説明

エレベータ装置システムおよびエレベータ装置システムの制御方法

【課題】計画停電が発生する前に、かごの運転を休止させることができるエレベータ装置システムを得る。
【解決手段】昇降路を昇降するかご34と、かご34の昇降を制御する制御装置31とを有したエレベータ装置3と、計画停電情報が入力され、計画停電情報に基づいて、エレベータ装置3が設置されている地域において発生する計画停電についての予定時刻情報を制御装置31に入力する計画停電情報管理装置21とを備え、制御装置31は、予定時刻情報に基づいて、かご34の運転を休止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かごが昇降路を昇降するエレベータ装置システムおよびエレベータ装置システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路を昇降するかごおよびかごの昇降を制御する制御装置を有したエレベータ装置と、エレベータ装置に供給される電力に発生する瞬時停電を検出する瞬時停電検出装置とを備えたエレベータ装置システムが知られている。制御装置は、所定の時間内に所定の回数の瞬時停電の発生を瞬時停電検出装置が検出した場合に、かごを最寄階に移動させて、かごの昇降を停止する。これにより、瞬時停電の後に停電が発生した場合に、乗客がかご内に閉じ込められることが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−72658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電力需要が逼迫することが予想される場合に電力会社が数時間単位で地域ごとに計画的に電力供給を停止する、いわゆる計画停電が発生すると、瞬時停電が発生することなくエレベータ装置への送電が停止されるので、計画停電が発生する前にかごの運転を休止することができない。その結果、乗客がかご内に閉じ込められてしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、計画停電が発生する前に、かごの運転を休止することができるエレベータ装置システムおよびエレベータ装置システムの制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ装置システムは、昇降路を昇降するかごと、前記かごの昇降を制御する制御装置とを有したエレベータ装置と、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、前記計画停電情報に基づいて、前記エレベータ装置が設置されている地域において発生する前記計画停電についての前記予定時刻情報を前記制御装置に入力する計画停電情報管理装置とを備え、前記制御装置は、前記予定時刻情報に基づいて、前記かごの運転を休止する。
【0007】
この発明に係るエレベータ装置システムの制御方法は、昇降路を昇降するかごおよび前記かごの昇降を制御する制御装置を有したエレベータ装置と、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、前記計画停電情報に基づいて、前記エレベータ装置が設置されている地域において発生する前記計画停電についての前記予定時刻情報を前記制御装置に入力する計画停電情報管理装置とを備えたエレベータ装置システムの制御方法であって、前記計画停電が発生する前記地域に設置されている前記エレベータ装置の前記制御装置に前記計画停電情報管理装置が前記予定時刻情報を入力する停電予定時刻情報入力工程と、前記停電予定時刻情報入力工程の後に、前記制御装置が前記予定時刻情報に基づいて前記かごの運転を休止する運転休止工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエレベータ装置システムによれば、昇降路を昇降するかごと、かごの昇降を制御する制御装置とを有したエレベータ装置と、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、計画停電情報に基づいて、エレベータ装置が設置されている地域において発生する計画停電についての予定時刻情報を制御装置に入力する計画停電情報管理装置とを備え、制御装置は、予定時刻情報に基づいて、かごの運転を休止するので、計画停電情報が計画停電情報管理装置に入力されると、制御装置は、予定時刻情報に基づいて、かごの運転を休止する。これにより、計画停電が発生する前に、かごの運転を休止することができる。
【0009】
この発明に係るエレベータ装置システムの制御方法によれば、計画停電が発生する地域に設置されているエレベータ装置の制御装置に計画停電情報管理装置が予定時刻情報を入力する停電予定時刻情報入力工程と、停電予定時刻情報入力工程の後に、制御装置が予定時刻情報に基づいてかごの運転を休止する運転休止工程とを備えているので、計画停電情報が計画停電情報管理装置に入力されると、制御装置は、予定時刻情報に基づいて、かごの運転を休止する。これにより、計画停電が発生する前に、かごの運転を休止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置システムを示すブロック図である。
【図2】図1の電力会社から情報センタに計画停電情報が入力される場合のエレベータ装置システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】図1のエレベータ装置に広域停電予測情報が入力される場合のエレベータ装置システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ装置システムを示すブロック図である。図において、エレベータ装置システムは、電力会社1から計画停電情報および電力供給量情報が入力される情報センタ2と、情報センタ2との間で通信を行うエレベータ装置3と、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値を監視する買電監視装置(電圧監視装置)4とを備えている。なお、図1では、情報センタ2には、1つのエレベータ装置3が接続されている様子を示しているが、情報センタ2には、複数のエレベータ装置3が接続されている。
【0012】
計画停電情報とは、電力会社1が行う計画停電についての情報であり、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報並びに計画停電の中止情報を含んでいる。電力供給量情報とは、電力会社1が供給する電力の総電力使用量と、電力会社1が供給可能な最大電力量とを含んだ情報である。
【0013】
電力会社1から情報センタ2への計画停電情報および電力供給量情報の入力は、定期的に行われるようになっている。情報センタ2は、計画停電情報が入力される計画停電情報管理装置21と、電力供給量情報が入力される電力供給量情報監視装置22とを有している。計画停電情報管理装置21および電力供給量情報監視装置22は、各エレベータ装置3と電話回線やインターネット回線などの有線回線または無線回線により接続されている。
【0014】
計画停電情報管理装置21は、計画停電情報に基づいて、各エレベータ装置3が設置されている地域において発生する計画停電についての予定時刻情報を管理する。また、計画停電情報管理装置21は、計画停電が発生する地域に設置されているエレベータ装置3に予定時刻情報を入力する。予定時刻情報には、計画停電が行われる日の情報と、その日における計画停電が行われる時間帯の情報とが含まれている。計画停電の予定は、電力需要の変化に大きな影響を与える天候などの状況の変化により、随時、計画の見直しが行われるので、計画停電情報管理装置21は、計画停電情報が更新されて計画停電情報管理装置21に入力される度に、予定時刻情報をエレベータ装置3に入力する。また、計画停電情報管理装置21は、計画停電が中止となった場合に、計画停電が中止となった地域に設置されているエレベータ装置3に、計画停電が中止となったことを示す情報である中止情報を入力する。
【0015】
電力供給量情報監視装置22は、電力供給量情報に基づいて、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出する。所定の電力量とは、電力会社1が供給可能な最大電力量よりも僅かに少ない予め設定する値、例えば、最大電力量の95.0〜99.9%の値である。また、電力供給量情報監視装置22は、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出すると、広域停電が発生することが予測されることを示す情報である広域停電予測情報をエレベータ装置3に入力する。
【0016】
一般に、電力会社1が供給する総電力使用量が、電力会社1が供給可能な最大電力量に近づくと、電力会社1が供給する電力の電圧値が低下することが知られている。買電監視装置4は、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値を常時計測している。買電監視装置4は、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を所定時間以上、例えば、3秒間以上継続して下回ることを検出する。所定の電圧値とは、電力の電圧値がこれ以上に低下すると広域停電が発生すると予想される限界の予め設定する電圧値である。予め設定する所定時間以上、電圧低下状態を検出することにより、落雷などの影響により発生する、例えば、0.1秒間の瞬時的な電圧低下、いわゆる瞬時停電による電圧低下状態を誤検出することが防止される。買電監視装置4は、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を所定時間以上継続して下回ることを検出すると、広域停電予測情報をエレベータ装置3に入力する。また、買電監視装置4は、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電力値が所定の電圧値を所定時間以上継続して下回ることを検出した後に、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値以上に上昇しその状態を所定時間継続して安定状態となったことを検出する。買電監視装置4は、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電力値が所定の電圧値を所定時間以上継続して下回ることを検出した後に、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値以上に上昇しその状態を所定時間継続して安定状態となったことを検出すると、電圧が復旧したことを示す情報である電圧復旧情報をエレベータ装置3に入力する。
【0017】
エレベータ装置3は、制御装置31と、制御装置31に電気的に接続された巻上機32と、巻上機32の綱車に巻き掛けられたロープ33と、ロープ33に接続され、巻上機32の駆動により昇降路を昇降するかご34と、かご34に設けられアナウンスを行うスピーカ35と、かご34に設けられたモニタ36とを有している。スピーカ35およびモニタ36から報知装置が構成されている。スピーカ35は、予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報をアナウンスするようになっている。モニタ36は、予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報を表示するようになっている。
【0018】
運転スケジュール情報とは、エレベータ装置3の運転が休止される日の情報と、その日における時間帯の情報とを含んだ情報である。
【0019】
制御装置31は、巻上機32の駆動を制御するエレベータ制御盤311と、エレベータ制御盤311を監視するエレベータ監視装置312とを有している。スピーカ35およびモニタ36は、エレベータ制御盤311に制御される。
【0020】
計画停電情報管理装置21からエレベータ装置3に入力された予定時刻情報および中止情報は、エレベータ監視装置312に入力される。電力供給量情報監視装置22からエレベータ装置3に入力された広域停電予測情報は、エレベータ監視装置312に入力される。買電監視装置4からエレベータ装置3に入力された広域停電予測情報および電圧復旧情報は、エレベータ監視装置312に入力される。
【0021】
次に、電力会社1から情報センタ2に計画停電情報が入力される場合のエレベータ装置システムの動作について説明する。図2は図1の電力会社1から情報センタ2に計画停電情報が入力される場合のエレベータ装置システムの動作を示すフローチャートである。まず、計画停電情報管理装置21は、電力会社1から計画停電情報管理装置21に計画停電情報が入力されたか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101で、計画停電情報が入力されていないと計画停電情報管理装置21が判定すると、ステップS101が繰り返される。
【0022】
一方、ステップS101で、計画停電情報が入力されたと計画停電情報管理装置21が判定すると、計画停電情報管理装置21は、計画停電情報に基づいて、計画停電が発生する地域に設置されているエレベータ装置3のエレベータ監視装置312に、予定時刻情報を入力する(停電予定時刻情報入力工程)(ステップS102)。
【0023】
その後、エレベータ監視装置312は、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の予め設定する所定時間前、例えば、24時間前であるか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103で、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の所定時間前ではないとエレベータ監視装置312が判定すると、ステップS103が繰り返される。一方、ステップS103で、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の所定時間前であるとエレベータ監視装置312が判定すると、エレベータ制御盤311は、運転スケジュール情報をスピーカ35にアナウンスさせ、かつ、運転スケジュール情報をモニタ36に表示させる(運転スケジュール情報報知工程)(ステップS104)。
【0024】
その後、エレベータ監視装置312は、計画停電情報管理装置21からエレベータ監視装置312に中止情報が入力されたか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105で、中止情報が入力されていないとエレベータ監視装置312が判定すると、エレベータ監視装置312は、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の予め設定する所定時間前、例えば、5分前であるか否かを判定する(ステップS106)。ステップS206で、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の所定時間前ではないとエレベータ監視装置312が判定すると、ステップS106が繰り返される。
【0025】
一方、ステップS106で、現在時刻が計画停電の行われる予定時刻の所定時間前であるとエレベータ監視装置312が判定すると、エレベータ制御盤311は、かご34が走行しているか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107で、かご34が走行しているとエレベータ制御盤311が判定すると、計画停電のためにかご34を最寄階に停止させかご34の運転を休止する旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、計画停電のためにかご34を最寄階に停止させかご34の運転を休止する旨をモニタ36に表示させた後、かご34を最寄階に停止させ、かご34の扉を戸開位置に移動させた後、予め設定する所定時間、例えば、30秒間経過した後に扉を戸閉位置に移動させ、かご34の運転を休止して、かご34を運転休止状態とする(運転休止工程)(ステップS108)。運転休止状態となると、乗場釦(図示せず)の操作により戸開することはできないが、かご34内の戸開釦(図示せず)の操作によって戸開することができる。これにより、かご34内に乗客が取り残されたまま、運転休止状態となっても乗客は容易にかご34内から出ることができる。また、最寄階に停止した後に図示しない秤装置やカメラなどでかご34内が無人となったことを検出してから戸閉して運転休止状態とする構成であってもよい。
【0026】
一方、ステップS107で、かご34が走行していないとエレベータ制御盤311が判定すると、計画停電のためにかご34の運転を休止する旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、計画停電のためにかご34の運転を休止する旨をモニタ36に表示させた後、かご34の扉を戸開位置に移動させ、予め設定する所定時間、例えば、30秒間経過した後に扉を戸閉位置に移動させ、かご34の運転を休止して、かご34を運転休止状態とする(運転休止工程)(ステップS109)。
【0027】
その後、エレベータ監視装置312は、買電監視装置4からの電圧復旧情報を受けたか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110で、電圧復旧情報を受けていないとエレベータ監視装置312が判定するとステップS110が繰り返される。
【0028】
一方、ステップS110で、電圧復旧情報を受けたとエレベータ監視装置312が判定すると、エレベータ制御盤311は、運転が再開される旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、運転が再開される旨をモニタ36に表示させる(ステップS111)。その後、運転を再開する(ステップS112)。
【0029】
一方、ステップS105で、計画停電情報管理装置21から中止情報がエレベータ監視装置312に入力されたと計画停電情報管理装置21が判定すると、計画停電が解除された旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、計画停電が解除された旨をモニタ36に表示させ、通常運転を継続する(ステップS113)。その後、ステップS101に戻る。
【0030】
次に、広域停電予測情報がエレベータ装置3に入力される場合のエレベータ装置システムの動作について説明する。図3は図1のエレベータ装置3に広域停電予測情報が入力される場合のエレベータ装置システムの動作を示すフローチャートである。まず、電力供給量情報監視装置22に電力供給量情報が入力され、買電監視装置4は、エレベータ装置3に供給される電力会社1からの電力の電圧値を常時計測する(ステップS201)。その後、電力供給量情報監視装置22は、電力供給量情報に基づいて、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が予め設定する所定の電力量を超えたことを検出したか否かを判定する(ステップS202)。
【0031】
ステップS202で、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出したと電力供給量情報監視装置22が判定すると、電力供給量情報監視装置22は広域停電予測情報をエレベータ監視装置312に入力する(ステップS203)。
【0032】
一方、ステップS202で、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出していないと電力供給量情報監視装置22が判定すると、買電監視装置4は、電圧値情報に基づいて、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を下回ることを検出したか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204で、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を下回ることを検出したと買電監視装置4が判定すると、ステップS203に進む。一方、ステップS204で、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を下回ることを検出していないと買電監視装置4が判定すると、ステップS201に戻る。
【0033】
その後、エレベータ制御盤311は、かご34が走行しているか否かを判定する(ステップS205)。ステップS205で、かご34が走行しているとエレベータ制御盤311が判定すると、エレベータ制御盤311は、広域停電のためにかご34を最寄階に停止させかご34の運転を休止する旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、広域停電のためにかご34を最寄階に停止させかご34の運転を休止する旨をモニタ36に表示させた後、最寄階に停止する前に停電が発生する場合を考慮して、非常停止により発生する停止ショックを和らげるために、通常速度よりも遅い速度でかご34を最寄階に移動させて、かご34を最寄階に停止させ、かご34の扉を戸開位置に移動させた後、予め設定する所定時間、例えば、30秒間経過した後に、扉を戸閉位置に移動させ、かご34の運転を休止して、かご34を運転休止状態とする(ステップS206)。
【0034】
一方、ステップS205で、かご34が走行していないとエレベータ制御盤311が判定すると、エレベータ制御盤311は、広域停電のためにかご34の運転を休止する旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、広域停電のためにかご34の運転を休止する旨をモニタ36に表示させた後、かご34の扉を戸開位置に移動させ、予め設定する所定時間、例えば、30秒間経過した後に扉を戸閉位置に移動させ、かご34の運転を休止して、かご34を運転休止状態とする(ステップS207)。
【0035】
その後、エレベータ監視装置312は、買電監視装置4からの電力復旧情報を受けたか否かを判定する(ステップS208)。ステップS208で、電力復旧情報を受けていないとエレベータ監視装置312が判定すると、ステップS208が繰り返される。
【0036】
一方、ステップS208で、電力復旧情報を受けたとエレベータ監視装置312が判定すると、エレベータ制御盤311は、運転が再開される旨をスピーカ35にアナウンスさせ、さらに、運転が再開される旨をモニタ36に表示させる(ステップS209)。その後、運転を再開する(ステップS210)。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置システムによれば、昇降路を昇降するかご34と、かご34の昇降を制御する制御装置31とを有したエレベータ装置3と、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、計画停電情報に基づいて、エレベータ装置3が設置されている地域において発生する計画停電についての予定時刻情報を制御装置31に入力する計画停電情報管理装置21とを備え、制御装置31は、予定時刻情報に基づいて、かご34の運転を休止するので、計画停電情報が計画停電情報管理装置21に入力されると、制御装置31は、予定時刻情報に基づいて、かご34の運転を休止する。これにより、計画停電が発生する前に、かご34の運転を休止することができる。かご34が最寄階に停止されかご34の扉が戸開位置に移動することにより、かご34内にいる乗客は、かご34から乗場に容易に移動することができる。また、かご34が走行している場合には、かご34を最寄階に停止させた後にかご34の扉を戸開位置に移動させ、所定時間経過した後に扉を戸閉位置に移動させて、かご34の運転を休止するので、計画停電が発生する前に、かご34内にいる乗客は、かご34から乗場にさらに容易に移動することができる。
【0038】
また、エレベータ装置3は、かご34に設けられたスピーカ35を有し、制御装置31は、予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報をスピーカ35にアナウンスさせるので、かご34内にいる乗客に対して、エレベータ装置3の運転スケジュール情報を報知することができる。
【0039】
また、エレベータ装置3は、かご34内に設けられたモニタ36を有し、制御装置31は、予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報をモニタ36に表示させるので、かご34内にいる乗客に対して、エレベータ装置3の運転スケジュール情報を報知することができる。
【0040】
また、エレベータ装置システムは、電力会社1が供給する総電力使用量を示す電力供給量情報が入力され総電力使用量が所定の値を超えたことを検出する電力供給量情報監視装置22をさらに備え、制御装置31は、電力供給量情報監視装置22の検出結果に基づいて、かご34の運転を休止させるので、広域停電が発生する前に、かご34の運転を休止させることができる。また、かご34が走行している場合には、かご34を最寄階に停止させた後にかご34の扉を戸開位置に移動させ、所定時間経過した後に扉を戸閉位置に移動させて、かご34の運転を休止するので、広域停電が発生する前に、かご34内にいる乗客は、かご34から乗場にさらに容易に移動することができる。
【0041】
また、エレベータ装置システムは、エレベータ装置3に供給される電圧値が所定の値を所定時間継続して下回ることを検出する買電監視装置4をさらに備え、制御装置31は、買電監視装置4の検出結果に基づいて、かご34の運転を休止させるので、広域停電が発生する前に、かご34の運転を休止させることができる。また、かご34が走行している場合には、かご34を最寄階に停止させた後にかご34の扉を戸開位置に移動させ、所定時間経過した後に扉を戸閉位置に移動させて、かご34の運転を休止するので、広域停電が発生する前に、かご34内にいる乗客は、かご34から乗場にさらに容易に移動することができる。
【0042】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置システムの制御方法によれば、計画停電が発生する地域に設置されているエレベータ装置3の制御装置31に計画停電情報管理装置21が予定時刻情報を入力する停電予定時刻情報入力工程と、停電予定時刻情報入力工程の後に、制御装置31が予定時刻情報に基づいてかご34の運転を休止させる運転休止工程とを備えているので、計画停電情報が計画停電情報管理装置21に入力されると、制御装置31は、予定時刻情報に基づいて、かご34の運転を休止させる。これにより、計画停電が発生する前に、かご34の運転を休止させることができる。また、かご34が走行している場合には、かご34を最寄階に停止させた後にかご34の扉を戸開位置に移動させ、所定時間経過した後に扉を戸閉位置に移動させて、かご34の運転を休止するので、計画停電が発生する前に、かご34内にいる乗客は、かご34から乗場にさらに容易に移動することができる。
【0043】
また、停電予定時刻情報入力工程の後であって運転休止工程の前に、制御装置31が予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報を、かご34に設けられたスピーカ35にアナウンスさせる運転スケジュール情報報知工程を備えているので、かご34内にいる乗客に対して、エレベータ装置3の運転スケジュール情報を報知させることができる。
【0044】
また、停電予定時刻情報入力工程の後であって運転休止工程の前に、制御装置31が予定時刻情報に基づいたエレベータ装置3の運転スケジュール情報を、かご34に設けられたモニタ36に表示させる運転スケジュール情報報知工程を備えているので、かご34内にいる乗客に対して、エレベータ装置3の運転スケジュール情報を報知させることができる。
【0045】
なお、上記実施の形態1では、計画停電情報管理装置21、電力供給量情報監視装置22および買電監視装置4を備えたエレベータ装置システムについて説明したが、計画停電情報管理装置21、電力供給量情報監視装置22および買電監視装置4のうちの少なくとも、計画停電情報管理装置21または電力供給量情報監視装置22を備えたエレベータ装置システムであればよい。
【0046】
また、上記実施の形態1では、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出していないと電力供給量情報監視装置22が判定した場合に、買電監視装置4が、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を所定時間継続して下回ることを検出したか否かを判定する構成について説明したが、電力会社1がエレベータ装置3に供給する電力の電圧値が所定の電圧値を所定時間継続して下回ることを検出していないと買電監視装置4が判定した場合に、電力供給量情報監視装置22が、電力会社1が供給する電力の総電力使用量が所定の電力量を超えたことを検出したか否かを判定する構成であってもよい。
【0047】
また、上記実施の形態1では、制御装置31が、エレベータ制御盤311およびエレベータ監視装置312を有した構成について説明したが、エレベータ装置3が、エレベータ制御盤311を有し、エレベータ監視装置312を有さない構成であってもよい。この場合、予定時刻情報、中止情報、広域停電予測情報、電圧復旧情報は、エレベータ制御盤311に入力される。
【0048】
また、上記実施の形態1では、スピーカ35およびモニタ36を有したエレベータ装置3の構成について説明したが、これらを有しないエレベータ装置3であってもよく、また、何れか一方のみを有したエレベータ装置3であってもよい。
【0049】
また、上記実施の形態1では、スピーカ35およびモニタ36がかご34に設けられる構成について説明したが、スピーカ35およびモニタ36が乗場(図示せず)に設けられる構成であってもよい。
【0050】
また、各判断における所定の電力量や所定の電圧値、所定の時間は任意に設定することが可能であり、作業員がエレベータ制御盤311に携帯端末を接続して設定し、または、情報センタ2側より回線を通じて遠隔操作によって設定することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電力会社、2 情報センタ、3 エレベータ装置、4 買電監視装置(電圧監視装置)、21 計画停電情報管理装置、22 電力供給量情報監視装置、31 制御装置、32 巻上機、33 ロープ、34 かご、35 スピーカ、36 モニタ、311 エレベータ制御盤、312 エレベータ監視装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降するかごと、前記かごの昇降を制御する制御装置とを有したエレベータ装置と、
計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、前記計画停電情報に基づいて、前記エレベータ装置が設置されている地域において発生する前記計画停電についての前記予定時刻情報を前記制御装置に入力する計画停電情報管理装置と
を備え、
前記制御装置は、前記予定時刻情報に基づいて、前記かごの運転を休止することを特徴とするエレベータ装置システム。
【請求項2】
前記エレベータ装置は、前記かごまたは乗場に設けられた報知装置をさらに有し、
前記制御装置は、前記予定時刻情報に基づいた前記エレベータ装置の運転スケジュール情報を前記報知装置に報知させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置システム。
【請求項3】
電力会社が供給する総電力使用量を示す電力供給量情報が入力され、前記総電力使用量が予め設定する所定の電力量を超えたことを検出する電力供給量情報監視装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記電力供給量情報監視装置の検出結果に基づいて、前記かごの運転を休止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ装置システム。
【請求項4】
前記エレベータ装置に供給される前記電圧値が予め設定する所定の電圧値を予め設定する所定時間継続して下回ることを検出する電圧監視装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記電圧監視装置の検出結果に基づいて、前記かごの運転を休止することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のエレベータ装置システム。
【請求項5】
昇降路を昇降するかごおよび前記かごの昇降を制御する制御装置を有したエレベータ装置と、計画停電が発生する地域情報および予定時刻情報を含む計画停電情報が入力され、前記計画停電情報に基づいて、前記エレベータ装置が設置されている地域において発生する前記計画停電についての前記予定時刻情報を前記制御装置に入力する計画停電情報管理装置とを備えたエレベータ装置システムの制御方法であって、
前記計画停電が発生する前記地域に設置されている前記エレベータ装置の前記制御装置に前記計画停電情報管理装置が前記予定時刻情報を入力する停電予定時刻情報入力工程と、
前記停電予定時刻情報入力工程の後に、前記制御装置が前記予定時刻情報に基づいて前記かごの運転を休止する運転休止工程と
を備えたことを特徴とするエレベータ装置システムの制御方法。
【請求項6】
前記停電予定時刻情報入力工程の後であって前記運転休止工程の前に、前記制御装置が前記予定時刻情報に基づいた前記エレベータ装置の運転スケジュール情報を、前記かごまたは乗場に設けられた報知装置に報知させる運転スケジュール情報報知工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−1517(P2013−1517A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134917(P2011−134917)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】