説明

エンジン潤滑油

エンジン潤滑油、特にはSAE 0Wエンジン潤滑油が記載されている。該エンジン潤滑油は、15質量%以上の少なくとも1種のモノエステルおよび15質量%以下の添加材を有し、前記少なくとも1種のモノエステル、2種以上が存在する場合には前記モノエステルの混合物が、100℃で3.3以下の動粘度、130以上の粘度指数および15質量%以下のノアク蒸発損失を有している。該モノエステルは、好ましくは一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であり、該一価アルコールは16〜36個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールであり、そして該モノカルボン酸は5〜10個、好ましくは5〜7個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸である。好ましい潤滑油では、該モノエステルまたはモノエステルの混合物は、−30℃以下の流動点および80以上の非極性指数を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン潤滑剤、特に4ストロークエンジンにおいて用いられるエンジン潤滑油、そしてとりわけSAE 5W未満のSAE分類等級を有するエンジン潤滑油に関し、そして4ストロークエンジンにおけるそれらの潤滑油の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境上の、法的な、そして経済的な圧力のために、エンジン潤滑油は、向上したエンジン効率、すなわちより大きなmpgもしくはkplおよびより少ないエンジン排気、ならびに潤滑油交換の頻度の減少、すなわちより少ないオイルの使用量、に貢献することが求められている。
【0003】
しかしながら、これらの要求は、特に石油系オイル、例えば鉱物油を潤滑油として用いる場合には満足させるのが難しく、何故ならば、これらの要求は、そのようなオイルによって示される粘度と揮発特性に対する相反する要求を課すためである。例えば、エンジンオイルは、一方で、高い運転温度での良好な潤滑を確実にしながら、低い周囲温度において容易なコールドスタートを可能にすることが求められる。このことは、異なる粘度の潤滑油原料を混合することによって得ることができる。しかしながら、このような配合は、成分潤滑油原料の本質的に異なる粘度指数のために、運転温度範囲の要求に合致させるには十分ではない。このことは粘度指数向上剤の、多くの場合には、比較的に多量の使用をもたらす。このような粘度指数向上剤は、しばしば重合体の性質であり、そして、特に高性能車両においては、運転温度とエンジン内の流体のせん断によって分解される可能性があり、粘度の潜在的な低下やエンジン故障を招く。
【0004】
他の取り組みでは、合成潤滑油原料、例えば特別に処理された鉱物油、α−オレフィンオリゴマーおよびポリマー(これ以降、ポリ−α−オレフィン)ならびに、例えばモノエステル、ジエステル、ポリオールエステルおよび複合エステルを含むエステルを、適当な添加剤、例えば粘度指数向上剤のあり、もしくはなしで用いている。
【0005】
このような取り組みとしては、例えば独国出願公開第2133042号明細書、欧州出願公開第0089709号明細書、欧州特許第0792334号明細書、特開平5-331483号明細書、米国特許第4155861号明細書および米国特許第6303548号明細書を例示することができる。
【0006】
独国出願公開第2133042号明細書には、80〜105の範囲の粘度指数および100℃で7.5cSt〜12cStの範囲の動粘度を有する鉱物油ラフィネート、100℃で3cSt〜5cStの範囲の動粘度および3〜10%の範囲のノアク蒸発損失(Noack evaporation loss)を有する油溶性合成潤滑油、例えばジエステル、ならびに添加剤からなる、10W−20〜5W−20の粘度分類のエンジン潤滑油が開示されている。100℃で7cStの動粘度および116の粘度指数を有し、そして5%の添加剤パッケージを有する10Wエンジンオイルの具体的な例は、100℃で9cStの動粘度、102の粘度指数および6%のノアク蒸発損失を有する鉱物油75%と、ジ−n−デカノールトリメチルアジペート25%とから誘導される。
【0007】
欧州特許出願公開第0089709号明細書には、エンジン潤滑油の成分として、アルコールから誘導された有機炭酸ジエステルが開示されている。
【0008】
欧州特許第0792334号明細書には、少なくとも8個の炭素原子を有する飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールおよび、少なくとも10個の炭素原子を有する飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸から誘導される少なくとも1種のエステルを有するエンジン潤滑剤が記載されている。
【0009】
特開平5-331483号明細書には、低減された量の粘度指数向上剤が必要とされるエンジンオイルが開示されている。このエンジンオイルは、10%〜30%のジエステルもしくはポリオールエステル、60%〜89%のα−オレフィンオリゴマー、1%〜20%のエチレン−α−オレフィンオリゴマーおよび、耐磨耗添加剤として0.5%〜3%のジアルキルジチオリン酸亜鉛を有している。このオイルは、100℃で4cSt以上の動粘度を有している。具体的な例としては、100℃で3.62cStの動粘度を有しているジイソデシルアジペートが挙げられている。
【0010】
米国特許第4155861号明細書には、ジカルボン酸の単量体ジエステルおよび、ジカルボン酸(好ましくは分岐した)とヘキサンジオールもしくはトリメチルヘキサンジオールとから誘導された複合エステルからなる混合エステルを主成分とする潤滑油が開示されている。具体的な例では、単量体ジエステルは、n−オクチル、n−デシル、トリメチルアジペートである。n−オクチル、n−デシル、トリメチルアジペートへの、1%〜10%の水準での複合エステルの添加は、SAE分類5W/20、5W/30または10W/40のエンジンオイルをもたらすと述べられている。
【0011】
米国特許第6303548号明細書には、鉱物油系原料5%〜80%、100℃で3.5cSt〜4.5cStの範囲の動粘度を有するポリ−α−オレフィン5%〜90%、およびモノカルボン酸とポリカルボン酸の、一価アルコールと多価アルコールから誘導されるエステル1%〜30%、ならびに3%〜7%のポリメタクリレートおよび4%〜9%のオレフィン共重合体もしくは水素添加ジエン共重合体、からなるSAE 0W−40潤滑油組成物が開示されている。具体的な例では、ジイソオクチルアジペートが用いられている。
【0012】
潤滑油の他の例が、米国特許第5286397号明細書および国際公開第2007/082639号中に開示されている。
【0013】
米国特許第5286397号明細書には、CもしくはC脂肪族ジカルボン酸とC12〜C20のゲルベット(Guerbet)アルコールのエステル化から得られる低粘度の潤滑油組成物が開示されている。米国特許第5286397号明細書中に例示されているこれらのエステルは、100℃で3.4超の動粘度を有している。
【0014】
国際公開第2007/082639号には、式ROH(Rは分岐C10〜C40アルキル基である)のアルコールと、式HOOCRCOOH(Rは分岐もしくは直鎖C〜C34アルキル基である)のジカルボン酸、または式RCOOH(Rは分岐C〜C39アルキル基である)のモノカルボン酸、または式RCOOH(Rは直鎖C〜C29アルキル基である)のモノカルボン酸、またはこれらの酸の少なくとも2種の混合物とのエステル化から誘導されるエステルを主成分とした潤滑油が開示されている。
【0015】
このような潤滑油の幾つかの欠点としては、基油の粘度指数(これは膜厚に影響する)によって課せられる固有の制限、および揮発性を増大させること(すなわち、潤滑油のノアク蒸発損失の増加)なしに粘度を低下させることができないこと、が挙げられる。更に、非常に低粘度のエステルはまた、高い極性を有している可能性があり、このことは、これらのエステルが高い供与率、例えば15質量%超で用いられた場合には、耐摩耗性添加剤、例えばZDDPとの競合による、シール適合性の問題および潜在的な磨耗の問題をもたらす可能性がある。例えば、ジイソオクチルアジペートは、欧州特許第0792334号明細書中に記載されているように、41の非極性指数(NPI)を有している。更に、低い揮発性を与えるように最適化されている低粘度潤滑剤はまた、低粘度指数(125未満)、貧弱な低温流動特性、または貧弱な酸化安定性(ジェムジメチル分岐が存在する成分の使用のために)からもたらされるより短い排出(drain)間隔のいずれかに悩まされる可能性がある。
【0016】
しかしながら、上記のように、環境上の、法的な、そして経済的な圧力は、エンジン効率などを増大させるのに貢献するエンジン潤滑油の開発を推進させてきたが、他の領域では、このような要求は当てはまらない。例えば、高性能レーシングカーエンジンから、すなわちF1カーレーシングにおけるように、出力を高めるという高まる圧力がある、なぜならば、レース規則が導入され、それがそのようなエンジンおよび自動車に対する技術的革新を制限するからである。そのような出力の向上は、潤滑油および/または燃料を含む革新的な解決を通して追求されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、慣用の車両での使用のため、および高性能用途における使用のための両方で、4ストロークエンジンにおける使用に特に有用なエンジン潤滑油を提供することである。本発明の更なる目的は、5W未満のSAE分類等級、より好ましくは0WのSAE分類等級を有するエンジン潤滑油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、エンジン潤滑油は、少なくとも15質量%の少なくとも1種のモノエステルおよび20質量%以下の添加剤を含み、前記少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には前記モノエステルの混合物は、100℃で3.3以下の動粘度、少なくとも130の粘度指数、および15質量%以下のノアク蒸発損失を有している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中で説明し、そして特許請求した本発明に関して、文脈から定められる通り、本明細書中で用いられる用語「質量%」は、エンジン潤滑油の総質量の百分率として称される成分の質量%を示している。特定の成分について言及している場合には、例えばノアク蒸発損失では、用語「質量%」は、その成分の総質量に対する質量%を示している。
【0020】
このエンジン潤滑油は、高性能用途における4ストロークエンジン用として特に有用である。好ましくは、前記エンジン潤滑油は、90質量%以下の前記少なくとも1種のモノエステルを含んでいる。本発明の1つの態様では、前記エンジンオイルは、前記少なくとも1種のモノエステルおよび前記添加剤から本質的になっている。
【0021】
このエンジン潤滑油は、慣用の車両における4ストロークエンジン用として特に有用である。好ましくは、前記エンジン潤滑油は、少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%の前記少なくとも1種のモノエステルを含んでいる。前記エンジン潤滑油は、75質量%以下、より好ましくは50質量%以下、そして更には40質量%以下の前記少なくとも1種のモノエステルを含んでいることができる。本発明の1つの態様では、前記エンジン潤滑油は、約30質量%の前記少なくとも1種のモノエステルを含んでいる。
【0022】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であり、前記一価アルコールは、16〜36個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールであり、そして前記モノカルボン酸は、5〜10個の範囲、好ましくは5〜7個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸である。必要であれば、前記アルコールおよび/または前記酸の混合物を、エステル化反応において用いることができる。
【0023】
あるいは、前記少なくとも1種のモノエステルは、一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であり、前記一価アルコールは、5〜7個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和直鎖脂肪族一価アルコールであり、そして前記モノカルボン酸は、16〜36個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸である。必要であれば、前記アルコールおよび/または前記酸の混合物を、エステル化反応において用いることができる。
【0024】
また、上記の2つの段落中に記載されているモノエステルの混合物も、用いることができる。
【0025】
しかしながら、本発明において用いられるモノエステルは、16〜36個の範囲の炭素原子を有する前記分岐鎖のアルコールと、上記のように5〜10個の範囲、好ましくは5〜7個の範囲の炭素原子を有する前記直鎖酸との反応生成物であるモノエステルであることが好ましい。
【0026】
分岐鎖一価アルコールは、いずれかの好適な供給源から得ることができ、そして典型的には、ゲルベット(Guerbet)アルコール、オキソアルコール、アルドール縮合で誘導されたアルコールおよびそれらの混合物から選択することができる。
【0027】
より具体的には、分岐鎖一価アルコールは、炭素主鎖上のβ位で分岐したアルコールである。典型的には、そのようなアルコールは、2−オクタデカノール−1(また、2−オクチルデカノール−1としても知られている)、2−ヘプチルウンデカノール−1、2−オクタドデカノール−1(また、2−オクチルドデカノール−1としても知られている)、2−ノニルトリデカノール−1および2−デシルテトラデカノール−1およびそのようなアルコールの2種もしくは3種以上の混合物から選ぶことができる。このようなアルコールは、好都合にもゲルベット(Guerbet)アルコールである。
【0028】
好ましくは、分岐鎖一価アルコールは、16〜28個の範囲の炭素原子、より好ましくは20〜24個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種のアルコールである。
【0029】
直鎖モノカルボン酸は、いずれかの好適な供給源から得ることができ、そしてペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、デカン酸(カプリン酸)およびそのような酸の2種もしくは3種以上の混合物から選ばれる。
【0030】
理解されるであろうように、本発明で用いられる前記モノエステルを作るのに用いられる酸およびアルコールは、商業的供給源からのものであり、そして対象とする酸およびアルコール成分を必ずしも100%含んでいなくてもよい。このような商業的製品は、通常は、主要比率の主要製品を、他の異性体および/またはより短いもしくはより長い鎖長の更なる製品とともに含んでいる。このことは、エステル化反応の反応生成物であるモノエステルの性質に変化をもたらす可能性がある。
【0031】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、100℃で3.0cSt以下の動粘度を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、少なくとも140の粘度指数を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、−30℃以下、より好ましくは−35℃以下、そして特には−40℃以下の流動点を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、14.5質量%以下、より好ましくは14.0質量%以下のノアク蒸発損失を有している。
【0032】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、200℃以上、より好ましくは210℃以上、そして更に好ましくは220℃以上の引火点を有している。
【0033】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、欧州特許第0792334号明細書中に記載されているように、80以上、好ましくは90以上の非極性指数(NPI)を有している。
【0034】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、−20℃に1週間保持された場合には、安定である。この低温安定性は、約30mLのモノエステルを、ガラス瓶中に貯蔵し、そしてこのガラス瓶を−20℃の冷凍庫中に1週間放置し、この試料を一定の間隔で検査し、そして結晶形成もしくはゲル化のいずれかの兆候を記録することによって、試験することができる。
【0035】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルは、−35℃において、6200cPs以下の、コールドクランクシミュレーション(CCS)動粘度を有している。
【0036】
前記エンジン潤滑油が、前記少なくとも1種のモノエステルと前記添加剤から本質的になるのでない場合には、前記エンジン潤滑油の残りは、API群III、III+(ガスツーリキッド(GTL)を含む)、IV、IV+およびV潤滑油およびそれらの2種もしくは3種以上の混合物から選ばれる潤滑油成分を含んでいる。好適な群III潤滑油の例としては、鉱物油が挙げられる。好適な群IV潤滑油の例としては、C〜C12のα−オレフィンから誘導され、そして100℃で3.6cSt〜8cStの範囲の動粘度を有するポリ−α−オレフィンが挙げられる。群V潤滑油の例としては、アルキルナフタレン、アルキルベンゼンおよびエステル、例えば一価アルコールおよび/もしくはポリオールとモノカルボン酸もしくはポリカルボン酸から誘導されるエステル、が挙げられる。このエステルは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるモノエステル、ポリオールエステルまたは複合エステルであることができる。好ましくは、このエステルは前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるモノエステルである。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、100℃で4〜6cStの範囲の動粘度を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、少なくとも130のNPIを有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、10%以下、好ましくは7%以下、特には5%以下のノアク蒸発損失を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であり、前記一価アルコールは、16〜36個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールであり、そして前記モノカルボン酸は、少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸である。必要であるならば、前記アルコールおよび/または酸の混合物を、エステル化プロセスにおいて用いることができる。あるいは、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であり、前記一価アルコールは、少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールであり、そして前記モノカルボン酸は、16〜36個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸である。必要であるならば、前記アルコールおよび/または酸の混合物を、エステル化反応において用いることができる。
【0037】
しかしながら、本発明で用いられる前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるこのモノエステルは、上記のような16〜36個の範囲の炭素原子を有する前記飽和分岐鎖アルコールと、少なくとも10個の炭素原子を有する前記飽和直鎖酸との反応生成物であるモノエステルであることが好ましい。
【0038】
好ましくは、この分岐鎖一価アルコールは、16〜28個の範囲の炭素原子、より好ましくは20〜24個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種のアルコールでる。
【0039】
この分岐鎖一価アルコールは、いずれかの好適な供給源から得ることができ、そして典型的にはゲルベット(Guerbet)アルコール、オキソアルコール、アルドール縮合で誘導されたアルコールおよびそれらの混合物から選択することができる。
【0040】
より好ましくは、この分岐鎖一価アルコールは、炭素主鎖のβ位で分岐したアルコールである。典型的には、そのようなアルコールは、2−オクタデカノール−1(また、2−オクチルデカノール−1としても知られている)、2−ヘプチルウンデカノール−1、2−オクタドデカノール−1(また、2−オクチルドデカノール−1としても知られている)、2−ノニルトリデカノール−1および2−デシルテトラデカノール−1およびそのようなアルコールの2種もしくは3種以上の混合物から選ぶことができる。このようなアルコールは、好都合にもゲルベット(Guerbet)アルコールである。
【0041】
少なくとも10個の炭素原子を有する飽和分岐鎖モノカルボン酸は、いずれの位置で分岐していてもよく、そしてしばしば分岐は、炭素鎖の幾つかの位置で起こっている。分岐鎖酸は、アルコールのアルカリ融解によって、アルデヒドもしくはゲルベット(Guerbet)アルコールの酸化によって、オレフィンのカルボキシル化(コッホ−ハーグ(Koch-Haag)合成;レッペ法)によって、またはパラフィン酸化によって、またはいずれかの他の好適な方法によって、生成することができる。また、アルファオレフィンの脂肪酸との反応によって得られる酸も、用いることができる。好ましくは、飽和分岐鎖モノカルボン酸は、少なくとも12個の炭素原子、より好ましくは少なくとも14個の炭素原子、そして特には少なくとも16個の炭素原子を有している。好適な酸の例としては、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、Neo acids、ceKanoic acids、およびこれらの酸の2種もしくは3種以上の混合物が挙げられる。
【0042】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルの、上述の前記少なくとも1種のモノエステルとは異なる前記少なくとも1種のモノエステルに対する質量比は、100:0〜20:80の範囲、より好ましくは100:0〜30:70の範囲、そして更に好ましくは100:0〜35:65の範囲である。
【0043】
アルキルナフタレンの例としては、Mobilから入手可能なSynesstic(登録商標)5およびSynesstic(登録商標)12アルキルナフタレンが挙げられる。エステルの例としては、Priolube(登録商標)1976モノエステル、およびPriolube(登録商標)3970トリメチロールプロパン(TMP)nC/nC10ポリオールエステルが挙げられ、両方ともCroda Europe Ltd.から入手可能である。GTL系原料は、天然ガス(すなわち、メタンおよびより高級なアルカン)の合成ガス(一酸化炭素および水素)への、そして次いでオリゴマー化(例えば、フィッシャー―トロプシュ法)を経由したより高分子量分子への転換によって作られ、この高分子量分子は、水素化分解されて所望の潤滑油沸点/粘度範囲にあるイソパラフィンを生成する。GTL系原料は、ほんの僅かに商業化されているだけであり、そして従って自由に入手できるそれらに関するデータはほとんど、もしくは全くない。知られている限り、このようなGTL系原料は、ポリ−α−オレフィンと同様の粘度等級を有しているであろう。
【0044】
本発明の1つの態様では、前記エンジン潤滑油は、前記少なくとも1種のモノエステル、少なくとも1種の群V潤滑油、好ましくはアルキルナフタレンもしくは前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるエステル、例えばポリオールエステルもしくは複合エステルもしくは前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるモノエステル、ならびに添加剤、から本質的になっている。
【0045】
本発明の更なる態様では、前記エンジン潤滑油は、前記少なくとも1種のモノエステル、少なくとも1種の群V潤滑油、好ましくはアルキルナフタレンもしくは前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるエステル、例えばポリオールエステルもしくは複合エステルもしくは前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるモノエステル、少なくとも1種の群IV潤滑油ならびに添加剤、から本質的になっている。
【0046】
好ましくは、前記エンジン潤滑油は、前記少なくとも1種のモノエステルの1種のみを含んでいる。
【0047】
前記エンジン潤滑剤が、前記少なくとも1種のモノエステルの少なくとも2種を含む場合には、それぞれのモノエステルは異なる性質を備えたものを選ぶことができる。好ましくは、それぞれのモノエステルの性質は、上記のそのような性質の値の範囲内であり、あるいは、少なくとも1種のモノエステルの性質の1つもしくは2つ以上は、モノエステルの混合物の性質が、上記のそのような性質の値の範囲内である限り、上記のそのような性質の値の範囲外であることができる。
【0048】
本発明の1つの態様では、前記エンジン潤滑剤は、前記少なくとも1種のモノエステルおよび前記添加剤に加えて、特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号(その全てを参照することによって本明細書の内容とする)中に記載されているような少なくとも1種のジエステルを含んでいる。上記の特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されているように、前記少なくとも1種のジエステル、または2種以上が存在する場合には前記ジエステルの混合物は、100℃で3.3以下の動粘度、少なくとも130の粘度指数、−30℃以下の流動点、および15%以下のノアク蒸発損失を有している。
【0049】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノエステルの、特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されている前記少なくとも1種のジエステルに対する質量比は、100:0〜30:70の範囲、より好ましくは100:0〜50:50の範囲、そして更に好ましくは95:5〜70:30の範囲である。
【0050】
前記特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されているように、好ましくは、前記少なくも1種のジエステルは、100℃で3.0cSt以下の動粘度を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、少なくとも140の粘度指数を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、約−30℃以下、より好ましくは−35℃以下、そして特には−40℃以下の流動点を有している。好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、14.5質量%以下の、より好ましくは14.0質量%以下のノアク蒸発損失を有している。
【0051】
好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは220℃以上、そして特には約230℃の引火点を有している。
【0052】
好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、30超の、しかしながら100未満、より好ましくは80未満のNPIを有している。
【0053】
好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、−20℃で、1週間保持した場合に安定である。
【0054】
好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは、−35℃で、6200cPs以下のコールドクランクシミュレーション(CCS)動粘度を有している。
【0055】
前記エンジン潤滑油が、前記特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されているような、少なくとも1種のジエステルを少なくとも2種含んでいる場合には、それぞれのジエステルは、異なる性質を備えたものを選ぶことができる。好ましくは、それぞれのジエステルの性質は、上記のそのような性質の値の範囲内であり、あるいは、少なくとも1種のジエステルの性質の1つもしくは2つ以上は、ジエステルの混合物の性質が、上記のそのような性質の値の範囲内である限り、上記のそのような性質の値の範囲外であってもよい。
【0056】
好ましくは、前記少なくとも1種のジエステルは以下のものからなる群から選ばれる:
a)少なくとも1種の、C〜C12、好ましくはC〜C10脂肪族ジカルボン酸もしくはそれらの無水物と、少なくとも1種の第1級もしくは第2級、好ましくは第1級のC〜C12、好ましくはC〜C10脂肪族一価アルコールとの反応生成物であって、前記少なくとも1種の酸が分岐している場合には、前記少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種は直鎖であり、そして、少なくとも1種の酸が直鎖である場合には、前記少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種は分岐している、反応生成物、および
b)少なくとも1種のC〜C12、好ましくはC〜C10脂肪族モノカルボン酸と、少なくとも1種のポリアルキレングリコールとの反応生成物であって、該アルキル基はC〜Cアルキル基およびそれらの混合物から選ばれ、そして前記少なくとも1種のポリ(アルキレングリコール)が、分岐メチル基である少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合には、前記少なくとも1種の酸の少なくとも1種は直鎖であり、そして少なくとも1種のポリ(アルキレングリコール)が直鎖の繰り返し単位だけを含む場合には、前記少なくとも1種の酸の少なくとも1種は分岐している、反応生成物。
【0057】
好ましくは、このジエステルは、二塩基酸またはそれらの無水物および一価アルコールから誘導された場合には、17〜36個、より好ましくは20〜30個、そして特には23〜26個の炭素原子を含んでいる。
【0058】
好ましくは、このジエステルは、一塩基酸およびポリ(アルキレングリコール)から誘導された場合には、17〜40個、より好ましくは20〜30個の炭素原子を含んでいる。
【0059】
好ましくは、ジカルボン酸とアルコールとの反応生成物は、分岐酸の直鎖アルコールとの、または直鎖酸の分岐アルコールとの、いずれかの反応生成物である。
【0060】
好ましくは、モノカルボン酸とポリ(アルキレングリコール)との反応生成物は、分岐酸の(ポリエチレングリコール)との、または直鎖酸とポリ(プロピレングリコール)もしくはポリ(ブチレングリコール)との、好ましくはポリ(プロピレングリコール)との、または少なくとも1つのエチレングリコール繰り返し単位を含むそれらの共重合体との、のいずれかの反応生成物である。好ましくは、ポリ(アルキレングリコール)は、およそ150〜300の範囲、より好ましくはおよそ180〜250の範囲の平均相対分子量(avRMM)を有している。好ましいポリ(アルキレングリコール)はポリ(プロピレングリコール)である。
【0061】
分岐酸および/または分岐アルコールの分岐鎖は、C〜Cアルキル、より好ましくはCまたはCアルキル、そして特にはメチルであることができる。分岐酸は、好ましくはα位で分岐してはおらず、好ましくはβ位で分岐している。好ましくは、これらの酸は、いずれのジェム分岐基、例えばジェムジメチルまたはジェムジエチルも含んでおらず、そして好ましくはただ1つもしくは2つの分岐、特には単一の分岐をβ位に含んでいる。
【0062】
好ましいジカルボン酸としては、アジピン酸、3−メチルアジピン酸およびセバシン酸が挙げられる。好ましい第1級アルコールとしては、1−オクタノール、1−デカノールおよびそれらの混合物、2−エチルヘキサノールおよびイソノニルアルコールが挙げられる。好ましいモノカルボン酸としては、カプリル酸およびカプリン酸が挙げられる。好ましいポリ(アルキレングリコール)は、ポリ(プロピレングリコール)、好ましくは180〜250の範囲のavRMMを有するポリ(プロピレングリコール)からなっている。
【0063】
特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されている好ましいジエステルは、ジイソノニルアジペート、ジ−n−オクチル−3−メチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、およびPPG225n−オクチル、n−デシルジエステルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。より好ましくは、これらのジエステルは、ジイソノニルアジペート、ジ−n−オクチル−3−メチルアジペートおよびジ−2−エチルヘキシルセバケートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0064】
予測されるように、特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されている前記ジエステルを作るのに用いられる酸およびアルコールは、商業的供給源からであろうし、そして対象とする酸もしくはアルコール成分を必ずしも100%含んでいなくてもよい。このような商業的製品は、通常は、主要比率の主要製品を、他の異性体および/またはより短いもしくはより長い鎖長の更なる製品とともに含んでいる。このことは、エステル化反応の反応生成物であるジエステルの性質に変化をもたらす可能性がある。
【0065】
本発明の1つの態様では、前記エンジン潤滑油は、前記少なくとも1種のモノエステル、前記少なくとも1種のジエステルおよび前記添加剤から本質的になっている。
【0066】
本発明の他の態様では、前記エンジン潤滑油は、前記少なくとも1種のモノエステル、前記少なくとも1種のジエステルおよび、少なくとも1種の群V潤滑油、特にはアルキルナフタレンまたは前記少なくとも1種のモノエステルもしくは前記少なくとも1種のジエスエル以外のエステル、例えばポリオールエステルもしくは複合エステルもしくは前記少なくとも1種のモノエスエルとは異なる前記モノエステル、ならびに前記添加剤から本質的になっている。
【0067】
本発明の1つの態様では、前記エンジン潤滑油は、所望により、上記したモノエステルではない単純エスエル、特許協力条約出願第PCT/GB2008/000599号中に記載されているジエステルではないジエステル、および複合エステルまたはそれらの混合物から選ばれるエステルを含んでいてもよい。好ましくは、前記モノエステルの、前記所望によるエステルに対する質量比は、100:0〜60:40の範囲、より好ましくは100:0〜75:25の範囲、更に好ましくは99:1〜80:20、そして特には95:5〜85:15の範囲であろう。
【0068】
前記のように、本発明の前記エンジン潤滑油は、20質量%以下の添加剤を含んでいる。好ましくは、前記エンジン潤滑油は、15質量%以下の添加剤、より好ましくは10質量%以下の添加剤を含んでいる。
【0069】
典型的には、前記添加剤は、下記の通りである。
a)粘度指数向上剤、例えば、アルキルメタクリレート共重合体、オレフィン共重合体(OCP)、およびそれらの混合物であり、有効量、典型的には0.1質量%〜6質量%の範囲で加えられる。
b)酸化防止剤、例えば、フェノール系酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール、およびアルキル化ジフェニルアミンおよびそれらの混合物であり、有効量、典型的には0.5質量%〜1質量%の範囲で加えられる。
c)金属不活性化剤、例えば、金属ジアルキルジチオホスファート、チアジアゾール、およびトリアゾール(これらはまた、腐食防止剤および極圧添加剤としても機能することができる)であり、有効量、典型的には0.01質量%〜0.5質量%の範囲で加えられる。
【0070】
d)流動点降下剤であり、有効量、典型的には0.1質量%〜1.0質量%の範囲で加えられる。
e)極圧添加剤、例えばジアリールジチオリン酸亜鉛(ZDDP)であり、有効量、典型的には0.5質量%〜3.0質量%の範囲で加えられる。
f)摩擦調整剤、例えばグリセロールモノオレートであり、有効量、典型的には0.3質量%〜1.3質量%の範囲で加えられる。
【0071】
g)消泡剤、例えばジメチルポリシロキサン、ポリアクリレートであり、有効量、典型的には1ppm〜100ppmの範囲で加えられる。
h)多機能添加剤、例えばDDI(洗浄−分散−抑制剤)パッケージ、および
i)そのような添加剤の2種または3種以上の混合物。
【0072】
前記モノエステルおよび所望による他のエステルが、有意量、好ましくはエンジン潤滑油の主成分として存在している、本発明によるエンジン潤滑油中においては、このようなエンジン潤滑油は、粘度指数向上剤などの特定の添加剤を含んでいなくともよい。
【0073】
エンジン潤滑油中に用いられる添加剤の組合せおよびそれらの量は、非常に著しく変わる可能性があるが、しかしながら、本発明による前記エンジン潤滑油中に含まれる全ての添加剤の総量は、前述したように、上限が20質量%、より好ましくは15質量%、そして更に好ましくは10質量%の制限を受ける。
【0074】
本発明には、本明細書に記載した前記エンジン潤滑油の4ストロークエンジンの潤滑における使用および、4ストロークエンジンの潤滑の方法であって、本明細書に記載した前記エンジン潤滑油で前記エンジンを潤滑することを含む、4ストロークエンジンの潤滑の方法が含まれている。
【0075】
本発明は、更に、SAE 0Wエンジン潤滑油を含んでおり、前記エンジン潤滑油は、本明細書に記載した少なくとも1種のモノエステルを含んでいる。本明細書に記載した特徴および態様は、必要に応じて変更を加えて、前記SAE 0Wエンジン潤滑油に適用される。
【実施例】
【0076】
本発明は、ここに更に以下の例を参照して説明される。

下記の表1中で特定した試料1〜4は、本発明による前記エンジン潤滑油中での使用に好適なモノエステルである。これらの試料の性質を、表3中に与えた。
【0077】
下記の表2中で特定した試料5〜9は、本発明による前記エンジン潤滑油を構成するモノエステルとの組み合わせての使用に好適なジエステルである。試料5〜9の性質を、表3中に与えた。
【0078】
下記の表2中で特定した試料10は、前記少なくとも1種のモノエステルとは異なるモノエステルであり、本発明による前記エンジン潤滑油を構成するモノエステルとの組合せで使用される。試料10の性質は、表3中に与えた。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
* 商業的に供給されたイソノニルアルコールであり、85質量%未満のイソノニルアルコールを含んでいる。
** 商業的に供給されたイソノニルアルコールであり、85質量%以上のイソノニルアルコールを含んでいる。
【0082】
【表3】

【0083】
** 約−36℃で沈殿物が形成され始め、そして蓄積され続けた。−48℃で、この試料はなお液体層を有しており、それは流動性であった。
【0084】
本発明のモノエステルは、表3中に示した性質を有している。これらのモノエステルは、低揮発性と組み合わせて、低粘度を有しており、従って低い粘性抵抗を示し、これは向上された燃料効率をもたらす。また、これらのモノエステルの極性は許容可能であり、それはシール適合性の問題および耐摩耗性添加剤との競合からの潜在的な磨耗の問題を回避させる。更に、このモノエステルは高い粘度指数を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15質量%以上の少なくとも1種のモノエステルおよび20質量%以下の添加剤を含んでなるエンジン潤滑油であって、該少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には該モノエステルの混合物が、100℃で3.3以下の動粘度、130以上の粘度指数、および15質量%以下のノアク蒸発損失を有する、エンジン潤滑油。
【請求項2】
15質量%以上の少なくとも1種のモノエステルおよび20質量%以下の添加剤を含んでなるSAE 0Wエンジン潤滑油であって、該少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には該モノエステルの混合物が、100℃で3.3以下の動粘度、130以上の粘度指数、および15質量%以下のノアク蒸発損失を有する、エンジン潤滑油。
【請求項3】
前記少なくとも1種のモノエステルを90質量%以下含んでなる、請求項1または2記載のエンジン潤滑油。
【請求項4】
前記少なくとも1種のモノエステルおよび前記添加剤から本質的になる、請求項1〜3のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項5】
25質量%〜50質量%の前記少なくとも1種のモノエステルを含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項6】
API群III、III+、IV、IV+およびVおよびそれらの2種もしくは3種以上の混合物から選ばれた潤滑油成分を含む、請求項1〜3および5のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項7】
前記少なくとも1種のモノエステル、前記添加剤および少なくとも1種のAPI群V潤滑油から本質的になる、請求項6記載のエンジン潤滑油。
【請求項8】
前記API群V潤滑油が、前記少なくとも1種のモノエステル以外のエステルである、請求項7記載のエンジン潤滑油。
【請求項9】
前記少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には前記モノエステルの混合物が、90以上の非極性指数を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項10】
前記少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には前記モノエステルの混合物が、−30℃以下の流動点を有する、請求項1〜9のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項11】
前記少なくとも1種のモノエステル、または2種以上が存在する場合には前記モノエステルの混合物が、100℃で3.0cSt以下の動粘度および/または140以上の粘度指数および/または−35℃以下の流動点および/または14.0質量%以下のノアク蒸発損失を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項12】
前記少なくとも1種のモノエステルが、一価アルコールおよびモノカルボン酸の反応生成物であり、前記一価アルコールが、16〜36個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和分岐鎖脂肪族一価アルコールであり、そして前記モノカルボン酸が、5〜10個の範囲の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸である、請求項1〜11のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項13】
前記アルコールが、炭素主鎖のβ位で分岐し、そして20個の炭素原子を有しているアルコールを含んでいる、請求項12記載のエンジン潤滑油。
【請求項14】
前記酸が、ペンタン酸および/またはヘプタン酸である、請求項12または13記載のエンジン潤滑油。
【請求項15】
請求項1〜3および5〜14のいずれか1項記載のエンジン潤滑油であって、請求項1〜3のいずれか1項記載の場合には、少なくとも1種のジエステルを含んでなり、前記少なくとも1種のジエステル、または2種以上が存在する場合には前記ジエステルの混合物が、100℃で3.3以下の動粘度、130以上の粘度指数、−30℃以下の流動点、および15質量%以下のノアク蒸発損失を有している、エンジン潤滑油。
【請求項16】
前記添加剤を、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下含む、請求項1〜15のいずれか1項記載のエンジン潤滑油。
【請求項17】
4ストロークエンジンの潤滑における、請求項1〜16のいずれか1項記載のエンジン潤滑油の使用。
【請求項18】
4ストロークエンジンを潤滑する方法であって、請求項1〜16のいずれか1項記載のエンジン潤滑油で、前記エンジンを潤滑することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2011−518910(P2011−518910A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505579(P2011−505579)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000999
【国際公開番号】WO2009/130445
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(506352278)クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー (24)
【Fターム(参考)】