説明

エンジンの吸気制御装置

【課題】排気触媒の酸素被毒の防止と、燃焼の安定性の向上とを両立する。
【解決手段】エンジンの吸気制御装置100は、燃焼室5に空気を送り込む吸気通路2に設けられ、吸気通路2を遮断可能な開閉弁3と、燃焼室5へ燃料を供給する燃料噴射弁18とを備える。吸気制御装置100は、アクセル開度が所定以下となった惰性走行時に燃料噴射弁18による燃料供給を停止可能な燃料供給制御部42と、この惰性走行時に燃料噴射弁18による燃料供給が停止された場合に、開閉弁3を閉じるとともに、バルブオーバーラップ中に開閉弁3を開く開閉弁制御部43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気を制御する吸気制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁機構の開閉タイミングを調整することによってエンジンの吸気を制御する吸気制御装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、スロットルバルブと吸気弁との間に吸気通路を遮断可能な遮断弁を備える吸気制御装置が開示されている。この吸気制御装置では、アクセルオフで惰性走行している状態にて遮断弁を閉状態に切り換える。これにより、アクセルオフによる燃料カット時に燃焼せずに排出される排気を抑制し、排気触媒の酸素被毒を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−112356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の吸気制御装置では、遮断弁が閉状態である場合、吸気側の圧力が低下する。排気圧が吸気圧と比較して高くなるため、バルブオーバーラップ中には、排気ガスが吸気側に逆流し、いわゆる内部EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)量が多くなる。そのため、次にアクセルオンして遮断弁が開状態に切り換えられたときに、燃焼室内のEGR率が高くなり、燃焼の安定性が損なわれるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、排気触媒の酸素被毒の防止と、燃焼の安定性の向上とを両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエンジンの吸気制御装置は、燃焼室に空気を送り込む吸気通路に設けられ、前記吸気通路を遮断可能な開閉弁と、前記燃焼室へ燃料を供給する燃料噴射弁とを備える。吸気制御装置は、アクセル開度が所定以下となった惰性走行時に前記燃料噴射弁による燃料供給を停止可能な燃料供給制御部と、惰性走行時に前記燃料噴射弁による燃料供給が停止された場合に、前記開閉弁を閉じるとともに、バルブオーバーラップ中に前記開閉弁を開く開閉弁制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、惰性走行が開始され、アクセル開度が所定以下となると、燃料噴射弁による燃料供給を停止可能となる。惰行走行時に燃料噴射弁による燃料供給が停止された場合、開閉弁を閉じるとともに、バルブオーバーラップ中に開閉弁を開く。これにより、開閉弁を閉じることで、燃焼せずに排出される排気を抑制できるとともに、バルブオーバーラップ中に開閉弁を開くことで、吸気通路から排気通路へ空気を流して燃焼室内を掃気できる。したがって、排気触媒の酸素被毒の防止と、燃焼の安定性の向上とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンジンの吸気制御装置の構成図である。
【図2】吸気制御装置の動作を示す図である。
【図3】吸気制御装置の動作に伴う弁開度,圧力,及び流量の変化を示す図である。
【図4】燃焼室の容積と圧力との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るエンジンの吸気制御装置100について説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、エンジン30と、エンジン30における吸気を制御する吸気制御装置100との構成について説明する。
【0012】
エンジン30は、シリンダヘッド6とシリンダブロック9とピストン10とによって画成される燃焼室5と、燃焼室5に吸気を導入する吸気通路2と、燃焼室5から排気を導出する排気通路8とを備える。また、エンジン30には、その制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)4が設けられる。
【0013】
吸気通路2は、シリンダヘッド6に設けられた吸気弁1を介して燃焼室5へ吸気を導入する。吸気通路2には、燃焼室5に吸入される空気量を調整可能なスロットル弁17と、スロットル弁17よりも下流に設けられて吸気通路2を遮断可能な開閉弁3と、燃焼室5へ燃料を供給する燃料噴射弁18とが設けられる。
【0014】
スロットル弁17は、吸気弁1の上流の吸気通路2に設けられる。スロットル弁17には、開閉を行うためのスロットル弁駆動装置27と、開度を検出するスロットル弁開度センサ25とが設けられる。
【0015】
燃料噴射弁18は、吸気弁1の上流、かつスロットル弁17の下流の吸気通路2に設けられる。燃料噴射弁18は、吸気通路2を介して燃焼室5に燃料を供給する。燃料噴射弁18は、各気筒ごとに設けられる。
【0016】
開閉弁3は、燃料噴射弁18の上流、かつスロットル弁17の下流の吸気通路2に設けられる。開閉弁3は、吸気弁1と同期して開閉される。開閉弁3は、閉じられたときに吸気通路2を完全に遮断するものである。開閉弁3を開閉するために、開閉弁駆動装置26が設けられる。開閉弁3と開閉弁駆動装置26とは、各気筒ごとに設けられる。
【0017】
燃焼室5には、先端が燃焼室5に臨むように点火プラグ12が設けられる。吸気通路2から導入された混合気は、点火プラグ12によって点火されて燃焼する。
【0018】
ピストン10は、燃焼室5の燃焼によって発生したエネルギーによって下方向へ摺動する。ピストン10の上下運動は、ピストン10に連結されるコンロッド13とコンロッド13に連結されるクランク14とによって、クランク14の回転運動に変換される。
【0019】
排気通路8は、シリンダヘッド6に設けられた排気弁7を介して燃焼室5からの排気を導出する。排気弁7の下流の排気通路8には、排気中の有害成分を浄化する排気触媒28が設けられる。
【0020】
排気通路8と吸気通路2との間には、排気通路8から吸気通路2に燃焼室5の外部を通じて排気の一部をEGRガスとして還流する外部EGR通路31が設けられる。外部EGR通路31の一端は、排気弁7の下流かつ排気触媒28の上流の排気通路8に連結され、他端は、スロットル弁17の下流かつ開閉弁3の上流の吸気通路2に連結される。外部EGR通路31には、EGRガスを冷却するEGRクーラ32と、吸気通路2に還流されるEGRガスの量を調整するEGR弁33とが設けられる。
【0021】
ECU4は、エンジン30の制御を行うとともに、吸気制御装置100の制御を行うものである。ECU4は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
【0022】
ECU4には、アクセル全閉スイッチ19,クラッチスイッチ20,車速センサ21,変速機ニュートラルスイッチ22,クランク角センサ24,及びスロットル弁開度センサ25からの検出信号が送信される。ECU4は、送信された信号に基づいて、点火プラグ12,燃料噴射弁18,スロットル弁17,開閉弁3,及びEGR弁33を制御する。
【0023】
ここで、アクセル全閉スイッチ19は、アクセルペダルの操作量が0であることを検出する。クラッチスイッチ20は、クラッチ(図示省略)が締結状態であることを検出する。車速センサ21は、車両の速度を検出する。変速機ニュートラルスイッチ22は、変速機(図示省略)がニュートラルであることを検出する。クランク角センサ24は、クランク14の回転角度を検出する。スロットル弁開度センサ25は、スロットル弁17の開度を検出する。
【0024】
ECU4は、スロットル弁17の開度を制御するスロットル制御部41と、燃料噴射弁18による燃料噴射量を制御する燃料供給制御部42と、開閉弁3を開閉制御する開閉弁制御部43とを有する。
【0025】
燃料供給制御部42は、上記惰性走行時に燃料噴射弁18による燃料供給を停止可能である。燃料供給制御部42は、所定の条件を満たした場合に、燃料噴射弁18による燃料噴射を停止する。この所定の条件は、エンジン回転速度が所定値以上(例えば1000rpm以上)であること,車速が所定値以上(例えば10km/h以上)であること,及び変速機がニュートラルでないことである。燃料供給制御部42は、これらの全ての条件を満たしたときに、燃料噴射弁18による燃料供給を停止する。
【0026】
開閉弁制御部43は、惰性走行時に燃料噴射弁18による燃料供給が停止された場合に、開閉弁3を閉じるとともに、バルブオーバーラップ中に開閉弁3を開くものである。スロットル制御部41は、この惰性走行時にスロットル弁17を全閉とするように制御する。
【0027】
バルブオーバーラップ中には、開閉弁制御部43は、吸気弁1が開きはじめるときに開閉弁3よりも下流の吸気通路2の圧力が略最大となるようなタイミングで開閉弁3を開きはじめる。開閉弁3が開いてから開閉弁3の下流における吸気通路2の圧力が略最大値まで上昇するまでにはある程度の時間が必要である。そこで、開閉弁制御部43は、吸気弁1が開きはじめるより早いタイミングで開閉弁3を開く。これにより、吸気弁1が開きはじめるときまでに、開閉弁3の下流の吸気通路2の圧力を上昇させておくことができる。
【0028】
また、開閉弁制御部43は、排気弁7が閉じるよりも前に閉じるようなタイミングで開閉弁3を閉じる。
【0029】
次に、図2から図4を参照して、吸気制御装置100の作用について説明する。
【0030】
図2に示す状態(a)から状態(g)は、惰性走行時に燃料噴射弁18による燃料供給が停止された場合における吸気制御装置100による吸気制御を示すものである。図2の状態(a)から状態(g)におけるドットの濃淡は、圧力の高低を示している。図3及び図4における(a)から(g)は、図2の状態(a)から状態(g)の状態に対応するものである。
【0031】
図2に示す状態(a)は、バルブオーバーラップ期間が終了したときの状態である。状態(a)では、吸気弁1が開かれて排気弁7が閉じられるとともに、開閉弁3が閉じられている。図3に示すように、状態(a)では、開閉弁3の下流における吸気通路2の圧力と、燃焼室5の圧力と、排気通路8の圧力とが等しくなっている。この状態からピストン10が下降して状態(b)に移行する。
【0032】
図2に示す状態(b)は、吸気弁1が開かれて排気弁7が閉じられ、ピストン10が下降している吸気行程の前半である。状態(b)においても、開閉弁3は閉じられたままである。状態(b)では、開閉弁3と排気弁7とによって開閉弁3の下流の吸気通路2と燃焼室5とが閉塞されている。そのため、図3に示すように、開閉弁3の下流の吸気通路2と燃焼室5との圧力は、ピストン10の下降に伴って低下することとなる。
【0033】
図2に示す状態(c)は、状態(b)に続く吸気行程の後半である。図3に示すように、状態(c)では、開閉弁3の下流の吸気通路2と燃焼室5との圧力が、ピストン10の下降によってさらに低下している。
【0034】
図4に示すように、状態(a)から状態(c)の吸気行程では、開閉弁3が閉じられているため、燃焼室5内に新気が導入されることはなく、ほぼ断熱膨張している。
【0035】
図2に示す状態(d)は、ピストン10が吸気下死点に到達して燃焼室5の圧力が下がり切った後、吸気弁1が閉じられた状態である。吸気弁1が閉じられると、開閉弁3の下流における吸気通路2は、開閉弁3と吸気弁1とによって閉塞される。そのため、図3に示すように、開閉弁3の下流における吸気通路2は、圧力が負圧のまま一定となる。
【0036】
図2に示す状態(e)は、吸気弁1と排気弁7とが閉じられ、ピストン10が上昇する圧縮工程である。図3に示すように、状態(e)では、吸気弁1と排気弁7とが閉じられて燃焼室5が閉塞されたままピストン10が上昇するため、燃焼室5内の圧力は上昇する。
【0037】
このとき、開閉弁3の下流の吸気通路2は、吸気弁1が閉じられているため、圧力が一定である。同様に、排気通路8は、排気弁7が閉じられているため、圧力が一定である。
【0038】
図4に示すように、状態(d)から状態(e)の圧縮工程では、燃焼室5内はほぼ断熱圧縮されるので、体積の減少とほぼ反比例するように圧力が上昇する。状態(e)から、ピストン10が下降する膨張行程を経て、状態(f)に移行する。
【0039】
図2に示す状態(f)は、膨張行程にてピストン10が下降した後、ピストン10が膨張下死点を過ぎて、排気工程に移行した状態である。図3に示すように、状態(f)では、排気弁7が開かれて連通した燃焼室5の圧力と排気通路8の圧力とを比較すると、排気通路8の方が高い。なお、このときもまた、開閉弁3の下流の吸気通路2は、吸気弁1が閉じられているため、圧力が一定である。
【0040】
図3に示すように、状態(f)の排気工程では、排気弁7が開かれると、略大気圧の排気通路8から負圧の燃焼室5にEGRガスが逆流する。その後、ピストン10の上昇によって燃焼室5から排気通路8に排気が流れるが、このときの燃焼室5と排気通路8との圧力は一定である。よって、図4に示すように、燃焼室5は、圧力が大気圧まで上昇して一定となり、体積のみが減少することとなる。
【0041】
図2に示す状態(g)は、排気弁7が開かれた状態で吸気弁1が開かれ、バルブオーバーラップが開始された状態である。状態(g)では、吸気弁1と排気弁7とが開かれるとともに、開閉弁3が開かれている。これにより、吸気通路2から新気が導入され、燃焼室5内から吸気通路2に渡って滞留していたEGRガスが掃気される。
【0042】
よって、次にアクセル操作がなされたときには、吸気通路2と燃焼室5とが掃気されてEGRガスの濃度が低下しているため、失火することなく安定した燃焼が可能となる。
【0043】
図3に示すように、開閉弁3が開きはじめると、開閉弁3の下流の吸気通路2の圧力が上昇しはじめ、吸気弁1が開きはじめるタイミングで略最大値となる。そして、吸気弁1が開きはじめると、燃焼室5の圧力が上昇する。よって、図4に示すように、燃焼室5は、ピストン10の上昇によって体積が減少するとともに、圧力が上昇することとなる。
【0044】
その後、開閉弁3が閉じはじめると、導入される新気の流量が減少するため、開閉弁3の上流の吸気通路2の圧力は低下しはじめる。開閉弁3が閉じはじめても、排気弁7が開いているうちは、燃焼室5の圧力は一定である。排気弁7が閉じられると、燃焼室5の圧力は低下しはじめ、再び状態(a)に移行することとなる。
【0045】
開閉弁3の開閉タイミングは、クランク14の回転角度で決まっているため、エンジン回転速度が増加すると、開閉弁3が開いている時間が短縮される。開閉弁3が開いている時間が短いと、開閉弁3の下流の吸気通路2の圧力が充分に上昇せず、バルブオーバーラップ時に充分に掃気が行われないおそれがある。
【0046】
そこで、開閉弁制御部43は、エンジン回転速度が増加するほど進角して開閉弁3を開くようにする。これにより、エンジン回転速度が変化しても、開閉弁3が開いている時間を一定とすることができる。よって、エンジン回転速度が変化しても、開閉弁3が開かれることによる燃焼室5の掃気効果が損なわれることはない。
【0047】
また、開閉弁制御部43は、アクセル開度が惰性走行中の所定開度である期間が設定期間と比較して短い場合には、バルブオーバーラップ中に開閉弁3を開き、アクセル開度が惰性走行中の所定開度である期間が設定期間以上である場合には、開閉弁3を開くことなく閉じておく。
【0048】
このときの設定期間は、アクセル開度が惰性走行中の所定開度になってからのエンジン回転速度の時間積算値に基づいて設定される。具体的には、設定期間は、吸気通路2と燃焼室5との掃気が充分に行われて滞留していたEGRガスの量が少なくなり、かつ、排気通路8の下流に設けられる排気触媒28の酸素被毒量が許容範囲内となる期間に設定される。
【0049】
これにより、掃気の全流量に基づいて設定期間が設定されるため、排気触媒28の酸素被毒量が許容範囲内のうちに掃気を停止することができる。よって、吸気通路2と燃焼室5との掃気を充分に行うことができるとともに、必要以上の掃気によって排気触媒28が酸素被毒することを防止できる。
【0050】
また、設定期間は、外部EGR通路31を通じて排気の一部を還流する運転状態からアクセル開度が惰性走行中の所定開度となった場合と比較して、内部EGRによって排気の一部を還流する運転状態からアクセル開度が惰性走行中の所定開度となった場合の方が短くなるように設定される。
【0051】
外部EGR通路31を通じて外部EGRが行われる場合には、EGRガスは、吸気通路2を介して燃焼室5に還流される。一方、内部EGRが行われる場合には、EGRガスは、吸気弁1が閉かれているときに排気通路8から燃焼室5に還流される。よって、外部EGRの場合と比較して、内部EGRの場合の方が吸気通路2にEGRガスが還流されない分だけ、滞留するEGR量が少ない。したがって、設定期間を短く設定されても、充分な掃気を行うことが可能であるとともに、排気触媒28の酸素被毒量を最小限とすることができる。
【0052】
その後、アクセルが操作されてアクセル開度が惰性走行中の所定開度と比較して大きくなった場合には、開閉弁制御部43は、上述したようにバルブオーバーラップ中に開閉弁3を開いて一旦閉じるとともに、その同一サイクルにおける吸気行程中に、開閉弁3を再度開いて閉じる。
【0053】
これにより、燃焼室5を掃気した後に、新たに燃焼室5に混合気を導入できる。よって、燃焼室5の掃気と新気導入とを両立して、燃焼を安定させることができる。
【0054】
吸気行程中に開閉弁3を再度開く制御は、エンジン30の回転数が、市場使用頻度の高い回転数である例えば3200rpm以下の場合に実行される。エンジン30が更に高い回転数となった場合には、開閉弁3を常に開いたままとする。
【0055】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0056】
惰性走行が開始されると、所定の条件により燃料噴射弁18による燃料供給が停止される。惰行走行時に燃料噴射弁18による燃料供給が停止されたときには、開閉弁3が閉じられる。これにより、燃焼せずに排出される排気を抑制できるため、排気触媒28が酸素被毒することを防止できる。
【0057】
また、開閉弁3を閉じた後、バルブオーバーラップ中に開閉弁3を開く。これにより、吸気通路2から排気通路8へ空気を流して燃焼室5内を掃気できるため、次にアクセルが操作されたときの燃焼の安定性を向上できる。
【0058】
したがって、排気触媒28の酸素被毒の防止と、燃焼の安定性の向上とを両立することができる。
【0059】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0060】
例えば、上記においては、燃料噴射弁18が吸気通路2に設けられる場合が例示されている。しかしながら、これに限られず、燃料噴射弁18がエンジン30のシリンダヘッド6に設けられる直噴タイプであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
100 吸気制御装置
1 吸気弁
2 吸気通路
3 開閉弁
4 ECU(エンジンコントロールユニット)
5 燃焼室
7 排気弁
8 排気通路
17 スロットル弁
18 燃料噴射弁
28 排気触媒
30 エンジン
31 外部EGR通路
41 スロットル制御部
42 燃料供給制御部
43 開閉弁制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に空気を送り込む吸気通路に設けられ、前記吸気通路を遮断可能な開閉弁と、
前記燃焼室へ燃料を供給する燃料噴射弁と、
アクセル開度が所定以下となった惰性走行時に前記燃料噴射弁による燃料供給を停止可能な燃料供給制御部と、
前記惰性走行時に前記燃料噴射弁による燃料供給が停止された場合に、前記開閉弁を閉じるとともに、バルブオーバーラップ中に前記開閉弁を開く開閉弁制御部と、を備えるエンジンの吸気制御装置。
【請求項2】
前記開閉弁制御部は、吸気弁が開きはじめるときに前記開閉弁よりも下流の前記吸気通路の圧力が略最大となるように前記開閉弁を開きはじめ、排気弁の全閉タイミングよりも前に閉じるように前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
【請求項3】
前記開閉弁制御部は、エンジン回転速度が増加するほど進角して前記開閉弁を開くことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの吸気制御装置。
【請求項4】
前記開閉弁制御部は、前記アクセル開度が前記所定開度である期間が設定期間と比較して短い場合には、前記バルブオーバーラップ中に前記開閉弁を開き、前記アクセル開度が前記所定開度である期間が前記設定期間以上である場合には、前記開閉弁を開くことなく閉じておくことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のエンジンの吸気制御装置。
【請求項5】
排気通路に配置される排気触媒をさらに備え、
前記設定期間は、前記アクセル開度が前記所定開度になってからのエンジン回転速度の時間積算値に基づいて、前記吸気通路と前記燃焼室とが掃気され、かつ前記排気触媒の酸素被毒量が許容範囲内となる期間に設定されることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの吸気制御装置。
【請求項6】
前記排気通路から前記吸気通路に前記燃焼室の外部を通じて排気の一部を還流する外部EGR通路を更に備え、
前記設定期間は、前記外部EGR通路を通じて排気の一部を還流する運転状態から前記アクセル開度が前記所定開度となった場合と比較して、内部EGRによって排気の一部を還流する運転状態から前記アクセル開度が前記所定開度となった場合の方が短く設定されることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの吸気制御装置。
【請求項7】
前記アクセル開度が前記所定開度から開かれた場合、前記開閉弁制御部は、前記バルブオーバーラップ中に前記開閉弁を開いて一旦閉じ、その同一サイクルにおける吸気行程中に、前記開閉弁を再度開いて閉じることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のエンジンの吸気制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−29073(P2013−29073A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165620(P2011−165620)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】