説明

エンコーダ装置、光学装置、及び露光装置

【課題】回折格子を用いて計測を行う際に、相対位置を予め定められた相対位置からの絶対位置として容易に計測する。
【解決手段】エンコーダ10Xは、第1部材6に設けられ、格子パターン12Xa及び基準パターン13XAが形成された回折格子12Xと、計測光MX1,MX2を供給するレーザ光源16と、第2部材7に設けられ、計測光MX1,MX2を格子パターン面12Xbにθy方向(X方向)に対称な角度で傾斜させて入射させる傾斜ミラー32X,34Xと、計測光MX1,MX2の回折格子12Xによる回折光DX2,EX2を受光する光電センサ40XA,40XBと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対移動する部材間の相対移動量又は相対位置を計測するエンコーダ装置、このエンコーダ装置を備えた光学装置及び露光装置、並びにこの露光装置を用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を生産するためのフォトリソグラフィ工程で用いられる、いわゆるステッパー又はスキャニングステッパーなどの露光装置においては、従来より、露光対象の基板を移動するステージの位置計測はレーザ干渉計によって行われていた。ところが、レーザ干渉計では、計測用ビームの光路が長く、かつ変化するため、その光路上の雰囲気の温度揺らぎに起因する計測値の短期的な変動が無視できなくなりつつある。
【0003】
そこで、例えばステージに固定された回折格子にレーザ光よりなる計測光を照射し、回折格子から発生する回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を光電変換して得られる検出信号から、その回折格子が設けられた部材(ステージ等)の相対移動量を計測する、いわゆるエンコーダ装置(干渉型エンコーダ)も使用されつつある(例えば特許文献1参照)。このエンコーダ装置は、レーザ干渉計に比べて計測値の短期的安定性に優れるとともに、レーザ干渉計に近い分解能が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/029757号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエンコーダ装置は、回折格子の周期方向に関しては、例えば回折格子のピッチ(周期)又はこの整数分の1の距離(基準距離)を単位として相対移動量を計測しているため、この基準距離内では補間によって絶対位置を計測可能である。そして、その基準距離内の相対移動量を積算することによって、その基準距離を超える任意の相対移動量を計測できる。しかしながら、従来のエンコーダ装置においては、例えば電源オンにした直後には、その回折格子が設けられた部材の検出部が設けられた部材に対する相対位置を予め定められた初期位置等からの絶対位置として計測できないため、例えばその相対位置をその初期位置等に設定することが困難であった。
【0006】
さらに、従来のエンコーダ装置は、回折格子の格子パターン面の法線方向では、回折格子が設けられた部材の相対位置を例えば予め定められた相対位置を基準として絶対位置として計測することが困難であった。
本発明の態様は、このような課題に鑑み、回折格子を用いて計測を行う際に、回折格子の周期方向、及び格子パターン面の法線方向の少なくとも一方の相対位置を予め定められた相対位置からの絶対位置として容易に計測可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動する第2部材の相対位置を計測するエンコーダ装置が提供される。このエンコーダ装置は、その第1部材及びその第2部材の一方の部材に設けられ、その第1方向を周期方向とする格子パターン及びその格子パターン中に形成されてその第1方向に直交する第2方向に延びた第1の基準パターンを有する反射型の回折格子と、第1計測光及び第2計測光を供給する光源部と、その第1部材及び第2部材の他方の部材に設けられ、その第1計測光をその回折格子の格子パターン面にその第1方向に傾斜させて入射させる第1反射部材と、その他方の部材に設けられ、その第2計測光をその格子パターン面にその第1方向にその第1計測光の入射角とは異なる角度で傾斜させて入射させる第2反射部材と、その第1計測光のその回折格子による第1回折光を受光する第1光電検出器と、その第2計測光のその回折格子による第2回折光を受光する第2光電検出器と、その第1計測光及びその第2計測光がその第1の基準パターンを相対的に横切るときに得られるその第1及び第2光電検出器の検出信号から、その第1部材に対するその第2部材のその格子パターン面の法線方向の第1の位置及びその第1方向の第2の位置の少なくとも一方を求める第1計測部と、を備えるものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、本発明のエンコーダ装置と、対象物用の光学系と、そのエンコーダ装置の計測結果に基づいてその対象物をその光学系に対して相対移動する移動装置と、を備える光学装置が提供される。
また、第3の態様によれば、パターンを被露光体に露光する露光装置が提供される。この露光装置は、フレームと、その被露光体を支持するとともにそのフレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージと、その第1方向へのそのステージの相対位置を計測するための本発明のエンコーダ装置と、を備えるものである。
【0009】
また、第4の様態によれば、リソグラフィ工程を含み、そのリソグラフィ工程では、上記露光装置を用いて物体を露光するデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1計測光及び第2計測光が第1の基準パターンを相対的に横切るときに第1及び第2光電検出器から得られる検出信号から、第1部材に対する第2部材の格子パターン面の法線方向の第1の位置及びその第1方向の第2の位置の少なくとも一方を求めることができる。従って、第1の基準パターンと第1及び第2計測光とが所定の位置関係となる相対位置(例えば予め定められた相対位置)からの絶対位置として、例えばその回折格子が設けられた部材の、回折格子の周期方向、及び格子パターン面の法線方向の少なくとも一方の相対位置を容易に計測可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は第1の実施形態に係るエンコーダを示す斜視図、(B)は図1(A)中の傾斜ミラーの反射面等を示す図である。
【図2】(A)は図1(A)のエンコーダの2回目の回折光の光路を示す斜視図、(B)は図2(A)中の回折格子12X上の計測光及び回折光の照射位置を示す拡大平面図である。
【図3】(A)、(B)、(C)は回折格子12Xの基準パターン13XA,13XBと計測光及び回折光の照射位置とがX方向に次第にずれる状態を示す拡大平面図、(D)は相対位置Xに対する和信号SXDの一例を示す図である。
【図4】(A)、(B)、(C)は回折格子12Xの高さが変化したときに、基準パターン13XA,13XBと計測光及び回折光の照射位置とがX方向に次第にずれる状態を示す拡大側面図、(D)はZ位置に対する2つの検出信号のビート信号の振幅の変化の一例を示す図、(E)はZ位置に対する差分信号SXCの一例を示す図である。
【図5】(A)はY軸用の計測光及び回折光の照射位置と基準パターンとの関係の一例を示す拡大平面図、(B)は変形例の計測光及び回折光の照射位置と基準パターンとの関係の一例を示す拡大斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図7】図6のウエハステージに設けられた回折格子及び複数の検出ヘッドの配置の一例を示す平面図である。
【図8】図6の露光装置の制御系を示すブロック図である。
【図9】電子デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1〜図5を参照して説明する。図1(A)は本実施形態に係るX軸のエンコーダ10Xの要部を示す斜視図である。図1(A)において、一例として、第1部材6に対して第2部材7は2次元平面内で相対移動可能に配置され、第2部材7の互いに直交する相対移動可能な2つの方向に平行にX軸及びY軸を取り、X軸及びY軸によって規定される平面(XY面)に直交する軸をZ軸として説明する。また、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの角度をそれぞれθx方向、θy方向、及びθz方向の角度とも呼ぶ。なお、例えば第2部材7は、Zステージ機構(不図示)によって第1部材6に対してZ方向に変位可能に支持されていてもよい。
【0013】
図1(A)において、エンコーダ10Xは、第1部材6の上面に固定された、XY面に平行な平板状のX軸の回折格子12Xと、第2部材7の上面に固定されて回折格子12Xに計測光を照射するX軸の検出ヘッド14Xと、検出ヘッド14Xに計測用のレーザ光を供給するレーザ光源16と、検出ヘッド14Xから出力される検出信号を処理して第1部材6に対する第2部材7のX方向及びZ方向の相対移動量又は相対位置を求める計測演算部42Xと、を有する。さらに、第1部材6に対する第2部材7のY方向の相対移動量を求めるY軸のエンコーダ(不図示)も備えられている。
【0014】
回折格子12XのXY面に平行な格子パターン面12Xbには、X方向に所定の周期(ピッチ)を持ち、位相型でかつ反射型の格子パターン12Xaが形成されている。格子パターン12Xaの周期は、一例として100nm〜4μm程度(例えば1μm周期)である。格子パターン12Xaは、例えばホログラム(例えば感光性樹脂に干渉縞を焼き付けたもの)として、又はガラス板等に機械的に溝等を形成して反射膜を被着することで作製可能である。さらに、格子パターン面12Xbは、保護用の平板ガラスで覆われていてもよい。なお、回折格子12Xの代わりに、X方向、Y方向に周期的に形成された格子パターンを持つ2次元の回折格子を使用してもよい。また、回折格子12Xの格子パターン12Xaの一部を覆うように、X方向に所定間隔でY方向に延びる2本の遮光性のラインパターンよりなる第1及び第2の基準パターン13XA,13XBが形成されている。
【0015】
レーザ光源16は、例えばHe−Neレーザ又は半導体レーザ等よりなり、一例として偏光方向(X方向及びZ方向)が互いに直交するとともに互いに周波数(波長)が異なる第1及び第2の直線偏光のレーザ光よりなる2周波ヘテロダイン光XRを射出する。レーザ光源16は、第1及び第2の直線偏光のレーザ光から分岐した2つの光束の干渉光を光電変換して得られる基準周波数の信号(基準信号)を計測演算部42Xの第2演算部41Eに供給する。なお、ホモダイン干渉方式も使用可能である。
【0016】
レーザ光源16から射出されたヘテロダイン光XRは、ハーフミラー18Aで2分割され、一方の光束はミラー18Bで反射されて偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという。)28に入射し、他方の光束はそのままPBS28に入射する。その2つの光束はX方向に離れてY軸に平行にPBS28に入射する。その一方の光束は、PBS28のPBS面(偏光ビームスプリッタ面)28aを透過するP偏光の第1計測光MX1とPBS面28aで反射されるS偏光の第1参照光MR1とに分割される。その他方の光束は、PBS面28aを透過するP偏光の第2計測光MX2とPBS面28aで反射されるS偏光の第2参照光MR2とに分割される。PBS面28aは、ZY面に平行な面をθz方向に反時計回りに45°回転した面に平行である。
【0017】
PBS28は第2部材7の上面に固定され、PBS28の+X方向の側面にY方向に隣接するように第1及び第2のコーナキューブ29A,29Bが固定され、PBS28の+Y方向の側面及び−X方向の側面にそれぞれ1/4波長板30A,30Bが固定されている。PBS28の−X方向の側面に対向するように、第2部材7上に、ZY面に平行な反射面を持つミラー35が固定されている。また、PBS28の+Y方向側に第2部材7に固定されたフレーム(不図示)によって支持されるように、第1計測光MX1用の第1の傾斜ミラー32X、及び第2計測光MX2用の第2の傾斜ミラー34Xが配置されている。ハーフミラー18A、ミラー18B、PBS28、コーナキューブ29A,29B、1/4波長板30A,30B、ミラー35、及び傾斜ミラー32X,34Xを含んで検出ヘッド14Xが構成されている。また、検出ヘッド14Xは、PBS28の−Y方向に配置された2つの偏光板39A,39Bと、偏光板39A,39Bを通過した干渉光を受光するフォトダイオード等の光電センサ40XA,40XBとを有する。
【0018】
検出ヘッド14Xにおいて、PBS28のPBS面28aを透過した計測光MX1,MX2は、それぞれ1/4波長板30Aを介して傾斜ミラー32X,34Xの平面の反射面に入射する。それらの反射面で反射された計測光MX1,MX2は、格子パターン面12Xb上のX方向に離れた照射位置PXA,PXBに交差するように入射する。
図1(B)は図1(A)中の傾斜ミラー32X,34Xの反射面等を示す図である。図1(B)において、傾斜ミラー32Xの反射面に入射した計測光MX1は、その反射面で反射されて、回折格子12Xの格子パターン面12Xbに、θy方向(X方向)の入射角が、次のように格子パターン12Xaに対する+1次回折光のリトロー角(Littrow角)φLIとなって入射する。
【0019】
+1次回折光のリトロー角φLIは、入射する計測光MX1と、この計測光MX1による回折格子12Xからの+1次回折光DX1とが平行になるときの計測光MX1の入射角である。なお、図1(B)では、分かり易いように、計測光MX1等と回折光DX1等とは僅かに角度を変えて示している。格子パターン12XaのX方向の周期をp、計測光MX1の波長をλとすると、リトロー角φLIは次の関係を満たす。
2p・sin φLI=λ …(1)
【0020】
このように計測光MX1がリトロー角φLIで入射すると、格子パターン面の高さが変化しても+1次回折光DX1の横シフトが発生しないため、干渉光の強度が変化しないという利点がある一方で、0次光によるノイズ光の問題が生じる恐れがある。そこで、実際には、0次光の影響を軽減するために、計測光MX1の入射角はリトロー角φLIに対して所定角度、例えば0.5〜1.5°程度ずらしてもよい。
格子パターン面12Xbに入射する計測光MX1のθx方向(Y方向)の入射角は0でもよいが、計測光MX1のY方向の入射角も例えばその所定角度の1/2程度でずらしてもよい。計測光MX1による+1次回折光DX1は、計測光MX1と平行に(又はほぼ平行に)傾斜ミラー32Xに戻される。
【0021】
また、傾斜ミラー34Xの反射面に入射した計測光MX2は、その反射面で反射されて格子パターン面12Xbに、θy方向(X方向)の入射角が、計測光MX1と対称になるように角度(−φLI)で入射する。なお、計測光MX2の入射角も計測光MX1と対称に角度(−φLI)から所定角度ずらしてもよい。傾斜ミラー34Xから入射角(−φLI)で格子パターン12Xaに入射した計測光MX2による回折格子12Xからの−1次回折光EX1は、計測光MX2と平行に(又はほぼ平行に)傾斜ミラー34Xに戻される。
【0022】
格子パターン12Xaからの回折光DX1及びEX1は、それぞれ傾斜ミラー32X,34Xの反射面でほぼ−Y方向に反射されて、図1(A)の1/4波長板30Aを介してS偏光になってPBS28に入射し、PBS面28aで反射される。PBS面28aで反射された回折光DX1,EX1は、それぞれコーナキューブ29B,29Aで反射されてPBS面28aに戻される。
一方、PBS28のPBS面28aで反射された参照光MR1,MR2は、点線で示すようにそれぞれ1/4波長板30Bを介してミラー35の平面の反射面に入射する。そして、その反射面で反射された参照光MR1,MR2は、1/4波長板30Bを介してP偏光になってPBS28に入射して、PBS面28aを透過し、それぞれコーナキューブ29B,29Aで反射されてPBS面28aに戻される。
【0023】
図2(A)に示すように、コーナキューブ29B,29Aで反射されてから、PBS面28aに戻された回折光DX1,EX1は、それぞれPBS面28aで再度反射された後、1/4波長板30Aを介して傾斜ミラー32X,34Xの反射面の低い位置に入射する。傾斜ミラー32X,34Xで反射された回折光DX1,EX1は、格子パターン面12Xb上でそれぞれ図1(A)の照射位置PXB,PXAからほぼY方向に離れた照射位置PXC,PXDに対称に入射する。
【0024】
図1(B)において、傾斜ミラー32Xの反射面の低い位置に入射した回折光DX1は、その反射面で反射されて、回折格子12Xに、計測光MX1と平行に入射角φLI(リトロー角)で入射する。なお、回折光DX1の入射角もその角度φLIから所定角度ずらしてもよい。回折光DX1による格子パターン12Xaからの+1次回折光DX2(計測光MX1に対する実質的な+2次回折光)は、回折光DX1と平行に(又はほぼ平行に)傾斜ミラー32Xに戻される。
【0025】
また、傾斜ミラー34Xの反射面の低い位置に入射した回折光EX1は、その反射面で反射されて、回折格子12Xに、計測光MX2と平行に(回折光DX1と対称に)入射角(−φLI)で入射する。なお、回折光EX1の入射角もその角度から所定角度ずらしてもよい。回折光EX1による格子パターン12Xaからの−1次回折光EX2(計測光MX2に対する実質的な−2次回折光)は、回折光EX1と平行に(又はほぼ平行に)傾斜ミラー34Xに戻される。
【0026】
格子パターン12Xaからの回折光DX2及びEX2は、それぞれ傾斜ミラー32X,34Xの反射面でほぼ−Y方向に反射されて、図2(A)の1/4波長板30Aを介してP偏光になってPBS28に入射し、PBS面28aを透過する。PBS面28aを透過した回折光DX2,EX2はそれぞれ偏光板39A,39Bに入射する。
【0027】
一方、コーナキューブ29B,29Aで反射されてから、PBS面28aに戻された参照光RX1,RX2は、それぞれPBS面28aを再度透過した後、1/4波長板30Bを介してミラー35の反射面の低い位置に入射する。そして、ミラー35の反射面で反射された参照光RX1,RX2は、1/4波長板30Bを介してS偏光となってPBS28に入射し、PBS面28aで反射される。PBS面28aで反射された参照光RX1,RX2は、それぞれ偏光板39A,39Bに入射して、回折光DX2,EX2と同軸に合成される。そして、回折光DX2(計測光MX1)及び参照光RX1よりなる干渉光(ヘテロダインビーム)が光電センサ40XAで受光され、回折光EX2(計測光MX2)及び参照光RX2よりなる干渉光(ヘテロダインビーム)が光電センサ40XBで受光される。なお、計測光MX1,MX2と参照光RX1,RX2との光路長をほぼ等しくするために、ミラー35の反射面に段差を設け、PBS28とミラー35との距離を調整してもよい。また、検出ヘッド14Xの構成は任意であり、要は計測光MX1,MX2を互いに異なる入射角で回折格子12Xに照射できればよい。
【0028】
図1(A)において、光電センサ40XA,40XBはそれぞれ入射する干渉光を光電変換して得られる検出信号SXA,SXB(ヘテロダイン信号)を計測演算部42Xの第2演算部41Eに供給する。一例として、第2演算部41Eは、検出信号SXAとレーザ光源16から供給される基準信号とから、第1部材6に対する第2部材7のZ方向への相対移動量とX方向への相対移動量との和(Z+X)を求める。さらに、第2演算部41Eは、検出信号SXBとその基準信号とから、第1部材6に対する第2部材7のZ方向への相対移動量とX方向への相対移動量との差(Z−X)を求める。そして、第2演算部41Eは、その和と差との差分を平均化することで、第1部材6に対する第2部材7のX方向への相対移動量(X)を求めることができ、その和と差とを平均化することで、第1部材6に対する第2部材7のZ方向への相対移動量(Z)を求めることができる。X方向、Z方向の相対移動量の検出分解能は例えば0.5〜0.1nm程度である。これらのX方向、Z方向の相対移動量の情報は第1演算部41Fに供給される。
【0029】
本実施形態では、最終的に2回目の+1次回折光DX2と参照光RX1との干渉光、及び2回目の+1次回折光EX2と参照光RX2との干渉光を検出しているため、相対移動量の検出分解能(検出精度)を1/2に向上(微細化)できる。また、2回目の回折光を用い、かつ±1次回折光を用いることによって、第1部材6と第2部材7とのθz方向の相対回転角による計測誤差を低減できる。
【0030】
次に、計測演算部42Xは、検出信号SXA,SXBが供給される検波部41A,41Bと、検波部41A,41Bで検出されたヘテロダイン信号中の交流成分(ビート信号又はAC成分)の振幅を表す振幅信号SXAac,SXBacが供給される減算部41C及び加算部41Dとを有する。
この場合、回折光DX2(又はEX2)の周波数をf1、強度をa、対応する参照光RX1(又はRX2)の周波数をf2、強度をbとすると、ヘテロダイン信号の強度Iは次のようになる。なお、tは時間、φは位相である。
【0031】
I=a+b+2(ab)1/2cos{2π(f1−f2)t+φ} …(2A)
この場合、直流成分DC及び交流成分(ビート信号)ACは次のようになる。
AC=2(ab)1/2 …(2B)
DC=a+b …(2C)
【0032】
ここで、例えば回折光DX2が微弱光である場合に、検出できる最小の光量に対応する強度aをLSBとする。また、光電センサ40XA,40XBにはN×LSBの検出レンジがあるとして(Nは例えば1024等の整数)、一例として対応する参照光RX1の強度bをその検出レンジの1/2である、(N/2)×LSBに設定する。このとき、式(2B)の交流成分ACは次のようにLSBの2N1/2になり、回折光DX2が微弱光である場合にその検出感度をに向上できる。
AC=2(ab)1/2=2N1/2×LSB …(2D)
【0033】
例えばN=1024では、感度は64倍に向上できる。このように回折光DX2,EX2と参照光RX1,RX2との干渉光の検出信号の交流成分ACを用いることで、以下の原点検出時に回折光DX2,EX2の強度が低下しても、計測精度を高く維持できる。
また、減算部41Cはその2つの振幅信号SXAac,SXBacの差分である差分信号SXCを求め、加算部41Dはその2つの振幅信号の和である和信号SXDを求める。求められた信号SXC,SXDは第1演算部41Fに供給される。第1演算部41Fでは、一例として、信号SXC,SXDを用いて以下のようにして第1部材6に対する第2部材7のX方向、Z方向の原点(絶対位置の基準点)を求める。
【0034】
図2(B)は、検出ヘッド14Xから回折格子12Xに照射される計測光MX1,MX2の照射位置PXA,PXB及び回折光DX1,EX1の照射位置PXC,PXDを、回折格子12Xに形成された基準パターン13XA,13XBがX方向に相対的に横切る状態を示す。図2(B)において、計測光MX1,MX2(すなわち回折光DX1,EX1)の回折格子12X上でのX方向の直径(ビーム径)をD1、計測光MX1,MX2(回折光DX1,EX1)のX方向の間隔をS1とすると、直径D2は、例えば0.5〜2mm程度であり、間隔S1は直径D1と同じ程度か又は直径D1よりも大きく設定される。また、照射位置PXA,PXBと照射位置PXD,PXCとは、ほぼY方向に間隔S1と同じ程度の間隔でずれている。
【0035】
また、計測光MX1,MX2に対して遮光性(反射率がほぼ0)の基準パターン13XA,13XBのX方向の線幅D2は、一例として直径D1の1/2より小さく設定され、基準パターン13XA,13XBのX方向の間隔S2は、基準パターン13XA,13XBの中心のX方向の間隔と、照射位置PXA,PXBの中心のX方向の間隔とがほぼ等しくなるように設定されている。従って、一例として、次のようになる。
D2<D1/2 …(3)
S2=S1+D1−D2 …(4)
【0036】
また、基準パターン13XA,13XBのY方向の長さは、照射位置PXA,PXDのY方向の幅の2倍程度又はこれよりも広く設定されている。
本実施形態では、計測光MX1,MX2の回折光DX1,EX1はそれぞれコーナキューブ29B,29Aを通過して断面内の光量分布が反転している。すなわち、図2(B)の照射位置PXA,PXB内の例えば外側の点A1,B1を通る光は、コーナキューブ29B,29Aを通過した後、照射位置PXC,PXD内の反対側の外側の点A2,B2を通過する。そのため、例えば図3(B)に示すように、基準パターン13XA,13XBが照射位置PXA,PXCの計測光MX1及び回折光DX1の−X方向の反面側を覆ったときに、基準パターン13XA,13XBの線幅が式(3)よりも大きいと(線幅がビーム径の1/2以上であると)、実質的に回折光DX1の全部が遮光されて回折光DX2の光量が0になってしまう。このため、ビート信号が0になり、X方向及びZ方向の相対移動量の計測ができなくなる。これは計測光MX2に関しても同様である。この状態を避けるために、本実施形態では、式(3)の条件を課している。
【0037】
ここで、図3(A)、(B)、(C)に示すように、計測光MX1〜回折光EX1の照射位置PXA〜PXDを回折格子12Xの基準パターン13XA,13XBが相対的にX方向(計測方向)に横切る場合には、図1(A)の振幅信号の和信号SXDは、回折格子12Xの相対的な位置Xに対して図3(D)に示すように変化する。なお、図3(A)の状態では、基準パターン13XA,13XBは照射位置PXA〜PXDにかかっていないため、和信号SXDは通常の計測時と同じ最大値になる。また、図3(B)に示すように、基準パターン13XA,13XBが照射位置PXA,PXD及びPXB,PXCのほぼ−X方向の半面側にある位置XA1では、和信号SXDは最小値になり、その後、和信号SXDが上昇して降下し、基準パターン13XA,13XBが照射位置PXA,PXD及びPXB,PXCのほぼ+X方向の半面側にある位置XA2で、和信号SXDは再び最小値になる。その後、和信号SXDは最大値になる。また、位置XA1,XA2の両側において、基準パターン13XA,13XBの一方が照射位置PXA,PXD又はPXB,PXCにかかるときに、和信号SXDは最大値の1/2まで低下する。
【0038】
そこで、図1(A)の第1演算部41Fでは、一例として、和信号SXDが最小値となるときの回折格子12XのX方向の相対位置(第2演算部41Eで求められる相対移動量X)の値XA1,XA2を求め、これらの中央の値XABを原点とする。そして、この相対位置が位置XABのときに相対移動量Xを0にリセットすることで、これ以降は値XABが得られたときの相対位置を原点としてX方向の絶対位置を計測できる。
【0039】
なお、値XABを求める方法としては、その他に例えば、1)和信号SXDの最大値の1/2より小さい閾値Sthを和信号SXDが横切るときの2箇所の値を求め、これらの中央の値を求める、又は2)和信号SXDの微分信号の絶対値が最大値dS1,dS2となるときの2箇所の位置を求め、これらの中央の値を求める方法等がある。
次に、回折格子12Xの格子パターン面12Xbは必ずしも完全な平坦面ではなく、Z方向に対する僅かな変化がある。さらに、第1部材6と第2部材7との相対移動のガイド面にも僅かなZ方向の位置の変動があるため、検出ヘッド14Xと回折格子12XとのZ方向の相対位置は、第2部材7のX方向の相対位置によって変動している。また、Zステージ機構(不図示)がある場合には、そのZ方向の相対位置は制御可能でもある。
【0040】
ここで、回折格子12Xの格子パターン面のZ方向の相対位置が変化すると、図4(A)、(B)、(C)に示すように、計測光MX1〜回折光EX1の照射位置PXA〜PXDが回折格子12Xの基準パターン13XA,13XBに対して相対的にX方向に移動する。また、回折格子12XのZ位置が高くなるとき、入射角が反時計回りの角度である計測光MX2及び回折光EX1の照射位置PXB,PXDは基準パターン13XA,13XBから−X方向に移動する。従って、回折格子12XのZ方向の相対位置Zと、図1(A)の検出信号SXA,SXB中の振幅信号SXAac,SXBacとの関係は、図4(D)のようにあるZ位置を中心として対称になる。
【0041】
そこで、振幅信号SXAac,SXBacの差分信号SXCは、一例として図4(E)に示すように、回折格子12Xの相対位置Zに関して所定の範囲ΔZK内でほぼ単調に増加するように変化する。実際には、例えば実測又はシミュレーションによって、範囲ΔZK内で図4(E)の差分信号SXCと相対位置Zとの関係を求めておいてもよい。
なお、計測光MX1の波長λ及び入射角φLIを用いると、X方向で干渉光の位相が360°変化する相対移動量に対するZ位置の変化量は、ほぼ(λ/4)cosφLIとなる。入射角φLIを例えば18°、波長λを0.633μmとすると、そのZ位置の変化量はほぼ150nmとなるため、その所定の範囲ΔZKは150nmよりも広ければよい。
【0042】
図1(A)の第1演算部41Fでは、一例として、上記のX方向の相対位置が位置XAB(原点)となるときの、図4(E)の差分信号SXCの値SXCaに対応する相対的なZ位置ZAB(第2演算部41Eで求められる相対移動量Z)を求め、この値ZABを基準とする。なお、X方向の相対位置が正確に位置XAであると、振幅信号SXAac,SXBacが互いにほぼ同一になる場合があり得るため、X方向の相対位置を、その位置XA(原点)に対して所定間隔(例えば基準パターン13XA,13XBの線幅の1/2〜2倍程度)だけ+X方向又は−X方向にシフトさせてもよい。なお、その値ZABとしては、例えば範囲ΔZK内で差分信号SXCが0になるときのZ位置(例えばシミュレーションによって求められる値)を原点とした値を使用できる。これ以降は、その原点からのZ方向の絶対位置を計測できる。
【0043】
また、別の方法として、その相対位置が位置ZABのときに相対移動量Zを0にリセットしてもよい。これによって、回折格子12XのX方向の相対位置がX方向の原点にあるときのZ方向の相対位置を原点としてZ方向の絶対位置を計測できる。
また、さらに別の方法として、例えば第2部材(検出ヘッド14X)のZ方向の位置がZステージ機構(不図示)によって制御可能であるときには、第1部材6に対して第2部材7のZ位置を変化させて、差分信号SXCが0になるときの相対移動量Zの値(これをZAB*とする。)を求め、その相対移動量Zからその値ZAB*を差し引いてもよい。これによって、これ以降の相対移動量Zは、差分信号SXCが0になるときの位置からの絶対位置になる。
さらに、Z方向の絶対位置を求めるために、図3(D)の和信号SXDを用いて、第1部材6と第2部材7とのX方向の相対位置を固定した状態で、第1部材6と第2部材7とのZ方向の相対位置を変化させて、和信号SXDが最小値になる2つのZ位置、又はその和信号SXDが所定の閾値を横切る2つのZ位置の中心等をZ方向の原点としてもよい。
【0044】
また、本実施形態のY軸のエンコーダは、図1(A)のX軸のエンコーダ10Xとほぼ同じ構成であり、Y軸のエンコーダの回折格子12Y(図5(A)参照)は、回折格子12Xを90°回転した構成であり、Y軸の検出ヘッドは検出ヘッド14Xを90°回転した構成である。ただし、X軸のエンコーダ10XによってZ方向の原点が計測できるため、Y軸のエンコーダでは、図5(A)に示すように、回折格子12Yの格子パターン12Yaが形成された格子パターン面12Ybには、X方向に延びた一つの基準パターン13YAのみを形成しておいてもよい。基準パターン13YAの線幅は、照射位置PYA,PYB,PYC,PYDに照射される計測光MY1,MY2及び回折光DY1,EY1のビーム径よりも小さければよい。この例では、基準パターン13YAが相対的に回折格子12Yの照射位置PYA,PYD等を横切るときの検出信号の和信号からY方向の原点を求めることができる。
【0045】
本実施形態の効果等は以下の通りである。本実施形態のX軸のエンコーダ10Xは、第1部材6と第2部材7とのX方向及びZ方向の相対位置又は相対移動量を計測するエンコーダである。そして、エンコーダ10Xは、第1部材6に設けられ、X方向(第1方向)を周期方向とする格子パターン12Xa及びこの格子パターン12Xa中に形成されてY方向に延びた基準パターン13XA,13XBを有する反射型の回折格子12Xと、第1計測光MX1及び第2計測光MX2に分かれるレーザ光を供給するレーザ光源16と、を有する。
また、エンコーダ10Xは、第2部材7に設けられて、第1計測光MX1を回折格子12Xの格子パターン面12Xbにθy方向(X方向)にリトロー角度φLIで傾斜させて入射させる第1の傾斜ミラー32Xと、第2部材7に設けられて、第2計測光MX2を格子パターン面12XbにX方向に第1計測光MX1の入射角と対称な角度(−φLI)で傾斜させて入射させる第2の傾斜ミラー34Xと、第1計測光MX1の回折格子12Xによる回折光DX2(第1回折光)を受光する光電センサ40XAと、第2計測光MX2の回折格子12Xによる回折光EX2(第2回折光)を受光する光電センサ40XBと、第1計測光MX1及び第2計測光MX2が基準パターン13XAを相対的にX方向に横切るときに得られる光電センサ40XA,40XBの検出信号SXA,SXBから、第1部材6に対する第2部材7の格子パターン面12Xbの法線方向(Z方向)の第1の位置ZAB及びX方向の第2の位置XABを求める第1演算部41F(第1計測部)と、を有する。
【0046】
本実施形態によれば、回折格子12XのZ位置が変化すると、計測光MX1,MX2と基準パターン13XA,13XBとのX方向の相対位置が対称に変化する。そこで、計測光MX1,MX2が基準パターン13XA,13XBをX方向に相対的に横切るときに光電センサ40XA,40XBから得られる検出信号SXA,SXBから、第1部材6に対する第2部材7のZ方向の位置ZAB(第1の位置)及びX方向の位置XAB(第2の位置)を求めることができる。従って、例えば基準パターン13XA,13XBと計測光MX1,MX2の照射位置とが所定の位置関係となる相対位置(原点又は基準点)からの絶対位置として、第2部材7に対する回折格子12Xが設けられた第1部材6の回折格子12Xの周期方向(X方向)、及び格子パターン面12Xbの法線方向(Z方向)の相対位置を容易に計測可能となる。
【0047】
なお、検出信号SXA,SXBから、第1部材6に対する第2部材7のZ方向の位置ZAB(第1の位置)及びX方向の位置XAB(第2の位置)の少なくとも一方を求めるだけでもよい。
また、光電センサ40XA,40XBは回折光DX2,EX2と参照光RX1,RX2との干渉光を受光し、エンコーダ10Xは第2演算部41Eを有し、第2演算部41Eは、光電センサ40XA,40XBの検出信号SXA,SXBから第1部材6と第2部材7とのX方向及びZ方向の相対移動量を求めている。この際に、例えば第1演算部41Fで求められる原点位置(基準位置)でその相対移動量をリセット又はプリセットすることで、X方向及びZ方向の絶対位置を計測できるようになる。
【0048】
なお、検出信号SXAからは、正確にはX方向及びZ方向の相対移動量の和が求められるが、仮に第1部材6と第2部材7とがZ方向にはほとんど静止している場合には、その検出信号SXAからX方向の相対移動量を求めることができる。
また、計測光MX1,MX2を格子パターン面12Xaに向けて反射する傾斜ミラー32X,34Xを設けているため、エンコーダ10Xの光学系のZ方向の高さ(格子パターン面12Xaの法線方向の高さ)を低くできる。従って、エンコーダ10Xの検出ヘッド14Xを第2部材7上にコンパクトに容易に設置できる。
【0049】
さらに、傾斜ミラー32X,34Xから格子パターン面12Xaに向かう計測光MX1,MX2のX方向の入射角を、ほぼ回折格子12Xの+1次回折光のリトロー角φLIに設定しているため、格子パターン面12XaのZ方向の位置(高さ)の変化に対して、回折光DX1,EX1の横シフト量が小さく、干渉光の強度変化が小さいため、常に安定に相対移動量が計測できる。
なお、例えば計測光MX1,MX2の少なくとも一方を格子パターン面12Xbにほぼ垂直に照射して、±1次回折光等と対応する参照光との干渉光を検出するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、傾斜ミラー32X,34Xを用いて計測光MX1及びMX2を回折格子12Xでそれぞれ実質的に2回回折させているため、検出分解能が向上できる。なお、1回目の回折光DX1,EX1と参照光RX1,RX2との干渉光を検出するようにしてもよい。
【0051】
さらに、本実施形態では、第2の計測光MX2によって傾斜ミラー34Xを介して回折格子12Xから発生する−1次回折光EX2と参照光RX2との干渉光を検出している。しかしながら、例えば傾斜ミラー32Xからの2回目の+1次回折光DX2(又は1回目の回折光DX1)と傾斜ミラー34Xからの2回目の−1次回折光EX2(又は1回目の回折光EX1)との干渉光を検出し、この検出信号から第1部材6と第2部材7とのX方向の相対移動量を求めてもよい。
【0052】
なお、上記の実施形態では、計測光MX1の照射位置PXAと計測光MX1の回折光DX1の照射位置PXCとはほぼ長方形の対角線方向にずれており、計測光MX2の照射位置PXBと計測光MX2の回折光EX1の照射位置PXDともほぼ長方形の対角線方向にずれている。このため、X方向及びZ方向の原点を検出するために、回折格子12Xに所定間隔の2本の基準パターン13XA,13XBが形成されている。
【0053】
これに対して、図5(B)に示すように、第1の計測光MX1を回折格子12X上の照射位置PXAに照射し、計測光MX1の+1次回折光DX1を照射位置PXAから+X方向にずれた照射位置PXCに照射し、第2の計測光MX1を回折格子12X上の照射位置PXDに照射し、計測光MX2の−1次回折光EX1を照射位置PXDから−X方向にずれた照射位置PXBに照射する構成を採用してもよい。なお、計測光MX2を照射位置PXBに照射し、−1次回折光EX1を照射位置PXDに照射してもよい。
【0054】
この変形例では、X方向、Z方向の原点を検出するために、回折格子12X上には一つの線幅がビーム径より小さい基準パターン13XAを形成しておくだけでもよい。この変形例の計測演算部の構成は図1(A)の計測演算部42Xの構成と同様であり、上記の実施形態と同様の差分信号及び和信号を用いることで、X方向、Z方向の原点を求めることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図6〜図8を参照して説明する。図6は、本実施形態に係るエンコーダ装置を備えた露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、スキャニングステッパーよりなる走査露光型の投影露光装置である。露光装置EXは、投影光学系PL(投影ユニットPU)を備えており、以下、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面(ほぼ水平面に平行な面)内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取って説明する。
【0056】
露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示される照明系110、及び照明系110からの露光用の照明光(露光光)IL(例えば波長193nmのArFエキシマレーザ光、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波など)により照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRSTを備えている。さらに、露光装置EXは、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持するウエハステージWSTを含むステージ装置195、及び制御系等(図11参照)を備えている。
【0057】
レチクルRはレチクルステージRSTの上面に真空吸着等により保持され、レチクルRのパターン面(下面)には、回路パターンなどが形成されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含む図11のレチクルステージ駆動系111によって、XY平面内で微少駆動可能であると共に、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能である。
【0058】
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡115(又は鏡面加工されたステージ端面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、図11のコンピュータよりなる主制御装置120に送られる。主制御装置120は、その計測値に基づいてレチクルステージ駆動系111を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0059】
図6において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒140と、鏡筒140内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。照明系110からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハ(半導体ウエハ)Wの一つのショット領域の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。
【0060】
また、露光装置EXは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒140の下端部の周囲を取り囲むように、局所液浸装置108の一部を構成するノズルユニット132が設けられている。ノズルユニット132は、露光用の液体Lq(例えば純水)を供給するための供給管131A及び回収管131Bを介して、液体供給装置186及び液体回収装置189(図8参照)に接続されている。なお、液浸タイプの露光装置としない場合には、上記の局所液浸装置108は設けなくともよい。
【0061】
図6において、ウエハステージWSTは、不図示の複数の例えば真空予圧型空気静圧軸受(エアパッド)を介して、ベース盤112のXY面に平行な上面112aに非接触で支持されている。また、ウエハステージWSTは、例えば平面モータ、又は直交する2組のリニアモータを含むステージ駆動系124(図8参照)によってX方向及びY方向に駆動可能である。露光装置EXは、レチクルRのアライメントを行う空間像計測系(不図示)、ウエハWのアライメントを行うアライメント系AL(図8参照)、照射系90a及び受光系90bよりなりウエハWの表面の複数箇所のZ位置を計測する斜入射方式の多点のオートファオーカスセンサ90(図8参照)、及びウエハステージWSTの位置情報を計測するためのエンコーダ装置8Bを備えている。
【0062】
ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に駆動されるステージ本体191と、ステージ本体191上に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体191内に設けられて、ステージ本体191に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に微小駆動するZ・レベリング機構とを備えている。ウエハテーブルWTBの中央の上部には、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。
【0063】
また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハの表面とほぼ同一面となる、液体Lqに対して撥液化処理された表面(又は保護部材)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された高平面度の平板状のプレート体128が設けられている。
【0064】
なお、上述の局所液浸装置108を設けたいわゆる液浸型の露光装置の構成にあっては、さらにプレート体128は、図7のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、その円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の表面に撥液化処理が施されたプレート部(撥液板)128aと、プレート部128aを囲む周辺部128eとを有する。周辺部128eの上面に、プレート部128aをY方向に挟むようにX方向に細長い1対のX軸の第1及び第2の回折格子12X1,12X2が配置され、プレート部128aをX方向に挟むようにY方向に細長い1対のY軸の回折格子12Y1,12Y2が配置されている。X方向を周期方向とする反射型の回折格子12X1,12X2は図1(A)の回折格子12Xと同じ構成であり、Y方向を周期方向とする回折格子12Y1,12Y2は回折格子12Xを90°回転した構成である。回折格子12X1にはX軸の基準パターン13XA,13XBが形成され、回折格子12Y2にはY軸の基準パターン13YAが形成されている。
【0065】
また、図6において、投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に連結部材(不図示)を介してXY面にほぼ平行な平板状の計測フレーム150が支持されている。計測フレーム150の底面に、投影光学系PLをY方向に挟むように、図1(A)のX軸の検出ヘッド14Xと同じ構成の複数の検出ヘッド14Xが固定され、投影光学系PLをX方向に挟むように、検出ヘッド14Xを90°回転した構成の複数のY軸の検出ヘッド14Yが固定されている(図7参照)。また、複数の検出ヘッド14X,14Yにレーザ光(計測光及び参照光)を供給するための複数のレーザ光源(不図示)も備えられている。
【0066】
図7において、投影光学系PLからの照明光でウエハWを露光している期間では、常に複数の検出ヘッド14Xのいずれか2つがX軸の回折格子12X1,12X2に対向し、複数の検出ヘッド14Yのいずれか2つがY軸の回折格子12Y1,12Y2に対向するように構成されている。各検出ヘッド14Xは、回折格子12X1又は12X2に計測光を照射し、回折格子12X1,12X2から発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42X(図8)に供給する。計測演算部42Xでは、図1(A)の計測演算部42Xと同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのX方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めて計測値切り替え部80Xに供給する。その相対位置は、必要に応じて基準パターン13XA,13XBから求められる原点(基準点)からの絶対位置となっている。計測値切り替え部80Xでは、回折格子12X1,12X2に対向している検出ヘッド14Xに対応する計測演算部42Xから供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0067】
また、各検出ヘッド14Yは、回折格子12Y1又は12Y2に計測光を照射し、回折格子12Y1,12Y2から発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42Y(図8)に供給する。計測演算部42Yでは、計測演算部42Xと同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのY方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めて計測値切り替え部80Yに供給する。その相対位置は、必要に応じて基準パターン13YAから求められる原点(基準点)からの絶対位置となっている。計測値切り替え部80Yでは、回折格子12Y1,12Y2に対向している検出ヘッド14Yに対応する計測演算部42Yから供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0068】
複数の検出ヘッド14X、レーザ光源(不図示)、計測演算部42X、及びX軸の回折格子12X1,12X2からX軸のエンコーダ10XBが構成され、複数の検出ヘッド14Y、レーザ光源(不図示)、計測演算部42Y、及びY軸の回折格子12Y1,12Y2からY軸のエンコーダ10YBが構成されている。そして、X軸のエンコーダ10XB、Y軸のエンコーダ10YB、及び計測値切り替え部80X,80Yからエンコーダ装置8Bが構成されている。主制御装置120は、エンコーダ装置8Bから供給される相対位置の情報に基づいて、計測フレーム150(投影光学系PL)に対するウエハステージWSTのX方向、Y方向、Z方向の位置、及びθz方向の回転角等の情報を求め、この情報に基づいてステージ駆動系124を介してウエハステージWSTを駆動する。
【0069】
そして、露光装置EXの露光時には、先ずレチクルR及びウエハWのアライメントが行われる。その後、レチクルRへの照明光ILの照射を開始して、投影光学系PLを介してレチクルRのパターンの一部の像をウエハWの表面の一つのショット領域に投影しつつ、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを投影光学系PLの投影倍率βを速度比としてY方向に同期して移動(同期走査)する走査露光動作によって、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。その後、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、上記の走査露光動作とを繰り返すことによって、液浸法でかつステップ・アンド・スキャン方式でウエハWの全部のショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
【0070】
この際に、検出ヘッド14X,14Yにおいては、計測光及び回折光の光路長はレーザ干渉計に比べて短いため、検出ヘッド14X,14Yを用いた計測値に対する空気揺らぎの影響が非常に小さい。従って、本実施例のエンコーダ装置8Bは、レーザ干渉計と比較して、空気が揺らぐ程度の短い期間における計測安定性(短期安定性)が格段に優れているため、レチクルRのパターン像をウエハWに高精度に転写できる。さらに、検出ヘッド14X,14YはZ方向の高さを低くコンパクトに構成できるため、計測フレーム150の底面等に複数の検出ヘッド14X,14Yを容易に設置できる。
【0071】
なお、本実施形態では、計測フレーム150側に検出ヘッド14X,14Y等を配置し、ウエハステージWST側に回折格子12X1,12Y1等を配置している。この他の構成として、計測フレーム150側に回折格子12X1,12Y1等を配置し、ウエハステージWST側に検出ヘッド14X,14Y等を配置してもよい。
また、上記の実施形態の露光装置EX又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図9に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置(露光方法)によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0072】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施例の露光装置EX(露光方法)を用いてレチクルのパターンの像を基板(ウエハ)に転写し、その基板を現像するリソグラフィ工程と、そのパターンの像が転写されたその基板をそのパターンの像に基づいて加工する工程(ステップ224のエッチング等)とを含んでいる。この際に、上記の実施例によれば、露光装置のウエハステージWSTの位置を高精度に制御できるため、電子デバイスを高精度に製造できる。
【0073】
なお、本発明は、上述の走査露光型の投影露光装置(スキャナ)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ等)にも適用できる。さらに、本発明は、液浸型露光装置以外のドライ露光型の露光装置にも同様に適用することができる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光装置にも適用することができる。
【0074】
また、上記の実施形態のエンコーダ10X等は、露光装置以外の検査装置又は計測装置等の検査又は加工対象の物体用の光学系(観察用光学系又はレーザ光集光用の光学系等)、及びその物体を移動する移動装置(ステージ等)を備えた光学装置において、その移動装置(物体)の例えばその光学系に対する相対移動量を計測するために適用することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
EX…露光装置、R…レチクル、W…ウエハ、MX1,MX2…計測光、RX1,RX2…参照光、10X…X軸のエンコーダ、12X…X軸の回折格子、13XA,13XB…基準パターン、14X…X軸の検出ヘッド、16…レーザ光源、28…PBS(偏光ビームスプリッタ)、29A,29B…コーナキューブ、30A,30B…1/4波長板、32X…第1計測光用の傾斜ミラー、34X…第2計測光用の傾斜ミラー、40XA,40XB…光電センサ、41E…第2演算部、41F…第1演算部、42X…計測演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動する第2部材の相対位置を計測するエンコーダ装置であって、
前記第1部材及び前記第2部材の一方の部材に設けられ、前記第1方向を周期方向とする格子パターン及び前記格子パターン中に形成されて前記第1方向に直交する第2方向に延びた第1の基準パターンを有する反射型の回折格子と、
第1計測光及び第2計測光を供給する光源部と、
前記第1部材及び前記第2部材の他方の部材に設けられ、前記第1計測光を前記回折格子の格子パターン面に前記第1方向に傾斜させて入射させる第1反射部材と、
前記他方の部材に設けられ、前記第2計測光を前記格子パターン面に前記第1方向に前記第1計測光の入射角とは異なる角度で傾斜させて入射させる第2反射部材と、
前記第1計測光の前記回折格子による第1回折光を受光する第1光電検出器と、
前記第2計測光の前記回折格子による第2回折光を受光する第2光電検出器と、
前記第1計測光及び前記第2計測光が前記第1の基準パターンを相対的に横切るときに得られる前記第1及び第2光電検出器の検出信号から、前記第1部材に対する前記第2部材の前記格子パターン面の法線方向の第1の位置及び前記第1方向の第2の位置の少なくとも一方を求める第1計測部と、
を備えることを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項2】
前記第1計測光の前記回折格子に対する第1の照射位置と、前記第2計測光又はこの第2計測光の回折光の前記回折格子に対する第2の照射位置とは前記第2方向にずれており、
前記第1計測部は、前記第1及び第2光電検出器の検出信号の差分から、前記第1部材に対する前記第2部材の前記第1の位置を求めることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記第1計測光の前記回折格子に対する第1の照射位置と、前記第2計測光又はこの第2計測光の回折光の前記回折格子に対する第2の照射位置とは、前記第2方向にずれており、
前記第1計測部は、前記第1及び第2光電検出器の検出信号の和から、前記第1部材に対する前記第2部材の前記第2の位置を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記第1光電検出器は、前記第1計測光による前記第1回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を受光し、
前記第2光電検出器は、前記第2計測光による前記第2回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を受光し、
前記第1及び第2光電検出器の検出信号を用いて前記第2部材の相対移動量を求める第2計測部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記第2計測部は、前記第1及び第2光電検出器の検出信号を用いて前記第2部材の前記第1方向の相対移動量及び前記格子パターン面の法線方向の相対移動量を求めることを特徴とする請求項4に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記第1計測光の前記回折格子による前記第1回折光は、前記第1計測光を前記回折格子に照射して得られる1回目の回折光をさらに前記回折格子に照射して得られる2回目の回折光であり、
前記第2計測光の前記回折格子による前記第2回折光は、前記第2計測光を前記回折格子に照射して得られる1回目の回折光をさらに前記回折格子に照射して得られる2回目の回折光であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記第1計測光の前記回折格子に対する第1の照射位置と、前記第2計測光の前記回折光からの1回目の回折光の前記回折格子に対する第2の照射位置とは、前記第2方向にずれており、
前記第1計測光の前記回折格子からの1回目の回折光の前記回折格子に対する第3の照射位置と、前記第2計測光の前記回折格子に対する第4の照射位置とは、前記第2方向にずれており、
前記回折格子の前記格子パターン中に前記第1の基準パターンに対して前記第1方向に前記第1計測光及び前記第2計測光の照射位置と同じ間隔で第2の基準パターンが形成され、
前記第1及び第2の基準パターンの前記第1方向の線幅は、前記第1計測光及び前記第2計測光のビーム径の1/2より小さいことを特徴とする請求項6に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
対象物用の光学系と、を備えることを特徴とする光学装置。
【請求項9】
パターンを被露光体に露光する露光装置であって、
フレームと、
前記被露光体を支持するとともに前記フレームに対して少なくとも前記第1方向に相対移動可能なステージと、
前記第1方向への前記ステージの相対位置を計測するための請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項10】
リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程で、請求項9に記載の露光装置を用いて物体を露光することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−102099(P2013−102099A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245999(P2011−245999)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】