説明

エンジンアンダカバー取付構造

【課題】 エンジンアンダカバーの前端部の垂れ下がりを防止する。
【解決手段】 フロントバンパ11のバンパーカバー12の開口部14にはラジエータグリル28が車体上下方向に沿って取付けられている。また、ラジエータグリル28の下部28Bにはスリット60形成されており、このスリット60には、エンジンアンダカバー40の前端部に設けたピン部56が挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両に取付けられるエンジンアンダカバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両のエンジンアンダカバー取付構造においては、クロスメンバに固定されたエンジンアンダカバーの前部を前方に延設し、この延設部位をバンパーカバー(バンパーフェースともいう)下部の取付用のブラケットとして形成した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−264741号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のエンジンアンダカバー取付構造では、エンジンアンダカバーにおけるクロスメンバよりも車体前方の前部が、バンパーカバーの下部にのみ固定されている。この結果、エンジンアンダカバーの前部における車体前後方向の長さが長い場合には、エンジンアンダカバーの剛性に対して、エンジンアンダカバーの前部の自重が重くなり、バンパーカバーの下部のみでは、エンジンアンダカバーの前部を支持できなくなる。このため、エンジンアンダカバーの前端部が下方へ垂れ下がる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、エンジンアンダカバーの前端部の垂れ下がりを防止できるエンジンアンダカバー取付構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、バンパーと、前記バンパーに設けられた開口部に取付けられたラジエータグリルと、エンジンルーム下方を覆うと共に、前端部が前記ラジエータグリルに支持されたエンジンアンダカバーと、を有することを特徴とする。
【0006】
車体前方へ延長されたエンジンアンダカバーの前部は、その重量がエンジンアンダカバーの前端部が支持されたラジエータグリルを介してバンパーに支持される。このため、エンジンアンダカバーの前端部の下方への変形は少ない。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のエンジンアンダカバー取付構造において、前記エンジンアンダカバーの前端部に形成された凹部と、前記凹部の車体後方側端部に取付けられ、車体前方へ向って延びる係合凸部と、前記ラジエータグリルに形成され前記係合凸部を支持する支持部と、前記凹部内に車体前後方向に沿って設けられ、前記凹部を車体前後方向の圧縮荷重に対して補強する補強手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
ラジエータグリルに形成された支持部に支持される係合凸部が形成されたエンジンアンダカバーの凹部内に車体前後方向に沿って設けられ、凹部を車体前後方向の圧縮荷重に対して補強する補強手段によって、エンジンアンダカバーの凹部における車体前後方向の潰れに対する剛性が向上する。このため、前突時にフロントバンパーにおけるエンジンアンダカバーの凹部と対向する部位に歩行者の足が当接した際に、エンジンアンダカバーの凹部の衝突エネルギ吸収部性能が低下するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明は、エンジンアンダカバーの前端部の垂れ下がりを防止できるという優れた効果を有する。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前突時の歩行者保護性能を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0012】
なお、図中矢印FRは車体前方方向を、矢印UPは車体上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0013】
図4に示される如く、本実施形態における自動車車体10の前端下部には、フロントバンパー11が車幅方向に沿って取付けられており、フロントバンパー11のバンパーカバー12は樹脂材料で構成されている。また、バンパーカバー12はバンパーリインフォースメント等を覆っており、フロントバンパー11の意匠面を構成している。なお、バンパーカバー12はラジエータサポートアッパ等に固定されている。
【0014】
バンパーカバー12の下部12Aには、左右一対の開口部14が形成されている。これらの開口部14は、車幅方向に沿った長孔となっており、これらの開口部14にはラジエータ(ロア)グリル28が車体上下方向に沿って取付けられている。また、バンパーカバー12の下部12Aにおける車幅方向中央部には、ナンバープレート取付部16が形成されている。
【0015】
図1に示される如く、バンパーカバー12における開口部14の上部には、上壁部14Aが車体前方から車体後方へ向かって形成されている。上壁部14Aの後端部には、車体後側へ向かって突出した爪部14Bが形成されており、爪部14Bは下方側へ凸形状となっている。
【0016】
また、バンパーカバー12における開口部14の下部には、下壁部14Cが車体前方から車体後方へ向かって形成されいる。下壁部14Cの後端部には、車体後側へ向かって突出した爪部14Dが形成されており、爪部14Dは上方側へ凸形状となっている。
【0017】
また、車体のエンジンルーム18の前部には、ラジエータ20が取付けられており、ラジエータ20の下部20Aは、ラジエータサポートロア22に固定されている。
【0018】
図2に示される如く、ラジエータサポートロア22は、車幅方向に沿った長尺状とされており、プレス加工等によって、車幅方向から見た断面形状が、車体上方に向かって突出したハット断面形状とされている。なお、ラジエータ20の上部は図示を省略したラジエータサポートアッパに固定されており、ラジエータサポートアッパとラジエータサポートロア22とは図示を省略したフロントサイドメンバ等の車体骨格部材に支持されている。
【0019】
ラジエータサポートロア22の前フランジ22Aには、貫通孔24が車幅方向に沿って所定の間隔で複数形成されており、ラジエータサポートロア22の後フランジ22Bにも、貫通孔26が車幅方向に沿って所定の間隔で複数形成されている。
【0020】
図1に示される如く、ラジエータ20の車体前方側には、バンパーカバー12に取付けられた前記ラジエータグリル28が配設されている。また、ラジエータグリル28の上部28Aには、複数の開口部30が形成されており、開口部30の形状はスリット状、蜂の巣形状等の各種形状になっている。
【0021】
ラジエータグリル28の上部28Aにおける上端部には、係止部34が車幅方向に沿って所定の間隔で複数形成されている。この係止部34はスリット形状になっており、バンパーカバー12の爪部14Bが車体前方側から車体後方側に向かって挿通され、係止部34の後端下部34Aに爪部14Bが係止されている。
【0022】
ラジエータグリル28の上部28Aにおける下端部には、係止部36が車幅方向に沿って所定の間隔で複数形成されている。この係止部36はスリット形状になっており、バンパーカバー12の爪部14Dが車体前方側から車体後方側に向かって挿通され、係止部36の後端上部36Aに爪部14Dが係止されている。
【0023】
また、ラジエータグリル28の下部28Bは車体上方から車体下方に向かって延びる縦壁部となっており、ラジエータグリル28の下部28Bにおける車幅方向両端近傍と車幅方向中央部には、車体下方に向かって支持部としてのラジエータグリル側取付部28Cが形成されている。
【0024】
エンジンルーム18の下方側には、エンジンアンダカバー40が配設されており、エンジンアンダカバー40は樹脂材等で板状に形成され、エンジンルーム18を車体下方側から覆っている。
【0025】
図2に示される如く、エンジンアンダカバー40の前方側の固定部40Aには、貫通孔42が車幅方向に沿って所定の間隔で形成されており、貫通孔42の車体後方側には貫通孔44が車幅方向に沿って所定の間隔で形成されている。
【0026】
図1に示される如く、エンジンアンダカバー40の貫通孔42とラジエータサポートロア22の貫通孔24には、車体下方側から車体上方側に向かってボルト48が挿通されており、これらのボルト48には、車体上方側からナット49が螺合されている。また、エンジンアンダカバー40の貫通孔44とラジエータサポートロア22の貫通孔26には、車体下方側から車体上方側に向かってボルト50が挿通されており、これらのボルト50には、車体上方側からナット51が螺合されている。
【0027】
従って、エンジンアンダカバー40の固定部40Aは、ボルト48、50とナット49、51とによってラジエータサポートロア22に固定されている。
【0028】
図2に示される如く、エンジンアンダカバー40における固定部40Aより車体前方側となる前部40Bには、リブ54が車体上方に向かって立設されている。リブ54は車幅方向に沿った横リブ55と車体前後方向に沿った縦リブ57とで格子形状となっており、縦リブ57の後端部57Aは、最後部の横リブ55から車体後方側に突出している。
【0029】
図1に示される如く、縦リブ57の後端部57Aの車幅方向から見た側面形状は三角形状となっている。
【0030】
図2に示される如く、最前端の横リブ55は、エンジンアンダカバー40の前壁部40Cを構成している。
【0031】
図3に示される如く、エンジンアンダカバー40の車幅方向両端近傍と車幅方向中央部には、車体前方側から凹部59がそれぞれ形成されており、これらの凹部59の底部59Aは、横リブ55で構成されている。
【0032】
各凹部59の底部59Aには、係合凸部としてのピン部56が車体前方へ向かって突出形成されている。ピン部56の車体前方から見た正面視形状は、上下方向に長い矩形状となっており、上下方向に作用する荷重に対して変形し難く構造となっている。また、ピン部56の車幅方向から見た側面視形状は、先端部が上辺に比べ下辺が長い三角形状となっており、後述する係止孔60に挿入し易く、且つ係止孔60に係止される下辺が前後方向に長く、外れ難い構成になっている。
【0033】
なお、エンジンアンダカバー40におけるピン部56の後方近傍には貫通孔58が形成されている。
【0034】
図1に示される如く、エンジンアンダカバー40のピン部56と対向するラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Cの部位には、係止孔60が形成されている。また、これらの係止孔60には、車体後方側から車体前方側へ向かって、エンジンアンダカバー40のピン部56が挿入されている。
【0035】
従って、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図1の矢印A方向)へ移動しようとした場合には、エンジンアンダカバー40のピン部56がラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Cに形成した係止孔60の下部60Aによって支えられ、その重量が、ラジエータグリル28を介してバンパーカバー12に支持され、バンパーカバー12が固定されたラジエータサポートアッパ等に伝達されるようになっている。
【0036】
図2に示される如く、バンパーカバー12における開口部14より下方側となる下端部12Bは、車幅方向から見た断面形状が開口部を車体後方へ向けたU字状となっている。また、下端部12Bの下壁部12Cには、連結部12Dが車体後側斜め上方へ向かって形成されており、連結部12Dは帯状となっている。
【0037】
図1に示される如く、バンパーカバー12の連結部12Dの根元部にはインテグラルヒンジ62が形成されており、連結部12Dはインテグラルヒンジ62によって、上方(図1の矢印B方向)と、下方(図1の矢印C方向)へ回転可能となっている。
【0038】
従って、バンパーカバー12の連結部12Dはインテグラルヒンジ62を中心に図1に二点鎖線で示す下方の型抜き位置(製品位置)から、図1に実線で示す上方の取付位置へ移動可能となっている。
【0039】
図2に示される如く、バンパーカバー12の連結部12Dの後端部12Eには貫通孔66が形成されている。
【0040】
図1に示される如く、バンパーカバー12の貫通孔66とエンジンアンダカバー40の貫通孔58には、車体下方側から車体上方側に向かってボルト77が挿通されており、ボルト77には、車体上方側からナット79が螺合されている。
【0041】
従って、バンパーカバー12の下部12Aにおける連結部12Dの後端部12Eは、エンジンアンダカバー40の前部40Bに、ボルト77とナット79とによって固定されており、バンパーカバー12の下部12Aの上下方向位置と車体前後方向位置を決めている。
【0042】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0043】
本実施形態では、エンジンアンダカバー40を車体へ組付ける際に、エンジンアンダカバー40の固定部40Aが、ボルト48、50とナット49、51とによってラジエータサポートロア22に固定される。また、ラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Cに形成された係止孔60にエンジンアンダカバー40のピン部56が挿入され、その後、バンパーカバー12の連結部12Dの根元部に形成したインテグラルヒンジ62を中心にして、バンパーカバー12の連結部12Dを図1に二点鎖線で示す下方位置(型抜き位置)から図1に実線で示す取付位置へ移動し、ボルト77とナット79とによってエンジンアンダカバー40に固定する。
【0044】
この結果、エンジンアンダカバー40の前部40Bの長さ、例えば、貫通孔42から貫通孔58までの長さLを長くした場合には、エンジンアンダカバー40の剛性に対して、エンジンアンダカバー40の前部40Bの自重が重くなり、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図1の矢印A方向)へ移動しようとする。
【0045】
この際、エンジンアンダカバー40のピン部56がラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Cに形成した係止孔60の下部60Aに支持される。この結果、車体前方へ延長されたエンジンアンダカバー40の前部40Bは、その重量がエンジンアンダカバー40の前端部が支持されたラジエータグリル28を介してバンパーカバー12に支持される。
【0046】
よって、エンジンアンダカバー40の前端部が下方へ変形し難くなり、エンジンアンダカバー40の前端部の垂れ下がりを防止することができる。
【0047】
また、エンジンアンダカバー40の前端部の垂れ下がりを防止することができるため、車体前部のアプローチアングル、即ち、車体前部下端(バンパーカバー12の下端)から前輪タイヤの外周に引いた接線が地面となす最小角度が、減少するのを防止できる。また、バンパーカバー12の下壁部12Cの垂れ下がりにより、前突時に歩行者の足に当接した際の反発力が低下するのを抑制できるので、前突時の歩行者保護性能を向上できる。更に、バンパーカバー12の下壁部12Cの垂れ下がりにより、車体前方側からボルト77が見えるという不具合も防止できる。
【0048】
次に、本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第2実施形態を図5に従って説明する。
【0049】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図5に示される如く、本実施形態では、エンジンアンダカバー40における各凹部59の底部59Aの上端部に取付フランジ40Dが車体前方へ向かって形成されており、取付フランジ40Dには貫通孔82が形成されている。
【0051】
一方、ラジエータグリル28の下部28Bにおける車幅方向両端近傍と車幅方向中央部には、取付フランジ28Dが車体後方へ向かって形成されており、取付フランジ28Dには貫通孔84が形成されている。
【0052】
ラジエータグリル28の取付フランジ28Dの貫通孔84とエンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dの貫通孔82には、車体下方側から車体上方側に向かってボルト86が貫通されている。ボルト86には車体上方側からナット87が螺合されており、ラジエータグリル28の取付フランジ28Dとエンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dとが結合されている。
【0053】
従って、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図5の矢印A方向)へ移動しようとした場合には、エンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dがラジエータグリル28の取付フランジ28Dに支持されるようになっている。
【0054】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0055】
本実施形態では、エンジンアンダカバー40を車体へ組付ける際に、エンジンアンダカバー40の固定部40Aが、ボルト48、50とナット49、51とによってラジエータサポートロア22に固定される。また、ボルト86とナット87とによって、ラジエータグリル28の取付フランジ28Dとエンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dとが結合され、その後、バンパーカバー12の連結部12Dの根元部に形成したインテグラルヒンジ62を中心にして、バンパーカバー12の連結部12Dを図5に二点鎖線で示す下方位置(型抜き位置)から図5に実線で示す取付位置へ移動し、ボルト77とナット79とによってエンジンアンダカバー40に固定する。
【0056】
この結果、第1実施形態と同様に、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図5の矢印A方向)へ移動しようとした場合には、エンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dがラジエータグリル28の取付フランジ28Dに支持される。この結果、車体前方へ延長されたエンジンアンダカバー40の前部40Bは、その重量がエンジンアンダカバー40の前端部が支持されたラジエータグリル28を介してバンパーカバー12に支持される。
【0057】
よって、エンジンアンダカバー40の前端部が下方へ変形し難くなり、エンジンアンダカバー40の前端部の垂れ下がりを防止することができる。
【0058】
次に、本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第3実施形態を図6に従って説明する。
【0059】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図6に示される如く、本実施形態では、エンジンアンダカバー40における各凹部59の底部59Aの上端部に取付フランジ40Dが車体前方へ向かって形成されている。
【0061】
一方、ラジエータグリル28の下部28Bにおける車幅方向両端近傍と車幅方向中央部には、ラジエータグリル側取付部28Eが車体後方へ向かって形成されている。また、ラジエータグリル側取付部28Eは、側面視形状が開口部を車体後方へ向けた略コ字状となっており、後端部はハ字状に開いている。
【0062】
ラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Eには、車体後方側から車体前方側に向かってエンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dが挿入されている。
【0063】
従って、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図6の矢印A方向)へ移動しようとした場合には、エンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dがラジエータグリル28の下部28Bに形成したラジエータグリル側取付部28Eの下部28Fに支持されるようになっている。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
本実施形態では、エンジンアンダカバー40を車体へ組付ける際に、エンジンアンダカバー40の固定部40Aが、ボルト48、50とナット49、51とによってラジエータサポートロア22に固定される。また、ラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Eには、車体後方側から車体前方側に向かってエンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dが挿入され、その後、バンパーカバー12の連結部12Dの根元部に形成したインテグラルヒンジ62を中心にして、バンパーカバー12の連結部12Dを図6に二点鎖線で示す下方位置(型抜き位置)から図6に実線で示す取付位置へ移動し、ボルト77とナット79とによってエンジンアンダカバー40に固定する。
【0066】
この結果、第1実施形態と同様に、エンジンアンダカバー40の前部40Bが下方(図6の矢印A方向)へ移動しようとした場合には、エンジンアンダカバー40の取付フランジ40Dが、ラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Eの下部28Fに支持される。この結果、車体前方へ延長されたエンジンアンダカバー40の前部40Bは、その重量がエンジンアンダカバー40の前端部が支持されたラジエータグリル28を介してバンパーカバー12に支持される。
【0067】
よって、エンジンアンダカバー40の前端部が下方へ変形し難くなり、エンジンアンダカバー40の前端部の垂れ下がりを防止することができる。
【0068】
次に、本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第4実施形態を図7及び図8に従って説明する。
【0069】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図8に示される如く、本実施形態では、第1実施形態と異なり、エンジンアンダカバー40の各凹部59に挿入されるラジエータグリル側取付部28Cの周縁部に補強手段としてのリブ(板状または薄肉の部分を補強するために補う部材)70が一体成形されており、板状のリブ70は上下左右の壁部を有し車体前後方向両端部が開口した矩形枠状となっている。また、リブ70は、ラジエータグリル28のラジエータグリル側取付部28Cに形成した係止孔60を取り囲むように形成されており、ラジエータグリル側取付部28Cから車体前方に向って延びている。
【0071】
図7に示される如く、リブ70の前端部70Aは、エンジンアンダカバー40のピン部56の先端部56Aより車体前方へ達している。また、リブ70の前端部70Aは、エンジンアンダカバー40の前壁部(一般断面部)40Cと同じ前後方向位置となっていると共に、バンパリインフォースメント72の前面72Aに固定された緩衝体74の前面74Aと同じ前後方向位置となっている。
【0072】
従って、バンパ組付け状態では、ラジエータグリル28に形成したリブ70がエンジンアンダカバー40の凹部59内に設けられるようになっている。この結果、リブ70によって凹部59を形成した部位における車体前後方向の潰れに対する剛性が向上し、凹部59を形成していない他の部位と略同じ剛性になる。このため、前突時にフロントバンパー11におけるエンジンアンダカバー40の各凹部59と対向する部位に歩行者の足が当接した際に、この部位の衝突エネルギ吸収部性能が低下するのを抑制できるようになっている。
【0073】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0074】
本実施形態では、エンジンアンダカバー40の各凹部59に挿入されるラジエータグリル側取付部28Cの周縁部に車体前後方向に沿ったリブ70を形成したため、リブ70によってエンジンアンダカバー40の凹部59の車体前後方向の潰れに対する剛性が向上し、凹部59を形成していないエンジンアンダカバー40の前壁部40Cの他の部位と略同じ剛性になる。この結果、前突時にフロントバンパー11におけるエンジンアンダカバー40の凹部59と対向する部位に歩行者の足が当接した際に、この部位の衝突エネルギ吸収部性能が低下するのを抑制できる。このため、前突時の歩行者保護性能を向上できる。
【0075】
次に、本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第5実施形態を図9に従って説明する。
【0076】
なお、第4実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図9に示される如く、本実施形態では、第4実施形態と異なり、板状のリブ70の車体前後方向から見た形状が、車体上方が開口したU字状となっている。
【0078】
このため、第4実施形態の作用効果に加えて、リブ70を軽量化できる。
【0079】
次に、本発明におけるエンジンアンダカバー取付構造の第6実施形態を図10及び図11に従って説明する。
【0080】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図10に示される如く、本実施形態では、第1実施形態と異なり、バンパーカバー12側に補強手段としての板状のリブ80が一体成形されている。リブ80はバンパーカバー12に形成された開口部14の下壁部14Cとバンパーカバー12の下壁部12Cとを連結する壁状となっている。また、リブ80はその幅方向(図10の矢印W方向)を車体前後方向にして配置されており、エンジンアンダカバー40の各凹部59内を車体上下方向へ通過している。
【0082】
リブ80の前端部80Aは、エンジンアンダカバー40のピン部56の先端部56Aより車体前方へ達している。また、リブ80の前端部80Aは、エンジンアンダカバー40の前壁部(一般断面部)40Cと同じ前後方向位置となっていると共に、バンパリインフォースメント72の前面72Aに固定された緩衝体74の前面74Aと同じ前後方向位置となっている。一方、リブ80の後端部80Bは、ラジエータグリル側取付部28Cの近傍に達している。
【0083】
図11に示される如く、リブ80は、エンジンアンダカバー40のピン部56を挟んで2本配置されている。
【0084】
従って、バンパ組付け状態では、バンパーカバー12に形成したリブ80がエンジンアンダカバー40の凹部59内に設けられるようになっている。この結果、バンパーカバー12に形成したリブ80によってエンジンアンダカバー40の凹部59の車体前後方向の潰れに対する剛性が向上し、凹部59を形成していないエンジンアンダカバー40の前壁部40Cの他の部位と略同じ剛性になる。このため、前突時にフロントバンパー11におけるエンジンアンダカバー40の凹部59と対向する部位に歩行者の足が当接した際に、この部位の衝突エネルギ吸収部性能が低下するのを抑制できるようになっている。
【0085】
従って、第4実施形態と同様に本実施形態でも、前突時の歩行者保護性能を向上できる。
【0086】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、ボルト48、50、77とナット49、51、79に代えてクリップ等の他の固定部材を使用しても良い。
【0087】
また、第4、5実施形態では、リブ70をラジエータグリル28に一体成形したが、リブ70とラジエータグリル28とを別部品とし、リブ70をラジエータグリル側取付部28Cに接着等によって固定した構成としても良い。
【0088】
また、第6実施形態では、リブ80をバンパーカバー12に一体成形したが、リブ80とバンパーカバー12とを別部品とし、リブ80をバンパーカバー12に接着等によって固定した構成としても良い。
【0089】
また、補強手段としてのリブ部70、80を設ける部材はラジエータグリル28またはバンパーカバー12に限定されない。
【0090】
また、リブ70、80の形状は第4〜6実施形態の形状に限定されず他の形状としても良い。
【0091】
また、第6実施形態では、リブ80を2本配置したが、リブ80の数は1本でも3本以上でも良い。
【0092】
また、補強手段はリブ70、80に限定されず、ラジエータグリル28に形成された係止孔60に支持されるピン部56が形成されたエンジンアンダカバー40の凹部59内に車体前記後方向に沿って設けられ、凹部59を車体前後方向の圧縮荷重に対して補強する
他の補強手段でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図4の1−1線に沿った拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す車体斜め前方から見た分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造の一部を示す車体斜め後方上側から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造が適用された車体を示す車体斜め前方から見た斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図2に対応する斜視図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図2に対応する斜視図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係るエンジンアンダカバー取付構造を示す図2に対応する斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
10 自動車車体
11 フロントバンパー(バンパー)
12 バンパーカバー
14 バンパーカバーの開口部
22 ラジエータサポートロア
28 ラジエータグリル
28A ラジエータグリルの上部
28B ラジエータグリルの下部
28C ラジエータグリルのラジエータグリル側取付部(支持部)
28D ラジエータグリルの取付フランジ
28E ラジエータグリル側取付部
40 エンジンアンダカバー
40A エンジンアンダカバーの固定部
40B エンジンアンダカバーの前部
40C エンジンアンダカバーの縦壁部
40D エンジンアンダカバーの取付フランジ
56 ピン部(係合凸部)
60 係止孔
70 リブ(補強手段)
80 リブ(補強手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーと、
前記バンパーに設けられた開口部に取付けられたラジエータグリルと、
エンジンルーム下方を覆うと共に、前端部が前記ラジエータグリルに支持されたエンジンアンダカバーと、
を有することを特徴とするエンジンアンダカバーの取付構造。
【請求項2】
前記エンジンアンダカバーの前端部に形成された凹部と、
前記凹部の車体後方側端部に取付けられ、車体前方へ向って延びる係合凸部と、
前記ラジエータグリルに形成され前記係合凸部を支持する支持部と、
前記凹部内に車体前後方向に沿って設けられ、前記凹部を車体前後方向の圧縮荷重に対して補強する補強手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のエンジンアンダカバーの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−111249(P2006−111249A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72373(P2005−72373)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】