説明

エンジン用冷却装置

【課題】
エンジンの冷却部材を一体的に取付けてコンポーネント化すると共に、車体の開口部にラジエータシュラウドの吸気導入部が弾力を有して当接するシール材Cが取付けてエンジンルーム内の熱気がインタークーラ及び、ラジエータに吸気されない構造にすることにより、冷却装置の性能を確保すると共に、車体側との結合をなくし、組立ての容易化及び、重量軽減のできるエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
ラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10、ファン16、ファンシュラウド9、ファン駆動機構14及び駆動機構支持ステー15等を一体的に取付てコンポーネント化してシャシフレーム20に取付け、車体2の側面と略平行に配設すると共に、ボデーサイドリッドとラジエータシュラウドの外気導入口間に第一シール材を介装して、エンジンルーム3内の熱気巻返しを防止する冷却装置一体化構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤエンジンバスなどに搭載されたエンジンの冷却水を冷却するエンジン用冷却装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リヤエンジンバスの車体後部に配置されたエンジンルームには、エンジン、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、該ラジエータの冷却フィン部を強制換気して、熱交換を促進するファン、エンジンに過給する吸気を冷却するインタークーラ、変速機等車両(バス)が走行するための重要な装置が集中して配置されている。また、エンジン及びその他の装置の稼働騒音が車外に直接漏れるのを防止するためエンジンルームの外周部は車体壁によって遮音されている。そのためラジエータ及び、インタークーラにはラジエータから噴出された熱風が再びラジエータ及び、インタークーラに吸込まれ(巻返し)ないようにする必要がある。
そのため、ラジエータの吸気上流側にはラジエータの外周に沿って取巻くように遮蔽板を配置して、エンジンルーム内の熱風巻返しを防止するいわゆる、ラジエータシュラウドが車体側とシャシフレーム側とにわたり取付けられている。
従ってラジエータ取付構造及びラジエータシュラウド構造が複雑になり組立作業に多くの時間を有している。
【0003】
図7は現状リヤエンジンバスのエンジンルーム99部の右側(以後左右の基準は運転席に着座した状態で前後左右を記載する。)後部を示し車体の側壁を省略したものである。
100はインタークーラ、105はエンジンルーム99内に車両前後方向で且つ、車幅方向に間隔を有した左右一対のシャシフレーム(図示省略)の右側シャシフレーム外側面に一端が固定され、他端が車両外方へ延びたラジエータサポートである。左右一対のシャシフレームの車幅方向の間にはリヤエンジンバスのエンジン(図示省略)が搭載されている。
ラジエータサポート105の他端は車体111のロアフレーム104に固着されたブラケット110に締結される。106及び107は車体111の上下方向に配設され下端部をロアフレーム104に夫々固着され、中間部をロアフレーム104と略平行に配置されたフロアフレーム112に固着され、車体111の骨格の一部を構成する車体ピラーA及びBである。
102はファンシュラウド103と、ファンシュラウド103内にラジエータファン(図示省略)をファンシュラウド103の内周面と間隔を有して回転可能に支持するラジエータフレームである。
【0004】
インタークーラ100の吸気上流側(インタークーラ100の前側)にはインタークーラ100の外周部に沿ってエンジンルーム99内からの熱気を遮断するラジエータシュラウドA109と、ラジエータシュラウドA109の前端縁に接続し、車体111の外側壁(図示省略)に結合するラジエータシュラウドC113と、インタークーラ100の下端縁、ラジエータシュラウドA109の下端縁及びラジエータシュラウドC113とを接続し車体111の外壁部に接合して下部を遮蔽するラジエータシュラウドB108と、インタークーラ100の上端縁、ラジエータシュラウドA109の上端縁及び、ラジエータシュラウドC113の上端縁と及び、車体111の外壁部に接合して上部をエンジンルーム3から遮蔽するラジエータシュラウドB(図示省略)とで構成され、インタークーラ100の吸気系上流部はインタークーラ100の外周に沿って複数のラジエータシュラウドが囲うように配置されている。吸気は車体ピラーA106,B107、ロアフレーム104及びフロアフレーム112に囲まれた車体111の側壁部に開口した吸気孔から吸気している。これら複数のラジエータシュラウドは車体111及びシャシフレームに連結されている。
【0005】
ところが、バスの組立はシャシフレーム側を組付けて、その上に車体側を覆いかぶせる順序で行う。最初に、ラジエータフレーム102にラジエータ101及びファンサポート(含むファンシュラウド103及びファン)をシャシフレーム側に固着されているラジエータサポート105に取付けておく。次に、車体側を上方から覆いかぶせるように載置して、車体側のロアフレーム104に固着されているラジエータサポートブラケット110とラジエータサポート105の他端及び複数のラジエータシュラウドと車体の側壁とを締結する構造となっている。
【0006】
当該取付部は車体側111とシャシフレーム側とを別々に組立て、ボルトで締結する構造であり、ラジエータサポートブラケット110とラジエータサポート105の他端部との取付孔が製造誤差により一致し難く組立てに苦労する。更に、インタークーラ100と複数のシュラウドとの接合部の合沿いがずれる等の不具合が生じている。
更に、排気ガス浄化対策等でラジエータの容量も大きくなり、従来の場所では、エンジンの大きさ(出力)によっては収納できない場合も出てきた。
【0007】
また、ラジエータシュラウドと車体とのあいだを遮蔽するのにシールラバーを用いて、車体とシャシフレーム側との誤差を吸収して、ラジエータへのエンジンルーム3からの熱風巻き返しを吸収している。
その、先行技術文献として、特開平11―36866号公報(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】公報特開平11―36866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、特許文献1では車体側とシャシフレーム側との間に取付けられる部材の取付誤差を吸収するために柔軟性のある部材で隙間を吸収しているため、柔軟材が風圧等による変形を防止する処置を施す必要があり、更には、シャシフレーム側に搭載された重いラジエータが片持支持となり、シャシフレーム側の取付部の剛性を大幅に増強しなければならず、コスト的にも、ラジエータの振れによるエンジン用冷却装置の耐久性、さらに、ラジエータの振れによる遮蔽装置の遮蔽性低下等の不具合を有している。
【0010】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、ラジエータ、インタークーラ、ファン、ファンシュラウド等のエンジン用冷却装置を一体的にコンポーネント化して、シャシフレームに対し平行にすることにより、冷却装置の車幅方向へのオーバハング量を少なくして、取付をシャシフレーム側だけにすることにより、車体側との結合をなくし、組立の容易化と、重量軽減及び取付構造の簡素化によるコスト低減を可能としたエンジン用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はかかる目的を達成するもので、エンジン用冷却装置において、矩形状に枠組みされ、該矩形状の面が前記車両の側壁に沿って配置されるラジエータフレームと、該ラジエータフレームの車幅方向外側面に固着され前記車両のエンジンの冷却水を冷却するラジエータと、該ラジエータの車幅方向外側に配置される前記エンジンの吸気を冷却するインタークーラと、前記車両の側壁部に設けられ、前記ラジエータの吸気取入れを行う開口部を有したボデーサイドリッドと、前記インタークーラと前記開口部との間に介装され、前記開口部に対向して外気の導入口を有したラジエータシュラウドと、前記開口部の外周部と前記導入口の外周部間に介装され前記外周部に固着されたシール部材と、前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドの車両前後方向外側面に固着され前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドとで前記インタークーラを一体的に挟持するラジエータシュラウドブラケットとを備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成により、ラジエータシュラウドの外気導入口と車両側壁部の開口部の外周部間に第一シール部材介装されたので、エンジンルーム内の熱気がラジエータシュラウドからインタークーラ及びラジエータに侵入するのを効果的に防止できる。
更に、インタークーラ及びラジエータシュラウドをラジエータと共にラジエータシュラウドブラケットによって一体的に挟持した構造にしたので、各部材をアッセンブリィの形態でシャシに組みつけられるので、各部品間の組立てが精度よく組付けられる。
【0013】
また、本願発明において好ましくは、前記ラジエータシュラウドの下部に前記インタークーラからエンジンに吸気を導く吸気パイプを取付けたことを特徴とする。
【0014】
このような構成により、インタークーラからエンジンに吸気を導く吸気パイプをラジエータシュラウドの下部に固着したので、冷却装置をシャシに組付ける際の組付け工数が低減できると共に、吸気パイプを含めた冷却装置全体がコンパクトになり、狭いエンジンルーム内の換気によい効果を得ることができる。
更に、吸気パイプの支持ステーをシャシ側に取付けた従来構造に対し、ラジエータシュラウドから延出したブラケットに吸気パイプを固定した構造なので部品のコスト低減が可能となる。
【0015】
また、本願発明において好ましくは、前記ボデーサイドリッドは前記車体の側壁にヒンジを介して装着されており、車両外方向へ解放可能とするとよい。
【0016】
このような構成により、シール材の変形代を大きくして、車体とシャシフレーム側との製作誤差により、シール材と車両の側壁との間に隙間が生じるのを防止すると共に、車体をシャシフレーム側に組付ける際に、ボデーサイドリッドを車両外方へ開放した状態で組付け作業を行うことにより、車両の側壁がシール材を変形させて、損傷するのを防止することができる。
更に、冷却装置の整備・点検が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
ラジエータシュラウドの外気導入口と車両側壁部の開口部の外周部間に第一シール部材介装したので、エンジンルーム内の熱気がラジエータシュラウドからインタークーラ及びラジエータに侵入するのを効果的に防止できる。
更に、インタークーラ及びラジエータシュラウドをラジエータと共にラジエータシュラウドブラケットによって一体的に挟持した構造としたので、各部品間の組立精度がよくなり、各部品間の隙間も小さくでき、巻返しの熱風も少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る車両全体の左側面図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る冷却装置の組付け状態外嵌図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係る冷却装置をシャシフレームへ組付け状態の平面図を示す。
【図4】本発明の実施形態に係るラジエータフレームをシャシフレームへ組付けた状態の斜視図を示す。
【図5】本発明の実施形態に係るラジエータシュラウドの車幅方向内側からの斜視図を示す。
【図6】本発明の実施形態に係る車体側面の開口部を車体内側からの斜視図を示す。
【図7】従来実施例の車両への組み付け状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
(実施形態)
図1は実施形態に係る車両全体の左側面図を示す。本実施例の場合、車両1の後部の車体2を構成する側壁であるボデーサイドリッド30に開口した開口部33からインタークーラ10及びラジエータ7を冷却する外気を導入する。ボデーサイドリッド30は車体2をシャシフレーム20に組み付ける際には後述する第一シール部材であるシール材C13との干渉を避けると共に、冷却装置4を整備点検するため、ボデーサイドリッド30の上側に配設したヒンジ35(図6参照)により、上方へ開放可能になっている。
【0021】
車両1の後部には車体2とシャシフレーム20とに囲われたエンジンルーム3が形成されている。図3に示すように、エンジンルーム3内には車両1の前後方向に沿って、車幅方向へ間隔を有し、左右一対のシャシフレーム20の間には車両1が走行するためのエンジン19をクランク軸が車両1の前後方向に沿うように配置されている。
該左右一対のシャシフレーム20の左側外側には冷却装置4が配置されている。図2に示すように冷却装置4は、ラジエータフレーム6(図4参照)の車幅方向左側にラジエータ7が固着され、ラジエータ7の更に、車幅方向左側にインタークーラ10を配置しラジエータ7とインタークーラ10との間に柔軟材からなるシール材A11が介装されている。
シール材A11は矩形状のラジエータ7の外周部に沿って、四辺に固着されている。
ラジエータ7の周囲からエンジンルーム3の熱気がラジエータ7内に吸込まれないようになっている。シール材A11の材料としては、例えば、NBR(ニトリルゴム)等を発泡させて柔軟性を高めたものでよい。
【0022】
また、インタークーラ10の更に、車幅方向左側にラジエータシュラウド8が装着されている。インタークーラ10とラジエータシュラウド8との間にも、柔軟材からなるシール材B12が介装されており、インタークーラ10とラジエータシュラウド8の周囲からエンジンルーム3の熱気がインタークーラ10内に吸込まれないようになっている。材料としてはシール材A11と同じである。
ラジエータシュラウド8は車幅方向外側が縮小した略四角錐台の形状をした空洞部を有した形状を成している。
ラジエータシュラウド8のインタークーラ10側の面にはシール材B12がラジエータシュラウド8の外周部に沿って四辺に固着されている。
そして、図2に示すように、ラジエータ7とラジエータシュラウド8とに渡ると共に、車両前後方向外側部の上下夫々4箇所に配置したラジエータシュラウドブラケット5にてラジエータ7とラジエータシュラウド8とを締結することにより、インタークーラ10を強固に挟持する構造になっている。
【0023】
また、ラジエータシュラウド8の車幅方向左側の端には車体2の開口部33に対向した外気導入口81が配設され、該外気導入口81には車体2の内壁面に弾力を有して当接する第一シール部材であるシール材C13が取付けられている。これも、ラジエータシュラウド8内にエンジンルーム3の熱気が侵入しないようにするためである。材料としてはシール材A11と同じである。
尚、シール材C13が車体2の内壁面に弾力を有して当接するような構造(車幅方向への厚みを十分に有している)になっている。
また、図5に示すように、ラジエータシュラウド8の車幅方向内側部分で且つ、縦方向の部材には防塵ネット85を取付ける取付けブラケット84が車両前後方向に一対配置されている。防塵ネット85は取付けブラケット84にボルトで締結することができるようになっている。
ラジエータシュラウド8内に防塵ネット85を取付ける構造としたので、新たなスペース必要としないので、狭いエンジンルーム内の換気に対しよい効果をもたらす。
更に、略四角錐形状のラジエータシュラウド8の下辺部で且つ内側には補強板86が下辺部の略全辺に渡り固着されている。図2に示すインタークーラ10によって冷却された吸気をエンジンに導く吸気パイプ89を支持する複数のステー87をボルト83によってラジエータシュラウド8に締結するためである。90は一方がインタークーラ10に外嵌し、他方が吸気パイプ89に外嵌した双方を連結するゴム製のパイプで、両端の外嵌部は夫々クランプ92及び91にて固定されている。
インタークーラ10の吸気パイプ89をラジエータシュラウド8に締結する構造なので、冷却装置4を組付ける際に、吸気パイプ89を一緒に組付けることにより作業が効率化できると共に、冷却装置4に吸気パイプ89がコンパクトに収まるので、狭いエンジンルーム内の換気に対しよい効果をもたらす。
【0024】
一方図6に示すように、車体2のボデーサイドリッド30は外壁を形成するサイドリッド31と、サイドリッド31の車幅方向内側に中央部が開口した枠状の補強部材32が固着されている。補強部材32の更に、車幅方向内側にはシール材C13と当接する枠状のリッドシール面34が形成された枠状のシール受部33が形成されている。
リッドシール面34は車体2の側面が3次元の曲面で形成されていると共に、シール材C13と平面的に接触することにより、密閉効果を向上させるために形成されている。
これは、シャシフレーム20の製作誤差、ラジエータフレーム6のシャシフレーム20への組付け誤差及び車体2の製作誤差等を吸収することができるようししてある。
従って、組立時は、開口部33を有した車体2のボデーサイドリッド30、該ボデーサイドリッド30の上辺に配設したヒンジ35により、上方に開放した状態に維持して組み付ける。車体2を上方から下げて組み付け完了後にボデーサイドリッド30を閉めるようにすることにより、シール材C13を傷めることがないようになっている。
また、車体2の組付け後、上方に開放した車体2の外壁部を下ろすことにより、シール材C13が車体2の内壁面に弾力を有して当接するようになる。
【0025】
また、ラジエータフレーム6の車幅方向右側(車両内側)にはファンシュラウド9が固着されている。
更に、ファンシュラウド9の内壁面と羽根の先端部が僅かな隙間を有して配置されたファン16と、ファン16を駆動するファン駆動機構14の変換部141をラジエータフレーム6に取付けて支持している駆動機構支持ステー15を備えている。(図3参照)
ファンシュラウド9と、ファン16及び変換部141を支持する駆動機構支持ステー15がラジエータフレーム6に取付けられる構造なので、ファンシュラウド9の内壁面とファン16の羽根の先端部との隙間を小さく管理することが可能となり、インタークーラ10及び、ラジエータ7を通過する冷却風を効果的に吸引することが可能となる。
尚、駆動機構支持ステー15はファンシュラウド9の外周部で且つ、ラジエータフレーム6の矩形状の四角夫々にパイプ状の一端が固着され、他端が四角から4本のパイプがファンシュラウド9の車幅方向内側部分で且つファンシュラウド9の円周中心付近まで円弧状に伸び、該中心付近で4本のパイプによってファン16とファンを駆動するファン駆動機構14の変換部141を支持している。
冷却装置4はラジエータフレーム6、ラジエータ7、インタークーラ10、ラジエータシュラウド8、ファンシュラウド9、ファン16、ファン駆動機構14、駆動機構支持ステー15及び各シール材A,B,C、11,12,13から構成されている。
【0026】
図4にてラジエータフレーム6をシャシフレーム20搭載した構造について説明する。
ラジエータフレーム6の上下方向に延びる車両前後配置の縦フレーム62,63の中間部夫々に配置されているブラケット61(図示省略)にフレームステー27,27がボルトにて締結される。シャシフレーム20にはシャシフレーム20の後部側壁に固着された後側中間受台25と、同じくシャシフレーム20の側面に固着され、エアクリーナ(図示省略)を支持するエアクリーナサポート29と、シャシフレーム20に固定され、車体2側のピラー(図示省略)と結合するエンジンルーム3を構成するエンジンルーム3の前壁に固着された前側中間受台31と、同じく前壁に固着されたステー30とが準備されている。
ラジエータ7、インタークーラ10等が一体的に組付けられた冷却装置4のラジエータフレーム6のフレームステー27,27を後側中間受台25と前側中間受台31とにゴムパッキン26を介して締結する。次に、後側縦フレーム62の上端部をエアクリーナサポート29に固着されたブラケット28と締結する。最後に、前側縦フレーム63の上端部を前壁に固着されたステー30と締結される。
尚、図4はシャシフレーム20とラジエータフレーム6との結合構造を説明するために示したもので、実際のシャシフレーム20への組付けは、ラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10等が一体的に組付けられた冷却装置4の状態で、ラジエータフレーム6を介して、シャシフレーム20に組付ける。
これにより、冷却装置4は左側のシャシフレーム20に4点で支持されることになり、車両1の走行振動等にも影響されず確実に機能を果たすことができる。
【0027】
図3は実施形態に係る冷却装置4をシャシフレームへ組付けた状態の平面図を示すもので、ファン16の駆動方法について説明する。
ファン駆動機構14は、エンジン19からの回転力をプーリA17とプーリB21とをベルト18にて伝達するプーリ部と、プーリB21の回転をエンジン19のクランクシャフト(図示省略)と略平行に配置して、車両前後方向前側へ延びるシャフト142と、シャフト142の前端部でエンジン19からの回転を直角方向に変換してファン16を回転駆動する変換部141と、シャフト142の前端部と変換部141の連結部に介装された球状の自在継ぎ手143とで構成している。
尚、変換機構とシャフトとの連結に球状の自在継ぎ手143を使用する目的はプーリ21とベルト18の滑りを防止するためである。即ち、プーリ21はベルト18にテンションが作用するように支持されているため、プーリ21が変位しても変換部141に回転が滑らかに伝達できるようにしてある。
従って、エンジンのトルク変動によりエンジンが振れ、エンジンクランクシャフトが左右方向に動いた場合にプーリ21が車幅方向に変動しても、変換部141に駆動力が入力する部分へユニバーサルジョイントを配設したので、エンジンクランクシャフトと平行に配設された駆動軸の車幅方向への変動を効果的に吸収できる構造としてある。
【0028】
本実施形態によれば、冷却装置4はラジエータフレーム6にラジエータ7、インタークーラ10、ラジエータシュラウド8、ファンシュラウド9、ファン16、ファン駆動機構14、駆動機構支持ステー15及び各シール材A,B,C、11,12,13を一体的にして、シャシフレーム20単独で支持する構造とし且つ、ボデーサイドリッド3にシール材C13と当接する枠状のリッドシール面34を形成したので、冷却装置4とボデーサイドリッド3とのシール性が向上して、エンジンルーム3内からの熱風の、巻返しを確実に防止でき、冷却装置4の性能を確保できる。
また、車体2とシャシフレーム20間の製造誤差に左右されずに組立てが可能となり、組立ての容易化、工数低減が可能となる。重たい冷却装置4を支持するステーをシャシフレーム20と略直角に配置する構造に対し、冷却装置4をシャシフレーム20と略平行にするため、シャシフレーム20に対するオーバハング量が小さくなり且つ、取付部を直接前後のシャシフレーム20から短い中間受台25と前側中間受台31を配置しただけなので、重量及びコストの低減が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
リヤエンジンバスのエンジンルーム3に配置する冷却装置の組立性、及び冷却能力の向上を目的とした冷却装置
【符号の説明】
【0030】
1 車両
2 車体
3 エンジンルーム
4 冷却装置
5 ラジエータシュラウドブラケット
6 ラジエータフレーム
7 ラジエータ
8 ラジエータシュラウド
9 ファンシュラウド
10 インタークーラ
14 ファン駆動機構
15 駆動機構支持ステー
20 シャシフレーム
30 ボデーサイドリッド
31 サイドリッド
34 リッドシール面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン用冷却装置において、矩形状に枠組みされ、該矩形状の面が車両の側壁に沿って配置されるラジエータフレームと、該ラジエータフレームの車幅方向外側面に固着され前記車両のエンジンの冷却水を冷却するラジエータと、該ラジエータの車幅方向外側に配置される前記エンジンの吸気を冷却するインタークーラと、前記車両の側壁部に設けられ、前記ラジエータの吸気取入れを行う開口部を有したボデーサイドリッドと、前記インタークーラと前記開口部との間に介装され、前記開口部に対向して外気の導入口を有したラジエータシュラウドと、前記開口部の外周部と前記導入口の外周部間に介装され前記外周部に固着されたシール部材と、前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドの車両前後方向外側面に固着され前記ラジエータと前記ラジエータシュラウドとで前記インタークーラを一体的に挟持するラジエータシュラウドブラケットとを備えたことを特徴とするエンジン用冷却装置。
【請求項2】
前記ラジエータシュラウドの下部に前記インタークーラからエンジンに吸気を導く吸気パイプを取付けたことを特徴とする請求項1記載のエンジン用冷却装置。
【請求項3】
前記ボデーサイドリッドは車体の側壁にヒンジを介して装着されており、車両外方向へ解放可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−127449(P2011−127449A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284169(P2009−284169)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】