エンジン始動制御システム
【課題】飲食店で飲酒を行った場合でも、飲酒運転を防止することが可能なエンジン始動制御システムを提供する。
【解決手段】ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、車載機に設けられ、飲酒店利用情報を電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、を備える構成により提供可能である。
【解決手段】ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、車載機に設けられ、飲酒店利用情報を電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、を備える構成により提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン始動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車による交通事故は大きな社会問題である。特に近年、「交通3悪」の一つである飲酒運転による死亡事故は、報道等でたびたび大きくとり上げられ、飲酒運転の撲滅が急務となっている。
【0003】
周知のように道路交通法の改正(平成14年6月1日施行)により飲酒運転等の悪質・危険運転をした者への罰則が強化された。特に、酒気帯び運転については量刑が引き上げられるともに、呼気中のアルコール濃度が従来「0.25mg/リットル以上」であったものを、「0.15mg/リットル以上」に引き下げ、刑罰の威嚇効果によってかかる事態の発生を事前抑制すべく対策を講じている。
【0004】
しかし、飲酒運転が原因の交通死亡事故は依然として後を絶たない。そこで、更なる厳罰化が検討されている。これは、飲酒運転を行った者以外に、飲食店等で酒を提供した者や、飲酒運転の車両に同乗した者も、飲酒運転を幇助したとして処罰の対象とするものである。
【0005】
また、車両の側からも飲酒運転を防止する仕組みが検討されている。例えば、キーホルダに指紋検出手段とアルコール濃度検出手段とを設け、指紋判定手段からの指紋データがユーザのものと一致した場合、かつアルコール濃度判定手段からのアルコール濃度が基準値以下である場合、ロック機構が解除されてキーホルダ本体から自動車用キーが突出する飲酒運転防止及び盗難防止機能付キー装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、操舵ハンドル等の運転者の手が触れる運転操作部に、センサ素子を配して、運転者の汗に含まれる血中アルコール濃度を直接測定し、飲酒運転を防止・抑止する飲酒運転のチェック装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−169524号公報
【特許文献2】特開2005−224319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
飲食店では、車両を運転してきた客に対して飲酒を行わないように呼びかけてはいるが、客と店との力関係から強制力を伴わないため、最終的には客のモラルに委ねられることになり、実効性は低いものとなってしまう。結局、「車両を運転してきたことを隠す」,「代行運転業者を呼ぶと言い張る(実際は呼ばない,呼んでも途中から自分で運転して帰る)」,「家人に迎えに来てもらうと言い張る(実際は自分で運転して帰る)」ということになり、飲酒運転はなかなか減らない。
【0009】
そして、上記の従来技術では解決することはできず、店側も罪に問われるという不合理な事態となってしまう。
【0010】
また、アルコール検知を行う方法でも、実際に運転しない素面の者が検知器に息を吹きかければ、誰でも運転できてしまうという問題がある。
【0011】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、飲食店で飲酒を行った場合でも、飲酒運転を防止することが可能なエンジン始動制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
上記の課題を解決するためのエンジン始動制御システムは、ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、車載機に設けられ、飲酒店利用情報を電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、電子キーを所持する者すなわち車両の運転者の飲酒状態によって、車両のエンジン始動を許可するか否かを制御でき、飲酒運転を防止することができる。電子キーを所持する者が飲食店に入れば飲酒を行ったと見なされ、他の者を身代わりとしてアルコール検知を行わせても、車両の運転ができなくなる。
【0014】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける電子キーは、飲食店から飲酒店利用情報を無線取得する飲酒店利用情報無線取得手段を備え、飲酒店利用情報記憶手段は取得された飲酒店利用情報を記憶するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、電子キーを所持する者が操作することなく飲酒店利用情報を取得できるので、ごまかしが効かなくなり、結果として飲酒運転を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける飲酒店利用情報は、飲食店を特定する飲食店コード,当該飲食店への入店時刻,および当該飲食店からの出店時刻を含むように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、詳細な飲食店の利用履歴情報を作成することができ、その利用履歴情報から、運転者が飲食店において飲酒を行ったかどうかを適確に判断することができる。
【0018】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける電子キーは、飲食店に設置されたアルコール濃度検出装置が検出するユーザの体内のアルコール濃度情報を無線取得するアルコール濃度情報無線取得手段と、取得されたアルコール濃度情報に基づく飲酒情報を記憶する飲酒情報記憶手段と、を備えるように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、飲食店にアルコール濃度検出装置が設置されていれば、そのアルコール濃度検出装置が検出するユーザの体内のアルコール濃度情報を用いた方が、運転者が飲酒を行ったかどうかを適確に判断することができる。
【0020】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける車載機は、飲酒店利用情報に含まれる、入店時刻および出店時刻から算出される、ユーザの当該飲食店における滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を超える場合に、ユーザが当該飲食店において飲酒を行ったと判定する飲酒判定手段を備えるように構成することもできる。
【0021】
一般的に、飲酒店での滞在時間が長い場合は飲酒を行っていると考えてもよい。上記構成によって、運転者が飲食店において飲酒を行ったかどうかを判断することができ、飲酒運転を防止することができる。
【0022】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける飲酒判定手段は、飲酒情報に含まれるアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合、ユーザは当該飲食店において飲酒を行っていないと判定するように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、飲酒せずに滞在時間閾値を超えて飲食店に滞在していた場合でも、飲酒を行っていないことが証明されるので、車両の運転を行うことができ、運転者の利便性を損なうことはない。
【0024】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおけるエンジン始動禁止制御手段は、飲酒判定手段によりユーザが飲食店において飲酒を行ったと判定された場合に、エンジン始動を禁止するように構成することもできる。
【0025】
上記構成によって、滞在時間あるいは検出されたアルコール濃度の少なくともいずれかによって判定された飲酒の有無を用いて、飲酒運転を防止することができる。
【0026】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける車載機は、ユーザの体内のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段を備え、エンジン始動禁止制御手段は、検出されたユーザの体内のアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合に、エンジン始動の禁止を解除するように構成することもできる。
【0027】
上記構成によって、飲酒せずに滞在時間閾値を超えて飲食店に滞在していた場合や、飲酒を行った者に代わって運転を行う場合、飲酒を行っていないことが証明されるので、車両の運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のエンジン始動制御システムを、図面を参照しながら説明する。図1のように、エンジン始動制御システム200は、電子キー210,例えば飲食店に設置される運転禁止解除装置250および車載機5を含んで構成される。
【0029】
電子キー210には、周知のCPU等を含む制御部211,運転禁止解除装置250および車載機5との通信を行う通信部212,各種データを記憶する周知のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されるメモリ213,およびこれらを接続するバスライン214等が含まれ、基本構成および動作は、いわゆるワイヤレスキー,スマートキーと同様である。本発明の構成においては、運転禁止解除装置250からの飲食店利用情報および飲酒情報を通信部212により受信して、メモリ213の予め定められた領域に記憶する。
【0030】
なお、通信部212が本発明の飲酒店利用情報無線取得手段,アルコール濃度情報無線取得手段に相当する。また、メモリ213が本発明の飲酒店利用情報記憶手段,飲酒情報記憶手段に相当する。
【0031】
運転禁止解除装置250は、制御部251,および制御部251に接続されたアルコール濃度検出装置260,操作部261,表示部262を含んで構成される。
【0032】
制御部251は、周知のCPU252,ROM253,RAM254,時計IC255,通信部256,入出力回路であるI/O257,およびこれらの構成を接続するバスライン258が備えられている。CPU252は、ROM253に記憶された制御プログラム253pおよびデータにより制御を行う。
【0033】
時計IC255はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU252からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU252は時計IC255から日時情報を取得する。また、CPU252に含まれる周知のリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0034】
アルコール濃度検出装置260は、警察による飲酒検問等で用いられるものと同様の構成で、呼気中のアルコール濃度を検出するものである。
【0035】
操作部261は、例えば表示部262と一体になったタッチパネル(図示せず)もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネルは、表示部262の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0036】
表示部262は、例えば周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御部251から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。
【0037】
車載機5は、自動車の盗難防止を図るため、自動車のユーザが携帯するキーや無線携帯器に認証用のIDを記憶しておき、そのIDの車両側のマスターIDとの照合結果に基づいてエンジンの始動を許可するようにしたエンジン始動システム(いわゆるイモビライザ:通称「イモビ」)のイモビ制御部と同様の構成をとる。なお、車載機5が本発明のエンジン始動禁止制御手段,飲酒判定手段に相当する。
【0038】
図2にイモビ制御部(車載機5)およびエンジン始動制御システムに接続される他の車載機器の構成を示す。本図は、以下の特許文献3の図2の構成に、アルコール濃度検出装置90および時計IC91が追加されたものであり、この2つ以外の構成および機能については特許文献3の図2と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。なお、アルコール濃度検出装置90が本発明のアルコール濃度検出手段に相当する。
【0039】
【特許文献3】特開2007−8387号公報
【0040】
また、アルコール濃度検出装置90および時計IC91は、それぞれ運転禁止解除装置250のアルコール濃度検出装置260および時計IC255と同様の構成をとる。また、電子キー210が、特許文献3の携帯機2(図2参照)に相当する。
【0041】
図3に、本発明の概略をステップ毎に示す。STEP1は、運転者が電子キー210を持って飲食店に入店したときの状態を示したものである。運転禁止解除装置250の通信部256からは、時計IC255から取得された飲食店を特定可能な飲食店コードおよび日時情報が予め定められたタイミングで送信されている。電子キー210は、これら飲食店コードおよび日時情報を受信して、飲食店利用情報としてメモリ213に記憶する。このとき受信した日時情報を入店時刻とする。
【0042】
STEP2は、運転者が電子キー210を持って飲食店から出るときの状態を示したものである。このとき電子キー210が受信した日時情報を出店時刻とする。また、飲食店の運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が設置されている場合には、運転者は自身のアルコール濃度を測定して、その結果を電子キー210が受信してメモリ213に記憶することもできる。さらに、運転者およびその関係者と利害関係のない第三者によって、運転禁止解除装置250により運転者の飲酒状態を判定可能な場合には、その結果を電子キー210が受信してメモリ213に記憶することもできる。
【0043】
STEP3は、運転者が自身の車両に近づいたときの状態を示したものである。電子キー210と車載機5との間で認証が行われ、認証が正常に行われた場合には、ドアロックがアンロック状態となって運転者は乗車できる。
【0044】
STEP4は、運転者が車両のエンジンを始動しようとしている際の状態を示したものである。車載機5は電子キー210から飲食店利用情報および飲酒情報を取得して、運転者が飲酒状態にあるか否かを判定する。また、車両にアルコール濃度検出装置90が取り付けられている場合は、検出された運転者のアルコール濃度に基づく飲酒判定を行う。そして、運転者が飲酒状態にない場合には、イモビライザ機能にしたがって、エンジン始動手段14によりエンジンの始動制御を行う。
【0045】
図4を用いて、飲食店利用情報取得処理について説明する。なお、本処理は電子キー210のメモリ213に記憶される制御プログラム213pに含まれ、制御プログラム213pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転者が飲食店に入った場合(S31:Yes)、飲食店利用情報を取得する(S32)。すなわち、当該飲食店の飲食店コードおよび日時情報を運転禁止解除装置250から受信してメモリ213に記憶する(S33)。
【0046】
入店時刻は、その飲食店から受信した複数の日時情報のうち、同一日付のもののうち時刻の最も古いもの、すなわち、入店時に最初に受信したものとする。
【0047】
運転者が飲食店に入っていない場合(S31:No)、入店するまで待つようになっているが、これは無限ループを形成するものではなく、割り込み処理等の制御プログラム213pの他の処理が適宜実行されている。
【0048】
続いて、運転者が飲食店から出た場合(S34:Yes)、再び運転禁止解除装置250から飲食店利用情報を取得する(S35)。そして、当該飲食店に対応付けて出店時刻を記憶する(S36)。
【0049】
出店時刻は、同一の飲食店から受信した複数の日時情報のうち、入店時刻以降で、同一日付で時刻の最も新しいものとする。飲食店から離れれば電波を受信できなくなるので、該飲食店で最後に受信した日時情報を出店時刻としてもよい。
【0050】
図5を用いて、飲食店の運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続している場合の、飲酒情報の取得処理について説明する。本処理は、運転禁止解除装置250の制御プログラム253pにおいて、制御プログラム253pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続している場合(S51:Yes)には、表示部262に図7のようなメニュー画面が表示されるので、「アルコール検知」ボタンを押下する(S52)。すると、アルコール濃度検出装置260が測定可能状態となる。運転者はアルコール濃度検出装置260に息を吹きかける。
【0051】
測定結果が図8のように表示部262に表示され、その結果が時計IC255から取得された日時情報とともに飲酒情報として電子キー210に送信される(S53)。飲酒状態か否かの判定は、例えば道路交通法の規定に準ずる。
【0052】
そして、電子キー210は受信した飲酒情報をメモリ213に記憶する(S54:電子キー210の制御プログラム213pにおける処理)。
【0053】
図6を用いて、飲食店の運転禁止解除装置250において、第三者によって、運転者の飲酒状態を判定可能な場合の飲酒情報(すなわち第三者情報)の取得処理について説明する。本処理は、運転禁止解除装置250の制御プログラム253pにおいて、制御プログラム253pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転禁止解除装置250において、第三者による飲酒判定が可能な場合(S71:Yes)には、表示部262に図7のようなメニュー画面が表示されるので、「飲酒判定」ボタンを押下する。
【0054】
すると、図9のように表示部262にID,パスワードの入力画面が表示されるので、ID,パスワードを入力する(S72)。このように、飲酒判定を可能な者を例えば当該飲食店の従業員に限定することで、不正な飲酒判定を防止することができる。入力されたID,パスワードが予めROM253に登録されたものと一致した場合(S73:Yes)、図10のような画面が表示されるので、当該運転者の飲酒状態に応じてボタンを押下する(S74)。そして、図11のように飲酒判定結果が表示部262に表示され、その結果が時計IC255から取得された日時情報とともに第三者情報として電子キー210に送信される(S75)。
【0055】
そして、電子キー210は受信した第三者情報をメモリ213に記憶する(S76:電子キー210の制御プログラム213pにおける処理)。
【0056】
図12に、電子キー210のメモリ213の記憶内容を示す。記憶内容には、飲酒情報,飲食店コード,入店時刻,出店時刻,第三者情報が含まれる。飲酒情報には、運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続されている場合に取得されるアルコール濃度情報が含まれる。第三者情報には、運転禁止解除装置250で実施された第三者による飲酒判定の結果が含まれる。入店時刻,出店時刻には、日付も含まれる。飲食店コードは飲食店を特定するためのもので、例えば飲食店毎に固有のIDが付与される。
【0057】
図13を用いて、エンジン始動禁止制御処理について説明する。なお、本処理は車載機5のROM5B(図2参照)に記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、電子キー210から飲食店利用に関する情報(飲食店利用情報等)を取得する(S91)。取得した情報はRAM5Cに一時保存する。
【0058】
次に、飲食店利用情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する飲食店利用情報判定処理を実行する(S92,後述)。次に、飲酒情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する飲酒情報判定処理を実行する(S93,後述)。次に、第三者情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する第三者情報判定処理を実行する(S94,後述)。
【0059】
次に、車両にアルコール濃度検出装置が取り付けられている場合には、そのアルコール濃度検出装置を用いて運転者が飲酒を行ったかどうかを判定するアルコール濃度判定処理を実行する(S95,後述)。
【0060】
最後に、上記の各処理のいずれにおいても運転者が飲酒を行っておらず、エンジン始動が許可された場合(S96:No)、エンジン始動制御処理を実行する(S97)。なお、本処理は、例えば特許文献3の図4の処理のような、周知のイモビライザにおけるエンジン始動制御処理と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0061】
図14を用いて、図13のステップS92に相当する飲食店利用情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された飲食店利用情報を参照する(S111)。次に、時計IC91から現在日時を取得する(S112)。そして、飲食店利用情報に含まれる出店時刻と現在日時とを比較して、出店時刻が例えば24時間前のような、予めROM5B等に記憶された時間閾値よりも前のものであり、飲食店利用情報が古い場合(S113:Yes)、その飲食店利用情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S117)。該制御信号を受信した電子キー210は飲食店利用情報を消去する。そして、エンジンを始動許可とする(S118)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0062】
飲食店利用情報が古い場合(S113:Yes)、ステップS118をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0063】
一方、飲食店利用情報が新しい場合(S113:No)、飲食店利用情報の、出店時刻と入店時刻との差を滞在時間として算出する(S114)。そして、その滞在時間が、例えば10分のような予めROM5B等に記憶された滞在時間閾値を下回る場合(S115:No)、エンジンを始動許可とする(S118)。
【0064】
一方、滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を上回る場合(S115:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S116)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0065】
滞在時間閾値を、例えば昼間と夜間、あるいは平日と休日のように、時間帯に応じて異なる値としてもよい。
【0066】
図15を用いて、図13のステップS93に相当する飲酒情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された飲酒情報を参照する(S131)。次に、その飲酒情報に有効な情報が含まれているか否かを調べる。すなわち、飲酒情報にアルコール濃度情報が含まれているかを調べる。
【0067】
飲酒情報に有効な情報が含まれ、アルコール濃度を測定済の場合(S132:Yes)、時計IC91から現在日時を取得する(S133)。そして、飲酒情報と現在日時とを比較して、上述の飲食店利用情報と同様の方法で飲酒情報が古いと判定された場合(S134:Yes)、飲酒情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S137)。該制御信号を受信した電子キー210は飲酒情報を消去する。このとき、電子キー210のメモリ213の該当領域には、例えば通常の検出値とは大幅に異なる値が書き込まれる。そして、エンジンを始動許可とする(S138)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0068】
飲酒情報が古い場合(S134:Yes)、ステップS138をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0069】
一方、飲酒情報が新しい場合(S134:No)、飲酒情報に含まれるアルコール濃度と予めROM5B等に記憶された濃度閾値と比較する。アルコール濃度が濃度閾値を下回る場合(S135:No)、エンジンを始動許可とする(S138)。一方、アルコール濃度が濃度閾値を上回る場合(S135:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S136)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0070】
図16を用いて、図13のステップS94に相当する第三者情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された第三者情報を参照する(S151)。次に、その第三者情報に有効な情報が含まれているか否かを調べる。すなわち、第三者情報に「飲酒を行った」,「飲酒を行っていない」のいずれかの情報が含まれているかを調べる。
【0071】
第三者情報に有効な情報が含まれている場合(S152:Yes)、時計IC91から現在日時を取得する(S153)。そして、第三者情報と現在日時とを比較して、上述の飲食店利用情報と同様の方法で第三者情報が古いと判定された場合(S154:Yes)、第三者情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S157)。該制御信号を受信した電子キー210は第三者情報を消去する。電子キー210のメモリ213の該当領域には、「飲酒を行った」,「飲酒を行っていない」のいずれにも相当しない情報が書き込まれる。このとき、そして、エンジンを始動許可とする(S158)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0072】
第三者情報が古い場合(S154:Yes)、ステップS158をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0073】
一方、第三者情報が新しい場合(S154:No)、その第三者情報の内容に「飲酒を行った」内容が含まれていない場合(S155:No)、エンジンを始動許可とする(S158)。一方、第三者情報の内容に「飲酒を行った」内容が含まれている場合(S155:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S156)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0074】
図17を用いて、図13のステップS95に相当する車両でのアルコール濃度判定処理について説明する。車両にアルコール濃度検出装置90が搭載されている場合(S171:Yes)、運転者にブレーキペダルを踏みながら、アルコール濃度検出装置90に息を吹きかけるよう促す(S172)。例えば、イモビ制御部5(車載機5)からカーナビ制御部80に指令を送り、表示部82あるいはスピーカ81から「ブレーキペダルを踏みながらアルコール濃度検出を行わないとエンジン始動ができない」旨のメッセージを出力する。
【0075】
次に、運転者がブレーキペダルを踏んだことを検出したら(S173:Yes)、運転者が息を吹きかけるのを待って、アルコール濃度を測定する(S174)。そして、アルコール濃度が予めROM5B等に記憶されている濃度閾値を下回る場合(S175:No)、ブレーキペダルが継続して踏まれているか否かを調べる。
【0076】
ブレーキペダルが踏まれているか否かは、シリアル通信バス35を介して取得できるブレーキスイッチ101(図2参照)の状態によって判定できる。すなわち、ブレーキペダルが踏まれている場合は、ブレーキスイッチ101はON状態となり、ブレーキペダルが踏まれていない場合は、ブレーキスイッチ101はOFF状態となる。
【0077】
ブレーキペダルが継続して踏まれている場合(S177:Yes)、エンジンを始動許可とする(S178)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0078】
エンジン始動許可フラグがセットされた後も、ブレーキペダルが継続して踏まれていないと、エンジン始動許可フラグをクリアして、以降のエンジン始動制御処理(図13のステップS97)が実行されない構成としてもよい。
【0079】
一方、ブレーキペダルが継続して踏まれていない場合(S177:No)、あるいはアルコール濃度が濃度閾値を上回る場合(S175:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S176)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0080】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】エンジン始動制御システムの構成を示すブロック図。
【図2】車載機の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の概略を示す図。
【図4】飲食店利用情報取得処理を説明するフロー図。
【図5】アルコール濃度検出装置による飲酒情報の取得処理を説明するフロー図。
【図6】第三者情報の取得処理を説明するフロー図。
【図7】アルコール濃度検出装置による飲酒情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図8】図7に続く、飲酒情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図9】第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図10】図9に続く、第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図11】図10に続く、第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図12】電子キーのメモリの記憶内容を示す図。
【図13】エンジン始動禁止制御処理を説明するフロー図。
【図14】飲食店利用情報判定処理を説明するフロー図。
【図15】飲酒情報判定処理を説明するフロー図。
【図16】第三者情報判定処理を説明するフロー図。
【図17】車両でのアルコール濃度判定処理を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0082】
5 車載機(イモビ制御部,エンジン始動禁止制御手段,飲酒判定手段)
90 アルコール濃度検出装置(アルコール濃度検出手段)
200 エンジン始動制御システム
210 電子キー
211 制御部
212 通信部(飲酒店利用情報無線取得手段,アルコール濃度情報無線取得手段)
213 メモリ(飲酒店利用情報記憶手段,飲酒情報記憶手段)
250 運転禁止解除装置
251 制御部
260 アルコール濃度検出装置
261 操作部
262 表示部
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン始動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車による交通事故は大きな社会問題である。特に近年、「交通3悪」の一つである飲酒運転による死亡事故は、報道等でたびたび大きくとり上げられ、飲酒運転の撲滅が急務となっている。
【0003】
周知のように道路交通法の改正(平成14年6月1日施行)により飲酒運転等の悪質・危険運転をした者への罰則が強化された。特に、酒気帯び運転については量刑が引き上げられるともに、呼気中のアルコール濃度が従来「0.25mg/リットル以上」であったものを、「0.15mg/リットル以上」に引き下げ、刑罰の威嚇効果によってかかる事態の発生を事前抑制すべく対策を講じている。
【0004】
しかし、飲酒運転が原因の交通死亡事故は依然として後を絶たない。そこで、更なる厳罰化が検討されている。これは、飲酒運転を行った者以外に、飲食店等で酒を提供した者や、飲酒運転の車両に同乗した者も、飲酒運転を幇助したとして処罰の対象とするものである。
【0005】
また、車両の側からも飲酒運転を防止する仕組みが検討されている。例えば、キーホルダに指紋検出手段とアルコール濃度検出手段とを設け、指紋判定手段からの指紋データがユーザのものと一致した場合、かつアルコール濃度判定手段からのアルコール濃度が基準値以下である場合、ロック機構が解除されてキーホルダ本体から自動車用キーが突出する飲酒運転防止及び盗難防止機能付キー装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、操舵ハンドル等の運転者の手が触れる運転操作部に、センサ素子を配して、運転者の汗に含まれる血中アルコール濃度を直接測定し、飲酒運転を防止・抑止する飲酒運転のチェック装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−169524号公報
【特許文献2】特開2005−224319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
飲食店では、車両を運転してきた客に対して飲酒を行わないように呼びかけてはいるが、客と店との力関係から強制力を伴わないため、最終的には客のモラルに委ねられることになり、実効性は低いものとなってしまう。結局、「車両を運転してきたことを隠す」,「代行運転業者を呼ぶと言い張る(実際は呼ばない,呼んでも途中から自分で運転して帰る)」,「家人に迎えに来てもらうと言い張る(実際は自分で運転して帰る)」ということになり、飲酒運転はなかなか減らない。
【0009】
そして、上記の従来技術では解決することはできず、店側も罪に問われるという不合理な事態となってしまう。
【0010】
また、アルコール検知を行う方法でも、実際に運転しない素面の者が検知器に息を吹きかければ、誰でも運転できてしまうという問題がある。
【0011】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、飲食店で飲酒を行った場合でも、飲酒運転を防止することが可能なエンジン始動制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
上記の課題を解決するためのエンジン始動制御システムは、ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、車載機に設けられ、飲酒店利用情報を電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、電子キーを所持する者すなわち車両の運転者の飲酒状態によって、車両のエンジン始動を許可するか否かを制御でき、飲酒運転を防止することができる。電子キーを所持する者が飲食店に入れば飲酒を行ったと見なされ、他の者を身代わりとしてアルコール検知を行わせても、車両の運転ができなくなる。
【0014】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける電子キーは、飲食店から飲酒店利用情報を無線取得する飲酒店利用情報無線取得手段を備え、飲酒店利用情報記憶手段は取得された飲酒店利用情報を記憶するように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、電子キーを所持する者が操作することなく飲酒店利用情報を取得できるので、ごまかしが効かなくなり、結果として飲酒運転を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける飲酒店利用情報は、飲食店を特定する飲食店コード,当該飲食店への入店時刻,および当該飲食店からの出店時刻を含むように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、詳細な飲食店の利用履歴情報を作成することができ、その利用履歴情報から、運転者が飲食店において飲酒を行ったかどうかを適確に判断することができる。
【0018】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける電子キーは、飲食店に設置されたアルコール濃度検出装置が検出するユーザの体内のアルコール濃度情報を無線取得するアルコール濃度情報無線取得手段と、取得されたアルコール濃度情報に基づく飲酒情報を記憶する飲酒情報記憶手段と、を備えるように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、飲食店にアルコール濃度検出装置が設置されていれば、そのアルコール濃度検出装置が検出するユーザの体内のアルコール濃度情報を用いた方が、運転者が飲酒を行ったかどうかを適確に判断することができる。
【0020】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける車載機は、飲酒店利用情報に含まれる、入店時刻および出店時刻から算出される、ユーザの当該飲食店における滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を超える場合に、ユーザが当該飲食店において飲酒を行ったと判定する飲酒判定手段を備えるように構成することもできる。
【0021】
一般的に、飲酒店での滞在時間が長い場合は飲酒を行っていると考えてもよい。上記構成によって、運転者が飲食店において飲酒を行ったかどうかを判断することができ、飲酒運転を防止することができる。
【0022】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける飲酒判定手段は、飲酒情報に含まれるアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合、ユーザは当該飲食店において飲酒を行っていないと判定するように構成することもできる。
【0023】
上記構成によって、飲酒せずに滞在時間閾値を超えて飲食店に滞在していた場合でも、飲酒を行っていないことが証明されるので、車両の運転を行うことができ、運転者の利便性を損なうことはない。
【0024】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおけるエンジン始動禁止制御手段は、飲酒判定手段によりユーザが飲食店において飲酒を行ったと判定された場合に、エンジン始動を禁止するように構成することもできる。
【0025】
上記構成によって、滞在時間あるいは検出されたアルコール濃度の少なくともいずれかによって判定された飲酒の有無を用いて、飲酒運転を防止することができる。
【0026】
また、本発明のエンジン始動制御システムにおける車載機は、ユーザの体内のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段を備え、エンジン始動禁止制御手段は、検出されたユーザの体内のアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合に、エンジン始動の禁止を解除するように構成することもできる。
【0027】
上記構成によって、飲酒せずに滞在時間閾値を超えて飲食店に滞在していた場合や、飲酒を行った者に代わって運転を行う場合、飲酒を行っていないことが証明されるので、車両の運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のエンジン始動制御システムを、図面を参照しながら説明する。図1のように、エンジン始動制御システム200は、電子キー210,例えば飲食店に設置される運転禁止解除装置250および車載機5を含んで構成される。
【0029】
電子キー210には、周知のCPU等を含む制御部211,運転禁止解除装置250および車載機5との通信を行う通信部212,各種データを記憶する周知のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されるメモリ213,およびこれらを接続するバスライン214等が含まれ、基本構成および動作は、いわゆるワイヤレスキー,スマートキーと同様である。本発明の構成においては、運転禁止解除装置250からの飲食店利用情報および飲酒情報を通信部212により受信して、メモリ213の予め定められた領域に記憶する。
【0030】
なお、通信部212が本発明の飲酒店利用情報無線取得手段,アルコール濃度情報無線取得手段に相当する。また、メモリ213が本発明の飲酒店利用情報記憶手段,飲酒情報記憶手段に相当する。
【0031】
運転禁止解除装置250は、制御部251,および制御部251に接続されたアルコール濃度検出装置260,操作部261,表示部262を含んで構成される。
【0032】
制御部251は、周知のCPU252,ROM253,RAM254,時計IC255,通信部256,入出力回路であるI/O257,およびこれらの構成を接続するバスライン258が備えられている。CPU252は、ROM253に記憶された制御プログラム253pおよびデータにより制御を行う。
【0033】
時計IC255はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU252からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU252は時計IC255から日時情報を取得する。また、CPU252に含まれる周知のリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0034】
アルコール濃度検出装置260は、警察による飲酒検問等で用いられるものと同様の構成で、呼気中のアルコール濃度を検出するものである。
【0035】
操作部261は、例えば表示部262と一体になったタッチパネル(図示せず)もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネルは、表示部262の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0036】
表示部262は、例えば周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御部251から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。
【0037】
車載機5は、自動車の盗難防止を図るため、自動車のユーザが携帯するキーや無線携帯器に認証用のIDを記憶しておき、そのIDの車両側のマスターIDとの照合結果に基づいてエンジンの始動を許可するようにしたエンジン始動システム(いわゆるイモビライザ:通称「イモビ」)のイモビ制御部と同様の構成をとる。なお、車載機5が本発明のエンジン始動禁止制御手段,飲酒判定手段に相当する。
【0038】
図2にイモビ制御部(車載機5)およびエンジン始動制御システムに接続される他の車載機器の構成を示す。本図は、以下の特許文献3の図2の構成に、アルコール濃度検出装置90および時計IC91が追加されたものであり、この2つ以外の構成および機能については特許文献3の図2と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。なお、アルコール濃度検出装置90が本発明のアルコール濃度検出手段に相当する。
【0039】
【特許文献3】特開2007−8387号公報
【0040】
また、アルコール濃度検出装置90および時計IC91は、それぞれ運転禁止解除装置250のアルコール濃度検出装置260および時計IC255と同様の構成をとる。また、電子キー210が、特許文献3の携帯機2(図2参照)に相当する。
【0041】
図3に、本発明の概略をステップ毎に示す。STEP1は、運転者が電子キー210を持って飲食店に入店したときの状態を示したものである。運転禁止解除装置250の通信部256からは、時計IC255から取得された飲食店を特定可能な飲食店コードおよび日時情報が予め定められたタイミングで送信されている。電子キー210は、これら飲食店コードおよび日時情報を受信して、飲食店利用情報としてメモリ213に記憶する。このとき受信した日時情報を入店時刻とする。
【0042】
STEP2は、運転者が電子キー210を持って飲食店から出るときの状態を示したものである。このとき電子キー210が受信した日時情報を出店時刻とする。また、飲食店の運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が設置されている場合には、運転者は自身のアルコール濃度を測定して、その結果を電子キー210が受信してメモリ213に記憶することもできる。さらに、運転者およびその関係者と利害関係のない第三者によって、運転禁止解除装置250により運転者の飲酒状態を判定可能な場合には、その結果を電子キー210が受信してメモリ213に記憶することもできる。
【0043】
STEP3は、運転者が自身の車両に近づいたときの状態を示したものである。電子キー210と車載機5との間で認証が行われ、認証が正常に行われた場合には、ドアロックがアンロック状態となって運転者は乗車できる。
【0044】
STEP4は、運転者が車両のエンジンを始動しようとしている際の状態を示したものである。車載機5は電子キー210から飲食店利用情報および飲酒情報を取得して、運転者が飲酒状態にあるか否かを判定する。また、車両にアルコール濃度検出装置90が取り付けられている場合は、検出された運転者のアルコール濃度に基づく飲酒判定を行う。そして、運転者が飲酒状態にない場合には、イモビライザ機能にしたがって、エンジン始動手段14によりエンジンの始動制御を行う。
【0045】
図4を用いて、飲食店利用情報取得処理について説明する。なお、本処理は電子キー210のメモリ213に記憶される制御プログラム213pに含まれ、制御プログラム213pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転者が飲食店に入った場合(S31:Yes)、飲食店利用情報を取得する(S32)。すなわち、当該飲食店の飲食店コードおよび日時情報を運転禁止解除装置250から受信してメモリ213に記憶する(S33)。
【0046】
入店時刻は、その飲食店から受信した複数の日時情報のうち、同一日付のもののうち時刻の最も古いもの、すなわち、入店時に最初に受信したものとする。
【0047】
運転者が飲食店に入っていない場合(S31:No)、入店するまで待つようになっているが、これは無限ループを形成するものではなく、割り込み処理等の制御プログラム213pの他の処理が適宜実行されている。
【0048】
続いて、運転者が飲食店から出た場合(S34:Yes)、再び運転禁止解除装置250から飲食店利用情報を取得する(S35)。そして、当該飲食店に対応付けて出店時刻を記憶する(S36)。
【0049】
出店時刻は、同一の飲食店から受信した複数の日時情報のうち、入店時刻以降で、同一日付で時刻の最も新しいものとする。飲食店から離れれば電波を受信できなくなるので、該飲食店で最後に受信した日時情報を出店時刻としてもよい。
【0050】
図5を用いて、飲食店の運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続している場合の、飲酒情報の取得処理について説明する。本処理は、運転禁止解除装置250の制御プログラム253pにおいて、制御プログラム253pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続している場合(S51:Yes)には、表示部262に図7のようなメニュー画面が表示されるので、「アルコール検知」ボタンを押下する(S52)。すると、アルコール濃度検出装置260が測定可能状態となる。運転者はアルコール濃度検出装置260に息を吹きかける。
【0051】
測定結果が図8のように表示部262に表示され、その結果が時計IC255から取得された日時情報とともに飲酒情報として電子キー210に送信される(S53)。飲酒状態か否かの判定は、例えば道路交通法の規定に準ずる。
【0052】
そして、電子キー210は受信した飲酒情報をメモリ213に記憶する(S54:電子キー210の制御プログラム213pにおける処理)。
【0053】
図6を用いて、飲食店の運転禁止解除装置250において、第三者によって、運転者の飲酒状態を判定可能な場合の飲酒情報(すなわち第三者情報)の取得処理について説明する。本処理は、運転禁止解除装置250の制御プログラム253pにおいて、制御プログラム253pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、運転禁止解除装置250において、第三者による飲酒判定が可能な場合(S71:Yes)には、表示部262に図7のようなメニュー画面が表示されるので、「飲酒判定」ボタンを押下する。
【0054】
すると、図9のように表示部262にID,パスワードの入力画面が表示されるので、ID,パスワードを入力する(S72)。このように、飲酒判定を可能な者を例えば当該飲食店の従業員に限定することで、不正な飲酒判定を防止することができる。入力されたID,パスワードが予めROM253に登録されたものと一致した場合(S73:Yes)、図10のような画面が表示されるので、当該運転者の飲酒状態に応じてボタンを押下する(S74)。そして、図11のように飲酒判定結果が表示部262に表示され、その結果が時計IC255から取得された日時情報とともに第三者情報として電子キー210に送信される(S75)。
【0055】
そして、電子キー210は受信した第三者情報をメモリ213に記憶する(S76:電子キー210の制御プログラム213pにおける処理)。
【0056】
図12に、電子キー210のメモリ213の記憶内容を示す。記憶内容には、飲酒情報,飲食店コード,入店時刻,出店時刻,第三者情報が含まれる。飲酒情報には、運転禁止解除装置250にアルコール濃度検出装置260が接続されている場合に取得されるアルコール濃度情報が含まれる。第三者情報には、運転禁止解除装置250で実施された第三者による飲酒判定の結果が含まれる。入店時刻,出店時刻には、日付も含まれる。飲食店コードは飲食店を特定するためのもので、例えば飲食店毎に固有のIDが付与される。
【0057】
図13を用いて、エンジン始動禁止制御処理について説明する。なお、本処理は車載機5のROM5B(図2参照)に記憶されたプログラムに含まれ、該プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、電子キー210から飲食店利用に関する情報(飲食店利用情報等)を取得する(S91)。取得した情報はRAM5Cに一時保存する。
【0058】
次に、飲食店利用情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する飲食店利用情報判定処理を実行する(S92,後述)。次に、飲酒情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する飲酒情報判定処理を実行する(S93,後述)。次に、第三者情報から運転者が飲酒を行ったかどうかを判定する第三者情報判定処理を実行する(S94,後述)。
【0059】
次に、車両にアルコール濃度検出装置が取り付けられている場合には、そのアルコール濃度検出装置を用いて運転者が飲酒を行ったかどうかを判定するアルコール濃度判定処理を実行する(S95,後述)。
【0060】
最後に、上記の各処理のいずれにおいても運転者が飲酒を行っておらず、エンジン始動が許可された場合(S96:No)、エンジン始動制御処理を実行する(S97)。なお、本処理は、例えば特許文献3の図4の処理のような、周知のイモビライザにおけるエンジン始動制御処理と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0061】
図14を用いて、図13のステップS92に相当する飲食店利用情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された飲食店利用情報を参照する(S111)。次に、時計IC91から現在日時を取得する(S112)。そして、飲食店利用情報に含まれる出店時刻と現在日時とを比較して、出店時刻が例えば24時間前のような、予めROM5B等に記憶された時間閾値よりも前のものであり、飲食店利用情報が古い場合(S113:Yes)、その飲食店利用情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S117)。該制御信号を受信した電子キー210は飲食店利用情報を消去する。そして、エンジンを始動許可とする(S118)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0062】
飲食店利用情報が古い場合(S113:Yes)、ステップS118をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0063】
一方、飲食店利用情報が新しい場合(S113:No)、飲食店利用情報の、出店時刻と入店時刻との差を滞在時間として算出する(S114)。そして、その滞在時間が、例えば10分のような予めROM5B等に記憶された滞在時間閾値を下回る場合(S115:No)、エンジンを始動許可とする(S118)。
【0064】
一方、滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を上回る場合(S115:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S116)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0065】
滞在時間閾値を、例えば昼間と夜間、あるいは平日と休日のように、時間帯に応じて異なる値としてもよい。
【0066】
図15を用いて、図13のステップS93に相当する飲酒情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された飲酒情報を参照する(S131)。次に、その飲酒情報に有効な情報が含まれているか否かを調べる。すなわち、飲酒情報にアルコール濃度情報が含まれているかを調べる。
【0067】
飲酒情報に有効な情報が含まれ、アルコール濃度を測定済の場合(S132:Yes)、時計IC91から現在日時を取得する(S133)。そして、飲酒情報と現在日時とを比較して、上述の飲食店利用情報と同様の方法で飲酒情報が古いと判定された場合(S134:Yes)、飲酒情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S137)。該制御信号を受信した電子キー210は飲酒情報を消去する。このとき、電子キー210のメモリ213の該当領域には、例えば通常の検出値とは大幅に異なる値が書き込まれる。そして、エンジンを始動許可とする(S138)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0068】
飲酒情報が古い場合(S134:Yes)、ステップS138をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0069】
一方、飲酒情報が新しい場合(S134:No)、飲酒情報に含まれるアルコール濃度と予めROM5B等に記憶された濃度閾値と比較する。アルコール濃度が濃度閾値を下回る場合(S135:No)、エンジンを始動許可とする(S138)。一方、アルコール濃度が濃度閾値を上回る場合(S135:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S136)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0070】
図16を用いて、図13のステップS94に相当する第三者情報判定処理について説明する。まず、RAM5Cに一時保存された第三者情報を参照する(S151)。次に、その第三者情報に有効な情報が含まれているか否かを調べる。すなわち、第三者情報に「飲酒を行った」,「飲酒を行っていない」のいずれかの情報が含まれているかを調べる。
【0071】
第三者情報に有効な情報が含まれている場合(S152:Yes)、時計IC91から現在日時を取得する(S153)。そして、第三者情報と現在日時とを比較して、上述の飲食店利用情報と同様の方法で第三者情報が古いと判定された場合(S154:Yes)、第三者情報を消去する旨の制御信号を電子キー210に送信する(S157)。該制御信号を受信した電子キー210は第三者情報を消去する。電子キー210のメモリ213の該当領域には、「飲酒を行った」,「飲酒を行っていない」のいずれにも相当しない情報が書き込まれる。このとき、そして、エンジンを始動許可とする(S158)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0072】
第三者情報が古い場合(S154:Yes)、ステップS158をスキップしてエンジンを始動許可としない、すなわち現状のエンジン始動の許可/禁止の状態を変更しないようにしてもよい。
【0073】
一方、第三者情報が新しい場合(S154:No)、その第三者情報の内容に「飲酒を行った」内容が含まれていない場合(S155:No)、エンジンを始動許可とする(S158)。一方、第三者情報の内容に「飲酒を行った」内容が含まれている場合(S155:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S156)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0074】
図17を用いて、図13のステップS95に相当する車両でのアルコール濃度判定処理について説明する。車両にアルコール濃度検出装置90が搭載されている場合(S171:Yes)、運転者にブレーキペダルを踏みながら、アルコール濃度検出装置90に息を吹きかけるよう促す(S172)。例えば、イモビ制御部5(車載機5)からカーナビ制御部80に指令を送り、表示部82あるいはスピーカ81から「ブレーキペダルを踏みながらアルコール濃度検出を行わないとエンジン始動ができない」旨のメッセージを出力する。
【0075】
次に、運転者がブレーキペダルを踏んだことを検出したら(S173:Yes)、運転者が息を吹きかけるのを待って、アルコール濃度を測定する(S174)。そして、アルコール濃度が予めROM5B等に記憶されている濃度閾値を下回る場合(S175:No)、ブレーキペダルが継続して踏まれているか否かを調べる。
【0076】
ブレーキペダルが踏まれているか否かは、シリアル通信バス35を介して取得できるブレーキスイッチ101(図2参照)の状態によって判定できる。すなわち、ブレーキペダルが踏まれている場合は、ブレーキスイッチ101はON状態となり、ブレーキペダルが踏まれていない場合は、ブレーキスイッチ101はOFF状態となる。
【0077】
ブレーキペダルが継続して踏まれている場合(S177:Yes)、エンジンを始動許可とする(S178)。エンジン始動許可時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをセットする。
【0078】
エンジン始動許可フラグがセットされた後も、ブレーキペダルが継続して踏まれていないと、エンジン始動許可フラグをクリアして、以降のエンジン始動制御処理(図13のステップS97)が実行されない構成としてもよい。
【0079】
一方、ブレーキペダルが継続して踏まれていない場合(S177:No)、あるいはアルコール濃度が濃度閾値を上回る場合(S175:Yes)、エンジンを始動禁止とする(S176)。エンジン始動禁止時には、RAM5Cに領域が確保されるエンジン始動許可フラグをクリアする。
【0080】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】エンジン始動制御システムの構成を示すブロック図。
【図2】車載機の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の概略を示す図。
【図4】飲食店利用情報取得処理を説明するフロー図。
【図5】アルコール濃度検出装置による飲酒情報の取得処理を説明するフロー図。
【図6】第三者情報の取得処理を説明するフロー図。
【図7】アルコール濃度検出装置による飲酒情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図8】図7に続く、飲酒情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図9】第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図10】図9に続く、第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図11】図10に続く、第三者情報の取得処理実行時の画面表示例を示す図。
【図12】電子キーのメモリの記憶内容を示す図。
【図13】エンジン始動禁止制御処理を説明するフロー図。
【図14】飲食店利用情報判定処理を説明するフロー図。
【図15】飲酒情報判定処理を説明するフロー図。
【図16】第三者情報判定処理を説明するフロー図。
【図17】車両でのアルコール濃度判定処理を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0082】
5 車載機(イモビ制御部,エンジン始動禁止制御手段,飲酒判定手段)
90 アルコール濃度検出装置(アルコール濃度検出手段)
200 エンジン始動制御システム
210 電子キー
211 制御部
212 通信部(飲酒店利用情報無線取得手段,アルコール濃度情報無線取得手段)
213 メモリ(飲酒店利用情報記憶手段,飲酒情報記憶手段)
250 運転禁止解除装置
251 制御部
260 アルコール濃度検出装置
261 操作部
262 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、前記車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、
前記電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、
前記車載機に設けられ、前記飲酒店利用情報を前記電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、
を備えたことを特徴とするエンジン始動制御システム。
【請求項2】
前記電子キーは、前記飲食店から前記飲酒店利用情報を無線取得する飲酒店利用情報無線取得手段を備え、
前記飲酒店利用情報記憶手段は取得された前記飲酒店利用情報を記憶する請求項1に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項3】
前記飲酒店利用情報は、前記飲食店を特定する飲食店コード,当該飲食店への入店時刻,および当該飲食店からの出店時刻を含む請求項1または請求項2に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項4】
前記電子キーは、前記飲食店に設置されたアルコール濃度検出装置が検出する前記ユーザの体内のアルコール濃度情報を無線取得するアルコール濃度情報無線取得手段と、
取得された前記アルコール濃度情報に基づく飲酒情報を記憶する飲酒情報記憶手段と、
を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項5】
前記車載機は、前記飲酒店利用情報に含まれる、前記入店時刻および前記出店時刻から算出される、前記ユーザの当該飲食店における滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を超える場合に、前記ユーザが当該飲食店において飲酒を行ったと判定する飲酒判定手段を備える請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項6】
前記飲酒判定手段は、前記飲酒情報に含まれる前記アルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合、前記ユーザは当該飲食店において飲酒を行っていないと判定する請求項5に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項7】
前記エンジン始動禁止制御手段は、前記飲酒判定手段により前記ユーザが前記飲食店において飲酒を行ったと判定された場合に、エンジン始動を禁止する請求項5または請求項6に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項8】
前記車載機は、前記ユーザの体内のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段を備え、
前記エンジン始動禁止制御手段は、検出された前記ユーザの体内のアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合に、エンジン始動の禁止を解除する請求項7に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項1】
ユーザが携帯する電子キーと車両に搭載された車載機との間で無線通信による認証を行い、その認証結果に基づいて、前記車両のエンジン始動を許可するエンジン始動制御システムにおいて、
前記電子キーに設けられ、飲酒店を利用した飲酒店利用情報を記憶する飲酒店利用情報記憶手段と、
前記車載機に設けられ、前記飲酒店利用情報を前記電子キーから取得しその取得内容に基づいてエンジン始動禁止制御を行うエンジン始動禁止制御手段と、
を備えたことを特徴とするエンジン始動制御システム。
【請求項2】
前記電子キーは、前記飲食店から前記飲酒店利用情報を無線取得する飲酒店利用情報無線取得手段を備え、
前記飲酒店利用情報記憶手段は取得された前記飲酒店利用情報を記憶する請求項1に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項3】
前記飲酒店利用情報は、前記飲食店を特定する飲食店コード,当該飲食店への入店時刻,および当該飲食店からの出店時刻を含む請求項1または請求項2に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項4】
前記電子キーは、前記飲食店に設置されたアルコール濃度検出装置が検出する前記ユーザの体内のアルコール濃度情報を無線取得するアルコール濃度情報無線取得手段と、
取得された前記アルコール濃度情報に基づく飲酒情報を記憶する飲酒情報記憶手段と、
を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項5】
前記車載機は、前記飲酒店利用情報に含まれる、前記入店時刻および前記出店時刻から算出される、前記ユーザの当該飲食店における滞在時間が予め定められた滞在時間閾値を超える場合に、前記ユーザが当該飲食店において飲酒を行ったと判定する飲酒判定手段を備える請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項6】
前記飲酒判定手段は、前記飲酒情報に含まれる前記アルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合、前記ユーザは当該飲食店において飲酒を行っていないと判定する請求項5に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項7】
前記エンジン始動禁止制御手段は、前記飲酒判定手段により前記ユーザが前記飲食店において飲酒を行ったと判定された場合に、エンジン始動を禁止する請求項5または請求項6に記載のエンジン始動制御システム。
【請求項8】
前記車載機は、前記ユーザの体内のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段を備え、
前記エンジン始動禁止制御手段は、検出された前記ユーザの体内のアルコール濃度が予め定められる濃度閾値を下回る場合に、エンジン始動の禁止を解除する請求項7に記載のエンジン始動制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−260393(P2008−260393A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104194(P2007−104194)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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