説明

エンジンシステム

【課題】コストの低減及び構成の簡素化を図り、燃料ガスの発熱量が大幅に変化しても混合気の空気比を所望の空気比に維持してエンジンを安定して運転させる。
【解決手段】エンジン出力が目標出力となるように混合気流量調整弁10の開度を制御するエンジン出力制御部H1と、混合気圧力が目標圧力となるように第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の開度を制御する混合気圧力制御部H2と、混合気圧力制御部H2による制御を行った状態での第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の開度情報に基づいて、ミキサー2に第1燃料ガスG1のみを供給する第1燃料ガス供給状態とミキサー2に第1燃料ガスG1と第2燃料ガスG2との混合燃料ガスを供給する混合燃料ガス供給状態との間での切換を行う燃料ガス供給状態切換制御部H3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して混合気を生成するミキサーと、そのミキサーにて生成された混合気をエンジンに供給する混合気供給路とを備え、前記燃料ガスとして、第1発熱量を有する第1燃料ガス、又は、その第1発熱量よりも高い第2発熱量を有する第2燃料ガスと前記第1燃料ガスとを混合させた混合燃料ガスを用い、前記混合気供給路にて供給される混合気を燃焼させてエンジンを運転させるエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなエンジンシステムでは、例えば、燃料ガスとして、第1燃料ガスであるバイオガスを用い、このバイオガスと燃焼用空気とを混合させた混合気をエンジンに供給して燃焼させるものがある。しかしながら、バイオガスは、その発生条件により発熱量が変動することから、所望のエンジン出力を得ることができながら、エンジンを安定して運転させるのは困難であった。例えば、エンジンに希薄混合気(燃料ガス濃度の薄い混合気)を供給して燃焼させる希薄エンジンでは、エンジンに供給する混合気の空気比が所望の空気比よりも希薄になりすぎると失火が発生し、逆に、所望の空気比よりも過濃となると排ガス中のNOx濃度が高くなりすぎるという問題が発生する。よって、所望のエンジン出力を得ながら安定してエンジンを運転させるために、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することが求められるが、燃料ガスの発熱量が変動することで、その燃料ガスの理論空気量も変動することから、例えば、燃料ガスと燃焼用空気との流量比を一定とするだけでは、エンジンに供給する混合気の空気比が所望の空気比から外れてしまい、上述のような問題が発生する。
【0003】
そこで、従来、発熱量が変動する燃料ガスを用いた場合でも、上述のような問題の発生を防止するために、燃料ガス供給路にてミキサーに供給する燃料ガスの供給量を調整自在な燃料ガス量調整弁を備え、エンジンに供給する混合気圧力がエンジン出力に対して予め定められた目標圧力となるように燃料ガス量調整弁の開度を制御しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のエンジンシステムでは、燃料ガスとして、第1燃料ガスである炭鉱メタンガスを用いた場合を示しているが、燃料ガスとして、第1燃料ガスであるバイオガスを用いた場合においても、上述のような問題の発生を防止するために有用なものとなっている。
【0004】
また、別の従来のエンジンシステムでは、燃料ガスとして、第1燃料ガスであるバイオガスと第2燃料ガスである都市ガスとの2種類の燃料ガスを混合させた混合燃料ガスを用い、その混合燃料ガスと燃焼用空気とを混合させた混合気をエンジンに供給して燃焼させるものもある(例えば、特許文献2参照。)。
この特許文献2に記載のシステムでは、バイオガスと都市ガスとを混合させた混合燃料ガスをミキサーに供給する混合燃料ガス供給路と、その混合燃料ガス供給路にてミキサーに供給する混合燃料ガスの流量を計測する流量計と、その混合燃料ガス供給路にてミキサーに供給する混合燃料ガスの流量を調整自在な燃料制御弁とを備えている。そして、エンジンにて駆動される発電機の発電量を所定の目標発電量とするように、エンジンに供給する混合気の流量を調整自在なスロットルバルブの開度を制御するとともに、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持するように燃料制御弁の開度を制御している。燃料制御弁の開度の制御については、エンジンにて駆動される発電機の発電量を用いて、エンジンにて消費される単位時間当たりの想定消費熱量を求め、その求めた想定消費熱量と流量計にて計測した流量とを用いて、混合燃料ガスの単位体積当たりの想定発熱量を求め、その求めた想定発熱量から求められる目標開度になるように燃料制御弁の開度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4452092号公報
【特許文献2】特開2010−71220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のシステムでは、燃料ガスの発熱量が変動しても、エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように燃料ガス量調整弁の開度を制御することで、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持するようにしている。しかしながら、燃料ガスの発熱量が大幅に変化した場合には、燃料ガス量調整弁の開度を調整するだけではエンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができない。すなわち、燃料ガスの発熱量が低下した場合には、燃料ガス量調整弁の開度を開き側に調整することになるが、燃料ガスの発熱量が大幅に低下した場合には、燃料ガス量調整弁の開度を全開に調整しても、エンジンに供給する混合気圧力を目標圧力とすることができなくなる。その結果、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができず、失火の発生や排ガス中のNOx濃度が高くなりすぎるという問題が発生して、エンジンを安定して運転させることができなくなる。よって、エンジンを安定して運転させるためには、燃料ガスの発熱量の範囲が狭い範囲に制限されるという問題があり、燃料ガスの発熱量が大幅に低下した場合には、エンジンの運転を停止せざるを得ない状況になってしまう。
【0007】
上記特許文献2に記載のシステムでは、混合燃料ガスの発熱量が大幅に変化した場合に、例えば、バイオガスのミキサーへの供給を停止させ、都市ガスのみをミキサーに供給して燃料ガスを都市ガスのみとすることで、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができる。しかしながら、上記特許文献2に記載のシステムでは、基本的には、燃料ガスを、バイオガスと都市ガスとを混合させた混合燃料ガスとするものであり、この混合燃料ガスと燃焼用空気との混合気をエンジンに供給して燃焼させるようにしている。このように、バイオガスと都市ガスとの混合燃料ガスを用いる場合に、混合燃料ガス供給路に流量計を備え、その流量計にて計測した混合燃料ガスの流量を用いて燃料制御弁の開度を制御することで、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持するようにしている。それ故に、高価な流量計を備えなければならず、コストアップを招くとともに、構成の複雑化を招くことになる。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、コストの低減及び構成の簡素化を図りながら、燃料ガスの発熱量が大幅に変化しても、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持でき、エンジンを安定して運転させることができるエンジンシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンシステムの特徴構成は、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して混合気を生成するミキサーと、そのミキサーにて生成された混合気をエンジンに供給する混合気供給路とを備え、前記燃料ガスとして、第1発熱量を有する第1燃料ガス、又は、その第1発熱量よりも高い第2発熱量を有する第2燃料ガスと前記第1燃料ガスとを混合させた混合燃料ガスを用い、前記混合気供給路にて供給される混合気を燃焼させてエンジンを運転させるエンジンシステムにおいて、
前記ミキサーとして、第1燃料ガス供給路にて供給する前記第1燃料ガス、又は、その第1燃料ガスと第2燃料ガス供給路にて供給する前記第2燃料ガスを混合させた混合燃料ガスと前記燃焼用空気とを混合させて混合気を生成する単一のミキサーが備えられ、前記第1燃料ガス供給路に備えられて、前記ミキサーに供給する前記第1燃料ガスの流量を調整自在な第1燃料ガス流量調整弁と、前記第2燃料ガス供給路に備えられて、前記ミキサーに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整自在な第2燃料ガス流量調整弁と、前記混合気供給路に備えられて、前記エンジンに供給する混合気の流量を調整自在な混合気流量調整弁と、エンジン出力が目標出力となるように前記混合気流量調整弁の開度を制御するエンジン出力制御部と、前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御する混合気圧力制御部と、前記ミキサーに対する燃料ガスの供給状態について、前記第1燃料ガス流量調整弁を開状態とし且つ前記第2燃料ガス流量調整弁を閉状態として前記ミキサーに前記第1燃料ガスのみを供給する第1燃料ガス供給状態と、前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者を開状態として前記ミキサーに前記第1燃料ガスと前記第2燃料ガスとの混合燃料ガスを供給する混合燃料ガス供給状態との間で切換自在であり、且つ、前記混合気圧力制御部による制御を行った状態での前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度情報に基づいて、前記第1燃料ガス供給状態と前記混合燃料ガス供給状態との間での切換を行う燃料ガス供給状態切換制御部とを備えている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態について、燃料ガス供給状態切換制御部が第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態との間での切換を行うことで、燃料ガスとして、第1燃料ガスのみを用いる場合と第1燃料ガスと第2燃料ガスの混合燃料ガスを用いる場合との間で切り換えながら、エンジンを運転させることができる。
そして、燃料ガス供給状態切換制御部が第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態とのどちらの供給状態に切り換えた場合でも、エンジン出力制御部が、エンジン出力が目標出力となるように混合気流量調整弁の開度を制御するので、エンジン出力を目標出力に維持して所望のエンジン出力を得ることができるとともに、混合気圧力制御部が、混合気圧力が目標圧力となるように第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するので、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができる。
【0011】
ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態との間で切り換える場合には、燃料ガス供給状態切換制御部が、混合気圧力制御部による制御を行った状態での第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の開度情報に基づいて、その切換を行うようにしている。例えば、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態に切り換えている場合に、燃料ガスの発熱量が大幅に低下すると、混合気圧力制御部による制御により、第2燃料ガス流量調整弁を閉状態に維持したまま、第1燃料ガス流量調整弁の開度が開き側に制御されることになる。したがって、燃料ガス供給状態切換制御部が、その第1燃料ガス流量調整弁の開度情報から、例えば、第1燃料ガス流量調整弁の開度がどのような開度に達しているか否かを把握することができる。そして、燃料ガス供給状態切換制御部が、例えば、第1燃料ガス流量調整弁の開度が全開よりも手前の設定開度に達していると判別すると、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態に切り換えることができる。これにより、第1燃料ガス流量調整弁の開度が全開に達する前に、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態に切り換えて、混合気圧力制御部による制御を行うことで、エンジンに供給する混合気圧力を目標圧力とすることができなくなるのを防止することができる。そして、上述の如く、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合でも、エンジン出力制御部による制御、及び、混合気圧力制御部による制御が行われ、エンジン出力を目標出力に維持して所望のエンジン出力を得ることができながら、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができる。
【0012】
したがって、燃料ガスの発熱量が大幅に変化した場合でも、燃料ガス供給状態切換制御部が、混合気圧力制御部による制御を行った状態での第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の開度情報に基づいて、第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態との間での切換を行うことで、エンジン出力を目標出力に維持して所望のエンジン出力を得ることができながら、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持することができ、エンジンを安定して運転させることができる。
しかも、本特徴構成によれば、特許文献2に記載のシステムの如く、第1燃料ガスと第2燃料ガスとの混合燃料ガスの流量を計測する高価な流量計を備えなくてもよく、それだけコストの低減及び構成の簡素化を図ることができる。しかも、ミキサーについても、複数備えるのではなく、単一のミキサーを備えているだけであるので、この点からも、コストの低減及び構成の簡素化を図ることができる。
【0013】
本発明に係るエンジンシステムの更なる特徴構成は、前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記第1燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記混合気圧力制御部による制御を行うことで前記第1燃料ガス流量調整弁の開度が開き側の開き設定開度に達すると、前記第1燃料ガス供給状態から前記混合燃料ガス供給状態への切換を行うように構成されている点にある。ここで、開き設定開度は、例えば、全開よりも手前の開度を予め設定することができる。
【0014】
燃料ガス供給状態切換制御部が、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態に切り換えた場合には、第1燃料ガス流量調整弁が開状態とされ、第2燃料ガス流量調整弁が閉状態とされるので、混合気圧力制御部による制御を行うと、第2燃料ガス流量調整弁を閉状態に維持したまま、混合気圧力が目標圧力になるように第1燃料ガス流量調整弁の開度が制御される。そこで、本特徴構成によれば、燃料ガス供給状態切換制御部は、第1燃料ガス流量調整弁の開度が開き側の開き設定開度に達すると、第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態への切換を行うので、第1燃料ガス流量調整弁の開度が全開に達する前に、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態に適切に切り換えることができ、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に適切に維持することができる。
【0015】
本発明に係るエンジンシステムの更なる特徴構成は、前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記混合気圧力制御部による制御を行うことで前記第2燃料ガス流量調整弁の開度又は前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度が閉じ側の閉じ設定開度に達すると、前記混合燃料ガス供給状態から前記第1燃料ガス供給状態への切換を行うように構成されている点にある。ここで、閉じ設定開度は、例えば、全閉よりも手前の開度を予め設定することができ、第1燃料ガス流量調整弁に対する閉じ設定開度と第2燃料ガス流量調整弁に対する閉じ設定開度とを同一開度又は異なる開度に設定することができる。
【0016】
ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、第1燃料ガスの発熱量が増加することがある。このときに、例えば、第1燃料ガス流量調整弁の開度を一定開度に固定して、混合気圧力が目標圧力になるように第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するように混合気圧力制御部による制御を行うと、第2燃料ガス流量調整弁の開度が閉じ側に制御されることになる。また、混合気圧力が目標圧力になるように第1燃料ガス流量調整弁と第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を制御するように混合気圧力制御部による制御を行う場合には、第1燃料ガス流量調整弁と第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度が閉じ側に制御される。
そこで、本特徴構成によれば、燃料ガス供給状態切換制御部が、混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、第2燃料ガス流量調整弁の開度又は第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度が閉じ側の閉じ設定開度に達すると、混合燃料ガス供給状態から第1燃料ガス供給状態への切換を行うので、第1燃料ガス流量調整弁や第2燃料ガス流量調整弁の開度が全閉に達する前に、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態から第1燃料ガス供給状態に適切に切り換えることができ、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に適切に維持することができる。
【0017】
本発明に係るエンジンシステムの更なる特徴構成は、前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記第1燃料ガス供給状態から前記混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を予め定めた混合燃料ガス目標開度とするように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を制御した後、前記混合気圧力制御部により前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するように構成されている点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、混合気圧力制御部による制御を一旦中断させて、まず、第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を予め定めた混合燃料ガス目標開度に制御して混合燃料ガス供給状態に切り換えるので、混合燃料ガス供給状態への切換をスムーズに行うことができる。そして、第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を予め定めた混合燃料ガス目標開度とした状態において、混合気圧力制御部が、混合気圧力が目標圧力となるように第1燃料ガス流量調整弁及び第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御しているので、混合燃料ガス目標開度から、混合気圧力を目標圧力とするための開度への制御をスムーズに行うことができる。したがって、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持できる安定した状態に比較的早く移行することができる。
【0019】
本発明に係るエンジンシステムの更なる特徴構成は、前記混合気圧力制御部は、前記燃料ガス供給状態切換制御部にて前記混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記第1燃料ガス流量調整弁の開度を予め設定された固定用設定開度に固定させ、且つ、前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するように構成されている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、ミキサーに対する燃料ガスの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、混合気圧力制御部が、第1燃料ガス流量調整弁の開度を固定用設定開度に固定させて、ミキサーに対する第1燃料ガスの流量を一定流量としながら、混合気圧力が目標圧力となるように第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御して、ミキサーに対する第2燃料ガスの流量を制御している。したがって、第2燃料ガスよりも発熱量の小さい第1燃料ガスを有効に活用しながら、第1燃料ガスと第2燃料ガスを混合させた混合燃料ガスを用いてエンジンを運転させることができ、その第1燃料ガスの発熱量が変化した場合でも、第2燃料ガスの流量を制御して混合気圧力を目標圧力とし、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持して安定した運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】エンジンシステムの概略構成図
【図2】混合気圧力制御及び燃料ガス供給状態切換制御の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るエンジンシステムの実施形態を図面に基づいて説明する。
このエンジンシステム100は、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを混合して混合気Mを生成するミキサー2と、そのミキサー2にて混合された混合気Mをエンジン1に供給する混合気供給路3とを備えている。このエンジンシステム100では、エンジン1に供給する燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合気Mを燃料ガス濃度の薄い希薄混合気としている。そして、エンジンシステム100は、エンジン1に供給する燃料ガスGとして、第1発熱量を有する第1燃料ガスG1と第1発熱量よりも高い第2発熱量を有する第2燃料ガスG2との混合燃料ガス、及び、第1燃料ガスG1のみの2種類の燃料ガスを用いることができるように構成されている。第1燃料ガスG1は、例えば、下水汚泥や有機性工場廃水等のバイオマスを嫌気性発酵させることにより得られるバイオガスとしており、第2燃料ガスG2は、例えば、都市ガスとしている。
【0023】
エンジンシステム100は、燃焼用空気Aをミキサー2に供給する燃焼用空気供給路4と、第1燃料ガスG1をミキサー2に供給する第1燃料ガス供給路5と、第2燃料ガスG2をミキサー2に供給する第2燃料ガス供給路6とを備えており、第1燃料ガス供給路5と第2燃料ガス供給路6とを合流させた合流部位にミキサー2が接続されている。ミキサー2として、第1燃料ガス供給路5にて供給する第1燃料ガスG1、又は、第2燃料ガス供給路6にて供給する第2燃料ガスG2と第1燃料ガスG1とを混合させた混合燃料ガスを燃焼用空気Aに混合させる単一のミキサー2が備えられている。ミキサー2の構成については、詳細な説明や図示を省略するが、燃焼用空気Aの流れに伴ってベンチュリーによる吸引作用にて吸引力を発生させ、その吸引力により燃焼用空気Aへ燃料ガスGを引き込んで、燃焼用空気Aと燃料ガスGとの混合気Mを生成するベンチュリー式にて構成されている。
【0024】
第1燃料ガス供給路5は、その上流側端部がバイオガス発生装置(図示省略)にて発生された第1燃料ガスG1(バイオガス)を貯留する第1燃料ガス貯留部7に接続されており、第1燃料ガス貯留部7に貯留されている第1燃料ガスG1をミキサー2に供給自在に構成されている。第1燃料ガス供給路5の途中部位には、ミキサー2に供給する第1燃料ガスG1の流量を調整自在な第1燃料ガス流量調整弁8が備えられている。
【0025】
第2燃料ガス供給路6の途中部位には、ミキサー2に供給する第2燃料ガスG2の流量を調整自在な第2燃料ガス流量調整弁9が備えられている。
混合気供給路3には、その混合気Mの通流方向の上流側から順に、エンジン1に供給する混合気の流量を調整自在な混合気流量調整弁10、混合気供給路3にてエンジン1に供給する混合気圧力を検出する混合気圧力センサ11が備えられている。
【0026】
このエンジンシステム100では、エンジン1を運転させることで、そのエンジン1のエンジン出力を得るようにしており、例えば、エンジン出力を駆動源として発電機を駆動させるようにしている。そして、エンジンシステム100には、エンジン出力を検出するエンジン出力検出手段12が備えられている。このエンジン出力検出手段12は、例えば、エンジン1の回転速度を検出する回転速度センサや、エンジン負荷を検出する負荷検出センサ等を備えており、それらセンサの検出情報からエンジン出力を検出するように構成されている。ここで、例えば、エンジン出力を駆動源として発電機を駆動させる場合には、その発電機の発電電力から、エンジン出力を検出することもできる。
【0027】
エンジンシステム100には、エンジン出力検出手段12の検出情報、及び、混合気圧力センサ11の検出情報が入力自在な制御装置Hが備えられており、その制御装置Hが、エンジンシステム100の運転を制御するように構成されている。そして、制御装置Hに、エンジン出力制御を行うエンジン出力制御部H1と、混合気圧力制御を行う混合気圧力制御部H2と、燃料ガス供給状態切換制御を行う燃料ガス供給状態切換制御部H3とが備えられている。
【0028】
エンジン出力制御部H1は、エンジン出力検出手段12にて検出したエンジン出力が目標出力となるように混合気流量調整弁10の開度を制御するエンジン出力制御を行うように構成されている。目標出力については、一定に設定する、又は、変更設定することができる。例えば、エンジン出力を駆動源として発電機を駆動させる場合には、電力消費機器の消費電力に応じて発電機の発電電力を変更させるので、発電機の発電電力に応じて目標出力を変更設定することができる。
【0029】
混合気圧力制御部H2は、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力となるように、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の開度を制御する混合気圧力制御を行うように構成されている。目標圧力については、エンジン1に供給する希薄混合気Mの空気比が所望の空気比(例えば、1.5〜2.0)となるように設定されており、エンジン出力が大きいほど目標圧力も大きくする等、エンジン出力に応じて目標圧力が設定されている。例えば、各エンジン出力に対して、希薄混合気の空気比を所望の空気比に維持するための混合気圧力を実験等により求めておき、その実験等により求めたエンジン出力と目標圧力との関係が予め設定されており、その関係を用いてエンジン出力に応じて目標圧力が設定される。
【0030】
燃料ガス供給状態切換制御部H3は、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態について、第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態との間で切換自在であり、且つ、混合気圧力制御部H2による制御を行った状態での第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の開度情報に基づいて、第1燃料ガス供給状態と混合燃料ガス供給状態との間での切換を行う燃料ガス供給状態切換制御を行うように構成されている。
第1燃料ガス供給状態では、第1燃料ガス流量調整弁8を開状態とし且つ第2燃料ガス流量調整弁9を閉状態として、ミキサー2に第1燃料ガスG1のみを供給している。混合燃料ガス供給状態では、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者を開状態として、ミキサー2に第1燃料ガスG1と第2燃料ガスG2との混合燃料ガスを供給している。
【0031】
以下、エンジン出力制御部H1によるエンジン出力制御、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御、及び、燃料ガス供給状態切換制御部H3による燃料ガス供給状態切換制御の動作について説明する。
【0032】
まず、エンジン出力制御部H1によるエンジン出力制御について説明する。
このエンジン出力制御は、エンジン出力を目標出力に維持するために行われており、エンジン1の運転中には、常時、エンジン出力制御部H1がエンジン出力制御を行うようにしている。
このエンジン出力制御では、エンジン出力検出手段12にて検出したエンジン出力が目標出力よりも小さい場合に、そのエンジン出力と目標出力との差に応じて、混合気流量調整弁10の開度を開き側に制御している。逆に、エンジン出力検出手段12にて検出したエンジン出力が目標出力よりも大きい場合には、そのエンジン出力と目標出力との差に応じて、混合気流量調整弁10の開度を閉じ側に制御している。このようにして、エンジン出力を目標出力に維持して所望のエンジン出力を得るようにしている。
【0033】
次に、図2のフローチャートに基づいて、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御、及び、燃料ガス供給状態切換制御部H3による燃料ガス供給状態切換制御の動作について説明する。
第1燃料ガス貯留部7に第1燃料ガスG1が貯留されている場合には、その第1燃料ガスG1をミキサー2に供給可能であるので、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を第1燃料ガス供給状態に切り換えている(ステップ#1)。このとき、燃料ガス供給状態切換制御部H3は、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を一旦中断させて、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を予め設定された第1燃料ガス目標開度(例えば、開度70%)とし、且つ、第2燃料ガス流量調整弁9を閉状態(開度0%)として、ミキサー2に第1燃料ガスG1のみを供給する第1燃料ガス供給状態に切り換えている。そして、燃料ガス供給状態切換制御部H3が第1燃料ガス供給状態に切り換えることで、燃料ガスGを第1燃料ガスG1のみとして、その第1燃料ガスG1と燃焼用空気Aとの混合気Mをエンジン1に供給して燃焼させてエンジン1を運転させている。
【0034】
燃料ガス供給状態切換制御部H3が第1燃料ガス供給状態への切換を行うと、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御の中断を解除して、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行う(ステップ#2)。この混合気圧力制御では、燃料ガス供給状態切換制御部H3による第1燃料ガス供給状態への切換により第2燃料ガス流量調整弁9を閉状態(開度0%)としているので、第2燃料ガス流量調整弁9を閉状態に維持して第1燃料ガス流量調整弁8の開度を制御している。つまり、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力よりも小さい場合に、その混合気圧力と目標圧力との差に応じて、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を閉じ側に制御している。逆に、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力よりも大きい場合に、その混合気圧力と目標圧力との差に応じて、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を開き側に制御している。これにより、希薄混合気Mの空気比を所望の空気比に維持して、失火の発生や排ガス中のNOx濃度が高くなりすぎるという問題の発生を防止している。
【0035】
このようにして、第1燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行うことで、第1燃料ガス流量調整弁8の開度が制御されるわけであるが、第1燃料ガスG1の発熱量の大幅な低下等により、その第1燃料ガス流量調整弁8の開度K1が開き側の開き設定開度Ka以上となると、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を、第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態へ切り換えるようにしている(ステップ#3のYesの場合、ステップ#4)。ここで、開き設定開度Kaについては、全開よりも手前の開度に予め設定することができ、例えば、開度90%に設定している。これにより、第1燃料ガスG1の発熱量が大幅に低下した場合等に、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行うことで、全開等、開き側の開き設定開度Ka以上の開度に第1燃料ガス流量調整弁8の開度K1を制御する前に、燃料ガス供給状態切換制御部H3が第1燃料ガス供給状態から混合燃料ガス供給状態への切換を行い、第1燃料ガス流量調整弁8の開度K1を制御するだけでは、混合気圧力を目標圧力にできなくなり、混合気Mの空気比が所望の空気比に維持できなくなるのを防止している。
【0036】
このとき、燃料ガス供給状態切換制御部H3は、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を一旦中断させて、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を予め設定された第1燃料ガス用の混合燃料ガス目標開度(例えば、開度85%)とし、且つ、第2燃料ガス流量調整弁9の開度を予め設定された第2燃料ガス用の混合燃料ガス標開度(例えば、開度10%)とするように、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度を制御して、ミキサー2に第1燃料ガスG1と第2燃料ガスG2との混合燃料ガスを供給する混合燃料ガス供給状態に切り換えている。そして、燃料ガス供給状態切換制御部H3が混合燃料ガス供給状態に切り換えることで、燃料ガスGを第1燃料ガスG1と第2燃料ガスG2との混合燃料ガスとして、その混合燃料ガスと燃焼用空気Aとの混合気Mをエンジン1に供給して燃焼させてエンジン1を運転させている。
【0037】
燃料ガス供給状態切換制御部H3が混合燃料ガス供給状態への切換を行うと、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御の中断を解除して、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行う(ステップ#5)。この混合気圧力制御では、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を予め設定された固定用設定開度に固定させ、且つ、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力となるように第2燃料ガス流量調整弁9の開度を制御している。ここで、固定用設定開度については、例えば、第1燃料ガス用の混合燃料ガス目標開度と同一開度(例えば、開度85%)が設定されている。つまり、第1燃料ガスG1の流量については変化させることなく一定流量としている。そして、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力よりも小さい場合に、その混合気圧力と目標圧力との差に応じて、第2燃料ガス流量調整弁9の開度を閉じ側に制御している。逆に、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力よりも大きい場合に、その混合気圧力と目標圧力との差に応じて、第2燃料ガス流量調整弁9の開度を開き側に制御している。これにより、第1燃料ガスG1であるバイオガスを有効に活用しながら、その第1燃料ガスG1の発熱量が変化した場合でも第2燃料ガスG2である都市ガスの流量を制御することで、希薄混合気Mの空気比を所望の空気比に維持して、失火の発生や排ガス中のNOx濃度が高くなりすぎるという問題の発生を防止している。
【0038】
上述の如く、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合には、例えば、第1燃料ガスG1の発熱量が増加する場合がある。この場合には、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行うことで、第2燃料ガス流量調整弁9の開度が閉じ側に制御されることになる。そこで、混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を行うことで、第2燃料ガス流量調整弁9の開度K2が閉じ側の閉じ設定開度Kb未満となると、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を、混合燃料ガス供給状態から第1燃料ガス供給状態へ切り換えるようにしている(ステップ#6のYesの場合、ステップ#1)。ここで、閉じ設定開度については、全閉よりも手前の開度に設定することができ、例えば、開度5%に設定している。これにより、第1燃料ガスG1の発熱量が増加した場合等に、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行うことで、全閉等、閉じ側の閉じ設定開度Kb未満の開度に第2燃料ガス流量調整弁9の開度K2を制御する前に、燃料ガス供給状態切換制御部H3が混合燃料ガス供給状態から第1燃料ガス供給状態への切換を行い、第2燃料ガス流量調整弁9の開度K2を制御するだけでは、混合気圧力を目標圧力にできなくなり、混合気Mの空気比が所望の空気比に維持できなくなるのを防止している。
【0039】
このようにして、第1燃料ガス貯留部7に第1燃料ガスG1が貯留されている場合には、その第1燃料ガスG1を有効に活用してエンジン1を運転させることができながら、その第1燃料ガスG1の発熱量の変化が生じても、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、混合気圧力制御部H2による制御を行った状態での第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の開度情報に基づいて、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を、第1燃料ガス供給状態と前記混合燃料ガス供給状態との間で切り換えて、混合気Mの空気比を所望の空気比に維持してエンジン1を安定して運転できるようにしている。
【0040】
ちなみに、図2のフローチャートでは、第1燃料ガス貯留部7に第1燃料ガスG1が貯留されている場合について説明したが、例えば、第1燃料ガス貯留部7に第1燃料ガスG1が貯留されていない場合等には、燃料ガスGを、第2燃料ガスG2のみとして、エンジン1を運転させることもできる。
この場合は、例えば、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態について、第1燃料ガス流量調整弁8を閉状態とし且つ第2燃料ガス流量調整弁9を開状態として、ミキサー2に第2燃料ガスG2のみを供給する第2燃料ガス供給状態に切り換える。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を一旦中断させて、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度を混合燃料ガス用目標開度とするように第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度を制御した後、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を行うようにしている。
これに代えて、燃料ガス供給状態切換制御部H3は、混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を予め定めた第1燃料ガス用の混合燃料ガス目標開度(例えば、開度85%)とするように第1燃料ガス流量調整弁8の開度を制御するとともに、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御により、混合気供給路3にてエンジン1に供給する混合気圧力が目標圧力となるように第2燃料ガス流量調整弁9の開度を制御するようにしてもよい。このように、ミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を混合気燃料ガス供給状態に切り換える場合には、第1燃料ガス流量調整弁8については、混合燃料ガス目標開度への開度制御を行い、それと同時に、第2燃料ガス流量調整弁9については、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を行うことができる。そして、混合気燃料ガス供給状態への切換を行うと、混合気圧力制御部H2が混合気圧力制御を行う。
【0042】
(2)上記実施形態では、第1燃料ガスG1をバイオガスとしているが、例えば、第1燃料ガスG1を炭鉱ガスとすることもできる。
【0043】
(3)上記実施形態では、燃料ガス供給状態切換制御部H3がミキサー2に対する燃料ガスGの供給状態を混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、混合気圧力制御部H2が、混合気圧力制御として、第1燃料ガス流量調整弁8の開度を予め設定された固定用設定開度に固定させ、且つ、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力となるように第2燃料ガス流量調整弁9の開度を制御している。
これに代えて、例えば、混合気圧力制御部H2が、混合気圧力制御として、混合気圧力センサ11にて検出した混合気圧力が目標圧力となるように、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度を制御することもできる。この場合には、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度が変化するので、燃料ガス供給状態切換制御部H3が、混合気圧力制御部H2による混合気圧力制御を行うことで、第1燃料ガス流量調整弁8及び第2燃料ガス流量調整弁9の両者の開度が閉じ側の閉じ設定開度に達すると、混合燃料ガス供給状態から第1燃料ガス供給状態への切換を行う。このとき、第1燃料ガス流量調整弁8に対する閉じ設定開度と第2燃料ガス流量調整弁9に対する閉じ設定開度とを同一開度又は異なる開度に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して混合気を生成するミキサーと、そのミキサーにて生成された混合気をエンジンに供給する混合気供給路とを備え、前記燃料ガスとして、第1発熱量を有する第1燃料ガス、又は、その第1発熱量よりも高い第2発熱量を有する第2燃料ガスと前記第1燃料ガスとを混合させた混合燃料ガスを用い、前記混合気供給路にて供給される混合気を燃焼させてエンジンを運転させ、コストの低減及び構成の簡素化を図りながら、燃料ガスの発熱量が大幅に変化しても、エンジンに供給する混合気の空気比を所望の空気比に維持でき、エンジンを安定して運転させることができる各種のエンジンシステムに適応可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン
2 ミキサー
3 混合気供給路
5 第1燃料ガス供給路
6 第2燃料ガス供給路
8 第1燃料ガス流量調整弁
9 第2燃料ガス流量調整弁
10 混合気流量調整弁
A 燃焼用空気
G 燃料ガス
G1 第1燃料ガス(バイオガス)
G2 第2燃料ガス(都市ガス)
H1 エンジン出力制御部
H2 混合気圧力制御部
H3 燃料ガス供給状態切換制御部
M 混合気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと燃焼用空気とを混合して混合気を生成するミキサーと、そのミキサーにて生成された混合気をエンジンに供給する混合気供給路とを備え、前記燃料ガスとして、第1発熱量を有する第1燃料ガス、又は、その第1発熱量よりも高い第2発熱量を有する第2燃料ガスと前記第1燃料ガスとを混合させた混合燃料ガスを用い、前記混合気供給路にて供給される混合気を燃焼させてエンジンを運転させるエンジンシステムであって、
前記ミキサーとして、第1燃料ガス供給路にて供給する前記第1燃料ガス、又は、その第1燃料ガスと第2燃料ガス供給路にて供給する前記第2燃料ガスを混合させた混合燃料ガスと前記燃焼用空気とを混合させて混合気を生成する単一のミキサーが備えられ、
前記第1燃料ガス供給路に備えられて、前記ミキサーに供給する前記第1燃料ガスの流量を調整自在な第1燃料ガス流量調整弁と、
前記第2燃料ガス供給路に備えられて、前記ミキサーに供給する前記第2燃料ガスの流量を調整自在な第2燃料ガス流量調整弁と、
前記混合気供給路に備えられて、前記エンジンに供給する混合気の流量を調整自在な混合気流量調整弁と、
エンジン出力が目標出力となるように前記混合気流量調整弁の開度を制御するエンジン出力制御部と、
前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御する混合気圧力制御部と、
前記ミキサーに対する燃料ガスの供給状態について、前記第1燃料ガス流量調整弁を開状態とし且つ前記第2燃料ガス流量調整弁を閉状態として前記ミキサーに前記第1燃料ガスのみを供給する第1燃料ガス供給状態と、前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者を開状態として前記ミキサーに前記第1燃料ガスと前記第2燃料ガスとの混合燃料ガスを供給する混合燃料ガス供給状態との間で切換自在であり、且つ、前記混合気圧力制御部による制御を行った状態での前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度情報に基づいて、前記第1燃料ガス供給状態と前記混合燃料ガス供給状態との間での切換を行う燃料ガス供給状態切換制御部とを備えているエンジンシステム。
【請求項2】
前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記第1燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記混合気圧力制御部による制御を行うことで前記第1燃料ガス流量調整弁の開度が開き側の開き設定開度に達すると、前記第1燃料ガス供給状態から前記混合燃料ガス供給状態への切換を行うように構成されている請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記混合気圧力制御部による制御を行うことで前記第2燃料ガス流量調整弁の開度又は前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度が閉じ側の閉じ設定開度に達すると、前記混合燃料ガス供給状態から前記第1燃料ガス供給状態への切換を行うように構成されている請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記燃料ガス供給状態切換制御部は、前記第1燃料ガス供給状態から前記混合燃料ガス供給状態に切り換える場合に、前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を予め定めた混合燃料ガス目標開度とするように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の両者の開度を制御した後、前記混合気圧力制御部により前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第1燃料ガス流量調整弁及び前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するように構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記混合気圧力制御部は、前記燃料ガス供給状態切換制御部にて前記混合燃料ガス供給状態に切り換えた場合に、前記第1燃料ガス流量調整弁の開度を予め設定された固定用設定開度に固定させ、且つ、前記混合気供給路にて前記エンジンに供給する混合気圧力が目標圧力となるように前記第2燃料ガス流量調整弁の開度を制御するように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−47495(P2013−47495A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186318(P2011−186318)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)