説明

エンジンの排気浄化装置

【課題】噴射ノズルから噴射された尿素水溶液の排ガス中での拡散時間を十分に確保でき、もってNOx触媒の各部位にアンモニアを均一に供給してNOx浄化性能を向上できるエンジンの排気浄化装置を提供する。
【解決手段】ケーシング2の上段排気通路3内に排ガスを導入して前段酸化触媒5及びDPF6を流通させた後に、折返室15を経てUターンさせて下段排気通路4内に導入し、NOx触媒8及び後段酸化触媒7を流通させた後に外部に排出する。折返室15内のDPF6の出口に第1ガイド板16を立設すると共に、第1ガイド板16の下側に第2ガイド板20を水平に配設し、これらのガイド板16,20により、DPF6からの排ガスをNOx触媒8側への直接的な移送を規制しながら移送方向を変更してNOx触媒8まで移送し、排ガスの移送経路長を延長化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンの排気浄化装置に係り、詳しくはケーシング内に一対の排気通路を併設して各排気通路内に各種後処理装置を収容し、エンジンからの排ガスを何れか一方の排気通路の後処理装置を流通させた後、折返室を経てUターンさせて他方の排気通路の後処理装置を流通させるようにした排気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の排ガス規制の強化に対応すべく車両には排気浄化装置を構成する多種の後処理装置が搭載されており、必然的に排気浄化装置を設置するためのスペースも次第に拡大している。このため、例えば車体フレームの下側に燃料タンクやスペアタイヤ等の装備を設置しているトラックやバス等では、排気浄化装置の設置のために新たなスペースを確保することが困難になりつつあり、排気浄化装置のコンパクト化を目的とした種々の対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
当該特許文献1に記載された技術は、排気浄化装置を構成する各後処理装置を単一のケース内に上下2段に収容して、排ガスをUターンさせながら各後処理装置を流通させ、これにより排気浄化装置のケース長を短縮して車載性の向上を図っている。
図9は特許文献1に記載された排気浄化装置を示す断面図、図10は同じく排気浄化装置を示す図9のX−X線断面図、図11は同じく折返室内での排ガスの移送経路を示す図9のXI−XI線断面図、図12は折返室内での排ガスの移送経路を示す斜視図であり、図9は車両後方より見たときの排気浄化装置を示している。
【0004】
排気浄化装置101のケーシング2は車体フレームを構成するサイドフレームFの左側方に配設され、四角箱状をなして内部には左右方向に延びる上段排気通路3及び下段排気通路4が上下に並設されている。上段排気通路3内の右側には前段酸化触媒5が収容され、上段排気通路3の左側には排ガス中のパティキュレートを捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)6が収容されている。また、下段排気通路4内の右側には集合室102を形成した上で後段酸化触媒7が収容され、下段排気通路4内の左側には尿素水溶液から生成されるアンモニアを還元剤としてNOxを選択還元する選択還元型NOx触媒8が収容されている。ケーシング2内の上段及び下段排気通路3,4の左端には折返室15が形成され、この折返室15を介して両排気通路3,4が相互に連通している。
【0005】
折返室15内において 上段排気通路3の開口部には同一径の環状をなす撹拌リング22が接続され、折返室15内は撹拌リング22の内周側と外周側とに区画されると共に、撹拌リング22の前側の半周(図11の左側)に形成された多数の孔22aを介して撹拌リング22の内外が連通している。図示はしないが、折返室15内の一側には尿素水溶液を噴射する噴射ノズルが挿入され、この噴射ノズルから折返室15内に尿素水溶液が噴射される。
【0006】
ケーシング2内の両排気通路3,4の右端には拡張室10が形成され、この拡張室10内で上段排気通路3は開口し、下段排気通路4は蓋体4aにより閉塞されている。拡張室10内の下部にはエンジン側の導入管11及び排気下流側の排出管13が左方より挿入されており、導入管11は外周に形成された多数の孔11aを介して内部を拡張室10内と連通させ、排出管13は拡張室10を貫通して蓋体4aと接続されて内部を下段排気通路4と連通させている。
【0007】
従って、エンジンの運転中において排ガスは導入管11の各孔11aを経て拡張室10内に導入され、拡張室10内を上方に移送されて上段排気通路3に導入され、上段排気通路3内で前段酸化触媒4及びDPF5を流通した後に撹拌リング22内に到達する。排ガスは撹拌リング22の各孔22aを流通して撹拌されながら折返室15内を下方に移送され、噴射ノズル22から噴射された尿素水溶液と共に旋回を伴って下段排気通路4に導入される。下段排気通路4内で排ガスはNOx触媒8及び後段酸化触媒7を流通し、集合室102内で集合した後に排出管13を経て排気下流側に排出され、NOx触媒8を流通する際に、尿素水溶液から生成されたアンモニアを還元剤として排ガス中のNOxが選択還元される。
【特許文献1】特開2005−273580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、周知のようにNOx触媒8のNOx浄化性能を最大限に発揮させるには、NOx触媒8の各部位にアンモニアを均一に供給することが必須条件であり、そのためには排ガス中に尿素水溶液を均一に拡散させる必要がある。この要求を満足するには、上記した撹拌リング22による排ガスの撹拌促進も有効であるが、噴射ノズル23からNOx触媒までの経路長を長く設定して、噴射された尿素水溶液が排ガス中に拡散する時間を可能な限り確保することが重要となる。
【0009】
しかしながら、特許文献1の排気浄化装置101では、図11,12に示すように撹拌リング22の各孔22aを流通した排ガスがそのまま下方に移送されてNOx触媒8に導入されるため、尿素水溶液の拡散時間を十分に確保できず、結果としてNOx触媒8の各部位にアンモニアが不均一に供給されてNOx触媒8が本来有するNOx浄化性能を最大限に発揮させることができないという問題があった。
【0010】
また、このような尿素水溶液の拡散に関する条件のみならず、単純なNOx触媒8自体の容量もNOx浄化性能に影響を及ぼすが、特許文献1の排気浄化装置101では、その構造上、NOx触媒8の長さを十分に確保できず、この要因もNOx浄化性能に悪影響を与えていた。
即ち、図9に示すように、前段酸化触媒5の上流側には排ガスを均一に導入するための空間が必要であり、この空間として拡張室10が機能している。また、後段酸化触媒7の下流側には排ガスを集合させるための空間が必要であり、この空間として集合室102が機能している。拡張室10を形成するために下段排気通路4の実質的な長さは短縮化されており、さらにその下段排気通路4に集合室102を形成することにより、下段排気通路4は上段排気通路3に比較してスペース的に厳しくなり、後段酸化触媒7と共にNOx触媒8を短縮化せざるを得なくなる。このため要求されるNOx浄化性能を達成可能な容量のNOx触媒8を使用できず、結果としてNOx浄化性能が不足する要因となっていた。
【0011】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その第1の目的は、噴射ノズルから噴射された尿素水溶液の排ガス中での拡散時間を十分に確保でき、もってNOx触媒の各部位にアンモニアを均一に供給してNOx浄化性能を向上することができるエンジンの排気浄化装置を提供することにある。
また、第2の目的は、限られたケーシング内のスペースを有効利用して十分な容量のNOx触媒を収容でき、もってNOx浄化性能を向上することができるエンジンの排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ケーシング内に収容されて少なくともパティキュレート捕集用のフィルタを含み、一端がエンジン側と接続された上流側後処理装置と、ケーシング内に上流側後処理装置と並列して収容されて少なくとも選択還元型NOx触媒を含み、一端が排気下流側と接続された下流側後処理装置と、ケーシング内において上流側後処理装置及び下流側後処理装置の他端に形成されて、フィルタ及び上記NOx触媒が内部に開口する折返室と、折返室内の上記フィルタの開口部に配設されて、フィルタを流通後の排ガスの移送方向を変更する第1ガイド板と、折返室内のフィルタ側とNOx触媒側との間に配設され、フィルタを流通後の排ガスの直接的なNOx触媒側への移送を規制する第2ガイド板と、折返室内の一側に配設され、尿素水溶液を噴射する噴射ノズルとを備えたものである。
【0013】
例えばケーシング内には、上流側後処理装置として前段酸化触媒及びフィルタが収容されると共に、これと並列するように下流側後処理装置として選択還元型NOx触媒及び後段酸化触媒が収容され、上流側後処理装置及び下流側後処理装置の他端に形成された折返室内にフィルタ及びNOx触媒が開口している。
エンジンからの排ガスは上流側後処理装置を流通した後にフィルタから折返室内に導入され、折返室内での移送中に噴射ノズルから尿素水溶液を噴射され、尿素水溶液を拡散させながら折返室内を移送される。折返室内を移送後に排ガスはNOx触媒から下流側後処理装置内に導入されて内部を流通した後に排気下流側に移送され、NOx触媒を流通する際に尿素水溶液から生成されたアンモニアを還元剤として排ガス中のNOxが選択還元される。
【0014】
フィルタから折返室内に導入されたときの排ガスは、第2ガイド板によりNOx触媒側への直接的な移送を規制されながら第1ガイド板により移送方向を変更され、その後にNOx触媒に導入される。折返室内での排ガスの移送方向の変更は、排ガスへの尿素水溶液の拡散を促進するばかりでなく、噴射ノズルからNOx触媒までの排ガスの経路長が延長化されることになり、噴射された尿素水溶液が排ガス中に拡散する時間が十分に確保される。よって、排ガスがNOx触媒に到達した時点で尿素水溶液は排ガス中に良好に拡散し、NOx触媒の各部位にアンモニアが均一に供給される。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、第1ガイド板が、折返室内のフィルタの開口部近傍をフィルタ側の第1流路と反フィルタ側の第2流路とに区画すると共に、一側に第1流路及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、第2ガイド板が、第1ガイド板のNOx触媒側に配設されて折返室を上記フィルタ側とNOx触媒側とに区画すると共に、上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して第2流路を折返室のNOx触媒側と連通させるものである。
【0016】
従って、フィルタの開口部から折返室内に導入された排ガスは第1ガイド板に衝突するが、このときの排ガスは第2ガイド板によりNOx触媒側への直接的な移送が規制されるため、排ガスは第1流路内を上流側連通路に向けて流通した後に上流側連通路を経て移送方向を変更され、さらに第2流路を下流側連通路に向けて流通した後に、下流側連通路を経て移送方向をNOx触媒側に変更されてNOx触媒に導入される。このように折返室内で排ガスの移送方向を変更することから、尿素水溶液の拡散が促進されると共に噴射ノズルからNOx触媒までの経路長が延長化される。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1において、第1ガイド板が、折返室内のフィルタの開口部近傍をフィルタ側の第1流路と反フィルタ側の第2流路とに区画すると共に、一側に第1流路及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、第2ガイド板が、第1ガイド板のNOx触媒側に配設されて折返室をフィルタ側とNOx触媒側とに区画すると共に、上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して第2流路を折返室のNOx触媒側と連通させ、第1流路には、フィルタの開口部から連続するように環状の撹拌リングが配設され、撹拌リングの上流側連通路側には多数の孔が形成され、撹拌リングの反上流側連通路側に噴射ノズルが配設されているものである。
【0018】
従って、フィルタの開口部から折返室内に導入された排ガスは撹拌リング内で第1ガイド板に衝突し、噴射ノズルから噴射された尿素水溶液を拡散させる。このときの排ガスは第2ガイド板によりNOx触媒側への直接的な移送が規制されるため、排ガスは撹拌リングの各孔を経て第1流路内を上流側連通路に向けて流通した後に上流側連通路を経て移送方向を変更され、さらに第2流路を下流側連通路に向けて流通した後に、下流側連通路を経て移送方向をNOx触媒側に変更されてNOx触媒に導入される。
【0019】
このように、撹拌リングの各孔に排ガスを流通させると共に折返室内で排ガスの移送方向を変更することから、尿素水溶液の拡散が促進され、且つ、フィルタの開口部近傍の上流位置で尿素水溶液を噴射すると共に折返室内で排ガスの移送方向を変更することから、噴射ノズルからNOx触媒までの経路長が延長化される。
請求項4の発明は、請求項1において、第1ガイド板が、折返室内のフィルタの開口部近傍を反NOx触媒側の第1流路とNOx触媒側の第2流路とに区画すると共に、一側に第1及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、第2ガイド板が、第1ガイド板のNOx触媒側で第1ガイド板に対して略平行で互い違いとなるように配設され、折返室をフィルタ側とNOx触媒側とに区画すると共に、上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して第2流路を折返室のNOx触媒側と連通させるものである。
【0020】
従って、フィルタの開口部からの排ガスの一部は第1流路に導入され、残りの排ガスは第2流路に導入される。第1流路に導入された排ガスは第1ガイド板に案内されながら第1流路内を上流側連通路に向けて流通し、上流側連通路を経て移送方向を変更された後に第2流路に直接的に導入された排ガスと合流する。これらの排ガスは第2ガイド板によりNOx触媒側への直接的な移送が規制されながら第2流路を下流側連通路に向けて流通した後に、下流側連通路を経て移送方向をNOx触媒側に変更されてNOx触媒に導入される。
【0021】
このように折返室内で排ガスの移送方向を変更することから、尿素水溶液の拡散が促進されると共に噴射ノズルからNOx触媒までの経路長が延長化される。
請求項5の発明は、ケーシング内に収容されて少なくともパティキュレート捕集用のフィルタを含む上流側後処理装置と、ケーシング内に上流側後処理装置と並列して収容されて少なくとも選択還元型NOx触媒を含む下流側後処理装置と、ケーシング内において上流側後処理装置及び下流側後処理装置の一端に形成されて、両後処理装置を相互に連通させる折返室と、折返室内の一側に配設され、尿素水溶液を噴射する噴射ノズルと、ケーシング内において上流側後処理装置及び下流側後処理装置の他端に形成されて、上流側後処理装置と連通すると共に、下流側後処理装置に対して閉塞する拡張室と、拡張室の下流側後処理装置側に接続され、エンジンからの排ガスを拡張室内に導入する導入管と、拡張室内で下流側後処理装置に一端を接続され、通路断面を縮小しながら拡張室内を貫通して他端をケーシング外壁に開口させる集合室と、ケーシング外壁に開口する集合室の他端に接続されて、集合室を経て下流側後処理装置を流通後の排ガスを排気下流側に移送する排出管とを備えたものである。
【0022】
例えばケーシング内には、上流側後処理装置として前段酸化触媒及びフィルタが収容されると共に、これと並列するように下流側後処理装置として選択還元型NOx触媒及び後段酸化触媒が収容されている。
エンジンからの排ガスは導入管から拡張室に案内されて上流側後処理装置を流通した後に折返室に導入され、折返室内での移送中に噴射ノズルから尿素水溶液を噴射される。折返室内を移送された後に排ガスは下流側後処理装置内に導入されて内部を流通した後に排出管を経て排気下流側に移送され、NOx触媒を流通する際に尿素水溶液から生成されたアンモニアを還元剤として排ガス中のNOxが選択還元される。
【0023】
導入管からの排ガスは拡張室を経ることにより上流側後処理装置に均一に導入され、下流側後処理装置を流通後の排ガスは集合室により集合されて排出管から排出される。集合室は拡張室内に配設されているものの、下流側後処理装置から通路断面を縮小する形状をなして周囲の拡張室内を占有しないため、拡張室内において集合室の近接位置に導入管を配置可能となる。これにより拡張室とは別個に独立して集合室を形成する必要がなくなり、集合室の設置により下流側後処理装置を構成するNOx触媒の長さが制限される事態が防止される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように請求項1,2,4の発明のエンジンの排気浄化装置によれば、ケーシングの折返室内において第2ガイド板により排ガスのNOx触媒側への直接的な移送を規制しながら第1ガイド板により移送方向を変更するようにしたため、排ガスへの尿素水溶液の拡散を促進できるばかりでなく、噴射ノズルからNOx触媒までの排ガスの経路長を延長化して尿素水溶液の拡散時間を十分に確保でき、もってNOx触媒の各部位にアンモニアを均一に供給してNOx浄化性能を向上することができる。
【0025】
請求項3の発明のエンジンの排気浄化装置によれば、請求項1に加えて、撹拌リングの各孔に排ガスを流通させるため、排ガスへの尿素水溶液の拡散を一層促進できる上に、フィルタの開口部近傍の上流位置で尿素水溶液を噴射することから、噴射ノズルからNOx触媒までの排ガスの経路長をさらに延長化して尿素水溶液の拡散時間を十分に確保することができる。
【0026】
請求項5の発明のエンジンの排気浄化装置によれば、排ガスを上流側後処理装置に案内する拡張室内に下流側後処理装置を流通後の排ガスを集合させる集合室を配置したため、集合室の設置によりNOx触媒の長さが制限される事態を防止でき、もって限られたケーシング内のスペースを有効利用して十分な容量のNOx触媒を収容してNOx浄化性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化したエンジンの排気浄化装置の第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す断面図、図2は同じく排気浄化装置を示す図1のII−II線断面図、図3は同じく折返室内での排ガスの移送経路を示す図1のIII−III線断面図、図4は折返室内での排ガスの移送経路を示す斜視図である。
【0028】
本実施形態の排気浄化装置はトラックに搭載されており、図1は車両前方より見たときの排気浄化装置を示している。以下の説明では、車両を基準として左右方向及び前後方向を表現する。
周知のようにトラックの車体フレームは、前後方向に延びる一対のサイドフレームと、これらのサイドフレームを連結する複数のクロスメンバにより構成されており、図1では左側のサイドフレームFが示されている。排気浄化装置1は、この左側サイドフレームFの左側方に図示しない燃料タンクやスペアタイヤ等の車載装備と共に設置されている。
【0029】
排気浄化装置1のケーシング2は四角箱状をなし、ケーシング2の内部には上段及び下段排気通路3,4が配設されている。両排気通路3,4は断面円形状をなし、保持板2aにより上下に並設された状態で左右方向に延設されている。上段排気通路3内の右側には前段酸化触媒5が収容され、上段排気通路3の左側にはDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)6が収容されている。DPF6はハニカム型のセラミック体からなり、上流側と下流側とを連通する多数の通路の上流側開口部と下流側開口部とを交互に閉鎖したウォールスルー式フィルタとして構成され、各通路を区画する内壁に排ガスを流通させながら排ガス中のパティキュレートを捕集する。また、前段酸化触媒5は、活性温度以上において排ガス中のNOを酸化させてNOを生成する作用を奏し、生成されたNOは後述するようにDPF6の連続再生に利用される。
【0030】
また、下段排気通路4内の右側には後段酸化触媒7が収容され、下段排気通路4内の左側には選択還元型NOx触媒8が収容されている。NOx触媒8は、アンモニアを還元剤としてNOxを選択還元し、このときの余剰アンモニアや後述するDPF6の強制再生時に生じた余剰COを酸化する作用を後段酸化触媒7が奏する。
本実施形態では、前段酸化触媒5及びDPF6が上流側後処理装置として機能し、後段酸化触媒7及びNOx触媒8が下流側後処理装置として機能する。
【0031】
ケーシング2内の上段及び下段排気通路4の右端には拡張室10が形成され、この拡張室10内で上段排気通路3は開口し、下段排気通路4は後述する集合室12の形成により閉塞されている。拡張室10内の下部にはエンジン側と接続された導入管11が挿入され、導入管11は外周に形成された多数の孔11aを介して内部を拡張室10内と連通させている。
【0032】
拡張室10内の下部には、拡張室10を左右方向に貫通するように集合室12が配設されている。集合室12の左端は下段排気通路4と同一径に設定され、集合室12は左端を下段排気通路4に接続されて右方に向けてコーン状に縮径する形状をなし、その右端はケーシング2の右側壁に開口している。ケーシング2の右側壁の集合室12の開口部には排出管13の一端が接続され、排出管13の他端は排気下流側と接続されている。
【0033】
一方、ケーシング2内の上段及び下段排気通路3,4の左端にはケーシング2内で排ガスをUターンさせるための折返室15が形成され、両排気通路3,4は折返室15内に開口している。折返室15内において上段排気通路3の開口部には第1ガイド板16が左右方向に面するように立設され、この第1ガイド板16により折返室15内の上側半分は、右側(DPF6側)の第1流路17と左側の第2流路18とに区画されている。第1ガイド板16の前部には上流側連通路19が形成され、この上流側連通路19を介して第1流路17と第2流路18とが連通している。
【0034】
折返室15内において第1ガイド板16の下側には上下方向に面するように水平に第2ガイド板20が配設され、第2ガイド板20により折返室15内は上段排気通路3側(第1及び第2流路17,18)と下段排気通路4側とに区画されている。第2ガイド板20の後部には下流側連通路21が形成され、この下流側連通路21を介して第2流路18と折返室15内の下段排気通路4側とが連通している。
【0035】
第1流路17内において上段排気通路3の開口部には同一径の環状をなす撹拌リング22の一端が接続され、撹拌リング22の他端は第1ガイド板16に当接して閉塞され、これにより撹拌リング22の内周側と外周側とが区画されている。撹拌リング22の前部一側は第1ガイド板16に閉塞されることなく上流側連通路19に向けて開口する開口部22bを形成し、また、撹拌リング22の前側の半周には多数の孔22aが形成され、各孔22aを介して撹拌リング22内が第1流路17内と連通している。
【0036】
図2,3に示すように、ケーシング2の後側面には噴射ノズル23が配設され、噴射ノズル23の先端23aはケーシング2を貫通して後方より撹拌リング22内に挿入され、撹拌リング22内に尿素水溶液を噴射し得るようになっている。
ここで、図1と特許文献1の排気浄化装置101を示す図9との比較から明らかなように、ケーシング2の外寸を同一とすれば、特許文献1に対して本実施形態では第2流路18の相当分だけ上段排気通路3の長さが短くなり、前段酸化触媒5及びDPF6の長さが制限される。そこで、本実施形態では、前段酸化触媒5の長さを短縮化した上で、DPF6にも触媒を担持することにより前段酸化触媒5の機能を補っている。但し、ケーシング2の外寸によっては、前段酸化触媒5及びDPF6の双方共に十分な長さを確保可能であり、その場合には必ずしもDPF6に触媒を担持する必要はない。
【0037】
次に、以上のように構成された本実施形態のエンジンの排気浄化装置1による作用を説明する。
エンジンの運転中において排ガスは導入管11の各孔11aを経て拡張室10内に導入されて上方に移送され、拡張室10内を経ることにより上段排気通路3に排ガスが均一に導入される。上段排気通路3内で排ガスは前段酸化触媒5及びDPF6を流通し、このとき、排ガス中のパティキュレートがDPF6に捕集されると共に、前段酸化触媒5では排ガス中のNOの酸化反応によりNOが生成され、このNOに酸化剤としてDPF6上のパティキュレートを連続的に燃焼させるDPF6の連続再生が行われる。上段排気通路3を流通後の排ガスは折返室15内を下方に移送され、噴射ノズル23から噴射された尿素水溶液と共に下段排気通路4に導入される。この折返室15内での排ガスの移送状況については後に詳述する。
【0038】
折返室15での移送中に尿素水溶液は排ガスの熱により加水分解してアンモニアとなり、排ガスと共に下段排気通路4のNOx触媒8内を流通する。NOx触媒8上でアンモニアは一旦吸着されて排ガス中のNOxと硝酸反応し、これによりNOxは無害なNに選択還元され、このときに生じる余剰アンモニアは後段酸化触媒7により酸化処理される。下段排気通路4を流通後の排ガスは集合室12内で集合した後に排出管13を経て排気下流側に排出される。
【0039】
なお、排気温度の低いエンジン運転により前段酸化触媒5が活性温度を下回り続けたときには、DPF6の連続再生が十分に行われずにパティキュレートの目詰まりを生じるため、例えば膨張行程や排気行程でのポスト噴射によりDPF6上に未燃燃料を供給してパティキュレートを強制的に焼却する強制再生が行われるが、このときに生じる余剰燃料(CO)も後段酸化触媒7により酸化処理される。
【0040】
一方、上段排気通路3のDPF6から折返室15内に導入された排ガスは、以下の過程を経て下段排気通路4のNOx触媒8まで移送される。
まず、上段排気通路3を流通後の排ガスは、DPF6から撹拌リング22内に導入されて第1ガイド板16に衝突し、これと並行して噴射ノズル23から尿素水溶液を噴射される。図3,4に示すように、第1流路17の下側は第2ガイド板20により閉鎖されているため、このときの排ガスは、図11,12に示す特許文献1のように折返室15内の下側に直接的に移送されることなく、尿素水溶液を拡散させながら撹拌リング22内を前方に向けて流通し、その一部の排ガスは撹拌リング22の各孔22aを経て外周側に流出した後に上流側連通路19に到達し、残り排ガスは撹拌リング22の開口部22bを経て直接的に上流側連通路19に到達する。
【0041】
その後、排ガスは上流側連通路19を経て第2流路18に導入されるが、この第2流路18の下側も第2ガイド板20により閉鎖されているため、排ガスは折返室15内の下側に直接的に移送されることなく、その移送方向を後方に変更して第2流路18を後方に向けて流通する。下流側連通路21に到達した排ガスは、移送方向を下方に変更されながら下流側連通路21を経て折返室15内の下側に案内され、旋回を伴って下段排気通路4内に導入される。
【0042】
以上のようにDPF6から折返室15内に導入された排ガスは、第1及び第2ガイド板16,20の案内により、折返室15内の下側への直接的な移送を規制されながら、上流側連通路19及び下流側連通路21で移送方向を変更されてNOx触媒8に導入される。折返室15内での排ガスの移送方向の変更は、排ガスへの尿素水溶液の拡散を促進するばかりでなく、噴射ノズル23からNOx触媒8までの排ガスの経路長を延長化することにも繋がるため、噴射された尿素水溶液が排ガス中に拡散する時間が十分に確保される。従って、排ガスがNOx触媒8に到達した時点で尿素水溶液は排ガス中に良好に拡散し、NOx触媒8の各部位にアンモニアを均一に供給でき、もってNOx浄化性能を向上することができる。
【0043】
また、本実施形態ではDPF6の出口に撹拌リング22を配設し、その撹拌リング22の前側に排ガスが流通する多数の孔22aを形成し、後側に尿素水溶液を噴射する噴射ノズル23を配設している。噴射ノズル23を撹拌リング22に配設することにより、必然的に噴射ノズル23は折返室15内の最も上流に位置することになり、結果として排ガスの移送経路長が最大限に延長化される。また、撹拌リング22内において第1ガイド板16に衝突した排ガス中に尿素水溶液が噴射されるため、排ガス中への尿素水溶液の拡散を促進でき、その直後に排ガスを撹拌リング22の各孔22aに流通させることも、尿素水溶液の拡散に貢献する。よって、これらの相乗効果により排ガス中に尿素水溶液を一層良好に拡散させることができる。
【0044】
ところで、拡張室10の下部に導入管11と排出管13を接続しているのは、図1に示すように左側のサイドフレームFとの干渉を回避するためであり、必然的に導入管11と排出管13とは近接位置に配置されている。拡張室10内に導入管11を挿入配置するには集合室12が邪魔となることを鑑みて、図9,10に示す特許文献1の技術では、拡張室10には小径の排出管13を貫通させて集合室102は下段排気通路4内に形成したが、結果として下段排気通路4の短縮化によりNOx触媒8の長さ(容量)が制限されている。
【0045】
これに対して本実施形態では、集合室12を拡張室10内に配設しているものの、後段酸化触媒7と対応する径からコーン状に縮径した集合室12は周囲の拡張室10内を占有しないため、拡張室10内における集合室12の近接位置に導入管11を挿入配置できる。これにより下段排気通路4内に集合室12を形成する必要がなくなり、下段排気通路4の長さを十分に確保できる。よって、要求されるNOx浄化性能を達成可能な十分な容量を有するNOx触媒8を下段排気通路4に設置でき、この要因もNOx浄化性能の向上に貢献する。
[第2実施形態]
次に、本発明を別のエンジンの排気浄化装置1に具体化した第2実施形態を説明する。
【0046】
図5は第2実施形態のエンジンの排気浄化装置1を示す断面図、図6は同じく排気浄化装置1を示す図5のXI−XI線断面図、図7は同じく折返室15内での排ガスの移送経路を示す図5のXII−XII線断面図、図8は折返室15内での排ガスの移送経路を示す斜視図である。
本実施形態の排気浄化装置1の全体的な構成は第1実施形態のものと同様であり、相違点は折返室15内の構成にある。そこで、共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
【0047】
本実施形態の排気浄化装置1では撹拌リング22が廃され、上段排気通路3の開口部には第1ガイド板31が上下方向に面するように水平に配設されている。この第1ガイド板31により折返室15内の上側半分は、上段側(反NOx触媒8側)の第1流路32と下段側(NOx触媒8側)の第2流路33とに区画されている。第1ガイド板31の前部には上流側連通路34が形成され、この上流側連通路34を介して第1流路32と第2流路33とが連通している。
【0048】
折返室15内において第1ガイド板31の下側には第2ガイド板35が配設されている。この第2ガイド板35は第1実施形態のものと同じく上下方向に面して配設されて、折返室15内を上段排気通路3側(第1及び第2流路32,33)と下段排気通路4側とに区画し、第2ガイド板35の後部には、第2流路33と折返室15内の下段排気通路4側とを連通する下流側連通路36が形成されている。
【0049】
第1実施形態と同様に噴射ノズル23はケーシング2の後側面に配設され、噴射ノズル23の先端23aはケーシング2を貫通して後方より第1流路32内に挿入されている。
次に、以上のように構成されたエンジンの排気浄化装置1における折返室15内での排ガスの移送状況について述べる。
上段排気通路3を流通後の排ガスは、DPF6から折返室15の第1及び第2流通路32,33内にそれぞれ導入される。第1流通路32内に導入された排ガスは噴射ノズル23から尿素水溶液を噴射され、尿素水溶液を拡散させながら第1流通路32を前方に向けて流通して上流側連通路34に到達する。その後、排ガスは上流側連通路34を経て第2流路33に導入されるが、この第2流路33の下側は第2ガイド板35により閉鎖されているため、排ガスは折返室15内の下側に直接的に移送されることなく、その移送方向を後方に変更して第2流路33を後方に向けて流通する。この排ガスに対してDPF6から直接的に第2流路33内に導入された排ガスが合流し、これらの排ガスは、移送方向を下方に変更されながら下流側連通路36を経て折返室15内の下側に案内され、旋回を伴って下段排気通路4のNOx触媒8に導入される。
【0050】
以上のようにDPF6から折返室15内に導入された排ガスは、第1及び第2ガイド板31,35の案内により、折返室15内の下側への直接的な移送を規制されながら、上流側連通路3及び下流側連通路4で移送方向を変更されてNOx触媒8に導入される。従って、重複する説明はしないが、折返室15内での排ガスの移送方向の変更により、尿素水溶液の拡散を促進できると共に、噴射ノズル23からNOx触媒8までの排ガスの経路長を延長化して尿素水溶液の拡散時間を十分に確保でき、もって、NOx触媒8の各部位にアンモニアを均一に供給してNOx浄化性能を向上することができる。
【0051】
また、本実施形態では第1流路32内に尿素水溶液を噴射するように噴射ノズル23を配設しているため、噴射ノズル23は折返室15内の最も上流に位置し、第1実施形態と同じく排ガスの移送経路長を最大限に延長化でき、尿素水溶液を一層良好に拡散させることができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、上段排気通路3内に上流側後処理装置として前段酸化触媒5及びDPF6を収容し、下流側後処理装置としてNOx触媒8及び後段酸化触媒7を収容したが、これに限ることはなく、上流側後処理装置としては少なくともDPF6を含むものであり、下流側後処理装置としては少なくとも選択還元型NOx触媒8を含むものであればよい。従って、例えばDPF6に触媒を担持することにより前段酸化触媒5を廃したり、或いは下流側後処理装置として加水分解触媒を追加したりしてもよい。
【0052】
また、ケーシング2の形状に関しても、上記各実施形態のように上下に排気通路3,4を並設した縦型のケーシング2に限ることはなく、例えば左右或いは前後に排気通路3,4を併設した横型のケーシングとして具体化してもよい。
また、上記第1実施形態では、撹拌リング22内に尿素水溶液を噴射するように噴射ノズル23を配設し、第2実施形態では、第1流路32内に尿素水溶液を噴射するように噴射ノズル23を配設した。これらの構成は、排ガスの移送経路長を延長化するための最も望ましい態様であるが、必ずしもこれに限ることはなく、折返室15内の上記以外の箇所に噴射ノズル23を配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す断面図である。
【図2】同じく排気浄化装置を示す図1のII−II線断面図である。
【図3】同じく折返室内での排ガスの移送経路を示す図1のIII−III線断面図である。
【図4】折返室内での排ガスの移送経路を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態のエンジンの排気浄化装置を示す断面図である。
【図6】同じく排気浄化装置を示す図5のXI−XI線断面図である。
【図7】同じく折返室内での排ガスの移送経路を示す図5のXII−XII線断面図である。
【図8】折返室内での排ガスの移送経路を示す斜視図である。
【図9】特許文献1に記載された排気浄化装置を示す断面図である。
【図10】同じく排気浄化装置を示す図9のX−X線断面図である。
【図11】同じく折返室内での排ガスの移送経路を示す図9のXI−XI線断面図である。
【図12】折返室内での排ガスの移送経路を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
2 ケーシング
5 前段酸化触媒(上流側後処理装置)
6 DPF(上流側後処理装置)
7 後段酸化触媒(下流側後処理装置)
8 NOx触媒(下流側後処理装置)
10 拡張室
11 導入管
12 排出管
15 折返室
16,31 第1ガイド板
17,32 第1流路
18,33 第2流路
19,34 上流側連通路
20,35 第2ガイド板
21,36 下流側連通路
22 撹拌リング
22a 孔
23 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に収容されて少なくともパティキュレート捕集用のフィルタを含み、一端がエンジン側と接続された上流側後処理装置と、
上記ケーシング内に上記上流側後処理装置と並列して収容されて少なくとも選択還元型NOx触媒を含み、一端が排気下流側と接続された下流側後処理装置と、
上記ケーシング内において上記上流側後処理装置及び下流側後処理装置の他端に形成されて、上記フィルタ及び上記NOx触媒が内部に開口する折返室と、
上記折返室内の上記フィルタの開口部に配設されて、該フィルタを流通後の排ガスの移送方向を変更する第1ガイド板と、
上記折返室内の上記フィルタ側と上記NOx触媒側との間に配設され、上記フィルタを流通後の排ガスの直接的なNOx触媒側への移送を規制する第2ガイド板と、
上記折返室内の一側に配設され、尿素水溶液を噴射する噴射ノズルと
を備えたことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
【請求項2】
上記第1ガイド板は、上記折返室内の上記フィルタの開口部近傍をフィルタ側の第1流路と反フィルタ側の第2流路とに区画すると共に、一側に上記第1流路及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、
上記第2ガイド板は、上記第1ガイド板の上記NOx触媒側に配設されて上記折返室を上記フィルタ側と上記NOx触媒側とに区画すると共に、上記上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して上記第2流路を上記折返室のNOx触媒側と連通させることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項3】
上記第1ガイド板は、上記折返室内の上記フィルタの開口部近傍をフィルタ側の第1流路と反フィルタ側の第2流路とに区画すると共に、一側に上記第1流路及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、
上記第2ガイド板は、上記第1ガイド板の上記NOx触媒側に配設されて上記折返室を上記フィルタ側と上記NOx触媒側とに区画すると共に、上記上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して上記第2流路を上記折返室のNOx触媒側と連通させ、
上記第1流路には、上記フィルタの開口部から連続するように環状の撹拌リングが配設され、該撹拌リングの上記上流側連通路側には多数の孔が形成され、該撹拌リングの反上流側連通路側に上記噴射ノズルが配設されていることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項4】
上記第1ガイド板は、上記折返室内の上記フィルタの開口部近傍を反NOx触媒側の第1流路とNOx触媒側の第2流路とに区画すると共に、一側に上記第1及び第2流路を連通させる上流側連通路を形成し、
上記第2ガイド板は、上記第1ガイド板の上記NOx触媒側で該第1ガイド板に対して略平行で互い違いとなるように配設され、上記折返室を上記フィルタ側と上記NOx触媒側とに区画すると共に、上記上流側連通路の反対側に形成した下流側連通路を介して上記第2流路を上記折返室のNOx触媒側と連通させることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項5】
ケーシング内に収容されて少なくともパティキュレート捕集用のフィルタを含む上流側後処理装置と、
上記ケーシング内に上記上流側後処理装置と並列して収容されて少なくとも選択還元型NOx触媒を含む下流側後処理装置と、
上記ケーシング内において上記上流側後処理装置及び下流側後処理装置の一端に形成されて、両後処理装置を相互に連通させる折返室と、
上記折返室内の一側に配設され、尿素水溶液を噴射する噴射ノズルと、
上記ケーシング内において上記上流側後処理装置及び下流側後処理装置の他端に形成されて、上記上流側後処理装置と連通すると共に、上記下流側後処理装置に対して閉塞する拡張室と、
上記拡張室の上記下流側後処理装置側に接続され、エンジンからの排ガスを拡張室内に導入する導入管と、
上記拡張室内で上記下流側後処理装置に一端を接続され、通路断面を縮小しながら上記拡張室内を貫通して他端を上記ケーシング外壁に開口させる集合室と、
上記ケーシング外壁に開口する上記集合室の他端に接続されて、該集合室を経て上記下流側後処理装置を流通後の排ガスを排気下流側に移送する排出管と
を備えたことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−103034(P2009−103034A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275043(P2007−275043)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】