説明

エンジン試験用オイル温度調整装置

【課題】
エンジン試験の開始時に導管セットの手間を低減でき、また試験中のオイル送油用ポンプの電力消費量を低減する。
【解決手段】
オイルパン2aから、第1の分岐手段7の第1、第2ポート、ポンプ5、第2の分岐手段9の第1、第2ポート、温度調整器6を介してオイルパン2aに戻る温度調整管4と、第1の分岐手段9の第3ポートとオイル調整タンク11との間の供給管8と、第2の分岐手段9の第3ポートとオイル調整タンクとの間の排出管10を備え、オイルパン内のオイル量が増加すると、第2の分岐手段9の第3ポートを開放せしめて温度調整管内のオイルの一部を調整タンク11に排出し、オイル量が減少すると、第1の分岐手段7の第3ポートを開放せしめて調整タンク11のオイル3を温度調整管4に供給して、前記オイルパン内におけるオイル量の増減に対する補正を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の自走車のエンジンを試験する際に用いるエンジン試験用オイル温度調整装置に関し、より詳しくは、供試体たるエンジンのオイルパン内のオイル量の増減を補正できるようにしたエンジン試験用オイル温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジンは、自動車用の環境試験装置によって車両に搭載した状態でのエンジン試験やエンジンベンチ試験装置によってエンジン単体での性能試験がおこなわれており、(例えば、特許文献1および特許文献2参照)のものがあって、この性能試験の中で、オイル温度調整装置によってオイルパン内のオイルの温度を調整(高温、低温)しておこなう試験エンジンの性能試験の際、図4に示すように、断熱材12aで囲まれた試験室12内に設置された供試体たるエンジン13のオイルパン13a内におけるオイル14の温度調整をおこなう温度調整装置17に加えて、前記オイルパン13a内におけるオイル14の液面14aを一定に保つ液面制御装置18を付加して行っている。
【0003】
この液面制御装置18を付加する理由としては、温度調整装置17の使用によって、エンジン13のオイル14量が、このエンジン13のオイルパン13a内のオイル14量に加え、エンジン13のオイルパン13aに接続している温度調整装置17を経由する温度調整管15内のオイル(図示は省略)量が加わることによって大量となり、そしてこの大量のオイルがポンプ16によって温度調整管15に循環されて、温度調整装置17で温度調整(高温、低温)されることによってオイル14が膨張または収縮し、この膨張または収縮の影響が、空間の有るエンジン13のオイルパン13a内におけるオイル14の液面14aの上下変化として現れ、したがってこのオイル14の液面14aの変化によってオイルパン13a内のオイル14量が過剰になったりあるいは不足し、エンジン13が破損する恐れがあるからである。
【0004】
そして、エンジン性能試験の際、温度調整装置17を経由する温度調整管15内のオイル(図示は省略)とエンジン13のオイルパン13a内のオイル14とを合わせた大量のオイルが温度調整装置17によって温度調整され、エンジン13のオイルパン13a内のオイル14の液面14aに上下変化が現れたことを検出した場合、例えばオイル14が温度調整装置17またはエンジン13の発熱によって加熱されて、この加熱による膨張でエンジン13のオイルパン13a内のオイル14の液面14aが上昇したことを検出した場合は、このオイルパン13a内のオイル14を、液面制御装置18に備えるポンプ20によって排出管19を通過させてオイル調整タンク23に抜き取り、オイルパン13a内のオイル14の液面14aを適正位置まで下降させている。
【0005】
また、オイルが温度調整装置17によって冷却されて、この冷却による収縮でオイルパン13a内のオイル14の液面14aが下降したことを検出した場合は、オイル調整タンク23に貯留するオイル14を、液面制御装置18に備える供給ポンプ22によって供給管21を通過させてエンジン13のオイルパン13a内に供給し、オイルパン13内のオイル14の液面14aを適正位置まで上昇させている。
また、オイルパン13a内のオイル14の液面14aの上下変化の検出は、オイルパン13aに設けた耐油性の液面検出センサ(図示は省略)によって検知している。
【特許文献1】特開平9−15102号公報(第1〜6頁、第1図)
【特許文献2】実開平7−23259号公報(第1〜2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図4で示すように、エンジン13のオイルパン13a内におけるオイル14の温度調整(高温、低温)をおこなう温度調整装置17と、エンジ13のオイルパン13a内におけるオイル14の液面14aを一定に保つための液面制御装置18は独立した装置であるため、これらの温度調整装置17と液面制御装置18を用いておこなうエンジン13の性能試験の際、エンジン13のオイルパン13aの流出口13bに温度調整装置17の温度調整管15の流入口側(図示は省略)を接続し、また温度調整管15の流出口側(図示は省略)を前記オイルパン13の流入口13cに接続し、さらに、液面制御装置18の排出管20をエンジン13のオイルパン13aの排出口13dに接続し、また供給管21を前記オイルパン13aの供給口13eに接続しなければならならなかった。特に、本試験はエンジンの保護に重要なオイルを扱う試験であるため、各導管(4本)の接続にはより慎重な作業が求められ、また、接続後の確認も慎重におこなわれるので、本試験の開始にあたり各導管のセットは手間の掛かるものであった。
【0007】
また、図4のように、温度調整装置17には、エンジン13のオイルパン13aのオイル14を循環させるための循環用のポンプ16が設けられ、また、液面制御装置18には、エンジン13のオイルパン13a内におけるオイル14の液面14aを調整するため、排出用のポンプ20と供給用のポンプ22が設けられているので、エンジン試験の際には、これらのポンプに対し運転、停止の制御が各々おこなわれることから、ポンプ16、ポンプ20、ポンプ22の電力消費量が多かった。
【0008】
本発明は、エンジン試験の開始にあたり導管のセットに掛かる手間を低減でき、また、試験中のオイル送油におけるオイル送油用のポンプの電力消費量を低減できるエンジン試験用オイル温度調整装置を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエンジン試験用オイル温度調整装置は、供試体たるエンジンのオイルパンに一端が接続された温度調整管の他端を、第1および第2の三方分岐制御手段とこの第1および第2の三方分岐制御手段の間に配設したポンプと温度調整器を介して前記オイルパンに接続し、また前記第1の三方分岐制御手段は前記ポンプの吸入口側にかつ第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続して配設されるとともに、同第1の三方分岐制御手段の第3ポートには一端をオイル調整タンクに接続した供給管の他端が接続され、また前記第2の三方分岐制御手段は前記ポンプの吐出口側にかつ第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続して配設されるとともに、同第2の三方分岐制御手段の第3ポートには一端をオイル調整タンクに接続した排出管の他端が接続され、また前記オイルパン内におけるオイル量の増減変化を任意の検知手段によって検知し、同検知手段が前記オイル量の増加を検知した場合は、前記第2の三方分岐制御手段の第3ポートを開放せしめて前記温度調整管を流れるオイルの一部を前記排出管に分流させて前記オイル調整タンクに排出し、また、前記検知手段が前記オイル量の減少を検知した場合は、前記第1の三方分岐制御手段の第3ポートを開放せしめて前記オイル調整タンクに貯留するオイルを前記供給菅からオイル調整タンクの下流に位置する前記温度調整管に流下させて供給することにより、前記オイルパン内におけるオイル量の増減に対する補正をおこなうように構成したものとしてある。
【0010】
また前記第1および第2の三方分岐制御手段が、温度調整管に第1分岐口および第2分岐口を接続した三方分岐管と、この三方分岐管の第3分岐口に配設した流量調整手段とから構成したものとしてある。
【0011】
また前記流量調整手段が、流路開閉用の開閉弁と流量調整用の制御弁とから構成したものとしてある。
【0012】
また前記第1および第2の三方分岐制御手段が、第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続し、また第3ポートを供給管に接続した三方制御弁から構成したものとしてある。
【0013】
また前記検知手段が、前記オイルパンに配設した液面検知センサによって検知するものとしてある。
【0014】
また前記検知手段が、前記温度調整管を流れるオイル温度を基に算出した結果から検知するものとしてある。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエンジン試験用オイル温度調整装置によれば、従来、別々に構成されていたオイル温度調整装置とオイル液面制御装置を一体化したことによって、試験エンジンのエンジン試験に際し、エンジンのオイルパンに接続する導管数が従来4本であったものを2本に半減でき、したがってエンジンのオイルパンからオイル温度を調整するオイル温度調整装置を経由してオイルパンへ戻る温度調整管の流出口と流入口をオイルパンに接続することによって導管のセットを完了することができる。
【0016】
このことから、エンジンを保護する重要なオイルを扱う試験であるがため、特に慎重な作業が求められる導管の接続数が従来の半数にできることは、単に導管の接続数が4本から2本に半減されることに留まるものではなく、導管の接続作業における作業ミスの発生率とともに、接続作業後の確認作業における確認ミスの発生率を低減でき、したがって導管の接続作業に起因するエンジン破損事故の発生率を大きく低減することができる。またエンジン破損により発生する恐れがある二次的な人身事故の発生率も大きく低減することができる。
【0017】
またオイル送油用のポンプを、従来、試験エンジンのオイルパンにおけるオイル温度を調整する温度調整装置に1基と、試験エンジンのオイルパン内におけるオイル液面を調整するオイル液面制御装置に2基の合計3基設けられていたオイル送油用のポンプを、本エンジン試験用オイル温度調整装置では、試験エンジンのオイルパンからオイル温度を調整する温度調整装置を経由して前記オイルパンに戻る温度調整管に1基配設し、この1基のポンプで、試験エンジンのオイルパン内のオイルを、温度調整装置を経由する温度調整管に循環させ、また、この循環するオイルが温度調整によって膨張または収縮した際、エンジンのオイルパン内のオイル液面補正のため、温度調整管に流れるオイルのオイル調整タンクへの排出、またオイル調整タンクから温度調整管へのオイルの供給ができるので、ポンプが消費する電力量を大きく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のエンジン試験用オイル温度調整装置を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るエンジン試験用オイル温度調整装置を示す構成図であり、その構成は、断熱材1aに囲まれた試験室1に設置された供試体たるエンジン2のオイルパン2aの接続口2bに温度調整管4の一端が接続され、そしてこの温度調整管4の他端が、第1の三方分岐制御手段7とポンプ5と第2の三方分岐制御手9と温度調整器6を経由して試験エンジン2のオイルパン2aの接続口2cに接続されている。
【0019】
また第1の三方分岐制御手段7はポンプ5の吸入口5a側に配設されており、この第1の三方分岐制御手段7の第1ポート7aと第2ポート7bが温度調整管4に接続され、第3ポート7cにはオイル調整タンク11に貯留するオイル3を温度調整管4に供給する供給管8が接続されている。
【0020】
また第2の三方分岐制御手段9はポンプ5の吐出口5b側に配設されており、この第2の三方分岐制御手段9の第1ポート9aと第2ポート9bが温度調整管4に接続され、第3ポート9cには温度調整管4に流れるオイル3をオイル調整タンク11に排出する排出管10が接続されている。
【0021】
そして、エンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の温度を調整(高温、低温)しておこなうエンジン試験が開始されると、先ず、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3が、温度調整管4に配設されたポンプ5によってオイルパン2aの接続口2bから第1の三方分岐制御手段7(第1ポート7aと第2ポート7bが開放)とポンプ5と第2の三方分岐制御手段9(第1ポート9aと第2ポート9bが開放)と温度調整器6を通過してオイルパン2aの接続口2cに戻る経路で循環され、かつ温度調整器6によってオイル3の温度が調整される。
【0022】
また、以下の説明の中に記載されるエンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの上昇、下降を検知する際に用いる液面センサは、液面変化の検知手段としては一般に広く用いられている技術であるため、本明細書においては前記オイルパン2aに設置される液面センサの図示を省略している。
【0023】
そして、オイル3の温度調整(高温、低温)により、例えばオイル3が温度調整器6による加熱あるいはエンジン2の発熱によって高温となったことによって温度調整管4内を循環するオイル3が膨張して、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが上昇(オイル3量の増加)したことをオイルパン2aに配設した液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、第2の三方分岐制御手段9の第3ポート9cを開放して温度調整管4を流れるオイル3の一部を排出管10に分流させてオイル調整タンク11に排出する。
また、このオイル3の排出は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(下降)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると第2の三方分岐制御手段9の第3ポート9cが閉止され、温度調整管4からのオイル3流入が停止する。そして、オイル3が温度調整管4から排出管10へ分流される際、ポンプ5の吐出圧が作用してオイル3が温度調整管4から排出管10へ押し出される。
【0024】
また、オイル3が温度調整器6で冷却されたことによって温度調整管4内を循環するオイル3が収縮して、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが下降(オイル3量の減少)したことをオイルパン2aに配設した液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、第1の三方分岐制御手段7の第3ポート7cを開放してオイル調整タンク11に貯留するオイル3を供給管8からオイル調整タンク11の下流に位置する温度調整管4に流下させて供給する。
また、このオイル3の供給は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(上昇)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると第1の三方分岐制御手段7の第3ポート7cが閉止され、オイル調整タンク11からのオイル3の流下が停止されて温度調整管4へのオイル3流入が停止する。そして、オイル3が温度調整管4へ供給される際、ポンプ5の吸入圧、またはオイル調整タンクのヘッド差が作用してオイル3が供給管8から温度調整管4に吸い出される。
【0025】
そして、前述の第1および第2の三方分岐制御手段7、9の具体例としては、図2のように、第1および第2の三方分岐管7d、9dと、この三方分岐管7d、9dの第3分岐口に配設した第1および第2の開閉弁7e、9eと第1および第2の制御弁7f、9fとから構成してもよい。また第1および第2の三方分岐管7d、9dの第1および第2分岐口は、それぞれ温度調整管4に接続される。
【0026】
上述の第1および第2の三方分岐管7d、9dと開閉弁7e、9eおよび制御弁7f、9fによる動作において、温度調整管4内を循環するオイル3が温度調整器6による加熱あるいはエンジン2の発熱によって高温となったことによって膨張して、エンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの上昇(オイル3量の増加)を液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、開閉弁9eが開放するとともに制御弁9fが適宜の開度で開き、温度調整管4を流れるオイル3の一部を第2の三方分岐管9dを介して排出管10に分流させてオイル調整タンク11に排出する。また制御弁9fの開度によって排出管10に分流されるオイル3の量が調整される。
また、このオイル3の排出は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(下降)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると開閉弁9eと制御弁9fが閉止され、温度調整管4からのオイル3流入が停止する。
【0027】
また、温度調整管4内を循環するオイル3が温度調整器6で冷却されたことによって収縮して、エンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの下降(オイル3量の減少)を液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、開閉弁7eが開放するとともに制御弁7fが適宜の開度で開き、オイル調整タンク11に貯留するオイル3を第1の三方分岐管7dを介して供給管8からオイル調整タンク11の下流に位置する温度調整管4に流下させて供給する。また制御弁7fの開度によって供給管8に流れるオイル3の量が調整される。
また、このオイル3の供給は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(上昇)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると開閉弁7eと制御弁7fが閉止され、オイル調整タンク11からのオイル3の流下が停止されて温度調整管4へのオイル3流入が停止する。
【0028】
そして、前述の第1および第2の三方分岐制御手段7、9の他の具体例としては、図3のように、第1および第2の三方制御弁7g、9gから構成してもよい。
また、三方制御弁7g、9gの第1ポート7h、9hと第2ポート7i、9iは、オイル3が温度調整管4内を循環している時は開放(連通)している。
【0029】
上述の第1および第2の三方制御弁7g、9gによる動作において、温度調整管4内を循環するオイル3が温度調整器6による加熱あるいはエンジン2の発熱によって高温となったことによって膨張して、エンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの上昇(オイル3量の増加)を液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、三方制御弁9gの第3ポート9jが適宜の開度で開き、温度調整管4を流れるオイル3の一部を排出管10に分流させてオイル調整タンク11に排出する。また第3ポート9jの開度によって排出管10に分流されるオイル3の量が調整される。
また、このオイル3の排出は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(下降)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると第3ポート9jが閉止され、温度調整管4からのオイル3流入が停止する。
【0030】
また、温度調整管4内を循環するオイル3が温度調整器6で冷却されたことによって収縮して、エンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの下降(オイル3量の減少)を液面センサ(図示は省略)が検知した場合は、三方制御弁7gの第3ポート7jが適宜の開度で開き、オイル調整タンク11に貯留するオイル3を供給管8からオイル調整タンク11の下流に位置する温度調整管4に流下させて供給する。また第3ポート7jの開度によって供給管8に流れるオイル3の量が調整される。
また、このオイル3の供給は、エンジン2のオイルパン2a内のオイル3の液面3aが初期位置に戻る(上昇)まで続けられ、オイル3の液面3aが初期位置に戻ったことを検知すると第3ポート7jが閉止され、オイル調整タンク11からのオイル3の流下が停止されて温度調整管4へのオイル3流入が停止する。
【0031】
そして、前述したエンジン2のオイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの上昇、下降を検知する他の検知手段としては、温度調整管4を循環するオイル3の温度を基にして前記オイルパン2a内におけるオイル3の液面3aの上昇、下降、すなわちオイル3の増加量または減少量の予想量を算出し、この予想した量のオイル3を温度調整管4からオイル調整タンク11に排出したり、また、オイル調整タンク11から温度調整管4に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るエンジン試験用オイル温度調整装置を示す構成図。
【図2】三方分岐制御手段の一構成例を示す構成図。
【図3】三方分岐制御手段の他の構成例を示す構成図。
【図4】従来のエンジン試験におけるオイル温度試験設備を示す構成図。
【符号の説明】
【0033】
1 試験室
1a 断熱材
2 エンジン
2a オイルパン
2b 接続口
2c 接続口
3 オイル
3a 液面
4 温度調整管
5 ポンプ
5a 吸入口
5b 吐出口
6 温度調整器
7 第1の三方分岐制御手段
7a 第1ポート
7b 第2ポート
7c 第3ポート
7d 第1の三方分岐管
7e 第1の開閉弁
7f 第1の制御弁
7g 第1の三方制御弁
7h 第1ポート
7i 第2ポート
7j 第3ポート
8 供給管
9 第2の三方分岐制御手段
9a 第1ポート
9b 第2ポート
9c 第3ポート
9d 第2の三方分岐管
9e 第2の開閉弁
9f 第2の制御弁
9g 第2の三方制御弁
9h 第1ポート
9i 第2ポート
9j 第3ポート
10 排出管
11 オイル調整タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体たるエンジンのオイルパンに一端が接続された温度調整管の他端を、第1および第2の三方分岐制御手段とこの第1および第2の三方分岐制御手段の間に配設したポンプと温度調整器を介して前記オイルパンに接続し、また前記第1の三方分岐制御手段は前記ポンプの吸入口側にかつ第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続して配設されるとともに、同第1の三方分岐制御手段の第3ポートには一端をオイル調整タンクに接続した供給管の他端が接続され、また前記第2の三方分岐制御手段は前記ポンプの吐出口側にかつ第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続して配設されるとともに、同第2の三方分岐制御手段の第3ポートには一端をオイル調整タンクに接続した排出管の他端が接続され、また前記オイルパン内におけるオイル量の増減変化を任意の検知手段によって検知し、同検知手段が前記オイル量の増加を検知した場合は、前記第2の三方分岐制御手段の第3ポートを開放せしめて前記温度調整管を流れるオイルの一部を前記排出管に分流させて前記オイル調整タンクに排出し、また、前記検知手段が前記オイル量の減少を検知した場合は、前記第1の三方分岐制御手段の第3ポートを開放せしめて前記オイル調整タンクに貯留するオイルを前記供給菅からオイル調整タンクの下流に位置する前記温度調整管に流下させて供給することにより、前記オイルパン内におけるオイル量の増減に対する補正をおこなうように構成してなるエンジン試験用オイル温度調整装置。
【請求項2】
前記第1および第2の三方分岐制御手段が、温度調整管に第1分岐口および第2分岐口を接続した三方分岐管と、この三方分岐管の第3分岐口に配設した流量調整手段とから構成してなる請求項1に記載のエンジン試験用オイル温度調整装置。
【請求項3】
前記流量調整手段が、流路開閉用の開閉弁と流量調整用の制御弁とから構成してなる請求項2に記載のエンジン試験用オイル温度調整装置。
【請求項4】
前記第1および第2の三方分岐制御手段が、第1ポートと第2ポートを温度調整管に接続し、また第3ポートを供給管に接続した三方制御弁から構成してなる請求項1に記載のエンジン試験用オイル温度調整装置。
【請求項5】
前記検知手段が、前記オイルパンに配設した液面検知センサによって検知してなる請求項1に記載のエンジン試験用オイル温度調整装置。
【請求項6】
前記検知手段が、前記温度調整管を流れるオイル温度を基に算出した結果から検知してなる請求項1に記載のエンジン試験用オイル温度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−322131(P2007−322131A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149279(P2006−149279)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(390026974)株式会社東洋製作所 (132)
【Fターム(参考)】