説明

エンドポイント均一蛍光検出を用いた好熱性ヘリカーゼ依存性増幅技術

ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅する方法が、本明細書に開示される。また、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅および検出する方法、ならびに検出を補助するための修飾された検出標識も開示される。また、本発明は、修飾されたTaqManプローブ(およびこのプローブを用いる方法)も提供する。ここで、プローブは、5’または3’末端と相補的な短尾3’または5’末端を有し、ここでTaqManプローブは、この短尾を除いて標的核酸と相補的であり、短尾配列は、ステムループ構造を形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれ、2009年1月27日、2009年5月22日、および2010年1月8日に出願された米国仮出願第61/147,623号、第61/180,212号、および第61/293,369号に対する優先権を主張し、それらは全て参照によりその全体がこれによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)は、ヘリカーゼを利用して2本鎖DNAをほどき、熱サイクルを不要にする等温増幅技術である。tHDAは、真の等温DNA増幅法であり、PCRに類似した単純な反応スキームを有する。現在のtHDAは、UvrDヘリカーゼおよびGst DNAポリメラーゼを用い、百万倍超の増幅を達成することができる。しかしながら、tHDAシステムの性能は、tHDAが依然として、以下の幾つかの主な限界を有するため、さらに改善され得る:プライマー設計についての確立されたアルゴリズムが存在しないこと、プライマー−二量体形成が、PCRよりもtHDAにおいて、より顕著であること、アンプリコンキャリオーバーに対する保護が、未だに開発されていないこと、多重化がUvrD tHDAシステムにより限定されること、tHDAが、長い標的配列を増幅するのに非効率的であること、および「ホットスタート」tHDAが、現在のところ有効でないこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅する方法が、本明細書に開示される。また、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅および検出する方法、ならびに検出を補助するための修飾された検出標識も開示される。
【0004】
本発明は、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅する方法を提供し、この方法は、
(a)増幅対象の標的核酸を提供するステップであって、標的核酸は、2本鎖であり、ステップ(b)の前に、50mM NaOHの存在下で、65℃で10分間加熱することによって変性される、ステップと、
(b)ステップ(a)の標的核酸とハイブリッド形成するためのオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップと、
(c)二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、テンプレートと相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、
(d)ステップ(c)の二重鎖を、二重鎖をほどくためのヘリカーゼ調製物と接触させて、ヘリカーゼ調製物が、ヘリカーゼと、ヘリカーゼ調製物が1本鎖結合タンパク質が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、1本鎖結合タンパク質(SSB)とを含むようにするステップと、
(e)ヘリカーゼ依存性反応において、標的核酸を指数関数的および選択的に増幅するために、ステップ(b)(d)を反復するステップと、を含む。
【0005】
また、本発明は、標的核酸が、RNAプローブおよびRNA−DNAハイブリッド捕捉抗体を伴う「前」ステップに供されるヘリカーゼ依存性反応において、標的核酸を増幅する方法を提供する。この方法は、
(a)増幅対象の標的核酸を提供するステップであって、標的核酸は、1本鎖DNAであり、相補的なRNAプローブは、DNAに結合して標的核酸RNA−DNAハイブリッドを形成するために、1本鎖DNAに添加され、磁気ビーズに結合されたRNA−DNAハイブリッドを認識するハイブリッド捕捉抗体は、ステップ(b)で使用されるRNA−DNAハイブリッドに添加される、ステップと、
(b)ステップ(a)の標的核酸RNA−DNAハイブリッドとハイブリッド形成するためのオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップと、
(c)二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、テンプレートと相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、
(d)ステップ(c)の二重鎖を、二重鎖をほどくためのヘリカーゼ調製物と接触させて、ヘリカーゼ調製物が、ヘリカーゼと、ヘリカーゼ調製物が1本鎖結合タンパク質が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、1本鎖結合タンパク質(SSB)とを含むようにするステップと、
(e)ヘリカーゼ依存性反応において、標的核酸を指数関数的および選択的に増幅するために、ステップ(b)〜(d)を反復するステップと、を含む。
【0006】
また、本発明は、修飾されたTaqManプローブ(およびこのプローブを用いる方法)を提供する。プローブは、5’または3’末端と相補的な短尾3’または5’末端を有し、ここでTaqManプローブは、この短尾を除いて標的核酸と相補的であり、短尾配列は、ステムループ構造を形成する。
【0007】
また、本発明は、検定を改善するために特定の添加物が使用される修飾を提供する。添加物は、DMSO、ベタイン、ソルビトール、硫酸デキストラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0008】
開示の方法および組成物のさらなる利点は、次に続く説明で部分的に示され、説明から部分的に理解されるか、または開示の方法および組成物の実践によって理解されよう。開示の方法および組成物の利点は、添付の特許請求で具体的に指摘される要素および組み合わせを用いて、実現および達成されるであろう。上述の一般的説明および次の詳細な説明の双方が、例示および説明するものにすぎず、特許請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】Luminex検出を用いたCt/NG tHDA検定におけるアルカリ標的変性を示す、実施例1aの結果を提示する。
【図2】エンドポイント検出でのTaqManプローブを用いたNG1/NG2 tHDA検定におけるアルカリ標的変性を示す、実施例1bの結果を提示する。
【図3】TaqManプローブを用いたNG1/NG2リアルタイムtHDA検定におけるアルカリ標的変性を示す、実施例1cの結果を示す。
【図4】Luminex検出を用いたCTハイブリッド捕捉tHDA検定の実施例2aの結果を提示する。
【図5】実施例2bの結果を提示する。
【図6】実施例2cの結果−EvaGreen Dyeを用いた検出を提示する。
【図7】実施例2cの結果−TaqManプローブを用いた検出を提示する。
【図8】実施例4aの結果−特定の添加物の効果の比較を提示する。
【図9】実施例4bの結果−特定の添加物の効果の比較を提示する。
【図10】実施例4cの結果−−特定の添加物の効果の比較を提示する。
【図11】tHDAによるアンプリコン産生の分析および確認を提示する。棒グラフは、典型的な4つの標的多重(4重)から収集されたS/Nデータを示す。双方のCTアンプリコンは、検定を簡略化するために検出に使用される1つのフルオロフォアを有するように最適化されている。
【図12】tHDAによるアンプリコン産生の分析および確認を提示する。融解分析は、4つのアンプリコン全てが存在することを示す。
【図13】tHDAによるアンプリコン産生の分析および確認を提示する。ゲル分析は、所望の増幅された産物の存在を確認する。
【図14】tHDAによるアンプリコン産生の分析および確認を提示する。4重のリアルタイム分析は、4つのアンプリコンの検出を示す(それらのうちの2つは、同一のフルオロフォアを共有する:緑=内部対照、青=CT潜在プラスミド標的/CTゲノム標的、赤=NG標的)。
【図15】HADの図表を提示する。A:太い最上部の鎖および細い下部の鎖がヘリカーゼ(青色の円形)によって分離されたときの、SSB(オレンジ色の円形)によって結合された相補的なDNA鎖が示される。B:標的領域のssDNAテンプレートと相補的なプライマー(黒色の矢印)のハイブリダイゼーション。C:テンプレートDNAとハイブリッド形成されたプライマーは、DNAポリメラーゼ(青色のひし形)によって伸長される。D:増幅された産物は、別のサイクルの増幅に入る。
【図16】実施例で使用されるプライマーおよびプローブの幾つかの配列を提供する。
【図17】NGの存在を特定するために使用される、修飾されたTaqManプローブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、1つ以上の標的核酸のコピー数を判定することを対象とした方法およびシステムを含む。開示の方法および組成物は、本明細書に含まれる具体的な実施形態および実施例の次の詳細な説明、ならびに図とそれらの前のおよびそれに続く説明の参照によって、より容易に理解することができる。
【0011】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、および刊行物は、上記または下記に関わらず、本明細書に説明および特許請求される本発明の日付の時点で当業者に既知の最新技術をより完全に説明するために、参照によりそれらの全体がこれによって本明細書に組み込まれる。本発明は、特定の合成方法に、または特に指示がない限り特定の組み換えバイオテクノロジー法に、または特に指示がない限り具体的な試薬に限定されないことを理解されたい。
【0012】
クラミジア・トラコマチス(CT)およびナイセリア・ゴノレア(NG)は、現在のところ米国で報告される2つの最も流行している性感染症である。現在のところ、CTおよびNGの同時検出のために複数の診断試験が利用可能である一方で、それらの幾つかはPCRベースであり、したがって高処理能力により自動化することは困難である。
【0013】
好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)は、PCRよりも単純な自動化を可能にする新規の等温増幅技術である。tHDAは、ヘリカーゼを利用して2本鎖DNAをほどき、故に熱サイクルを不要にする。エンドポイント蛍光検出と併せて、tHDA等温反応は、容易に自動化可能な診断試験のためのPCRおよびリアルタイムPCRの潜在的な代替手段を提供する。
【0014】
一部には、CTおよびNGの双方から選択された標的遺伝子を増幅するために利用されるtHDA検定が本明細書に記載される。CT増幅プライマーおよび二重標識蛍光プローブについては、潜在プラスミドおよびゲノムDNA配列の標的領域が設計された。NGについては、マルチコピーopa遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブが使用された。この態様について、tHDA産物の検出のために、二重標識プローブを用いたエンドポイント蛍光検出が利用された。検出は、アンプリコンキャリオーバー汚染を回避するために、増幅の後にプレートを開くことなく均一フォーマットで行われた。
【0015】
また、増幅対照の存在下で、NGと、CTからの二重標的遺伝子との、同時増幅および検出を可能にする、多重化tHDA CT/NGプロトタイプ検定も本明細書に開示される。本検定は、CTおよびNG病原体双方に対する10〜25コピーの感度を達成している。
【0016】
本明細書に記載される方法および実施例の結果として、tHDAは、均一エンドポイント蛍光検出と併せて、多標的CT/NG検出検定の開発のための好適な技術プラットフォームを提供し、熱サイクル装置を必要とせずに、高分析感度を可能にする。
【0017】
別の態様では、C.トラコマチスを増幅および検出する方法が説明される。この方法では、潜在プラスミドおよびゲノムDNA配列の領域を標的とする、tHDA増幅プライマーおよびTaqmanプローブが設計された。N.ゴノレアについては、マルチコピーopa遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブが使用された。増幅反応の阻害を検出するために、増幅のためにCTプライマーを利用する増幅阻害対照が、本検定に含まれた。tDHA検定は、リアルタイム検出プラットフォーム上で、65℃で120分間実行される25μlの反応、次いで25℃でのエンドポイント蛍光の読み取りからなる。
【0018】
また、2つの多重化tHDA CT/NGプロトタイプ検定も本明細書に説明され、そのうちの1つは使用のために最適化されている。双方のプロトタイプ検定は、増幅対照の存在下で、N.ゴノレアと、C.トラコマチスからの二重標的遺伝子との、同時増幅および検出を可能にする。この態様の検定期間は、およそ120分間であり、エンドポイント検出およびセットアップのための追加的時間を含めて、総検定時間は3時間以内となる。最適化された等温多重化検定は、双方の病原体に対する10〜25コピーレベルの感受性を達成し、S/N値は3超であった(図11)。リアルタイムデータ表示標的は、首尾よく増幅および検出される(図12)。各標的アンプリコンに対して1つである融解曲線分析は、4つの明確なピークを示し(図13)、この結果は、4%アガロースゲルを用いてさらに確認される(図14)。
【0019】
また、複合的な異なる検出技術を用いて使用可能な好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(「tHDA」)検定も本明細書に説明され、それは以下を含むが、それらに限定されない:LuminexのxMAP、TaqManプローブを用いたリアルタイムもしくはエンドポイント蛍光検出、Evagreen染色を用いた融解曲線分析、またはアガロースゲル電気泳動。本明細書に記載される本方法は、「ヘリカーゼ依存性増幅」(HDA)に対する改善を提供する。HDAは、DNA二重鎖の2つの鎖を分離するために、熱よりもむしろヘリカーゼを使用し、標的核酸の体外増幅の目的で1本鎖テンプレートを生成する。配列特異的プライマーは、テンプレートとハイブリッド形成し、次いで標的配列を増幅するためにDNAポリメラーゼによって伸長される。このプロセスは、単一の温度で指数関数的増幅が達成され得るように反復される。
【0020】
例えば、tHDAが、熱と組み合わされたアルカリ変性ステップを利用してtHDAの前に2本鎖標的核酸を変性させる方法が、本明細書に記載される。CT/NG tHDA検定のために、NaOHによる65℃での標的変性を利用して10〜100コピーの感度を達成した。化学変性は、全ての標的に対して、特に多重化tHDA反応において、温度変性(95℃)よりも一貫した結果をもたらす。標的のアルカリ変性は、dsDNAを用いたtHDA検定の性能を改善する(実施例1参照)。
【0021】
また、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅する方法も本明細書に説明され、本方法は、(a)増幅対象の標的核酸を提供するステップを含む。標的核酸が2本鎖であるとき、それは、ステップ(b)の前に、50mM NaOHの存在下で、65℃で10分間加熱することによって変性される。ステップ(b)は、ステップ(a)の標的核酸とハイブリッド形成するためのオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップを伴う。ステップ(c)は、二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、テンプレートと相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップである。次いでステップ(d)では、ステップ(c)の二重鎖が、二重鎖をほどくためのヘリカーゼ調製物と接触させられる。ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼと、ヘリカーゼ調製物が1本鎖結合タンパク質が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、1本鎖結合タンパク質(SSB)とを含む。最後に、ステップ(b)〜(d)は、ヘリカーゼ依存性反応において、標的核酸を指数関数的および選択的に増幅するために反復される。
【0022】
また、生物学的試料から標的核酸を増幅する方法も本明細書に記載される。標的核酸(DNA)を含有する生物学的試料は、RNAプローブおよびハイブリッド捕捉抗体(RNA−DNAハイブリッドを認識する抗体)を伴う前処理に供される。標的核酸(DNA)を含有する生物学的試料は、標的核酸と相補的で標的核酸に特異的に結合するRNAプローブと組み合わされる。RNAプローブが標的核酸に結合するとき、それらはRNA−DNAハイブリッドを形成する。次いで、磁気ビーズに結合するハイブリッド捕捉抗体(RNA−DNAハイブリッドを認識する抗体)が、RNA−DNAハイブリッドを含有する試料に添加される。次いで、あらゆる非結合RNA−DNAハイブリッドを除去するために、これらのビーズは洗浄される。次いで、これらのビーズは、HDA増幅に直接使用される。完全なtHDA検定におけるハイブリッド捕捉試料調製物の使用は、標的変性ステップの省略を可能にする。(実施例2参照)。
【0023】
幾つかの態様では、tHDA検定は、複数の検出方法と共に使用可能であり、それはLuminex(LMX)検出、TaqManプローブを用いたリアルタイムもしくはエンドポイント蛍光検出、Evagreen染色を用いた融解曲線分析、およびアガロースゲル電気泳動を含むが、それらに限定されない。また、リアルタイムPCR検出におけるtHDA検定の産物と共に使用可能な、修飾されたTaqManプローブも本明細書に記載される。この態様では、完全なtHDA検定が使用され、リアルタイムPCT反応で使用するために、修飾されたTaqManプローブが、反応物に添加される。修飾されたTaqManプローブは、5’または3’末端と相補的な3’および5’末端に短尾を有する。修飾されたTaqManプローブは、この短尾を除いて標的核酸と相補的であり、短尾配列は、ステムループ構造を形成する。この修飾されたTaqManプローブは、いかなる標的配列も含有しないステム−ループを形成する分子ビーコンとは異なる。TaqManプローブは、フルオロフォアおよび消光剤で標識化された線形プローブである。しかしながら、それらはしばしば、不完全な消光のために、高蛍光バックグラウンドを産生し、したがってシグナル対バックグラウンド比を大幅に減少させる。本発明の修飾されたTaqManプローブのステム−ループヘアピン構造は、消光効率を最大化し、バックグラウンドシグナルを最小化することができる。したがって、tHDAのエンドポイント蛍光検出についてのシグナル対ノイズ比は、大幅に増大する。(実施例3参照)。
【0024】
また、反応に亢進剤を含めることによって、tHDA増幅における困難な標的の収率および特異性を改善するために使用可能な方法および試薬も本明細書に記載される。薬剤には、以下が含まれる:ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N,N−トリメチルグリシン(ベタイン)、ソルビトール、または硫酸デキストラン。DMSOは、概して1〜2%の最終濃度で使用された。ベタインは、概して最終濃度0.1M〜0.5Mで使用された。ソルビトールは、概して0.1M〜0.3Mの最終濃度で使用された。硫酸デキストランは、概して10pM〜1nMの最終濃度で使用された。幾つかの標的標準tHDA増幅条件は、許容される結果を生み出さない。それらの場合には、反応の収率および特異性を増加させるために使用可能な幾つかの添加物が存在する。ベタインおよびDMSOは、単独でまたは組み合わせで効果的な、2つの頻繁に使用されるPCR添加物である。我々は、tHDA増幅の効率および特異性をも増加させる、それらの有用性を示している。DMSOと組み合わせたソルビトールの使用もまた、特定のtHDA多重化の性能に対して、幾らかの有益な効果を示した。また、ソルビトールおよびDMSOをtHDA反応に添加することは、非特異的増幅を低減させる一助となった。DMSOは、DNA鎖分離を促進することによって機能する。それは特に、GCリッチテンプレートに有用である。ベタインもまた、アイソ安定化剤として、二次構造形成の低減に作用する。ソルビトールは、水分子を反応物から除去することによって、タンパク質安定剤として作用する。したがって、ソルビトールは、増幅反応の間の活性の喪失に対して、ヘリカーゼおよびポリメラーゼを保護することができる。(実施例4参照)。
【0025】
また、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅する方法も本明細書に記載される。例えば、2本鎖標的核酸を増幅する方法が本明細書に開示され、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブは、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(f)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。
【0026】
また、ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に説明され、この方法は、(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(b)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(e)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。
【0027】
本明細書に記載される方法によって増幅された標的核酸を検出する方法もまた開示される。
【0028】
定義および命名
本明細書で使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明する目的にすぎず、限定するようには意図されていない。
【0029】
明細書および添付の特許請求に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数形の指示対象を含んでもよい。したがって、例えば、「調製(a preparation)」という場合、化合物の混合物を含み、他も同様である。「構成成分(a component)」という場合、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、単一もしくは複数の構成成分または構成成分の混合物を含んでもよい。
【0030】
範囲は、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までとして、本明細書に表現され得る。「約」という用語は、およそ、その領域内の、大体、またはその前後を意味するように本明細書で使用される。「約」という用語が数値範囲と併せて使用されるとき、それは示される数値の上方および下方に境界を延長することによってその範囲を修飾する。概して、「約」という用語は、指定された値の上方および下方の数値を20%の変化量だけ修飾するように、本明細書において使用される。かかる範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定値から、および/またはもう1つの特定値までを含む。同様に、値の前に「約」という文言を付して、値が近似値として示されるとき、特定値は、別の実施形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の終点は、もう1つの終点に関連して、かつもう1つの終点から独立して、有意であることがさらに理解されよう。
【0031】
本明細書で使用される「または」という単語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味し、また、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。
【0032】
「試料」とは、動物;動物からの組織もしくは臓器;細胞(対象内にあり対象から直接採取されるか、または培養物中に維持されるか培養細胞株からの細胞のいずれか);細胞溶解物(または溶解物分画)もしくは細胞抽出物;または細胞もしくは細胞物質(例えば、ポリペプチドまたは核酸)に由来する1つ以上の分子を含有する溶液を意味し、本明細書に記載される通りに検定される。試料はまた、細胞または細胞構成成分を含有する、任意の体液または排泄物(例えば、血液、尿、便、唾液、涙液、胆汁であるがそれらに限定されない)であってもよい。
【0033】
「核酸」という用語は、2本鎖または1本鎖DNA、RNA分子またはDNA/RNAハイブリッドを指す。本明細書で使用される「核酸」という語句は、DNAまたはRNAまたはDNA−RNAハイブリッド、1本鎖または2本鎖、センスまたはアンチセンスに関わらず、天然産または合成オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドを指し、Watson−Crickベースの対形成によって相補的な核酸とハイブリッド形成することができる。本発明の核酸はまた、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)、および非ホスホジエステルヌクレオシド間結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはチオジエステル結合)も含むことができる。具体的には、核酸は、制限なしに、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNA、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。2本鎖核酸分子であるそれらの核酸は、切れ目が入るか、または無処置であってもよい。2本鎖または1本鎖核酸分子は、線形または環状であってもよい。二重鎖は、平滑末端であってもよく、または1本鎖尾を有してもよい。1本鎖分子は、ヘアピンまたはループおよびステムの形態の二次構造を有してもよい。核酸は、環境、食物、農業、発酵、血液、乳、脳脊髄液、痰、唾液、便、肺吸引物、粘膜組織または組織試料または細胞のスワブ等の生体液を含む種々の源から単離されてもよい。核酸試料は、細胞またはウイルスから獲得されてもよく、次のいずれを含んでもよい:染色体DNA、プラスミドDNAを含む染色体外DNA、組み換えDNA、DNA断片、メッセンジャーRNA、転移RNA、リボソームRNA、2本鎖RNA、または細胞もしくはウイルス中で生じる他のRNA。上述の核酸のいずれも、核酸内の個々のヌクレオチドが、化学的に変化させられる(例えば、メチル化によって)修飾に供されてもよい。修飾は、天然にまたは体外合成によって生じてもよい。
【0034】
「標的核酸」という用語は、増幅、検出、または他の方法で特定されることが求められる核酸を指す。特定の実施形態では、標的核酸は、クラミジア・トラコマチス(「CT」)またはナイセリア・ゴノレア(「NG」)DNAもしくはRNAである。
【0035】
「二重鎖」または「ハイブリッド」という用語は、全体または一部が2本鎖である核酸分子を指す。例えば、「2本鎖プローブ−標的ハイブリッド」は、オリゴヌクレオチドプローブが、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、オリゴヌクレオチドプローブが変性させた標的核酸と特異的にハイブリッド形成される領域において、2本鎖核酸分子を形成するときに形成される核酸分子を指す。
【0036】
「融解する」、「ほどく」、または「変性させる」という用語は、核酸二重鎖または核酸ハイブリッドの2つの相補的な鎖の全てまたは一部を分離することを指す。
【0037】
「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリッド形成する」という用語は、組成物が、別の組成物を認識し、それと物理的に相互作用することを意味する。例えば、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴヌクレオチドプライマーの、1本鎖核酸テンプレートの領域との結合を指すことができる。
【0038】
「特異的に結合する」または「特異的にハイブリッド形成する」とは、組成物が、その同族標的を認識し、それと物理的に相互作用することを意味する。例えば、プライマーは、その標的核酸に特異的に結合することができる。例えば、潜在プラスミドに存在する配列に特異的なプライマーは、潜在プラスミドと特異的にハイブリッド形成することができるが、他の標的または標的核酸配列を有意に認識し、それと相互作用することはない。ハイブリダイゼーションの特異性は、オリゴヌクレオチドプライマーの長さ、ハイブリダイゼーション反応が行われる温度、イオン強度、およびpHによって影響を受ける可能性がある。
【0039】
「プローブ」、「プライマー」、または「オリゴヌクレオチド」とは、相補的な配列(「標的」)を含有する第2のDNA分子またはRNA分子と塩基対形成することができる、規定の配列の1本鎖DNA分子またはRNA分子を意味する。「プライマー」という用語はまた、標的核酸のポリメラーゼ依存性複製を促進するために、標的核酸上の1本鎖領域に結合することができる1本鎖核酸も指す。得られたハイブリッドの安定性は、生じる塩基対形成の程度に依存する。塩基対形成の程度は、プローブと標的分子との間の相補性の度合いおよびハイブリダイゼーション条件の厳格度等のパラメータによって影響を受ける。ハイブリダイゼーション厳格度の度合いは、温度、塩濃度、およびホルムアミド等の有機分子の濃度等のパラメータによって影響を受け、当業者に既知の方法によって判定される。標的核酸に特異的なプローブまたはプライマー(例えば、遺伝子および/またはmRNAs)は、それらがハイブリッド形成する標的の領域に対して、少なくとも80%〜90%の配列相補性、少なくとも91%〜95%の配列相補性、少なくとも96%〜99%の配列相補性、または少なくとも100%の配列相補性を有する。プローブ、プライマー、およびオリゴヌクレオチドは、放射性または非放射性のいずれかで、当業者に周知の方法によって検出可能に標識化されてもよい。プローブまたはオリゴヌクレオチドプローブは、以下等の核酸ハイブリダイゼーションを伴う方法に使用可能である:オリゴヌクレオチドプローブと変性させた標的核酸との間に、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、記載の方法。プライマーおよびオリゴヌクレオチドプライマーは、以下等の核酸ハイブリダイゼーションを伴う方法に使用可能である:標的核酸と相補的な、またはtHDA反応において標的核酸を増幅するために、標的核酸とハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成すること。プローブ、プライマー、およびオリゴヌクレオチドはまた、ポリメラーゼ鎖反応、1本鎖高次構造多型(SSCP)分析、制限断片多型(RFLP)分析、Southernハイブリダイゼーション、Northernハイブリダイゼーション、インサイツハイブリダイゼーション、および電気泳動移動度シフト検定(EMSA)による、核酸配列決定、逆転写および/または核酸増幅にも使用可能である。
【0040】
「プライマーセット」とは、各々、同一の標的配列の反対側の鎖と相補的な配列を含有する少なくとも2つのプライマーを意味することが意図される。プライマーセットにおいて、2つのプライマーのうちの少なくとも1つは、「順方向プライマー」であるべきで、2つのプライマーのうちの少なくとも1つは、「逆方向プライマー」であるべきである。「順方向プライマー」は、標的核酸センス鎖と相補的なプライマーであり、ここで「逆方向プライマー」は、標的核酸のセンス鎖の補体と相補的なプライマー(標的核酸のアンチセンス鎖とも称される)である。プライマーセットは、tHDA反応に使用可能なプライマーの対であってもよい。
【0041】
同様に、「オリゴヌクレオチドプローブ」とは、相補的な配列を含有する第2のDNA分子またはRNA分子と塩基対形成することができる、規定の配列の1本鎖DNA分子またはRNA分子を意味することが意図される。本発明に従って、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上のポリヌクレオチドプローブが、変性させた標的核酸型2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成するのに十分な条件下で、変性させた核酸配列と接触させられる。幾つかの態様では、標的核酸は、DNAであり、オリゴヌクレオチドプローブは、RNAである。
【0042】
「アンプリコン」とは、天然または人工増幅事象の産物としてのDNA片を意味することが意図される。例えば、それらは本明細書に記載される方法、tHDA、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、またはリガーゼ鎖反応(LCR)を介して、ならびに天然の遺伝子重複によって、形成されてもよい。
【0043】
「特異的にハイブリッド形成する」とは、プローブ、プライマー、またはオリゴヌクレオチドが、高厳格度条件下で、実質的に相補的な核酸(例えば、標的核酸)を認識し、それと物理的に相互作用し(つまり、塩基対形成する)、他の核酸とは実質的に塩基対形成しないことを意味する。
【0044】
「高厳格度条件」とは、65℃の温度で、0.5M NaHPO4、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、および1%BSA(分画V)を含有する緩衝剤、または42℃の温度で、48%ホルムアミド、4.8X SSC、0.2M Tris−Cl、pH7.6、1X Denhardt溶液、10%硫酸デキストラン、および0.1%SDSを含有する緩衝剤中で、少なくとも40ヌクレオチド長のDNAプローブを使用することから得られるハイブリダイゼーションに匹敵するハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。PCR、Northern、Southern、またはインサイツハイブリダイゼーション、DNA配列決定等の、高厳格度ハイブリダイゼーションのための他の条件は、分子生物学の分野に精通する者に周知である。(例えば、F.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,NY,1998を参照されたい)。
【0045】
「アクセサリータンパク質」という用語は、使用されてもよいヘリカーゼ活性を刺激することができる任意のタンパク質を指す。例えば、大腸菌MutLタンパク質は、UvrDヘリカーゼ融解活性を亢進するためのアクセサリータンパク質である(Yamaguchi et al.J.Biol.Chem.273:9197 9201(1998)、Mechanic et al.,J.Biol.Chem.275:38337 38346(2000))。本方法の実施形態では、アクセサリータンパク質は、選択されたヘリカーゼと共に使用可能である。代替的実施形態では、核酸のアンワインドは、アクセサリータンパク質の非存在下で、ヘリカーゼによって達成されてもよい。
【0046】
特定の実施形態では、「補因子」が使用されてもよい。「補因子」は、ヘリカーゼアンワインド活性に必要とされる小分子剤を指す。ヘリカーゼ補因子には、ヌクレオシド三リン酸(NTP)およびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)およびマグネシウム(または他の二価陽イオン)が含まれる。例えば、ATP(アデノシン三リン酸)は、0.1 100mMの範囲、および好ましくは1〜10mMの範囲(例えば、3mM)の濃度で、UvrDヘリカーゼのための補因子として使用されてもよい。同様に、dTTP(デオキシチミジン三リン酸)は、T7 Gp4Bヘリカーゼのために、1 10mM(例えば、3mM)の範囲で、補因子として使用されてもよい。
【0047】
「HDA」という用語は、プライマーハイブリダイゼーションおよび後続のプライマー伸長のためのテンプレートを生成するために、2本鎖核酸をほどくためのヘリカーゼ調製物を用いることによって、核酸を増幅するための体外方法である、ヘリカーゼ依存性増幅(Helicase Dependent Amplification)を指す。このプロセスは、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを利用し、その各々は、標的配列を含有するセンス鎖または逆相補的な標的配列を含有するアンチセンス鎖のいずれかの3’末端とハイブリッド形成する。HDA反応は、ヘリカーゼ依存性核酸増幅のための一般的方法である。
【0048】
「好熱性ヘリカーゼ依存性増幅」または「tHDA」は、ヘリカーゼを利用して2本鎖DNAをほどき、熱サイクルを不要にする等温増幅技術を指す。tHDAは、真の等温DNA増幅法であり、PCRに類似した単純な反応スキームを有する。基本的な、tHDAは、米国特許第7,282,328号明細書(Kong et al.)に記載され、参照によりその全体がこれによって組み込まれる。
【0049】
「等温増幅」という用語は、単一の温度で生じる増幅を指す。これは、増幅手順として同一の温度でまたはより高温で行われ得る増幅の開始時の、単一の短時間(15分間未満)を含まない。
【0050】
「ヘリカーゼ調製物」という用語は、DNAポリメラーゼ、核酸テンプレート、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸、およびオリゴヌクレオチドプライマーと組み合わされるとき、体外で等温の特異的核酸増幅を達成することができる試薬の混合物を指す。
【0051】
「オリゴヌクレオチドプローブ」という用語は、相補的な配列を含有する第2のDNA分子またはRNA分子と塩基対形成することができる、規定の配列の1本鎖DNA分子またはRNA分子を指す。本明細書に記載される方法に従って、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上のポリヌクレオチドプローブが、変性させた標的核酸型2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成するのに十分な条件下で、変性させた核酸配列と接触させられる。
【0052】
本明細書で、「ヘリカーゼ」という用語は、2本鎖核酸を酵素的にほどくことができる任意の酵素を指す。例えば、ヘリカーゼは、全ての生物に、ならびに複製、組み換え、修復、転写、翻訳、およびRNAスプライシング等の、核酸を伴う全てのプロセスに見出される酵素である。(Kornberg and Baker,DNA Replication,W.H.Freeman and Company(2nd ed.(1992))、特に11章)。
【0053】
「検出標識」という用語は、直接にまたは間接に、増幅された標的核酸と会合可能であり、直接にまたは間接に、測定可能で検出可能なシグナルをもたらす任意の分子を指す。
【0054】
物質
開示の方法および組成物のために使用可能であり、開示の方法および組成物と併せて使用可能であり、開示の方法および組成物の調製に使用可能な物質、組成物、および構成成分、または開示の方法および組成物の産物が開示される。これらのおよび他の物質が本明細書に開示されているが、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、群等が開示される場合、これらの化合物の各様々な個々のおよび集合的な組み合わせならびに置換の特定の参照が明白に開示されない可能性がある一方で、各々が具体的に企図され、本明細書に記載されることが理解される。例えば、オリゴヌクレオチドプローブが開示および説明され、オリゴヌクレオチドプローブを含む幾つかの分子に対して行なうことのできる幾つかの修飾が説明される場合、特にそれとは反対の指示がない限り、オリゴヌクレオチドプローブの各々およびあらゆる組み合わせおよび置換、ならびに可能な修飾が具体的に企図される。したがって、分子A、B、およびCのクラス、ならびに分子D、E、およびFのクラスと組み合わせ分子A−Dの例とが開示される場合、たとえ各々が個々に列挙されていなくても、各々は個々におよび集合的に企図されるものとする。したがって、この例では、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの各々は、具体的に企図され、A、B、およびCと、D、E、およびFと、例示的組み合わせA−Dとの開示から開示されたものと考えるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた、具体的に企図および開示される。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eのサブグループは、具体的に企図され、またそれがA、B、およびCと、D、E、およびFと、例示的組み合わせA−Dとの開示から開示されたものと考えるべきである。この概念は、開示の組成物を作製し、使用する方法のステップを含むが、それらに限定されない本開示の全ての態様に適用する。したがって、行うことができる種々の追加的ステップが存在する場合、これらの追加的ステップの各々が、任意の特定の実施形態または開示の方法の実施形態の組み合わせを用いて行われてもよいこと、またかかる組み合わせの各々が具体的に企図され、開示されたものとして考えられるべきであることが理解される。
【0055】
A.ハイブリッド捕捉のための組成物
1.標的核酸
開示の組成物は、直接にまたは間接に、標的核酸と相互作用するように設計される。「標的核酸」は、増幅、検出、または他の方法で特定されることが求められるあらゆる核酸であってもよい。概して、任意の天然核酸、合成核酸、修飾された核酸、または核酸誘導体が、標的核酸であってもよい。標的核酸は、制限なしに、DNA、RNA、mRNA、ウイルスRNA、リボソームRNA cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNA、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、特定の態様では、標的核酸は、クラミジア・トラコマチス(「CT」)またはナイセリア・ゴノレア(「NG」)DNAである。
【0056】
加えて、標的核酸は、1本鎖または2本鎖であってもよい。核酸は、環境、食物、農業、発酵、尿、血液、乳、脳脊髄液、痰、唾液、便、肺吸引物、粘膜組織または組織試料または細胞のスワブ等の生体液を含む種々の源から単離されてもよい。上述の標的核酸のいずれも、核酸内の個々のヌクレオチドが化学的に変化させられる(例えば、メチル化によって)修飾に供されてもよい。修飾は、天然にまたは体外合成によって生じてもよい。
【0057】
開示の方法は、標的核酸を増幅、検出、または特定するために使用可能である。また、開示の方法は、標的核酸間の差異または対照核酸との差異を、増幅、検出、または特定するためにも使用可能である。標的核酸はまた、好ましくは配列内で、直接にまたは間接に基質と会合可能である。
【0058】
本明細書で使用される場合、文脈上、特に指示がない限り、標的核酸という用語は、実際の核酸、およびより大きい核酸分子の一部である核酸配列の両方を指す。
【0059】
2.標的試料
標的核酸を含有する試料、または標的核酸を含有し得る試料は、標的試料と称されてもよい。標的核酸試料は、細胞またはウイルスから獲得されてもよく、次のいずれかを含んでもよい:染色体DNA、プラスミドDNAを含む染色体外DNA、組み換えDNA、DNA断片、メッセンジャーRNA、転移RNA、リボソームRNA、2本鎖RNA、または細胞またはウイルス中で生じる他のRNA。
【0060】
標的試料は、標的核酸を有するか、または標的核酸を有することが疑われる任意の源に由来してもよい。標的試料は、標的核酸の源であってもよい。標的試料は、例えば、標的核酸等のDNAまたはRNAを含有してもよい。標的試料は、天然標的核酸、化学的に合成された標的核酸、またはその両方を含んでもよい。標的試料は、例えば、1つ以上の細胞からの試料、組織、または血液、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、もしくは羊水等の体液、または組織培養物細胞、口腔スワブ、鼻腔スワブ、痰、口内洗浄液、便、組織薄片、吸引生検等の他の生物学的試料、および骨またはミイラ化組織等の考古学的試料であってもよい。有用な標的試料のタイプには、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液試料、羊水試料、生検試料、穿刺吸引生検試料、癌試料、腫瘍試料、組織試料、細胞試料、細胞溶解物試料、粗細胞溶解物試料、法医学試料、考古学的試料、感染試料、院内感染試料、産生試料、薬物調製試料、生物学的分子産生試料、タンパク質調製試料、脂質調製試料、および/または炭水化物調製試料が含まれる。
【0061】
標的核酸試料は、標的核酸を有するか、または標的核酸を有することが疑われる任意の源に由来してもよい。標的核酸試料は、標的核酸分子および標的核酸配列の源である。標的核酸試料は、例えば、標的核酸、例えば、特定のmRNAまたはmRNA分子のプール、特定のDNA、または特定のウイルスRNAを含有してもよい。標的核酸試料は、RNAもしくはDNAまたはその両方を含有してもよい。特定の態様の標的核酸試料はまた、化学的に合成された標的核酸を含んでもよい。標的核酸試料は、任意のヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオチド置換、またはヌクレオチド共役を含んでもよい。
【0062】
3.オリゴヌクレオチドプローブ
「オリゴヌクレオチドプローブ」は、相補的な配列を含有する第2のDNA分子またはRNA分子と塩基対形成することができる、規定の配列の1本鎖DNA分子またはRNA分子を指す。本発明に従って、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上のポリヌクレオチドプローブが、変性させた標的核酸型2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成するのに十分な条件下で、変性させた核酸配列と接触させられる。幾つかの態様では、標的核酸は、DNAであり、オリゴヌクレオチドプローブは、RNAである。オリゴヌクレオチドプローブは、15〜100ヌクレオチドであってもよい。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは、20〜30ヌクレオチド長であってもよい。
【0063】
幾つかの態様では、RNAオリゴヌクレオチドプローブは、転写された完全長RNAオリゴヌクレオチドプローブとは対照的に、短いオリゴヌクレオチドプローブである。これらの短いRNAオリゴヌクレオチドプローブはまた、本明細書で合成RNAオリゴヌクレオチドプローブまたは「synRNA」と称されてもよい。幾つかの態様では、標的核酸は、RNAであり、オリゴヌクレオチドプローブは、DNAである。
【0064】
態様では、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブが使用される(すなわち、1つを超えるプローブ)。1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上の標的核酸に特異的であってもよい。例えば、増幅または検出されるべき2つの標的核酸が存在する場合、オリゴヌクレオチドプローブは、各々と特異的にハイブリッド形成することができるが、標的核酸の両方を使用できるわけではない。例えば、CTおよびNGの双方は、CTに特異的な1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブおよびNGに特異的な1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、同一の反応において増幅可能である。
【0065】
幾つかの態様では、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸の約3〜4kbのカバレッジを確保するために使用可能であり、それは強力で、可読のシグナルを確保する。幾つかの態様では、本明細書に記載される方法を用いたCTの増幅または検出は、表1に列挙される、次のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上を用いることができる。
【0066】
【表1】

【0067】
幾つかの態様では、本明細書に記載される方法を用いたCTの増幅または検出は、表2に列挙される、次のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上を用いることができる。
【0068】
【表2−1】

【0069】
【表2−2】

【0070】
幾つかの態様では、本明細書に記載される方法を用いたNGの増幅または検出は、表3に列挙される、次のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上を用いることができる。
【0071】
幾つかの態様では、本明細書に記載される方法を用いたNGの増幅または検出は、表4に列挙される、次のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上を用いることができる。
【0072】
幾つかの態様では、内部対象配列はまた、増幅または検出されることができ、表5に列挙される、次のオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上を用いることができる。
【0073】
幾つかの態様では、多数セットのプローブを含むオリゴヌクレオチドプローブ混合物は、所望の標的核酸の混合物のうちの任意の1つ以上を同時にスクリーニングするために使用される。例えば、同一の試料中におけるNGおよびCTの存在について、生物学的試料をスクリーニングすることが望ましい可能性がある。かかる状況では、表1〜5に提供されるプローブのうちの幾つかのプローブ混合物、および場合によっては、それらの全てが使用される。例えば、プローブ混合物は、CT、NGならびに内部対照のためのプローブセットを提供するように設計可能である。さらに、多数のオリゴヌクレオチドプローブは、同一の標的配列の異なる領域とハイブリッド形成するために使用可能である。
【0074】
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドプローブは、非常に類似した関連標的核酸配列に対しても優れた特異性を達成しながら、1つ以上の標的核酸配列の高感度な検出を可能にする。
【0075】
1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、利用されるハイブリダイゼーション条件下で、それらが標的核酸の変異型、または非標的核酸配列とハイブリッド形成しないように設計可能である。1セット当たりに用いられる、異なるオリゴヌクレオチドプローブの数は、所望の感度に依存する。対応するオリゴヌクレオチドプローブを用いた、核酸標的のより高いカバレッジにより、より強力なシグナルを提供することができる(捕捉抗体が結合するための、より多くのDNA−RNAハイブリッドが存在するであろうため)。
【0076】
【表3−1】

【0077】
【表3−2】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
1つ以上のポリヌクレオチドプローブを判定する1つの方法は、米国特許出願第12/426,076号に見出すことができ、この特許は、特にオリゴヌクレオチドプローブのその教示ならびに同プローブを用いる方法および特定する方法について、参照によりその全体が具体的に組み込まれる。例えば、目的の標的核酸および対応する非標的核酸に依存して、1つ以上のポリヌクレオチドプローブは、追求される標的核酸配列との標的特異的なハイブリダイゼーションを提供するのに十分な長さを有するように調製可能である。
【0081】
1つ以上のポリヌクレオチドプローブは、各々、少なくとも約15ヌクレオチド、例証的に、約15〜約1000、約20〜約800、約30〜約400、約40〜約200、約50〜約100、約20〜約60、約20〜約40、約20〜約20、および約25〜約30ヌクレオチドの長さを有することができる。幾つかの態様では、1つ以上のポリヌクレオチドプローブは、各々、約25〜約50ヌクレオチドの長さを有する。幾つかの態様では、プローブは、25ヌクレオチドの長さを有する。幾つかの態様では、セット内のプローブの全ては、25ヌクレオチド等の同一の長さを有し、また同一のハイブリダイゼーション条件下で、セット内のプローブの全てのハイブリダイゼーションを可能にするように、非常に類似した融解温度を有するであろう。
【0082】
1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを判定するために、Bioinformaticsツールが用いられてもよい。例えば、特定のオリゴヌクレオチドを設計するソフトウェアプログラムである、Oligoarray2.0が利用されてもよい。Oligoarray2.0は、Rouillard et al.Nucleic Acids Research,31:3057−3062(2003)によって記載され、この参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。Oligoarray2.0は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)およびMfold(Genetics Computer Group,Madison,Wis.)の機能性を組み合わせるプログラムである。Karlin and Altschul(Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:2264(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873(1993)による統計的マッチング理論を実行するBLASTは、所定の問い合わせ配列にマッチするヌクレオチド配列を迅速に検出するために広範に使用されるプログラムである。当業者は、例えば、CTまたはNGの存在または非存在と照合されるべき配列のデータベースを提供することができる。次いで目的の標的配列、例えば、CTに対する外膜タンパク質遺伝子は、あらゆる同一性領域を検索するために、そのデータベースと照らし合わせてBLASTにかけられてもよい。次いで融解温度(Tm)および%GCは、特定の長さの1つ以上のポリヌクレオチドプローブについてコンピュータ算出し、パラメータと比較可能であり、その後、二次構造もまた試験可能である。一旦、全ての目的のパラメータが満たされると、クロスハイブリダイゼーションは、BLASTによって判定された類似性を用いて、Mfoldパッケージで照合可能である。種々のプログラムが、所望の特異性要件を満たす1つ以上のポリヌクレオチドプローブを判定するように適合可能である。例えば、プログラムのパラメータは、55〜95℃のTm範囲、35〜65%のGC範囲、および55℃以下の二次構造またはクロスハイブリダイゼーションを含まない、25nt長のポリヌクレオチドを調製するように設定可能である。
【0083】
4.2本鎖プローブ標的ハイブリッド
「2本鎖プローブ−標的ハイブリッド」という用語は、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸(本来1本鎖であるか、または1本鎖となるように変性させたかのいずれか)と接触させることから形成される2本鎖分子を指し、ここでオリゴヌクレオチドプローブは、変性させた標的核酸とハイブリッド形成する。例えば、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、標的核酸とハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドプローブからなってもよい。2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、1つ以上の捕捉抗体のための標的として機能することができる。
【0084】
5.捕捉抗体
捕捉抗体はまた、本明細書に記載される方法にも使用可能である。捕捉抗体は、標的核酸配列のための反応を強化するために使用可能である。例えば、説明される方法の幾つかの態様では、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、1つ以上の捕捉抗体と接触させられ、ここで1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する。本明細書で使用される場合、「ハイブリッド捕捉抗体」という用語は、RNA−DNAハイブリッドに特異的に結合することができる抗体を指す。例えば、「捕捉抗体」という用語は、2本鎖核酸ハイブリッドに免疫特異的な抗体を指すことができる。
【0085】
開示の方法では、説明される方法に従って形成された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、2本鎖核酸ハイブリッドに免疫特異的な1つ以上の捕捉抗体により捕捉可能である。捕捉抗体は、RNA/DNA、DNA/DNA、RNA/RNA、およびそれらの模倣体を含むが、それらに限定されない2本鎖ハイブリッドに免疫特異的であってもよく、この場合、本明細書で定義される「模倣体」は、RNA/DNA、DNA/DNA、またはRNA/RNAハイブリッドと同様に機能する分子を指す。使用される捕捉抗体は、形成される2本鎖核酸ハイブリッドのタイプに依存するであろう。一態様では、捕捉抗体は、免疫特異的RNA/DNAハイブリッドである。
【0086】
当業者であれば、ポリクローナル捕捉抗体またはモノクローナル捕捉抗体のいずれかが、下で説明される本検定において使用されてもよくおよび/または固体支持体もしくは固体相上に固定化可能であることを理解するであろう。標準技術を用いて調製されるモノクローナル抗体は、ポリクローナル抗体の代わりに使用可能である。また、捕捉抗体の免疫断片または誘導体も含まれ、ここでかかる断片または誘導体は、捕捉抗体の結合領域を含有する。
【0087】
例えば、RNA:DNAハイブリッドで免疫付与されたヤギに由来するポリクローナルRNA:DNA特異的抗体を使用可能である。捕捉抗体は、例えば、Kitawaga et al.,Mol.Immunology,19:413(1982)、および米国特許第4,732,847号明細書に記載される通り、固体支持体上に固定化されたRNA:DNAハイブリッドに対する親和性精製によってヤギ血清から精製することができ、これらの参考文献および特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
ヒト抗体または人工抗体を含む抗体を産生または単離する他の好適な方法が使用されてもよく、それは例えば、ライブラリから組み換え抗体(例えば、1本鎖FvまたはFab、またはそれらの他の断片)を選択する方法、またはヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫付与に依存する方法を含む(例えば、Jakobovits et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature,362:255(1993)、ならびに米国特許第5,545,806号明細書および米国特許第5,545,807号明細書を参照されたい)。
【0089】
一態様では、判定されるべき標的核酸は、DNA(例えば、NGゲノムDNA)またはRNA(例えば、mRNA、リボソームRNA、核小体RNA、転移RNA、ウイルスRNA、ヘテロ核RNA)であり、ここで1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、それぞれ、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドである。この態様に従って、形成された2本鎖核酸ハイブリッド(すなわち、DNA/RNAハイブリッドである2本鎖プローブ−標的ハイブリッド)は、RNA:DNAハイブリッドに免疫特異的な捕捉抗体を用いて捕捉可能である。
【0090】
任意の脊椎動物が、モノクローナル抗RNA/DNA捕捉抗体の調製に使用されてもよい一方で、ヤギまたはウサギが好ましい。好ましくは、ヤギまたはウサギは、従来の注射手順に従って合成ポリ(A)−ポリ(dT)ハイブリッドを動物に注射することによって、合成ポリ(A)−ポリ(dT)ハイブリッドで免疫付与される。ポリクローナル捕捉抗体は、周知の抗体単離技術に従って、免疫付与された動物の種に特異的な抗体を備える動物の血液から採取および精製されてもよい。モノクローナル捕捉抗体の産生について、十分な期間の後に脾臓が動物から除去可能であり、脾臓細胞は、ハイブリドーマを産生するために、適切な骨髄腫細胞と融合可能である。次いでハイブリドーマは、抗ハイブリッド抗体を分泌する能力についてスクリーニング可能である。次いで選択されたハイブリドーマは、腹水の産生のために第2の動物の腹膜腔への注射に使用されてもよく、その腹水は抽出され、参照により本明細書に組み込まれる、濃縮された所望のモノクローナル抗体の源として使用されてもよい。
【0091】
捕捉抗体はまた、ビオチン化され、その後、例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた管もしくはシリカ上で固定化可能であり、または固相に共有結合するように他の方法によって修飾可能である。可溶化されたビオチン化捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドの捕捉前に、ストレプトアビジンでコーティングされた管上で固定化可能である。
【0092】
態様では、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、固定化された捕捉抗体による2本鎖プローブ−標的ハイブリッドの捕捉を可能にするために十分な期間にわたって、1つ以上の捕捉抗体でコーティングされた管中でインキュベートされる。2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、インキュベーション、例えば、約15〜約65℃での約5分間〜約24時間にわたるインキュベーションによって、固定化された捕捉抗体に結合可能である。幾つかの実施形態では、インキュベーション時間は、約300〜約1200rpmで振とうしながら、約20〜約40℃で約30〜約120分間である。別の実施形態では、捕捉は、回転式プラットフォーム上で激しく振とうしながら、室温前後で約1時間のインキュベーションを用いて生じる。当業者であれば、インキュベーション時間、温度、および/または振とうが、所望の代替的捕捉の動力学を達成するために、変化させられてもよいことを理解するであろう。
【0093】
他の態様では、捕捉抗体は、磁気ビーズ(例えば、COOHビーズ)に結合されてもよい。磁気ビーズベースの技術は、当技術分野で周知である。幾つかの態様では、捕捉抗体と反応するために誘導体化された表面を有する磁気シリカビーズが用いられてもよい。例えば、RNAオリゴヌクレオチドプローブがDNA標的核酸に結合するとき、それらは、RNA−DNAハイブリッドを形成し、次いで、磁気ビーズに結合されるハイブリッド捕捉抗体(RNA−DNAハイブリッドを認識する抗体)は、RNA−DNAハイブリッドを含有する試料に添加可能である。一旦、捕捉抗体が2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成すると、それらは、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する。
【0094】
別の態様では、上述の捕捉抗体は、検出標識と共役可能である。標識化のための共役方法は、当技術分野で周知である。例えば、捕捉抗体は、アルカリホスファターゼ等の検出可能な標識と共役可能である。当業者であれば、酵素、蛍光分子、またはビオチン−アビジン共役等の任意の検出可能な標識が使用されてもよいことを理解するであろう。抗体共役は、一価抗体断片を産出するために、ジチオトレイトール(DTT)を用いるモノクローナル抗体の直接還元等の周知の方法によって、産生可能である。次いで還元された抗体は、Ishikawa et al.,J.Immunoassay4:209−237(1983)およびMeans et al.,Chem.1:2−12(1990)の方法によって、マレイミド化アルカリホスファターゼと直接に共役可能であり、得られた共役は、HPLCによって精製可能である。
【0095】
したがって、標的特異的なオリゴリボヌクレオチドまたはオリゴデオキシヌクレオチドは、市販のバイオインフォマティクスソフトウェアを用いて設計可能である。例えば、dsDNA標的の検出のために、DNAは、変性させられ、RNAプローブとハイブリッド形成され、固体支持体上の抗RNA:DNAハイブリッド抗体を介して捕捉されてもよい。検出は、化学発光検出のためにアルカリホスファターゼと共役させられた抗RNA:DNA捕捉抗体を含む、種々の方法によって行うことができる。代替的に、例えば、フィコエリトリンと共役させられた抗RNA:DNA捕捉抗体を用いる、蛍光による検出に好適な他の検出方法が用いられてもよい。
【0096】
6.捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッド
本明細書の他の箇所に説明される通り、本方法は、一部には、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを標的核酸(標的核酸が2本鎖である場合には変性させられる)とハイブリッド形成させ、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成することを含む。一旦、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドが形成されると、固体支持体(例えば常磁性ビーズ)と共役させられたハイブリッド捕捉抗体(2本鎖核酸ハイブリッドを認識する抗体)は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドに結合することができる。このため、「2本鎖プローブ−標的ハイブリッド」は、標的核酸配列および捕捉プローブを含む組成物を指し、ここで標的核酸配列およびオリゴヌクレオチドプローブは、互いにハイブリッド形成され(すなわち、2本鎖プローブ−標的ハイブリッド)、捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドに結合される。例えば、幾つかの態様では、本方法は、一部には、1つ以上のRNAオリゴヌクレオチドプローブを、DNA標的核酸とハイブリッド形成させ、RNA−DNAハイブリッドを形成することを含み、次いで磁気ビーズに結合されるハイブリッド捕捉抗体(RNA−DNAハイブリッドを認識する抗体)は、RNA−DNAハイブリッドを含有する試料に添加可能である。一旦、捕捉抗体が2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成すると、それらは、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する。
【0097】
一旦、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドが形成されると、それらは、上述の通りまたは当技術分野で周知の他の方法によって固定化可能である。一旦、固定化されると、捕捉されていない2本鎖プローブ−標的ハイブリッドは、非標的核酸、細胞破片等の、あらゆる捕捉されていない、固定化されていない物質を洗浄除去することによって、反応物から除去可能である。洗浄に使用されるべき溶液は、当技術分野で既知であり、当業者であれば、説明される洗浄を行う方法を理解するであろう。例えば、標的および捕捉プローブを加水分解せず、抗体を変性させない任意の緩衝剤を使用可能である。
【0098】
例えば、反応物は、次いで、捕捉されていない2本鎖プローブ−標的ハイブリッドまたは非特異的に結合された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドの可能な限り多くを除去するために、洗浄緩衝剤(例えば、0.1M Tris−HCl、pH7.5、0.6M NaCl、0.25%Tween−20(登録商標)、およびアジ化ナトリウム)を用いて洗浄可能である。
【0099】
B.tHDAのための組成物
1.オリゴヌクレオチドプライマー
上述の通り、「HDA」という用語は、プライマーハイブリダイゼーションおよび後続のプライマー伸長のためのテンプレートを生成するために、2本鎖核酸をほどくためのヘリカーゼ調製物を用いることによって、核酸を増幅するための体外方法である、ヘリカーゼ依存性増幅(Helicase Dependent Amplification)を指す。このプロセスは、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを利用し、その各々は、標的配列を含有するセンス鎖または逆相補的な標的配列を含有するアンチセンス鎖のいずれかの3’末端とハイブリッド形成する。HDA反応は、ヘリカーゼ依存性核酸増幅のための一般的方法である。オリゴヌクレオチドプライマーは、それとハイブリッド形成される標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するためにも使用可能である。
【0100】
本明細書に記載される方法では、使用に好適なオリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸配列またはその補体の1つ以上の部分と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーを含むが、それらに限定されない。オリゴヌクレオチドプライマーはまた、エキソヌクレアーゼ分解に抵抗性にさせるように修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、1つ以上のヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を有してもよい。オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸配列もしくはその補体に特異的であるか、またはそれに相当する。相補的な部分は、それが、同一の条件下で標的の相補的な部分と完全に相補的な配列の融解温度よりも10℃低い融解温度を有する場合、別の配列と実質的には相補的でない。
【0101】
概して、HDAにおける使用に好適なプライマー対は、例えば、10ヌクレオチドよりも長く、50ヌクレオチドよりも短い長さを有する、短い合成オリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドプライマー設計は、連鎖ベースの整列スコア、融解温度、プライマー長、およびGC含量等の種々のパラメータを伴う(Kampke et al.,Bioinformatics17:214 225(2003))。プライマーを設計するときに重要な要因の1つは、増幅されるべき核酸分子に特異的な標的断片内の配列を選択することである。もう1つの重要な要因は、HDA反応のためのプライマーの融解温度を決定することである。プライマーの融解温度は、そのオリゴヌクレオチドの長さおよびGC含量によって判定される。幾つかの態様では、プライマーの融解温度は、ハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるであろう温度よりも約10〜30℃高くてもよい。例えば、ハイブリダイゼーションおよび増幅の温度が37℃に設定される場合、大腸菌UvrDヘリカーゼ調製物を用いるとき、この反応ために設計されたプライマーの対の融解温度は、約47℃〜67℃の範囲であるべきである。ハイブリダイゼーションおよび増幅の温度が60℃である場合、その反応のために設計されたプライマーの対の融解温度は、65℃〜90℃の範囲であってもよい。HDA反応のための最適なプライマーを選択するために、種々の融解温度を備えるプライマーのセットが平行検定で試験可能である。プライマー設計に関するさらなる情報は、Kampke et al.,Bioinformatics17:214 225(2003)によって記載される。
【0102】
HDA反応における各オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸の各末端とハイブリッド形成し、テンプレートとして標的ヌクレオチド配列を用いるポリメラーゼによって、3’→5’方向に伸長されてもよい。ハイブリダイゼーションの条件は、“Molecular Cloning and Laboratory Manual”2nd ed.Sambrook,Rich and Maniatis,pub.Cold Spring Harbor(2003)に記載される通り、標準である。特定の増幅を達成するために、相同または完全マッチのプライマーが好ましい。しかしながら、プライマーは、5’末端に、標的ヌクレオチド配列と相補的でない配列を含んでもよい。代替的に、プライマーは、全体にわたって、標的核酸と完全には相補的でないヌクレオチドまたは配列を含有してもよい。プライマーは、特異的ハイブリダイゼーションが、所定の温度でプライマー−テンプレート結合によって達成され得る限り、HDAに使用するために、類似したプライマーを表してもよく、または非特異的もしくはユニバーサルプライマーであってもよい。
【0103】
プライマーは、デオキシリボヌクレオチド塩基A、T、G、もしくはCおよび/または1つ以上のリボヌクレオチド塩基、A、C、U、Gおよび/または1つ以上の修飾されたヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)のいずれを含んでもよく、ここで修飾は、プライマーの核酸とのハイブリダイゼーションまたはプライマーの伸長または2本鎖分子の変性を妨げない。プライマーは、それらの性能を亢進させるため、または増幅産物の特性化を促進するために、ホスホロチオエートもしくはメチルホスホネート等の化学基で、または非ヌクレオチドリンカーで修飾されてもよい。
【0104】
増幅された標的核酸を検出するために、プライマーは、蛍光標識化または化学発光標識化、およびビオチン化等の修飾に供することができる。(例えば、カルボキシフルオレセインのアミン反応性フルオレセインエステル等の蛍光タグ−Glen Research,Sterling,Va.)。他の標識化方法は、放射性同位体、発色団、およびビオチンまたはハプテン等のリガンドを含み、それらは直接に検出可能でない一方で、それらの特異的結合相手、例えば、それぞれアビジンおよび抗体の標識型との反応によって容易に検出され得る。
【0105】
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドプライマーは、当技術分野で既知の方法によって調製可能である(例えば、米国特許第6,214,587号明細書を参照されたい)。
【0106】
一態様では、1つが標的配列の5’境界とハイブリッド形成し、もう1つが標的の3’境界とハイブリッド形成する、2つの配列特異的プライマーの対は、標的配列の指数関数的増幅を達成するためにHDAに使用される。このアプローチは、Lee et al.(J.Mol.Biol.316:19 34(2002))から容易に識別可能である。多数のプライマーの対は、多重化反応における異なる検出タグを用いて、多数の標的を同時に増幅するために単一のHDA反応において利用可能である。多重化は、SNP分析で、および病原体を検出する際に、一般的に使用される(Jessing et al.,J.Clin.Microbiol.41:4095 4100(2003))。
【0107】
また、クラミジア・トラコマチス(CT)またはナイセリア・ゴノレア(NG)を増幅するために使用可能なオリゴヌクレオチドプライマーも本明細書に開示される。例えば、マルチコピーOpa遺伝子、潜在プラスミドゲノムDNA、および外膜タンパク質(OMP)遺伝子を増幅するために使用可能なプライマーが開示される。
【0108】
クラミジア・トラコマチスを増幅するために使用可能なプライマーが本明細書に開示される。かかるプライマーには、表6に列挙されるプライマーが含まれる。
【0109】
【表6】

【0110】
ナイセリア・ゴノレアを増幅するために使用可能なプライマーが本明細書に開示される。かかるプライマーには、表7に列挙されるプライマーが含まれる。
【0111】
【表7】

【0112】
2.DNAポリメラーゼ
ポリメラーゼは、処理能力および鎖置換活性の基準ならびに用いられている具体的な方法で使用される温度に基づいて、本明細書に記載される方法のために選択することができる。例えば、tHDAのためのポリメラーゼは、処理能力および鎖置換活性の基準に基づいて選択することができる。融解およびオリゴヌクレオチドプライマーとのハイブリダイゼーションの後に、核酸は、重合ステップに供されてもよい。ポリメラーゼの例としては、DNAポリメラーゼが挙げられるが、それらに限定されない。開示の組成物および方法に使用するためのDNAポリメラーゼはまた、所望の場合、処理能力が高い可能性がある。DNAポリメラーゼは、増幅されるべき核酸がDNAである場合に選択される。開示の組成物および方法に使用するためのDNAポリメラーゼの適合性は、鎖伸長またはtHDAを行うその能力を査定することによって容易に判定することができる。
【0113】
初期標的がRNAであるとき、逆転写酵素は、RNA標的をcDNA分子へとコピーするために最初に使用可能であり、次いでcDNAは、選択されたDNAポリメラーゼによって、tHDAにおいてさらに増幅される。DNAポリメラーゼは、標的核酸に作用して、4つのdNTPsの存在下で核酸テンプレートとハイブリッド形成されて核酸テンプレート上のヌクレオチド配列と相補的なプライマー伸長産物を形成する、ハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させる。
【0114】
加えて、逆転写反応を行うことができるポリメラーゼ、ならびにtHDA反応におけるDNAポリメラーゼ活性は、本明細書に記載される方法に使用可能である。例えば。ヒト免疫不全ウイルス1型(PDB 1HMV)からのHIV−1逆転写酵素、Moloneyマウス白血病ウイルスからのM−MLV逆転写酵素、またはトリ骨髄芽球症ウイルスからのAMV逆転写酵素は、単独または組み合わせで使用可能である。
【0115】
本明細書に記載される方法のためのDNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠き、さらに3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠き得る、DNAポリメラーゼの群から選択することができる。
【0116】
好適なDNAポリメラーゼの例としては、大腸菌DNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ欠損Klenow断片(New England Biolabs,Inc.(Beverly,Mass.))、エキソヌクレアーゼ欠損T7 DNAポリメラーゼ(Sequenase;USB,(Cleveland,Ohio))、大腸菌DNAポリメラーゼIのKlenow断片(New England Biolabs,Inc.(Beverly,Mass.))、Bst DNAポリメラーゼのLarge断片(New England Biolabs,Inc.(Beverly,Mass.))、KlenTaq DNAポリメラーゼ(AB Peptides,(St Louis,Mo.))、T5 DNAポリメラーゼ(米国特許第5,716,819号明細書)、およびPol III DNAポリメラーゼ(米国特許第6,555,349号明細書)が挙げられる。大腸菌DNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ欠損Klenow断片、Bst DNAポリメラーゼLarge断片、およびSequenase等の、鎖置換活性をプロセスするDNAポリメラーゼは、ヘリカーゼ依存性増幅に使用可能である。T7ポリメラーゼは、Taqポリメラーゼよりも有意に低い、3.5.×.10の誤り率を有する、高正確性ポリメラーゼである(Keohavong and Thilly,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86,9253 9257(1989))。しかしながら、T7ポリメラーゼは、熱安定性でなく、したがって熱サイクルを必要とする増幅システムに使用するために最適でない。等温で行われてもよいHDAにおいて、T7 Sequenaseは、DNAの増幅に使用可能である。
【0117】
3.標的核酸二重鎖
「標的核酸二重鎖」は、一部には標的核酸配列、標的核酸配列の補体、またはそのコピーを含む2本鎖核酸を指す。標的核酸二重鎖は、DNAポリメラーゼを用いて、オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリッド形成される標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成することによって、作り出すことができる。標的核酸二重鎖は、HDAまたはtHDAのためのテンプレートとして機能することができる。例えば、標的核酸二重鎖は、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するために、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ調製物と接触させられてもよい。
【0118】
4.ヘリカーゼ調製物
本明細書に記載される方法では、ヘリカーゼは、「ヘリカーゼ調製物」として提供されてもよい。「ヘリカーゼ調製物」は、DNAポリメラーゼ、核酸テンプレート、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸、およびオリゴヌクレオチドプライマーと組み合わされたとき、体外での、等温の、特異的核酸増幅を達成することができる試薬の混合物を指す。
【0119】
より具体的には、ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼ、ヌクレオチド三リン酸(NTP)またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および1本鎖DNA結合タンパク質(SSB)等のエネルギー源を含んでもよい。1つ以上の追加的試薬がまた、ヘリカーゼ調製物に含まれてもよく、それらは次から選択される:1つ以上の追加的ヘリカーゼ、アクセサリータンパク質、小分子、化学試薬、および緩衝剤。熱安定性ヘリカーゼが、ヘリカーゼ調製物に利用されるとき、1本鎖結合タンパク質の存在は、任意選択である。
【0120】
1本鎖DNA結合タンパク質
幾つかのヘリカーゼは、1本鎖結合タンパク質(SSB)の存在下で改善された活性を示す。これらの状況では、SSBの選択は、概して特定のタンパク質に限定されない。1本鎖結合タンパク質の例としては、T4遺伝子32タンパク質、大腸菌SSB、T7 gp2.5SSB、ファージphi29SSB(Kornberg and Baker、上掲(1992))、および前述の物質の欠失型が挙げられる。
【0121】
他の化学試薬
塩およびpHに加えて、尿素およびジメチルスルホキシド(DMSO)を含む変性試薬等の他の化学試薬が、二重鎖DNAを部分的に変性または不安定化するためにtHDA反応に添加可能である。これらの他の化学試薬はまた、ヘリカーゼ調製物の一部であってもよい。tHDA反応は、SSBタンパク質を用いて、または用いずに、変性試薬の異なる濃度で比較されてもよい。このような方法で、1本鎖(ss)DNA安定化におけるSSBのために、tHDA効率を増加させるおよび/または置換する化学化合物を、特定することができる。核酸およびタンパク質等の生体高分子のほとんどは、体外実験条件よりもはるかに高濃度で、生存細胞中のそれらの天然構造を機能させるおよび/または形成するように設計される。ポリエチレングリコール(PEG)は、水を除外し、溶質ポリカチオンとの静電相互作用を作り出すことによって、人工クラウディング条件を作り出すために使用されている(Miyoshi,et al.,Biochemistry41:15017 15024(2002))。PEG(7.5%)が、DNA連結反応物に添加されるとき、反応時間は、5分間に短縮される(Quick Ligation Kit,New England Biolabs,Inc.(Beverly,Mass.))。また、PEGは、反応の効率を増加させるために、ヘリカーゼアンワインド検定にも添加されている(Dong,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:14456 14461(1996))。HDA上のPEGまたは他のクラウディング試薬は、tHDA反応における酵素および核酸の有効濃度を増加させ得、したがって反応時間を短縮し、反応に必要とされるタンパク質濃度を減少させる。
【0122】
補因子
ATPまたはTTPは、処理能力が高いヘリカーゼのための一般的なエネルギー源である。平均して、1個のATP分子は、1〜4つの塩基対をほどくためにDNAヘリカーゼによって消費される(Kornberg and Baker、上掲(1992))。説明される方法の幾つかの態様では、UvrDベースのtHDAシステムは、3mMの最適初期ATP濃度を有した。より長い標的を増幅するために、より短い標的と比較してより多くのATPが消費され得る。これらの状況では、ヘリカーゼとの使用のために、ピルビン酸キナーゼベースのATP再生システムを含むことが望ましい可能性がある(Harmon and Kowalczykowski,Journal of Biological Chemistry276:232 243(2001))。
【0123】
トポイソメラーゼ
トポイソメラーゼは、tHDAの、長い標的アンプリコンを増幅する能力を増加させるために、長いtHDA反応に使用可能である。非常に長い線形DNA二重鎖がヘリカーゼによって分離されるとき、トポイソメラーゼの旋回(弛緩)機能は、ねじれを除去し、巻きすぎを防止する(Kornberg and Baker、上掲(1992))。例えば、大腸菌トポイソメラーゼI(Fermentas,Vilnius,Lithuania)は、1つのDNA鎖に切れ目を導入することによって、負の超らせんDNAを弛緩するために使用可能である。対照的に、大腸菌DNAジャイレース(トポイソメラーゼII)は、DNA中に一時的な2本鎖破断を導入し、DNAが互いに通り越すことを可能にする(Kornberg and Baker、上掲(1992))。
【0124】
ヘリカーゼ
本明細で、「ヘリカーゼ」という用語は、2本鎖核酸を酵素的にほどくことができる任意の酵素を指す。例えば、ヘリカーゼは、核酸等の複製、組み換え、修復、転写、翻訳、およびRNAスプライシングを伴う、全ての生物中および全てのプロセスにおいて見出される酵素である。(Kornberg and Baker,DNA Replication,W.H.Freeman and Company(2nd ed.(1992))、特に11章)。5’→3’方向に、または反対の3’→5’方向に、DNAまたはRNAを移行する任意のヘリカーゼが、本発明の本実施形態に使用されてもよい。これには、原核生物、ウイルス、古細菌、および真核生物から得られたヘリカーゼ、または天然産酵素の組み換え型ならびに特異的活性を有する類似体または誘導体が含まれる。天然産DNAヘリカーゼの例としては、Kornberg and Baker、彼らの本の11章、DNA Replication,W.H.Freeman and Company(2nd ed.(1992))によって説明されるヘリカーゼが挙げられ、大腸菌ヘリカーゼI、II、III、およびIV、Rep、DnaB、PriA、PcrA、T4 Gp41ヘリカーゼ、T4 Ddaヘリカーゼ、T7 Gp4ヘリカーゼ、SV40 Large T抗原、酵母RADを含む。HDAに有用であり得る追加的ヘリカーゼには、RecQヘリカーゼ(Harmon and Kowalczykowski,J.Biol.Chem.276:232 243(2001))、T.テングコンゲネシス(本発明、実施例XIIに開示)およびT.サーモフィルス(Collins and McCarthy,Extremophiles.7:35 41.(2003))からの熱安定性UvrDヘリカーゼ、アクアティクスからの熱安定性DnaBヘリカーゼ(Kaplan and Steitz,J.Biol.Chem.274:6889 6897(1999))、ならびに古細菌および真核性生物からのMCMヘリカーゼ((Grainge et al.,Nucleic Acids Res.31:4888 4898(2003))が含まれる。
【0125】
本実施形態に使用するためのヘリカーゼの例はまた、次のウェブアドレスでも見出され得る:http://blocks.fhcrc.org(Get Blocks by Keyword:Helicase)。このサイトは、49のHerpesヘリカーゼ、224のDnaBヘリカーゼ、250のUvrD−ヘリカーゼおよびUvrD/Repヘリカーゼ、276のDEAH_ATP−依存性ヘリカーゼ、147のPapillom_E1 PapillomavirusヘリカーゼE1タンパク質、608のViralヘリカーゼ1Viral(スーパーファミリー1)RNAヘリカーゼ、ならびに556のDEAD_ATP−依存性ヘリカーゼを列挙する。概して5’→3’方向に複製するヘリカーゼの例としては、T7 Gp4ヘリカーゼ、DnaBヘリカーゼ、およびRhoヘリカーゼがある一方で、3’→5’方向に複製するヘリカーゼの例としては、HCVのUvrDヘリカーゼ、PcrA、Rep、NS3 RNAヘリカーゼが挙げられる。
【0126】
ヘリカーゼは、二重鎖DNAおよびRNA内で鎖を結び付けている水素結合を切断するための、ヌクレオシド三リン酸(例えば、ATP)加水分解のエネルギーを使用する(Kornberg and Baker,DNA Replication,W.H.Freeman and Company(2nd ed.(1992))、特に11章)。ヘリカーゼは、DNA複製、DNA修復および組み換え、転写、ならびにRNAプロセシング等の、細胞中の核酸代謝のあらゆる側面に関与する。この幅広い用途は、全ての生存生物に見出される多数のヘリカーゼによって反映され得る。
【0127】
ヘリカーゼは、幾つかの異なる特徴に従って分類されている。例えば、異なるヘリカーゼの特徴は、単一のまたは多量体構造を備えるヘリカーゼを含む、それらのオリゴマー構造である。例えば、ヘリカーゼの1つのファミリーは、六量体構造に特徴付けられる一方で、別のファミリーは、単量体または二量体ヘリカーゼからなる。
【0128】
ヘリカーゼの別の特徴は、保存されたモチーフの発現度である。全てのヘリカーゼは、ATP結合およびMg2+結合に関連する古典的WalkerAおよびBモチーフを有する(Caruthers and McKay.Curr.Opin.Struct.Biol.12:123 133(2002),Soultanas and Wigley.Trends Biochem.Sci.26:47 54(2001)に概説)。ヘリカーゼは、ヘリカーゼシグネチャーモチーフの数およびモチーフに対するコンセンサス配列の差異に従って、複数のスーパーファミリーに分類されている(Gorbalenya and Koonin.Curr.Opin.Struct.Biol.3:419 429(1993))。スーパーファミリー1および2は、7つの特徴的ヘリカーゼシグネチャーモチーフを有し、これには、古細菌、真正細菌、真核生物、およびウイルスからのヘリカーゼが含まれ、ヘリカーゼは、二本鎖DNAまたはRNAを3’→5’方向または5’→3’方向のいずれかにほどく。スーパーファミリー1ヘリカーゼの例としては、大腸菌UvrDヘリカーゼ、T.テングコンゲネシスUvrDヘリカーゼ、およびRecBCDのBサブユニットが挙げられる。スーパーファミリー3は、3つのモチーフを有し、スーパーファミリー4は5つのモチーフを有する。スーパーファミリー4ヘリカーゼの例としては、T7 Gp4ヘリカーゼおよびDnaBヘリカーゼが挙げられる。標準的なヘリカーゼとは異なる新しいファミリーは、AAAファミリー(種々の細胞活動に関連するATPaseの拡張ファミリー)である。
【0129】
第3のタイプの分類は、ヘリカーゼのアンワインド方向、すなわち、ヘリカーゼが核酸二本鎖を、ヘリカーゼが結合して移動する方の鎖に基づいて5’→3’方向(T7 Gp4ヘリカーゼなど)または3’→5’方向(UvrDヘリカーゼなど)のいずれにほどくかに関する。
【0130】
分類の第4のタイプは、ヘリカーゼが平滑末端核酸二本鎖またはフォークもしくは一本鎖尾を備える二本鎖のいずれを好んでほどくかに関する。平滑末端核酸二本鎖は、ヘリカーゼ依存性増幅の第1のサイクルには必要とされない可能性があるが、後続の増幅サイクルにおいては望ましく、これは増幅反応の進行に伴って、平滑末端標的断片が優占種となるためである。これらの平滑末端標的核酸は、後続の増幅回に対するテンプレート基質を形成する。
【0131】
本明細書に記載されるtHDAを達成するために、上述のいずれに従って分類されたヘリカーゼも核酸増幅に好適である。ヘリカーゼ依存性増幅を達成するための本方法に従って。
【0132】
標的核酸の源に関わらず、ヘリカーゼ調製物は、反応の温度を変化させることなく、2本鎖分子をほどいて、ポリメラーゼ依存性増幅のための1本鎖分子を産生することによって、核酸の増幅の間の熱変性ステップを置換するために使用されてもよい。したがって、Taqポリメラーゼを用いた標準PCR増幅の間に必要とされる熱サイクルは、回避され得る。
【0133】
概して、プライマー−テンプレート認識の特異性および後続のアニールを可能にするのに好適な変性の温度は、例えば、20℃〜75℃の温度の範囲にわたって生じてもよい。例えば、温度は、どのヘリカーゼが融解プロセスに選択されるかに従って選択されてもよい。選択されたヘリカーゼの存在下で、核酸の増幅のための最適温度を判定する試験は、反応混合物の温度を変化させ、ゲル電気泳動を用いて増幅産物を比較することによる所定の実験によって、判定される。
【0134】
核酸ハイブリッドまたは二重鎖の変性は、例えば、45℃〜75℃の範囲のより高温を含むインキュベーション条件下で、熱安定性ヘリカーゼ調製物を用いることによって加速化することができる。熱安定性ヘリカーゼ調製物および熱安定性ポリメラーゼを用いて高温でHDAを行うことは、プライマー結合の特異性を増加させる可能性があり、それは増幅の特異性を改善することができる。
【0135】
特定の態様では、増幅反応において複数の異なるヘリカーゼ酵素を利用することが望ましい可能性がある。複数のヘリカーゼの使用は、異なるヘリカーゼが、二重鎖核酸のアンワインドの効率を増加させるために種々の機能を連係させる特定の条件下で、HDAにおける収率および標的増幅の長さを高める可能性がある。例えば、低処理能力を有するが、平滑末端DNAを融解させることができるヘリカーゼは、高処理能力を有するが、アンワインドの開始のために二重鎖領域の境界で1本鎖尾を認識する第2のヘリカーゼと組み合わされてもよい。この例では、第1のヘリカーゼは、最初に、5’および3’1本鎖尾を生成する長い核酸二重鎖の平滑末端を分離し、次いでその限定された処理能力に起因して、その基質から解離する。この部分的に巻き戻された基質は、その後、次いでより優れた処理能力でアンワインドを継続する第2のヘリカーゼによって認識される。このような方法で、核酸二重鎖内の長い標的は、複数のヘリカーゼを含有するヘリカーゼ調製物の使用によって巻き戻されてもよく、その後、HDA反応において増幅されてもよい。
【0136】
5.検出標識
本明細書に記載される方法はまた、標的核酸配列を検出するために使用することもできる。標的核酸の検出は、増幅反応の間または後に起こり得る。開示の組成物および方法を用いて増幅された標的核酸の検出および定量を補助するために、検出標識は利用可能である。検出標識は、増幅された標的核酸に直接に組み込むことができるか、または増幅された標的核酸に結合させることができる。本明細書で使用される場合、「検出標識」は、直接にまたは間接に、増幅された標的核酸に会合可能であり、直接にまたは間接に、測定可能で検出可能なシグナルをもたらす任意の分子を指す。核酸への組み込みまたは核酸への結合のための多くのかかる標識は、当業者に既知である。開示の方法で使用するのに好適な検出標識の例としては、放射性同位体、蛍光分子、リン光分子、酵素、抗体、およびリガンドが挙げられる。蛍光標識は、特に蛍光変化プローブおよびプライマーの文脈において、増幅のリアルタイム検出に有用である。
【0137】
好適な蛍光標識の例としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、ダンシルクロリド、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリトロシン、BODIPY(登録商標)、Cascade Blue(登録商標)、Oregon Green(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンチン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、量子染色TM等のランタニドイオンの大環状キレート、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体等の蛍光エネルギー移動染色、ならびにシアニン染色Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、およびCy7が挙げられる。他の特定の蛍光標識の例としては、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコファーFFG溶液、ブランコファーSV、ボディピF1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルセインブルー、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコフォールホワイトABT溶液、カルコフォールホワイト標準溶液、カルボスチリル、カスケードイエロー、カテコールアミン、チナクリン、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、Dans(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、Dansa(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキシジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、二フッ化ジピロメテンホウ素、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリスロシンITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導性蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、Fura−2、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、グロキサン酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、Indo−1、イントラホワイトCf液、ロイコフォアPAF、ロイコフォアSF、ロイコフォアWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシファーイエローCH、ルシファーイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド、ヌクレアイエロー、ニロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラロサニリン(フォイルゲン)、ホルワイトAR溶液、ホルワイトBKL、ホルワイトRev、ホルワイトRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエクストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1、スルホローダミンBカンC、スルホローダミンGエクストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオフラビン、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、およびXRITCが挙げられる。
【0138】
蛍光標識の例としては、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)、ならびにシアニン染色Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、およびCy7が挙げられる。これらの蛍光についての吸収および発光極大波長は、それぞれ:FITC(490nm、520nm)、Cy3(554nm、568nm)、Cy3.5(581nm、588nm)、Cy5(652nm、672nm)、Cy5.5(682nm、703nm)、およびCy7(755nm、778nm)であり、これによってそれらの同時検出が可能になる。フルオレセイン色素の他の例としては、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’、5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−縮合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)、および2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光標識は、Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ;Molecular Probes,Eugene,OR;and Research Organics,Cleveland,Ohioを含む、種々の商業的供給源から入手できる。
【0139】
目的の追加的標識としては、それらが会合するプローブが標的分子に特異的に結合されるときのみシグナルを提供する標識が挙げられ、かかる標識としては以下が挙げられる:Tyagi&Kramer,Nature Biotechnology(1996)14:303および欧州特許第0 070 685 B1号に記載される「分子ビーコン」。目的の他の標識としては、米国特許第5,563,037号明細書ならびに国際公開第97/17471号および国際公開第97/17076号に記載される標識が挙げられる。
【0140】
標識化されたヌクレオチドは、合成の間に増幅産物に直接組み込まれ得るため、検出標識の別の形態である。増幅される標的核酸に組み込むことのできる検出標識の例としては、例えば、BrdUrd(5−ブロモデオキシウリジン、Hoy and Schimke,Mutation Research290:217−230(1993))、アミノアリルデオキシウリジン(Henegariu,et al.,Nature Biotechnology18:345−348(2000))、5−メチルシトシン(Sano,et al.,Biochim.Biophys.Acta 951:157−165(1998))、ブロモウリジン(Wansick,et al.,J.Cell Biology 122:283−293(1993))、ならびにビオチンで(Langer,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA78:6633(1981))またはジゴキシゲニン等の好適なハプテンで(Kerkhof,Anal.Biochem.205:359−364(1992))修飾されたヌクレオチド等のヌクレオチド類似体が挙げられる。好適な蛍光標識化ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアン酸塩−dUTP、シアニン−3−dUTP、およびシアニン−5−dUTP(Yu,et al.,Nucleic Acids Res.,22:3226−3232(1994))である。DNAのための好ましいヌクレオチド類似体検出標識は、BrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma−Aldrich Co.)である。DNAへの検出標識の組み込みに好ましい他のヌクレオチド類似体は、AA−dUTP(アミノアリル−デオキシウリジン三リン酸塩、Sigma−Aldrich Co.)、および5−メチル−dCTP(Roche Molecular Biochemicals)である。RNAへの検出標識の組み込みに好ましいヌクレオチド類似体は、ビオチン−16−UTP(ビオチン−16−ウリジン−5’−三リン酸塩、Roche Molecular Biochemicals)である。フルオレセイン、Cy3、およびCy5を、直接標識化のためにdUTPに結合させてもよい。Cy3.5およびCy7は、ビオチンまたはジゴキシゲニン標識化プローブの二次検出のためのアビジンまたは抗ジゴキシゲニン共役として利用可能である。
【0141】
ビオチン等の、増幅された標的核酸に組み込まれる検出標識を、当技術分野で周知の高感度な方法を用いて、その後検出することができる。例えば、ビオチンはストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ共役(Tropix,Inc.)を用いて検出可能で、それはビオチンに結合され、その後適切な基質(例えば、化学発光基質CSPD:二ナトリウム,3−(4−メトキシスピロ−[1,2,−ジオキセタン−3−2’−(5’−クロロ)トリクロロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸塩;Tropix,Inc.)の化学発光により検出される。標識はまた、アルカリホスファターゼ、大豆ペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびポリメラーゼ等の酵素であってもよく、これらは例えば、化学シグナル増幅を用いて、または光(例えば化学発光性1,2−ジオキセタン基質)もしくは蛍光シグナルを発生する酵素に対する基質を使用することによって検出できる。標識はまた、開示の試薬組成物でもある。
【0142】
これらの検出標識のうち2つ以上を組み合わせる分子もまた検出標識として考えられる。既知の検出標識のいずれも、開示されたプローブ、タグ、ならびに開示された方法を用いて増幅された核酸を標識化および検出するための方法とともに使用可能である。例えば、放射性同位体はシンチレーション計数または直接的視覚化により検出可能であり、蛍光分子は蛍光分光光度計で検出可能であり、リン光分子は分光光度計またはカメラによる直接的視覚化で検出可能であり、酵素は、その酵素で触媒される反応の産物の検出または視覚化によって検出可能であり、抗体は、その抗体に結合された二次標識を検出することによって検出可能である。本明細書で使用される場合、検出分子とは、増幅された核酸と相互作用して、そこに1つ以上の標識が結合される分子である。
【0143】
蛍光変化プローブおよびプライマー
蛍光変化プローブおよび蛍光変化プライマーとは、検出、検定、もしくは複製されるべきプローブまたはプライマーおよび核酸の形態または高次構造の変化に基づく、蛍光強度または波長の変化を伴う全てのプローブおよびプライマーを指す。蛍光変化プローブおよびプライマーの例としては、三重分子ビーコンまたは三重FRETプローブ、蛍光水溶性共役ポリマー、PNAプローブ、およびQPNAプローブを含むが、それらに限定されない、分子ビーコン、Amplifluors、FRETプローブ、切断可能FRETプローブ、TaqManプローブ、スコーピオンプライマー、蛍光三重オリゴが挙げられる。米国特許第7,445,900号明細書、Whitcombe,et al,1999,Nature Biotech17,804−807、Thelwell,et al.(2000),Nucleic Acid Research29,3752−3761、Solinas,et al.(2001),Nucleic Acid Research 29,1−9に記載されるDxSのスコーピオンプライマーもまた使用可能であり、スコーピオンプライマーの教示について、これらの特許および参考文献の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
蛍光変化プローブおよびプライマーは、それらの構造および/または機能に従って分類可能である。蛍光変化プローブとしては、ヘアピン消光性プローブ、切断消光性プローブ、切断活性化プローブ、および蛍光活性化プローブが挙げられる。蛍光変化プライマーとしては、ステム消光性プライマーおよびヘアピン消光性プライマーが挙げられる。複数のタイプの蛍光変化プローブおよびプライマーの使用は、Schweitzer and Kingsmore,Curr.Opin.Biotech.12:21−27(2001)に概説される。Hall et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA97:8272−8277(2000)は、Invader検定による蛍光変化プローブの使用を記載している。
【0145】
ヘアピン消光性プローブとは、標的配列に結合されないとき、ヘアピン構造(および典型的にはループ)を形成し、蛍光標識および消光部分を近位にもたらし、その結果、標識からの蛍光が消光されるプローブである。プローブが標的配列に結合するとき、このステムは破壊され、その消光部分はもはや蛍光標識に近位ではなくなり、蛍光が増大する。ヘアピン消光性プローブの例としては、分子ビーコン、蛍光三重鎖オリゴ、三重鎖分子ビーコン、三重鎖FRETプローブ、およびQPNAプローブが挙げられる。
【0146】
切断活性化プローブとは、蛍光がプローブの切断によって増大されるプローブである。切断活性化プローブは、蛍光標識および消光部分を近位で含む可能性があり、その結果、標識からの蛍光が消光される。プローブがクリップされるかまたは分解されるとき(典型的には、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって)、この消光部分はもはや蛍光標識に近位ではなくなり、蛍光が増大する。TaqManプローブ(Holland et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:7276−7280(1991))は、切断活性化プローブの例である。
【0147】
修飾されたTaqManプローブ
また、修飾されたTaqManプローブも本明細書に記載される。TaqManプローブは、検出、検定、もしくは複製されるべきプローブまたはプライマーおよび核酸の形態または高次構造の変化に基づく、蛍光強度または波長の変化を伴う蛍光変化プローブである。例えば、標的配列と相補的な配列からなり、追加的に、それぞれ5’または3’末端の修飾されたTaqManプローブと相補的な修飾されたTaqManプローブの3’または5’末端のいずれかに短尾を有する、修飾されたTaqManプローブが本明細書に記載される。短尾は、修飾されたTaqManプローブが標的核酸とハイブリッド形成されないとき、ステム−ループ構造の形成を補助することが可能である。修飾されたTaqManプローブの尾でない部分は、標的核酸と相補的であり、標的核酸とハイブリッド形成することができる。幾つかの態様では、修飾されたTaqManプローブの短尾は、標的と相補的であるか、または非相補的である可能性がある。
【0148】
修飾されたTaqManプローブは、本明細書に記載される方法において検出標識として使用可能である。修飾されたTaqManプローブは、それらが分子ビーコンよりもより容易に開き、修飾されたTaqManプローブが既存のTaqManプローブよりもより予測可能におよび効率的に消光するため、分子ビーコンおよび既存のTaqManプローブの改善体である。
【0149】
また、切断消光性プローブも、本明細書に記載される方法に使用可能である。切断消光性プローブとは、蛍光がプローブの切断によって減少されるかまたは変更されているプローブである。切断消光性プローブは、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含んでもよく、その結果、アクセプターおよびドナーが近位にあるとき、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移がアクセプターに蛍光を発生させる。プローブは、したがって、例えば、標的配列とハイブリッド形成されるとき、蛍光である。プローブがクリップされるかまたは分解されるとき(典型的には、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって)、このドナー部分はもはやアクセプター蛍光標識に近位ではなくなり、アクセプターからの蛍光が減少する。ドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、それは、アクセプターに近位でないときに蛍光(典型的にはアクセプターの蛍光と異なる波長で)としてエネルギーを放出することが可能である。全体的な効果は、つまり、アクセプター蛍光の減少およびドナー蛍光の増大であろう。切断消光性プローブの場合のドナー蛍光は、切断活性化プローブによって発せられる蛍光と等しく、アクセプターが消光部分であり、ドナーが蛍光標識である。切断可能なFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)プローブは、切断消光性プローブの例である。
【0150】
蛍光活性化プローブとは、プローブの標的配列とのハイブリダイゼーションによって蛍光が増大されるかまたは変更されている、プローブまたはプローブの対である。蛍光活性化プローブは、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含んでもよく、その結果、アクセプターおよびドナーが近位にあるとき(プローブが標的配列とハイブリッド形成されるとき)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー転移がアクセプターに蛍光を発生させる。蛍光活性化プローブとは典型的には、隣接した配列とハイブリッド形成するように設計され、その結果アクセプターおよびドナーが近位にされているプローブの対である。蛍光活性化プローブはまた、ドナーおよびアクセプターの両方を含む単一のプローブであってもよく、ここでプローブが標的配列とハイブリッド形成されないとき、このドナーおよびアクセプターは近位にないが、ドナーおよびアクセプターは、プローブが標的配列とハイブリッド形成したとき近位にされる。これは、例えば、プローブの反対の末端にドナーおよびアクセプターを配置すること、およびプローブの各末端に標的相補的配列を配置することによって達成可能であり、ここでこの標的相補的配列は、標的配列における隣接した配列に相補的である。蛍光活性化プローブのドナー部分がそれ自体蛍光標識である場合、それは、アクセプターに近位でないときに(つまり、プローブが標的配列とハイブリッド形成されないとき)、蛍光(典型的にはアクセプターの蛍光と異なる波長で)としてエネルギーを放出することが可能である。プローブが標的配列とハイブリッド形成するとき、全体的な効果は、つまり、ドナー蛍光の減少およびアクセプター蛍光の増大であろう。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの例である。
【0151】
ステム消光性プライマーとは、相補的な配列とハイブリッド形成されないとき、標識からの蛍光が消光されるように蛍光標識および消光部分を近位にさせるステム構造(分子内ステム構造または分子間ステム構造のいずれか)を形成するプライマーである。プライマーが相補的な配列に結合するとき、このステムは破壊され、その消光部分はもはや蛍光標識に近位ではなく、蛍光が増大する。開示の方法では、ステム消光性プライマーは、核酸合成のためのプライマーとして使用され、したがって合成核酸または増幅核酸に組み込まれる。ステム消光性プライマーの例としては、ペプチド核酸消光性プライマーおよびヘアピン消光性プライマーが挙げられる。
【0152】
ペプチド核酸消光性プライマーとは、ペプチド核酸消光剤またはペプチド核酸蛍光と会合してステム構造を形成するプライマーである。このプライマーは、蛍光標識または消光部分を含有し、それぞれペプチド核酸消光剤またはペプチド核酸蛍光のいずれかと会合する。これは、消光部分の近位に蛍光標識を置く。プライマーが複製されるとき、ペプチド核酸は置換され、これによって蛍光標識が蛍光シグナルを産生することが可能になる。
【0153】
ヘアピン消光性プライマーとは、相補的な配列とハイブリッド形成されないとき、標識からの蛍光が消光されるように蛍光標識および消光部分を近位にさせるヘアピン構造(および典型的には、ループ)を形成するプライマーである。プライマーが相補的な配列に結合するとき、このステムは破壊され、その消光部分はもはや蛍光標識に近位ではなくなり、蛍光が増大する。ヘアピン消光性プライマーは典型的には、核酸合成のためのプライマーとして使用され、したがって合成核酸または増幅核酸に組み込まれる。ヘアピン消光性プライマーの例としては、Amplifluorプライマー(Nazerenko et al.,Nucleic Acids Res.25:2516−2521(1997))およびスコーピオンプライマー(Thelwell et al.,Nucleic Acids Res.28(19):3752−3761(2000))が挙げられる。
【0154】
切断活性化プライマーは、それらが複製された鎖に組み込まれるプライマーであり、次いでその後切断されることを除いて、プローブに類似する。Little et al.,Clin.Chem.45:777−784(1999)は、切断活性化プライマーの使用を記載する。
【0155】
固体支持体
固体支持体は、開示の方法の標的核酸または増幅産物(または開示の方法に使用されるか、またはそれによって産生される他の構成成分)が会合される固体基質または支持体である。標的核酸は、固体支持体に直接にまたは間接に会合可能である。増幅産物は、固体支持体に直接にまたは間接に会合可能である。例えば、増幅産物は、固体支持体の表面に結合可能であるか、または捕捉抗体もしくは固体支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブに会合可能である。アレイ検出器は、多数の異なる捕捉抗体またはオリゴヌクレオチドプローブが、アレイ、グリッド、または他の組織化パターンとして結合可能な固体支持体である。標的アレイは、固体支持体に結合された標的核酸のアレイである。オリゴヌクレオチドプローブアレイは、固体支持体に結合されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイである。捕捉抗体アレイは、固体支持体に結合された捕捉抗体のアレイである。
【0156】
固体支持体に使用するための固体基質は、構成成分が直接にまたは間接に会合可能である、任意の固体物質を含んでもよい。これには、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ニロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、官能化シラン、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グルコサミノグリカン、ポリアミノ酸、または磁石等の物質が含まれる。固体基質は、薄膜、膜、瓶、皿、繊維、織られた繊維、成形重合体、粒子、ビーズ、微粒子、または組み合わせを含む、あらゆる有用な形態を有することができる。固体基質および固体支持体は、多孔質または非多孔質であってもよい。チップは、物質の長方形または正方形の小片である。固体基質のために有用な形態は、マイクロタイター皿である。幾つかの実施形態では、マルチウェルガラススライドが用いられてもよい。
【0157】
アレイは、固体支持体上の特定されたまたは前規定された位置に固定化された複数の構成成分(標的核酸、標的試料、検出標識、オリゴヌクレオチドプローブ、捕捉抗体、または増幅産物等)を含んでもよい。固体支持体上の各前規定された位置は、概して、1つのタイプの構成成分を有する(つまり、その位置の全ての構成成分は、同一である)。代替的に、多数のタイプの構成成分が、固体支持体上の同一の前規定された位置に固定化可能である。各位置は、所定の構成成分の多数のコピーを有するであろう。固体支持体上の異なる構成成分の空間分離は、増幅産物の別個の検出および特定を可能にする。固体支持体が単一のユニットまたは構造であることは、有用であるが、必須ではない。構成成分のセットは、任意の数の固体支持体上に分配可能である。例えば、1つの末端で、各構成成分は、別個の反応管または容器中で、または別個のビーズまたは微粒子上で固定化可能である。
【0158】
オリゴヌクレオチドの固体基質に対する固定化のための方法は、定着している。オリゴヌクレオチドプローブを含むオリゴヌクレオチドは、確立された結合方法を用いて基質に結合可能である。例えば、好適な結合方法は、Pease et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91(11):5022−5026(1994)、およびKhrapko et al.,Mol Biol(Mosk)(USSR)25:718−730(1991)によって記載される。3’−アミンオリゴヌクレオチドの、カゼインコーティングされたスライド上での固定化のための方法は、Stimpson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:6379−6383(1995)によって記載される。オリゴヌクレオチドを固体基質に結合させる有用な方法は、Guo et al.,Nucleic Acids Res.22:5456−5465(1994)によって記載される。
【0159】
抗体および他のタンパク質を固体基質に対して固定化する方法は、定着している。固定化は、標準固定化化学を用いて、例えば、アミノ化された表面、カルボキシル化された表面、またはヒドロキシル化された表面への結合によって達成可能である。結合薬剤の例としては、臭化シアン、スクシンイミド、アルデヒド、塩化トシル、アビジン−ビオチン、光架橋性剤、エポキシド、およびマレイミドが挙げられる。結合剤の別の例は、グルタルアルデヒドである。これらのおよび他の結合剤、ならびにそれらを結合に使用する方法は、Protein immobilization:fundamentals and applications,Richard F.Taylor,ed.(M.Dekker,New York,1991)、Johnstone and Thorpe,Immunochemistry In Practice(Blackwell Scientific Publications,Oxford,England,1987)pages209−216and241−242、およびImmobilized Affinity Ligands,Craig T.Hermanson et al.,eds.(Academic Press、New York、1992)に記載される。抗体および他のタンパク質は、抗体またはタンパク質上の遊離アミノ基を、固体基質内に存在する反応性側基に化学的に架橋結合することによって、基質に結合可能である。例えば、抗体は、架橋結合剤としてグルタルアルデヒドまたはカルボジイミドを用いて、遊離アミノ基またはカルボキシル基を含有する基質に化学的に架橋結合されてもよい。この方法では、遊離抗体を含有する水溶液は、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドの存在下で固体基質を用いてインキュベートされる。グルタルアルデヒドとの架橋結合について、反応物は、pH7.4の0.1Mカコジル酸ナトリウム等の緩衝溶液中で、2容量%グルタルアルデヒドを用いてインキュベートすることが可能である。他の標準固定化化学は、当業者に既知である。
【0160】
固体支持体上で固定化された構成成分の各々は、固体支持体の前規定された異なる領域に位置することが可能である。異なる位置は、異なる反応チャンバであり得る。前規定された異なる領域の各々は、異なる領域の互いから物理的に分離可能である。固体支持体の前規定された異なる領域の間の距離は、固定されるか、または可変のいずれかであり得る。例えば、アレイにおいて、構成成分の各々は、互いに固定化された距離で配列可能である一方で、ビーズと会合する構成成分は、固定化された空間関係にはないであろう。特に、多数の固体支持体ユニット(例えば、多数のビーズ)の使用は、可変の距離をもたらすであろう。
【0161】
構成成分は、固体支持体上で、任意の密度で会合または固定化可能である。構成成分は、1立方センチメートル当たり400個を超える異なる構成成分の密度で、固体支持体に対して固定化可能である。構成成分のアレイは、任意の数の構成成分を有することができる。例えば、アレイは、固体支持体上で固定化された少なくとも1,000個の異なる構成成分、固体支持体上で固定化された少なくとも10,000個の異なる構成成分、固体支持体上で固定化された少なくとも100,000個の異なる構成成分、または固体支持体上で固定化された少なくとも1,000,000個の異なる構成成分を有することができる。
【0162】
固体検出器
固体検出器は、オリゴヌクレオチドプローブまたは捕捉抗体が結合されている固体支持体である。固体検出器の好ましい形態は、アレイ検出器である。アレイ検出器は、多数の異なるオリゴヌクレオチドプローブまたは捕捉抗体が、アレイ、グリッド、または他の組織化パターンとして結合されている固体検出器である。
【0163】
固体検出器に使用するための固体基質は、オリゴヌクレオチドが結合可能な任意の固体物質を含んでもよい。これには、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ニロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、官能化シラン、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グルコサミノグリカン、およびポリアミノ酸等の物質が含まれる。固体基質は、薄膜、膜、瓶、皿、繊維、織られた繊維、成形重合体、粒子、ビーズ、微粒子、または組み合わせを含む、あらゆる有用な形態を有することができる。固体基質および固体支持体は、多孔質または非多孔質であってもよい。チップは、物質の長方形または正方形の小片である。固体基質のための好ましい形態は、薄膜、ビーズ、またはチップである。固体基質のために有用な形態は、マイクロタイター皿である。幾つかの実施形態では、マルチウェルガラススライドが用いられてもよい。
【0164】
固体基質上に固定化された捕捉抗体は、固体検出器上の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドまたはそれらの増幅標的の捕捉を可能にする。かかる捕捉は、後続の方法ステップを妨げ得る反応構成成分を洗浄除去する簡便な手段を提供する。異なる捕捉抗体を固体検出器の異なる領域に結合させることによって、異なる産物が、固体検出器上の異なる、およびしたがって特徴的な位置で捕捉可能である。例えば、多重化検定において、多数の異なる標的核酸(各々、異なるセットのプライマーを介して増幅される異なる標的核酸配列を表す)に特異的なオリゴヌクレオチドプローブは、各々異なる位置で、アレイにおいて固定化可能である。捕捉および検出は、対応する標的核酸配列がそれに対して試料中に存在していた増幅された核酸に相当するアレイ位置のみで生じるであろう。
【0165】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドプローブ、オリゴヌクレオチドプライマー、または他のあらゆるオリゴヌクレオチドは、確立されたオリゴヌクレオチド合成方法を用いて合成可能である。オリゴヌクレオチドを産生または合成する方法は、周知である。かかる方法は、標準酵素分解とそれに続くヌクレオチド断片単離から(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)5、6章を参照されたい)、例えば、シアノエチルホスホラミダイト法による、純粋な合成方法の範囲に及び得る。DNA断片の固相化学合成は、保護ヌクレオシドシアノエチルホスホラミダイトを用いて規定通りに行われる(S.L.Beaucage et al.(1981)Tetrahedron Lett.22:1859)。このアプローチでは、初期5’−保護ヌクレオシドの3’−ヒドロキシル基は、最初に重合体支持体に共有結合される(R.C.Pless et al.(1975)Nucleic Acids Res.2:773(1975))。次いでオリゴヌクレオチドの合成は、結合されたヌクレオシドの5’−ヒドロキシル基の脱保護、続いて入来ヌクレオシド−3’−ホスホラミダイトの、脱保護されたヒドロキシル基への結合によって進行する(M.D.Matteucci et a.(1981)J.Am.Chem.Soc.103:3185)。得られた亜リン酸トリエステルは、最終的にリン酸トリエステルに酸化されて、ヌクレオチド間結合を完了する(R.L.Letsinger et al.(1976)J.Am.Chem.Soc.9:3655)。代替的に、ホスホロチオエート結合の合成は、亜リン酸トリエステルの硫酸化によって行われてもよい。この反応を行うために複数の化学物質が使用可能であり、その中でも3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン、1,1−ジオキシド(R.P.Iyer,W.Egan,J.B.Regan,and S.L.Beaucage,J.Am.Chem.Soc.,1990,112,1253−1254)がある。脱保護、結合、および酸化のステップは、所望の長さおよび配列のオリゴヌクレオチドが得られるまで反復される。H−ホスホネート方法(Hall et al,(1957)J.Chem.Soc.,3291−3296)またはIkuta et al.,Ann.Rev.Biochem.53:323−356(1984)、(ホスホトリエステルおよび亜リン酸トリエステル法)、およびNarang et al.,Methods Enzymol.,65:610−620(1980)、(ホスホトリエステル法)によって記載される、ホスホトリエステル法等のオリゴヌクレオチドを生成するための他の方法が存在する。タンパク質核酸分子は、Nielsen et al.,Bioconjug.Chem.5:3−7(1994)によって記載される方法等の、既知の方法を用いて作製可能である。オリゴヌクレオチド合成の他の形態は、米国特許第6,294,664号明細書および米国特許第6,291,669号明細書に記載される。
【0166】
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、概して、合成の間、その中のサブユニットブロックのサブユニットがオリゴヌクレオチド鎖に付加される配列順序によって判定される。各回の付加は、異なる、特定のヌクレオチド前駆体、または1つ以上の異なるヌクレオチド前駆体の混合物を伴うことができる。概して、オリゴヌクレオチド内の縮重位置または無作為位置は、その位置で存在可能なヌクレオチドの範囲を表すヌクレオチド前駆体の混合物を用いることによって産生可能である。したがって、AおよびTのための前駆体は、その位置がAおよびTのために縮重されるべきである場合、オリゴヌクレオチド内の具体的な位置のための反応に含まれてもよい。4つのヌクレオチド全てのための前駆体は、完全な縮重位置または無作為位置のために含まれてもよい。完全に無作為なオリゴヌクレオチドは、4つのヌクレオチド前駆体全てを各回の合成に含むことによって作製可能である。異なる比率の異なるヌクレオチドを有する縮重オリゴヌクレオチドもまた、作製可能である。かかるオリゴヌクレオチドは、反応において、例えば、異なるヌクレオチド前駆体を所望の比率で用いることによって作製可能である。
【0167】
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドの多くは、他のオリゴヌクレオチドまたは核酸の特定の部分と相補的であるように設計され、その結果、安定的ハイブリッドがそれらの間に形成可能となる。これらのハイブリッドの安定性は、Lesnick and Freier,Biochemistry34:10807−10815(1995)、McGraw et al.,Biotechniques8:674−678(1990)、およびRychlik et al.,Nucleic Acids Res.18:6409−6412(1990)に記載される方法等の既知の方法を用いて算出可能である。
【0168】
それらの関連機能が維持される限り、オリゴヌクレオチドプライマー、オリゴヌクレオチドプローブ、および他のあらゆるオリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド(ヌクレオチド類似体)からなってもよく、またはそれを含んでもよい。多くの修飾されたヌクレオチドは、既知であり、オリゴヌクレオチド内で使用可能である。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、またはリン酸塩部分のいずれかに対する、ある種のタイプの修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾は、A、C、G、およびT/U、ならびにウラシル−5−イル、ヒポキサンチン−9−イル(I)、および2−アミノアデニン−9−イル等の異なるプリン塩基またはピリミジン塩基の、天然修飾および合成修飾を含むであろう。修飾された塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チロウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(擬似ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、具体的には、5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが含まれるが、それらに限定されない。追加的塩基修飾は、例えば、米国特許第3,687,808号明細書、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、およびSanghvi,Y.S.,Chapter15,Antisense Research and Applications,pages289−302、Crooke,S.T.and Lebleu,B.ed.,CRC Press,1993に見出すことができる。5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6、およびO−6置換プリン等の特定のヌクレオチド類似体。5−メチルシトシンは、二重鎖形成の安定性を増加させることができる。他の修飾された塩基は、ユニバーサル塩基として機能する塩基である。ユニバーサル塩基は、3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドールを含む。ユニバーサル塩基は、通常の塩基を置換するが、塩基対形成の際のバイアスを有さない。つまり、ユニバーサル塩基は、他のあらゆる塩基と塩基対形成することができる。塩基修飾は、しばしば、例えば、2’−O−メトキシエチル等の糖修飾と組み合わされて、増加された二重鎖安定性等の固有の特性を達成することができる。塩基修飾の範囲を詳述および説明する、米国特許第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、および第5,681,941号明細書等の多数の米国特許が存在する。これらの特許の各々は、特に塩基修飾、それらの合成、それらの使用、ならびにそれらのオリゴヌクレオチドおよび核酸への組み込みのそれらの説明について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0169】
キット
上述の物質ならびに他の物質は、開示の方法を行うため、またはその性能を補助するための有用なキットとして、あらゆる好適な組み合わせで共にパッケージ化可能である。それは、所定のキット内のキットの構成要素が、開示の方法で共に使用するように設計および適合される場合に有用である。例えば、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸を増幅するためのキットが開示され、そのキットは、標的核酸の捕捉、tHDA増幅、増幅産物の検出のために、1つ以上の試薬組成物および1つ以上の構成成分もしくは試薬またはその両方を含む。例えば、キットは、1つ以上の試薬組成物および1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブ、1つ以上の捕捉抗体、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー、1つ以上の検出標識、または組み合わせを含んでもよい。キットの別の形態は、複数の試薬組成物を含んでもよい。キットはまた、例えば、ヌクレオチド、緩衝剤、ヘリカーゼ、アクセサリータンパク質、トポイソメラーゼ、または組み合わせを含有してもよい。
【0170】
混合物
開示の組成物を調製することによって、または開示の方法を行うこともしくは行うための調製をすることによって、形成される混合物が開示される。本方法が、組成物もしくは構成成分もしくは試薬を混合するまたは接触させることを伴う場合はいつでも、本方法を行うことによって、幾つかの異なる混合物が作り出される。例えば、方法が3つの混合ステップを含む場合で、ステップが別個で行われる場合、これらのステップの各々の後に固有の混合物が形成される。加えて、ステップがどのように行われたかに関わらず、全てのステップの完了時に混合物が形成される。本開示は、開示の方法の性能によって得られるこれらの混合物、ならびに例えば、本明細書に開示の、開示のあらゆる試薬、組成物、または構成成分を含有する混合物を企図する。
【0171】
システム
開示の方法を行う、またはその性能を補助するのに有用な、システムが開示される。また、試薬組成物を産生するためのシステムも開示される。システムは、概して、構造、機械、装置等、および組成物、化合物、物質等の、製造品の組み合わせを含む。開示のまたは開示から明白なかかる組み合わせが企図される。例えば、固体支持体および試薬組成物を含むシステムが開示または企図される。
【0172】
データ構造およびコンピュータ制御
開示の方法に使用され、それによって生成され、またはそれから生成されるデータ構造が開示される。概してデータ構造は、組成物または媒体中で、採取、組織化、保管、および/または具体化されたデータ、情報、および/または対象の任意の形態である。RAM内または保管ディスク上等の電子的形態で保管された標的フィンガープリントは、データ構造のタイプである。
【0173】
開示の方法、またはその任意の部分もしくはそのための調製は、コンピュータ制御によって制御、管理、または他の方法で補助可能である。かかるコンピュータ制御は、コンピュータ制御されたプロセスまたは方法によって達成可能であり、データ構造を使用するおよび/またはそれを生成することができ、ならびにコンピュータプログラムを使用することができる。かかるコンピュータ制御、コンピュータ制御されたプロセス、データ構造、およびコンピュータプログラムは、企図され、本明細書に開示されるものとして理解されたい。
【0174】
使用
開示の組成物および方法は、標的核酸の検出および/または分析、疾患検出、タンパク質検出、核酸マッピング、突然変異検出、遺伝子発見、遺伝子マッピング、および農業研究を含むが、それらに限定されない多数の領域に適用可能である。標的核酸を増幅または検出する検定は、特に有用である。他の使用には、例えば、試料中の標的核酸の検出、突然変異検出、ならびにクラミジア・トラコマチス(CT)およびナイセリア・ゴノレア(NG)等の性感染症の検出が含まれる。
【0175】
方法
ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法が本明細書に開示される。例えば、ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法が本明細書に開示され、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(f)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。この方法は、例えば、ステップ(a)が最初に行われ、次いでステップ(b)、次いでステップ(c)といったように、別個のステップで行われてもよい。加えて、この方法は、ステップ(e)、(f)、および(g)、またはステップ(f)および(g)が同時に行われるように行われてもよい。
【0176】
2本鎖標的核酸は、ステップ(a)の前に試料から単離されてもよく、または2本鎖標的核酸は、標的核酸試料中に存在してもよい。つまり、方法は、試料上で直接に行われてもよい。試料は、血液、尿、便、唾液、涙液、胆汁頸部、泌尿生殖器、鼻腔スワブ、痰、または他の生物学的試料を含むが、それらに限定されない、本明細書に記載される試料のいずれであってもよい。
【0177】
2本鎖標的核酸がDNAである場合には、ポリヌクレオチドプローブは、RNAであってもよい。代替的に、2本鎖標的核酸がRNAである場合には、ポリヌクレオチドプローブは、DNAであってもよい。
【0178】
また、増幅が、本明細書の他の箇所に説明される通り、等温条件下で行われてもよい。「ヘリカーゼ依存性反応」は、ゲル電気泳動によって判定されるヘリカーゼの非存在下では生じない増幅反応である。本明細書に記載される方法では、ヘリカーゼ調製物が使用される。幾つかの態様では、ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼおよび任意選択で1本鎖結合タンパク質を含む。幾つかの態様では、ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼと、ヘリカーゼ調製物が、1本鎖結合タンパク質(SSB)が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、1本鎖結合タンパク質とを含む。
【0179】
また、ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示され、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体は、磁気ビーズを含み、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(f)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。
【0180】
本明細書に記載される方法では、ステップ(e)で添加される1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するため、ならびにヘリカーゼ依存性反応のために使用可能である。例えば、ステップ(e)で伸長されるプライマーはまた、ヘリカーゼ依存性反応において、順方向または逆方向プライマーとしても機能することができる。代替的に、異なるオリゴヌクレオチドプライマーが、ステップ(e)に、およびヘリカーゼ調製物に添加可能である。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、互いにハイブリッド形成する可能性を最小化するように設計可能である。オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ設計の方法は、本明細書の他の箇所に説明される。加えて、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、それらの同族標的との重複を最小化するように設計可能である。ある程度の重複が、反応が起こることを妨げることはないであろうが、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの間の重複は最小化されるべきである。
【0181】
また、ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示され、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(f)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーのうちの1つ以上は、異なる濃度で存在するステップと、を含む。例えば、オリゴヌクレオチドプローブがより低い濃度で存在し、オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドプローブがそれとハイブリッド形成するように設計された標的核酸の鎖の補体とハイブリッド形成するように設計されるとき、プライマーが、標的核酸の同一の鎖とハイブリッド形成するように設計される方法が開示される。そのような、オリゴヌクレオチド濃度の非対称は、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸配列とより容易に、より少ない競合によりハイブリッド形成することを可能にする。
【0182】
幾つかの態様では、標的核酸を変性させることは、標的核酸を変性させるために標的核酸を加熱することを含んでもよい。幾つかの態様では、標的核酸を変性させることは、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させる前に、標的核酸をNaOHの存在下でインキュベートすることを含んでもよい。他の態様では、標的核酸を変性させることは、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させる前に、標的核酸を50mM NaOHの存在下で、65℃で10分間インキュベートすることを含んでもよい。
【0183】
また、ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示され、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、変性させた標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(f)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含み、この方法は、標的核酸を検出することをさらに含む。検出は、検出標識を反応混合物に添加することによって行われてもよい。例えば、ステップ(a)〜(g)の間または後に検出標識が添加される方法が本明細書に開示される。また、検出標識がステップ(e)、(f)、もしくは(g)の間または後に添加される方法も開示される。検出は、増幅反応(例えば、ヘリカーゼ依存性反応)の間、増幅反応の後、または増幅反応の間と後に起こり得る。標的核酸は、エンドポイント蛍光検出によって検出可能である。
【0184】
また、ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法も開示され、この方法は、(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(b)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体のうちの1つ以上は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(e)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。
【0185】
1本鎖標的核酸は、任意の1本鎖核酸であってもよく、それには、RNA、DNA、cDNA、または本明細書の他の箇所に説明される他のあらゆる核酸が含まれる。
【0186】
1本鎖標的核酸がRNAである場合には、DNAオリゴヌクレオチドプローブが使用可能である。1本鎖標的核酸がmRNAである幾つかの態様では、ステップ(a)の前に逆転写が行われてもよく、そこでmRNAは、逆転写されてcDNAを形成する。mRNAが逆転写されてcDNAを形成する場合には、RNAオリゴヌクレオチドプローブが使用可能である。ステップ(a)の前にmRNAが逆転写されてcDNAを形成する幾つかの態様では、逆転写反応の後、mRNAは、ステップ(a)の前または間に分解可能であるか、またはmRNA分解は行われ得ない。1本鎖標的核酸がmRNAである幾つかの態様では、mRNA自体が1本鎖標的核酸として作用することができる。かかる態様では、ステップ(e)は、逆転写反応をさらに含んでもよく、それによってステップ(e)のオリゴヌクレオチドプライマーは、逆転写反応を起こしてcDNAを形成するために機能することができる。次いでcDNAは、cDNA標的核酸二重鎖を形成するために、プライマー伸長のためのテンプレートとして機能することができる。
【0187】
幾つかの態様では、1本鎖標的核酸配列を増幅する方法であり、この方法は、例えば、ステップ(a)が最初に行われ、次いでステップ(b)、次いでステップ(c)といったように、別個のステップで行われてもよい。加えて、この方法は、ステップ(e)、(f)、および(g)、またはステップ(f)および(g)が同時に行われるように行われてもよい。
【0188】
1本鎖標的核酸は、ステップ(a)の前に試料から単離されてもよく、または2本鎖標的核酸は、標的核酸試料中に存在してもよい。つまり、方法は、試料上で直接に行われてもよい。試料は、血液、尿、便、唾液、涙液、胆汁頸部、泌尿生殖器、鼻腔スワブ、痰、または他の生物学的試料を含むが、それらに限定されない、本明細書に記載される試料のいずれであってもよい。
【0189】
1本鎖標的核酸がDNAである場合には、ポリヌクレオチドプローブは、RNAであってもよい。代替的に、1本鎖標的核酸がRNAである場合には、ポリヌクレオチドプローブは、DNAであってもよい。
【0190】
増幅はまた、本明細書の他の箇所に説明される通り、等温条件下で行われてもよい。「ヘリカーゼ依存性反応」は、ゲル電気泳動によって判定されるヘリカーゼの非存在下では生じない増幅反応である。本明細書に記載される方法では、ヘリカーゼ調製物が使用される。幾つかの態様では、ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼおよび任意選択で1本鎖結合タンパク質を含む。幾つかの態様では、ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼと、ヘリカーゼ調製物が、1本鎖結合タンパク質が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、1本鎖結合タンパク質(SSB)とを含む。
【0191】
また、ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法も開示され、この方法は、(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(b)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体は、磁気ビーズを含み、1つ以上の捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(e)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む。
【0192】
本明細書に記載される方法では、ステップ(e)で添加される1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するため、ならびにヘリカーゼ依存性反応のために使用可能である。例えば、ステップ(e)で伸長されるプライマーはまた、ヘリカーゼ依存性反応において、順方向または逆方向プライマーとしても機能することができる。代替的に、異なるオリゴヌクレオチドプライマーが、ステップ(e)に、およびヘリカーゼ調製物に添加可能である。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、互いにハイブリッド形成する可能性を最小化するように設計可能である。オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ設計の方法は、本明細書の他の箇所に説明される。加えて、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、それらの同族標的との重複を最小化するように設計可能である。ある程度の重複が、反応が起こることを妨げはしないであろうが、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの間の重複は最小化されるべきである。
【0193】
また、ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法も開示され、この方法は、(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(b)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体のうちの1つ以上は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(e)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含み、オリゴヌクレオチドプライマーのうちの1つ以上は、異なる濃度で存在する。例えば、オリゴヌクレオチドプローブがより低い濃度で存在し、オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドプローブがそれとハイブリッド形成するように設計された標的核酸の鎖の補体とハイブリッド形成するように設計されるとき、プライマーが、標的核酸の同一の鎖とハイブリッド形成するように設計される方法が開示される。そのような、オリゴヌクレオチド濃度の非対称は、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸配列とより容易に、より少ない競合によりハイブリッド形成することを可能にする。
【0194】
増幅された核酸産物は、臭化エチジウム染色、ならびに放射標識、蛍光標識、および酵素からなる群から選択される標識を用いて、増幅された配列を検出することを含む種々の方法によって検出されてもよい。例えば、HDA増幅産物は、蛍光標識化されたLUX(商標)用いてリアルタイムで検出可能である。ヘアピン構造の3’末端の近くのフルオロフォアを用いて設計されたオリゴヌクレオチドである、プライマー(Invitrogen Corporation,Carlsbad,Calif.)。この構成は、別個の消光部分を用いずに、本質的に蛍光消光能力を提供する。プライマーが2本鎖増幅産物に組み込まれるとき、フルオロフォアが発光され、蛍光シグナルの有意な増大をもたらす。
【0195】
例えば、ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法も開示され、この方法は、(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、1本鎖標的核酸と接触させるステップであって、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(b)2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体のうちの1つ以上は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸とハイブリッド形成するステップと、(e)標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、標的核酸と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含み、この方法は、標的核酸を検出することをさらに含む。検出は、検出標識を反応混合物に添加することによって行われてもよい。例えば、ステップ(a)〜(g)の間または後に検出標識が添加される方法が本明細書に開示される。また、検出標識がステップ(e)、(f)、もしくは(g)の間または後に添加される方法も開示される。検出は、増幅反応(例えば、ヘリカーゼ依存性反応)の間、増幅反応の後、または増幅反応の間と後に起こり得る。標的核酸は、エンドポイント蛍光検出によって検出可能である。
【0196】
幾つかの態様では、開示の方法の一部は、均一検定において行われてもよい。「均一検定」は、標的核酸の増幅および検出が同一の反応で起こる検定である。均一検定は、標的核酸の増幅の間または後に検出可能なシグナルを発生させる検定であってもよい。例えば、ステップ(e)〜(g)は、均一検定において行われてもよい。
【0197】
本明細書に記載される方法の幾つかの態様では、糖および/または他の添加物は、高温で使用されるポリメラーゼまたはヘリカーゼを安定化させるために使用可能である。添加物は、他の試薬から独立して添加されてもよく、またはそれらは、ヘリカーゼ調製物の一部であってもよい。例えば、開示の増幅法に使用するための添加物は、熱不安定性核酸ポリメラーゼが、昇温でテンプレート依存性重合を行うことを可能にする、任意の化合物、組成物、または組み合わせである。概して、添加物は、核酸ポリメラーゼに対する熱安定効果を有する。添加物は、熱不安定性核酸ポリメラーゼが、ポリメラーゼの通常の活性範囲を超える温度で使用されることを可能にする。有用な添加物には、糖、シャペロン、タンパク質、糖類、アミノ酸、多価アルコール、およびそれらの誘導体、および他のオスモライトが含まれる。有用な糖には、トレハロース、グルコースおよびスクロースが含まれる。有用な糖類には、オリゴ糖類、およびトレハロース、マルトース、グルコース、スクロース、ラクトース、キシロビオース、アガロビオース、セロビオース、レバンビオース、キトビオース、2−β−グルクロノシルグルクロン酸、アロース、アルトロース、ガラクトース、グロース、イドース、マンノース、タロース、ソルビトール、レブロース、キシリトール、アラビトール等の単糖類、およびグリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが含まれる。有用なアミノ酸およびその誘導体には、を含むN−アセチル−β−リシン、アラニン、γ−アミノ酪酸、ベタイン、Nα−カルバモイル−L−グルタミン1−アミド、コリン、ジメチルテチン、エコタイン(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)、グルタミン酸塩、β−グルタミン、グリシン、オクトピン、プロリン、サルコシン、タウリン、およびトリメチルアミンN−オキシド(TMAO)が含まれる。有用なシャペロンタンパク質には、好熱性細菌のシャペロンタンパク質、ならびにHSP90、HSP70、およびHSP60等の熱ショックタンパク質が含まれる。他の有用な添加物には、ソルビトール、マンノシルグリセリン酸、ジグリセロールリン酸塩、および環状−2,3−ジホスホグリセリン酸が含まれる。化合物および組成物の組み合わせは、添加物として使用可能である。
【0198】
幾つかの態様では、添加物は、糖、シャペロン、タンパク質、糖類、アミノ酸、多価アルコール、およびそれらの誘導体、他のオスモライト、アミノ酸誘導体、およびシャペロンタンパク質からなる群から選択することができる。例えば、添加物は、DMSO、ベタイン、ソルビトール、硫酸デキストラン、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。DMSOが添加物として使用される幾つかの態様では、DMSOは、1〜2%の最終濃度で使用可能である。ベタインが添加物として使用される幾つかの態様では、ベタインは、0.1M〜0.5Mの最終濃度で使用可能である。ソルビトールが添加物として使用される幾つかの態様では、ソルビトールは、0.1M〜0.3Mの最終濃度で使用可能である。硫酸デキストランが添加物として使用される幾つかの態様では、硫酸デキストランは、10pM〜1nMの最終濃度で使用可能である。
【0199】
また、単一の反応で1つを超える標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示される。本明細書に記載される方法は、異なる試薬組成物(異なるオリゴヌクレオチドプローブおよび異なるオリゴヌクレオチドプライマーを有する)のセットを用いることによって多重化されてもよく、各試薬組成物は、例えば、異なる標的核酸および/またはアレイ位置と会合する。例えば、同一の反応において、クラミジア・トラコマチス(CT)およびナイセリア・ゴノレア(NG)を増幅する方法が本明細書に開示され(例えば、実施例5を参照されたい)、ここでマルチコピーOpa遺伝子(NGのため)、潜在プラスミド(CTのため)、または外膜タンパク質(OMP)遺伝子(CTのため)のいずれかに特異的なeRNAオリゴヌクレオチドプローブは、同対象に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーと組み合わせて使用された。
【0200】
また、単一のヘリカーゼ依存性反応において、2つの2本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示され、ここで2つの2本鎖標的核酸は、第1および第2の2本鎖標的核酸を含み、この方法は、(a)標的核酸を変性させるステップと、(b)第1の変性させた標的核酸を、第1の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第1の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させ、第2の変性させた標的核酸を、第2の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第2の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップと、(c)第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(e)第1の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上の第1の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加し、第2の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上の第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップと、(f)第1および第2の標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、それぞれ、第1および第2の標的核酸と相補的な第1および第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(g)ステップ(f)の第1および第2の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップであって、ヘリカーゼ調製物は、第1の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーを含み、かつ第2の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーをさらに含むステップと、を含む。
【0201】
また、単一のヘリカーゼ依存性反応において、2つの1本鎖標的核酸を増幅する方法も本明細書に開示され、ここで2つの1本鎖標的核酸は、第1および第2の2本鎖標的核酸を含み、この方法は、(a)第1の変性させた標的核酸を、第1の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第1の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させ、第2の変性させた標的核酸を、第2の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第2の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップと、(b)第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、1つ以上の捕捉抗体は、第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成するステップと、(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、(d)第1の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上の第1の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加し、第2の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上の第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップと、(e)第1および第2の標的核酸二重鎖を形成するためのDNAポリメラーゼを用いて、それぞれ、第1および第2の標的核酸と相補的な第1および第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、(f)ステップ(e)の第1および第2の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させ、ヘリカーゼ依存性反応において標的核酸二重鎖を増幅するステップであって、ヘリカーゼ調製物は、第1の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーを含み、かつ第2の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーをさらに含むステップと、を含む。
【0202】
単一の反応において1つ以上の標的核酸を増幅または検出するとき、オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーの設計が重要となる。各オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブは、その同族標的核酸配列に特異的であるように設計されるべきである。また、本方法をより効率的にするために、プライマー二量体またはプライマープローブ二量体を回避するようにも注意が払われるべきである。加えて、異なる2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを捕捉するために、捕捉抗体は、異なる可能性があるか、または同一の捕捉抗体を使用することができる。
【0203】
異なる標的核酸を特定するための異なる検出標識の使用もまた、使用可能である。例えば、異なる検出標識を、異なる標的核酸と会合させることであり、各々異なる標的核酸は、種々の検出標識の分化した検出によって検出可能である。これは、例えば、各標的核酸のために異なるTaqManプローブを設計することによって、達成可能である。異なる標的核酸の増幅は、例えば、蛍光変化プライマーであるオリゴヌクレオチドプローブプライマーを用いることによって、標的核酸の異なる相補的部分の配列に基づいて検出可能である。
【実施例】
【0204】
実施例1:アルカリ標的変性
ヘリカーゼは、二重鎖DNAを酵素的にほどくことができるため、tHDA反応全体を、95℃の前熱変性を用いずに65℃の単一の温度で行うことが可能であるかどうかを試験した。加えて、熱変性を、65℃の化学アルカリ変性によって置換することが可能であるかどうかも試験した。ナイセリア・ゴノレア(NG)およびクラミジア・トラコマチス(CT)遺伝子を、多重化tHDA反応のために標的として選択した。水酸化ナトリウムを、CTおよびNG標的(実施例1a.)に、またはNG標的(実施例1b.)に添加し、65℃で10分間インキュベートした。対照反応のために、標的をHO中で希釈した。標的変性に続いて、tHDA反応を行い、Luminex検定(実施例1a.)またはリアルタイムおよびエンドポイント蛍光検出(実施例1b.および1c.)のいずれかを用いて特異的標的を検出した。
【0205】
実施例1a:CT/NG多重化検定におけるアルカリ標的変性の評価
この実施例のための核酸標的は、CT潜在プラスミドおよびNGゲノムDNAであった。tHDA反応においてCTを増幅するために、ORF 3FおよびORF 3Rオリゴヌクレオチドプライマーを使用した(それぞれ、5’−ATCGCATGCAAGATATCGAGTATGCGT−3’(配列番号185)および5’Bio−CTCATAATTAGCAAGCTGCCTCAGAAT−3’(配列番号186))。tHDA反応においてNGを増幅するために、opaD FおよびopaD Rオリゴヌクレオチドプライマーを使用した(それぞれ、5’−TTGAAACACCGCCCGGAA−3’(配列番号221)および5’−TTTCGGCTCCTTATTCGGTTTAA−3’(配列番号222))。opaD FおよびopaD Rのためのプライマー濃度は、それぞれ、30nMおよび75nMであった。
【0206】
また、tHDA反応のためのヘリカーゼ調製物は、MgSO4:3.5mM、NaCl:40mM、dNTP:0.4mM、dATP:3mM、Bstポリメラーゼ:0.4U/ul、ヘリカーゼ:3ng/ul、およびベタイン:1Mも含んだ。NaOH中、65℃で10分間のインキュベーション/変性、65℃で90分間の増幅により反応を行った。
【0207】
この実験の結果により、Luminex検出を用いた多重化CT/NG tHDA検定において、NaOH中の標的変性が、特にCT標的の低コピー数について、改善されたシグナルをもたらし得ることが示された。また、アルカリ変性を用いないLuminex−based検定においても、同等の感度を達成することができる。しかしながら、NaOH変性を用いるtHDAは、減少した変動性(CV%)により、より一貫した結果を生み出すことができる。非アルカリ標的変性については、低コピー標的(10コピーおよび25コピー)で、より大きな変動性(より高いCV%)が見られた。(図1参照)。
【0208】
実施例1b:tHDAopa/por多重化検定における標的変性方法の比較
この実験では、2つの異なる標的核酸配列を、CTおよびNG(それぞれ、opaおよびpor)の存在を特定するために使用した。まず、0、10、102、および105コピー/検定の濃度のナイセリア・ゴノレアゲノムDNAを、0.1M NaOHまたは水中で個別に希釈し、次いで65℃で10分間変性させた。次いでナイセリア・ゴノレアゲノムDNAをリアルタイムtHDAに供した。tHDA反応について、ヘリカーゼ調製物は、3.5mM Mg2、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、5U rBST、0.5Uヘリカーゼ、0.2Mベタイン、および1%DMSOを含んだ。加えて、Tex615と共役させられたTaqManプローブ:OpaD b1_Tex;CGTCCTTCAACATCAGTGAAAATCG(配列番号132)およびCy5(各80nM)と共役させられたporA5_VD5_Cy5;CGCCTATACGCCTGCTACTTTCACG(配列番号133)も、ヘリカーゼ調製物に添加した。
【0209】
opaDv F1_6/R1(それぞれ、配列番号228および229)およびporA F5/R5(それぞれ、配列番号230および231)(40/120nM)プライマーを、それぞれ、opaD(NG)およびporA(CT)を増幅するために使用した。
【0210】
一旦、ヘリカーゼ調製物を、変性させたナイセリア・ゴノレアゲノムDNAに添加すると、反応混合物を、リアルタイムサーモサイクラー機器上で、65℃の初期ステップで6分間、続いて65℃で120サイクル(各60秒間)、インキュベートした。65℃での増幅の後、サイクラーは、自動的に、25℃のエンドポイント検出を循環させるであろう。増幅が完了したとき、反応混合物をサーモサイクラーから除去し、−20℃の冷凍庫に配置することができる。
【0211】
結果として、NaOH中の標的変性が、エンドポイント蛍光検出を用いた多重化CT/NG tHDAにおいて、シグナル対ノイズ比を改善することが示された。(図2参照)。結果として、NaOH中の標的変性が、より早い増幅(より低いCt値)を促進することが示された。(図3参照)。
【0212】
実施例2:tHDAと組み合わされたハイブリッド捕捉試料調製
ハイブリッド捕捉試料調製を、CT/NG多重化tHDA検定のための潜在的な分析前プラットフォームとして評価した。synRNAを利用するフロントエンドハイブリッド捕捉(FE−HC)は、CTおよびNG標的の両方について以前に評価されている。1KB(各50nt)の長さにわたる20個の隣接したRNAオリゴヌクレオチドプローブ(synRNAとも称される)を、CT標的核酸のために捕捉プローブおよびプライマー領域周辺に設計した。22個の隣接したRNAオリゴヌクレオチドプローブ(synRNAとも称される)(各50nt)を、NG標的核酸のために捕捉プローブおよびプライマー領域周辺に設計した。本明細書に記載される実験について、NG遺伝子opaDのためのRNAオリゴヌクレオチドプローブを、50merRNAオリゴヌクレオチドプローブの20個の鎖として最初に設計した。追加的に、NG特異的なRNAオリゴヌクレオチドプローブをより小さいオリゴ鎖に調節し、各30ntの22個のオリゴを形成した。このセットを、アンプリコン重複を用いずに設計し、それは一貫して、NG opaD標的のリアルタイムおよびエンドポイント検出の両方と最適に作用した。
【0213】
実施例2cは、ハイブリッド捕捉検定と、それに続くEvaGreenを用いたリアルタイムtHDAまたはエンドポイント蛍光検出における、opaD特異的RNAオリゴヌクレオチドプローブの使用を示す。
【0214】
実施例2a:ハイブリッド捕捉試料調製およびLuminex検定を用いたtHDAによる、CTプラスミドの検出
この実施例のための標的核酸は、CT−1B潜在プラスミドであった。CTプラスミドに特異的な、20個の隣接した50merRNAオリゴヌクレオチドプローブを、ORF捕捉プローブおよびプライマー領域周辺に設計した。この反応のための捕捉プローブは、Luminex捕捉プローブ:CT−ORF LMX CP(5’−/5AmMC12/GGTAAAGCTCTGATATTTGAAGACTCTACTGAG−3’)(配列番号232)であった。また、表1に提供するCTプラスミドに特異的な、次のRNAオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上も使用した:
【0215】
CTプラスミドに特異的な、上に列挙するRNAオリゴヌクレオチドプローブの各々は、CTプラスミドのヌクレオチド1786から出発する(GenBank受入番号:X06707)。表1の50merRNAオリゴヌクレオチドプローブを、ORF 3Fプライマーとして、同一の鎖とハイブリッド形成するように設計した。タンパク質Gビーズ:2.5E+6ビーズ/検定」をこの反応で使用した。
【0216】
50ulの反応容積中、15nMのCT ORF順方向プライマー(5’−ATCGCATGCAAGATATCGAGTATGCGT−3’、配列番号189)および75nMのCT ORF逆方向プライマー(5’−CTCATAATTAGCAAGCTGCCTCAGAAT−3’、配列番号190)、4mM MgSO4、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、20U Bst DNAポリメラーゼ、および1U Tte−UvrDヘリカーゼを含むヘリカーゼ調製物を用いて、tHDAを行った。次いでtHDA反応を65℃で90分間行った。
【0217】
この評価の結果として、FE−HCがtHDA増幅と適合することが示された。(図4参照)。RNAオリゴヌクレオチドプローブは、CTプラスミドを用いるtHDAの前に、FE−HCにおいて使用可能である。tHDAと組み合わされたHC試料調製物は、したがって、標的変性に対する必要性を排除する。
【0218】
実施例2b:ハイブリッド捕捉試料調製物およびLuminex検定を用いた多重化tHDAによる、クラミジアおよびゴノレア細胞の検出
この実施例のための標的核酸を含む試料は、CT基本小体およびNG生存細胞(Viable Cells)であった。CTに特異的な20個の隣接した50mer RNAオリゴヌクレオチドプローブおよびNGに特異的な34個の隣接した30mer RNAオリゴヌクレオチドプローブを、ORF捕捉プローブおよびプライマー領域周辺に設計した。CTのためのRNAオリゴヌクレオチドプローブを表1に上述する。また、表3に提供する、NGに特異的な次のRNAオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上も使用した。
【0219】
表9の30mer RNAオリゴヌクレオチドプローブを、ORF 3Fプライマーとして、同一の鎖とハイブリッド形成するように設計した。追加的に、オリゴヌクレオチドプローブが15〜100個のヌクレオチドであり得ることを判定した。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは、20〜30ヌクレオチド長であってもよい。
【0220】
50ulの反応容積中、15nMのCT ORF順方向プライマー(5’−ATCGCATGCAAGATATCGAGTATGCGT−3’、配列番号189)および75nMのCT ORF逆方向プライマー(5’−CTCATAATTAGCAAGCTGCCTCAGAAT−3’、配列番号190)、4mM MgSO4、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、20U Bst DNAポリメラーゼ、および1U Tte−UvrDヘリカーゼを含むヘリカーゼ調製物を用いて、tHDAを行った。次いでtHDA反応を65℃で90分間行った。
【0221】
結果として、tDHAの前に、FE−HCにおけるRNAオリゴヌクレオチドプローブを用いてCT基本小体(EB)およびナイセリア・ゴノレア細胞の両方を多重化で検出できることが示される。ハイブリッド捕捉と、それに続くLuminex検出でのtHDAを用いるCT/NGの検出の限界は、1回の検定当たり2個のクラミジア細胞および3個のゴノレア細胞で、S/Nは100超であり得る。また、この結果として、tHDAを粗試料上で行うことができ、潜在的に診断ツールとして使用可能であることも示される。(図5参照)。
【0222】
実施例2c:ハイブリッド捕捉試料調製物およびリアルタイムまたはエンドポイント蛍光検出を用いたtHDAによる、NGゲノムDNAの検出
概して、反応条件を実施例2aに示す。NG opaD遺伝子に特異的な22個の合成30nt RNAオリゴヌクレオチドプローブを、NG標的核酸を捕捉するために使用した。
【0223】
ヘリカーゼ調製物は、4mM MgSO、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、5U rBST、および0.5Uヘリカーゼを含んだ。この実験では、opaD_Forwardプライマー(配列番号221)および逆方向プライマー(配列番号222)を、それぞれ、40nMおよび180nMの濃度で使用した。加えて、opaDv F7プライマー(5’−GTTCATCCGCCATATTGTGTTG−3’、配列番号223)およびopaDv R7プライマー(5’−CACTGATGTTGAAGGACGGATTAT−3’、配列番号224)もまた、それぞれ、40nMおよび140nMの濃度で使用した。検出のために、opaD特異的TaqManプローブを40nMの濃度で使用した。
【0224】
検出のために、0.2%EvaGreenを用いたリアルタイム曲線およびopaD_b1TEXを用いたエンドポイント検出を使用した。
【0225】
結果として、ハイブリッド捕捉試料調製物は、TaqManプローブならびにEvaGreen染色を用いたリアルタイムおよびエンドポイントtHDA検定と適合することが示された。結果として、増幅混合物を捕捉された二重鎖に添加可能であること、およびHCビーズ上での捕捉された二重鎖の溶出が必要でないことが示された。反応を有意に阻害することなく、tHDA反応において100%の捕捉二重鎖を使用することができる。(図6および7参照)。
【0226】
実施例3:修飾された捕捉プローブ:リアルタイムおよびエンドポイントopaD tHDA検定における、ビーコン様TaqManプローブの評価
修飾されたTaqManプローブを、NG Opa遺伝子の標的のために設計した。修飾されたTaqManプローブは、25ntであり、プローブの3’末端の1つの追加的ヌクレオチド(G尾)を例外として、NG標的のopaD遺伝子配列と相補的であるように設計された。このGヌクレオチドの付加は、このプローブについての低バックグラウンドシグナルを確保するためのステム−ループ構造を作り出す一助となった。古典的なTaqManプローブ、およびNG opa tHDA検定のために修飾されたTaqManプローブを用いたエンドポイント結果を本明細書に示す。
【0227】
NGゲノムDNAのNaOH変性を用いてtHDAを行った。0、10、100、10コピー/検定のNGゲノムDNAを使用した。ヘリカーゼ調製物は、4mM MgSO、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、5U rBST、0.5Uヘリカーゼ、および1%DMSOを含んだ。opaD_Forwardプライマー(配列番号221)および逆方向プライマー(配列番号222)を、それぞれ、40nMおよび120nMの濃度で使用した。検出のために、線形opaDプローブ(FAM)ならびに修飾されたTaqManプローブを使用した。80nmの各プローブを使用した。修飾されたTaqManプローブ「opab1修飾TaqManプローブ」を図16に示す。リアルタイムtHDAを65℃で120サイクル行った。
【0228】
結果を本明細書の表8および9で示す。
【0229】
【表8】

【0230】
【表9】

【0231】
結果として、エンドポイントtHDA検定のための、修飾されたopab1 TaqManプローブの使用が、より低いバックグラウンドに起因してS/N値の有意な増加をもたらしたことが示される。修飾されたTaqManプローブを用いたtHDA検定において、10コピーのNGゲノムDNAを検出した。
【0232】
実施例4:tHDAへの添加物
実施例4は、以下の複数のtHDA検定上の、ソルビトール/DMSOの組み合わせの有益な効果を示す:NG1/NG2 opa/por(実施例4a)、CT1/CT2/NG 3重(実施例4b)、およびCT1/CT2/NG/IC 4重(実施例4c)。TaqManプローブを用いて生成されたエンドポイント蛍光データを、全ての3つの実施例について提示する。
【0233】
実施例4a:NG1/NG2 opa/por二重鎖反応における添加物
本明細書に説明される変更を例外として、上述の反応を行った。説明される反応で使用された標的核酸は、0、10、102、および105コピー/検定の濃度のNGゲノムDNAであった。各標的投入物の3つの複製を使用した。tHDA反応条件には、以下が含まれた:0.15Mソルビトール、1.25%DMSO、3.5mM MgSO4、40mM NaCl、0.4mM dNTP、3mM dATP、5U rBST、0.5Uヘリカーゼ、(25ul反応)。あらゆる添加物の非存在下で対照反応を行った。検出のために、TaqManプローブ:OpaD b15_TexおよびporA5_VD5_Tye665(各80nM)を使用した。opaDv F1_6/R1およびporA F5/R5(40/120nM)プライマーを指定の濃度で使用した。
【0234】
これらの実験の結果として、ソルビトールを用いたDMSOが、エンドポイント蛍光検出を用いたこの二重鎖tHDA検定における両方の標的について、シグナル対ノイズ比を増加させることが示された。検定の感度は、添加物の添加により、両方の標的について10コピー標的投入であった。
【0235】
実施例4b:CT1/CT2/NG 3重反応における添加物
本明細書に説明される変更を例外として、上述の通り反応を行った。説明される反応で使用された標的核酸は、0、10、10、および10コピー/検定の濃度のNGおよびCTゲノムDNAであった。各標的投入の3つの複製を使用した。tHDA反応条件には、以下が含まれた:0.15Mソルビトール、1.2%DMSO、4mM MgSO、40mM NaCl、0.6mM dNTP、4.5mM dATP、20U GST LF、100ng TteUvrDヘリカーゼ、および25ng SSB(25ul反応)。あらゆる添加物の非存在下で対照反応を行った。NG検出のために、OpaD b1_Texを使用した(60nM)。CTの検出のために、p6_Tye665およびomp3_MAXプローブを使用した(各60nM)。
【0236】
これらの実験の結果として、ソルビトール/DMSOの添加が、TaqManプローブエンドポイント蛍光検出を用いたこの3重tHDA検定における全ての標的について、シグナル対ノイズ比を増加させることが示された。(図9参照)。
【0237】
実施例4c:CT1/CT2/NG/IC 4重反応における添加物
本明細書に説明される変更を例外として、上述の通り反応を行った。説明される反応で使用された標的核酸は、0、10、10、および10コピー/検定の濃度のNGおよびCTゲノムDNAであった。制御ICとして:GIC1−ssDNAを使用した(1000コピーのGIC1)。各標的投入の3つの複製を使用した。
【0238】
tHDA反応条件には、以下が含まれた:0.15Mソルビトール、1.2%DMSO、4mM MgSO、40mM NaCl、0.6mM dNTP、4.5mM dATP、20U GST LF、100ng TteUvrDヘリカーゼ、および25ng SSB(25ul反応)。あらゆる添加物の非存在下で対照反応を行った。
【0239】
NG検出のために、OpaD b1_Texを使用した(60nM)。CTの検出のために、p6_Tye665およびomp3_MAXプローブを使用した(各60nM)。p36 GIC1を、対照(60nM)を検出するために使用した。opaDv F/R、ompF5/R4、およびCT cr.pl F9/R6(40/120nM)プライマーを指定の濃度で使用した。omp F5R4プライマー対を対照のために使用した。
【0240】
これらの実験の結果により、DMSOと組み合わせたソルビトールの使用がまた、このCT/NG tHDA多重化検定の性能も改善することが示された。(図10参照)。
【0241】
実施例5.N.ゴノレアおよびC.トラコマチスの検出のための、均一多重化蛍光tHDA検定の開発
この実施例は、ハイブリッド捕捉試料調製物、好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)、およびエンドポイント蛍光検出を組み合わせて、ナイセリア・ゴノレア(NG)、クラミジア・トラコマチス(CT)、および内部対照(IC)の検出のための、非常に高感度なおよび特異的な多重化検定を形成するために示される。
【0242】
NG増幅に使用された標的核酸は、マルチコピーOpa遺伝子であった。CT増幅に使用された標的核酸は、潜在プラスミドおよび外膜タンパク質(OMP)遺伝子の両方であった。二重CT標的核酸およびマルチコピーNG標的核酸の使用は、突然変異または欠失が存在する場合であっても、両方の病原体の検出を可能にする。
【0243】
DNAの形態の標的核酸を、尿、STM、PreserveCyt(登録商標)(Cytyc Corp.,Bedford,MA.)、およびSurePath(商標)(BD,Franklin Lakes,NJ)を含む種々の試料採取媒体と適合する、Hybrid Capture(登録商標)(QIAGEN Gaithersburg,Gaithersburg,MD.)試料調製物を用いて抽出した。この方法により、標的核酸に対する標的特異的RNAオリゴヌクレオチドプローブを利用してRNA:DNA2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを作り出し、次いでそれを、磁気ビーズと共役させた捕捉抗体を用いて捕捉した。
【0244】
試料調製に続いて、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、tHDA反応に直接に添加した。tHDA反応は、単一の温度で2本鎖DNAをほどくためにヘリカーゼを用いた。サーマルサイクラーは、この反応で必要とされなかった。次いで二重標識蛍光プローブを用いてエンドポイント検出を行った。
【0245】
特定の増幅産物の最適なサイズは、約70〜85bpであることを見出した。不斉増幅条件は、エンドポイント蛍光検出に有用であった。
この実験のための検出の限界は、1mLの試料当たり、約2個のCT基本小体および10個未満のNG細胞であると判定した。標的を、他の標的を大幅に超過して(10コピー標的差異)、多重化で検出した。CT血清型A−KおよびL1−L3を同等の感度により検出した。ナイセリア・メニンギティディスおよび複数の片利共生ナイセリア株との交差反応性は観察されなかった。
【0246】
これらの結果は、この検定が、その密封管フォーマット、等温増幅、および迅速なターンアラウンドタイムに起因して、高処理自動化に好適であり得ることを支持する。
【0247】
実施例6.クラミジア・トラコマチスおよびナイセリア・ゴノレアの検出のための多重化等温増幅検定
この実施例は、クラミジア・トラコマチス(CT)およびナイセリア・ゴノレア(NG)の検出のための、高感度で非常に特異的な多重化検定の開発を支持する。この実施例は、等温ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)およびエンドポイント蛍光検出を用いた試料プロセシングのために、Qiagenの専有ハイブリッド捕捉(登録商標)(HC)技術(Qiagen Gaithersburg,Gaithersburg,MD)を組み合わせて、臨床試料中のCTおよびNGの検出のための多重化検定を開発する。
【0248】
複数の採取媒体のいずれにおいて最大1mlの試料を、試料プロセシングのためにQiagen ETU(抽出管ユニット)に添加した。アルカリ中で、試料を溶解させ、DNAを変性させた。中和希釈剤中の合成RNAオリゴヌクレオチドプローブ、続いて捕捉ビーズを、試料に添加した。合成RNAオリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸とハイブリッド形成して2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成することを可能にするために、試料を50℃でインキュベートした。次いで磁気ビーズと共役させられた捕捉抗体を、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドに添加した。捕捉抗体は、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドに結合して捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成した。次いで捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを洗浄して、あらゆる非結合核酸を流出させた。数回の洗浄後、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドが結合されたビーズを、再懸濁させ、増幅のために反応プレートに移した。プライマー/検出プローブの混合を含むヘリカーゼ調製物を添加した。プレートを、65℃で90分間の増幅のために光学フィルムで密封した。増幅の後、密封管フォーマットで、二重標識プローブを用いたエンドポイント蛍光検出によって核酸を検出した。
【0249】
具体的には、この検定は、潜在プラスミドおよび外膜タンパク質(omp)遺伝子を含む2つのCT標的核酸を検出した。二重標的は、偽陰性の結果を引き起こす標的配列の欠失または突然変異を回避することを確実にする。また、NG標的核酸も使用した。具体的には、外膜混濁タンパク質(opa)、マルチコピー遺伝子が、標的核酸として機能した。
【0250】
この実施例から、1mLの試料当たり、わずか2つのCT基本小体、および10個未満のNG細胞を検出した。標的は、多重化で検出可能であり、各標的は、(10)超の他の物質の存在下で検出可能であった。全てのCT血清型A−K、およびL1−L3を、同等の感度で増幅および検出した。本方法は、多くの異なる媒体中の試料のプロセシングに好適である。
【0251】
そのようなものとして、配列特異的な試料調製および等温標的増幅の組み合わせは、高分析感度および特異性を発揮する多重化CT/NG検定を可能にする。短いターンアラウンドタイム(3時間未満)、等温反応条件、および密封管フォーマットの組み合わせは、検定を、将来の高処理自動化への適合に最適にさせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリカーゼ依存性反応において2本鎖標的核酸を増幅する方法であって、
(a)前記標的核酸を変性させるステップと、
(b)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、前記変性させた標的核酸と接触させるステップであって、前記オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上が、前記変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、
(c)前記2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、前記1つ以上の捕捉抗体は、前記2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと
(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、
(e)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、前記オリゴヌクレオチドプライマーは、前記標的核酸とハイブリッド形成する、ステップと、
(f)標的核酸二重鎖を形成するために、DNAポリメラーゼを用いて、前記標的核酸と相補的な前記オリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、
(g)ステップ(f)の前記標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させて、ヘリカーゼ依存性反応において前記標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(e)、(f)、および(g)が同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(f)および(g)が同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2本鎖標的核酸は、標的核酸試料中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試料は、血液、尿、便、唾液、涙液、胆汁頸部、泌尿生殖器、鼻腔スワブ、痰、または他の生物学的試料である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記2本鎖標的核酸は、ステップ(a)の前に試料から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
増幅は、等温的である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドプローブは、RNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼおよび任意選択で1本鎖結合タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼと、前記ヘリカーゼ調製物が、1本鎖結合タンパク質(SSB)が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、前記1本鎖結合タンパク質と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記増幅は、ゲル電気泳動によって判定されたとき、ヘリカーゼの非存在下では生じない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(e)〜(g)は、均一検定において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)は、前記標的核酸を変性させるために、前記標的核酸を加熱することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)は、ステップ(b)の前にステップ(a)として、NaOHの存在下で前記標的核酸をインキュベートすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)は、ステップ(b)の前に、50mM NaOHの存在下で、65℃で10分間、前記標的核酸をインキュベートすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ヘリカーゼ調製物は、添加物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記添加物は、糖、シャペロン、タンパク質、糖類、アミノ酸、多価アルコール、ならびにそれらの誘導体、他のオスモライト、アミノ酸誘導体、およびシャペロンタンパク質からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記添加物は、DMSO、ベタイン、ソルビトール、硫酸デキストラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
DMSOは、1〜2%の最終濃度で使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ベタインは、0.1M〜0.5Mの最終濃度で使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ソルビトールは、0.1M〜0.3Mの最終濃度で使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
硫酸デキストランは、10pM〜1nMの最終濃度で使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ハイブリッド捕捉抗体は、磁気ビーズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドプライマーのうちの1つ以上は、異なる濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記標的核酸を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、検出標識を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記検出標識は、ステップ(e)、(f)、もしくは(g)の間または後に添加される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記標的核酸は、前記増幅反応の間および後の両方で検出される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記標的核酸は、前記増幅反応の間に検出される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記標的核酸は、前記増幅反応の後に検出される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(e)〜(g)および前記検出は、均一検定において行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記標的核酸は、エンドポイント蛍光検出によって検出される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記検出標識は、修飾されたTaqManプローブである、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記修飾されたTaqManプローブは、前記修飾されたTaqManプローブの5’末端と相補的な前記修飾されたTaqManプローブの3’末端に短尾を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的と相補的でない、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的にも相補的である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記修飾されたTaqManプローブは、前記修飾されたTaqManプローブの3’末端と相補的な前記修飾されたTaqManプローブの5’末端に短尾を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的と相補的でない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的にも相補的である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
ヘリカーゼ依存性反応において1本鎖標的核酸を増幅する方法であって、
(a)1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを、前記1本鎖標的核酸と接触させるステップとであって、前記オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、前記標的核酸とハイブリッド形成して、2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、
(b)前記2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、捕捉抗体のうちの前記1つ以上は、前記2本鎖プローブ−標的ハイブリッドとハイブリッド形成して、捕捉された2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、
(c)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、
(d)1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、前記オリゴヌクレオチドプライマーは、前記標的核酸とハイブリッド形成する、ステップと、
(e)標的核酸二重鎖を形成するために、DNAポリメラーゼを用いて、前記標的核酸と相補的な前記オリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、
(f)ステップ(e)の前記標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させて、ヘリカーゼ依存性反応において前記標的核酸二重鎖を増幅するステップと、を含む、方法。
【請求項41】
前記1本鎖標的核酸は、DNAである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1本鎖標的核酸は、cDNAであり、前記cDNAは、標的mRNAを逆転写することから産生される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(e)、(f)、および(g)が同時に行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(f)および(g)が同時に行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記1本鎖標的核酸は、標的核酸試料中に存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記試料は、血液、尿、便、唾液、涙液、胆汁頸部、泌尿生殖器、鼻腔スワブ、痰、または他の生物学的試料である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
増幅は、等温的である、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリヌクレオチドプローブは、RNAである、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記オリゴヌクレオチドプライマーのうちの1つ以上が、異なる濃度で存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼおよび任意選択で1本鎖結合タンパク質を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記ヘリカーゼ調製物は、ヘリカーゼと、前記ヘリカーゼ調製物が、1本鎖結合タンパク質(SSB)が任意選択である熱安定性ヘリカーゼを含まない限り、前記1本鎖結合タンパク質とを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記増幅は、ゲル電気泳動によって判定されたとき、ヘリカーゼの非存在下では生じない、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(e)〜(g)は、均一検定において行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
ヘリカーゼ調製物は、添加物を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記添加物は、糖、シャペロン、タンパク質、糖類、アミノ酸、多価アルコール、ならびにそれらの誘導体、他のオスモライト、アミノ酸誘導体、およびシャペロンタンパク質からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記添加物は、DMSO、ベタイン、ソルビトール、硫酸デキストラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
DMSOは、1〜2%の最終濃度で使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ベタインは、0.1M〜0.5Mの最終濃度で使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
ソルビトールは、0.1M〜0.3Mの最終濃度で使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
硫酸デキストランは、10pM〜1nMの最終濃度で使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記ハイブリッド捕捉抗体は、磁気ビーズを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項62】
前記標的核酸を検出することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項63】
ステップ(e)〜(g)および前記検出は、均一検定において行われる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記方法は、検出標識を添加することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項65】
前記検出標識は、ステップ(e)、(f)、もしくは(g)の間または後に添加される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記標的核酸は、前記増幅反応の間および後の両方で検出される、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記標的核酸は、前記増幅反応の間に検出される、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記標的核酸は、前記増幅反応の後に検出される、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
記標的核酸は、エンドポイント蛍光検出によって検出される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記検出標識は、修飾されたTaqManプローブである、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記修飾されたTaqManプローブは、前記修飾されたTaqManプローブの5’末端と相補的な前記修飾されたTaqManプローブの3’末端に短尾を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記修飾されたTaqManプローブは、前記修飾されたTaqManプローブの3’末端と相補的な前記修飾されたTaqManプローブの5’末端に短尾を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的と相補的でない、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的と相補的でない、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的とも相補的である、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記修飾されたTaqManプローブの前記短尾が、前記標的とも相補的である、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記1本鎖標的核酸は、RNAである、請求項40に記載の方法。
【請求項78】
前記1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブは、DNAプローブである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
単一のヘリカーゼ依存性反応において、2つの2本鎖標的核酸を増幅する方法であって、前記2つの2本鎖標的核酸は、第1および第2の2本鎖標的核酸を含み、
(a)前記標的核酸を変性させるステップと、
(b)第1の変性させた標的核酸を、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記オリゴヌクレオチドプローブは、前記第1の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第1の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、第2の変性させた標的核酸を、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記オリゴヌクレオチドプローブは、前記第2の変性させた標的核酸とハイブリッド形成して、第2の標的2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、
(c)前記第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを、1つ以上の捕捉抗体と接触させるステップであって、前記1つ以上の捕捉抗体は、前記第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドに結合して、捕捉された第1および第2の2本鎖プローブ−標的ハイブリッドを形成する、ステップと、
(d)全ての捕捉されていない核酸を除去するステップと、
(e)1つ以上の第1の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、前記第1の標的オリゴヌクレオチドプライマーは、前記第1の標的核酸とハイブリッド形成する、ステップと、1つ以上の第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーを添加するステップであって、前記第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーは、前記第2の標的核酸とハイブリッド形成する、ステップと、
(f)第1および第2の標的核酸二重鎖を形成するために、DNAポリメラーゼを用いて、前記第1および第2の標的核酸とそれぞれ相補的な前記第1および第2の標的オリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物を合成するステップと、
(g)ステップ(f)の前記第1および第2の標的核酸二重鎖を、ヘリカーゼ調製物と接触させて、ヘリカーゼ依存性反応において前記標的核酸二重鎖を増幅するステップであって、前記ヘリカーゼ調製物は、前記第1の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーを含み、かつ前記第2の標的核酸とハイブリッド形成する1つ以上のプライマーをさらに含む、ステップと、を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−516155(P2012−516155A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548252(P2011−548252)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022233
【国際公開番号】WO2010/088273
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511181658)
【Fターム(参考)】