差する方向に付勢する板ばねと
を具備することを特徴とする請求項2または3に記載のエレベータ装置の搬器。
【請求項5】
前記付勢部は、前記全閉位置にある前記かご扉を挟んで両側に設けられ、
前記板ばねは、前記全閉位置にある前記かご扉を両側から付勢する
ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータ装置の搬器。
【請求項6】
前記かご本体に回転可能に支持されて、前記かご扉が前記割り当てられた範囲を塞ぐ全閉位置にあるとき前記かご扉に向かってよりかかる板部材と、
前記かご扉に設けられて前記板部材に接触するローラと
を具備し、
前記かご扉は、前記全閉位置から下方に向かって移動することによって前記開口を開き、
前記ローラは、前記かご扉が下方に移動するときの前記かご扉に対する前記板部材の姿勢の変化に合わせて回転可能に支持される
ことを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか1項に記載のエレベータ装置の搬器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95581(P2013−95581A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242526(P2011−242526)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(511268683)サノヤス建機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】