説明

エレベータ

【課題】かごが着床してから次の目的階へのかごの移動が開始されるまで、かごの床と乗場の床の間に大きな段差を生じさせることを回避できるエレベータを得る。
【解決手段】規定範囲の外側にかご12の高さ位置がずれたことを検出可能に設けられる位置検出装置70と、主索8に支持される第1作動部50、及びかご12に連結される第2作動部51を有し、第1作動部50と第2作動部51の高さ方向の間隔を変更して、かご12の高さ方向の位置をずらすことが可能に構成されたかご移動手段40と、かご12が着床してから次の目的階へのかご12の移動が開始されるまで、かご12の高さ位置が規定範囲の外側にずれたときに、規定範囲の内側に入るように位置検出装置の出力に基づいてかご移動手段40を駆動してかご12の高さ位置を調整するエレベータ制御盤10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗場に着床したかごの高さ位置のずれの調整機能を有するエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータは、巻上機に巻きかけられた主索によってつり合おもりとつるべ式に吊持され、巻上電動機の駆動に連動して昇降路内を昇降するかごと、巻上電動機の駆動を制御する制御装置と、かごの床と乗場の床の高さ位置が一致する正規位置にかごが着床した後、かごの高さ位置が、正規位置を中心とする規定範囲から外れたことを検出する位置検出器とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、かごが正規位置に着床した後、次の目的階への移動を開始する前に、かご内の負荷変動によって主索が伸縮するなどしてかごの高さ位置が規定範囲から外れると、位置検出器が作動して床合せ指令が出され、床合わせ指令を受信した制御装置が、巻上電動機を駆動して主索を移動させることでかごの高さ位置を正規位置に向けて調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなエレベータでは、かごが着床しているときに、正規位置に対して大きくかごの高さ位置がずれないと、かごの高さ位置を再調整しないようになっている。例えば、正規位置に対し、許容されるかごの高さ位置のずれは、例えば、±10mmを超えて設定されるものも多い。
【0006】
これは、制御装置が、巻上電動機を駆動してかごの高さ位置を調整する際、巻上電動機を制御するための指令パターン(リレベルパターン)を、正規位置からのかごの高さ位置のずれに応じて生成し、生成した指令パターンに応じて巻上電動機を制御することによる。リレベルパターンの生成に時間がかかるので、巻上電動機の駆動によるかごの高さ位置の制御では、かごを移動させるのに時間遅れが生じ、数mm程度という微小なかごの高さ位置のずれを速やかに調整することができない。これにより、正規位置を中心とするかごの高さ位置のずれの規定範囲が、ある程度大きく設定されている。
【0007】
以上のことから、従来のエレベータでは、かごが着床した後、かごの床と乗場の床の間に、10mmを超えるような段差が発生しても、そのまま放置される場合もあった。かごの床と乗場の床の間に大きな段差が発生すると、車いすに乗った利用者等にとっては、かごに乗ったり、かごから降りたりするのに、著しく不便を強いられる。
【0008】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、かごが着床してから次の目的階へのかごの移動が開始されるまで、かごの床と乗場の床の間に大きな段差が生じることを回避できるエレベータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のエレベータは、巻上電動機の駆動に連動して走行する主索と、主索の走行に連動して昇降路内を互いに逆方向に移動されるように設けられるかご及びつり合いおもりと、かごが着床される乗場とを備えるエレベータであって、かごの床と乗場の床の高さ位置が一致する正規位置を含む高さ方向の規定範囲の外側にかごの高さ位置がずれたことを検出可能に設けられる位置検出装置と、主索に支持される第1作動部、及びかごまたは昇降路内に設けられた固定部材に連結される第2作動部を有し、第1作動部と第2作動部の高さ方向の間隔を変更して、かごの高さ方向の位置をずらすことが可能に構成されたかご移動手段と、かごが着床してから次の目的階へのかごの移動が開始されるまで、上記かごの高さ位置が規定範囲の外側にずれたときに、規定範囲の内側に入るように位置検出装置の出力に基づいてかご移動手段を駆動してかごの高さ位置を調整するかご高さ制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るエレベータによれば、位置検出装置からの情報に基づいて、高さ調整手段がかご移動手段を駆動して、かごの高さ位置を調整するように構成されている。主索に支持される第1作動部とかごまたは昇降路内の固定部材に連結される第2作動部との互いの間の距離を調整することで、かごが着床されているときのかごの高さ位置を調整する構成としたので、かごの高さ位置のずれを、速やかに調整することが可能になる。このため、規定範囲を狭い範囲に設定して位置検出装置に検出させることで、かごが着床してから次の目的階へのかごの移動が開始されるまで、大きな段差が、かごの床と乗場の床の間に生じることを回避できる。従って、車いすに乗った利用者等に対し、かごに乗ったり、かごから降りたりする際の不便を強いることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施の形態に係るエレベータの模式図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図2のB方向から見た図である。
【図4】図1のC部拡大図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係るエレベータのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの模式図、図2は図1のA部拡大図、図3は図2のB方向から見た図、図4は図1のC部拡大図である。
なお、図1では、説明の便宜上、かごのたて枠の図示を省略している。
【0014】
図1〜図4において、エレベータ1は、昇降路2の上部に設置される機械室3と、機械室3に設置され、駆動綱車5及び駆動綱車5に回転トルクを付与する巻上電動機6を有する巻上機4と、機械室3に設置されたそらせ車7とを備えている。
【0015】
また、エレベータ1は、そらせ車7及び駆動綱車5に巻きかけられ、一端側及び他端側が昇降路2内に垂下された3本の主索8と、主索8のぞれぞれの一端に連結されるロープシャックル20と、ロープシャックル20及び後述の高さ調整装置30を構成するかご移動手段40を介して主索8の一端に連結されるかご12と、主索8の他端に連結されたつり合いおもり9と、各階に設けられ、かご12が着床される乗場11と、機械室3に配設され、かご12の昇降制御を行うエレベータ制御盤10と、乗場11に着床しているかご12の高さ位置のずれを検出する位置検出装置70と、位置検出装置70からの情報に基づいて、かご12の高さ位置を調整する高さ調整装置30とを備えている。
【0016】
主索8は、巻上電動機6の駆動に連動する駆動綱車5の回転に連動して走行する。また、以上のように、主索8は、1:1ローピング方式により吊設されており、かご12とつり合いおもり9が、主索8の走行時に昇降路2内を互いに逆方向に移動される。
【0017】
かご12は、かご室13、及びかご室13を支えるかご枠14を有している。
かご枠14は、長手方向を高さ方向に一致させ、互いに間隔をあけて配置される一対のたて枠15、たて枠15の上端間を接続するように長さ方向を水平にして設けられる上枠16、たて枠15の下端間を接続するように長さ方向を水平にして設けられる下枠17を備えている。
上枠16は、たて枠15の上端側を挟持するように一対に設けられている。また、下枠17は、たて枠15の下端側を挟持するように一対に設けられている。
【0018】
ロープシャックル20は、図2及び図3に示されるように、一端を主索8に連結されるシャックル本体21、上枠16の下方に上枠16と相対して配置され、シャックル本体21の他端側が遊嵌状態に挿通される受け板18、及び受け板18の下方に延出されたシャックル本体21の他端と受け板18との間に高さ方向に伸縮可能に縮設(連結)される付勢部材としてのコイルばね27とを有している。
【0019】
シャックル本体21は、シャックルロッド22と、シャックルロッド22の一端に連結されて、シャックルロッド22を主索8に連結固定するためのソケット23と、シャックルロッド22の他端に嵌められるワッシャ24と、ワッシャ24よりシャックルロッド22の他端側に位置するようにシャックルロッド22の他端側から螺合される調整ナットとしてのダブルナット25とを備えている。
【0020】
シャックルロッド22は、受け板18に挿通されて、シャックルロッド22の他端が、受け板18の下方に延出されている。また、ワッシャ24及びダブルナット25は、受け板18の下方に位置している。そして、コイルばね27が、伸縮方向を高さ方向に一致させてワッシャ24と受け板18との間に縮設されている。これにより、コイルばね27は、かご12を上方に向けて付勢する付勢力を発揮する。
【0021】
また、高さ調整装置30は、かご移動手段40と、かご高さ制御手段とを備えている。
ここでは、かご高さ制御手段は、エレベータ制御盤10が兼ねているが、エレベータ制御盤10と別個に設けてもよい。
【0022】
かご移動手段40は、軸まわりに回転自在に設けられる駆動軸44と、主索8にシャックル本体21を介して支持される第1作動部50と、かご12の上枠16に取り付けられる第2作動部51と、第1作動部50と第2作動部51とを連結し、駆動軸44の回転力を、駆動軸44の回転方向に応じて上記第1作動部50と第2作動部51を互いに接近または離間させる方向の力として第1作動部50及び第2作動部51に伝達する動力伝達手段としてのジャッキ41と、駆動軸44を軸まわりに回転させるトルクを発生する駆動手段としての高さ調整用電動機60とを備えている。
【0023】
ジャッキ41は、図2及び図3に示されるように、駆動軸44の長手方向に互いに平行に離間して配置され、駆動軸44が長手方向の中間部を貫通するように螺合される一対の連結軸46a,46bと、一対の連結軸46a,46bの一端側に設けられる高さ変位機構42Aと、一対の連結軸の他端側に設けられる高さ変位機構42Bとを備えている。
【0024】
以下、一方の高さ変位機構42Aについて説明する。
高さ変位機構42Aは、連結軸46aの軸まわりに回動可能に一端を連結される第1アーム47a及び第2アーム47bをそれぞれ有する一対のアーム機構45Aと、連結軸46bのまわりに回動可能に一端を連結される第1アーム47b及び第2アーム48bをそれぞれ有する一対のアーム機構45Bとを備えている。
【0025】
ここで、第1作動部50には、一対の軸ピン43a,43bが、それぞれの軸方向を水平に向け、かつ互いに平行に所定距離だけ離間するように設けられている。
第2作動部51には、一対の軸ピン43c,43dが、軸ピン43a,43bの軸方向に軸方向を一致させて、互いに平行に所定距離だけ離間するように設けられている。
なお、軸ピン43a,43bのおおよそ上方に、軸ピン43c,43dが位置している。
【0026】
また、アーム機構45Aの第1アーム47a及び第2アーム48aのそれぞれの他端に、軸ピン43a,43cのそれぞれが遊嵌状態に挿通され、第1アーム47a及び第2アーム48aが、軸ピン43a,43cの軸まわりに回動可能になっている。
なお、アーム機構45Aは、軸ピン43a,43cの軸方向に互いに間隔をあけて一対設けられている。
【0027】
また、アーム機構45Bの第1アーム47b及び第2アーム48bのそれぞれの他端に、軸ピン43b,43dのそれぞれが遊嵌状態に挿通され、第1アーム47b及び第2アーム48bが、軸ピン43b,43dの軸まわりに回動可能になっている。
なお、アーム機構45Bは、軸ピン43b,43dの軸方向に互いに間隔をあけて一対設けられている。
以上のように、第1及び第2作動部50,51が、アーム機構45A及びアーム機構45Bに連結されている。
【0028】
また、他方の変位機構42Bは、一方の変位機構42Aと同様の構成であり、一方の変位機構42Aと同様に駆動軸44の他端側に設けられている。
また、駆動軸44には、雄ねじが形成されており、駆動軸44は、連結軸46a,46bに形成された雌ねじ部(図示せず)に螺合されている。
但し、連結部46a,46bの雄ねじ部の溝の切り方は逆になっている。
【0029】
また、高さ調整用電動機60は、図3に示されるように、筐体60a、及び筐体60aの内部に設けられた電動機本体60bを備えている。
そして、筐体60aが、支持部材65を介して、上枠16の上面に固定されている。
駆動軸44が電動機本体60bに連結されて、駆動軸44は、電動機本体60bのトルクにより正逆両方向に回転可能となっている。
【0030】
そして、駆動軸44が電動機本体60bの駆動により軸回りに回転すると、その回転方向に応じて連結軸46a,46bの間が接近又は離間し、これにより、第1アーム47a及び第2アーム48aと第1アーム47b及び第2アーム48bは、第1アーム47a,及び第2アーム48aの他端の間、及び第1アーム47b及び第2アーム48bの他端の間のそれぞれが接近又は離れるように回動する。
【0031】
第1作動部50は、第1アーム47a,47bの他端に、軸ピン43a,43bを介して連結され、作動部51は、第2アーム48a,48bの他端に、軸ピン43c,43dを介して連結されているので、一対の作動部50,51は、駆動軸33の軸まわりの回転に連動して互いに接近または離れる方向に移動される。
【0032】
そして、ジャッキ41は、一対の第1及び第2作動部50,51が互いに接近または離れる方向を高さ方向に一致させ、一対の第1及び第2作動部50,51のそれぞれを、受け板18及び上枠16のそれぞれに固定して設けられている。
【0033】
以上のようなエレベータ1において、かご移動手段40を構成するジャッキ41が、第1作動部50と第2作動部51との間の間隔を変更可能に主索8とかご12との間を、ロープシャックル20を介して連結し、第1作動部50及び第2作動部51の間の間隔を変更することでかご12を移動させて、かご12の高さ方向の位置を変えることが可能に構成されて。
【0034】
また、かご移動手段40を構成する電動機本体60bを駆動して、主索8に支持される第1作動部50とかご12を支持する第2作動部51との間の間隔を変えることで、かご12の高さ位置がずれる。
そして、エレベータ制御盤10は、主索8の走行停止時、電動機本体60bの駆動を制御して、かご12の高さ位置を調整することが可能となる。
【0035】
また、位置検出装置70は、図4に示されるように、かご12に設けられる投光器71と、各乗場壁11aの昇降路2側の壁面に設けられる位置検出受光手段72とを備えている。
位置検出受光手段72は、投光器71と相対可能なかご12の部位にそれぞれ設けられる正規位置検出受光器72a、上方ずれ検出受光器72b、及び下方ずれ検出受光器72cを備えている。
【0036】
例えば、正規位置検出受光器72aの受光面の高さ方向の範囲が、規定範囲として設置されている。ここでは、規定範囲は、3mm程度となっている。また、上方ずれ検出受光器72bが正規位置検出受光器72aの上方に隙間なく配置され、下方ずれ検出受光器72cが、正規位置検出受光器72aの下方に隙間なく配置されている。
【0037】
投光器71と各受光器72aの位置関係は、かご室13の床と乗場11の床が一致する正規位置にかご12が着床したときに、投光器71の高さが、正規位置検出受光器72aの受光面の高さ方向の範囲の中心と相対する関係となっている。
つまり、正規範囲は、かご12が着床したときの正規位置を含む所定の範囲に設定されることになる。ここでは、正規範囲は、正規位置に対して±1.5mmの狭い範囲となる。
【0038】
これにより、かご12が着床した後、かご12の高さ位置が、正規位置から1.5mmより大きく上方または下方にずれると、投光器71からの光が、正規位置検出受光器72aの受光面から外れて、上方ずれ検出受光器72bまたは下方ずれ検出受光器72cで受光される。各受光器72a〜72cは、光を受光しているときに受光出力を出力するように構成されている。
【0039】
位置検出装置70は、上方ずれ検出受光器72bまたは下方ずれ検出受光器72cにより光が受光されたときに、かご12の高さ位置が、規定範囲の外側にかごの高さ位置がずれたものとして検出する。
【0040】
次いで、エレベータ1のシステム構成について説明する。
図5はこの発明の一実施の形態に係るエレベータのシステム構成図である。
エレベータ制御盤10と位置検出受光手段72を構成する各受光器72a〜72cとが電気的に接続されて、エレベータ制御盤10は、各受光器72a〜72cの出力を認識可能になっている。
【0041】
また、エレベータ制御盤10と投光器71とが電気的に接続されて、エレベータ制御盤10は、投光器71から光を投光させたり消光させたりすることが可能になっている。
【0042】
また、エレベータ制御盤10は、巻上電動機6、及び高さ調整用電動機60の電動機本体60bの駆動を制御可能に巻上電動機6、及び高さ調整用電動機60に接続されている。
これにより、エレベータ制御盤10は、巻上電動機6を停止させて主索8の走行を停止させているときには、高さ調整用電動機60の駆動制御を行うことで、かご12の高さ位置の微調整を行うことが可能になる。
【0043】
次いで、かご12を乗場11に着床させた後のエレベータ1の動作について説明する。
なお、かご12が所定の乗場11に着床し、かご12の高さ位置が正規位置にあるときを初期状態とする。
エレベータ制御盤10は、かご10の運転中、投光器71から光を投光させている。
かご12が乗場11に着床したときには、かご12の高さ位置は、かご室13の床と乗場11の床が同じ高さ位置となる正規位置にある。このとき、投光器71からは、正規位置検出受光器72aの受光面の高さ方向の中心に向けて光が投光される。
【0044】
エレベータ制御盤10は、各受光器72a〜72cの出力を常時監視する。
エレベータ制御盤10は、正規位置検出受光器72aから受光信号を受光していると判断した場合は、かご12の高さ位置が、大きく正規位置からずれていないものと判断し、高さ調整用電動機60を駆動させない。
【0045】
また、利用者が、かご室13から出たり、かご室13に乗り込んだりして、かご室13内の負荷が変動することにより主索8が伸縮し、かご12の高さ位置が、規定範囲から外れると、投光器71の高さ位置がずれるので、上方ずれ検出受光器72bまたは下方ずれ検出受光器72cが受光信号を出力することになる。
【0046】
エレベータ制御盤10は、上方ずれ検出受光器72bから受光信号を受信したと判断すると、第1及び第2作動部50,51間の間隔が広がるように、高さ調整用電動機60を駆動してジャッキ41を動作させる。これにより、かご12の高さ位置が下げられる。そして、正規位置検出受光器72aから受光信号が受信したときには、かご12の高さ位置が、正規範囲の上端に位置していることになる。エレベータ制御盤10は、正規位置にかご12の高さ位置がくるように、受光信号の受信が開始されてから適当な時間だけ高さ調整用電動機60を駆動し続けた後、高さ調整用電動機60の駆動を停止する。
【0047】
エレベータ制御盤10は、下方ずれ検出受光器72cから受光信号を受信したと判断すると、作動部50,51間の間隔が狭まるように、高さ調整用電動機60を駆動してジャッキ41を動作させる。これにより、かご12の高さ位置が上げられる。そして、正規位置検出受光器72aから受光信号が受信したときには、かご12の高さ位置が、正規範囲の下端に位置していることになる。エレベータ制御盤10は、正規位置にかご12の高さ位置がくるように、受光信号の受信が開始されてから適当な時間だけ高さ調整用電動機60を駆動し続けた後、高さ調整用電動機60の駆動を停止する。
【0048】
この後、エレベータ制御盤10は、次の目的階へのかご12の移動が開始されるまで継続する。
【0049】
以上のように、エレベータ制御盤10は、かご12が着床してから次の目的階へのかご12の移動が開始されるまで、規定範囲の外側にかご12の高さ位置がずれたときに、規定範囲の内側に入るように位置検出装置70の出力に基づいてかご移動手段40の高さ調整用電動機60を駆動してかご12の高さ位置を調整している。
【0050】
この実施の形態のエレベータ1によれば、かご12の床と乗場11の床の高さ位置が一致する正規位置を含む高さ方向の規定範囲の外側に上記かごの高さ位置がずれたことを検出可能に設けられる位置検出装置70を備える。また、エレベータ1は、主索8に支持される第1作動部50、及びかご12に連結される第2作動部51を有し、第1作動部50と第2作動部51の高さ方向の間隔を変更可能に構成されて、第1作動部50及び第2作動部51の間の間隔の変更に連動させて、かご12の高さ方向の位置を変更するかご移動手段40を備える。さらに、エレベータ1は、かご12が着床してから次の目的階へのかご12の移動が開始されるまで、規定範囲の外側にかご12の高さ位置がずれたときに、規定範囲の内側に入るように位置検出装置70の出力に基づいてかご移動手段40の駆動を制御して、かご12の高さ位置を調整するかご高さ制御手段としてのエレベータ制御盤10を備えている。
【0051】
エレベータ1によれば、かご12の高さ位置のずれを速やかに調整できない巻上電動機6によらず、主索8に支持される第1作動部50とかご12に連結される第2作動部51との互いの間の距離を調整することで、かご12が着床されているときのかご12の高さ位置を調整する構成としたので、かご12の高さ位置のずれを、速やかに調整することが可能になる。このため、規定範囲を狭い範囲に設定して位置検出装置70に検出させることで、かご12が着床してから次の目的階へのかご12の移動が開始されるまで、大きな段差が、かご12の床と乗場11の床の間に生じることを回避できる。従って、車いすに乗った利用者等に対し、かご12に乗ったり、かご12から降りたりする際の不便を強いることを回避できる。
【0052】
より詳しくは、かご移動手段40は、軸まわりに回転自在に設けられる駆動軸44を備え、駆動軸44の回転力を、駆動軸の回転方向に応じて第1作動部と第2作動部を互いに接近または離間させる方向の力として第1作動部50及び第2作動部51に伝達するジャッキ41と、駆動軸44を軸まわりに回転させるトルクを発生させる高さ調整用電動機60とを備え、高さ制御手段としてのエレベータ制御盤10は、位置検出装置70からの情報に基づいて、かご12の高さ位置が規定範囲内に入るように高さ調整用電動機60の駆動を制御する。
従って、かご移動手段40は、高価なものを用いずとも、汎用品のジャッキや電動機をジャッキ41及び高さ調整用電動機60に用いればよいので、コストの増大を抑制できる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、エレベータ1の主索8の吊設方式を、1:1ローピング方式とするものとして説明したが、2:1など他のロープピング方式にも適用可能である。
2:1ローピング方式の場合、かご12は、ロープシャックル20を介して、主索8に連結されないが、かご12とつり合いおもり9が、主索8の走行時に昇降路2内を互いに逆方向に移動されるように主索8に支持される点では、1:1ローピング方式で吊設される主索8を有するエレベータ1と変わらない。
【0054】
また、主索8の吊設方法として、2:1のローピング方式を採用する場合、かご12の昇降をガイドする図示しないガイドレールや昇降路壁に固定した固定部材に、シャックル本体21を遊嵌状態に挿通し、コイルばね27を、固定部材と、固定部材から上方に延出されたシャックル本体21の部位との間に設ければよい。また、固定部材の上方に固定部材と相対するように受け板18をシャックルロッド22に固定し、主索8と固定部材との間を、ロープシャックル20を介して連結するかご移動手段40を設け、駆動軸44を回転させてジャッキ41の第1及び第2作動部50,51間の間隔を変更可能なように、高さ調整用電動機60を設ければよい。
【0055】
また、動力伝達手段はジャッキ41を有するであるものとして説明したが、高さ調整用電動機60などの機器が発生する駆動力に応じて、第1及び第2作動部50,51の間の間隔を広げて、かご12を高さ方向に移動することが可能なものであれば、その種類は問わない。
【符号の説明】
【0056】
1 エレベータ、2 昇降路、8 主索、9 つり合いおもり、10 エレベータ制御盤(かご高さ制御手段)、12 かご、17 乗場、40 かご移動手段、44 駆動軸、41 ジャッキ、60 高さ調整用電動機、70 位置検出装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上電動機の駆動に連動して走行する主索と、
上記主索の走行に連動して昇降路内を互いに逆方向に移動されるように設けられるかご及びつり合いおもりと、
上記かごが着床される乗場と
を備えるエレベータにおいて、
上記かごの床と上記乗場の床の高さ位置が一致する正規位置を含む高さ方向の規定範囲の外側に上記かごの高さ位置がずれたことを検出可能に設けられる位置検出装置と、
上記主索に支持される第1作動部、及び上記かごまたは上記昇降路内に設けられた固定部材に連結される第2作動部を有し、上記第1作動部と上記第2作動部の高さ方向の間隔を変更して、上記かごの高さ方向の位置をずらすことが可能に構成されたかご移動手段と、
上記かごが着床してから次の目的階への上記かごの移動が開始されるまで、上記かごの高さ位置が上記規定範囲の外側にずれたときに、上記規定範囲の内側に入るように上記位置検出装置の出力に基づいて上記かご移動手段の駆動を制御して上記かごの高さ位置を調整するかご高さ制御手段と
を備えていることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
上記かご移動手段は、
軸まわりに回転自在に設けられる駆動軸を備え、上記駆動軸の回転力を、上記駆動軸の回転方向に応じて上記第1作動部と上記第2作動部を互いに接近または離間させる方向の力として上記第1作動部及び上記第2作動部に伝達するジャッキと、
上記駆動軸を軸まわりに回転させるトルクを発生させる高さ調整用電動機と
を備え、
上記かご高さ制御手段は、上記位置検出装置からの情報に基づいて、上記かごの高さ位置が上記規定範囲内に入るように上記高さ調整用電動機の駆動を制御する
ことを備えていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43714(P2013−43714A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180524(P2011−180524)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】