説明

エンジン起動制御装置、携帯端末装置及びエンジン起動制御システム

【課題】無駄な暖機運転を防止することができるエンジン起動制御装置、携帯端末装置及びエンジン起動制御システムを提供する。
【解決手段】制御部14は、受信部11でエンジン起動信号を受信した場合、インタフェース部17を介してエンジンスタート信号をスタータ回路4へ出力する。判定部13は、温度センサ2で検出した温度(例えば、エンジンの冷却水、エンジン周辺の温度、気温など)が所定の閾値温度以上である場合、エンジンを停止すると判定し、判定結果を制御部14へ出力する。制御部14は、インタフェース部17を介してエンジンストップ信号をスタータ回路4へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置からエンジン起動信号を受信してエンジンの起動を制御するエンジン起動制御装置、携帯端末装置及びエンジン起動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子技術の進展により、車両には、エンジンのみならず、バッテリ、ドア、ランプ、ワイパーなど様々な電装品を制御するためのECU(電子制御装置)が、多数搭載されるようになった。また、ユーザの利便性の向上を図るため、リモコンなどの携帯端末装置から信号をECUへ送信することにより、車両に搭載された電装品を遠隔操作で制御することもできる。
【0003】
例えば、リモコンの操作で車両のエンジンを起動することができる装置がある。このような車両では、ユーザは、車両の外から簡単に暖機運転を行うことができる。
【0004】
また、車両の各部の異常の有無を検出するセンサを設けておき、リモコンの操作でエンジンを起動する際に、センサで異常が検出された場合には、エンジンを起動しないようにしたエンジンスタータ付きセキュリティ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−39737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置は、エンジンを起動する際に車両の周辺に人がいた場合には、エンジンを起動させないようにし、また、エンジンを起動した後に車両の近くに人が近づいた場合には、エンジンを切るようにしている。このため、エンジンを停止させる条件が車両の近くに人が存在するときに限定されていた。
【0007】
一方で、リモコンを使って車両の暖機運転を行った場合に、ユーザが車両から離れたときには、十分な暖機運転が行われたにもかかわらず、ユーザが、気が付かずにエンジンをかけたままにして無駄な暖機運転が継続するという問題があった。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、無駄な暖機運転を防止することができるエンジン起動制御装置、携帯端末装置及びエンジン起動制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係るエンジン起動制御装置は、エンジン起動信号を受信する受信部と、該受信部で受信したエンジン起動信号に基づいてエンジンの起動を制御する制御部とを備えるエンジン起動制御装置において、前記エンジンが起動した場合、該エンジンの停止の可否を判定する判定部を備え、前記制御部は、前記判定部で前記エンジンを停止すると判定した場合、該エンジンを停止すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係るエンジン起動制御装置は、第1発明において、温度を検出する温度検出部を備え、前記判定部は、前記温度検出部で検出した温度が所定の閾値温度以上である場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係るエンジン起動制御装置は、第2発明において、前記温度検出部は、前記エンジンの冷却水の温度を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係るエンジン起動制御装置は、第2発明において、前記温度検出部は、前記エンジンの近傍の周囲温度を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係るエンジン起動制御装置は、第2発明において、前記温度検出部は、気温を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係るエンジン起動制御装置は、第1発明において、車両周辺の排気ガスの濃度を検出するガス濃度検出部を備え、前記判定部は、前記ガス濃度検出部で検出した濃度が所定の閾値濃度以上である場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係るエンジン起動制御装置は、第6発明において、前記ガス濃度検出部は、少なくとも一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素のいずれか1つの濃度を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係るエンジン起動制御装置は、第1発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記エンジンが起動した後の経過時間を計時する計時部を備え、前記判定部は、前記計時部で計時した経過時間が所定時間を越えた場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第9発明に係るエンジン起動制御装置は、第1発明において、前記受信部は、前記エンジンの起動開始時点を受信するようにしてあり、予想気温を取得する予想気温取得部を備え、前記制御部は、前記起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、前記エンジンを起動するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る携帯端末装置は、エンジン起動信号を送信する送信部を備える携帯端末装置において、エンジンの起動開始時点を指定するための操作部と、予想気温を取得する予想気温取得部とを備え、前記送信部は、前記操作部で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、前記エンジン起動信号を送信するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第11発明に係るエンジン起動制御システムは、エンジン起動信号を送信する送信部を備える携帯端末装置と、前記エンジン起動信号を受信する受信部及び該受信部で受信したエンジン起動信号に基づいてエンジンの起動を制御する制御部を備えるエンジン起動制御装置とを備えるエンジン起動制御システムにおいて、前記エンジン起動制御装置は、前記エンジンが起動した場合、該エンジンの停止の可否を判定する判定部を備え、前記制御部は、前記判定部で前記エンジンを停止すると判定した場合、該エンジンを停止すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
第1発明及び第11発明にあっては、エンジン起動制御装置は、エンジンが起動した場合、判定部でエンジンの停止の可否を判定し、エンジンを停止すると判定した場合には、制御部でエンジンを停止するように制御する。エンジン起動した場合に、エンジンを停止するか否かを判定するようにしたので、エンジンが起動したままの状態(暖機運転)が継続することがなく、無駄な暖機運転を防止することができる。
【0021】
第2発明にあっては、判定部は、温度検出部で検出した温度(例えば、エンジンの冷却水、エンジン周辺の温度、気温など)が所定の閾値温度以上である場合、エンジンを停止すると判定する。これにより、温度が高く、暖機運転が不要になった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止して省エネを図ることができる。
【0022】
第3発明にあっては、温度検出部は、エンジンの冷却水の温度を検出する。これにより、冷却水の温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。
【0023】
第4発明にあっては、温度検出部は、エンジンの近傍の周囲温度を検出する。これにより、エンジンの近傍の周囲温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。
【0024】
第5発明にあっては、温度検出部は、気温を検出する。これにより、気温が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。
【0025】
第6発明にあっては、判定部は、ガス濃度検出部で検出したガス(例えば、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素など)の濃度が所定の閾値濃度以上である場合、エンジンを停止する。これにより、例えば、車庫内の排気ガスの濃度が高くなった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止するとともに安全性の向上を図ることができる。
【0026】
第7発明にあっては、ガス濃度検出部は、少なくとも一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素のいずれか1つの濃度を検出する。これにより、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素などの濃度が高くなることを防止することができる。
【0027】
第8発明にあっては、判定部は、エンジンが起動した後の経過時間が所定時間(例えば、10分、15分など)を越えた場合、エンジンを停止する。これにより、無駄な暖機運転を防止することができる。
【0028】
第9発明にあっては、制御部は、受信部でエンジンの起動開始時点を受信した場合に、起動開始時点での予想気温が所定の気温以下のとき、その起動開始時点でエンジンを起動する。起動開始時点は、時刻でもよく、時間帯でもよい。また、日時、曜日などの情報で特定してもよい。これにより、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0029】
第10発明にあっては、携帯端末装置は、エンジン起動信号を送信する送信部、エンジンの起動開始時点を指定するための操作部、予想気温を取得する予想気温取得部などを備える。送信部は、操作部で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、エンジン起動信号を送信する。起動開始時点は、時刻でもよく、時間帯でもよい。また、日時、曜日などの情報で特定してもよい。これにより、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、エンジンが起動したままの状態(暖機運転)が継続することがなく、無駄な暖機運転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るエンジン起動制御装置としてのエンジン起動ECUの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】温度を検出する場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】排気ガス濃度を検出する場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】予想気温を用いる場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2の本発明に係る携帯端末装置としてのリモコンの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】リモコンによるエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るエンジン起動制御装置としてのエンジン起動ECU10の構成の一例を示すブロック図である。エンジン起動ECU10は、携帯端末装置としてのリモコン20から送信されるエンジン起動信号を受信する受信部11、インターネットや電話回線網などの通信網1から予想気温を含む天気予報情報を取得する予想気温取得部としての通信部12、エンジン(不図示)が起動した場合、そのエンジンの停止の可否を判定する判定部13、エンジン起動信号に基づいて、インタフェース部17を介してエンジンの起動を制御する制御部14、エンジンが起動した後の経過時間を計時する計時部としてのタイマ15、所定の情報を記憶する記憶部16、エンジンの起動及び停止を行うスタータ回路4とのインタフェース機能を有するインタフェース部17などを備えている。
【0033】
受信部11は、リモコン20との間で双方向の通信を行うこともできる。制御部14は、受信部11でエンジン起動信号を受信した場合、インタフェース部17を介してエンジンスタート信号をスタータ回路4へ出力する。これにより、エンジンの暖機運転を開始することができる。
【0034】
判定部13には、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3などが接続され、インタフェース部17には、上述のスタータ回路4が接続されている。なお、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3、スタータ回路4などのいずれか又は全ては、エンジン起動ECU10内部に設ける構成でもよい。また、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3は、車両の所定箇所に複数備える構成でもよい。
【0035】
なお、図1の例では、通信部12、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3のすべてが装備された構成となっているが、これらすべての構成を同時に備える必要はない、通信部12、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3のいずれか1つだけを備える構成でもよい。すなわち、通信部12、温度センサ2、排気ガス濃度センサ3は、少なくとも1つ存在すれば、他は必ずしも必須の構成ではない。例えば、温度センサ2を備えない場合には、通信部12を備える構成とすることができる。
【0036】
温度センサ2は、いくつかの構成を取り得る。例えば、温度センサ2は、エンジンの冷却水の温度を検出するもの、車両のボンネット内のエンジンの近傍の周囲温度を検出するもの、あるいは、車両周辺の気温を検出するものでもよい。
【0037】
排気ガス濃度センサ3は、例えば、車両が車庫に駐車している場合に、暖機運転を行ったときに、車庫内に充満する排気ガスの濃度を検出することができるものであり、車両周辺の排気ガスの濃度を検出する。排気ガスとしては、例えば、ガソリンエンジンから排出される一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)などである。また、ディゼルエンジンから排出される排気微粒子(PM)を検出することもでき、あるいは、二酸化炭素(CO2 )を検出することもできる。
【0038】
判定部13は、温度センサ2で検出した温度(例えば、エンジンの冷却水、エンジン周辺の温度、気温など)が所定の閾値温度以上である場合、エンジンを停止すると判定し、判定結果を制御部14へ出力する。制御部14は、インタフェース部17を介してエンジン停止信号をスタータ回路4へ出力する。エンジン起動した場合に、エンジンを停止するか否かを判定するようにしたので、エンジンが起動したままの状態(暖機運転)が継続することがなく、無駄な暖機運転を防止することができる。また、温度センサ2で検出した温度が閾値温度以上となり、暖機運転が不要になった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止して省エネを図ることができる。
【0039】
特に、冷却水の温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。また、エンジンの近傍の周囲温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。さらに、気温が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。
【0040】
また、判定部13は、排気ガス濃度センサ3で検出したガス(例えば、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、排気微粒子など)の濃度が所定の閾値濃度以上である場合、エンジンを停止すると判定し、判定結果を制御部14へ出力する。制御部14は、インタフェース部17を介してエンジン停止信号をスタータ回路4へ出力する。これにより、例えば、車庫内の排気ガスの濃度が高くなった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止するとともに安全性の向上を図ることができる。特に、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、排気微粒子などの濃度が高くなることを防止することができる。
【0041】
タイマ15は、エンジンが起動した後の経過時間が所定時間(例えば、10分、15分など)を越えた場合、計時結果を制御部14へ出力する。制御部14は、インタフェース部17を介してエンジン停止信号をスタータ回路4へ出力する。これにより、無駄な暖機運転を防止することができる。なお、温度センサ2で検出した温度(例えば、気温)に応じて、暖機運転を行う時間(所定時間)を変化させることもできる。温度と所定時間の関係は、予め記憶部16に記憶しておき、検出した温度に応じて所定時間を選択するようにすればよい。例えば、気温が低いほど所定時間を長くすることができる。
【0042】
通信部12は、通信網1を通じて、予想気温を含む天気予報情報を取得する。なお、天気予報情報は、予め定められたタイミングで取得しておいて、取得した天気予報情報を記憶部16に記憶しておく構成でもよく、あるいは、受信部11を介してエンジンの起動開始時点を受信したタイミングで取得してもよい。
【0043】
制御部14は、受信部11でエンジンの起動開始時点を受信した場合に、起動開始時点での予想気温が所定の気温以下のとき、その起動開始時点でインタフェース部17を介してエンジンスタート信号をスタータ回路4へ出力する。起動開始時点は、時刻(例えば、朝7時など)でもよく、時間帯(例えば、朝7時から8時など)でもよい。また、日時、曜日などの情報で特定してもよい。これにより、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0044】
次に、本発明に係るエンジン起動ECU10の動作について説明する。図2は温度を検出する場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部14は、リモコン20からエンジン起動信号が送信された場合、受信部11でエンジン起動信号を受信し(S11)、エンジンを起動する(S12)。
【0045】
制御部14は、タイマ15でエンジン起動後の経過時間の計時を開始し(S13)、温度センサ2で温度を検出する(S14)。制御部14は、判定部13で検出温度が閾値温度以上であるか否かを判定させ(S15)、検出温度が閾値温度より低い場合(S15でNO)、経過時間が所定時間を越えたか否かを判定する(S16)。
【0046】
経過時間が所定時間を越えていない場合(S16でNO)、制御部14は、ステップS14以降の処理を続け、経過時間が所定時間を越えた場合(S16でYES)、エンジン停止と判定する(S17)。検出温度が閾値温度以上である場合(S15でYES)、制御部14は、ステップS17の処理を行う。そして、制御部14は、エンジンストップ信号をスタータ回路4へ出力して、エンジンを停止させ(S18)、処理を終了する。
【0047】
図2の例では、検出温度が閾値温度以上である場合か、経過時間が所定時間を超えた場合のいずれかが満たされたときに、エンジンを停止する構成であったが、これに限定されるものではなく、検出温度が閾値温度以上であり、かつ、経過時間が所定時間を超えた場合に、エンジンを停止する構成としてもよい。また、経過時間に基づいてエンジンを停止するか否かの処理を省略してもよい。
【0048】
図3は排気ガス濃度を検出する場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部14は、リモコン20からエンジン起動信号が送信された場合、受信部11でエンジン起動信号を受信し(S31)、エンジンを起動する(S32)。
【0049】
制御部14は、タイマ15でエンジン起動後の経過時間の計時を開始し(S33)、排気ガス濃度センサ3で排気ガスの濃度を検出する(S34)。制御部14は、判定部13で検出濃度が閾値濃度以上であるか否かを判定させ(S35)、検出濃度が閾値濃度より低い場合(S35でNO)、経過時間が所定時間を越えたか否かを判定する(S36)。
【0050】
経過時間が所定時間を越えていない場合(S36でNO)、制御部14は、ステップS34以降の処理を続け、経過時間が所定時間を越えた場合(S36でYES)、エンジン停止と判定する(S37)。検出濃度が閾値濃度以上である場合(S35でYES)、制御部14は、ステップS37の処理を行う。そして、制御部14は、エンジンストップ信号をスタータ回路4へ出力して、エンジンを停止させ(S38)、処理を終了する。
【0051】
図3の例では、検出濃度が閾値濃度以上である場合か、経過時間が所定時間を超えた場合のいずれかが満たされたときに、エンジンを停止する構成であったが、これに限定されるものではなく、検出濃度が閾値濃度以上であり、かつ、経過時間が所定時間を超えた場合に、エンジンを停止する構成としてもよい。また、経過時間に基づいてエンジンを停止するか否かの処理を省略してもよい。
【0052】
図4は予想気温を用いる場合のエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部14は、リモコン20からエンジン起動開始時点が送信された場合、受信部11でエンジン起動開始時点を受信し(S51)、通信部12を介して予想気温を取得する(S52)。なお、予め予想気温を取得し、記憶部16に記憶してある場合には、記憶部16から最新の予想気温を取得するようにしてもよい。
【0053】
制御部14は、起動開始時点の予想気温が所定の気温以下であるか否かを判定し(S53)、予想気温が所定の気温以下である場合(S53でYES)、起動開始時点にエンジンスタート信号をスタータ回路4へ出力してエンジンを起動し(S54)、処理を終了する。
【0054】
予想気温が所定の気温より高い場合(S53でNO)、制御部14は、暖機運転が不要である旨を通知し(S55)、処理を終了する。なお、暖機運転が不要である旨の通知は、リモコン20へ送信してもよく、ユーザが携帯する携帯電話へ送信してもよく、あるいは、車両の表示パネルに表示するようにしてもよい。
【0055】
実施の形態2
図5は実施の形態2の本発明に係る携帯端末装置としてのリモコン20の構成の一例を示すブロック図である。リモコン20は、ユーザが、エンジンの起動開始時点を指定するための操作部21、インターネットや電話回線網などの通信網1から予想気温を含む天気予報情報を取得する予想気温取得部としての通信部22、操作部21で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下であるか否かを判定するとともに、リモコン20全体を制御する制御部23、エンジン起動信号を車両へ送信する送信部24などを備えている。
【0056】
制御部23は、操作部21で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、送信部24を通じてエンジン起動信号を送信する。起動開始時点は、時刻でもよく、時間帯でもよい。また、日時、曜日などの情報で特定してもよい。これにより、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0057】
次に、リモコン20の動作について説明する。図6はリモコン20によるエンジン起動制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部23は、操作部21でエンジン起動開始時点が指定された場合、エンジン起動開始時点を取得し(S61)、通信部22を介して予想気温を取得する(S62)。なお、予め予想気温を取得し、不図示のメモリに記憶してある場合には、そのメモリから最新の予想気温を取得するようにしてもよい。
【0058】
制御部23は、起動開始時点の予想気温が所定の気温以下であるか否かを判定し(S63)、予想気温が所定の気温以下である場合(S63でYES)、起動開始時点にエンジン起動信号を送信し(S64)、処理を終了する。
【0059】
予想気温が所定の気温より高い場合(S63でNO)、制御部23は、暖機運転が不要である旨を通知し(S65)、処理を終了する。なお、暖機運転が不要である旨の通知は、リモコン20の表示パネル(不図示)に表示してもよく、車両へ送信してもよく、ユーザが携帯する携帯電話へ送信してもよい。
【0060】
以上説明したように、本発明によれば、遠隔操作でエンジン起動した場合に、エンジンを停止するか否かを判定するようにしたので、エンジンが起動したままの状態(暖機運転)が継続することがなく、無駄な暖機運転を防止することができる。
【0061】
また、本発明によれば、温度センサで検出した温度(例えば、エンジンの冷却水、エンジン周辺の温度、気温など)が所定の閾値温度以上である場合、エンジンを停止すると判定したので、温度が高く、暖機運転が不要になった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止して省エネを図ることができる。特に、温度センサでエンジンの冷却水の温度を検出するので、冷却水の温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。また、温度センサでエンジンの近傍の周囲温度を検出するので、エンジンの近傍の周囲温度が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。また、温度センサで気温を検出するので、気温が、暖機運転が不要な温度まで上昇したときに、暖機運転を停止することができる。
【0062】
また、本発明によれば、排気ガス濃度センサで検出したガス(例えば、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素など)の濃度が所定の閾値濃度以上である場合、エンジンを停止するので、例えば、車庫内の排気ガスの濃度が高くなった場合に、エンジンを停止させることができ、無駄な暖機運転を防止するとともに安全性の向上を図ることができる。特に、排気ガス濃度センサで少なくとも一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素のいずれか1つの濃度を検出するので、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素などの濃度が高くなることを防止することができる。
【0063】
また、本発明によれば、エンジンが起動した後の経過時間が所定時間(例えば、10分、15分など)を越えた場合に、エンジンを停止するので、無駄な暖機運転を防止することができる。
【0064】
また、本発明によれば、エンジンの起動開始時点を受信した場合に、起動開始時点での予想気温が所定の気温以下のとき、その起動開始時点でエンジンを起動するので、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、必要なときに自動的に暖機運転を行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
また、本発明によれば、リモコンの操作部で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、起動開始時点でエンジン起動信号を送信するので、予め暖機運転を行う時刻や時間帯が決められた場合、その時刻や時間帯の予想気温を取得し、予想気温が所定の気温以下であれば、暖機運転が必要であるとして、その時刻や時間帯になったときに暖機運転を開始することができるので、必要なときに自動的に暖機運転を行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0066】
1 通信網
2 温度センサ(温度検出部)
3 排気ガス濃度センサ(ガス濃度検出部)
4 スタータ回路
10 エンジン起動ECU(エンジン起動制御装置)
11 受信部
12 通信部(予想気温取得部)
13 判定部
14 制御部
15 タイマ(計時部)
16 記憶部
17 インタフェース部
20 リモコン(携帯端末装置)
21 操作部
22 通信部(予想気温取得部)
23 制御部
24 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン起動信号を受信する受信部と、該受信部で受信したエンジン起動信号に基づいてエンジンの起動を制御する制御部とを備えるエンジン起動制御装置において、
前記エンジンが起動した場合、該エンジンの停止の可否を判定する判定部を備え、
前記制御部は、
前記判定部で前記エンジンを停止すると判定した場合、該エンジンを停止すべく制御するように構成してあることを特徴とするエンジン起動制御装置。
【請求項2】
温度を検出する温度検出部を備え、
前記判定部は、
前記温度検出部で検出した温度が所定の閾値温度以上である場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項3】
前記温度検出部は、
前記エンジンの冷却水の温度を検出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項4】
前記温度検出部は、
前記エンジンの近傍の周囲温度を検出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項5】
前記温度検出部は、
気温を検出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項6】
車両周辺の排気ガスの濃度を検出するガス濃度検出部を備え、
前記判定部は、
前記ガス濃度検出部で検出した濃度が所定の閾値濃度以上である場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項7】
前記ガス濃度検出部は、
少なくとも一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素のいずれか1つの濃度を検出するように構成してあることを特徴とする請求項6に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項8】
前記エンジンが起動した後の経過時間を計時する計時部を備え、
前記判定部は、
前記計時部で計時した経過時間が所定時間を越えた場合、前記エンジンを停止すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項9】
前記受信部は、
前記エンジンの起動開始時点を受信するようにしてあり、
予想気温を取得する予想気温取得部を備え、
前記制御部は、
前記起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、前記エンジンを起動するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のエンジン起動制御装置。
【請求項10】
エンジン起動信号を送信する送信部を備える携帯端末装置において、
エンジンの起動開始時点を指定するための操作部と、
予想気温を取得する予想気温取得部と
を備え、
前記送信部は、
前記操作部で指定された起動開始時点での予想気温が所定の気温以下の場合、前記エンジン起動信号を送信するように構成してあることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項11】
エンジン起動信号を送信する送信部を備える携帯端末装置と、前記エンジン起動信号を受信する受信部及び該受信部で受信したエンジン起動信号に基づいてエンジンの起動を制御する制御部を備えるエンジン起動制御装置とを備えるエンジン起動制御システムにおいて、
前記エンジン起動制御装置は、
前記エンジンが起動した場合、該エンジンの停止の可否を判定する判定部を備え、
前記制御部は、
前記判定部で前記エンジンを停止すると判定した場合、該エンジンを停止すべく制御するように構成してあることを特徴とするエンジン起動制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−229867(P2010−229867A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77073(P2009−77073)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】