説明

エンジン用冷却装置

【課題】エンジンの冷却部材をラジエータフレームに一体的に取付けて、シャシフレーム側だけに取付ける構造にすることにより、車体側との結合をなくし、組立ての容易化及び、重量軽減のできるエンジン用冷却装置を提供する。
【解決手段】ラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10、ファン、ファンシュラウド9、ファン駆動機構及び駆動機構支持ステー等を一体的に取付けてコンポーネント化して、シャシフレームと略平行に配設すると共に、シャシフレームにラジエータフレーム6を介して取付けたエンジン用冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤエンジンバスなどに搭載されたエンジンの冷却水を冷却するエンジン用冷却装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リヤエンジンバスの車体後部に配置されたエンジンルームには、エンジン、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、該ラジエータの冷却フィン部を強制換気して、熱交換を促進するファン、エンジンに過給する吸気を冷却するインタークーラ、変速機等車両(バス)が走行するための重要な装置が集中して配置されている。また、エンジン及びその他の装置の稼働騒音が車外に直接漏れるのを防止するためエンジンルームの外周部は車体壁によって遮音されている。そのためラジエータ及び、インタークーラにはラジエータから噴出された熱風が再びラジエータ及び、インタークーラに吸込まれ(巻返し)ないようにする必要がある。
そのため、ラジエータの吸気上流側にはラジエータの外周に沿って取巻くように遮蔽板を配置して、エンジンルーム内の熱風巻返しを防止するいわゆる、ラジエータシュラウドが車体側とシャシフレーム側とにわたり取付けられている。
従ってラジエータ取付構造及びラジエータシュラウド構造が複雑になり組立作業に多くの時間を有している。
【0003】
図6は現状リヤエンジンバスのエンジンルーム部の右側(以後左右の基準は運転席に着座した状態で前後左右を記載する。)後部を示し、車体の側壁を省略したものである。
100はインタークーラ、105はエンジンルーム99に車両前後方向で且つ、車幅方向に間隔を有した左右一対のシャシフレーム(図示省略)の右側シャシフレーム外側面に一端が固定され、他端が車両外方へ延びたラジエータサポートである。左右一対のシャシフレームの車幅方向の間にはリヤエンジンバスのエンジン(図示省略)が搭載されている。
ラジエータサポート105の他端は車体111のロアフレーム104に固着されたブラケット110に締結される。106及び107は車体111の上下方向に配設され下端部をロアフレーム104に夫々固着され、中間部をロアフレーム104と略平行に配置されたフロアフレーム112に固着された.車体111の骨格の一部を構成する車体ピラーA及びBである。
102はファンシュラウド103と、ファンシュラウド103内にラジエータファン(図示省略)をファンシュラウド103の内周面と間隔を有して回転可能に支持するラジエータフレームである。
【0004】
インタークーラ100の吸気上流側(インタークーラ100の前側)にはインタークーラ100の外周部に沿ってエンジンルーム99内側からの熱気を遮断するラジエータシュラウドA109と、ラジエータシュラウドA109の前端縁に接続し、車体111の外側壁(図示省略)に結合するラジエータシュラウドC113と、インタークーラ100の下端縁、ラジエータシュラウドA109の下端縁及びラジエータシュラウドC113とを接続し車体111のボデーサイドリッド30に接合して下部を遮蔽するラジエータシュラウドB108と、インタークーラ100の上端縁、ラジエータシュラウドA109の上端縁及びラジエータシュラウドC113の上端縁と、及び車体111のボデーサイドリッド30に接合して上部をエンジンルーム3から遮蔽するラジエータシュラウドB(図示省略)とで構成され、インタークーラ100の吸気系上流部は複数のラジエータシュラウドで囲うように配置されている。吸気は車体ピラーA106,B107、ロアフレーム104及びフロアフレーム112に囲まれた車体111の側壁に開口した吸気孔から吸気している。これら複数のラジエータシュラウドは車体111及びシャシフレームに装着されている。
【0005】
ところが、バスの組立はシャシフレーム側を組付けて、その上に車体側を覆いかぶせる順序で行う。最初に、ラジエータフレーム102にラジエータ101及びファンサポート(含むファンシュラウド103及びファン)をシャシフレーム側に固着されているラジエータサポート105に取付けておく。次に、車体側を上方から覆いかぶせるように載置して、車体側のロアフレーム104に固着されているラジエータサポートブラケット110とラジエータサポート105の他端部及び、複数のラジエータシュラウドと車体側壁とを締結する構造となっている。
【0006】
当該取付部は車体側111とシャシフレーム側とを別々に組立ボルトで締結する構造のため、ラジエータサポートブラケット110とラジエータサポート105の他端部との取付孔が製造誤差により一致し難く組立に苦労する。更に、インタークーラ100と複数のシュラウドとの接合部の合沿いがずれる等の不具合が生じている。
【0007】
また、ラジエータシュラウドと車体とのあいだを遮蔽するのにシールラバーを用いて、車体とシャシフレーム側との誤差を吸収して、ラジエータへのエンジンルーム3からの熱風巻き返しを吸収している。
その、先行技術文献として、特開平11―36866号公報(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】公報特開平11―36866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、特許文献1では車体側とシャシフレーム側との間に取付けられる部材の取付誤差を吸収するために柔軟性のある部材で隙間を吸収しているため、柔軟材が風圧等による変形を防止する処置を施す必要があり、更には、シャシフレーム側に搭載された重いラジエータが片持支持となり、シャシフレーム側の取付部の剛性を大幅に増強しなければならず、コスト的にも、ラジエータの振れによる冷却装置の耐久性、さらに、ラジエータの振れによる遮蔽装置の遮蔽性低下等の不具合を有している。
【0010】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、ラジエータ、インタークーラ、ファン、ファンシュラウド等の冷却装置を一体的にコンポーネント化して、シャシフレームに対し平行にすることにより、冷却装置の車幅方向へのオーバハング量を少なくして、取付をシャシフレーム側だけにすることにより、車体側との結合をなくし、組立の容易化と、重量軽減及び取付構造の簡素化によるコスト低減を可能としたエンジン用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はかかる目的を達成するもので、エンジン用冷却装置において、矩形状に枠組みされ、該矩形状の面が前記車両の側壁に沿って配置されるラジエータフレームと、該ラジエータフレームの車幅方向外側面に前記エンジン用冷却水を冷却するラジエータと、該ラジエータの車幅方向外側に配置され前記エンジンの吸気を冷却するインタークーラと、該インタークーラの車幅方向外側に前記車両の側壁に配設された開口部に対向して外気の導入口を有したラジエータシュラウドと、前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドの車両前後方向外側面に固着され前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドとで前記インタークーラを一体的に挟持するラジエータシュラウドブラケットと、前記ラジエータフレームの車幅方向内側面に固着され円筒状の開口部を有するファンシュラウドと、前記開口部に遊嵌したラジエータファン及び該ラジエータファンを駆動するファン駆動機構と、前記ラジエータフレームに固着され前記ファン駆動機構を支持する駆動機構支持ステーとを備え、前記ラジエータフレームに前記ラジエータ、前記インタークーラ、前記ラジエータシュラウド、前記ファンシュラウド、ファン駆動機構及び、前記駆動機構支持ステーを前記ラジエータフレームに一体的に取付け、前記車両のエンジンルーム内のシャシフレームに前記ラジエータフレームを介して取付けられたことを特徴とする。
【0012】
このような構成により、ラジエータフレームにファンシュラウドと、ラジエータファン及び該ラジエータファンを駆動するファン駆動機構と、ファン駆動機構とを一体的に構成して、シャシフレームにラジエータフレームを介して取付ける構造としたので、冷却装置の取り付けに車体側の製造誤差が影響しないので、組立てが容易になる。
更に、ラジエータファン及び該ラジエータファンを駆動するファン駆動機構を駆動機構支持ステーにて一体的にしてラジエータフレームに固着した構造なので、ファンシュラウドの円筒状開口部の内周面と、ラジエータファンの先端との隙間を小さくできるので、ラジエータを通過する冷却風を効果的に吸引させることができる。
更に、インタークーラ及びラジエータシュラウドをラジエータと共にラジエータシュラウドブラケットによって一体的に挟持した構造にしたので、各部材をアッセンブリィの形態でシャシに組みつけられるので、各部品が精度よく組み付けられる。
【0013】
また、本願発明において好ましくは、前記ラジエータと前記インタークーラとの接合外周部、前記インタークーラと前記ラジエータシュラウドとの接合外周部及び、前記ラジエータシュラウドと前記車両の側壁との接合外周部には周囲からの空気の吸い込みを防止する発泡性柔軟材製のシール部材を介装するとよい。
【0014】
このような構成により、ラジエータファンから吹出されたラジエータで熱交換された熱風が、ラジエータとインタークーラとの接合外周部、インタークーラとラジエータシュラウドとの接合外周部及び、ラジエータシュラウドと車両の側壁との接合外周部を密閉して、該接合外周部からインタークーラ及びラジエータ内に熱風が吸込まれるのを防止して、冷却性能の維持を図る。
【発明の効果】
【0015】
ラジエータフレームにラジエータ、ラジエータシュラウド、ファン、ファンシュラウド及び、ファンの駆動機構を一体的に組付け、シャシフレームに平行にして、且つシャシフレームに取付けたので、シャシフレームに対する冷却装置のオーバハング量を小さくできることによる、取付部材の剛性を下げることによる重量軽減が可能となると共に、各冷却装置を一体的にコンポーネント化することによる組立精度の向上。更に、冷却装置の車体側との連結をなくした構造としたので、シャシフレームに車体を組付ける際の製作誤差による組付け性低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車両全体の左側面図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る冷却装置の組み付け状態外嵌図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るシャシフレームへの組み付け状態の平面図を示す。
【図4】本発明の実施形態に係るラジエータフレームとシャシフレームとの組み付け状態を示す。
【図5】本発明の実施形態に係るラジエータフレームの斜視図を示す。
【図6】従来実施例の車両への組み付け状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0018】
(実施形態)
図1は実施形態に係る車両全体の左側面図を示す。本実施例の場合、車両1の後部の車体2を構成する側壁であるボデーサイドリッド30に開口した開口部33からインタークーラ10及びラジエータ7を冷却する外気を導入する。ボデーサイドリッド30は車体2をシャシフレーム20に組み付ける際には後述するシール材C13との干渉を避けると共に、冷却装置4を整備点検するため、ボデーサイドリッド30の上側に配設したヒンジ(図示省略)により、上方へ開放可能になっている。
車両1の後部には車体2とシャシフレーム20とに囲われたエンジンルーム3が形成されている。図3に示すように、エンジンルーム3内には車両1の前後方向に沿って、車幅方向へ間隔を有し、左右一対のシャシフレーム20の間には車両1が走行するためのエンジン19をクランク軸が車両1の前後方向に沿うように配置されている。
該左右一対のシャシフレーム20の左側外側には冷却装置4が配置されている。図2に示すように冷却装置4は、ラジエータフレーム6(図4参照)の車幅方向左側にラジエータ7が固着され、ラジエータ7の更に、車幅方向左側にインタークーラ10を配置しラジエータ7とインタークーラ10との間に柔軟材からなるシール材A11が介装されている。
シール材A11は矩形状のラジエータ7の外周部に沿って、四辺に固着されている。
ラジエータ7の周囲からエンジンルーム3の熱気がラジエータ7内に吸込まれないようになっている。シール材A11の材料としては、例えば、NBR(ニトリルゴム)等を発泡させて柔軟性を高めたものでよい。
また、インタークーラ10の更に、車幅方向左側にラジエータシュラウド8が装着されている。インタークーラ10とラジエータシュラウド8との間にも、柔軟材からなるシール材B12が介装されており、インタークーラ10とラジエータシュラウド8の周囲からエンジンルーム3の熱気がインタークーラ10内に吸込まれないようになっている。
ラジエータシュラウド8は車幅方向外側が縮小した略四角錐台の形状をした空洞部を有した形状を成している。
シール材B12はラジエータシュラウド8のインタークーラ10側の面にラジエータシュラウド8の外周部に沿って四辺に固着されている。
材料としてはシール材A11と同じである。
【0019】
また、ラジエータシュラウド8の車幅方向左側の端にはボデーサイドリッド30の開口部33に対向した外気導入口81が配設され、該外気導入口81には車体2の内壁面に弾力を有して当接するシール材C13が取付けられている。これも、ラジエータシュラウド8内にエンジンルーム3の熱気が侵入しないようにするためである。材料としてはシール材A11と同じである。
尚、シール材C13が車体2の内壁面に弾力を有して当接するような構造(車幅方向への厚みを十分に有している)になっている。
これは、シャシフレーム20の製作誤差、ラジエータフレーム6のシャシフレーム20への組付け誤差及び車体2の製作誤差等を吸収することができるようししてある。
従って、組立時は、開口部33を有した車体2のボデーサイドリッド30を上方に開放した状態に維持して組み付ける。車体2を上方から下げて組み付け完了後にボデーサイドリッド30を閉めるようにすることにより、シール材C13を傷めることがないようになっている。
また、車体2の組付け後、上方に開放した車体2のボデーサイドリッド30を下ろすことにより、シール材C13が車体2の内壁面に弾力を有して当接するようになる。
【0020】
また、ラジエータフレーム6の車幅方向右側(車両内側)にはファンシュラウド9が固着されている。
更に、ファンシュラウド9の内壁面と羽根の先端部が僅かな隙間を有して配置されたファン16と、ファン16を駆動するファン駆動機構14の変換部141をラジエータフレーム6に取付けて支持している駆動機構支持ステー15を備えている。(図3参照)
ファンシュラウド9と、ファン16及び変換部141を支持する駆動機構支持ステー15がラジエータフレーム6に取付けられる構造なので、ファンシュラウド9の内壁面と、ファン16の羽根の先端部との隙間を小さく管理することが可能となり、インタークーラ10及び、ラジエータ7を通過する冷却風を効果的に吸引することが可能となる。
尚、駆動機構支持ステー15はファンシュラウド9の外周部で且つ、ラジエータフレーム6の矩形状の四角夫々にパイプ状の一端が固着され、他端が四角から4本のパイプがファンシュラウド9の車幅方向内側部分で且つファンシュラウド9の円周中心付近まで円弧状に伸び、該中心付近で4本のパイプによってファン16とファン16を駆動するファン駆動機構14の変換部141を支持している。
冷却装置4はラジエータフレーム6、ラジエータ7、インタークーラ10、ラジエータシュラウド8、ファンシュラウド9、ファン16、ファン駆動機構14、駆動機構支持ステー15及び各シール材A,B,C、11,12,13から構成され一体的に組付けられている。
【0021】
図4にてラジエータフレーム6をシャシフレーム20搭載した構造について説明する。
図5に示すラジエータフレーム6の上下方向に延びる前後の縦フレーム62,63の中間部に配置されているブラケット61にフレームステー27,27(図4参照)がボルトにて締結される。シャシフレーム20にはシャシフレーム20の後部側壁に固着された後側中間受台25と、同じくシャシフレーム20の側面に固着され、エアクリーナ(図示省略)を支持するエアクリーナサポート29と、シャシフレーム20に固定され、車体2側のピラー(図示省略)と結合してエンジンルーム3を構成するエンジンルーム3の前壁22に固着された前側中間受台31と、同じく前壁22に固着されたステー30とが準備されている。
ラジエータ7、インタークーラ10等が一体的に組付けられた冷却装置4のラジエータフレーム6のフレームステー27,27を後側中間受台25と前側中間受台31とにゴムパッキン26を介して締結する。次に、後側縦フレーム62の上端部をエアクリーナサポート29に固着されたブラケット28と締結する。最後に、前側縦フレーム63の上端部を前壁に固着されたステー30と締結される。
これにより、冷却装置4は左側のシャシフレーム20に4点で支持されることになり、車両1の走行振動等にも影響されず確実に機能を果たすことができる。
尚、図4はシャシフレーム20とラジエータフレーム6との結合構造を説明するために示したもので、実際のシャシフレーム20への組付けは、ラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10等が一体的に組付けられた冷却装置4の状態で、ラジエータフレーム6を介して、シャシフレーム20に組付ける。
【0022】
図3は実施形態に係る冷却装置4をシャシフレームへ組付けた状態の平面図を示すもので、ファン16の駆動方法について説明する。
ファン駆動機構14は、エンジン19からの回転力をプーリA17とプーリB21とをベルト18にて伝達するプーリ部と、プーリB21の回転をエンジン19のクランクシャフト(図示省略)と略平行に配置して、車両前後方向前側へ延びるシャフト142と、シャフト142の前端部でエンジン19からの回転を直角方向に変換してファン16を回転駆動する変換部141と、シャフト142の前端部と変換部141の連結部に介装された球状の自在継ぎ手143とで構成している。
尚、変換機構とシャフトとの連結に球状の自在継ぎ手143を使用する目的はプーリ21とベルト18の滑りを防止するためである。即ち、プーリ21はベルト18にテンションが作用するように支持されているため、プーリ21が変位しても変換部141に回転が滑らかに伝達できるようにしてある。従って、エンジンのトルク変動によりエンジンが振れ、エンジンクランクシャフトが左右方向に動いた場合にプーリ21が車幅方向に変動しても、変換部141に駆動力が入力する部分へ自在継手143を配設したので、エンジンクランクシャフトと平行に配設された駆動軸の車幅方向への変動を効果的に吸収できる構造としてある。
尚、本実施形態ではファン駆動機構14をプーリ部、シャフト142及び、自在継手143で構成したが、ファン16を駆動源として、電動モータ及びオイルモータ等を使用すると、構造がより簡素化できる。
【0023】
本実施形態によれば、冷却装置4はラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10、ラジエータシュラウド8、ファンシュラウド9、ファン16、ファン駆動機構14、駆動機構支持ステー15及び各シール材A,B,C、11,12,13を一体的にして、シャシフレーム20に単独で支持する構造としたので、車体2とシャシフレーム20間の製造誤差に影響されずに組立が可能となり、組立の容易化、工数低減が可能となる。重たい冷却装置4を支持するステーをシャシフレーム20と略直角に配置する従来の構造に対し、冷却装置4をシャシフレーム20と略平行にしたので、シャシフレーム20に対する冷却装置4の重心のオーバハング量が小さくなり且つ、冷却装置4の取付部をシャシフレーム20の前後方向から後側の中間受台25、前側中間受台31、上側の上端部をエアクリーナサポート29に固着されたブラケット28、前側の上端部を前壁に固着されたステー30夫々に固着しただけなので、重量及びコストの低減が可能となった。
更に、ラジエータシュラウド8を車体2外壁の開口部にシール材C13にて密着させ、ファンシュラウド9までの各冷却用機器の接合部にはシール材A11及びB12を配置したので、エンジンルーム3内からの熱気の巻き返しが防止でき、ラジエータ7及びインタークーラの冷却能力を十分に発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
リヤエンジンバスのエンジンルーム3に配置する冷却装置の組立性、及び冷却能力の向上を目的とした冷却装置
【符号の説明】
【0025】
1 車両
2 車体
3 エンジンルーム
4 冷却装置
5 ラジエータシュラウドブラケット
6 ラジエータフレーム
7 ラジエータ
8 ラジエータシュラウド
9 ファンシュラウド
10 インタークーラ
14 ファン駆動機構
15 駆動機構支持ステー
20 シャシフレーム
30 ボデーサイドリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン用冷却装置において、矩形状に枠組みされ、該矩形状の面が車両の側壁に沿って配置されるラジエータフレームと、該ラジエータフレームの車幅方向外側面に前記エンジン用冷却水を冷却するラジエータと、該ラジエータの車幅方向外側に配置され前記エンジンの吸気を冷却するインタークーラと、該インタークーラの車幅方向外側に前記車両の側壁に配設された開口部に対向して外気の導入口を有したラジエータシュラウドと、前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドの車両前後方向外側面に固着され前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドとで前記インタークーラを一体的に挟持するラジエータシュラウドブラケットと、前記ラジエータフレームの車幅方向内側面に固着され円筒状の開口部を有するファンシュラウドと、前記開口部に遊嵌したラジエータファン及び該ラジエータファンを駆動するファン駆動機構と、前記ラジエータフレームに固着され前記ファン駆動機構を支持する駆動機構支持ステーとを備え、前記ラジエータフレームに前記ラジエータ、前記インタークーラ、前記ラジエータシュラウド、前記ファンシュラウド、ファン駆動機構及び、前記駆動機構支持ステーを前記ラジエータフレームに一体的に取付け、前記車両のエンジンルーム内のシャシフレームに前記ラジエータフレームを介して取付けられたことを特徴とするエンジン用冷却装置。
【請求項2】
前記ラジエータと前記インタークーラとの接合外周部、前記インタークーラと前記ラジエータシュラウドとの接合外周部及び、前記ラジエータシュラウドと前記車両の側壁との接合外周部には周囲からの空気の吸い込みを防止する発泡性柔軟材製のシール部材を介装したことを特徴とする請求項1記載のエンジン用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−126328(P2011−126328A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284170(P2009−284170)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】