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エンセファロトキシンの検出により神経疾患を診断し、そして監視するための方法
説明

エンセファロトキシンの検出により神経疾患を診断し、そして監視するための方法

活性化単核食細胞により生産されたエンセファロトキシンは、アルツハイマー病(AD)、HIV−1関連痴呆(HAD)、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷、または神経−AIDSのような神経変性疾患および神経炎症疾患を含む神経学的疾患を有する個体に存在する。本発明の方法によるエンセファロトキシンの生化学的検出は、初期の前徴段階で神経学的疾患の診断を可能とし、これにより疾患の進行に早期に介入し、ならびに神経変性疾患を発症する危険性がある個体または群の同定を可能とする。また本発明の方法は、神経疾患の進行および処置を監視するメカニズムも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
本出願は、2003年1月27日に出願された特許文献1の利益を主張する。その出願内容は全部、引用により本明細書に編入する。
政府の認可との関係
本明細書の開示の一部は、国立衛生研究所、認可番号AG12548の認可により支援されてきた。米国政府は、本出願に特定の権利を有することができる。
発明の分野
本発明は、神経疾患の臨床的発現と影響を受けた脳の単核食細胞により生産される神経毒との相関に関する。また本発明は、個体の生物学的サンプル中の神経毒を検出することにより、神経疾患または認知喪失の危険性を診断するための方法に関する。神経毒であるエンセファロトキシン(encephalotoxin)は、神経疾患、例えばHIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷およびアルツハイマー病(AD)において、ニューロンを慢性的に傷害する炎症カスケードにより放出されることが分かった。この炎症カスケードには単核食細胞の活性化およびシナプス結合およびニューロンの損失が関与し、これは情報処理、注意、学習および情報の回復(retrieval)に低下を生じ、知的機能の全体的喪失をもたらす。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
神経疾患に関連する認知喪失および痴呆は、記憶、学習および情報処理のための解剖学的物質(anatomical substrata)として働くニューロンおよびシナプスに対する傷害から生じる。多くの関心にもかかわらず、これらの障害における進行性のニュローンの損失の原因となる生化学経路は解明されていない。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は世界中で1500万以上の症例があり、そして年配者における最も頻度の高い痴呆の症例である(非特許文献1)。ADにはニュローンとシナプスとの連結を破壊するメカニズムが関与すると考えられている。この疾患の神経病理学には、Aβ1−42の凝集物を含む老人性斑の形成を含む(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。AD患者の灰白質に見い出される老人性斑は、反応性の小膠細胞と接しており、そしてニュローンの損傷と関連している(非特許文献6;非特許文献1;非特許文献7)。インビトロで試験したAβ斑と相互作用する小膠細胞に由来する斑の成分は、小膠細胞が有力な神経毒を放出することを刺激することが分かり、すなわち反応性の小膠細胞症とADの神経病理学とを関連づける(非特許文献8)。
【0004】
現在、幾つかの証拠の裏づけが、小膠細胞が誘導する神経毒がADの病理に寄与するという概念を支えている。第1に、小膠細胞が誘導する毒素は斑を負うAD脳の領域から抽出することができるが、年齢が合った対照またはALS脳組織の同一の脳の領域からは抽出できない(非特許文献8;非特許文献9)。第2に、毒性活性の局所的分布はADの新皮質組織および海馬(vs.対照またはALS)、多数の反応性小膠細胞を含有する領域に小膠細胞が誘導するニューロン毒(neuron poison)の最大濃度を示す。対照的に、正常またはALS患者に由来する大脳、白質および新皮質組織は(もしあるとしてもわずかに反応性の小膠細胞クラスターを有するだけである)、神経毒活性をほとんど示さない。さらに各脳領域中の反応性小膠細胞クラスターの相対数は、その領域から抽出された神経毒活性のレベルと有意に相関する(p<0.005)。第3に、単離した斑断片または合成のヒトAβ1−40またはAβ1−42ペプチドは、ヒトの小膠細胞が神経毒をカルチャーに放出することを活性化することが分かっている(非特許文献8;非特許文献9)。しかし神経毒の効果は、斑またはペプチドがニューロンの頂点に直接配置された時、または小膠細胞がAD、ALSまたは正常、加齢対照の脳から単離された、斑を含まない画分に暴露された時、検出されない(非特許文献8;非特許文献9)。このように単離された斑のニューロンに対する毒性効果は間接的であり、そして斑が刺激する小膠細胞から放出される神経毒活性により媒介される。第4に、AD患者に由来するCSFに見い出されるが、疾患対照に由来するサンプル中に検出されない神経毒活性がある(Giulianへの特許文献2;非特許文献10)。第5に、Aβ−結合微小球の海馬への浸出は、ラットにおいて浸入部位に炎症応答を生じる(Giulianへの特許文献2)。まとめると、これらのデータは、Aβペプチドとの接触を介する小膠細胞の斑−活性化が、AD脳の個別の領域で殺ニューロン(neuron−killing)因子を生産することを示す(非特許文献8)。
【0005】
ADを発症しているほとんどの患者は、軽度の認知傷害(MCI)の移行期間を通して進行するが、それらはたいてい疾患の初期の間に医師に示されないだろう。研究グループの間では、MCIの患者にはADへ進行する危険性が増加するという共通認識がある(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。記憶障害はMCIに共通する最も顕著な特性であるが、主に言語または空間視覚に関する機能おける欠如を含む他のパターンも含む可能性がある(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。記憶障害は通常、MCIの最も顕著な特徴であるが、主に言語または視覚運動能に欠陥を含む他のパターンを含むかもしれない(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。軽度認知障害を特徴づける試みは、痴呆の重篤度を無し、軽度、中程度、または重度と評価する痴呆評価尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)スケールを使用して行われてきた。非特許文献18は、0.5のCDRの患者はほとんどの場合で「大変軽度」のADであるらしいと結論した[CDR0.5の分類は、一貫した軽い物忘れを特徴とし、これは軽度であり、見当識、社会適応、家庭および趣味、判断力、および介護状況のような他の機能障害があるとしてもわずかである。]また他の測定も、MCI個体を同定するために使用されてきた。例えば良くない遅延した想起は進行の最もよい予測、痴呆ではない年配の個体の後の痴呆の予測、および正常な老化と軽度ADとの間の最高の識別となることが示された(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。MCIの個体がADの臨床診断を発症するのに要する時間は、アルツハイマー病共同研究(Alzheimer’s Disease Cooperative Study:ADCS)により約30%が2年、そして約45%が3年であると予想された。
【0006】
HIV−1感染および神経−AIDSは、脳および脊髄に荒廃させる効果を生じる。HIV−感染中の認知障害の元にある解剖学的基礎は不明であるが、痴呆が進行した疾患では新皮質全体に分散した大きなニューロンの40%まで減少がある(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21)。
【0007】
HIV−1関連痴呆(HAD)は、認知機能不全、運動機能の低下、および行動変化を特徴とする。これは主に、CD4細胞カウントが比較的低い時、HIV感染のさらに進行した段階で起こる。機能不全の進行は可変性であるが、致命的な結果を伴う深刻な合併症とみなされる。HIVによる認知喪失の診断は排除プロセスによる−−HIVに特異的なCNSに対する損傷を監視するために認可されたマーカーは無い。そのようなマーカー無しでは、重大な機能喪失が現れるまで患者を評価するための臨床的指標が無く、そしてHIVの脳傷害を保護するための新規処置法を開発する好機もほとんど無い。したがって初期の前兆段階の患者を同定することが大変望まれている。
【0008】
HAART(本明細書では3以上の抗レトロウイルス剤を使用した併用療法と定める)の前に、AIDSの患者の60%が痴呆を発症した。この発病率は約10〜15%に低下したようだが、認知機能不全はHIV/AIDS群の半分以上に問題を残す(非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25)。
【0009】
HIV−1の脳の病状には、新皮質で拡散したスナプスの損傷、皮質ニューロンの損失、および侵襲する血液単球、小膠細胞および多核巨細胞を含む感染した反応性の単核食細胞群が関与する。これらの巨細胞は、gp120、レトウルイルスエンベロープタンパク質で覆われたHIVに感染した単核食細胞の融合;HIV−1感染中に認知障害と相関した巨細胞の存在を表す。現在、この分野のほとんどの研究グループは、感染した単核食細胞により放出される毒素が、HIV−1(+)群の認知喪失の主原因であることに同意している(非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28;非特許文献19;非特許文献29;非特許文献20;非特許文献21)。
【0010】
今では幾つかの証拠の裏付けが、単核食細胞が誘導する神経毒がHIV−1感染中に脳内のニューロン損傷に寄与するという概念を支えている。第1に、HIV−1はニューロンに感染せず、しかもニューロンに対する直接的毒性効果も示さなかった(非特許文献30;非特許文献22;非特許文献31)。第2に、HIV−1単核食細胞(THP−1、U937、ヒト血液単球、およびヒト脳の小膠細胞)は、インビトロでHIV−1に感染した時に神経毒を放出した;対照的にリンパ球(H9、ヒト血液リンパ球)は放出しなかった(非特許文献30;非特許文献22)。第3に、感染したドナーから単離したヒト単核食細胞(血液単球および小膠細胞)は、インビトロ実験から回収されたものと同じ神経毒を放出した;ここでも単離された感染リンパ球は放出しなかった(非特許文献30)。第4に、神経毒活性は感染した個体の脳組織から回収することができる(非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25)。第5に、ウイルスエンベロープ糖タンパク質であるgp120は、ヒト血液の単球および小膠細胞から神経毒の放出を刺激することができる;tatを含有する他のウイルスタンパク質はしなかった(非特許文献31)。第6に、高濃度の神経毒がHIV−1(+)個体の脳脊髄液に見い出された。そして第7に、神経毒であるヘパランオリゴ糖のファミリーは、HIV−1感染細胞から、そしてHIV CSFから単離することができる。
【0011】
反応性の単核食細胞は多数の生物活性物質を放出するが、これら化合物の幾つかは実際に神経変性疾患で存在することが見いだされた濃度で有害なニューロンとなり得る(非特許文献32;非特許文献33;非特許文献34;非特許文献22)。さらにそのような候補ニューロン毒素の少数が、ADおよびHADの両方に存在する。例えば、Aβ1−42の「毒性」形態の組織濃度の上昇は、ADの特徴であるが(非特許文献31)、HADでは生じない。同様に上昇したキノリン酸レベルがHAD個体の脳脊髄液(CSF)中に生じるが(非特許文献33)、AD患者のそれには生じない(非特許文献34)。対照的にADおよびHAD脳組織の両方が、潜在的な神経毒作用を持つ異質な低分子量の安定な分子群を含む(非特許文献22;非特許文献8;非特許文献9)。アミロイド斑、合成β−アミロイドペプチド、HIV−1またはgp120に暴露されることにより活性化された培養した単核食細胞は、これらの同じ神経毒を生産する(非特許文献23;非特許文献35)。そのような考察は、共通するが同定されていない経路が、免疫により駆動される(immune−driven)神経病状をADおよびHADの両方で媒介することを示唆している。
【0012】
神経疾患の臨床的発現は、有意な程度のニューロンの損失およびシナプスの傷害が、十分に適応できる機能に必要な臨界値を越えた後にのみ起こるので、疾患の病状の初期の前兆を検出することは、疾患の進行を遅らせるための好機を与える。本発明は、例えばアルツハイマー病、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害(MCI)、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中または急性外傷を含む神経疾患および認知喪失の危険性を診断する方法を提供する。本発明の方法は、神経疾患および認知喪失の危険性の早期検出を可能とし、これにより疾患の進行に、より早く介入できるようにする。また個体のエンセファロトキシンレベルを監視することにより、神経疾患の進行および処置を監視する方法も提供する。
【0013】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/443,219号明細書
【特許文献2】米国特許第6,043,283号明細書
【非特許文献1】Terry,R.D.et al.(編集)、アルツハイマー病(ALZHEIMER’S DISEASE)、ラベン出版(Raven Press)、ニューヨーク、1994
【非特許文献2】Selkoe,Neuron,1991,6:487−498
【非特許文献3】Yankner et al.,New Eng.J.Med.,1991,325:1849−1857
【非特許文献4】Price et al.,Neurobiol. Aging,1992,13,623−625
【非特許文献5】Younkin,Ann.Neurol.,1995,37:287−288
【非特許文献6】Terry et al.,「アルツハイマー病の認知変化の構造的基礎(Structural Basis of the Cognitive Alterations in Alzheimer Disease)」で、アルツハイマー病(ALZHEIMER’S DISEASE)、NY、ラベン出版(Raven Press)、1994、第11章、179−196
【非特許文献7】Perlmutter et al.,J.Neurosci.Res.,1992,33:549−558
【非特許文献8】Giulian et al., Neurochem. Int., 1995, 27:119−137
【非特許文献9】Giulian et al.(1996)J.Neurosci.,16:6021−6037
【非特許文献10】Giulian et al.(1999)Am.J.Hum.Genet.,65:13−18
【非特許文献11】Grundman et al.(1996)Neurology46:403
【非特許文献12】Flicker et al.(1991)Neurology 41:1006−1009
【非特許文献13】Masur et al.(1994)Neurology 44:1427−1432
【非特許文献14】Tierney et al.(1996)Neurology 46:149−154
【非特許文献15】Hughes et al.(1982)Br.J Psychiatry,140:566−572
【非特許文献16】Berg(1998)Psychopharmacol.Bull.,24:637−639
【非特許文献17】Morris(1993)Neurology,43:2412−2414
【非特許文献18】Rubin et al.(1989)Arch Neurol.,46:379−382
【非特許文献19】Masliah et al.(1992)J.Neuropath Exp Neurol.,51:585−593
【非特許文献20】Asare et al.(1996)Am J Path 148:31−38
【非特許文献21】Everall et al.(1993)J.Neuropath.Exp.Neurol.52:561−566
【非特許文献22】Giulian et al.,(1990)Science,250;1593−1596
【非特許文献23】Giulian et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.,90:2769−2773
【非特許文献24】Giulian (1995)、ニューログリア(NEUROGLIA)(H Kettenmann.B Ransom編集)で、オックスフォード大学出版(Oxford University Prss)、第671〜684頁
【非特許文献25】Giullian et al.(1998 神経変性疾患の炎症メカニズムおよびその管理(INFLAMMATORY MECHANISMS OF NEURODEGENERATION AND ITS MANAGEMENT)(P.Wood,編集)で、ヒーマナ出版(Humana Press)、第4巻、第109−128頁
【非特許文献26】Vitokovic et al.(1998)Medical Sciences,321:1015−1021
【非特許文献27】Morgello et al.,(2001)Neuropath.App.Neurobiol.,27:326−335
【非特許文献28】Lawrence et al.,(2002)Micrbes and Infection,4:301−308
【非特許文献29】Maslliah et al.(1995)J.Neuropath.and Exp.Neurol.,54:350−357
【非特許文献30】Giulian et al.(1996)J.Neurosci.,16:3139−3153
【非特許文献31】Levine et al.(1976)Biochim.Biophys.Acta,452:458−467
【非特許文献32】Hardy et al.(2002)Science,297:353
【非特許文献33】Mourdian et al.,(1989)Neurosci.Lett.,105:233
【非特許文献34】Milstein et al.(1994)J.Neurochemistry,63,1178
【非特許文献35】Giulian et al,(1998)J.Biol.Chem.,273:29719
【発明の開示】
【0014】
発明の要約
本発明は、個体の神経疾患または認知喪失の危険性を診断する方法の様々な態様を提供する。これは個体の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンを検出することにより行われる。本発明の幾つかの態様では、エンセファロトキシンの検出には、個体の生物学的サンプルをニューロンに、エンセファロトキシンのインアクチベーターの存在下および不存在下の両方で接触させ、そしてエンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのニューロンの生存に関して、エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でのニューロンの生存を比較することを含む。エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのニューロンの生存の減少は、神経疾患または認知喪失の危険性の指標となる。幾つかの態様では、エンセファロトキシンはエンセファロトキシン インアクチベーターの存在および不存在下の両方で生物学的サンプル中の光吸収を測定することにより検出され、エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下での吸収の上昇が、該神経疾患または認知喪失の危険性の指標となる。好ましくは光吸収は232ナノメーター(nm)の波長で測定される。
【0015】
本発明の幾つかの態様では、エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを有するオリゴ糖であり;ペプチド結合を欠き;そして約2000ダルトン未満の分子量を有する。好ましくはエンセファロトキシンは4〜8個のサッカリド単位を有する。好ましくはエンセファロトキシンの分子量は、約700から約1900ダルトンの間である。
【0016】
幾つかの態様では、エンセファロトキシン インアクチベーターはヘパリンリアーゼI、亜硝酸、グルコサミン−6−スルファターゼまたはN−スルファミニダーゼである。好ましくは亜硝酸溶液は約1.5のpHを有する。
【0017】
本発明の幾つかの態様では、生物学的サンプルは脳脊髄液、脊髄組織または脳組織である。
【0018】
本発明の方法により診断または監視できる神経疾患には、限定するわけではないがアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)関連痴呆(HAD)、軽度認知障害(MCI)、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷および神経−AIDSのような神経変性および神経炎症疾患および障害を含む。種々の態様において、本発明の方法はヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類個体の診断または監視に使用することができる。
【0019】
本発明の幾つかの態様では、ニューロンの生存の比較は、エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのエンセファロトキシンのED50に対して、エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でのエンセファロトキシンのED50を比較することを含んでなり、ここでエンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でのエンセファロトキシンのED50に比べてエンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのエンセファロトキシンの低いED50は、該神経疾患または認知喪失の危険性の指標となる。
【0020】
本発明のさらなる態様では、個体の神経疾患の処置を監視する方法が提供される。幾つかの態様では、監視法には個体の第1および第2の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンのレベルを比較することを含み、第1の生物学的サンプルは第2の生物学的サンプルよりも早い時点で個体から採取され、第2の生物学的サンプルは神経障害の処置後に個体から採取され、そしてエンセファロトキシンレベルは該生物学的サンプルの光吸収により測定され、第2の生物学的サンプルの上昇した吸収は、神経疾患の進行の指標となる。幾つかの態様では、第1の生物学的サンプルが神経疾患の処置(例えば薬剤の投与)後に個体から採取され、取り出され、または抽出される。
【0021】
本発明のさらなる態様では、個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することを含んでなる、個体の神経疾患の進行を監視する方法が提供され、エンセファロトキシンレベルの上昇の検出は、個体の第2の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンの光吸収に対して、個体の第1の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンの上昇した光吸収を測定することを含んでなり、第2の生物学的サンプルは第1の生物学的サンプル前に患者から採取され、上昇した光吸収は神経疾患の進行の指標となる。
【0022】
また本発明の態様により提供されるのは、個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することを含んでなる、個体の神経疾患の進行を監視する方法であり、上昇の検出は、個体の第1の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、個体の第2の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、そして第2の生物学的サンプルの存在下で減少したニューロンの生存を検出することを含んでなり、第2の生物学的サンプルは第1の生物学的サンプルよりも後の時点に採取され;そして第2の生物学的サンプルの存在下で減少したニューロンの生存は神経疾患の進行の指標となる。
【0023】
本発明の幾つかの態様では、生物学的サンプルの1つが該神経疾患の前駆症状期に採取される。
【0024】
本発明の別の態様では、個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することにより個体の神経疾患の処置を監視する方法、エンセファロトキシンレベルの上昇の検出は、個体の第1の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、個体の第2の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、そして第2の生物学的サンプルの存在下で減少したニューロンの生存を検出することを含み、第2の生物学的サンプルは第1の生物学的サンプルよりも後の時点、かつ神経疾患の処置後に採取され;そして減少したニューロンの生存は神経疾患の進行の指標となる。
【0025】
本明細書に引用する参照の特許、特許出願および科学文献は、参考文献により全部、本明細書に編入する。本明細書で引用した任意の参考文献と本明細書中の具体的教示との間に矛盾がある場合は、後者を選ぶことにより解決されるだろう。同様に、技術的に理解されている用語または句の定義と、本明細書で具体的に教示する用語または句の定義との間に矛盾がある場合も、後者を選ぶことにより解決されるだろう。
【0026】
本明細書で使用するように、用語「約」は許容範囲内で述べた値の近似を指す。好ましくは範囲は述べた値の+/−10%である。
【0027】
確定的な(definite)ADは、一致した神経病理学的基準(NIA−レーガンワーキンググループ。アルツハイマー病の死後診断に関する一致した推奨(Consensus recommendation for the postmortem diagnosis of Alzheimer’s disease)。(1997)Neurobiol.Aging,18:S1)を使用して剖検で(autopsy)診断した。確実な(probable)ADに関する臨床的定義は、一致した推奨(consensus recommendation)(McKhann et al.,(1984)Neurology 34:939)に従い、学習/記憶における平均標準平均値より少なくとも2標準偏差(SD)落ちる精神測定の能力として定める動作と障害を有し[ウェクスラー記憶検査−III論理的記録下位検査(Wechsler Memory Scale−III Logical Memory Subtest)、ホプキンス言語学習検査(Hopkins Verbal Learning Test)−改定、または簡易な視覚記憶検査(Brief Visual Memory Test)−改定]、そして以下の認識領域内の少なくとも1つの検査について、標準平均よりも2SD下である:注意/情報処理(Attention/Information Processing)[言語維持注意力検査(Verbal Sustained Attention Test)、記号数字モダリティー検査(Symbol Digit Modalities Test)、ウェクスラー成人知能検査−III数唱範囲(Digit Span)、トレイルA検査(Trails A Test)およびゆっくりとした聴覚連続足し算(Paced Auditory Serial−Addition Test:PASAT)]、見当識(方向質問)、言語[記名および分類の流暢さ(Naming and Category Fluency)、FAS検査]、実行機能(Execution Function)[ウィスコンシン カード分類検査(Wisconsin Card Sort Test)およびトライアルB検査(Trials B Test)]。MCIの個体は、痴呆が無いが、ADに関するものと同じ検査バッテリーを使用して、標準平均値よりも少なくとも1.5SD低く測定される情報および記憶障害により確認される記憶の病訴を含む健忘の特徴を示す個体である。
【0028】
HIV−1関連認知障害に関する臨床的定義は、他の病因については証拠を示さない個体を使用して、一致した推奨に従った(アメリカ神経学会のワーキンググループであるAIDSタスクフォース(Working Group of American Academy of Neurology AIDS Task Force(1992)、Neurology,41:778)。HIV−関連痴呆(HAD)に関して測定される障害は、1つの領域で標準平均から2.5SD落ちたか、または任意の以下の検査において少なくとも2つの領域で2SD落ちた:学習/記憶、言語、注意/情報処理、抽象/問題解決および運動能力[溝のあるペグボート(Grooved Pegboard)]。軽度認知−運動機能不全(MCMD)の個体は、少なくとも2つの認知領域における任意の検査で平均標準値から下に1.5SD落ちるか、または1つの領域において平均値よりも2.0SD下であると定める。
【0029】
本明細書で使用する「認知喪失」またはその変形は、情報処理、注意、学習、情報想起の少なくとも1つの低下、および知的機能の全体的喪失を指す。認知喪失は、例えば注意/情報処理[言語維持注意力検査、記号数字モダリティー検査、ウエクスラー成人知能検査−III数唱範囲、トレイルA試験およびゆっくりとした聴覚連続足し算(PASAT)]、見当識(方向質問)、言語[記名および分類の流暢さ、FAS試験]、実行機能[ウィスコンシン カード分類検査およびトライアルB検査]、学習/記憶、抽象/問題解決、運動能力[溝のあるペグボード]、およびホプキンス言語検査を含む当該技術分野で知られている任意の方法により測定することができる。認知喪失の危険がある個体は認知の測定可能な喪失はないが、平均群よりも大きな認知喪失の機会を有する。例えばアルツハイマー病の患者の第1親等の親類は、認知喪失の危険性がある。
【0030】
本明細書で使用する用語「接触」または「接触する」は、化合物を目的分子の物理的近位に直接的または間接的に一緒にすることを意味する。接触することは、例えば任意の数のバッファー、塩、溶液中、または細胞もしくは細胞抽出物中で起こることができる。
【0031】
用語「ペプチド結合」は、1つのアミノ酸のカルボキシル基と第2のアミノ酸のアミノ基との間の水分子の損失により形成される共有アミド結合を意味する。
【0032】
用語「サッカリド」または「サッカリド単位」には、酸化され、還元され、または置換されたサッカリドを含む。本発明のサッカリドには限定するわけではないが、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、フルクトース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、ソルボース、タガトース、グルコン酸、グルクロン酸、グルカル酸イズロン酸 ラムノース、フコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、シアル酸、N−硫酸化グルコサミン(GlcNS)、2−硫酸化イズロン酸(IdoA2S)、アセタール、アミンおよびリン酸化糖、オリゴサッカリドのようなサッカリドの誘導体、ならびに種々の糖の開放鎖形等を含む。「オリゴ糖」は、2以上のサッカリド単位を有する分子を指す。
【0033】
本発明の神経毒の状態を説明するために使用する時、用語「精製した」は、他の細胞物質を実質的に含まない神経毒を指す。「実質的に含まない」とは、少なくとも約60%または約70%、より好ましくは少なくとも約80%または約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%、約98%または約100%、他の細胞物質を含まないことを指す。
【0034】
神経変性または神経炎症疾患の病状の前徴症状期は、本明細書では認知、行動または社会的障害の臨床的発現が、MCI(記憶試験を用いた健忘的特徴が、標準平均よりも1.5SD低い)またはAD(記憶および認知領域の少なくとももう1つで標準平均よりも2SD低い)に関して、診断閾値には未だ達していない間の疾患の段階と定める。この定義により、前徴症状期は例えば、臨床的に定めた認知障害、非痴呆(CIND)群を包含する(Toukko et al.(2001)Int.Psychogeriatr.,Supp.1:183−202)、Homにより説明される危険な無症候群((1994)J.Clin.Exp.Neurol.,16:568−576)、年齢に関連する記憶障害(AAMI、Goldman et al.(2001)Alz.Dis.Assoc.Dis.,15:72−79)、Farmington実験の無症状コホート(Elias et al.(2000)Arch.Neurol.,57:808−813)または剖検で同定された確定無症状AD群(Price et al.(2001) Arch.Neurol.58:1395−1402)を包含する。一般に、これらすべての群は年齢、教育および民族について調整された標準平均スコアよりも約1SD低い記憶検査値(言葉、エピソード記憶)を示す。全体として、ADの危険にある群は、標準化された記憶検査評価試験から毎年約0.3〜0.6SDの速度で長期的な低下を示した。
【0035】
本発明により取り組んだ神経変性疾患に関与するシグナルカスケードは、(1)単核食細胞の活性化;(2)エンセファロトキシンの単核食細胞放出;および(3)エンセファロトキシンがニューロンに及ぼす毒性効果を含む出来事を含んでなる。単核食細胞のアクチベーターにより誘導される単核食細胞の神経毒性は、神経毒インヒビターまたはインアクチベーターと本明細書で呼ぶ作用物質により阻害または不活性化され得る。
【0036】
単核食細胞は、1つの核、および食作用としても知られている粒子を飲み込む能力を有する免疫細胞である。単核食細胞は血液および中枢神経系および脳を含む体組織に見い出され、そして例えば小膠細胞、単球、マクロファージ、組織球、樹状細胞、小膠細胞の前駆体、単核細胞の前駆体、マクロファージの前駆体、小膠細胞様細胞系、マクロファージ様細胞系、または単核食細胞の上記定義に従い活性である小膠細胞様の表面分子を発現するように改変された細胞系を含む。本発明に従い定義されるニューロンには、ニューロンおよびニューロン様細胞を含み、これはニューロンが典型的な通常の、非疾患状態の条件下で神経活性を表すN−メチル−D−アスパルテート受容体を発現するように改変された細胞である。
【0037】
単核食細胞の活性化は、神経毒の放出を引き起こすプロセスを開始する。また単核食細胞の活性化は、本明細書では免疫活性化も指し、そのマーカーは単核食細胞をさらに活動的とする任意のプロセスであり、そして限定するわけではないが増加する運動、食作用、形態学における改変、および例えば補体、スカベンジャー、Aβを含む膜に付随するタンパク質および血液細胞抗原、組織適合性抗原のような分子の生合成、発現、生産または分泌のような活性を特徴とする。分子の生産には、一酸化窒素シンテターゼ、スーパーオキシド ジスムターゼのような生物活性剤の生合性に関与する酵素、エイコサノイド、サイトカイン、フリーラジカルおよび一酸化窒素のような低分子を含む。因子の放出にはプロテアーゼ、アポリポタンパク質Eのようなアポリポタンパク質およびインターロイキン−1のようなサイトカイン、腫瘍壊死因子ならびにエンセファロトキシンおよび過酸化水素のような他の分子を含む。
【0038】
単核食細胞の神経毒性またはニューロン毒性とは、ニューロンの損傷、破壊または死を導くプロセスを指し、これは生化学的または組織学的方法により測定される代謝機能の損失、細胞内物質の放出、不浸透性色素の浸透(penetration of impermeant dyes)、細胞数の減少により測定される。例えばニューロフィラメントまたはシナプトフィシンの損失のような生化学的マーカーの変化、あるいは乳酸デヒドロゲナーゼの放出、あるいは蛍光核色素およびトリパンブルーを含む不浸透性色素の浸透のような細胞損傷の他の証拠。細胞の損傷、破壊または死のこれらのおよび他の同定法、またはニューロン機能の測定法は、当業者には知られており、そして本発明で意図するものである。
【0039】
本明細書では神経毒は、ニューロンを損傷し、破壊し、または殺すが、例えば膠のような中枢神経系細胞には寛容である物質と定める。神経毒は、ニューロン機能および生存を破壊するような様式でニューロンと相互作用する。またニューロンに及ぼす神経毒の可能な作用を本明細書では神経傷害とも呼ぶが、これにはグルコース代謝、ATPの生産およびNa、Ca2+およびKイオンチャンネルを含む細胞膜をわたるイオン勾配の維持、タンパク質および核酸の合成、およびミトコンドリア呼吸および細胞死を含め、正常な細胞代謝の阻害または破壊を含む。
【0040】
本明細書で使用するエンセファロトキシンは、低分子量(<2000ダルトン)、熱安定性、プロテアーゼに対する耐性を有する神経毒の1種を指し、そして亜硝酸、N−スルファミダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼおよびヘパリンリアーゼIに対する暴露で活性を失う。エンセファロトキシンは少なくとも1つのGlcNS残基を含んでなる。エンセファロトキシンは好ましくは約700から1,900ダルトンの間の分子量を有する。エンセファロトキシンは好ましくは4〜8個のサッカリド残基を有する。
【0041】
エンセファロトキシン インアクチベーターまたはインヒビターは、活性化単核食細胞から放出される神経毒を不活性化するか、または神経毒の効果を阻害する作用物質である。本発明の目的に関して、阻害する、阻害、不活性化する、不活性化およびそれらの変形は、減少する、抑制する、遅らせる、ゆっくりさせる、および中止すると類似語的に使用する。また不活性化また阻害は、カスケードが静止し、停止し、または遮断されるような神経毒カスケードの完全な阻害を指す。エンセファロトキシンの不活性化には、約10%、20%、50%、より好ましくは約80%、90%または95%、そして最も好ましくは約98%、99%または100%まで神経毒性活性の減少を含む。例としてエンセファロトキシンに対する暴露で傷害の危険性にあるニューロンが、エンセファロトキシンおよび化合物の存在下で傷害を受けないような、エンセファロトキシンの神経毒活性を減少するか、またはニューロンの生存を上昇させるならば、化合物はエンセファロトキシンインアクチベーターである。好ましくは危険にあるニューロンの約10%、20%または50%より多くが、エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でエンセファロトキシンにより傷害されない。さらに好ましくは危険にあるニューロンの約80%、90%または95%、そして最も好ましくは約98%、99%または100%がエンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でエンセファロトキシンにより傷害されない。好ましくは本発明のエンセファロトキシン インアクチベーターには、ヘパリン リアーゼI、N−スルファミニダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼおよび亜硝酸を含む。亜硝酸は好ましくは約1.5のpHを有する。より好ましくは亜硝酸に対する暴露は室温で起こる。
【0042】
単核食細胞およびアクチベーターの有効な量は、それぞれがカスケードで反応(evevt)を正常に生じる量であるが、エンセファロトキシン インアクチベーターの添加についてはそうではない。有効な量は本開示の観点から当業者には知られ、そして単核食細胞、ニューロン、アクチベーターまたは成分の使用、および細胞の哺乳動物起源に依存して変動するだろう。
【0043】
本発明のインビトロ神経毒性アッセイは、エンセファロトキシンの存在およびその不活性化を検出し、そしてN−メチル−D−アスパルテート受容体を発現するように変更されたニューロンまたはニューロン様細胞系のカルチャーを使用する。神経毒活性の存在、またはニューロン機能の尺度もしくはニューロンの生存の測定は、細胞数の減少、細胞の代謝機能のような生化学マーカーの変化、細胞内物質の放出、限定するわけではないが蛍光核色素およびトリパンブルーのような不浸透性色素の浸透、ニューロフィラメントもしくはシナプトフィシンの損失、乳酸デヒドロゲナーゼの放出、または細胞損傷の他の証拠により測定される。ニューロン機能を測定する他の方法には、グルコース代謝、ATP生産、膜をわたるイオン勾配の維持、およびタンパク質合成、核酸合成、およびミトコンドリア呼吸の破壊を含む正常な細胞の代謝の阻害を検出することを含む。試験生化学的サンプルによるニューロンに対する炎症マーカーまたは損傷の減少を、対照と比較することができる。細胞の損傷として示すことができる、細胞の神経毒性を同定し、またはニューロン機能を測定するための、これらのおよび他の方法は、当業者に知られており、そして本発明で意図するものである。
【0044】
本発明のアッセイシステムを使用して、神経疾患の初期、例えば前徴または前駆症状の段階と個体を診断することが可能である。さらに本発明の方法を使用して、個体の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンを検出することにより、認知喪失の危険性がある個体もしくは集団を同定することが可能である。また本発明の方法は、個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することにより、神経疾患の進行を監視することも可能とする。本発明の方法に従い診断される患者または個体には、限定するわけではないがヒトのような哺乳動物、限定するわけではないがサル、チンパンジーおよび類人猿のような霊長類、限定するわけではないがラットおよびマウス、モルモットのような齧歯類、イヌ、ネコ、ウサギおよびブタを含む。本発明の方法に従う生物学的サンプルには、脳または脊髄組織のような中枢神経系組織、または脳脊髄液(CSF)を含む。本発明に従い同定または監視される神経疾患には、限定するわけではないがアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、HIV−1関連痴呆(HAD)、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷、神経−AIDSおよび免疫が媒介する脳の炎症のような神経変性性および神経炎症性疾患を含む。
【0045】
本発明の方法は、患者の生物学的サンプルの神経毒アッセイを含み、これは個体の神経疾患もしくは傷害または認知喪失の危険性を診断するために使用することができる。また本発明の方法は、個体の年齢、家族歴、初期症状または他の危険因子の観点から、神経疾患または障害を発症する危険がある個体を同定するための初期検出法として使用することができる。例えば血液、脊髄組織、脳脊髄液または脳組織のような生化学的サンプルを患者から採取し、そして本明細書に記載するように本発明のエンセファロトキシンインアクチベーターを用いて評価して、患者のエンセファロトキシンの存在を同定するか、または神経疾患に罹患する可能性がある患者を同定することができる。患者のサンプルを対照と比較し、神経毒の上昇したレベルが存在するかどうかを決定することができる。
【0046】
同様に本発明の方法は、本発明の神経毒インアクチベーターを使用して処置の前、および処置を通して患者の全身に存在する神経毒の量を測定することにより、患者の処置または疾患の進行の速度を監視する。またこの方法は、神経毒レベルを監視して薬剤用量の調整を可能とするためにも使用することができる。
【0047】
例えば本発明は、患者の生物学的サンプルをヘパリンリアーゼI、N−スルファミニダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼまたは亜硝酸のようなエンセファロトキシン インアクチベーターと接触させることにより、患者のエンセファロトキシンの存在およびレベルをアッセイする方法を提供する。その後、インアクチベーターの存在下での阻害の量を測定した対照と比較する。対照と比べてエンセファロトキシンレベルが上昇した時、個体中にエンセファロトキシンの上昇が存在する。
【0048】
本発明は神経変性疾患または認知喪失の危険性を早期検出するための方法を提供し、これにより疾患の進行に早い介入を可能とする。以下の実施例は具体的説明のみであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0049】
エンセファロトキシンの精製
エンセファロトキシンは、HPLCシービング(sieving)クロマトグラフィー(ペンシルバニア州、モンゴメリーヴィレのトーソーバイオサイエンス(Tosoh Bioscience)からのTSK−GEL G2500PWXLカラム;7.8×300mm)により2M NaClで溶出して;アニオン交換HPLC(カリフォルニア州、サニーヴァレのディオネックス社(Dionex Corp)からの直列ProPacPA1カラム4×250mm)により2M NaClの直線勾配を180分間にわたり用いて;あるいは製造元のプロトコールを使用して吸着クロマトグラフィー(Oasis Cartridges、ウォーターズ(Waters))により脳脊髄液から単離した。
エンセファロトキシンの構造的特徴決定および不活性化
エンセファロトキシン(Aβ刺激化小膠細胞系BV2から有機抽出、ゲル濾過および順次のC18HPLCにより単離)の構造的特徴決定および不活性化は、種々の亜硝酸分解プロトコールにより行った。神経毒活性は、pH1.5の亜硝酸処理により排除したが、pH4.0での他の酸処理またはヒドラジン分解では排除されなかった(図1)。この結果は、エンセファロトキシンの内部構造が少なくとも1つのGlcNS残基を含むことを示した。エンセファロトキシンの化学構造は、ヘパリンまたは硫酸ヘパラン(HS)ポリマーを攻撃する高度に選択的な酵素を用いた処理によりさらに調査した。従来よりヘパリンリアーゼIは主にヘパリン含有GlcNS(1→4)IdoA2S配列に作用し、そしてHS上のヘパリンリアーゼIIIは主にGlcNA(1→4)IdoAまたはGlcNAc(1→4)GlcA配列に作用する。(一般に、これらの酵素は少なくとも4個の残基のオリゴマーを必要とする。)最後に、エンセファロトキシンは、2、3または6位のO−硫酸化部位(HSおよびヘパリンで見いだされる)に高度に選択的なスルファターゼ、ならびにN−硫酸化部位を分解するN−スルファミニダーゼで処理した(図1)。ヘパリンリアーゼIIIではなくヘパリンリアーゼI[GlcNS(1→4)IdoA2S]は、O−6SおよびGlcNSから基を除去するスルファターゼのようにエンセファロトキシンを不活性化した。さらに末端アミンを修飾するための化学的方法(アセチル化、PFPA修飾等)は、非置換GlcN残基のような末端アミンの存在を示唆する。したがってエンセファロトキシンは、GlcNS、IdoA2S、GlcN残基にO−結合硫酸化を6位に含む少なくとも4残基のヘパリン様オリゴ糖を含む。
【0050】
神経毒の分子量は、300から3000ダルトンの直線ふるい範囲(linear sieving range)を有するTSK−GW2500PXLを使用して見積もった。市販されているヘパランオリゴマーを標準として使用した。確実なADに由来するCSFサンプル(100ul)は、約700から1900ダルトンのサイズの低い分子量範囲を有する神経毒活性の弱いピークおよび主要ピークを示した。これらの予想される分子量は、約4〜8残基長のオリゴ糖を示唆した(図2)。
神経毒バイオアッセイ
ラットの海馬から調製した培養したニューロンを、毒性試験に使用した。これらのカルチャーは小膠細胞(5〜10%)が混ざった大膠細胞(>70%)床の上にプロセスが生成した(process−bearing)ニューロン(全細胞群の10〜20%)から成る。小膠細胞を排除するために、カルチャーは10μg/mlのアセチル化LDLに18時間結合したサポリンに暴露した。72時間の終わりに、カルチャーを3%パラホルムアルデヒドで室温にて12時間固定し、そして抗−ニューロフィラメント抗体(SMI−311、1:150;RT−97、1:150;スターンバーガーモノクローナル社(Sternberger Monoclonals,Inc.;)に抗−MAP−2(1:200;ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)、184959;)を加えた混合物と、4℃で2%のウマ血清および0.3%のTritonX−100の存在下で一晩インキュベーションすることにより免疫染色して、ニューロン細胞体と神経突起とを線引きした。場あたりの免疫標識した細胞は蛍光顕微鏡を200Xの倍率で使用して数えた。殺ニューロンは、それぞれ3枚カバースリップに関して、少なくとも8つの無作為に選択した場を数えた後、平行の未処理対照カルチャーで発現した%平均生存として表した。
【0051】
1mlのCSFは吸着クロマトグラフィーにより分画し、真空下で乾燥させ、そしてNaClのような電解質およびグルコースを含んでなる人工CSFに再構成した。分画した毒素の量を増して(元のサンプル容量の0.1〜500ulの等量範囲)、3連のカルチャーに加えた。結果は容量対%殺ニューロンとしてプロットした(殺しは、未処理対照カルチャーに対して、免疫染色された海馬ニューロンの損失%として算出した)。例えばヘパリンリアーゼI、N−スルファミニダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼまたは亜硝酸処理による不活性化は、試験した各CSFサンプルに関するエンセファロトキシンの存在を確認するために使用した。図3に示すように、ADに関する高レベルの毒素(左にシフトした曲線)、MCIに関する中間レべル(右にシフトした曲線)、および毒素無し(平らな線)のプロファイルを、疾患対照から採取したサンプルについて特記した。異なる群を比較するために、CSF神経毒性指数を開発して、神経毒のレベルを反映するスコアを割り当てた。この指数はED50として算出した(殺ニューロンの最大レベルの50%を生じる同等のCSF容量)。この測定を使用して、高い神経毒レベルは低い指数スコアを有し;例えば高いトキシン濃度は約1の低い指数スコア、約5〜100で中間レベル、そして正常な年配の人は1000の値を示す。
エンセファロトキシンの化学アッセイ
エンセファロトキシンを検出するためのアニオン−交換HPLC条件を確立した(0.0−0.7m NaCl勾配;ProPAK PA−1カラム;232nm UVモニタリング)。小膠細胞系BV2はヒトAβ1−42に48時間暴露し、そしてコンディショニングした培地を吸着クロマトグラフィーにより分画した。232nmで検出した3つのピークに対応する3つの生物学的に活性なピーク(ピーク38、48および53)を回収した(図4A)。3つすべてのピークが亜硝酸pH1.5およびヘパリンリアーゼIに感受性であった(データは示さず)。重要なことは、これらいずれのピークも非刺激BV2細胞の対照カルチャーからは回収されなかった(図4B)。
神経変性疾患のCSFバイオマーカーとしてのエンセファロトキシン
急な剖検例に由来する脳室CSFを使用して、エンセファロトキシンはAD症例(病理学的に確認)に由来するすべてのCSFに高濃度で存在するが、年齢が合った正常またはALSの例には存在しないことが測定された(図5)。重要なことは、確実なADと臨床診断された個体から採取した腰椎のCSFも、0.1から5μlの間のED50として測定された大変高いエンセファロトキシン濃度を有する顕著なパターンを示したことであった。
【0052】
調査プロトコールを確立して、認知障害がある年配の個体からだけでなく、我々の病院の神経学者により見られる他の群に由来するサンプルも評価した。後者の群は種々の診断カテゴリーからなり、最大の群は頭痛の異型(headache variants)、多発性硬化症または非AD痴呆(血管型、外傷型)に罹患していた。[これら後者の群に関する神経毒アッセイは、別の臨床的徴候について得たCSFの残りのアリコートについて、個体の同意を得て行った。]このような離れた個体から得たデータは、確実なADであるすべての患者が、等量CSF容量について0.5から15μlの範囲のED50を有する高レベルの神経毒を有することを示す(より低いED50容量は、より高い毒素濃度を示すことに注意されたい);MCIの年配の個体は50から200μlの間のED50を有した。等級に関するノンパラメトリックのクラスカル−ウォリスの1元ANOVAは、神経毒レベルが試験した疾患群で有意に異なる(ED50により測定した時)ことを示した(確実なAD、MCI、非AD痴呆、頭痛およびMS;P=0.000001) 。クラスカル−ウォリスの多重比較試験は、ADおよびMCIの両方の神経毒レベルがMS、頭痛または非AD痴呆で見いだされるレベルよりも有意に大きいことを示した(すべての比較についてp<0.02)。
【0053】
全体としてこれらの考察は、幾つかの重要な傾向を明らかにした。第1に、確実なADの患者は最高の毒素濃度を有し、AD解剖例に由来する脳室CSFに類似する狭い範囲内に落ちた。第2に、非炎症性メカニズムに続く重篤な認知障害または痴呆は(血管型、外傷型)、CSF中に検出可能な量のエンセファロトキシンを示さなかった。[神経毒は脳卒中または外傷後に急に傷害を受けた組織に見いだすことができるが、これらの神経毒レベルは急性の炎症応答が消えれば消える(約3〜7日の損傷後;Giulian et al.,(1990)Ann.Neurol.,27:33−42;Giulian et al.,(1993)Stroke,24:84−93;Giulian,(1993)Glia,7:102−110)]。そして第3に、MCI個体は有意な量のエンセファロトキシンを示す傾向があるようだが、それはAD CSFに見られる全毒性活性のわずか1/10〜1/100ほどであった(図5)。
【0054】
エンセファロトキシンに関係するオリゴ糖がヒトCSFにも見いだされるのかどうかを決定するために、エンセファロトキシンを吸着クロマトグラフィーによりCSFから単離し、そして小膠細胞培養基に使用したものと同じヘパリンリアーゼ、亜硝酸処理、そしてスルファターゼで処理した。AD例に由来する脳室CSFおよび確実なAD個体に由来する腰椎CSFは、同じ不活性化プロファイルを示し(図1)、ヒト疾患中のエンセファロトキシンがヘパリン様オリゴマーを含むことを示した。そのような神経毒性オリゴ糖の存在の確認は、アニオン交換HPLCから生じ、小膠細胞エンセファロトキシン画分から回収された神経毒性ピーク38の存在を示した。アニオン交換プロファイルによる、ADおよびMCIに由来するCSFサンプル間に類似性があり(ピーク38および48)、小膠細胞カルチャーで記録されるように(図4)、さらにMCI群にはピーク53があった(図6)。
【0055】
確定的なAD例の脳室の脳脊髄液に関するHPLCプロファイルは、確定的なADの有志(図7B)、およびHADの有志(図7C)に由来する腰椎液サンプルとほぼ同一であった。ヘパリンリアーゼIおよびN−スルファミニダーゼによる酵素的処理は、これらすべての神経毒性ピークを排除した。アニオン交換HPLCにより回収された殺ニューロン活性は、、ヘパリンリアーゼII(図7B)、プロテアーゼまたはヘパリンリアーゼIII処置(データは示さず)に対して感受性が無かった。
【0056】
神経学的障害における神経毒生産の広がりを調査するために、種々の疾患群に由来する個体の脳精髄液を調査した。CSF神経毒性指数スコアとして表される神経毒濃度[標準化されたラットの海馬カルチャーアッセイにおいて、総ニューロン殺効果の50%を達成するCSFの等容量として表す]は、確定的なADの患者のみ(死後の診断;n=7)またはHIV−1感染(n=52)が、CSF神経毒の検出可能なレベルを有したことを示す(図8A)。多発性硬化症(MS;n=20)、筋委縮性側索硬化症(ALS;n=8)またはニューロパシー(n=14)のような慢性の反応性免疫応答を誘導することができる神経障害は、CSF神経毒が無かった。同様に精神的な病気(n=5)、頭痛(n=6)または種々の他の神経疾患(n=21;真菌の髄膜炎および神経梅毒を含む)を有する個体には、検出できる神経毒が無い。最後に日常的に脊髄撮影を行っている有志(n=20)に由来するCSFサンプルは、神経毒活性を含まなかった。
【0057】
確定的ADの症例におけるCSFに関する神経毒指数値は1から10の範囲であったが、HIV(+)群に関してはさらに広い分布が見られた(0.1〜1000)。HIV−1(+)コホートに関して神経毒の広い分布を調査するために、徹底的な医学的、神経学的および神経精神学的評価を受けたHIV−1(+)有志に由来する7つの暗号化された(coded)腰椎CSFサンプルを、国立神経−AIDS組織協会(National Neuro−AIDS Tissue Consortium)のテキサス支部を通して得た(Morello et al.(2001)Neuropath.Appl.Neurobiol.,27:326−335)。神経毒は認知機能不全(n=4)の個体で検出されるが、正常な認知を有する患者には検出されない(n=3;フィッシャーの精密試験(Fisher’s Exact Test)、p=0.028)。低いCSF神経毒指数スコアは、HADのHIV(+)個体で検出された(0.1〜4.0の範囲);高い指数スコアは、認知障害がほとんど無いか、または無いHIV(+)個体で検出された(すべて>200);そして中程度の指数スコアは、軽度の認知−運動障害と同定されたHIV(+)個体に関連した(1.0〜21.0)(MCMD:アメリカ神経生物学学会のワーキンググループ、AIDSタスクフォース(1992)Neurology,41:778;図8B)。指数値に関するMCMD(中央値7.3;平均+/−SE、9.0+/−2.7;n=8)とHAD(0.1中央値;0.8+/−0.3;n=14)との間の有意差は、高い信頼レベルを示す(p=0.0001;クラスカル ウォリス)。MCMD群を含むHIV−1(+)個体と、認知障害が無い個体(中央値1000.0;平均900+/−99.7μl;n=8)との間の分離も有意である(p=0.001)。CNSに対するHIV損傷の程度はCSF神経毒のレベルを反映し、認知障害、脳の病理段階およびニューロン毒素の生産との間の原因となる関連を意味している。
【0058】
神経毒レベルが加齢群における認知低下も反映するのかどうかを決定するために、CSFを健忘型の軽度認知障害がある年配の有志から得た(MCI;客観的な記憶欠失、しかし痴呆ではない:Bischkopf et al.(2002)Acta Psychiatr.Scand,106:403−414;n=6)、障害のある記憶の状態はADの初期段階を反映すると考えられた(Dekosky et al.(2003)Science,302:830)。対照として役立つ年配の有志(>70歳であり、記憶病訴が無い;n=8)に対するMCI患者の比較は、群間に顕著な差異を示した(図8C)。MCIに関する神経毒指数スコアは約7〜20の範囲であり(中央値10.0;平均11.5+/−1.6;n=6)、そして年配の対照について測定された値はより意に低い(すべて>1000;n=8;クラスカル ウォリス:p=0.0005)。確実な定AD(臨床基準により定められた)の有志に関する指数スコアは、0.1〜10(中央値1.7、平均3.0+/−0.8;n=21)の値の範囲を示す。確実なADおよびMCI値も有意に異なり(p=0.0111;クラスカル ウォリス)、CSFエンセファロトキシンのレベルと、認知機能不全の元にある脳の病理段階との間の関連性をさらに証明する。重要であるのは、外傷、アルコール依存症または血管損傷から派生するような、慢性の脳の炎症が無い他の痴呆形態は、検出可能なCSF神経毒がほとんど無いか、または無い(中央値1000;平均933:0+/−66.6;n=12)。これらの考察は、確定的AD(図8A)および血管型痴呆(図8A)の剖検で確認された症例で見い出されるCSFエンセファロトキシン値と一致する。
【0059】
CSF神経毒濃度に従い群を分類するために、判別式分析をHIV(+)個体に関する3つの診断カテゴリーおよび年配者に関する3つの診断カテゴリーに適用した。表1から分かるように、CSF神経毒指数は、MCMD(1−100)またはHAD(<1)の群の中からどのHIV(+)有志が認知における障害がほとんど無いか、または無いかを正確に予測する(カット−オフ>100)。同様に指数はMCIまたはADの年配者から非アルツハイマーの痴呆(カット−オフ>100)の個体を正しく分離する。また100より大きいカット−オフ値は、記憶の病訴が無い年配者を100%の精度で予測する。
【0060】
【表1】

【0061】
疾患病状の進行に関するバイオマーカーとしてのCSFエンセファロトキシン
164名の個体に由来するデータは、AD患者のすべてがCSF中に高レベルの神経毒を有し、等量のCSF容量について0.5〜15μlの範囲のED50であることを示した。軽度の認知障害の年配の個体は、50から200μlの間のレベルを有した。神経変性疾患を含む種々の他の神経障害がある個体には、検出可能な毒性がなく(ED50>1000μl);血管および外傷後の非AD型痴呆にも毒性活性が無かった。HIV−1(+)個体は、広範囲の毒素濃度を示した(0.6μlから1000μlより高い範囲のED50)。
【0062】
40名のHIV−1(+)個体に由来するCSFを調査した。毒性のレベルは認知障害の程度と関連した。例えば正常な認知のHIV−1(+)個体はED50>1000μlを示したが、中程度から重度の認知欠失の個体は、確定した痴呆のAD個体に見いだされる範囲に類似する0.6〜5μlの神経毒レベルを生産した。軽度から中程度の認知障害のHIV−1(+)個体は、10〜300μlの範囲のED50を有するCSF神経毒のレベルを中間に有した。
【0063】
種々の診断群における神経毒指数を測定し、そして確定的AD(n=7;死後に得た脳室CSFを使用した神経病理学的診断により定めた)と比較した。図8Aに示すように、ADと測定可能な毒素を欠く他の診断カテゴリーとの間に顕著な差異があり(1000の指数スコア)、これは広い群にわたる神経毒性指数の値を証明する。さらに図9に示すように、CSFのエンセファロトキシンレベルは、MCI(解剖的特徴)または確実なAD群(NINCDS−ADRDA診断基準を使用して)と比べた時、記憶の病訴が無い年配、または非AD型痴呆(血管型、外傷後型、神経梅毒型)の間で明らかに異なる。判別式分析(表1B)は、ADについて4未満、そしてMCIについて4〜100のカット−オフ神経毒性指数値を確立し、他の群に対するMCIまたは確実なADに関する毒の等級に基づき、診断を正しく振り分ける能力を提供する。元の病理学的プロセスは、個体が前兆段階から軽度障害へ移行すると進行し(MCIでは、標準化記憶試験の標準より下に1.5SD落ちる)、次いで痴呆がより進んだ段階へ移行する(ADでは、記憶および少なくとも1つの他の領域で、標準より下に2SD落ちる)。有意な記憶喪失前の疾患の初期段階(MCIの診断前の段階)には、CSFエンセファロトキシンの存在により検出可能なニューロン傷害免疫カスケードが関与する。この無症状の段階は、AD病理の前駆症状期である。
【0064】
トキシンレベルと疾患の進行の臨床的発現との間の相関が解明された。CSFのエンセファロトキシンを有するMCIおよび軽度AD個体(MMSE>20;CDR<1)は、詳細な神経−認知バッテリーにかけられた。単純な線形回帰分析を行って、主要な認知領域を表す標準化された試験組からTスコアを用いて神経毒性指数の値を比較した。(TスコアはSDとして10を用いて50に標準化された;生のスコアは年齢、性別、民族および教育レベルについて調整する)。表2に示すように、より高い有意な相関が指数スコアと異常な記憶との間に存在し;すなわち、より高濃度の毒素が、より大きな記憶欠損の個体に見いだされるが、他の認知領域(抽象、言語、処理スピード)には見いだされない。
【0065】
【表2】

【0066】
表3は、HIV−1(+)有志(n=33)での特異的認知検査に関するCSF神経毒指数値およびTスコアを比較する。信頼レベルは直線回帰分析に基づき、そして注意/情報処理および学習/記憶の領域での認知欠損は、CSFのエンセファロトキシン量に緊密に相関するが、言語および運動機能には相関しないことを示す。分析に先立ち、神経毒性指数はデータがおよその正規分布になるように対数変換された。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
小膠細胞の抑制剤がCSFのエンセファロトキシンレベルに及ぼす効果の調査
薬剤処置および疾患の進行を監視するためのバイオマーカーとしてのエンセファロトキシンの使用は、6週間の二重盲検無作為化試験で調査し、CSF中のエンセファロトキシンレベルの変化として1次終点を用いてプラセボに対する幾つかの薬剤を比較した。群の割り当てを隠したにもかかわらず、図10の代表的データにより示されるような顕著なパターンが同定された。暗号化された薬剤を受けた幾人かの個体が、約10倍まで毒性レベルの減少を示したが、そのような減少は個体を正常な年配者で見られる指数スコアの範囲にシフトさせなかった(すなわち、指数スコアは100のMCIカット−オフ値未満に留まった)。これらのデータは、この試験に使用した活性薬剤のいずれも完全な神経保護を提供するために十分に投与されなかったことを示唆した。有意に異常なエンセファロトキシン濃度の持続は、単一の薬剤試験ではADの臨床経過を改変させないようである。
【0070】
2次的な終点を使用して、培養した血液の単核細胞にAβが誘導する毒性を薬剤処置が減少させる能力を評価した。動物実験では、血液の単核食細胞がAβに対する脳の小膠細胞の応答を反映することが分かった。したがって薬剤処置前に、登録した個体でベースラインの毒性基準を有する血液の単核細胞のカルチャーにおける薬剤応答を、実体を隠した単一薬剤試験に登録した後に調査した。Aβが誘導する毒性の基準を有する76の単核細胞サンプルの実験は、以下を示した:
1)場合により単一薬剤(実体を隠した)は、血液単核細胞のAβ活性化を完全に抑制する;
2)血液の単核細胞を抑制する単一薬剤は、CSFのエンセファロトキシンレベルの部分的阻害のみを示す;
3)薬剤抑制の証拠が無い個体に由来する血液単核細胞を使用したex vivo実験は、1/10用量でDAP/HCQの組み合わせに対してすばらしい感受性を示した。
【0071】
本明細書に引用または記載した各特許、特許出願および刊行物は、参考文献により全部、本明細書に編入する。
【0072】
本明細書に示し、そして記載するものに加えて、本発明の種々の修飾は、前述の説明から当業者に明白であろう。そのような修飾も特許請求の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】硫酸ヘパリンおよびヘパリンに特異的な種々の方法によるエンセファロトキシンの不活性化を具体的に説明する。図1Aに示すように、BV2小膠細胞により放出されるエンセファロトキシンは、亜硝酸pH1.5により、ヘパリンリアーゼI(E.C.4.2.2.7)により、O−6で分解するスルファターゼおよびN−硫酸化グルコサミン(GlcNS)(グルコサミン−6−スルファターゼ(E.C.3.1.6.14)およびN−スルファミニダーゼ(E.C.3.10.11))から不活性化された。図1Bに示すように、AD脳の脳室のCSF中に見いだされるエンセファロトキシンは、亜硝酸pH1.5により、ヘパリンリアーゼIにより、およびO−6で分解するスルファターゼにより、およびGlcNSから不活性化された。図1Cに示すように、AD患者の腰椎CSFから回収されたエンセファロトキシンは、亜硝酸pH1.5により、ヘパリンリアーゼIにより、およびO−6で分解するスルファターゼにより、およびGlcNSから不活性化された。
【図2】300〜3000ダルトンの直線ふるい範囲を持つTSK−GW2500PXLを使用して、エンセファロトキシンの分子量測定を具体的に説明する。市販されているヘパランオリゴマーを標準として使用した。確実なADに由来するCSFサンプル(100μl)は、約700〜1,900ダルトンのサイズの範囲である神経毒性の小さいピークおよび主要ピークを示した。これらの推定上の分子量は、エンセファロトキシンの少なくとも幾つかの形態が約4〜8個のサッカリド残基を含んでなることを示唆している。
【図3】確実なAD、MCIおよび正常な年配者から単離したエンセファロトキシンに関する用量応答曲線を示す。より大きな認知障害の個体に、上昇した量の毒素が見い出される。
【図4】図4Aは、Aβ1−42で刺激した小膠細胞BV2細胞に由来するエンセファロトキシンのアニオン交換HPLC(ProPAK PA1、0.0〜0.7M NaCl、UV@232nm)分離の結果を示す。エンセファロトキシンに対応する3つのピーク(ピーク38、48および53)が検出された。ピーク38、48および53のエンセファロトキシンは、1)ヘパリンリアーゼIに感受性、2)亜硝酸pH1.5に感受性、そして3)海馬ニューロンに毒性であった(データは示さず)。図4Bに示すように、これらの幾つかのピークは、Aβ1−42に暴露されなかった対照BV2細胞から回収したコンディション培地では不存在であった。
【図5】図5Aは、剖検例から回収した脳室および腰椎CSF中のエンセファロトキシンの存在を具体的に説明する。図5Bは、生きている個体の剖検例から回収した脳室および腰椎CSF中のエンセファロトキシンの存在を具体的に説明する。データは、培養した海馬ニューロンの死を誘導するために必要なCSF容量で表す。用量応答曲線で示すように(図5A)、確定的AD(剖検により確認された診断)の個体に見られるように、小容量の高トキシン濃度は曲線を左にシフトする。これらのデータはED50としても表すことができる(50%の最大の殺しを与えるために必要なCSF容量)。図5Bに示すように、類似のパターンは小さいED50(0.1〜10μl)を有する確実なAD(臨床診断)の患者、続いて中程度の値(10〜200μl)を持つMCI群の患者で見い出された。重要なのは、種々の他の診断群が、検出可能なエンセファロトキシンを示さなかったことであった(ED50>1000μl)。
【図6】アニオン交換HPLCにおいて、AD(パネルA、B)およびMCI(C)はCSF中にピーク38、48および53を示すが、正常な年配者の対照(D)では示さない。これらのピークはヘパリンリアーゼIに感受性であった(データは示さず)。図6Eに示すように、これらHPLC画分のバイオアッセイで、同じピークが神経毒性であることを確認する。
【図7】アニオン交換HPLC(90分間にわたり0〜2.0MのNaClの直線勾配)で、神経毒活性の3つの別れたピークが、確定的AD(図7A)、確実なAD(図7B)およびHAD(図7C)からのCSFの100μlに見いだされることを示す。毒性活性は血管型痴呆から回収されない(図7A)。ヘパリンリアーゼIIではなく、ヘパリンリアーゼIおよびN−スルファミニダーゼがすべての毒性ピークを排除する。
【図8】種々の神経障害に由来する脳脊髄液(CSF)サンプルから、CSF神経毒性指数[標準化ラット海馬ニューロンカルチャーアッセイに及ぼす総殺効果の50%を達成するための等量CSF容量の値として算出]を具体的に説明する。図8Aに示すように、確定的なアルツハイマー病(AD)およびHIV−感染からのサンプルはエンセファロトキシンを含む。日常的な腰椎ミエログラム(ミエログラム)中に得られた脳脊髄液は、記憶病訴がない個体に由来した。ニューロパシーは頭または末梢神経障害の患者を指し、一方、精神医学的診断の患者に神経疾患の証拠は無かった。他の神経学的疾患には、真菌髄膜炎、神経梅毒、多発性硬化症(MS)、および筋委縮側軸硬化症(ALS)を含む。図8BはCSF指数スコアを、認知喪失が無いHIV−1(+)の有志、軽度の認知運動機能不全(MCMD)またはHADと比較する。有意な差異はMCMDとHAD間に存在し、ここでもより多の毒素が認知障害のより大きな程度に関連するパターンを支持している。図8Cは認知喪失がない年配の有志に関するCSF指数スコアを、MCI、確実なADまたは非AD痴呆(外傷、血管またはエタノール損傷により生じた)と比較する。MCIは他の形態の痴呆より高いエンセファロトキシンの一貫した、しかも有意に上昇したレベルを示す。棒は中央値を示す。図8Dは、ゆっくりした聴覚による連続足し算検査(PASAT、情報処理の感度のある測定)について、神経毒性指数値対Tスコアを比較する。示すように、有意な直線関係がCSF神経毒性指数とこの認知測定との間に存在する(n=26;p<0.0001;相関係数=0.74)。
【図9】年配の個体からのCSFのCSF神経毒性指数スコアの比較を示す。確実なADおよびMCIは、分布値が重複する有意な毒性レベルを示す。CSF神経毒レベルは、年齢が共通する他のカテゴリーからAD病状を明らかに分離する。
【図10】CSFエンセファロトキシンレベルに及ぼす薬剤効果の2例を示す。単一薬剤処置(薬剤の実態は暗号化されたままである)は、6週間の試験後に毒素の完全な抑制を提供できなかった(すなわち、表1に特記されるように、100より大きな正常範囲に指数スコアをシフトした)。対照的に、6週間のDAP/HCQは今日まで試験したすべての個体において毒素生産の完全な阻害を提供した(5の5)。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンを検出することを含んでなる、個体の神経疾患または認知喪失の危険性を診断する方法であって、該検出が該個体の生物学的サンプルをニューロンに、エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下および不存在下の両方で接触させ、そして該エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのニューロンの生存に関して該エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でのニューロンの生存を比較し、該エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのニューロンの生存の減少は、該神経疾患の指標となり、エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖であり;該エンセファロトキシンはペプチド結合を欠き;そして該エンセファロトキシンは約2000ダルトン未満の分子量を有し;エンセファロトキシン インアクチベーターはヘパリンリアーゼI、N−スルファミニダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼまたは亜硝酸溶液である、上記方法。
【請求項2】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記生物学的サンプルが、脳脊髄液、脊髄組織または脳組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記個体がヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記個体がヒトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記亜硝酸溶液が約1.5のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ニューロンの生存を比較する上記工程が、上記エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのエンセファロトキシンのED50に対して、上記エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下での上記エンセファロトキシンのED50を比較することを含んでなり、ここで該エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下でのエンセファロトキシンのED50に比べて該エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下でのエンセファロトキシンの低いED50は、該神経疾患の指標となる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
個体の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンを検出することを含んでなる、個体の神経疾患または認知喪失の危険性を診断する方法であって、該検出工程が該エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下での該生物学的サンプル中の光吸収に対して、該エンセファロトキシン インアクチベーターの存在下での該生物学的サンプル中の光吸収を比較することを含んでなり、該エンセファロトキシン インアクチベーターの不存在下での吸収の上昇は該神経疾患の指標となり、エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖であり、ペプチド結合を欠き、そして約2000ダルトン未満の分子量を有する上記方法。
【請求項10】
上記光の吸収が232ナノメートルの波長で測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エンセファロトキシン インアクチベーターが、ヘパリンリアーゼI、N−スルファミニダーゼ、グルコサミン−6−スルファターゼまたは亜硝酸溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
上記亜硝酸溶液が約1.5のpHを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
個体の第1および第2の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンレベルを比較することを含んでなる、個体の神経疾患の処置を監視する方法であって、該第1の生物学的サンプルは第2の生物学的サンプルよりも早い時点で該個体から採取され、該第2の生物学的サンプルは該神経障害の処置後に該個体から採取され、そして該エンセファロトキシンレベルは該生物学的サンプルの光吸収により測定され、該第2の生物学的サンプルの上昇した吸収は、該神経疾患の進行の指標となり、エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖であり;該エンセファロトキシンはペプチド結合を欠き;そして該エンセファロトキシンは約2000ダルトン未満の分子量を有する上記方法。
【請求項18】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
上記の光吸収が232ナノメートルの波長で測定される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
上記第1の生物学的サンプルが、上記神経疾患の処置後に上記個体から採取される請求項17に記載の方法。
【請求項22】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
上記個体がヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類である、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
上記個体がヒトである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することを含んでなる、個体の神経疾患の進行を監視する方法であって、該検出工程が該個体の第2の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンの光吸収に対して、該個体の第1の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンの上昇した光吸収を測定することを含んでなり、該第2の生物学的サンプルは該第1の生物学的サンプル前に該患者から採取され、そしてエンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖を含んでなり、ペプチド結合を欠き、そして約2000ダルトン未満の分子量を有し、該上昇した光吸収は該神経疾患の進行の指標となる上記方法。
【請求項26】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記の光吸収が232ナノメートルの波長で測定される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
個体のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することを含んでなる、個体の神経疾患の進行を監視する方法であって、該検出工程が該個体の第1の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、該個体の第2の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、そして該第2の生物学的サンプルの存在下で減少したニューロンの生存を検出することを含んでなり、該第2の生物学的サンプルは該第1の生物学的サンプルよりも後の時点に採取され;該エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖を含んでなり、ペプチド結合を欠き;そして約2000ダルトン未満の分子量を有し、そして該減少したニューロンの生存は該神経疾患の進行の指標となる上記方法。
【請求項31】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
上記生物学的サンプルが、脳脊髄液、脊髄組織または脳組織である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
上記個体がヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
上記個体がヒトである、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
上記生物学的サンプルの1つが上記神経疾患の前徴症状期に採取される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
上記の減少したニューロンの生存が、上記の第1の生物学的サンプルのED50を第2の生物学的サンプルのED50と比較することにより検出され、第1の生物学的サンプルのED50に比べて第2の生物学的サンプルの低いED50は、上記神経疾患の進行の指標となる請求項30に記載の方法。
【請求項39】
個体の生物学的サンプル中のエンセファロトキシンレベルの上昇を経時的に検出することを含んでなる、個体の神経疾患の処置を監視する方法であって、該検出工程が該個体の第1の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、該個体の第2の生物学的サンプルをニューロンと接触させ、そして第2の該生物学的サンプルの存在下で減少したニューロンの生存を検出することを含んでなり、該第2の生物学的サンプルは該第1の生物学的サンプルよりも後の時点でかつ該神経疾患の処置後に採取され;該エンセファロトキシンはN−硫酸化およびO6−硫酸化を有する少なくとも1つのグルコサミンを含んでなるオリゴ糖を含んでなり、ペプチド結合を欠き、そして約2000ダルトン未満の分子量を有し;そして該減少したニューロンの生存は該神経疾患の進行の指標となる上記方法。
【請求項40】
上記神経疾患が、HIV−1関連痴呆(HAD)、神経−AIDS、クロイツフェルト−ヤコブ病、軽度認知障害、プリオン疾患、軽度認知/運動機能不全、急性脳卒中、急性外傷またはアルツハイマー病(AD)である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記エンセファロトキシンが約700〜約1900ダルトンの分子量を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
上記エンセファロトキシンが4〜8個のサッカリド単位を含んでなる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
上記生物学的サンプルが、脳脊髄液、脊髄組織または脳組織である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
上記個体がヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
上記個体がヒトである、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
上記のニューロンの生存の減少が、上記第1の生物学的サンプルのED50を第2の生物学的サンプルのED50と比較することにより検出され、第1の生物学的サンプル中のED50に比べて第2の生物学的サンプルの低いED50は、該神経疾患の進行の指標となる請求項39に記載の方法。
【請求項47】
上記生物学的サンプルが、脳脊髄液、脳組織または脊髄組織を含んでなる、請求項9、17または25に記載の方法。
【請求項48】
上記個体がヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタまたは齧歯類である、請求項9または25に記載の方法。
【請求項49】
上記個体がヒトである、請求項48に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−524353(P2007−524353A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503068(P2006−503068)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/002236
【国際公開番号】WO2004/066943
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505283197)ベイラー・カレツジ・オブ・メデイシン (2)
【Fターム(参考)】