エレベータ
【課題】乗りかごに設置された各種装置のレイアウトに影響を与えることなく、安全で、かつ容易に折りたたまれた状態から起立形態に組み立てることができるようにする。
【解決手段】手摺り2は、支持部材14a,14bと、支柱15a,15bと、上部桟16と、下部桟17とを備えている。上部桟16は、支柱15a,15bにおける支持部材14a,14bと反対側の端部に固定される。また、下部桟17は、支柱15a,15bにおける支持部材14a,14bと上部桟16の間に配置され、支柱15a,15bにその軸方向に沿って移動可能に支持される。そして、下部桟17は、手摺り10を折りたたむ際には上部桟16側に移動し、使用時には上部桟16から支持部材14a,14b側に移動する。
【解決手段】手摺り2は、支持部材14a,14bと、支柱15a,15bと、上部桟16と、下部桟17とを備えている。上部桟16は、支柱15a,15bにおける支持部材14a,14bと反対側の端部に固定される。また、下部桟17は、支柱15a,15bにおける支持部材14a,14bと上部桟16の間に配置され、支柱15a,15bにその軸方向に沿って移動可能に支持される。そして、下部桟17は、手摺り10を折りたたむ際には上部桟16側に移動し、使用時には上部桟16から支持部材14a,14b側に移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの天井部である上面部に設けられ、保守点検時等の際に使用される手摺りを有するエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗りかごの上部には、定期的に行われる保守点検時の際に作業者の安全を確保するため、手摺りが設けられている。この手摺りは、通常時では乗りかごの上部に折りたたまれた状態で保持されており、保守点検を行う時に起立形態に保持されている。
【0003】
また、近年では、作業時の安全性を向上させるために、上部桟だけでなく上部桟の下方に下部桟を配置した2つの桟を有する手摺りが求められている。しかしながら、エレベータの乗りかごの天井部である上面部には、スピーカ装置や照明装置等の各種構成機器(以下、「各種装置」という。)が配置されている。そのため、上部桟と下部桟の2つの桟を有する手摺りでは、上部桟と下部桟の2つの桟を両方とも乗りかごに配置された各種装置に対して干渉することなく折りたたむことが困難であった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1に記載されたエレベータの手摺りは、支持部材に回動可能に支持された支柱と、この支柱に設けられた下部桟と、下部桟に接続されると共に高さを変更可能な上部桟とを備えている。そして、折りたたむ際に、上部桟の高さを変えることで、乗りかごの上面部に配置された各種装置との干渉を避けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/093157号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、手摺りを起立形態に組み立てる際に、上部桟の高さを所定の高さまで移動させる必要がある。そのため、使用時に上部桟の高さ調節の作業を忘れると、手摺りの最上部の高さが従来から規定されている上部桟の高さよりも低い状態となる。よって、特許文献1に開示された技術は、作業員の安全保護の点で十分とは言えなかった。
【0007】
また、大型のエレベータの場合、手摺りも大きくなると共に上部桟の重量も重くなる。そのため、特許文献1に開示された技術では、重い上部桟を所定の高さまで引き上げる必要があり、手摺りを組み立てる作業が困難となっていた。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、乗りかごに設置された各種装置のレイアウトに影響を与えることなく、安全で、かつ容易に折りたたまれた状態から起立形態に組み立てることができる手摺りを有するエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベータは、昇降路内を昇降する乗りかごと、乗りかごの上面部に折りたたみ可能に装着された手摺りと、を備えている。
手摺りは、支持部材と、支柱と、上部桟と、下部桟とを備えている。支持部材は、乗りかごの上面部に取り付けられる。支柱は、支持部材に回動可能に取り付けられる。上部桟は、支柱における支持部材と反対側の端部に固定される。また、下部桟は、支柱における支持部材と上部桟の間に配置され、支柱にその軸方向に沿って移動可能に支持される。そして、下部桟は、手摺りを折りたたむ際には上部桟側に移動し、使用時には上部桟から支持部材側に移動する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータによれば、上部桟を固定し、下部桟を移動可能に構成しているため、折りたたむ際には、下部桟を乗りかごの上面部に設置した各種装置と干渉しない位置まで移動させることができる。その結果、下部桟の位置を考慮することなく各種装置のレイアウトを決定することができる。
【0011】
また、上部桟が支柱に固定されているため、手摺りを起立形態に組み立てる際、支柱を立設させるだけで手摺りの最上部の高さを予め規定されている高さに調節することができ、より安全に作業を行うことができる。さらに、手摺りを起立形態に組み立てる際、下部桟は、上部桟側から支持部材側に下げる作業となるため、手摺りが大型化しても容易に組み立て作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態例にかかるエレベータを模式的に示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの上面部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける第1の手摺りユニットを示す正面図である。
【図4】図3に示す下部桟を上部桟側に移動させた状態を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける連結ユニットを示す部分断面図である。
【図6】図5に示す連結ユニットを分離した状態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける連結ユニットの他の実施例を示す部分断面図である。
【図8】図7に示す連結ユニットの平面図である
【図9】図7に示す連結ユニットを分離した状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りを折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のエレベータの実施の形態例について、図1〜図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
1.エレベータの構成
2.手摺りの動作
【0014】
<1.エレベータの構成>
まず、図1を参照して本発明のエレベータの実施の形態例(以下、「本例」という。)について説明する。
図1は、本例のエレベータを模式的に示す側面図である。
【0015】
[エレベータ]
本例のエレベータ1は、建物構造物内に形成された昇降路100の上方に機械室を有しない、いわゆる機械室レスエレベータである。図1に示すように、エレベータ1は、昇降路100内を昇降する乗りかご110と、巻上機120と、釣合錘130と、2つの従動プーリ140,150と、ロープ170とを備えている。
【0016】
乗りかご110の下部には、せり上げ用プーリ111が設けられている。また、乗りかご110の上部には、手摺り10が設けられている(図2参照)。なお、乗りかご110及び手摺り10の詳細な構成については、後述する。
【0017】
巻上機120は、昇降路100の最下部に配置されており、ロープ170を介して乗りかご110及び釣合錘130をつるべ式に昇降させるものである。2つの従動プーリ140,150は、昇降路100の上部に固定されている。
【0018】
ロープ170の一端と他端は、昇降路100の最上部に固定されている。このロープ170は、釣合錘130に設けられた錘側プーリ131から第1の従動プーリ140に装架され、そして巻上機120、第2の従動プーリ150、乗りかご110のせり上げ用プーリ111の順に巻き掛けられている。そして、巻上機120が駆動し、ロープ170を巻き取ることで、乗りかご110及び釣合錘130が昇降路内100を昇降する。
【0019】
[乗りかご]
次に、図2を参照して、乗りかごの上部及び手摺りについて説明する。
図2は、乗りかご110の上部を示す斜視図である。
図2に示すように、乗りかご110は、略直方体状のかご枠112と、レールガイド2とを有している。レールガイド2は、かご枠112における幅方向Xの両側の側面部112bに設置され、昇降路100内に設けられた図示しないガイドレールと摺動するものである。
【0020】
かご枠112の天井部である上面部112aには、ドア駆動用モータ3と、天井扇4と、スピーカ装置や照明装置等の各種装置5が設けられている。ドア駆動用モータ3は、かご枠112の幅方向X及び高さ方向Zとも直交する奥行き方向Yの一側に配置されている。また、かご枠112の上面部112aには、補強用の補強材7が設置されている。補強材7は、かご枠112の上面部112aにおける幅方向Xに沿って設置されている。さらに、かご枠112の上面部112aには、後述する手摺り10を取り付けるための取付台8が設けられている。
【0021】
[手摺り]
次に、図2〜図6を参照して手摺り10について説明する。
図2に示すように、手摺り10は、第1の手摺りユニット11と、第2の手摺りユニット12と、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12を連結する連結ユニット13とから構成されている。第1の手摺りユニット11は、かご枠112の幅方向Xの一側に配置されており、第2の手摺りユニット12は、かご枠112の幅方向Xの他側に配置されている。連結ユニット13は、かご枠112の奥行き方向Yの他側に配置されている。
【0022】
[手摺りユニット]
次に、第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12について説明する。なお、第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12は、それぞれ同一の構成を有しているため、第1の手摺りユニット11について説明する。
【0023】
図3は、第1の手摺りユニット11を示す正面図である。
図3に示すように、第1の手摺りユニット11は、2つの支持部材14a,14bと、2つの支柱15a,15bと、上部桟16と、下部桟17と、補強部材18とを有している。図2に示すように、2つの支持部材14a,14bは、かご枠112の上面部112aに設けられた取付台8に固定されている。第1の支持部材14aは、かご枠112における奥行き方向Yの一側に配置されており、第2の支持部材14bは、奥行き方向Yの他側に配置されている。
【0024】
すなわち、手摺り10をかご枠112の上面部112aに直接固定するのではなく、取付台8を介して取り付けている。これにより、かご枠112が昇降する際に生じる振動が手摺り10に伝達し難くなる。
【0025】
また、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bには、それぞれ回動軸21が設けられている。そして、第1の支持部材14aには、回動軸21を介して第1の支柱15aが回動可能に取り付けられており、第2の支持部材14bには、回動軸21を介して第2の支柱15bが回動可能に取り付けられている。
【0026】
第1の支柱15a及び第2の支柱15bは、それぞれ略円柱状の部材で形成されている。第1の支柱15a及び第2の支柱15bにおける軸方向の第1の支持部材14aの反対側の一端部、すなわち上端部には、上部桟16が固定されている。第1の支柱15a及び第2の支柱15bと上部桟16の固定方法としては、例えば溶接や固定ねじを用いた締結等が挙げられる。これにより、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの上端部は、上部桟16によって連結される。
【0027】
上部桟16は、略角柱状の部材で形成されている。上部桟16は、係合部の一例を示す2つの係合ピン24a,24bを有する。2つの係合ピン24a,24bは、上部桟16における軸方向の中途部に所定の間隔を開けて配置される。
【0028】
上部桟16の軸方向の一側には、棒状の補強部材18が固定されており、上部桟16の軸方向の他端には、第1の回動部材25が設けられている。第1の回動部材25には、後述する連結ユニット13の第1の連結用上部桟31aが取り付けられる。なお、第1の回動部材25の詳細な構成については、後述する。
【0029】
補強部材18は、上部桟16における第1の支柱15a及び第2の支柱15bが固定された面に固定される。そして、補強部材18は、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと略平行に配置される。
【0030】
また、手摺り10が大型化し、上部桟16及び下部桟17の軸方向の長さが長くなる場合には、補強部材18を複数設置してもよい。なお、補強部材18を設けなくても本発明の目的は、達成できるものである。
【0031】
図3に示すように、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向の中途部には、ストッパー部材22が設けられている。また、補強部材18の軸方向の上部桟16と反対側の端部にも、ストッパー部材22が設けられている。手摺り10を使用する際、このストッパー部材22には、下部桟17が当接する。これにより、手摺り10の起立形態における下部桟17の取付台8からの高さが保持される。
【0032】
そして、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18におけるストッパー部材22と上部桟16の間には、下部桟17が移動可能に配置されている。そして、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向の中途部は、下部桟17によって連結される。
【0033】
下部桟17は、略角柱状の部材で形成されている。下部桟17には、3つの貫通孔27a,27b,27cが形成されている。第1の貫通孔27aは、下部桟17の軸方向の一側に設けられており、第2の貫通孔27bは、軸方向の他側に設けられている。また、第3の貫通孔27cは、第1の貫通孔27aよりも下部桟17の軸方向の一側に設けられている。
【0034】
第1の貫通孔27aには、第1の支柱15aが貫通し、第2の貫通孔27bには、第2の支柱15bが貫通する。そして、第3の貫通孔27cには、補強部材18が貫通する。よって、下部桟17は、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと、補強部材18にガイドされて、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと補強部材18の軸方向に移動可能に摺動する。
【0035】
なお、3つの貫通孔27a,27b,27cに、すべり軸受け部またはころがり軸受け部を設けてもよい。これにより、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと補強部材18の軸方向に沿って下部桟17を円滑に移動させることができる。
【0036】
さらに、下部桟17の軸方向の他側には、第2の回動部材29が設けられている。この第2の回動部材29には、後述する連結ユニット13の第1の連結用下部桟32a(図2参照)が取り付けられる。
【0037】
また、下部桟17における上部桟16に設けた係合ピン24a,24bと対応する箇所には、係合受部の一例を示すフック部材28a,28bが回動可能に取り付けられている。
【0038】
図4は、手摺り10を折りたたんだ際における第1の手摺りユニット11を示す正面図である。図4に示すように、下部桟17を上部桟16側に移動した際に、第1のフック部材28aは、上部桟16に設けた第1の係合ピン24aと係合し、第2のフック部材28bは、第2の係合ピン24bと係合する。これにより、手摺り10が折りたたまれた際に、支柱15a,15bの軸方向の所定の位置に下部桟17を保持することができる。
【0039】
なお、本例では、2つの支柱15a,15bを円柱状に形成し、上部桟16及び下部桟17を角柱状に形成したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの支柱15a,15b、上部桟16及び下部桟17を全て円柱状に形成してもよく、あるいは全て角柱状に形成してもよい。
【0040】
また、上部桟16に係合ピン24a,24bを設け、下部桟17にこの係合ピン24a,24bと係合するフック部材28a,28bを設けた例を説明したが、下部桟17に係合ピンを設けて、上部桟16にこの係合ピンと係合するフック部材を設けてもよい。
【0041】
[連結ユニット]
次に、連結ユニット13について説明する。
図2に示すように、連結ユニット13は、2つの連結用上部桟31a,31bと、2つの連結用下部桟32a,32bとを有している。2つの連結用上部桟31a,31b及び2つの連結用下部桟32a,32bは、それぞれ略円筒状に形成されている。
【0042】
第1の連結用上部桟31aは、第1の手摺りユニット11の上部桟16に設けた第1の回動部材25に回動可能に取り付けられている。また、第2の連結用上部桟31bは、第2の手摺りユニット12の上部桟16に設けた第1の回動部材25に回動可能に取り付けられている。2つの連結用上部桟31a,31bは、上部接続管34によって接続されている。これにより、第1の手摺りユニット11の上部桟16と、第2の手摺りユニット12の上部桟16は、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bによって連結される。
【0043】
第1の連結用上部桟31aと同様に、第1の連結用下部桟32aは、第1の手摺りユニット11の下部桟17に設けた第2の回動部材29に回動可能に取り付けられている。また、第2の連結用下部桟32bは、第2の手摺りユニット12の下部桟17に設けた第2の回動部材29に回動可能に取り付けられている。そして、2つの連結用下部桟32a,32bは、下部接続管35によって接続されている。よって、第1の手摺りユニット11の下部桟17と、第2の手摺りユニット12の下部桟17は、連結ユニット13の第1の連結用下部桟32a及び第2の連結用下部桟32bによって連結される。
【0044】
第1の回動部材25と第2の回動部材29は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の回動部材25について説明する。また、上部接続管34と下部接続管35は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは上部接続管34について説明する。
【0045】
図5は、連結ユニット13における第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bを示す部分断面図である。
図5に示すように、第1の回動部材25は、略コの字状に形成されている。この第1の回動部材25における対向する2つの回動片25a,25bを連結するように回動ピン25cが設けられている。そして、第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bの軸方向の端部は、第1の回動部材25の2つの回動片25a,25bの間に挟持され、回動ピン25cによって回動可能に支持されている。
【0046】
また、第1の連結用上部桟31aにおける第1の回動部材25と反対側の端部には、雄ねじ部37aが形成されている。同様に、第2の連結用上部桟31bにおける第1の回動部材25と反対側の端部には、雄ねじ部37bが形成されている。そして、この第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aと第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37bには、上部接続管34が取り付けられる。
【0047】
上部接続管34は、略円筒状に形成されている。上部接続管34の筒孔34aの内壁には、雌ねじ部が形成されている。そして、上部接続管34の筒孔34aに設けた雌ねじ部は、第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37a,37bと螺合する。これにより、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bが接続され、全体として一体的な棒状の部材に構成される。
【0048】
図6は、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bの接続を解除した状態を示す部分断面図である。
図6に示すように、上部接続管34を回転させると、上部接続管34の雌ねじ部は、他方の第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37bとさらに螺合し、第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aとの螺合が解除される。これにより、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bが分離される。
【0049】
本例では、上部接続管34を用いて第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを接続した例を説明したが、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bとの接続機構は、上述した例に限定されるものではない。
【0050】
次に、図7〜図9を参照して、接続機構の他の実施例について説明する。
図7は、接続機構の他の実施例を示す部分断面図、図8は、接続機構の他の実施例を示す平面図、図9は、第1の連結用上部桟と第2の連結用上部桟を分離した状態を示す部分断面図である。
【0051】
図7及び図8に示すように、他の実施例にかかる接続機構40は、接続部材41と、この接続部材41に取り付けられた圧縮ばね42と、接続部材41を操作する操作ピン43とを有している。接続部材41は、略円柱状に形成されている。そして、接続部材41は、第1の連結用上部桟51aの筒孔に第1の連結用上部桟51aの軸方向に沿って移動可能に収納される。
【0052】
また、接続部材41の軸方向の一端部には、圧縮ばね42が固定されている。そして、圧縮ばね42は、接続部材41の軸方向の一端部と第1の連結用上部桟51aの筒孔に設けた固定部45の間に介在される。
【0053】
さらに、図8に示すように、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bには、接続部材41に設けた操作ピン43が挿通するガイド溝47が設けられている。第2の連結用上部桟51b側のガイド溝47は、略L字状に形成されている。このガイド溝47には、操作ピン43が係合する。
【0054】
そして、図7に示すように、接続部材41は、圧縮ばね42によって第2の連結用上部桟51b側に付勢されて、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bの筒孔に挿入されている。この接続部材41によって第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bが接続する。
【0055】
次に、この他の実施例にかかる接続機構40を有する第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bの分離方法について図9を参照して説明する。
図9に示すように、操作ピン43をガイド溝47に沿って操作する。そして、接続部材41を圧縮ばね42の付勢力に抗して第1の連結用上部桟51a側に移動させる。これにより、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bを分離作業が完了する。
【0056】
<2.手摺りの動作>
次に、図2〜図6及び図10を参照して上述した構成を有する本例の手摺り10の動作について説明する。
図10は、手摺り10を折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【0057】
最初に、図2に示す手摺り10を起立形態から図10に示す折りたたまれた状態への動作について説明する。まず、図6に示すように、上部接続管34を回転させて、第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aと上部接続管34の雌ねじ部との螺合を解除し、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを分離する。同様に、下部接続管35を回転させて第1の連結用下部桟32aと第2の連結用下部桟32bを分離する。
【0058】
次に、図2に示すように、第1の連結用上部桟31aを矢印T1の方向である、回動ピン25cを中心に、第1の手摺りユニット11の上部桟16側に回動する。第2の連結用上部桟31bは、回動ピン25cを中心に、矢印T2の方向である第2の手摺りユニット12の上部桟16側に回動する。
【0059】
また、第1の連結用下部桟32aは、矢印T1の方向である第1の手摺りユニット11の下部桟17側に回動し、第2の連結用下部桟32bは、矢印T2の方向である第2の手摺りユニット12の下部桟17側に回動する。これにより、連結ユニット13は、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12側に折りたたまれる。
【0060】
なお、連結ユニット13を第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12側に折りたたむ例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、連結ユニット13を第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12から取り外すような構成にしてもよい。
【0061】
次に、図2の矢印Lに示すように、第1の手摺りユニット11の下部桟17を第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向に沿って、上部桟16側に移動させる。そして、図4に示すように、下部桟17の第1のフック部材28aを回動させて、第1のフック部材28aと上部桟16に設けた第1の係合ピン24aを係合する。同様に、第2のフック部材28bと第2の係合ピン24bを係合する。これにより、下部桟17を上部桟16側に保持することができる。
【0062】
なお、同様に、第2の手摺りユニット12の下部桟17も上部桟16側に保持される。その工程は、第1の手摺りユニット11と同一であるため、その説明は、省略する。
【0063】
ここで、手摺り10を折りたたむ際に、下部桟17を保持する位置は、かご枠112の上面部112aに設置した各種装置5の位置関係に応じて設定される。そのため、フック部材28a,28bの長さは、この位置関係に応じて設定することが好ましい。
【0064】
なお、本例では、連結ユニット13を分離してから、下部桟17を移動させた例を説明したが、これに限定されるものではなく、下部桟17を移動させてから、連結ユニット13を分離してもよい。
【0065】
次に、第1の支柱15a及び第2の支柱15bを第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bに設けた回動軸21を中心に回動させて、図10に示すように、かご枠112の上面部112a側に倒す。なお、第2の手摺りユニット12も第1の手摺りユニット11と同様であるため、その説明は、省略する。これにより、手摺り10を起立形態から折りたたむ動作が完了する。
【0066】
上述したように、下部桟17を保持する位置は、かご枠112の上面部112aに設置した各種装置5の位置関係に応じて設定される。そのため、第1の支柱15a及び第2の支柱15bを回動させてかご枠112の上面部112a側に倒しても、下部桟17が上面部112aに設置した各種装置5に干渉することがない。
【0067】
これにより、かご枠112の上面部112aに設置するスピーカ装置や照明装置等の各種装置5のレイアウトを決定する際に、手摺り10の下部桟17の影響を考慮する必要がないため、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0068】
次に、手摺り10を図10に示す折りたたまれた状態から図2に示す起立形態に組み立てる方法について説明する。
まず、第1の手摺りユニット11の第1の支柱15a及び第2の支柱15bを回動させて、第1の支柱15a及び第2の支柱15bをかご枠112の上面部112aに対して略垂直に立設させる。このとき、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの上端には、上部桟16が固定されている。そのため、支柱15a,15bを立設するだけで、手摺り10の最上部の高さを予め規定されている高さに調節することができ、作業員の安全を最低限確保することができる。
【0069】
次に、第1のフック部材28aと第1の係合ピン24aの係合を解除すると共に、第2のフック部材28bと第2の係合ピン24bの係合を解除する。これにより、下部桟17は、その自重によって第1の支柱15a及び第2の支柱15bを摺動し、上部桟16側から下方に自動的に移動する。
【0070】
ここで、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18の軸方向の所定の位置には、ストッパー部材22が設けられている。そのため、図3に示すように、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18を摺動する下部桟17が、ストッパー部材22に当接する。すなわち、下部桟17は、ストッパー部材22から支持部材14a、14b側への移動が規制される。これにより、下部桟17の位置決めを容易に行うことができると共に、手摺り10の起立形態への組み立て作業を容易に行うことができる。
【0071】
なお、第2の手摺りユニット12の工程も第1の手摺りユニット11と同一であるため、その説明は、省略する。
【0072】
次に、図2に示すように、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第1の連結用下部桟32aを第1の手摺りユニット11の上部桟16及び下部桟17から離れる方向、いわゆる矢印T1の向き反対方向に回動させる。そして、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第1の連結用下部桟32aの軸方向を、かご枠112の幅方向Xと略平行に配置する。
【0073】
同様に、第2の連結用上部桟31b及び第2の連結用下部桟32bを第2の手摺りユニット12の上部桟16及び下部桟17から離れる方向、いわゆる矢印T2の向き反対方向に回動させる。そして、第2の連結用上部桟31b及び第2の連結用下部桟32bの軸方向をかご枠112の幅方向Xと略平行に配置する。
【0074】
次に、図5に示すように、上部接続管34を用いて第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを接続する。同様に、下部接続管35を用いて第1の連結用下部桟32aと第2の連結用下部桟32bを接続する。これにより、手摺り10の折りたたみ状態から起立形態への組み立て作業が完了する。
【0075】
なお、手摺り10の起立形態への組み立て方法は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、連結ユニット13を接続してから、下部桟17を移動させるようにしてもよい。
【0076】
上述した本例の手摺り10によれば、第1の手摺りユニット11、第2の手摺りユニット12及び連結ユニット13の全ての部材を一体に形成している。そのため、折りたたみ状態から起立形態への組み立て作業時や、手摺り10を折りたたむ際に、部品が離ればなれになることがなく、部品をなくすおそれがない。さらに、手摺り10の組み立て作業時や折りたたむ際に、特殊な工具を必要としないため、容易に組み立て作業や折りたたみを行うことができる。
【0077】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態例では、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12を連結する連結ユニット13を設けたが、乗りかご110のかご枠112の大きさによっては連結ユニット13を設けなくてもよい。また、連結ユニット13を2つ設けて、かご枠112の上面部112aの4辺全てに手摺りを配置してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…エレベータ、 2…レールガイド、 3…ドア駆動用モータ、 4…天井扇、 5…各種装置、 8…取付台、 11…第1の手摺りユニット、 12…第2の手摺りユニット、 13…連結ユニット、 14a…第1の支持部材、 14b…第2の支持部材、 15a…第1の支柱、 15b…第2の支柱、 16…上部桟、 17…中部桟、 18…補強部材、 21…回動軸、 22…ストッパー部材、 24a…第1の係合ピン(係合部)、 24b…第2の係合ピン(係合部)、 25…第1の回動部材、 27a…第1の貫通孔、 27b…第2の貫通孔、 27c…第3の貫通孔、 28a…第1のフック部材(係合受部)、 28b…第2のフック部材、 29…回動部材、 31a…第1の連結用上部桟、 31b…第2の連結用上部桟、 32a…第1の連結用下部桟、 32b…第2の連結用下部桟、 100…昇降路、 110…乗りかご、 112…かご枠、 112a…上面部、 120…巻上機、 130…釣合錘、 170…ロープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの天井部である上面部に設けられ、保守点検時等の際に使用される手摺りを有するエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗りかごの上部には、定期的に行われる保守点検時の際に作業者の安全を確保するため、手摺りが設けられている。この手摺りは、通常時では乗りかごの上部に折りたたまれた状態で保持されており、保守点検を行う時に起立形態に保持されている。
【0003】
また、近年では、作業時の安全性を向上させるために、上部桟だけでなく上部桟の下方に下部桟を配置した2つの桟を有する手摺りが求められている。しかしながら、エレベータの乗りかごの天井部である上面部には、スピーカ装置や照明装置等の各種構成機器(以下、「各種装置」という。)が配置されている。そのため、上部桟と下部桟の2つの桟を有する手摺りでは、上部桟と下部桟の2つの桟を両方とも乗りかごに配置された各種装置に対して干渉することなく折りたたむことが困難であった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1に記載されたエレベータの手摺りは、支持部材に回動可能に支持された支柱と、この支柱に設けられた下部桟と、下部桟に接続されると共に高さを変更可能な上部桟とを備えている。そして、折りたたむ際に、上部桟の高さを変えることで、乗りかごの上面部に配置された各種装置との干渉を避けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/093157号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、手摺りを起立形態に組み立てる際に、上部桟の高さを所定の高さまで移動させる必要がある。そのため、使用時に上部桟の高さ調節の作業を忘れると、手摺りの最上部の高さが従来から規定されている上部桟の高さよりも低い状態となる。よって、特許文献1に開示された技術は、作業員の安全保護の点で十分とは言えなかった。
【0007】
また、大型のエレベータの場合、手摺りも大きくなると共に上部桟の重量も重くなる。そのため、特許文献1に開示された技術では、重い上部桟を所定の高さまで引き上げる必要があり、手摺りを組み立てる作業が困難となっていた。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、乗りかごに設置された各種装置のレイアウトに影響を与えることなく、安全で、かつ容易に折りたたまれた状態から起立形態に組み立てることができる手摺りを有するエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベータは、昇降路内を昇降する乗りかごと、乗りかごの上面部に折りたたみ可能に装着された手摺りと、を備えている。
手摺りは、支持部材と、支柱と、上部桟と、下部桟とを備えている。支持部材は、乗りかごの上面部に取り付けられる。支柱は、支持部材に回動可能に取り付けられる。上部桟は、支柱における支持部材と反対側の端部に固定される。また、下部桟は、支柱における支持部材と上部桟の間に配置され、支柱にその軸方向に沿って移動可能に支持される。そして、下部桟は、手摺りを折りたたむ際には上部桟側に移動し、使用時には上部桟から支持部材側に移動する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータによれば、上部桟を固定し、下部桟を移動可能に構成しているため、折りたたむ際には、下部桟を乗りかごの上面部に設置した各種装置と干渉しない位置まで移動させることができる。その結果、下部桟の位置を考慮することなく各種装置のレイアウトを決定することができる。
【0011】
また、上部桟が支柱に固定されているため、手摺りを起立形態に組み立てる際、支柱を立設させるだけで手摺りの最上部の高さを予め規定されている高さに調節することができ、より安全に作業を行うことができる。さらに、手摺りを起立形態に組み立てる際、下部桟は、上部桟側から支持部材側に下げる作業となるため、手摺りが大型化しても容易に組み立て作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態例にかかるエレベータを模式的に示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの上面部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける第1の手摺りユニットを示す正面図である。
【図4】図3に示す下部桟を上部桟側に移動させた状態を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける連結ユニットを示す部分断面図である。
【図6】図5に示す連結ユニットを分離した状態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りにおける連結ユニットの他の実施例を示す部分断面図である。
【図8】図7に示す連結ユニットの平面図である
【図9】図7に示す連結ユニットを分離した状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態例にかかるエレベータの手摺りを折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のエレベータの実施の形態例について、図1〜図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
1.エレベータの構成
2.手摺りの動作
【0014】
<1.エレベータの構成>
まず、図1を参照して本発明のエレベータの実施の形態例(以下、「本例」という。)について説明する。
図1は、本例のエレベータを模式的に示す側面図である。
【0015】
[エレベータ]
本例のエレベータ1は、建物構造物内に形成された昇降路100の上方に機械室を有しない、いわゆる機械室レスエレベータである。図1に示すように、エレベータ1は、昇降路100内を昇降する乗りかご110と、巻上機120と、釣合錘130と、2つの従動プーリ140,150と、ロープ170とを備えている。
【0016】
乗りかご110の下部には、せり上げ用プーリ111が設けられている。また、乗りかご110の上部には、手摺り10が設けられている(図2参照)。なお、乗りかご110及び手摺り10の詳細な構成については、後述する。
【0017】
巻上機120は、昇降路100の最下部に配置されており、ロープ170を介して乗りかご110及び釣合錘130をつるべ式に昇降させるものである。2つの従動プーリ140,150は、昇降路100の上部に固定されている。
【0018】
ロープ170の一端と他端は、昇降路100の最上部に固定されている。このロープ170は、釣合錘130に設けられた錘側プーリ131から第1の従動プーリ140に装架され、そして巻上機120、第2の従動プーリ150、乗りかご110のせり上げ用プーリ111の順に巻き掛けられている。そして、巻上機120が駆動し、ロープ170を巻き取ることで、乗りかご110及び釣合錘130が昇降路内100を昇降する。
【0019】
[乗りかご]
次に、図2を参照して、乗りかごの上部及び手摺りについて説明する。
図2は、乗りかご110の上部を示す斜視図である。
図2に示すように、乗りかご110は、略直方体状のかご枠112と、レールガイド2とを有している。レールガイド2は、かご枠112における幅方向Xの両側の側面部112bに設置され、昇降路100内に設けられた図示しないガイドレールと摺動するものである。
【0020】
かご枠112の天井部である上面部112aには、ドア駆動用モータ3と、天井扇4と、スピーカ装置や照明装置等の各種装置5が設けられている。ドア駆動用モータ3は、かご枠112の幅方向X及び高さ方向Zとも直交する奥行き方向Yの一側に配置されている。また、かご枠112の上面部112aには、補強用の補強材7が設置されている。補強材7は、かご枠112の上面部112aにおける幅方向Xに沿って設置されている。さらに、かご枠112の上面部112aには、後述する手摺り10を取り付けるための取付台8が設けられている。
【0021】
[手摺り]
次に、図2〜図6を参照して手摺り10について説明する。
図2に示すように、手摺り10は、第1の手摺りユニット11と、第2の手摺りユニット12と、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12を連結する連結ユニット13とから構成されている。第1の手摺りユニット11は、かご枠112の幅方向Xの一側に配置されており、第2の手摺りユニット12は、かご枠112の幅方向Xの他側に配置されている。連結ユニット13は、かご枠112の奥行き方向Yの他側に配置されている。
【0022】
[手摺りユニット]
次に、第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12について説明する。なお、第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12は、それぞれ同一の構成を有しているため、第1の手摺りユニット11について説明する。
【0023】
図3は、第1の手摺りユニット11を示す正面図である。
図3に示すように、第1の手摺りユニット11は、2つの支持部材14a,14bと、2つの支柱15a,15bと、上部桟16と、下部桟17と、補強部材18とを有している。図2に示すように、2つの支持部材14a,14bは、かご枠112の上面部112aに設けられた取付台8に固定されている。第1の支持部材14aは、かご枠112における奥行き方向Yの一側に配置されており、第2の支持部材14bは、奥行き方向Yの他側に配置されている。
【0024】
すなわち、手摺り10をかご枠112の上面部112aに直接固定するのではなく、取付台8を介して取り付けている。これにより、かご枠112が昇降する際に生じる振動が手摺り10に伝達し難くなる。
【0025】
また、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bには、それぞれ回動軸21が設けられている。そして、第1の支持部材14aには、回動軸21を介して第1の支柱15aが回動可能に取り付けられており、第2の支持部材14bには、回動軸21を介して第2の支柱15bが回動可能に取り付けられている。
【0026】
第1の支柱15a及び第2の支柱15bは、それぞれ略円柱状の部材で形成されている。第1の支柱15a及び第2の支柱15bにおける軸方向の第1の支持部材14aの反対側の一端部、すなわち上端部には、上部桟16が固定されている。第1の支柱15a及び第2の支柱15bと上部桟16の固定方法としては、例えば溶接や固定ねじを用いた締結等が挙げられる。これにより、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの上端部は、上部桟16によって連結される。
【0027】
上部桟16は、略角柱状の部材で形成されている。上部桟16は、係合部の一例を示す2つの係合ピン24a,24bを有する。2つの係合ピン24a,24bは、上部桟16における軸方向の中途部に所定の間隔を開けて配置される。
【0028】
上部桟16の軸方向の一側には、棒状の補強部材18が固定されており、上部桟16の軸方向の他端には、第1の回動部材25が設けられている。第1の回動部材25には、後述する連結ユニット13の第1の連結用上部桟31aが取り付けられる。なお、第1の回動部材25の詳細な構成については、後述する。
【0029】
補強部材18は、上部桟16における第1の支柱15a及び第2の支柱15bが固定された面に固定される。そして、補強部材18は、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと略平行に配置される。
【0030】
また、手摺り10が大型化し、上部桟16及び下部桟17の軸方向の長さが長くなる場合には、補強部材18を複数設置してもよい。なお、補強部材18を設けなくても本発明の目的は、達成できるものである。
【0031】
図3に示すように、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向の中途部には、ストッパー部材22が設けられている。また、補強部材18の軸方向の上部桟16と反対側の端部にも、ストッパー部材22が設けられている。手摺り10を使用する際、このストッパー部材22には、下部桟17が当接する。これにより、手摺り10の起立形態における下部桟17の取付台8からの高さが保持される。
【0032】
そして、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18におけるストッパー部材22と上部桟16の間には、下部桟17が移動可能に配置されている。そして、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向の中途部は、下部桟17によって連結される。
【0033】
下部桟17は、略角柱状の部材で形成されている。下部桟17には、3つの貫通孔27a,27b,27cが形成されている。第1の貫通孔27aは、下部桟17の軸方向の一側に設けられており、第2の貫通孔27bは、軸方向の他側に設けられている。また、第3の貫通孔27cは、第1の貫通孔27aよりも下部桟17の軸方向の一側に設けられている。
【0034】
第1の貫通孔27aには、第1の支柱15aが貫通し、第2の貫通孔27bには、第2の支柱15bが貫通する。そして、第3の貫通孔27cには、補強部材18が貫通する。よって、下部桟17は、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと、補強部材18にガイドされて、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと補強部材18の軸方向に移動可能に摺動する。
【0035】
なお、3つの貫通孔27a,27b,27cに、すべり軸受け部またはころがり軸受け部を設けてもよい。これにより、第1の支柱15a及び第2の支柱15bと補強部材18の軸方向に沿って下部桟17を円滑に移動させることができる。
【0036】
さらに、下部桟17の軸方向の他側には、第2の回動部材29が設けられている。この第2の回動部材29には、後述する連結ユニット13の第1の連結用下部桟32a(図2参照)が取り付けられる。
【0037】
また、下部桟17における上部桟16に設けた係合ピン24a,24bと対応する箇所には、係合受部の一例を示すフック部材28a,28bが回動可能に取り付けられている。
【0038】
図4は、手摺り10を折りたたんだ際における第1の手摺りユニット11を示す正面図である。図4に示すように、下部桟17を上部桟16側に移動した際に、第1のフック部材28aは、上部桟16に設けた第1の係合ピン24aと係合し、第2のフック部材28bは、第2の係合ピン24bと係合する。これにより、手摺り10が折りたたまれた際に、支柱15a,15bの軸方向の所定の位置に下部桟17を保持することができる。
【0039】
なお、本例では、2つの支柱15a,15bを円柱状に形成し、上部桟16及び下部桟17を角柱状に形成したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの支柱15a,15b、上部桟16及び下部桟17を全て円柱状に形成してもよく、あるいは全て角柱状に形成してもよい。
【0040】
また、上部桟16に係合ピン24a,24bを設け、下部桟17にこの係合ピン24a,24bと係合するフック部材28a,28bを設けた例を説明したが、下部桟17に係合ピンを設けて、上部桟16にこの係合ピンと係合するフック部材を設けてもよい。
【0041】
[連結ユニット]
次に、連結ユニット13について説明する。
図2に示すように、連結ユニット13は、2つの連結用上部桟31a,31bと、2つの連結用下部桟32a,32bとを有している。2つの連結用上部桟31a,31b及び2つの連結用下部桟32a,32bは、それぞれ略円筒状に形成されている。
【0042】
第1の連結用上部桟31aは、第1の手摺りユニット11の上部桟16に設けた第1の回動部材25に回動可能に取り付けられている。また、第2の連結用上部桟31bは、第2の手摺りユニット12の上部桟16に設けた第1の回動部材25に回動可能に取り付けられている。2つの連結用上部桟31a,31bは、上部接続管34によって接続されている。これにより、第1の手摺りユニット11の上部桟16と、第2の手摺りユニット12の上部桟16は、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bによって連結される。
【0043】
第1の連結用上部桟31aと同様に、第1の連結用下部桟32aは、第1の手摺りユニット11の下部桟17に設けた第2の回動部材29に回動可能に取り付けられている。また、第2の連結用下部桟32bは、第2の手摺りユニット12の下部桟17に設けた第2の回動部材29に回動可能に取り付けられている。そして、2つの連結用下部桟32a,32bは、下部接続管35によって接続されている。よって、第1の手摺りユニット11の下部桟17と、第2の手摺りユニット12の下部桟17は、連結ユニット13の第1の連結用下部桟32a及び第2の連結用下部桟32bによって連結される。
【0044】
第1の回動部材25と第2の回動部材29は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の回動部材25について説明する。また、上部接続管34と下部接続管35は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは上部接続管34について説明する。
【0045】
図5は、連結ユニット13における第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bを示す部分断面図である。
図5に示すように、第1の回動部材25は、略コの字状に形成されている。この第1の回動部材25における対向する2つの回動片25a,25bを連結するように回動ピン25cが設けられている。そして、第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bの軸方向の端部は、第1の回動部材25の2つの回動片25a,25bの間に挟持され、回動ピン25cによって回動可能に支持されている。
【0046】
また、第1の連結用上部桟31aにおける第1の回動部材25と反対側の端部には、雄ねじ部37aが形成されている。同様に、第2の連結用上部桟31bにおける第1の回動部材25と反対側の端部には、雄ねじ部37bが形成されている。そして、この第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aと第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37bには、上部接続管34が取り付けられる。
【0047】
上部接続管34は、略円筒状に形成されている。上部接続管34の筒孔34aの内壁には、雌ねじ部が形成されている。そして、上部接続管34の筒孔34aに設けた雌ねじ部は、第1の連結用上部桟31a及び第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37a,37bと螺合する。これにより、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bが接続され、全体として一体的な棒状の部材に構成される。
【0048】
図6は、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bの接続を解除した状態を示す部分断面図である。
図6に示すように、上部接続管34を回転させると、上部接続管34の雌ねじ部は、他方の第2の連結用上部桟31bの雄ねじ部37bとさらに螺合し、第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aとの螺合が解除される。これにより、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bが分離される。
【0049】
本例では、上部接続管34を用いて第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを接続した例を説明したが、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bとの接続機構は、上述した例に限定されるものではない。
【0050】
次に、図7〜図9を参照して、接続機構の他の実施例について説明する。
図7は、接続機構の他の実施例を示す部分断面図、図8は、接続機構の他の実施例を示す平面図、図9は、第1の連結用上部桟と第2の連結用上部桟を分離した状態を示す部分断面図である。
【0051】
図7及び図8に示すように、他の実施例にかかる接続機構40は、接続部材41と、この接続部材41に取り付けられた圧縮ばね42と、接続部材41を操作する操作ピン43とを有している。接続部材41は、略円柱状に形成されている。そして、接続部材41は、第1の連結用上部桟51aの筒孔に第1の連結用上部桟51aの軸方向に沿って移動可能に収納される。
【0052】
また、接続部材41の軸方向の一端部には、圧縮ばね42が固定されている。そして、圧縮ばね42は、接続部材41の軸方向の一端部と第1の連結用上部桟51aの筒孔に設けた固定部45の間に介在される。
【0053】
さらに、図8に示すように、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bには、接続部材41に設けた操作ピン43が挿通するガイド溝47が設けられている。第2の連結用上部桟51b側のガイド溝47は、略L字状に形成されている。このガイド溝47には、操作ピン43が係合する。
【0054】
そして、図7に示すように、接続部材41は、圧縮ばね42によって第2の連結用上部桟51b側に付勢されて、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bの筒孔に挿入されている。この接続部材41によって第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bが接続する。
【0055】
次に、この他の実施例にかかる接続機構40を有する第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bの分離方法について図9を参照して説明する。
図9に示すように、操作ピン43をガイド溝47に沿って操作する。そして、接続部材41を圧縮ばね42の付勢力に抗して第1の連結用上部桟51a側に移動させる。これにより、第1の連結用上部桟51aと第2の連結用上部桟51bを分離作業が完了する。
【0056】
<2.手摺りの動作>
次に、図2〜図6及び図10を参照して上述した構成を有する本例の手摺り10の動作について説明する。
図10は、手摺り10を折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【0057】
最初に、図2に示す手摺り10を起立形態から図10に示す折りたたまれた状態への動作について説明する。まず、図6に示すように、上部接続管34を回転させて、第1の連結用上部桟31aの雄ねじ部37aと上部接続管34の雌ねじ部との螺合を解除し、第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを分離する。同様に、下部接続管35を回転させて第1の連結用下部桟32aと第2の連結用下部桟32bを分離する。
【0058】
次に、図2に示すように、第1の連結用上部桟31aを矢印T1の方向である、回動ピン25cを中心に、第1の手摺りユニット11の上部桟16側に回動する。第2の連結用上部桟31bは、回動ピン25cを中心に、矢印T2の方向である第2の手摺りユニット12の上部桟16側に回動する。
【0059】
また、第1の連結用下部桟32aは、矢印T1の方向である第1の手摺りユニット11の下部桟17側に回動し、第2の連結用下部桟32bは、矢印T2の方向である第2の手摺りユニット12の下部桟17側に回動する。これにより、連結ユニット13は、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12側に折りたたまれる。
【0060】
なお、連結ユニット13を第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12側に折りたたむ例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、連結ユニット13を第1の手摺りユニット11及び第2の手摺りユニット12から取り外すような構成にしてもよい。
【0061】
次に、図2の矢印Lに示すように、第1の手摺りユニット11の下部桟17を第1の支柱15a及び第2の支柱15bの軸方向に沿って、上部桟16側に移動させる。そして、図4に示すように、下部桟17の第1のフック部材28aを回動させて、第1のフック部材28aと上部桟16に設けた第1の係合ピン24aを係合する。同様に、第2のフック部材28bと第2の係合ピン24bを係合する。これにより、下部桟17を上部桟16側に保持することができる。
【0062】
なお、同様に、第2の手摺りユニット12の下部桟17も上部桟16側に保持される。その工程は、第1の手摺りユニット11と同一であるため、その説明は、省略する。
【0063】
ここで、手摺り10を折りたたむ際に、下部桟17を保持する位置は、かご枠112の上面部112aに設置した各種装置5の位置関係に応じて設定される。そのため、フック部材28a,28bの長さは、この位置関係に応じて設定することが好ましい。
【0064】
なお、本例では、連結ユニット13を分離してから、下部桟17を移動させた例を説明したが、これに限定されるものではなく、下部桟17を移動させてから、連結ユニット13を分離してもよい。
【0065】
次に、第1の支柱15a及び第2の支柱15bを第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bに設けた回動軸21を中心に回動させて、図10に示すように、かご枠112の上面部112a側に倒す。なお、第2の手摺りユニット12も第1の手摺りユニット11と同様であるため、その説明は、省略する。これにより、手摺り10を起立形態から折りたたむ動作が完了する。
【0066】
上述したように、下部桟17を保持する位置は、かご枠112の上面部112aに設置した各種装置5の位置関係に応じて設定される。そのため、第1の支柱15a及び第2の支柱15bを回動させてかご枠112の上面部112a側に倒しても、下部桟17が上面部112aに設置した各種装置5に干渉することがない。
【0067】
これにより、かご枠112の上面部112aに設置するスピーカ装置や照明装置等の各種装置5のレイアウトを決定する際に、手摺り10の下部桟17の影響を考慮する必要がないため、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0068】
次に、手摺り10を図10に示す折りたたまれた状態から図2に示す起立形態に組み立てる方法について説明する。
まず、第1の手摺りユニット11の第1の支柱15a及び第2の支柱15bを回動させて、第1の支柱15a及び第2の支柱15bをかご枠112の上面部112aに対して略垂直に立設させる。このとき、第1の支柱15a及び第2の支柱15bの上端には、上部桟16が固定されている。そのため、支柱15a,15bを立設するだけで、手摺り10の最上部の高さを予め規定されている高さに調節することができ、作業員の安全を最低限確保することができる。
【0069】
次に、第1のフック部材28aと第1の係合ピン24aの係合を解除すると共に、第2のフック部材28bと第2の係合ピン24bの係合を解除する。これにより、下部桟17は、その自重によって第1の支柱15a及び第2の支柱15bを摺動し、上部桟16側から下方に自動的に移動する。
【0070】
ここで、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18の軸方向の所定の位置には、ストッパー部材22が設けられている。そのため、図3に示すように、第1の支柱15a、第2の支柱15b及び補強部材18を摺動する下部桟17が、ストッパー部材22に当接する。すなわち、下部桟17は、ストッパー部材22から支持部材14a、14b側への移動が規制される。これにより、下部桟17の位置決めを容易に行うことができると共に、手摺り10の起立形態への組み立て作業を容易に行うことができる。
【0071】
なお、第2の手摺りユニット12の工程も第1の手摺りユニット11と同一であるため、その説明は、省略する。
【0072】
次に、図2に示すように、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第1の連結用下部桟32aを第1の手摺りユニット11の上部桟16及び下部桟17から離れる方向、いわゆる矢印T1の向き反対方向に回動させる。そして、連結ユニット13の第1の連結用上部桟31a及び第1の連結用下部桟32aの軸方向を、かご枠112の幅方向Xと略平行に配置する。
【0073】
同様に、第2の連結用上部桟31b及び第2の連結用下部桟32bを第2の手摺りユニット12の上部桟16及び下部桟17から離れる方向、いわゆる矢印T2の向き反対方向に回動させる。そして、第2の連結用上部桟31b及び第2の連結用下部桟32bの軸方向をかご枠112の幅方向Xと略平行に配置する。
【0074】
次に、図5に示すように、上部接続管34を用いて第1の連結用上部桟31aと第2の連結用上部桟31bを接続する。同様に、下部接続管35を用いて第1の連結用下部桟32aと第2の連結用下部桟32bを接続する。これにより、手摺り10の折りたたみ状態から起立形態への組み立て作業が完了する。
【0075】
なお、手摺り10の起立形態への組み立て方法は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、連結ユニット13を接続してから、下部桟17を移動させるようにしてもよい。
【0076】
上述した本例の手摺り10によれば、第1の手摺りユニット11、第2の手摺りユニット12及び連結ユニット13の全ての部材を一体に形成している。そのため、折りたたみ状態から起立形態への組み立て作業時や、手摺り10を折りたたむ際に、部品が離ればなれになることがなく、部品をなくすおそれがない。さらに、手摺り10の組み立て作業時や折りたたむ際に、特殊な工具を必要としないため、容易に組み立て作業や折りたたみを行うことができる。
【0077】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態例では、第1の手摺りユニット11と第2の手摺りユニット12を連結する連結ユニット13を設けたが、乗りかご110のかご枠112の大きさによっては連結ユニット13を設けなくてもよい。また、連結ユニット13を2つ設けて、かご枠112の上面部112aの4辺全てに手摺りを配置してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…エレベータ、 2…レールガイド、 3…ドア駆動用モータ、 4…天井扇、 5…各種装置、 8…取付台、 11…第1の手摺りユニット、 12…第2の手摺りユニット、 13…連結ユニット、 14a…第1の支持部材、 14b…第2の支持部材、 15a…第1の支柱、 15b…第2の支柱、 16…上部桟、 17…中部桟、 18…補強部材、 21…回動軸、 22…ストッパー部材、 24a…第1の係合ピン(係合部)、 24b…第2の係合ピン(係合部)、 25…第1の回動部材、 27a…第1の貫通孔、 27b…第2の貫通孔、 27c…第3の貫通孔、 28a…第1のフック部材(係合受部)、 28b…第2のフック部材、 29…回動部材、 31a…第1の連結用上部桟、 31b…第2の連結用上部桟、 32a…第1の連結用下部桟、 32b…第2の連結用下部桟、 100…昇降路、 110…乗りかご、 112…かご枠、 112a…上面部、 120…巻上機、 130…釣合錘、 170…ロープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記乗りかごの上面部に折りたたみ可能に装着された手摺りと、を備え、
前記手摺りは、
前記乗りかごの前記上面部に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に回動可能に取り付けられた支柱と、
前記支柱における前記支持部材と反対側の端部に固定された上部桟と、
前記支柱における前記支持部材と前記上部桟の間に配置され、前記支柱にその軸方向に沿って移動可能に支持された下部桟と、を備え、
前記下部桟は、前記手摺りを折りたたむ際には前記上部桟側に移動し、使用時には前記上部桟から前記支持部材側に移動する
エレベータ。
【請求項2】
前記上部桟には、係合部が設けられ、
前記下部桟には、前記係合部と係合する係合受部が設けられている
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記係合部は、前記上部桟から突出した係合ピン、またはフック部材であり、
前記係合受部は、前記上部桟に設けられた前記係合ピンと係合するフック部材、または前記上部桟に設けられた前記フック部材と係合する係合ピンである
請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記支柱には、前記下部桟の軸方向の移動を規制し、前記手摺りを使用する際における前記乗りかごの前記上面部からの前記下部桟の高さを保持するストッパー部材を設けた
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記下部桟には、前記支柱が貫通する貫通孔を設けた
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記下部桟の前記貫通孔には、すべり軸受け部またはころがり軸受け部を設けた
請求項5に記載のエレベータ。
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記乗りかごの上面部に折りたたみ可能に装着された手摺りと、を備え、
前記手摺りは、
前記乗りかごの前記上面部に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に回動可能に取り付けられた支柱と、
前記支柱における前記支持部材と反対側の端部に固定された上部桟と、
前記支柱における前記支持部材と前記上部桟の間に配置され、前記支柱にその軸方向に沿って移動可能に支持された下部桟と、を備え、
前記下部桟は、前記手摺りを折りたたむ際には前記上部桟側に移動し、使用時には前記上部桟から前記支持部材側に移動する
エレベータ。
【請求項2】
前記上部桟には、係合部が設けられ、
前記下部桟には、前記係合部と係合する係合受部が設けられている
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記係合部は、前記上部桟から突出した係合ピン、またはフック部材であり、
前記係合受部は、前記上部桟に設けられた前記係合ピンと係合するフック部材、または前記上部桟に設けられた前記フック部材と係合する係合ピンである
請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記支柱には、前記下部桟の軸方向の移動を規制し、前記手摺りを使用する際における前記乗りかごの前記上面部からの前記下部桟の高さを保持するストッパー部材を設けた
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記下部桟には、前記支柱が貫通する貫通孔を設けた
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記下部桟の前記貫通孔には、すべり軸受け部またはころがり軸受け部を設けた
請求項5に記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−95519(P2013−95519A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236641(P2011−236641)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】
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