エンジンの作動に関する改良

本発明は、エンジンの作動方法、特に、予め規定された圧力に対し家庭用熱電併給ユニットのスターリングエンジン内の作動ガスの圧力を決定する方法に関する。本発明は、ガスの予め規定された圧力に対しエンジン内のガスの圧力を決定する方法であって、エンジンによって発電された電気の力率を測定するステップと、測定された力率と、予め規定された圧力で作動するときにエンジンによって発電された電気の力率に対応するように決定された力率と、を比較するステップと、測定された力率が決定された力率未満であるかどうかを決定するステップと、を含む方法を提供する。測定された力率の変化は、エンジンの故障を示すためにも使用可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの作動方法、特に、限定されないが、予め規定された圧力に対しエンジン内の作動ガスの圧力を決定する方法に関する。本発明は、家庭用熱電併給ユニットに使用可能なスターリングエンジンに使用するための特定の用途に適しているが、本発明は他の多くの分野における用途を有する。
【背景技術】
【0002】
周知のスターリングエンジンを含む多くの種類のエンジンは、それらの作動ガスの安定的な充填処理を含む。時間の経過につれ、このガスが漏れ、不正確なエンジンの作動をもたらす可能性がある。エンジンの不正確な作動が生じる程度に圧力が十分に低くなる前にエンジンを停止できるように、この漏れを検出する何らかの手段が望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、作動ガスの圧力を直接測定するために圧力センサを使用する。このような圧力センサは、エンジンの設計に組み込むには高価な追加の構成要素である。さらに、圧力センサの接続は、漏れ量を増加させる追加の漏れ通路を生じさせる危険を招き、これによって、圧力センサが軽減しようと意図する問題が悪化する。代わりに、サービスエンジニアが訪問中に圧力を測定できるように、圧力タップをエンジンに加えることができる。それほど高価でないが、このことは、訪問と訪問の間の期間におけるエンジンに保護を提供せず、かつ漏れのより大きな可能性を生じる別の接続箇所をなお導入する点で主な不都合を蒙る。
【0004】
別の問題は、エンジンの大部分の予期された漏れ量が容認可能なレベルにあり、従って、エンジンが漏れによって故障しないように、エンジンの設計を行わなければならないことである。しかし、あるエンジンの漏れ量は、劣った溶接のような製造欠陥のため大きくなる可能性がある。この結果、少数の欠陥ユニットを識別するため、すべてのエンジンの圧力を監視するために専用の圧力測定装置を含む必要性は、不相応な費用負担をもたらすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる背景に対し、第1の側面から、本発明は、ガスの予め規定された圧力に対しエンジン内のガスの圧力を決定する方法であって、(a)エンジンによって発電された電気の力率を測定するステップと、(b)測定された力率と、予め規定された圧力で作動するときにエンジンによって発電された電気の力率に対応するように決定された力率と、を比較するステップと、(c)測定された力率が決定された力率未満であるかどうかを決定するステップと、を含む方法にある。
【0006】
「力率」という用語は、関連技術で十分に理解されているが、この用語に精通していない人々に、次のことが説明によって提供される。皮相電力は、電流と電圧とを乗算することによって計算される交流(AC)の測定値である。直流(DC)回路、又はそのインピーダンスが純粋な抵抗であるAC回路では、電圧及び電流は同相であり、式P=EIが成立し、ここで、Pは電力(ワット)であり、Eは電圧(ボルト)であり、Iは電流(アンペア)である。
【0007】
しかし、そのインピーダンスがリアクタンス並びに抵抗から成るAC回路では、電圧と電流との位相差がある。この位相変位により、システム電力、すなわち力率を決定する場合に、追加の要素の導入が考慮される。
【0008】
AC回路のインピーダンスが純粋な抵抗である場合、電圧と電流との位相差(θ)はゼロであり、皮相電力は真の電力(負荷に供給され、それによって消費される実際の電力)と同じである。力率は、皮相電力と真の電力との比率であると規定され、それらは、力率が1であるように純粋に抵抗性のAC回路では等しい。しかし、リアクタンスが存在する場合、電流と電圧との位相差により、皮相電力は実際の電力よりも大きくなる。この場合、真の電力はP=EIcosθによって決定され、ここで、cosθは力率を表す。
【0009】
力率は、当該エンジンの正規制御の部分として好都合に監視されるエンジンの本質的な特性である。この値の使用は、追加のセンサを必要としないエンジン圧力の確実な指標であり、従って、ほとんど追加のコストなしに実施することができることが確認されている。さらに、専用の圧力センサの取り付けの必要性を回避することにより、追加の漏れ通路の導入も回避される。
【0010】
本発明はまた、作動ガスを含むエンジンを作動する方法であって、(a)回転時にエンジンによって発電された電気の力率を繰り返し測定するステップと、(b)エンジン内の作動ガスが予め規定された圧力にあるように、測定された力率を作動時にエンジンによって発電された電気の力率に対応するように決定された予め規定された力率に対し比較するステップと、(c)測定された力率が決定された力率未満であるときに、アラームを生成するステップと、を含む方法に及ぶ。
【0011】
アラームは、エンジンに対し注意が必要である、おそらくは修理を必要とする、あるいはおそらくはエンジンを停止すべきであるという事実について、ユーザに警告することが可能である。この方法は、例えば家庭用熱電併給ユニットに取り付けられたスターリングエンジンを作動するときに使用可能である。
【0012】
選択的に、エンジンは電気格子に接続可能であり、方法のステップ(b)は、エンジンが電気格子から分離されたときに測定された力率を比較するステップを含む。
【0013】
格子上の局所的な力率値は、供給の負荷変化のため変化することがある。力率における変化は、エンジンの力率の絶対値の獲得が問題であり得ることを意味する。これらの問題を回避するため、エンジンが格子に接続されていないときの始動ルーチンの間に、エンジン力率が監視されることが提案される。
【0014】
好ましくは、ステップ(b)は、測定された力率と、1対の決定された力率と、を比較するステップを含み、ステップ(c)は、測定された力率が決定された力率の高い方の力率未満であることが判明した場合に、アラームを生成し、測定された力率が決定された力率の低い方の力率未満であることが判明した場合に、エンジンを停止するステップを含む。このような構成は、エンジンの作動が悪化しつつあり、最終的にエンジンの停止をもたらすかもしれないという事実に注意を向けることを可能にする。従って、差し迫ったエンジン停止について事前の警告が与えられる。
【0015】
好ましくは、力率は、経験的に決定されるが、他の方法を使用してもよい。
【0016】
ある期間にわたって繰り返し力率を測定することによって提供される情報は、値にわたる変化を求めることによって、診断に使用してもよい。従って、第2の側面から、本発明は、作動ガスを含むエンジンを作動する方法であって、(a)回転時にエンジンによって発電された電気の力率を繰り返し測定するステップと、(b)測定された力率を記憶するステップと、(c)記憶された力率の少なくともいくつかを分析して力率にわたる任意の変化を識別するステップと、(d)容認可能な限度を超える変化が識別されたときにアラームを生成するステップと、を含む方法にある。
【0017】
力率値は、所望のように、連続的に、周期的に又は時折測定可能である。力率は、その後の検索及び分析のために、メモリ等に記憶してもよい。所望のように、記憶された力率を分析してもよい。例えば、新しい力率が測定される毎に、記憶された力率を分析してもよく、あるいは所定の間隔で分析してもよい。変化は、任意の数の標準的な数学技法によって決定することが可能である。一般に、いずれの技法が選択されるとしても、容認可能な限度を表す閾値に対し比較し得る偏差測定が行われる。偏差が容認可能な限界を超えた場合、エンジンに故障があるという事実に注意を向けるように、アラームを生成してもよい。選択的に、容認可能な限度を超えた場合、エンジンを停止することが可能である。
【0018】
より複雑な実施形態によれば、緩やかな変化と急激な変化との間の区別が行われる。この場合、緩やかな変化が識別されたときにアラームを提供してもよく、また急激な変化が識別されたときに、エンジンの停止と共にアラームを提供してもよい。様々な方法を用いて、緩やかな変化と急激な変化との間の区別を行ってもよい。例えば、急激な変化は、記憶された力率と直前の力率又は直前の力率の平均とを比較することだけで識別可能である。連続する多くの力率の傾向を調べることによって、緩やかな変化を識別してもよい。例えば、力率値が、前述の緩やかな変化に従って得られた値を超えた場合、任意の緩やかな変化に対して、急激な変化を測定してもよい。当然、緩やかな変化及び急激な変化について、容認可能な限度を別個に設定することが可能である。
【0019】
第3の側面から、本発明は、エンジンユニットであって、作動ガスを含むエンジンと、エンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を生成するように作動可能な電力モニタと、力率信号を受信するように構成された制御手段と、アラームと、を備え、制御手段は、エンジンの力率が、予め規定された圧力の作動ガスで回転するエンジンによって発電された電気の力率に対応する所定の力率未満であるかどうかを決定するために、力率信号を使用するように、かつ、力率が所定の力率未満であると決定された場合にアラームを作動するように、作動可能である、エンジンユニットにある。
【0020】
第4の側面から、本発明は、エンジンユニットであって、作動ガスを含むエンジンと、エンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を生成するように作動可能な電力モニタと、力率信号を受信するように構成された制御手段と、アラームと、を備え、制御手段は、測定された力率を記憶するように、記憶された力率の少なくともいくつかを分析して力率にわたる任意の変化を識別するように、かつ、容認可能な限度を超える変化が識別されたときにアラームを生成するように、作動可能である、エンジンユニットにある。
【0021】
第3又は第4の側面による本発明の制御手段は、ハードウェア又はソフトウェア形態で具体化可能である。例えば、制御手段は、比較器として作動する電子回路を備えてもよく、あるいは制御手段は、適切にプログラミングされたコンピュータプロセッサでもよい。
【0022】
別の側面によれば、本発明は、次のステップ、すなわち、作動ガスを含むエンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を電力モニタから受信するステップと、力率信号を使用して、エンジンの力率が、予め規定された圧力の作動ガスで回転するエンジンによって発電された電気の力率に対応するメモリに記憶された所定の力率値未満であるかどうかを決定するステップと、力率が所定の力率未満であると決定された場合にアラームを生成するステップと、を実行するようにプログラミングされたコンピュータにある。
【0023】
本発明はまた、次のステップ、すなわち、作動ガスを含むエンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を電力モニタから繰り返し受信するステップと、測定された力率をメモリに記憶するステップと、記憶された力率の少なくともいくつかを分析して力率にわたる任意の変化を識別するステップと、確認された任意の変化とメモリに記憶された容認可能な限度とを比較するステップと、比較された変化が容認可能な限度を超えたことが判明したときにアラームを生成するステップと、を実行するようにプログラミングされたコンピュータにある。
【0024】
さらに別の側面によれば、本発明は、コンピュータにロードされたとき、上述のようにコンピュータを作動させるコンピュータプログラムインストラクションを含むコンピュータプログラムと、このようなコンピュータプログラムを記録した記録可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品と、にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明をより容易に理解できるように、次に、単に一例として、添付図を参照する。
【0026】
本発明は、スターリングエンジンの用途に有用であるが、多くの種類のエンジンで使用可能である。特定の、しかし限定的でない1つの用途は、図1に示したようなdchpユニット12内のスターリングエンジン10の作動にある。本実施形態のスターリングエンジン10は、作動ガスとしてヘリウムを含む。ヘリウム圧力の低減は、エンジン10によって発電された電気の力率の低減をもたらすことが観測されている。この理由は、ヘリウム圧力の低減がスターリングエンジン10の固有周波数を下げ、次に、電圧と電流とのより高い位相差を生成するからである。
【0027】
現在、かかる事実は、次の関係を考慮することによって説明可能であると考えられている。
【0028】
圧力対周波数に関し、ヘリウム圧力が変化するとき、往復運動する内部構成要素の間のガス弾性力が変化する。この関係を理解し、定義するために、非常に多くの理論的な研究が、多年にわたって多くの関係者によって実施されてきたが、この関係は、関連する熱力学的及び機械的な変数の間の複雑な相互作用である。バージョンを単純化すると、より高い圧力は、往復運動する構成要素に対しより大きなガス弾性力を及ぼし、これは、システムの共振周波数の予測可能な増加をもたらす。
【0029】
力率対周波数に関し、皮相電力は、真の電力(交流発電機及び接続された回路内の抵抗を通して散逸される)と、無効電力(回路内のインダクタンスに交互に供給されまたそれから受け取られる電力を表す)と、から構成される。無効電力は、システムの往復運動の周波数でもある信号の周波数と共に増加する。このように、皮相電力、従って力率は、動作周波数と共に変化する。力率は、皮相電力と真の電力との比率であるので、実際の電力出力と無関係であると考えることができる。
【0030】
圧力対力率に関し、上記の関係を組み合わせることによって、力率はシステムの圧力と共に増加する。
【0031】
dchpユニット12は、図1に示したようなスターリングエンジン10の周りに配置される。エンジンは、線形フリーピストンスターリングエンジン10であることが好ましく、その作動は関連技術で周知である。
【0032】
スターリングエンジン10は、エンジンバーナ14からの熱入力によって駆動される。このバーナ14は、バルブ20の制御下で空気供給18と混合される可燃性ガス供給16によって燃料供給される。混合流は、ファン22によってバーナ14に送られる。これによって、スターリングエンジン10が駆動されて、線形交流発電機から電気出力24を発電する。交流発電機は図1に示されていないが、エンジンを囲む圧力容器内に配置してもよく、あるいは外部に配置して、駆動シャフトを介してエンジン10に結合してもよい。熱は、本質的に熱交換器である冷却器26でスターリングエンジン10から抽出され、熱交換器を通して、水がポンプ28によって管30に沿ってポンプされる。次に、冷却器26を通過する水は、スターリングエンジン10のヘッドを加熱したエンジンバーナ14からの排気ガスによって、熱交換器32でさらに加熱される。水をさらに加熱するために、またスターリングエンジン10が作動していないときに、ある程度独立して水を加熱するために、補足バーナ34が設けられ、熱交換器32の水を加熱する。補足バーナ34は、バルブ38の制御下で、空気供給36と混合される可燃性ガス供給16によって燃料供給される。混合流は、ファン22によって補足バーナ34に送られる。
【0033】
ファン22は、各混合器への正確な空気流を保証する(図示していない)誘導弁を通して、空気を混合器バルブ20、38に送る。
【0034】
代わりの設計では、2つのガス/空気混合器バルブ20、38に空気を送るために、別個のファンが用いられた。これによって誘導弁が不要となるが、同時係属中の出願英国特許第0130380.9号に記載されているように、別個のファンには、単一のファン設計と比較して、重量、コスト及び効率に不利がある。
【0035】
エンジンバーナ14及び補足バーナ34からの排気ガスは、熱を熱交換器32に引き渡した後、送気管40に沿って出る。このようにして、スターリングエンジン10は、電気出力24及び熱出力42を生成し、この熱出力は、例えば、家庭用温水需要を賄うために、セントラルヒーティングシステムに給熱するために、又は、併給構成(「コンビ」ボイラ)のこれらの両方のために、使用可能である。
【0036】
提案したdchpシステム12は、家庭用回路網へ直接給電する最大1kw(正味)の電力を提供し、従って、格子からの供給と結合するように設計されている。dchpユニット12の格子への接続が、図2に示されている。
【0037】
理解できるように、dchpユニット12は、スターリングエンジン10、電力モニタ52、それ自体の電源54及びアラーム55への接続部を有する主マイクロコントローラ50によって制御される。マイクロコントローラの電源54は、格子56から給電される。電力モニタの機能は、以下により詳細に記載するように、スターリングエンジン10の出力を監視すること、また作動中に線形交流発電機によって生成される電気の力率を測定することである。電力モニタ52は、格子接続モジュール58によって格子56に接続され、次に、格子接続モジュールは、格子の電圧及び周波数を監視する格子モニタ59に接続される。格子モニタ59は、格子接続モジュール58に信号を送り、供給が予め設定した限度外にあるときに格子56から切断する。
【0038】
電力モニタ54は、共通に利用可能な種類の標準電力計を使用して、任意の時点に、スターリングエンジン10によって発電された電気の力率用の値を(線形交流発電機を介して)導く。例えば、力率は、実際に、交流発電機から測定されたV信号及びI信号を使用することによって、電力モニタ54又は主マイクロコントローラ50の制御回路によって推定できるであろう。皮相電力はP=VIから計算される。タイミング回路を使用して、位相差を付与するV波形及びI波形との時差を測定することが可能である。この場合、真の電力はVIcosθであり、力率は真の電力/皮相電力である。
【0039】
電力モニタ54によって供給された力率の値は、力率をスターリングエンジン10内のヘリウム圧力と関係付ける関係に対し、比較されることができる。この関係は、経験的に獲得されることが好ましく、すべてのエンジン10について獲得できるか、あるいはこの関係は、1つのエンジン10について導き、同様のエンジン(例えば同一種類のすべてのエンジン10又は単一の製造工程で製造されたすべてのエンジン10)に適用することができる。このような関係の例が、図3に示されている。
【0040】
図3から理解できるように、線形ではないが、力率はヘリウム圧力に比例する。図3に示したような適切な関係に対し、スターリングエンジン10の測定された力率を比較することにより、スターリングエンジン10内のヘリウム圧力が得られる。
【0041】
格子56自体の局所的な力率値は、格子56に見られる負荷変化のため広範囲にわたって変化することがあるので、格子56に接続したときにスターリングエンジン10と関連する力率を測定することは、問題である。格子力率のこの変化は、スターリングエンジン10と関連する力率の絶対値の獲得が問題であり得ることを意味する。これらの問題を回避するため、スターリングエンジン10の力率は、格子56に接続する前に監視される。これは、モータリングと、58における完全な格子接続と、の間の移行中、dchpユニット12の始動ルーチンの部分として実行される。これは、図4の頂部の100に示されている。
【0042】
始動ルーチン100の間、電力モニタ52は、線形交流発電機によって生成された電気を測定することによって周期的にスターリングエンジン10の力率を測定する。電力モニタ52によって供給された力率信号は受信され、また任意の数の標準的な方法で、力率(PF)とヘリウム圧力(P)との関係に対する比較を実行することによって、102に示したように主マイクロコントローラ50によって処理される。
【0043】
特に、決定されたヘリウム圧力(P)が、スターリングエンジン(10)の非効率な作動をもたらす閾値(P1、P2)未満にならないことを保証するために当該ヘリウム圧力(P)が監視される。このことは、閾値のヘリウム圧力(P1、P2)で作動するスターリングエンジン10に対応する関連の力率値(PF1、PF2)との直接的又は間接的な比較により行ってもよい。
【0044】
実際に、図3に示したように、1つよりもむしろ2つの閾値が使用される。第1の閾値の圧力(P1)はスターリングエンジンの安全ではあるが、非効率な作動に対応し、第2の閾値の圧力(P2)は、スターリングエンジン10が許容し難いレベルの性能で作動する形態に対応する。
【0045】
P1よりも大きいと決定された圧力は、スターリングエンジン10内のヘリウム圧力の容認可能な作動範囲を表している。このような戻り値は、マイクロコントローラ50がエンジン10の作動に介入することを引き起こさない。
【0046】
P2とP1との間の戻り値は、作動には安全であるが、スターリングエンジン10から容認可能なレベルの性能を生成しないと思われる圧力に対応する。従って、主マイクロコントローラ50は、警告ライト又は聴覚的アラームのようなアラーム55に警告信号を表示して、dchpユニット12が修理を必要とすることをユーザに知らせる。
【0047】
戻りのヘリウム圧力がP2未満である場合、主マイクロコントローラ50はスターリングエンジン10を停止して、異なる警告信号をアラーム55に表示する。
【0048】
この作動方法は図4に要約され、2段階比較として実施される。具体的には、測定された力率は最初に104でPF2と比較され、PF2未満である場合、dchpユニット12は106で停止され、引き続き保守サービスが108で実行され、さもなければ、110でPF1と比較される。PF1よりも大きい場合、dchpユニット12の開始が通常のように112で継続するが、PF1未満であるがPF2よりも大きい場合、112におけるdchpユニット12の開始は、114に示したようなアラーム55における警告信号の表示を伴う。
【0049】
当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態を変更できることを理解するであろう。
【0050】
例えば、本発明は、任意の環境のスターリングエンジン10に適用され、dchpユニット12内のスターリングエンジンの使用に純粋に制限されない。例えば、スターリングエンジン10は、冷蔵庫、ヒートポンプ、クライオクーラ及び補助電力システムに使用される。さらに、本発明は、スターリングエンジン10のみの使用に限定されず、ガス圧力の測定が望まれるガスを含む作動エンジンに使用可能である。
【0051】
図3の関係は、上記の実施形態で経験的に確認されたが、その関係は、任意の数の方法で獲得することができる。例えば、その関係は、計算又はコンピュータモデリングによって獲得してもよい。完全な関係が確認された場合、例えば曲線適合ルーチンを使用することによって、その関係を数学的に表現することが可能である。すなわち、完全な関係が確認される必要はない。例えば、これらの値(PF1及びPF2)に対してのみ行われる直接の比較に、単に1つ以上の閾値の力率値(PF1、PF2)を使用することができる。
【0052】
閾値(P1、P2、PF1、PF2)の数及びそれに対する応答は、優先性に従って変更できる。例えば、エンジン10の自動停止及び警告信号の表示114をもたらす1つのみの閾値を使用してもよい。代わりに、一連の段階的なアラームを使用して、106でエンジン10のあり得る停止の前にユーザに警告するように、2つの閾値(P1、P2、PF1、PF2)より多くの閾値を使用してもよい。これは、例えば、緑色から赤色に色を変える色分けした警告ライトに使用できるであろう。
【0053】
警告信号114の実際の実施形態は、必要性に合うように容易に適合させることができる。dchpユニット12に対し注意を引く任意の信号が適切であり、これらの信号は、視覚的、聴覚的であることができるか、又は、他の任意の方法を利用できるであろう。
【0054】
上述の実施形態は、始動ルーチンの間に、格子56に接続する前にスターリングエンジン10と関連する力率を測定するが、他の時期においても可能である。例えば、測定を行うために、エンジン10は一時的に格子56から切断可能であるか、あるいはエンジン10を停止する前に測定を行うことが可能である。さらに、エンジン10を格子56に接続しつつ測定を行うことも可能であるが、その結果、格子供給部内の変動によりスターリングエンジン10に及ぼされる力率の変化のため影響を蒙る。平均化手順等を使用することによって、これらの機能を補償してもよい。
【0055】
さらに、力率を連続的又は周期的に監視して、スターリングエンジン10の診断の改良を提供してもよい。例えば、容認可能な作動ヘリウム圧力について予想される力率の帯域が規定され、診断情報として制御システム内に記憶される。この帯域は、低温時の始動における(許容帯域より例えば5%小さい)最低圧力から、最高作動温度における(許容帯域より例えば5%大きい)最高圧力へと変化する。V信号及びI信号は、交流発電機の通常作動中にサンプリング可能であり、力率の決定により、容認可能な帯域外の偏差を懸念の原因として直ちにマークすることが可能であり、また修理訪問が勧められるか(スクリーン上の表示)又は予定される(オンライン診断)。
【0056】
一般に、ヘリウム漏れによるすべての変化は、予想値からの緩やかなドリフトとして表れる。これは、発電効率の緩やかな減少を生じる。力率の変化の監視はまた、スターリングエンジン10のより重大な故障を示す可能性がある。例えば、偏差がより顕著であり、突然である場合、重大なエンジンの問題を示す可能性がある。この場合、エンジン作動は中断され、装置は、修理訪問が実行されるまで利用可能なときの格子電源を使用して、加熱のみにより作動する。これにより、さもなければ、容認可能な設計値未満の圧力におけるエンジン作動の延長に起因するであろう内部構成要素への損傷が先取りされ、従って回避される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】スターリングエンジンを含む家庭用熱電併給(dchp)ユニットの概略図である。
【図2】図1のスターリングエンジン、その制御装置及び電気格子へのその接続部の概略図である。
【図3】スターリングエンジン内のヘリウム圧力に対する、スターリングエンジンに関連する力率の関係を示したグラフである。
【図4】本発明の方法に従って作動されるdchpユニットの始動ルーチンを要約したフローチャートである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの予め規定された圧力に対しエンジン内のガスの圧力を決定する方法であって、
(a)前記エンジンによって発電された電気の力率を測定するステップと、
(b)前記測定された力率と、前記予め規定された圧力で作動するときに前記エンジンによって発電された電気の力率に対応するように決定された力率と、を比較するステップと、
(c)前記測定された力率が前記決定された力率未満であるかどうかを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
作動ガスを含むエンジンを作動する方法であって、
(a)回転時に前記エンジンによって発電された電気の力率を繰り返し測定するステップと、
(b)前記エンジン内の作動ガスが予め規定された圧力にあるように、測定された力率を、作動時に前記エンジンによって発電された電気の力率に対応するように決定された予め規定された力率に対し比較するステップと、
(c)測定された力率が前記決定された力率未満であることが判明したときにアラームを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項3】
スターリングエンジンを作動する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
家庭用熱電併給ユニットのスターリングエンジンを作動する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エンジンが電気格子に接続可能であり、
前記方法のステップ(b)は、
前記エンジンが前記電気格子から分離されたときに測定された力率を比較するステップを含む、
請求項2〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法のステップ(b)は、
前記エンジンの始動中に測定された力率を比較するステップを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)は、
前記測定された力率と、1対の決定された力率と、を比較するステップを含み、
ステップ(c)は、
測定された力率が前記決定された力率の高い方の力率未満であることが判明した場合にアラームを生成し、測定された力率が前記決定された力率の低い方の力率未満であることが判明した場合にエンジンを停止するステップを含む、
請求項2〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の決定された力率が、経験的に決定される、
請求項2〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
作動ガスを含むエンジンを作動する方法であって、
(a)回転時に前記エンジンによって発電された電気の力率を繰り返し測定するステップと、
(b)前記測定された力率を記憶するステップと、
(c)前記記憶された力率の少なくともいくつかを分析して前記力率にわたる任意の変化を識別するステップと、
(d)容認可能な限度を超える変化が識別されたときにアラームを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記変化が前記容認可能な限度を超えたときに前記エンジンを停止するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
緩やかな変化と急激な変化とを区別し、緩やかな変化が識別されたときにアラームを生成し、また急激な変化が識別されたときにアラームを生成して前記エンジンを停止するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
エンジンユニットであって、
作動ガスを含むエンジンと、
前記エンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を生成するように作動可能な電力モニタと、
前記力率信号を受信するように構成された制御手段と、
アラームと、を備え、
前記制御手段は、
前記エンジンの力率が、予め規定された圧力の作動ガスで回転する前記エンジンによって発電された電気の力率に対応する所定の力率未満であるかどうかを決定するために、前記力率信号を使用するように、かつ、前記力率が前記所定の力率未満であると決定された場合に前記アラームを作動するように、作動可能である、
エンジンユニット。
【請求項13】
エンジンユニットであって、
作動ガスを含むエンジンと、
前記エンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を生成するように作動可能な電力モニタと、
前記力率信号を受信するように構成された制御手段と、
アラームと、を備え、
前記制御手段は、
前記測定された力率を記憶するように、前記記憶された力率の少なくともいくつかを分析して前記力率にわたる任意の変化を識別するように、かつ、容認可能な限度を超える変化が識別されたときにアラームを生成するように、作動可能である、
エンジンユニット。
【請求項14】
次のステップ、すなわち、
作動ガスを含むエンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を電力モニタから受信するステップと、
前記力率信号を使用して、前記エンジンの力率が、予め規定された圧力の作動ガスで回転する前記エンジンによって発電された電気の力率に対応するメモリに記憶された所定の力率値未満であるかどうかを決定するステップと、
前記力率が前記所定の力率未満であると決定された場合にアラームを生成するステップと、
を実行するようにプログラミングされた、
コンピュータ。
【請求項15】
次のステップ、すなわち、
作動ガスを含むエンジンによって発電された電気の力率を表す力率信号を電力モニタから繰り返し受信するステップと、
前記測定された力率をメモリに記憶するステップと、
前記記憶された力率の少なくともいくつかを分析して前記力率にわたる任意の変化を識別するステップと、
確認された任意の変化とメモリに記憶された容認可能な限度とを比較するステップと、
前記比較された変化が容認可能な限度を超えたことが判明したときにアラームを生成するステップと、
を実行するようにプログラミングされた、
コンピュータ。
【請求項16】
コンピュータにロードされたとき、請求項14又は請求項15の何れか1項に規定されるようにコンピュータを作動させるコンピュータプログラムインストラクションを含む、コンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを記録した記録可能媒体を備える、
コンピュータプログラム製品。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【公表番号】特表2007−508493(P2007−508493A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
機械工学;照明;加熱;武器;爆破 | 燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備 | 熱ガスまたは燃焼生成容積型機関設備;燃焼機関の廃熱を利用するもので,他に分類されないもの | 制御
機械工学;照明;加熱;武器;爆破 | 燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備 | 熱ガスまたは燃焼生成容積型機関設備;燃焼機関の廃熱を利用するもので,他に分類されないもの | 作動ガスの流量または体積の調節によるもの
【出願番号】特願2006−534819(P2006−534819)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004355
【国際公開番号】WO2005/040588
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503138558)マイクロゲン エナジー リミテッド