エンジン
【課題】使用燃料の如何にかかわらず、出力操作部材の操作に応じたエンジン本体の出力状態を安定して現出させることができるエンジンの提供を目的とする。
【解決手段】エンジン1において、制御装置70に、エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態と過給機40の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データ75が備えられる。前記制御装置70は、出力操作部材60の操作量に応じて燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が出力回転数検出部材81及び負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行う。
【解決手段】エンジン1において、制御装置70に、エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態と過給機40の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データ75が備えられる。前記制御装置70は、出力操作部材60の操作量に応じて燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が出力回転数検出部材81及び負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力操作部材の操作量に応じて燃料供給装置の噴射状態の制御を行うエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンは、出力操作部材(アクセル)の操作量に応じて燃料供給装置の噴射状態の制御を行うことで、操作者の意図に応じたエンジンの出力状態を得るように構成されている。
【0003】
しかしながら、前記出力操作部材の操作量に応じた前記燃料供給装置の噴射状態の制御を正確に行ったとしても、使用する燃料が異なればその発熱量変化によって、前記エンジンの出力状態が変化してしまう。
特に、近年においては、メイン燃料にバイオ燃料のサブ燃料が混合されてなる複合燃料の使用が増加傾向にあり、このような混合燃料においては、その混合率に応じて発熱量が異なってしまう。
【0004】
この点に関し、混合燃料の混合率を検出するセンサを燃料タンクに設け、前記センサによって検知される前記燃料タンク内における燃料の混合率に基づいて、前記出力操作部材の操作量に応じた前記燃料供給装置の作動制御を修正することが提案されている。
【0005】
しかしながら、前記センサは、前記燃料タンクのうち前記センサが位置する部分の燃料の混合率を検知するに過ぎない。また、仮に、前記燃料タンクに攪拌機能を設けたとしても、前記燃料タンクから前記エンジン本体へ供給される供給ライン中で生じ得る混合燃料の乖離現象には対応不可能である。
【0006】
また、排気ガスの酸素濃度を検出するセンサを排気ラインに設け、前記センサによって検知される酸素濃度に基づいて燃料中のエタノール混合率を推定し、予め記憶された複数の噴射量制御マップのうち前記エタノール混合率に応じた噴射量制御マップを選択し、選択された噴射量制御マップに基づき噴射状態の制御を行う燃料噴射制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、前記燃料噴射制御装置は、前記予め記憶された燃料噴射マップに基づいてしか前記噴射状態の制御を行えない。混合燃料としては多種多様な組み合わせの混合燃料が存在し得るため、すべての混合燃料に対応する噴射量制御マップを前記燃料噴射制御装置に予め記憶させておくことは困難である。例えば、対応する噴射量制御マップが用意されていない想定外の燃料が現在の使用燃料に混合された場合には、前記燃料噴射制御装置は前記噴射状態の制御を適切に行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−82329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、使用燃料の如何にかかわらず、出力操作部材の操作に応じたエンジン本体の出力状態を安定して現出させることができるエンジンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、エンジン本体と、前記エンジン本体の燃焼室に吸入空気を導く吸気ラインと、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となる排気ラインと、前記排気ラインに介挿されたタービン及びタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを有する過給機と、前記エンジン本体に燃料を供給する燃料供給装置と、人為操作される出力操作部材と、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う制御装置と、前記エンジン本体の出力回転数を検出する出力回転数検出部材と、前記エンジン本体の負荷状態を検出する負荷状態検出部材と、前記過給機の回転数を検出するターボセンサとを備え、前記制御装置には、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態と前記過給機の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データが備えられ、前記制御装置は、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、前記ターボセンサによる検出信号に基づいて認識される前記過給機の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行うエンジンを提供する。
【0011】
好ましくは、前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置から前記エンジン本体に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御である。
【0012】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記燃料供給装置を介して前記エンジン本体に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータである。
【0013】
好ましくは、前記負荷状態検出部材は、前記エンジン本体の回転出力の角速度を検出するように構成され、前記制御装置は、前記負荷状態検出部材によって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体の負荷状態を検知する。
【0014】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機の回転数を示すデータとされ、前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準回転数と一致するように、行われる。
【0015】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機への排気流量を示すデータとされ、前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準排気流量と一致するように、行われる。
【0016】
好ましくは、前記吸入空気の状態を検出する吸入空気センサをさらに備え、前記制御装置は、前記補正制御の後に、前記吸入空気センサによって検出される吸入空気の状態に応じて第2の補正制御を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るエンジンによれば、使用燃料の如何にかかわらず、前記出力操作部材の操作に応じた前記エンジン本体の出力状態を安定して現出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンジンの概略構成図。
【図2】前記エンジンにおける燃料供給装置の噴射状態の制御のうち補正制御の処理のフローチャート。
【図3】前記補正制御の処理の一例のフローチャート。
【図4】前記補正制御の処理の変形例のフローチャート。
【図5】前記エンジンにおける燃料供給装置の噴射状態の制御のうち第2の補正制御の処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るエンジンの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に、本実施の形態に係るエンジン1の概略構成を示す。
図1に示すように、前記エンジン1は、エンジン本体10と、前記エンジン本体10の燃焼室18に吸入空気を導く吸気ライン20と、前記燃焼室18から排出される排気ガスの通路となる排気ライン30と、前記排気ライン30に介挿されたタービン41及び当該タービン41によって駆動される状態で前記吸気ライン20に介挿されたコンプレッサ42を有する過給機40と、前記エンジン本体10に燃料を供給する燃料供給装置50と、人為操作される出力操作部材60と、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う制御装置70と、前記エンジン本体10の出力回転数を検出する出力回転数検出部材81と、前記エンジン本体10の負荷状態を検出する負荷状態検出部材82と、前記過給機40の回転数を検出するターボセンサ83とを備えている。
【0021】
本実施の形態において、前記エンジン1は、4気筒ディーゼルエンジンとされている。
前記エンジン本体10は、各気筒11、12、13、14を形成するシリンダブロック及びシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドに連結された吸気マニホールド15及び排気マニホールド16とを有している。
【0022】
前記吸気ライン20は、吸入空気流れ方向下流側の端部が前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18と連通するように前記吸気マニホールド15に流体接続されている。
本実施の形態において、前記吸気ライン20には、吸入空気流れ方向の上流側から下流側に向かって順に、エアーフィルタ21、前記過給機40のコンプレッサ42、インタークーラ22、吸気スロットル弁23が設けられている。
【0023】
前記排気ライン30は、排気ガス流れ方向上流側の端部が前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18と連通するように前記排気マニホールド16に流体接続されている。
本実施の形態において、前記排気ライン30には、排気ガス流れ方向の上流側から下流側に向かって順に、前記過給機40のタービン41、排気浄化フィルタ31が設けられている。
【0024】
前記過給機40は、前記エンジン本体10からの排気エネルギーを利用して吸入空気を前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18へ強制的に送り込むためのものである。
即ち、前記タービン41は、前記エンジン本体10の燃焼室18から前記排気ライン30を介して排出される排気ガスのエネルギーによって回転されるように構成されている。前記コンプレッサ42は、前記タービン41とともに回転するように当該タービン41に回転軸43を介して連結されている。
【0025】
本実施の形態において、前記燃料供給装置50は、コモンレール式燃料供給装置であり、所定圧の燃料を蓄えるコモンレール51と、前記コモンレール51に蓄えられている燃料を前記燃焼室18に噴射する複数のインジェクタ52と、燃料タンクに蓄えられた燃料を加圧して前記コモンレール51に送る高圧ポンプ53と、前記コモンレール51から噴射される燃料の噴射圧を調整するための圧力調整弁54とを有している。
【0026】
前記出力操作部材60は、例えば人為的に揺動操作可能なアクセルレバー、又はアクセルペダルで構成されている。
【0027】
前記出力回転数検出部材81は、前記エンジン1のクランク軸(出力軸)5の回転状態を検出するエンジン回転数センサとされている。前記出力回転数検出部材81は、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0028】
本実施の形態において、前記負荷状態検出部材82は、前記出力操作部材60の操作量(開度)を検出するアクセル開度センサとされている。前記負荷状態検出部材82は、前記制御装置70に電気的に接続され、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0029】
前記ターボセンサ83は、前記制御装置70に電気的に接続され、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0030】
前記制御装置70は、演算部(CPU)及び記憶部を有している。前記記憶部は、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM、設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM、及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を有する。
【0031】
前記制御装置70には、前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態と前記過給機40の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データ75が備えられている。前記標準燃料使用時データ75は、前記制御装置70の記憶部に予め記憶されている。
【0032】
前記制御装置70は、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う基本制御を行うように構成されている。
具体的には、前記制御装置70は、本実施の形態においては前記負荷状態検出部材82としても作用する前記アクセル開度センサによって検出される前記出力操作部材60の操作量に応じて前記インジェクタ51が所定の燃料噴射を行うように当該燃料供給装置50の噴射状態を制御する。
【0033】
そして、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して第1の補正制御を行う。
【0034】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行う。
【0035】
図2に、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御のうち第1の補正制御の処理のフローチャートを示す。
図2に示すように、ステップ1において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の現実の作動状態を認識する。
【0036】
ステップ2において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0037】
ステップ3において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0038】
ステップ4において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態を認識する。
【0039】
ステップ5において、前記制御装置70は、認識された前記過給機40の現実の作動状態が認識された前記過給機40の標準作動状態と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致しないと判定した場合、ステップ6に移行する。
前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致すると判定した場合、ステップ7に移行する。
【0040】
前記ステップ6において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0041】
前記ステップ7において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0042】
このように前記制御装置70が前記第1の補正制御を行い得る前記エンジン1によれば、使用燃料の如何にかかわらず、前記出力操作部材60の操作に応じた前記エンジン本体10の出力状態を安定して現出させることができる。
【0043】
特に、メイン燃料にバイオ燃料等のサブ燃料が混合されてなる複合燃料を使用する際に有効となる。即ち、混合燃料においては、サブ燃料の種類や混合率に応じて発熱量が変化する。従って、混合燃料使用時においては、前記出力操作部材60の操作量に対する前記エンジン本体10の出力状態の変化が生じ易い。
この点に関し、前記エンジン1によれば、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射制御を行う基本制御を行いつつ、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御を補正するので、使用燃料の発熱量が変化したとしても、前記出力操作部材60の操作量に応じた前記エンジン本体10の出力状態を安定して得ることができる。
【0044】
なお、前記メイン燃料及び前記サブ燃料とは、互いに異なる種類の燃料に限るものではなく、互いに異なる成分を有する同種の燃料も含む。例えば、ディーゼルエンジンの燃料としては、所定のセタン価の軽油が前記メイン燃料となり、この軽油に比べてセタン価が異なる軽油が前記サブ燃料となり得る。
【0045】
好ましくは、前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置50から前記エンジン本体10に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御とされる。
これにより、前記噴射状態の制御に応じて、使用燃料の発熱量を変化させることができる。従って、前記基本制御だけによって発熱量と標準発熱量との相違分を補填することができる。
【0046】
好ましくは、前記標準燃料使用時データ75は、前記燃料供給装置50を介して前記エンジン本体10に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータである。
【0047】
また、前記負荷状態検出部材82は、本実施の形態においては前述の通りアクセル開度センサとされているが、その代わりにクランク角速度検出センサとされ得る。
前記クランク角速度検出センサは、前記エンジン本体10の回転出力の角速度を検出するように構成される。
【0048】
この場合、前記制御装置70は、前記クランク角速度検出センサによって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
ここで、前記制御装置70は、前記クランク軸5の回転(エンジン回転)の角速度の振幅が負荷(エンジン発生トルク)と比例することを利用する。
具体的には、前記制御装置70は、前記クランク角速度検出センサによる検出信号を用いて前記クランク軸5の角速度を認識し、角速度振幅を算出する。前記制御装置70は、算出した現在の角速度振幅を例えば基準角速度振幅と比較することによって前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0049】
好ましくは、前記標準燃料使用時データ75は、前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40の回転数又は前記過給機40への排気流量を示すデータとされる。
即ち、前記過給機40の作動状態として、前記過給機40の回転数又は前記過給機40への排気流量が用いられる。
【0050】
前記標準燃料使用時データ75が前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40の回転数を示すデータとされる場合、前記第1の補正制御は、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数が、前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される前記過給機40の標準回転数と一致するように、行われる。
【0051】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行い得る。この場合、前記制御装置70は、前記第1の補正制御を行うに際し、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数を直接的に利用する。
【0052】
図3に、前記第1の補正制御の処理の一例のフローチャートを示す。
図3に示すように、ステップ11において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の実回転数を検知する。
【0053】
ステップ12において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0054】
ステップ13において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0055】
ステップ14において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準回転数を認識する。
【0056】
ステップ15において、前記制御装置70は、検知された前記過給機40の実回転数が認識された前記過給機40の標準回転数と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致しないと判定した場合、ステップ16に移行する。
前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致すると判定した場合、ステップ17に移行する。
【0057】
前記ステップ16において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0058】
前記ステップ17において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0059】
一方、前記標準燃料使用時データ75が前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40への排気流量を示すデータとされる場合、前記第1の補正制御は、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される前記過給機40の標準排気流量と一致するように、行われる。
【0060】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行い得る。この場合、前記制御装置70は、前記第1の補正制御を行うに際し、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数を間接的に利用する。
【0061】
図4に、前記第1の補正制御の処理の変形例のフローチャートを示す。
図4に示すように、ステップ21において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の実回転数を検知する。
【0062】
ステップ22において、前記制御装置70は、検知された前記過給機40の実回転数に基づいて実際の排気流量を算出する。
【0063】
ステップ23において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0064】
ステップ24において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0065】
ステップ25において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準排気流量を認識する。
【0066】
ステップ26において、前記制御装置70は、算出された実際の排気流量が認識された前記過給機40の標準排気流量と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致しないと判定した場合、ステップ27に移行する。
前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致すると判定した場合、前記ステップ28に移行する。
【0067】
前記ステップ27において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0068】
前記ステップ28において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0069】
好ましくは、前記制御装置70は、前記吸気ライン20を流れる吸入空気の状態変化に応じて、前記燃料供給装置50から前記エンジン本体10への燃料噴射状態に対して第2の補正を行うことができる。
即ち、前記エンジン1は、前記ターボセンサ83による検出信号を用いた前記第1の補正制御の後に、吸入空気の状態変化に応じた第2の補正制御を行うように構成され得る。
【0070】
具体的には、前記エンジン1には、吸入空気の密度に関連する物理量を検出する吸入空気センサが備えられる。
一方、前記制御装置70には、吸入空気の密度に関する物理量の基準値が予め記憶され、吸入空気の物理量と当該基準値との偏差に応じた複数の噴射状態補正マップが備えられる。前記基準値は、例えば、前記標準燃料使用時データ75を得た際の吸入空気の物理量とされる。
【0071】
そして、前記制御装置70は、前記吸入空気センサによって検出される実際の吸入空気の物量と前記基準値との偏差に応じて、前記燃料供給装置50の噴射状態を補正する。
【0072】
例えば、前記吸入空気センサとして、前記吸入空気の温度を検出する吸入空気温度センサが採用され得る。
図5に、前記吸入空気センサとして前記吸入空気温度センサが備えられた場合の、前記第2の補正制御の処理のフローチャートを示す。
図5に示すように、ステップ31において、前記制御装置70は、前記第1の補正制御の後に、前記吸気温度センサによる検出信号に基づいて吸入空気温度を検知する。
【0073】
ステップ32において、前記制御装置70は、前記吸入空気温度センサによって検出される実際の吸入空気温度と前記基準値との偏差を算出する。
【0074】
ステップ33において、前記制御装置70は、前記実際の吸入空気温度と前記基準値とが一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、実際の吸入空気の密度が吸入空気の基準密度と一致しないと判定した場合、ステップ34に移行する。
前記制御装置70は、前記実際の吸入空気の温度と前記基準値とが一致すると判定した場合、ステップ35に移行する。
【0075】
前記ステップ34において、前記制御装置70は、前記基本制御及び前記第1の補正制御に対して前記第2の補正制御を実行する。
例えば、前記制御装置70は、実際の吸入空気の温度に基づき吸入空気量を補正し、この補正後の吸入空気量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御及び前記第1の補正制御に対して前記第2の補正制御を行う。この場合、吸入空気量は吸入空気量センサ等により別途検出する。
または、前記制御装置70は、吸入空気の温度に対する前記標準燃料使用時データ75の補正量を示すデータ等を用いて実際の吸入空気の温度に基づき前記標準燃料使用時データ75を補正する。これにより、補正後の前記標準燃料使用時データ75に基づいて次回の前記第1の補正制御が行われることになる。
【0076】
前記ステップ35において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0077】
また、前記制御装置70は、前記第2の補正制御に代えて、又は加えて、排気ガスの状態に応じて第3の補正制御を行い得る。
具体的には、例えば、前記エンジン1に、排気ガス量を検出する排気ガス量センサ、及び/又は、排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサが備えられる。
この状態で、前記制御装置70は、前記センサから検出される検出信号に基づいて排気ガスの状態を認識し、その状態変化に応じて前記基本制御、前記第1の補正制御、又は前記第2の補正制御に対して前記第3の補正制御を行うように構成される。
【0078】
なお、本実施の形態においては、前記エンジン1として、過給機付きディーゼルエンジンを用いたが、燃焼室へ空気を強制的に送り込む装置(過給機等)を備えるものであれば、ガソリンエンジン(レシプロエンジン)、タービンエンジン、ジェットエンジンなどを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 エンジン
10 エンジン本体
20 吸気ライン
30 排気ライン
40 過給機
41 タービン
42 コンプレッサ
50 燃料供給装置
60 出力操作部材
70 制御装置
75 標準燃料使用時データ
81 出力回転数検出部材
82 負荷状態検出部材
83 ターボセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力操作部材の操作量に応じて燃料供給装置の噴射状態の制御を行うエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンは、出力操作部材(アクセル)の操作量に応じて燃料供給装置の噴射状態の制御を行うことで、操作者の意図に応じたエンジンの出力状態を得るように構成されている。
【0003】
しかしながら、前記出力操作部材の操作量に応じた前記燃料供給装置の噴射状態の制御を正確に行ったとしても、使用する燃料が異なればその発熱量変化によって、前記エンジンの出力状態が変化してしまう。
特に、近年においては、メイン燃料にバイオ燃料のサブ燃料が混合されてなる複合燃料の使用が増加傾向にあり、このような混合燃料においては、その混合率に応じて発熱量が異なってしまう。
【0004】
この点に関し、混合燃料の混合率を検出するセンサを燃料タンクに設け、前記センサによって検知される前記燃料タンク内における燃料の混合率に基づいて、前記出力操作部材の操作量に応じた前記燃料供給装置の作動制御を修正することが提案されている。
【0005】
しかしながら、前記センサは、前記燃料タンクのうち前記センサが位置する部分の燃料の混合率を検知するに過ぎない。また、仮に、前記燃料タンクに攪拌機能を設けたとしても、前記燃料タンクから前記エンジン本体へ供給される供給ライン中で生じ得る混合燃料の乖離現象には対応不可能である。
【0006】
また、排気ガスの酸素濃度を検出するセンサを排気ラインに設け、前記センサによって検知される酸素濃度に基づいて燃料中のエタノール混合率を推定し、予め記憶された複数の噴射量制御マップのうち前記エタノール混合率に応じた噴射量制御マップを選択し、選択された噴射量制御マップに基づき噴射状態の制御を行う燃料噴射制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、前記燃料噴射制御装置は、前記予め記憶された燃料噴射マップに基づいてしか前記噴射状態の制御を行えない。混合燃料としては多種多様な組み合わせの混合燃料が存在し得るため、すべての混合燃料に対応する噴射量制御マップを前記燃料噴射制御装置に予め記憶させておくことは困難である。例えば、対応する噴射量制御マップが用意されていない想定外の燃料が現在の使用燃料に混合された場合には、前記燃料噴射制御装置は前記噴射状態の制御を適切に行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−82329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、使用燃料の如何にかかわらず、出力操作部材の操作に応じたエンジン本体の出力状態を安定して現出させることができるエンジンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、エンジン本体と、前記エンジン本体の燃焼室に吸入空気を導く吸気ラインと、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となる排気ラインと、前記排気ラインに介挿されたタービン及びタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを有する過給機と、前記エンジン本体に燃料を供給する燃料供給装置と、人為操作される出力操作部材と、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う制御装置と、前記エンジン本体の出力回転数を検出する出力回転数検出部材と、前記エンジン本体の負荷状態を検出する負荷状態検出部材と、前記過給機の回転数を検出するターボセンサとを備え、前記制御装置には、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態と前記過給機の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データが備えられ、前記制御装置は、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、前記ターボセンサによる検出信号に基づいて認識される前記過給機の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行うエンジンを提供する。
【0011】
好ましくは、前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置から前記エンジン本体に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御である。
【0012】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記燃料供給装置を介して前記エンジン本体に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータである。
【0013】
好ましくは、前記負荷状態検出部材は、前記エンジン本体の回転出力の角速度を検出するように構成され、前記制御装置は、前記負荷状態検出部材によって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体の負荷状態を検知する。
【0014】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機の回転数を示すデータとされ、前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準回転数と一致するように、行われる。
【0015】
好ましくは、前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機への排気流量を示すデータとされ、前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準排気流量と一致するように、行われる。
【0016】
好ましくは、前記吸入空気の状態を検出する吸入空気センサをさらに備え、前記制御装置は、前記補正制御の後に、前記吸入空気センサによって検出される吸入空気の状態に応じて第2の補正制御を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るエンジンによれば、使用燃料の如何にかかわらず、前記出力操作部材の操作に応じた前記エンジン本体の出力状態を安定して現出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンジンの概略構成図。
【図2】前記エンジンにおける燃料供給装置の噴射状態の制御のうち補正制御の処理のフローチャート。
【図3】前記補正制御の処理の一例のフローチャート。
【図4】前記補正制御の処理の変形例のフローチャート。
【図5】前記エンジンにおける燃料供給装置の噴射状態の制御のうち第2の補正制御の処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るエンジンの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に、本実施の形態に係るエンジン1の概略構成を示す。
図1に示すように、前記エンジン1は、エンジン本体10と、前記エンジン本体10の燃焼室18に吸入空気を導く吸気ライン20と、前記燃焼室18から排出される排気ガスの通路となる排気ライン30と、前記排気ライン30に介挿されたタービン41及び当該タービン41によって駆動される状態で前記吸気ライン20に介挿されたコンプレッサ42を有する過給機40と、前記エンジン本体10に燃料を供給する燃料供給装置50と、人為操作される出力操作部材60と、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う制御装置70と、前記エンジン本体10の出力回転数を検出する出力回転数検出部材81と、前記エンジン本体10の負荷状態を検出する負荷状態検出部材82と、前記過給機40の回転数を検出するターボセンサ83とを備えている。
【0021】
本実施の形態において、前記エンジン1は、4気筒ディーゼルエンジンとされている。
前記エンジン本体10は、各気筒11、12、13、14を形成するシリンダブロック及びシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドに連結された吸気マニホールド15及び排気マニホールド16とを有している。
【0022】
前記吸気ライン20は、吸入空気流れ方向下流側の端部が前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18と連通するように前記吸気マニホールド15に流体接続されている。
本実施の形態において、前記吸気ライン20には、吸入空気流れ方向の上流側から下流側に向かって順に、エアーフィルタ21、前記過給機40のコンプレッサ42、インタークーラ22、吸気スロットル弁23が設けられている。
【0023】
前記排気ライン30は、排気ガス流れ方向上流側の端部が前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18と連通するように前記排気マニホールド16に流体接続されている。
本実施の形態において、前記排気ライン30には、排気ガス流れ方向の上流側から下流側に向かって順に、前記過給機40のタービン41、排気浄化フィルタ31が設けられている。
【0024】
前記過給機40は、前記エンジン本体10からの排気エネルギーを利用して吸入空気を前記各気筒11、12、13、14の燃焼室18へ強制的に送り込むためのものである。
即ち、前記タービン41は、前記エンジン本体10の燃焼室18から前記排気ライン30を介して排出される排気ガスのエネルギーによって回転されるように構成されている。前記コンプレッサ42は、前記タービン41とともに回転するように当該タービン41に回転軸43を介して連結されている。
【0025】
本実施の形態において、前記燃料供給装置50は、コモンレール式燃料供給装置であり、所定圧の燃料を蓄えるコモンレール51と、前記コモンレール51に蓄えられている燃料を前記燃焼室18に噴射する複数のインジェクタ52と、燃料タンクに蓄えられた燃料を加圧して前記コモンレール51に送る高圧ポンプ53と、前記コモンレール51から噴射される燃料の噴射圧を調整するための圧力調整弁54とを有している。
【0026】
前記出力操作部材60は、例えば人為的に揺動操作可能なアクセルレバー、又はアクセルペダルで構成されている。
【0027】
前記出力回転数検出部材81は、前記エンジン1のクランク軸(出力軸)5の回転状態を検出するエンジン回転数センサとされている。前記出力回転数検出部材81は、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0028】
本実施の形態において、前記負荷状態検出部材82は、前記出力操作部材60の操作量(開度)を検出するアクセル開度センサとされている。前記負荷状態検出部材82は、前記制御装置70に電気的に接続され、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0029】
前記ターボセンサ83は、前記制御装置70に電気的に接続され、検出信号を前記制御装置70に入力するように構成されている。
【0030】
前記制御装置70は、演算部(CPU)及び記憶部を有している。前記記憶部は、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM、設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM、及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を有する。
【0031】
前記制御装置70には、前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態と前記過給機40の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データ75が備えられている。前記標準燃料使用時データ75は、前記制御装置70の記憶部に予め記憶されている。
【0032】
前記制御装置70は、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を行う基本制御を行うように構成されている。
具体的には、前記制御装置70は、本実施の形態においては前記負荷状態検出部材82としても作用する前記アクセル開度センサによって検出される前記出力操作部材60の操作量に応じて前記インジェクタ51が所定の燃料噴射を行うように当該燃料供給装置50の噴射状態を制御する。
【0033】
そして、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して第1の補正制御を行う。
【0034】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行う。
【0035】
図2に、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御のうち第1の補正制御の処理のフローチャートを示す。
図2に示すように、ステップ1において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の現実の作動状態を認識する。
【0036】
ステップ2において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0037】
ステップ3において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0038】
ステップ4において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態を認識する。
【0039】
ステップ5において、前記制御装置70は、認識された前記過給機40の現実の作動状態が認識された前記過給機40の標準作動状態と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致しないと判定した場合、ステップ6に移行する。
前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致すると判定した場合、ステップ7に移行する。
【0040】
前記ステップ6において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、前記過給機40の現実の作動状態が標準作動状態と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0041】
前記ステップ7において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0042】
このように前記制御装置70が前記第1の補正制御を行い得る前記エンジン1によれば、使用燃料の如何にかかわらず、前記出力操作部材60の操作に応じた前記エンジン本体10の出力状態を安定して現出させることができる。
【0043】
特に、メイン燃料にバイオ燃料等のサブ燃料が混合されてなる複合燃料を使用する際に有効となる。即ち、混合燃料においては、サブ燃料の種類や混合率に応じて発熱量が変化する。従って、混合燃料使用時においては、前記出力操作部材60の操作量に対する前記エンジン本体10の出力状態の変化が生じ易い。
この点に関し、前記エンジン1によれば、前記出力操作部材60の操作量に応じて前記燃料供給装置50の噴射制御を行う基本制御を行いつつ、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて認識される前記過給機40の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準作動状態と一致するように前記基本制御を補正するので、使用燃料の発熱量が変化したとしても、前記出力操作部材60の操作量に応じた前記エンジン本体10の出力状態を安定して得ることができる。
【0044】
なお、前記メイン燃料及び前記サブ燃料とは、互いに異なる種類の燃料に限るものではなく、互いに異なる成分を有する同種の燃料も含む。例えば、ディーゼルエンジンの燃料としては、所定のセタン価の軽油が前記メイン燃料となり、この軽油に比べてセタン価が異なる軽油が前記サブ燃料となり得る。
【0045】
好ましくは、前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置50から前記エンジン本体10に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御とされる。
これにより、前記噴射状態の制御に応じて、使用燃料の発熱量を変化させることができる。従って、前記基本制御だけによって発熱量と標準発熱量との相違分を補填することができる。
【0046】
好ましくは、前記標準燃料使用時データ75は、前記燃料供給装置50を介して前記エンジン本体10に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータである。
【0047】
また、前記負荷状態検出部材82は、本実施の形態においては前述の通りアクセル開度センサとされているが、その代わりにクランク角速度検出センサとされ得る。
前記クランク角速度検出センサは、前記エンジン本体10の回転出力の角速度を検出するように構成される。
【0048】
この場合、前記制御装置70は、前記クランク角速度検出センサによって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
ここで、前記制御装置70は、前記クランク軸5の回転(エンジン回転)の角速度の振幅が負荷(エンジン発生トルク)と比例することを利用する。
具体的には、前記制御装置70は、前記クランク角速度検出センサによる検出信号を用いて前記クランク軸5の角速度を認識し、角速度振幅を算出する。前記制御装置70は、算出した現在の角速度振幅を例えば基準角速度振幅と比較することによって前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0049】
好ましくは、前記標準燃料使用時データ75は、前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40の回転数又は前記過給機40への排気流量を示すデータとされる。
即ち、前記過給機40の作動状態として、前記過給機40の回転数又は前記過給機40への排気流量が用いられる。
【0050】
前記標準燃料使用時データ75が前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40の回転数を示すデータとされる場合、前記第1の補正制御は、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数が、前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される前記過給機40の標準回転数と一致するように、行われる。
【0051】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行い得る。この場合、前記制御装置70は、前記第1の補正制御を行うに際し、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数を直接的に利用する。
【0052】
図3に、前記第1の補正制御の処理の一例のフローチャートを示す。
図3に示すように、ステップ11において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の実回転数を検知する。
【0053】
ステップ12において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0054】
ステップ13において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0055】
ステップ14において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準回転数を認識する。
【0056】
ステップ15において、前記制御装置70は、検知された前記過給機40の実回転数が認識された前記過給機40の標準回転数と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致しないと判定した場合、ステップ16に移行する。
前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致すると判定した場合、ステップ17に移行する。
【0057】
前記ステップ16において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、前記過給機40の実回転数が標準回転数と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0058】
前記ステップ17において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0059】
一方、前記標準燃料使用時データ75が前記エンジン本体10に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機40への排気流量を示すデータとされる場合、前記第1の補正制御は、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材81及び前記負荷状態検出部材82による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき認識される前記過給機40の標準排気流量と一致するように、行われる。
【0060】
詳しくは、前記制御装置70は、前記基本制御に引き続いて、次のような流れで前記第1の補正制御を行い得る。この場合、前記制御装置70は、前記第1の補正制御を行うに際し、前記ターボセンサ83によって検出される前記過給機40の実回転数を間接的に利用する。
【0061】
図4に、前記第1の補正制御の処理の変形例のフローチャートを示す。
図4に示すように、ステップ21において、前記制御装置70は、前記ターボセンサ83による検出信号に基づいて前記過給機40の実回転数を検知する。
【0062】
ステップ22において、前記制御装置70は、検知された前記過給機40の実回転数に基づいて実際の排気流量を算出する。
【0063】
ステップ23において、前記制御装置70は、前記出力回転数検出部材81による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の出力回転数を検知する。前記制御装置70は、前記負荷状態検出部材82による検出信号に基づいて前記エンジン本体10の負荷状態を検知する。
【0064】
ステップ24において、前記制御装置70は、前記標準燃料使用時データ75を読み出す。
【0065】
ステップ25において、前記制御装置70は、検知された前記エンジン本体10の出力回転数及び負荷状態を用いて前記標準燃料使用時データ75に基づき、標準燃料使用時にあるべき前記過給機40の標準排気流量を認識する。
【0066】
ステップ26において、前記制御装置70は、算出された実際の排気流量が認識された前記過給機40の標準排気流量と一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致しないと判定した場合、ステップ27に移行する。
前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致すると判定した場合、前記ステップ28に移行する。
【0067】
前記ステップ27において、前記制御装置70は、前記基本制御に対して前記第1の補正制御を実行する。
即ち、前記制御装置70は、実際の排気流量が前記過給機40の標準排気流量と一致するように、前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御に対して前記第1の補正制御を行う。
【0068】
前記ステップ28において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0069】
好ましくは、前記制御装置70は、前記吸気ライン20を流れる吸入空気の状態変化に応じて、前記燃料供給装置50から前記エンジン本体10への燃料噴射状態に対して第2の補正を行うことができる。
即ち、前記エンジン1は、前記ターボセンサ83による検出信号を用いた前記第1の補正制御の後に、吸入空気の状態変化に応じた第2の補正制御を行うように構成され得る。
【0070】
具体的には、前記エンジン1には、吸入空気の密度に関連する物理量を検出する吸入空気センサが備えられる。
一方、前記制御装置70には、吸入空気の密度に関する物理量の基準値が予め記憶され、吸入空気の物理量と当該基準値との偏差に応じた複数の噴射状態補正マップが備えられる。前記基準値は、例えば、前記標準燃料使用時データ75を得た際の吸入空気の物理量とされる。
【0071】
そして、前記制御装置70は、前記吸入空気センサによって検出される実際の吸入空気の物量と前記基準値との偏差に応じて、前記燃料供給装置50の噴射状態を補正する。
【0072】
例えば、前記吸入空気センサとして、前記吸入空気の温度を検出する吸入空気温度センサが採用され得る。
図5に、前記吸入空気センサとして前記吸入空気温度センサが備えられた場合の、前記第2の補正制御の処理のフローチャートを示す。
図5に示すように、ステップ31において、前記制御装置70は、前記第1の補正制御の後に、前記吸気温度センサによる検出信号に基づいて吸入空気温度を検知する。
【0073】
ステップ32において、前記制御装置70は、前記吸入空気温度センサによって検出される実際の吸入空気温度と前記基準値との偏差を算出する。
【0074】
ステップ33において、前記制御装置70は、前記実際の吸入空気温度と前記基準値とが一致するか否かを判定する。
前記制御装置70は、実際の吸入空気の密度が吸入空気の基準密度と一致しないと判定した場合、ステップ34に移行する。
前記制御装置70は、前記実際の吸入空気の温度と前記基準値とが一致すると判定した場合、ステップ35に移行する。
【0075】
前記ステップ34において、前記制御装置70は、前記基本制御及び前記第1の補正制御に対して前記第2の補正制御を実行する。
例えば、前記制御装置70は、実際の吸入空気の温度に基づき吸入空気量を補正し、この補正後の吸入空気量に応じて前記燃料供給装置50の噴射状態に関し前記基本制御及び前記第1の補正制御に対して前記第2の補正制御を行う。この場合、吸入空気量は吸入空気量センサ等により別途検出する。
または、前記制御装置70は、吸入空気の温度に対する前記標準燃料使用時データ75の補正量を示すデータ等を用いて実際の吸入空気の温度に基づき前記標準燃料使用時データ75を補正する。これにより、補正後の前記標準燃料使用時データ75に基づいて次回の前記第1の補正制御が行われることになる。
【0076】
前記ステップ35において、前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了するか否かを判定する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了すると判定した場合、当該噴射状態の制御を終了する。
前記制御装置70は、前記燃料供給装置50の噴射状態の制御を終了しないと判定した場合、前記基本制御に移行する。
【0077】
また、前記制御装置70は、前記第2の補正制御に代えて、又は加えて、排気ガスの状態に応じて第3の補正制御を行い得る。
具体的には、例えば、前記エンジン1に、排気ガス量を検出する排気ガス量センサ、及び/又は、排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサが備えられる。
この状態で、前記制御装置70は、前記センサから検出される検出信号に基づいて排気ガスの状態を認識し、その状態変化に応じて前記基本制御、前記第1の補正制御、又は前記第2の補正制御に対して前記第3の補正制御を行うように構成される。
【0078】
なお、本実施の形態においては、前記エンジン1として、過給機付きディーゼルエンジンを用いたが、燃焼室へ空気を強制的に送り込む装置(過給機等)を備えるものであれば、ガソリンエンジン(レシプロエンジン)、タービンエンジン、ジェットエンジンなどを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 エンジン
10 エンジン本体
20 吸気ライン
30 排気ライン
40 過給機
41 タービン
42 コンプレッサ
50 燃料供給装置
60 出力操作部材
70 制御装置
75 標準燃料使用時データ
81 出力回転数検出部材
82 負荷状態検出部材
83 ターボセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体と、前記エンジン本体の燃焼室に吸入空気を導く吸気ラインと、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となる排気ラインと、前記排気ラインに介挿されたタービン及びタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを有する過給機と、前記エンジン本体に燃料を供給する燃料供給装置と、人為操作される出力操作部材と、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う制御装置と、前記エンジン本体の出力回転数を検出する出力回転数検出部材と、前記エンジン本体の負荷状態を検出する負荷状態検出部材と、前記過給機の回転数を検出するターボセンサとを備え、
前記制御装置には、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態と前記過給機の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データが備えられ、
前記制御装置は、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、前記ターボセンサによる検出信号に基づいて認識される前記過給機の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行うことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置から前記エンジン本体に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記標準燃料使用時データは、前記燃料供給装置を介して前記エンジン本体に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記負荷状態検出部材は、前記エンジン本体の回転出力の角速度を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記負荷状態検出部材によって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体の負荷状態を検知することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエンジン。
【請求項5】
前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機の回転数を示すデータとされ、
前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準回転数と一致するように、行われることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のエンジン。
【請求項6】
前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機への排気流量を示すデータとされ、
前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準排気流量と一致するように、行われることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のエンジン。
【請求項7】
前記吸入空気の状態を検出する吸入空気センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記補正制御の後に、前記吸入空気センサによって検出される吸入空気の状態に応じて第2の補正制御を行うことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のエンジン。
【請求項1】
エンジン本体と、前記エンジン本体の燃焼室に吸入空気を導く吸気ラインと、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となる排気ラインと、前記排気ラインに介挿されたタービン及びタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを有する過給機と、前記エンジン本体に燃料を供給する燃料供給装置と、人為操作される出力操作部材と、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う制御装置と、前記エンジン本体の出力回転数を検出する出力回転数検出部材と、前記エンジン本体の負荷状態を検出する負荷状態検出部材と、前記過給機の回転数を検出するターボセンサとを備え、
前記制御装置には、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態と前記過給機の作動状態との関係を示す標準燃料使用時データが備えられ、
前記制御装置は、前記出力操作部材の操作量に応じて前記燃料供給装置の噴射状態の制御を行う基本制御を行い、前記ターボセンサによる検出信号に基づいて認識される前記過給機の現実の作動状態が前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される標準燃料使用時にあるべき前記過給機の標準作動状態と一致するように前記基本制御に対して補正制御を行うことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記噴射状態の制御は、前記燃料供給装置から前記エンジン本体に供給される燃料の噴射量、噴射時期、噴射回数又は噴射圧の少なくとも何れか一つをパラメータとした制御であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記標準燃料使用時データは、前記燃料供給装置を介して前記エンジン本体に供給される燃料が所定の単一燃料である場合のデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記負荷状態検出部材は、前記エンジン本体の回転出力の角速度を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記負荷状態検出部材によって検出される角速度の振幅の大きさに基づき前記エンジン本体の負荷状態を検知することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエンジン。
【請求項5】
前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機の回転数を示すデータとされ、
前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準回転数と一致するように、行われることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のエンジン。
【請求項6】
前記標準燃料使用時データは、前記エンジン本体に所定の標準燃料が供給された際の前記エンジン本体の出力回転数及び負荷状態に対する前記過給機への排気流量を示すデータとされ、
前記補正制御は、前記ターボセンサによって検出される前記過給機の実回転数に基づき算出される実際の排気流量が、前記出力回転数検出部材及び前記負荷状態検出部材による検出信号を用いて前記標準燃料使用時データに基づき認識される前記過給機の標準排気流量と一致するように、行われることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のエンジン。
【請求項7】
前記吸入空気の状態を検出する吸入空気センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記補正制御の後に、前記吸入空気センサによって検出される吸入空気の状態に応じて第2の補正制御を行うことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のエンジン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−104333(P2013−104333A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247671(P2011−247671)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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