説明

エンジンのシール構造

【課題】エンジンのシール性についての信頼性を高め、且つエンジンのメンテナンス性を向上できること。
【解決手段】複数のシリンダヘッド16とヘッドカバー17とが交差するそれぞれの接合面16A、17Aに対して、これらのシリンダヘッド16及びヘッドカバー17に接合する左側サイドカバー30の接合面30Aが交差する3面交差部Xを有し、シリンダヘッド16の接合面16Aとヘッドカバー17の接合面17Aとの間に介在され弾性材料からなるガスケット36と、シリンダヘッド16のシリンダヘッド延設部32及びヘッドカバー17のヘッドカバー延設部33と左側サイドカバー30の接合面30Aとの間に介在され弾性材料からなるシールモールディング41とを備え、ガスケット36のガスケット延設部36Bとシールモールディング41とが突き合されて構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンケースの内部の流体を密封するエンジンのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
V型エンジンにおける前後に配置されたシリンダヘッド間のスペースにエアボックスの下部が設けられた自動二輪車では、エアボックスの下部は、シリンダヘッドとヘッドカバーとエアボックスのサイドカバーとにより囲まれて構成されている。
【0003】
これらの各部品の接合面が交差する3面交差部は、各部品の加工精度や組付け精度によって組付け時に各部品間に段差が生じたり、熱による膨張・収縮や組付け時または運転時に生じた応力によって各部品が変形することがある。これらの各部品間の段差または変形によって各部品間に隙間が生じ、エアボックス内の空気などが漏出して、導入空気を効率良くエンジンに吸い込ませることができない場合がある。
【0004】
エンジンの他の箇所においても3面交差部は存在し、この3面交差部ではエンジンオイルや冷却水などが漏出する課題がある。
【0005】
これに対し、特許文献1には、フロントカバーのシール溝に連通する受け溝に、シリンダヘッドガスケットの突出端部を挿入し、シール溝及び受け溝に塗布された液状シール部材(液状ガスケット)を用いて隙間を充填し、これによりシリンダヘッド、シリンダブロック及びフロントカバーの3面交差部(3面合せ部)をシールするシール構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−336907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載のシール構造で用いられる液状シール部材は、塗布面(接合面)の油分や水分、ゴミなどの影響を受けやすく、しかも硬化に時間を要する。
【0008】
液状シール部材の硬化が不完全であると、車両運転中の振動やフロントカバー内の圧力変動などによってシールが途切れたり、破断したシール部材の破片がエンジンオイルや冷却水に混入して、エンジンに不具合を及ぼす恐れがある。
【0009】
また、液状シール部材が完全に硬化した場合でも、シリンダヘッド、シリンダブロック、フロントカバーの相互の接合面が大きく相対変位した場合には、その変位に液状シール部材が追従できず、接合面間のシールが不完全になる恐れがある。
【0010】
更に、エンジンのメンテナンス時には、硬化した液状シール部材を除去する必要があるが、この除去が困難であり、しかも、除去したシール部材の破片がエンジンオイルや冷却水に混入する恐れがある。
【0011】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、エンジンのシール性についての信頼性を高め、且つエンジンのメンテナンス性を向上できるエンジンのシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数のエンジンケースが互いに接合されて、前記エンジンの内部の流体を密封するエンジンのシール構造において、第1エンジンケースと第2エンジンケースとが接合するこれら両エンジンケースのそれぞれの接合面に対して、前記第1エンジンケース及び前記第2エンジンケースに接合する第3エンジンケースの接合面が交差する3面交差部を有し、前記第1エンジンケースの前記接合面と前記第2エンジンケースの前記接合面との間に介在され弾性材料からなるメインシール部材と、前記第3エンジンケースの前記接合面と前記第1エンジンケース及び前記第2エンジンケースとの間に介在され弾性材料からなるサブシール部材とを備え、前記メインシール部材と前記サブシール部材とが突き合されて構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メインシール部材及びサブシール部材は弾性材料にて構成されたので、液状のシール部材と異なり、第1エンジンケース、第2エンジンケース、第3エンジンケースの各接合面の状態に影響を受けることがない。更に、メインシール部材がサブシール部材に突き合されて構成されたので、第1エンジンケース、第2エンジンケース、第3エンジンケースの各接合面が大きく相対変位した場合にも、これらの接合面のシール性を損なうことがない。これらの結果、第1、第2、第3の各エンジンケースのそれぞれの接合面が交差する3面交差部においても、エンジンのシール性についての信頼性を高めることができる。
【0014】
また、第1エンジンケース、第2エンジンケース、第3エンジンケースを取り外すことで、メインシール部材及びサブシール部材の脱着を容易に実施できるので、エンジンのメンテナンス性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るエンジンのシール構造における一実施の形態が適用されたエンジン及びエアボックスを示す左側面図。
【図2】図1のエアボックスにおけるサイドカバーの内側を示す斜視図。
【図3】図2の3面交差部Xを拡大して示す斜視図。
【図4】図1のシリンダヘッドをガスケットと共に示す平面図。
【図5】図4のガスケットを示す平面図。
【図6】図1のヘッドカバーを示す裏面図。
【図7】図1の左側サイドカバーを示す背面図。
【図8】左側サイドカバーを外して示す図2のVIII矢視斜視図。
【図9】図2のヘッドカバーを外し、ガスケットの突出端部とシールモールディングとの突き合せ状態を示す斜視図。
【図10】図3のX−X線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係るエンジンのシール構造における一実施の形態が適用されたエンジン及びエアボックスを示す左側面図である。図2は、図1のエアボックスにおけるサイドカバーの内側を示す斜視図である。尚、本実施の形態において、上下、左右、前後の表現は、車両乗車時の運転者を基準にしたものである。
【0018】
図1に示すエンジン10は、自動二輪車の図示しない車体フレームに懸架されたV型エンジン(本実施の形態ではV型4気筒エンジン)であり、クランクケース11の前後に前側シリンダアッセンブリ12F、後側シリンダアッセンブリ12RがV型に配置されて構成される。具体的には、アッパケース(シリンダブロック)13におけるクランクケース上半体14の上部にシリンダ15、18が前後して一体に設けられ、シリンダ15にシリンダヘッド16、ヘッドカバー17が順次結合されて前側シリンダアッセンブリ12Fが構成され、シリンダ18にシリンダヘッド19、ヘッドカバー20が順次結合されて後側シリンダアッセンブリ12Rが構成され、アッパケース13のクランクケース上半体14の下面に、クランクケース下半体であるロアケース21が結合されてクランクケース11が構成される。
【0019】
アッパケース13のシリンダ15、18内で図示しないピストンが昇降し、このピストンに連結されたクランクシャフト22がクランクケース11に回転自在に支承され、シリンダヘッド16及びヘッドカバー17内と、シリンダヘッド19及びヘッドカバー20内に動弁装置(不図示)が配置されてエンジン10が構成される。
【0020】
このように構成されたエンジン10の前側シリンダアッセンブリ12Fと後側シリンダアッセンブリ12Rとの間のスペースを含むエンジン10の上方に、エアボックス23が配置されている。このエアボックス23は、エアボックスボディ24の上部にエアボックスカバー25が装着され、エアボックスボディ24の下部にサイドカバー26が設置されてなり、エアボックスボディ24にエアダクト27が接続される。また、エアボックス23内には燃料噴射装置(不図示)などの燃料供給装置が配設される。
【0021】
車両走行時の走行風(外気)がエアダクト27からエアボックス23内に導入され、この外気(空気)は、エアボックス23内で燃料供給装置からの燃料と混合されて、エンジン10におけるシリンダヘッド16、19の吸気ポート28(図2)へ供給される。また、エンジン10からの排気ガスは、シリンダヘッド16、19の排気ポート29(図1)から、図示しないエキゾーストパイプなどを経て排出される。
【0022】
さて、エアボックス23の上部は、エアボックスボディ24及びエアボックスカバー25を有して構成されるが、エアボックス23の下部は、図1及び図2に示すように、前側シリンダアッセンブリ22Fのシリンダヘッド16及びヘッドカバー17と後側シリンダアッセンブリ22Rのシリンダヘッド19及びヘッドカバー20との間にサイドカバー26が配置されて、このサイドカバー26(左側サイドカバー30及び右側サイドカバー31)と、シリンダヘッド16及び19と、ヘッドカバー17及び20とが接合されて構成される。
【0023】
このエアボックス23を構成する各部材の接合面にはシール部材が介在されて、エアボックス23内の流体(混合気や空気など)が外部へ漏出しないように、またシリンダヘッド16及びヘッドカバー17内、シリンダヘッド19及びヘッドカバー20内の流体(エンジンオイルなど)がエアボックス23内へ漏出しないよう密封して構成されている。
【0024】
このうち、第1エンジンケースとしてのシリンダヘッド16及び19と、第2エンジンケースとしてのヘッドカバー17及び20と、第3エンジンケースとしての左側サイドカバー30とのシール構造について、以下に説明する。
【0025】
互いに接合するシリンダヘッド16の接合面16Aとヘッドカバー17の接合面17Aに対して、これらのシリンダヘッド16及びヘッドカバー17に接合する左側サイドカバー30の接合面30Aが交差して、3面交差部Xが形成される。同様に、互いに接合するシリンダヘッド19の接合面19Aとヘッドカバー20の接合面20Aに対して、これらのシリンダヘッド19及びヘッドカバー20に接合する左側サイドカバー30の接合面30が交差して、3面交差部Yが形成される。
【0026】
つまり、図3にも示す3面交差部Xは、図4及び図6に示すように、シリンダヘッド16、ヘッドカバー17が左側サイドカバー30の接合面30A側へ延設され、これらのシリンダヘッド16のシリンダヘッド延設部32の接合面16Aとヘッドカバー17のヘッドカバー延設部33の接合面17Aとが接合されると共に、シリンダヘッド延設部32の接合面16Aに直交する合せ面32Aと、ヘッドカバー延設部33の接合面17Aに直交する合せ面33Aとが左側サイドカバー30の接合面30Aに接合されることで構成される。
【0027】
同様に、3面交差部Yは、図2に示すように、シリンダヘッド19、ヘッドカバー20が左側サイドカバー30の接合面30A側に延設され、これらのシリンダヘッド19のシリンダヘッド延設部34の接合面19Aとヘッドカバー20のヘッドカバー延設部35の接合面20Aとが接合されると共に、シリンダヘッド延設部34の接合面19Aに直交する合せ面34Aと、ヘッドカバー延設部35の接合面20Aに直交する合せ面35Aとが左側サイドカバー30の接合面30Aに接合されることで構成される。
【0028】
これらの3面交差部X及びYは同様であるため、3面交差部Xのシール構造について、図3〜図10を用いて詳説する。
【0029】
図4に示すシリンダヘッド16の接合面16Aと、図6に示すヘッドカバー17の接合面17Aとの間に、図4及び図5に示すメインシール部材としてのガスケット36が介在される。このガスケット36は、シリンダヘッド16の接合面16A及びヘッドカバー17の接合面17Aの形状に対応してリング形状に形成されるガスケット本体36Aと、シリンダヘッド延設部32及びヘッドカバー延設部33の形状に対応して略直線状に形成されるガスケット延設部36Bとを一体に有する。これらのガスケット本体36A及びガスケット延設部36Bからなるガスケット36は、図8及び図9に示すように、断面が逆T字の凸形状に設けられ、このガスケット36の凸部38が、ヘッドカバー17の接合面17Aに形成されたシール溝39(図6)に嵌入される。
【0030】
従って、シリンダヘッド16(シリンダヘッド延設部32を除く)の接合面16Aと、ヘッドカバー17(ヘッドカバー延設部33を除く)の接合面17Aとの間にガスケット36のガスケット本体36Aが介在されると共に、シリンダヘッド延設部32の接合面16Aとヘッドカバー延設部33の接合面17Aとの間にガスケット36のガスケット延設部36Bが、途中で断絶されることなく連続して介在されて、シリンダヘッド16(シリンダヘッド延設部32を含む)とヘッドカバー17(ヘッドカバー延設部33を含む)とが密封して構成される。
【0031】
また、図7に示すように、左側サイドカバー30の接合面30Aにシール溝40が形成され、このシール溝40にサブシール部材としてのシールモールディング41が、図3及び図9に示すように挿入される。このシールモールディング41は、左側サイドカバー30の接合面30Aと、シリンダヘッド延設部32の合せ面32A、ヘッドカバー延設部33の合せ面33A、シリンダヘッド延設部34の合せ面34A、ヘッドカバー延設部35の合せ面35A及びアッパケース13の接合面(不図示)との間に介在されて、これらの部材間を密封する。
【0032】
ガスケット36とシールモールディング41は、いずれか一方の硬度が他方の硬度よりも大きく構成されている。本実施の形態では、ガスケット36は例えばアクリルゴムなどの弾性材料にて構成され、シールモールディング41はスポンジなどの弾性材料にて構成され、ガスケット36の硬度がシールモールディング41の硬度よりも大きく構成されている。
【0033】
更に、ガスケット36のガスケット延設部36Bは、シリンダヘッド延設部32とヘッドカバー延設部33との間に介在された状態で、図8に示すように、シリンダヘッド延設部32の合せ面32A及びヘッドカバー延設部33の合せ面33Aから左側サイドカバー30の接合面30A側へ突出して設けられて、突出端部42を形成する。左側サイドカバー30をシリンダヘッド16、19及びヘッドカバー17、20に装着したときには、シリンダヘッド延設部32とヘッドカバー延設部33との間に介在されたガスケット36のガスケット延設部36Bにおける突出端部42が、図9に示すように、左側サイドカバー30のシール溝40内のシールモールディング41に押圧状態で突き合される。
【0034】
このとき、ガスケット36のガスケット延設部36Bにおける突出端部42の凸部38の幅W(図5)が、左側サイドカバー30の接合面30Aにおけるシール溝40の溝幅M以下の寸法に設定され、且つ前述の如くガスケット36の硬度がシールモールディング41の硬度よりも大きく構成されているので、ガスケット延設部36Bの突出端部42がシールモールディング41に押圧状態で突き合されたとき、この突出端部42の凸部38は、図10に示すようにシールモールディング41に埋設した状態になる。このようにして、3面交差部Xのシール構造が構成される。
【0035】
なお、ガスケット36の凸部38の幅Wは、図5に示すように、突出端部42の凸部38に限らず、ガスケット本体36A及びガスケット延設部36Bの凸部38のおいても同一寸法である。
【0036】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(5)を奏する。
【0037】
(1)図2に示すように、シリンダヘッド16の接合面16Aとヘッドカバー17の接合面17A間に介在されるガスケット36と、シリンダヘッド16のシリンダヘッド延設部32の合せ面32A及びヘッドカバー17のヘッドカバー延設部33の合せ面33Aと左側サイドカバー30の接合面30A間に介在されるシールモールディング41(図3)とは、共に弾性材料にて構成されている。このため、ガスケット36及びシールモールディング41は、液状のシール部材と異なり、シリンダヘッド16の接合面16A及び合せ面32A、ヘッドカバー17の接合面17A及び合せ面33A、左側サイドカバー30の接合面30Aの状態(例えば油分、水分、ゴミの有無など)に影響を受けることがない。
【0038】
更に、図8及び図9に示すように、ガスケット36のガスケット延設部36Bにおける突出端部42が、左側サイドカバー30の接合面30Aにおけるシール溝40内のシールモールディング41に押圧状態で突き合されて構成されている。このため、シリンダヘッド16の接合面16A及び合せ面32A、ヘッドカバー17の接合面17A及び合せ面33A、左側サイドカバー30の接合面30Aが大きく相対変位した場合にも、これらの接合面、合せ面のシール性を損なうことがない。
【0039】
これらの結果、図3に示すように、シリンダヘッド16の接合面16A及び合せ面32A、ヘッドカバー17の接合面17A及び合せ面33A、左側サイドカバー30の接合面30Aが交差する3面交差部Xにおいても、エンジン10のシール性についての信頼性を高めることができる。
【0040】
(2)シリンダヘッド16、ヘッドカバー17、左側サイドカバー30を取り外すことで、ガスケット36及びシールモールディング41の着脱を容易に実施できるので、硬化した液状シール部材の離脱が困難な場合に比較して、エンジン10のメンテナンス性を向上できる。
【0041】
(3)図3及び図9に示すように、シリンダヘッド16とヘッドカバー17間に介在されるガスケット36と、左側サイドカバー30とシリンダヘッド16及びヘッドカバー17との間に介在されるシールモールディング41とが共に弾性材料からなり、剛性が低いので、ガスケット36のガスケット延設部36Bの突出端部42をシールモールディング41に押圧した状態で突き合せる場合にも、シリンダヘッド16、ヘッドカバー17及び左側サイドカバー30の組付け時の締め付けを阻害することがない。
【0042】
(4)シリンダヘッド16とヘッドカバー17間に介在されるガスケット36の凸部38の幅Wが、左側サイドカバー30の接合面30Aにおけるシール溝40の溝幅M以下の寸法に設定され、且つガスケット36の硬度が、シール溝40に挿入されるシールモールディング41の硬度よりも大きく構成されている。このため、ガスケット16、シリンダヘッド17及び左側サイドカバー30を組付けた状態で、ガスケット36のガスケット延設部36Bにおける突出端部42をシールモールディング41に埋設した状態で突き合せることができるので、3面交差部Xのシール性をより一層向上させることができる。
【0043】
(5)シリンダヘッド16のシリンダヘッド延設部32の接合面16Aと、ヘッドカバー17のヘッドカバー延設部33の接合面17Aとの間に、ガスケット36のガスケット延設部36Bが、途中で断絶されることなく連続して介在されたので、これらのシリンダヘッド延設部32とヘッドカバー延設部33間のシール性を向上させることができる。
【0044】
尚、上述の効果(1)〜(5)は、前側シリンダアッセンブリ12Fのシリンダヘッド16及びヘッドカバー17と左側サイドカバー30との3面交差部Xを含む接合面、合せ面のシールについての効果であるが、後側シリンダアッセンブリ12Rのシリンダヘッド19及びヘッドカバー20と左側サイドカバー30との3面交差部Yを含む接合面、合せ面のシールについても、同様な効果を奏する。
【0045】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アッパケース(シリンダブロック)13と、シリンダヘッド16、19と、これらの側部に配置されてカムチェーン室を形成するチェーンケースとの各接合面にも3面交差部が形成されるが、このような他の3面交差部に対しても本発明を適用して、エンジンオイルや冷却水などの漏出を防止してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 エンジン
16 シリンダヘッド(第1エンジンケース)
16A 接合面
17 ヘッドカバー(第2エンジンケース)
17A 接合面
23 エアボックス
26 サイドカバー
30 左側サイドカバー(第3エンジンケース)
30A 接合面
32 シリンダヘッド延設部
32A 合せ面
33 ヘッドカバー延設部
33A 合せ面
36 ガスケット(メインシール部材)
36B ガスケット延設部
38 凸部
40 シール溝
41 シールモールディング(サブシール部材)
X、Y 3面交差部
W 幅
M 溝幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエンジンケースが互いに接合されて、前記エンジンの内部の流体を密封するエンジンのシール構造において、
第1エンジンケースと第2エンジンケースとが接合するこれら両エンジンケースのそれぞれの接合面に対して、前記第1エンジンケース及び前記第2エンジンケースに接合する第3エンジンケースの接合面が交差する3面交差部を有し、
前記第1エンジンケースの前記接合面と前記第2エンジンケースの前記接合面との間に介在され弾性材料からなるメインシール部材と、
前記第3エンジンケースの前記接合面と前記第1エンジンケース及び前記第2エンジンケースとの間に介在され弾性材料からなるサブシール部材とを備え、
前記メインシール部材と前記サブシール部材とが突き合されて構成されたことを特徴とするエンジンのシール構造。
【請求項2】
前記メインシール部材と前記サブシール部材は、いずれか一方の硬度が他方の硬度よりも大きく構成されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシール構造。
【請求項3】
前記メインシール部材は、第3エンジンケースの接合面側へ突出して設けられ、このメインシール部材の突出端部が、サブシール部材に押圧状態で突き合されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシール構造。
【請求項4】
前記メインシール部材が第3エンジンケースの接合面側へ突出する突出端部の断面が凸形状に構成され、この突出端部の凸部の幅は、前記第3エンジンケースの前記接合面に形成され且つサブシール部材を収納するシール溝の幅以下の寸法に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシール構造。
【請求項5】
前記第1エンジンケースはV型エンジンのシリンダヘッドであり、前記第2エンジンケースは、前記シリンダヘッドに載置されるヘッドカバーであり、前記第3エンジンケースは、一対の前記シリンダヘッド間に配置されたエアボックスのサイドカバーであることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシール構造。
【請求項6】
前記シリンダヘッドと前記ヘッドカバーはサイドカバーの接合面側へ延設され、これらの前記シリンダヘッドの延設部と前記ヘッドカバーの延設部との間に、メインシール部材の一部が連続して介在されたことを特徴とする請求項5に記載のエンジンのシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−17722(P2012−17722A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156994(P2010−156994)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】