エンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システム
【課題】本発明は、ロープを巻回ドラムに沿って適切に移動することができ、安全で且つその構成が簡易なエンドレス方式のウインチ及び該ウインチを用いたロープの移動システムを提供することを課題とする。
【解決手段】駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端側を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動し溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのスットパー機構が設けられていることである。
【解決手段】駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端側を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動し溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのスットパー機構が設けられていることである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ウインチに取り入れ巻回ドラムに巻回したロープを巻回ドラムの正・逆回転を利用してエンドレス状に移動することのできるエンドレス方式のウインチ、及びネット又はシートに連結したロープをエンドレス状に移動することで該ネット又はシートを吊り張り／開閉移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムに関する。
【技術の背景】
【０００２】
一般に、エンドレス方式のウインチは、駆動軸の設けられたウインチ本体と該駆動軸を回転駆動するモータ等の駆動源からなり、前記ウインチ本体の駆動軸には、外周縁に沿ってロープを巻回するための略Ｖ字状の溝の形成された巻回ドラムが取り付けられ、該巻回ドラムの近傍にはウインチ本体に設けられた支軸に回転自在に軸支された一対の案内ローラが設けられ、前記巻回ドラムの溝には、両端部を案内ローラ側に位置し巻回ドラムの回転で所望距離移動するローラチェーンからなる移動ガイド体が設けられている。
【０００３】
上記移動ガイド体は、一端側がバネ等の弾性体に連結され他端側が固定軸に連結された構成（実開昭６２−１３３５９４号公報）や、両端側がそれぞれバネ等の弾性体に連結された構成（特開２０００−３５１５８０号公報）があり、弾性体の伸びを利用して、巻回ドラムの回転方向に沿って移動ガイド体を所望距離移動しながら、ロープを巻回ドラムの溝に沿って押圧する。この際、案内ローラを介してウインチ本体に取り入れたロープは巻回ドラムへ移動した後、移動ガイド体の一方の端部で押圧された状態で取り入れられ、巻回ドラムの溝に沿って巻回し移動ガイド体の他方の端部は移動により溝側への押圧が解除され、ロープの取り出しをスムーズに行い、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出し移動する。
【０００４】
従って、移動ガイド体の一端側のみ弾性体を連結した構成は、巻回ドラムの回転方向に限定する場合に適し、両端側をそれぞれ弾性体に連結した構成は、巻回ドラムの回転方向が一方向に限定されず、正転／逆転する場合にも自在に対応することができる。
【０００５】
次に、上記エンドレス方式のウインチを使用したシステムとしては、例えば屋外のゴルフ練習場の施設の、ゴルフ球の防球用ネットの吊り張り移動用に使用したシステムがある。該施設は、ゴルフ球を打ち放つ空間部の外周に沿って立設した複数本の支柱と、該支柱の上下方向に沿って架設し、ネットを移動自在に挿通したガイド用ロープと、該ガイド用ロープに並行して架設し、エンドレス方式のウインチにより支柱の上下方向でループ状に移動する駆動ロープから構成され、メンテナンス時や風の強い日に該ウインチを駆動して駆動ロープを支柱の上下方向で移動し、ネットをガイド用ロープに沿って下降し収納することで風の影響を回避する。使用時には、再度ウインチを駆動して駆動ロープを逆方向に移動し、下降したネットをガイド用ロープに沿って上昇して空間部に吊り張りする。
【０００６】
また、他のエンドレス方式のウインチを使用したシステムとしては、屋内用の球技練習施設の、空間部をネットで間仕切りするのに使用するシステムがある。空間部の天井側にウインチで移動すべくループ状に架設した駆動ロープと、該駆動ロープに一端側を連結し滑車を介して一定の間隔で取り付けた吊り張り用ロープと、該吊り張り用ロープにその上下方向に沿って挿通することで連結されたネットから構成され、その使用目的に応じてウインチで駆動ロープを駆動し、吊り張り用ロープを下降移動することでネットを空間部に吊り張り移動し、また、ウインチで駆動ロープを逆方向に駆動し、吊り張り用ロープを上昇移動することでネットを空間部の上部側に収納する。
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、エンドレス方式のウインチに設けられた移動ガイド体は、ロープを巻回ドラムの溝側に押圧しながら移動するために、移動ガイド体の移動距離が大きくなりロープの溝への取り入れ側の端部が大きく移動し、結果巻回ドラムの溝側への押圧力が削減され、空回り等が発生し易く、適切なロープの押圧移動ができない。
【０００８】
また、巻回ドラムは回転方向を頻繁に変更して使用するために、移動ガイド体の移動距離が各回転方向に大きく移動し、該移動により弾性体に延びが発生しやすく、連続した使用に適さない。
【０００９】
また、上記のように弾性体に延びが発生すると、弾性体の弾性力の調整や取替え等の頻繁なメンテナンスを必要とする。
【００１０】
特に、ネットやシートを連結したシステムの場合は、ウインチ本体へのロープの取り入れる側と取り出す側とでロープにかかる荷重が相違しているために、移動ガイド体の移動距離が大きいと、ロープを適切に溝側へ押圧して巻回することができず荷重の少ないロープ側に発生する撓み等を確実に解消することができない。
【００１１】
また、空間部の大きさに比例してネット又はシートが大きくなり、ロープにかかる荷重も増すために、ロープの取り入れ側と取り出し側とで荷重の相違が大きく、移動ガイド体の弾性体を荷重に対応して変更する必要がある、その交換作業が煩雑である。
【００１２】
そこで、本発明はロープを巻回ドラムに沿って適切に移動するとともにロープにかかる荷重に対応してスムーズに移動し、その構成が簡易で、且つ安全性に優れたエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は上記課題を解決するためのエンドレス方式のウインチの解決手段は請求項１に記載のように、駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端部を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動すべく溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのストッパー機構が設けられていることを特徴とする。
【００１４】
次に、本発明の上記課題を解決するためのエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの解決手段は、請求項２に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転し、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に巻回ドラム近傍に回転自在に軸支した案内ローラを介して一方側よりウインチ本体に取り入れたロープを該溝に沿って設けられた移動ガイド体で押圧しながら巻回した後、巻回ドラムの他方側の溝より離反移動し、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出しすることでロープに取り付けられたネット又はシートを移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムにおいて、ロープに取り付けられたネット又はシートの荷重に応じてロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動ガイド体の移動距離を所望の距離で規制することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【００１５】
次に、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの作用効果について説明する。
【００１６】
先ず、案内ローラを介してロープをウインチ本体に取り入れ、さらに該ロープを巻回ドラムの一方側より巻回ドラムの回転に伴って外周縁に形成された溝に沿って巻回した後、巻回ドラムの他方側より溝より離反し再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出し移動する。
【００１７】
この際、案内ローラ側に両端側が位置し、巻回ドラムの溝に沿って移動ガイド体が設けられているために、該移動ガイド体は巻回ドラムの回転方向に伴って一方端部部分が溝に沿って引っ張られ溝に強く押圧され、他方他端部部分が移動により溝側より離反移動する。
【００１８】
しかも、移動ガイド体にはストッパー機構が設けられているために移動ガイド体の移動距離が所望の位置で規制されるために、移動ガイド体の取り入れ側の一方端部部分は同じ位置でロープを溝側に押圧し、移動ガイド体の取り出し側の他方端部部分は同じ距離溝より離反して溝側への押圧が解除され、ロープを溝に沿って常に一定の力で押圧しながら移動することができる。
【００１９】
従って、ロープは巻回ドラムの一方側の移動ガイド体の端部部分で押圧されながら確実連続して溝へ取入れられ、巻回ドラムの他方側の移動ガイド体の端部部分の溝よりの離反部分で押圧が解除されスムーズに溝より取り出される。
【００２０】
また、上記のようにロープが適切に巻回移動するためにウインチ本体へのロープの取り入れ移動、及びウインチ本体よりのロープの取り出し移動をスムーズに行える。
【００２１】
また、移動ガイド体の移動が規制されているために、弾性体に強い負荷がかからず、弾性体の延び等が発生しにくく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００２２】
次に、駆動軸を上記と逆方向に駆動し、巻回ドラムを逆回転しロープのウインチ本体への取り入れ及び取り出し方向を変更した場合も、移動ガイド体の移動が逆方向に巻回ドラムの沿って規制された状態で移動することで、巻回ドラムへのロープの取り入れ側は移動ガイドの端部部分で溝側に押圧しながら移動することができ、ロープの取り出し側は移動ガイド体の端部部分が離反することで押圧が解除され、逆方向の場合においても上記と同様にスムーズにロープを移動する。
【００２３】
このように、本発明のエンドレス状のウインチは、その構成が簡易であり、しかもロープの移動方向に係わらず巻回ドラムの外周に形成された溝にロープを押圧しながらスムーズに移動することができる。
【００２４】
次に、エンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動ステムは巻回ドラムの溝に巻回し、案内ローラを介してウインチ本体に取り入れ及び取り出し移動するロープにネット又はシートを連結し、ウインチでロープを移動することで、ネット又はシートを吊り張り／収納移動する。
【００２５】
この際、ウインチ本体へのロープの取り入れ側と取り出し側でネット又はシートの荷重が相違するために、荷重が少ない側ではロープの撓み等が発生するが、ウインチ本体へのロープの取り入れ側は、移動ガイド体の端部部分が巻回ドラムの溝へロープを押圧しながら連続して取り入れるとともに、移動ガイド体が巻回ドラムの回転方向に沿って所望距離移動することで溝に押圧状態で巻回され、ロープの取り出し側は、移動ガイド体の他端部分が巻回ドラムの溝より離反するために溝側へのロープの押圧状態が解除されて連続して取り出しでき、ロープの撓み等を解消しながら移動することができる。
【００２６】
また、ロープへの荷重がウインチ本体への取り入れ側と取り出し側で相違しても、移動ガイド体の移動距離が規制されているために移動ガイド体の一方の端部部分は巻回ドラムの一定の位置以上に移動することなくその位置で端部部分が溝側に押圧してロープを取り入れ、他方の端部部分も一定の位置以上に移動することなく溝よりの離反する位置が一定し、溝側への押圧を解除してロープを取出し移動できる。
【００２７】
また、巻回ドラムの回転方向を変更しても、移動ガイド体の移動距離は上記と同様に一定の位置以上に移動することなくその位置で他方の端部部分が溝側に押圧してロープを取り入れ、一方の端部部分も溝より離反した一定の位置で溝側への押圧を解除してロープを取り出し移動でき、巻回ドラムの回転方向にかかわらず常に一定の押圧移動ができる。
【００２８】
しかも、移動ガイド体は巻回ドラムの回転に沿っての移動距離が規制され、常に一定の押圧が可能であり、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００２９】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムは、ネット又はシートの枚数、大きさによる荷重が相違してもウインチで確実に移動することができる。
【００３０】
また、そのウインチ本体の構成が簡易であり、従来のウインチのように頻繁なメンテナンスを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
以下、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの一実施例について図面を用いて説明する。
【００３２】
図１は本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明平面図であり、図２は移動ガイド体のスットパー機構を示す概略説明平面図であり、図３はエンドレス方式のウインチの駆動前の状態を示す概略説明平面図であり、図４はエンドレス方式のウインチの正方向（反時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図であり、図５はエンドレス状のウインチの逆方向（時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図であり、図６はスットパー機構を示す概略説明平面図であり、図７はスットパー機構の距離Ｌの正方向の規制を示す概略説明平面図であり、図８、図９、図１０、図１１は本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図であり、図１２は本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示すフローチャートであり、図１３はエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示す概略説明図である。
【００３３】
本発明のエンドレス方式のウインチ１は、略矩形状で駆動軸を回転自在に軸支したウインチ本体２と、該ウインチ本体２の駆動軸３に連結し、該駆動軸３を回転駆動するモータ、手動ハンドル等の駆動部（図示せず）から構成されている。
【００３４】
上記ウインチ本体２には、駆動軸３を軸芯として回転し、外周縁に沿って略Ｖ字状の溝が形成された円板状の巻回ドラム４と、該巻回ドラム４の近傍で並行状態で回転自在に軸支した一対の案内ローラ６（６Ａ、６Ｂ）と、該案内ローラ６側に両端部部分（５Ａ，５Ｂ）が位置し、巻回ドラム４の溝に沿って取り付けられたローラチェーンからなる移動ガイド体５から構成されている。
【００３５】
尚、案内ローラ６の取り付け数及び取り付け位置は、上記記載に限定するものでなく、３個の案内ローラ６を三角状に取り付けることも可能であり、４個の案内ローラ６を並列状に取り付けることも可能であり、また、ロープ７の取り入れ方向と取り出し方向が相違する場合は、その方向に応じて巻回ドラム４の近傍にそれぞれ取り付けることも可能である。
【００３６】
また、巻回ドラム４の外周に沿って一周、又は螺旋状に形成することも可能である。
【００３７】
本発明で使用するロープ７は、ワイヤロープ、強度のある樹脂製ロープ等の総称とする。
【００３８】
前記移動ガイド体５は、両端部部分（５Ａ、５Ｂ）でバネ等の弾性体９に連結しているために、該弾性体９の弾性を利用して巻回ドラム４の回転方向に沿って移動するとともに溝側に押圧する。
【００３９】
尚、弾性体９の連結は直接の連結に限定せず、例えば、移動ガイド体５の端部５Ａ、５Ｂに連結したワイヤロープを介してウインチ本体２の外側に取り付けた弾性体９に連結することも可能であり、また、上記案内ローラ６Ａ、６Ｂに移動ガイド体５の端部５Ａ、５Ｂをそれぞれ連結し、該案内ローラ６Ａ、６Ｂに弾性体９を連結することで、移動ガイド体５を巻回ドラム４の回転に伴って移動すべく構成することも可能である。
【００４０】
また、移動ガイド体５の略中間には移動ガイド体５の移動を所望の距離で規制するためのストッパー機構１０が設けられている。
【００４１】
前記ストッパー機構１０は、移動ガイド体５を形成するローラチェーンの１つのローラ５Ｈに形成された長孔１１にウインチ本体２の巻回ドラム４の外周近傍に取り付けられた固定軸１２を挿通することで、長孔１１に沿って移動ガイド体５が所望距離ほど巻回ドラム４の外周の溝に沿って長孔１１方向に移動する。移動距離Ｌは荷重の大小により決定され、長孔１１の長さ方向の距離を調整する。
【００４２】
尚、本発明のストッパー機構１０は、上記構成に限定するものでなく、例えば、ウインチ本体２の巻回ドラム４の近傍に長孔を穿設し、移動ガイド体５の略中央部に該長孔に挿通する軸を取り付けることで、移動ガイド体５の移動距離を調整することも可能であり、また、移動ガイド体５の略中央部に長孔の形成された長尺板を取り付け、固定軸１２に挿通することも可能であり、また、移動ガイド体５の両端部部分近傍に停止板を取り付けて、移動を規制することも可能である。
【００４３】
本発明のエンドレス方式のウインチ１は上記のように構成され、次に、該エンドレス方式のウインチ１を用いたネット又はシートの移動システムについて説明する。
【００４４】
先ず、ネット又はシートの移動システムは、空間部に沿って架け渡したガイドロープ１３に上端側を移動自在に挿通したネット１４と、該ネット１４の先端側を連結し、ガイドロープ１３に沿って滑車１５を介してループ状に架け渡したロープ７と、該ロープ７をループ状に移動するためのエンドレス方式のウインチ１から構成されている。
【００４５】
上記ロープ７は、その先端をウインチ本体２へ案内ローラ６Ａを介して取り入れ、巻回ドラム４を回転した状態で、溝に沿って移動する移動ガイド体５に一方の端部部分５Ａより溝に押圧した状態で取り入れ、溝に沿って巻回した後、巻回ドラム４の回転方向に沿って移動し、他方の端部部分５Ｂが、溝より離反し移動ガイド体５の他方の端部部分５Ｂより取り出し、案内ローラ６Ｂを介してウインチ本体２より取り出し、滑車１５を介して移動したロープ７の後端と連結することで、ループ状に吊り張りする。この際、ウインチ本体２へのロープ７の取り入れ側と取り出し側ではネット１４による荷重が相違するために一方のロープ７は強い力で引っ張られ、他方は引っ張り力が弱く弛みや撓みが発生し易い状態になる。
【００４６】
次に、ウインチ本体２の駆動軸３を回転駆動して巻回ドラム４を正方向（反時計方向）に回転することで、溝に沿って巻回されたロープ７を正方向に移動する。この際、移動ガイド体５はスットパー機構１０により移動距離が規制されているために、一定の距離を移動し巻回ドラム４の溝に沿ってロープ７を押圧しながら確実に巻回移動することができる。従って、ロープ７のウインチ本体２への取り込み側の引っ張り力が弱く撓み等が発生しても、巻回ドラム４の溝への取り入れ部分で移動ガイド体５の端部部分が同じ位置で確実にロープ７を溝側に押圧しながら取り入れ、順次溝に沿って移動するために、撓み等を解消してスムーズに移動することができる。
【００４７】
また、巻回ドラム４の溝よりのロープ７の取り出し側は、移動ガイド体５の端部部分が溝より離反して位置するために、押圧移動したロープ７が容易に溝より取り出し移動し、強い力で引っ張られたロープ７に対してスムーズな取り出し移動を可能とする。
【００４８】
また、移動ガイド体５の移動が規制されているためにロープ７を必要以上に溝側押圧することなく移動でき、ロープ７の磨耗等が少なく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００４９】
また、ロープ７に連結するネット１４の大きさによりロープ７の引っ張り力が相違するが、ストッパー機構１０を調整することで、移動ガイド体５の移動距離Ｌを調整し適切なロープ７の押圧を可能とする。
【００５０】
次に、駆動軸を上記と逆に回転駆動して、巻回ドラム４を逆方向（時計方向）に回転することで、溝に沿って巻回されたロープ７を逆方向に移動し、ロープ７のウインチ本体２への取り入れ側と取り出し側が変更しても、移動ガイド体５が逆方法に移動し、その端部部分をよりロープ７を溝側に押圧しながら取り入れ、溝より離反した他方の端部部分より容易にロープ７を取り出し移動する。
【００５１】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチによるネット又はシートの移動システムは、ネット１４による荷重に対応してロープ７を適切にスムーズに移動することができる。
【００５２】
また、移動時のロープ７の磨耗が少なく、ロープ７に発生する撓み等を解消しながら移動することができるために、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００５３】
尚、上記実施例ではストッパー機構１０を移動ガイド体５の略中央に取り付けたが取り付け位置はこれに限定されるものでなく、片方の端部側に取り付けることも可能であり、また、１つの移動ガイド体５に複数個取り付け、さらに移動距離を制御することも可能である。
【００５４】
また、上記実施例では移動ガイド体５は巻回ドラム４の外周に沿って１本設けたが、本発明において、移動ガイド体５の構成はこれに限定されず、例えば、略中央部２０で二分割し、中央部分のそれぞれの端部をウインチ本体２に固定し、案内ローラ６側のそれぞれの端部に弾性体９を連結することで、移動を規制した移動ガイド体５として使用すべく構成することも可能であり、この場合は固定部分がスットパー機構１０となる。また、弾性体９を案内ローラ６に取り付け、移動ガイド体５の両端部と連結することで、その構成をさらに簡易にすることも可能である。
【００５５】
また、上記実施例ではウインチ本体２に巻回ドラム４を１個取り付けて構成したが本発明において巻回ドラム４の取り付け個数はこれに限定されるものでなく、複数の巻回ドラム４を取り付け、それぞれの巻回ドラム４の溝に沿ってストッパー機構１０の設けられた移動ガイド体５を取り付け、複数のロープ７を移動すべく構成することも可能である。この場合、巻回ドラム４の取り付けは、１本の駆動軸３に複数枚を取り付けることも可能であり、また、ウインチ本体２に複数の駆動軸３を設け、各駆動軸３に巻回ドラム４を取り付けることも可能である。
【００５６】
また、上記実施例では、移動ガイド体５のスットパー機構１０は固定式としたが、本発明においてストッパー機構１０はこれに限定されず、固定軸１２を着脱自在に構成すること、解除して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明平面図
【図２】移動ガイド体のスットパー機構を示す概略説明平面図
【図３】エンドレス方式のウインチの駆動前の状態を示す概略説明平面図
【図４】エンドレス方式のウインチの正方向（反時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図
【図５】エンドレス方式のウインチの逆方向（時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図
【図６】スットパー機構を示す概略説明平面図
【図７】スットパー機構の距離Ｌの正方向の規制を示す概略説明平面図
【図８】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図９】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１０】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１１】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１２】本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示すフローチャートを示すフローチャート
【図１３】本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示す概略説明平面図
【符号の説明】
１−ウインチ、２−ウインチ本体、３−駆動軸、４−巻回ドラム、５−移動ガイド体
６−案内ローラ、７−ロープ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ウインチに取り入れ巻回ドラムに巻回したロープを巻回ドラムの正・逆回転を利用してエンドレス状に移動することのできるエンドレス方式のウインチ、及びネット又はシートに連結したロープをエンドレス状に移動することで該ネット又はシートを吊り張り／開閉移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムに関する。
【技術の背景】
【０００２】
一般に、エンドレス方式のウインチは、駆動軸の設けられたウインチ本体と該駆動軸を回転駆動するモータ等の駆動源からなり、前記ウインチ本体の駆動軸には、外周縁に沿ってロープを巻回するための略Ｖ字状の溝の形成された巻回ドラムが取り付けられ、該巻回ドラムの近傍にはウインチ本体に設けられた支軸に回転自在に軸支された一対の案内ローラが設けられ、前記巻回ドラムの溝には、両端部を案内ローラ側に位置し巻回ドラムの回転で所望距離移動するローラチェーンからなる移動ガイド体が設けられている。
【０００３】
上記移動ガイド体は、一端側がバネ等の弾性体に連結され他端側が固定軸に連結された構成（実開昭６２−１３３５９４号公報）や、両端側がそれぞれバネ等の弾性体に連結された構成（特開２０００−３５１５８０号公報）があり、弾性体の伸びを利用して、巻回ドラムの回転方向に沿って移動ガイド体を所望距離移動しながら、ロープを巻回ドラムの溝に沿って押圧する。この際、案内ローラを介してウインチ本体に取り入れたロープは巻回ドラムへ移動した後、移動ガイド体の一方の端部で押圧された状態で取り入れられ、巻回ドラムの溝に沿って巻回し移動ガイド体の他方の端部は移動により溝側への押圧が解除され、ロープの取り出しをスムーズに行い、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出し移動する。
【０００４】
従って、移動ガイド体の一端側のみ弾性体を連結した構成は、巻回ドラムの回転方向に限定する場合に適し、両端側をそれぞれ弾性体に連結した構成は、巻回ドラムの回転方向が一方向に限定されず、正転／逆転する場合にも自在に対応することができる。
【０００５】
次に、上記エンドレス方式のウインチを使用したシステムとしては、例えば屋外のゴルフ練習場の施設の、ゴルフ球の防球用ネットの吊り張り移動用に使用したシステムがある。該施設は、ゴルフ球を打ち放つ空間部の外周に沿って立設した複数本の支柱と、該支柱の上下方向に沿って架設し、ネットを移動自在に挿通したガイド用ロープと、該ガイド用ロープに並行して架設し、エンドレス方式のウインチにより支柱の上下方向でループ状に移動する駆動ロープから構成され、メンテナンス時や風の強い日に該ウインチを駆動して駆動ロープを支柱の上下方向で移動し、ネットをガイド用ロープに沿って下降し収納することで風の影響を回避する。使用時には、再度ウインチを駆動して駆動ロープを逆方向に移動し、下降したネットをガイド用ロープに沿って上昇して空間部に吊り張りする。
【０００６】
また、他のエンドレス方式のウインチを使用したシステムとしては、屋内用の球技練習施設の、空間部をネットで間仕切りするのに使用するシステムがある。空間部の天井側にウインチで移動すべくループ状に架設した駆動ロープと、該駆動ロープに一端側を連結し滑車を介して一定の間隔で取り付けた吊り張り用ロープと、該吊り張り用ロープにその上下方向に沿って挿通することで連結されたネットから構成され、その使用目的に応じてウインチで駆動ロープを駆動し、吊り張り用ロープを下降移動することでネットを空間部に吊り張り移動し、また、ウインチで駆動ロープを逆方向に駆動し、吊り張り用ロープを上昇移動することでネットを空間部の上部側に収納する。
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、エンドレス方式のウインチに設けられた移動ガイド体は、ロープを巻回ドラムの溝側に押圧しながら移動するために、移動ガイド体の移動距離が大きくなりロープの溝への取り入れ側の端部が大きく移動し、結果巻回ドラムの溝側への押圧力が削減され、空回り等が発生し易く、適切なロープの押圧移動ができない。
【０００８】
また、巻回ドラムは回転方向を頻繁に変更して使用するために、移動ガイド体の移動距離が各回転方向に大きく移動し、該移動により弾性体に延びが発生しやすく、連続した使用に適さない。
【０００９】
また、上記のように弾性体に延びが発生すると、弾性体の弾性力の調整や取替え等の頻繁なメンテナンスを必要とする。
【００１０】
特に、ネットやシートを連結したシステムの場合は、ウインチ本体へのロープの取り入れる側と取り出す側とでロープにかかる荷重が相違しているために、移動ガイド体の移動距離が大きいと、ロープを適切に溝側へ押圧して巻回することができず荷重の少ないロープ側に発生する撓み等を確実に解消することができない。
【００１１】
また、空間部の大きさに比例してネット又はシートが大きくなり、ロープにかかる荷重も増すために、ロープの取り入れ側と取り出し側とで荷重の相違が大きく、移動ガイド体の弾性体を荷重に対応して変更する必要がある、その交換作業が煩雑である。
【００１２】
そこで、本発明はロープを巻回ドラムに沿って適切に移動するとともにロープにかかる荷重に対応してスムーズに移動し、その構成が簡易で、且つ安全性に優れたエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は上記課題を解決するためのエンドレス方式のウインチの解決手段は請求項１に記載のように、駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端部を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動すべく溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのストッパー機構が設けられていることを特徴とする。
【００１４】
次に、本発明の上記課題を解決するためのエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの解決手段は、請求項２に記載のように、ウインチ本体に設けられた駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転し、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に巻回ドラム近傍に回転自在に軸支した案内ローラを介して一方側よりウインチ本体に取り入れたロープを該溝に沿って設けられた移動ガイド体で押圧しながら巻回した後、巻回ドラムの他方側の溝より離反移動し、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出しすることでロープに取り付けられたネット又はシートを移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムにおいて、ロープに取り付けられたネット又はシートの荷重に応じてロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動ガイド体の移動距離を所望の距離で規制することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【００１５】
次に、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの作用効果について説明する。
【００１６】
先ず、案内ローラを介してロープをウインチ本体に取り入れ、さらに該ロープを巻回ドラムの一方側より巻回ドラムの回転に伴って外周縁に形成された溝に沿って巻回した後、巻回ドラムの他方側より溝より離反し再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出し移動する。
【００１７】
この際、案内ローラ側に両端側が位置し、巻回ドラムの溝に沿って移動ガイド体が設けられているために、該移動ガイド体は巻回ドラムの回転方向に伴って一方端部部分が溝に沿って引っ張られ溝に強く押圧され、他方他端部部分が移動により溝側より離反移動する。
【００１８】
しかも、移動ガイド体にはストッパー機構が設けられているために移動ガイド体の移動距離が所望の位置で規制されるために、移動ガイド体の取り入れ側の一方端部部分は同じ位置でロープを溝側に押圧し、移動ガイド体の取り出し側の他方端部部分は同じ距離溝より離反して溝側への押圧が解除され、ロープを溝に沿って常に一定の力で押圧しながら移動することができる。
【００１９】
従って、ロープは巻回ドラムの一方側の移動ガイド体の端部部分で押圧されながら確実連続して溝へ取入れられ、巻回ドラムの他方側の移動ガイド体の端部部分の溝よりの離反部分で押圧が解除されスムーズに溝より取り出される。
【００２０】
また、上記のようにロープが適切に巻回移動するためにウインチ本体へのロープの取り入れ移動、及びウインチ本体よりのロープの取り出し移動をスムーズに行える。
【００２１】
また、移動ガイド体の移動が規制されているために、弾性体に強い負荷がかからず、弾性体の延び等が発生しにくく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００２２】
次に、駆動軸を上記と逆方向に駆動し、巻回ドラムを逆回転しロープのウインチ本体への取り入れ及び取り出し方向を変更した場合も、移動ガイド体の移動が逆方向に巻回ドラムの沿って規制された状態で移動することで、巻回ドラムへのロープの取り入れ側は移動ガイドの端部部分で溝側に押圧しながら移動することができ、ロープの取り出し側は移動ガイド体の端部部分が離反することで押圧が解除され、逆方向の場合においても上記と同様にスムーズにロープを移動する。
【００２３】
このように、本発明のエンドレス状のウインチは、その構成が簡易であり、しかもロープの移動方向に係わらず巻回ドラムの外周に形成された溝にロープを押圧しながらスムーズに移動することができる。
【００２４】
次に、エンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動ステムは巻回ドラムの溝に巻回し、案内ローラを介してウインチ本体に取り入れ及び取り出し移動するロープにネット又はシートを連結し、ウインチでロープを移動することで、ネット又はシートを吊り張り／収納移動する。
【００２５】
この際、ウインチ本体へのロープの取り入れ側と取り出し側でネット又はシートの荷重が相違するために、荷重が少ない側ではロープの撓み等が発生するが、ウインチ本体へのロープの取り入れ側は、移動ガイド体の端部部分が巻回ドラムの溝へロープを押圧しながら連続して取り入れるとともに、移動ガイド体が巻回ドラムの回転方向に沿って所望距離移動することで溝に押圧状態で巻回され、ロープの取り出し側は、移動ガイド体の他端部分が巻回ドラムの溝より離反するために溝側へのロープの押圧状態が解除されて連続して取り出しでき、ロープの撓み等を解消しながら移動することができる。
【００２６】
また、ロープへの荷重がウインチ本体への取り入れ側と取り出し側で相違しても、移動ガイド体の移動距離が規制されているために移動ガイド体の一方の端部部分は巻回ドラムの一定の位置以上に移動することなくその位置で端部部分が溝側に押圧してロープを取り入れ、他方の端部部分も一定の位置以上に移動することなく溝よりの離反する位置が一定し、溝側への押圧を解除してロープを取出し移動できる。
【００２７】
また、巻回ドラムの回転方向を変更しても、移動ガイド体の移動距離は上記と同様に一定の位置以上に移動することなくその位置で他方の端部部分が溝側に押圧してロープを取り入れ、一方の端部部分も溝より離反した一定の位置で溝側への押圧を解除してロープを取り出し移動でき、巻回ドラムの回転方向にかかわらず常に一定の押圧移動ができる。
【００２８】
しかも、移動ガイド体は巻回ドラムの回転に沿っての移動距離が規制され、常に一定の押圧が可能であり、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００２９】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムは、ネット又はシートの枚数、大きさによる荷重が相違してもウインチで確実に移動することができる。
【００３０】
また、そのウインチ本体の構成が簡易であり、従来のウインチのように頻繁なメンテナンスを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
以下、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムの一実施例について図面を用いて説明する。
【００３２】
図１は本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明平面図であり、図２は移動ガイド体のスットパー機構を示す概略説明平面図であり、図３はエンドレス方式のウインチの駆動前の状態を示す概略説明平面図であり、図４はエンドレス方式のウインチの正方向（反時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図であり、図５はエンドレス状のウインチの逆方向（時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図であり、図６はスットパー機構を示す概略説明平面図であり、図７はスットパー機構の距離Ｌの正方向の規制を示す概略説明平面図であり、図８、図９、図１０、図１１は本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図であり、図１２は本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示すフローチャートであり、図１３はエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示す概略説明図である。
【００３３】
本発明のエンドレス方式のウインチ１は、略矩形状で駆動軸を回転自在に軸支したウインチ本体２と、該ウインチ本体２の駆動軸３に連結し、該駆動軸３を回転駆動するモータ、手動ハンドル等の駆動部（図示せず）から構成されている。
【００３４】
上記ウインチ本体２には、駆動軸３を軸芯として回転し、外周縁に沿って略Ｖ字状の溝が形成された円板状の巻回ドラム４と、該巻回ドラム４の近傍で並行状態で回転自在に軸支した一対の案内ローラ６（６Ａ、６Ｂ）と、該案内ローラ６側に両端部部分（５Ａ，５Ｂ）が位置し、巻回ドラム４の溝に沿って取り付けられたローラチェーンからなる移動ガイド体５から構成されている。
【００３５】
尚、案内ローラ６の取り付け数及び取り付け位置は、上記記載に限定するものでなく、３個の案内ローラ６を三角状に取り付けることも可能であり、４個の案内ローラ６を並列状に取り付けることも可能であり、また、ロープ７の取り入れ方向と取り出し方向が相違する場合は、その方向に応じて巻回ドラム４の近傍にそれぞれ取り付けることも可能である。
【００３６】
また、巻回ドラム４の外周に沿って一周、又は螺旋状に形成することも可能である。
【００３７】
本発明で使用するロープ７は、ワイヤロープ、強度のある樹脂製ロープ等の総称とする。
【００３８】
前記移動ガイド体５は、両端部部分（５Ａ、５Ｂ）でバネ等の弾性体９に連結しているために、該弾性体９の弾性を利用して巻回ドラム４の回転方向に沿って移動するとともに溝側に押圧する。
【００３９】
尚、弾性体９の連結は直接の連結に限定せず、例えば、移動ガイド体５の端部５Ａ、５Ｂに連結したワイヤロープを介してウインチ本体２の外側に取り付けた弾性体９に連結することも可能であり、また、上記案内ローラ６Ａ、６Ｂに移動ガイド体５の端部５Ａ、５Ｂをそれぞれ連結し、該案内ローラ６Ａ、６Ｂに弾性体９を連結することで、移動ガイド体５を巻回ドラム４の回転に伴って移動すべく構成することも可能である。
【００４０】
また、移動ガイド体５の略中間には移動ガイド体５の移動を所望の距離で規制するためのストッパー機構１０が設けられている。
【００４１】
前記ストッパー機構１０は、移動ガイド体５を形成するローラチェーンの１つのローラ５Ｈに形成された長孔１１にウインチ本体２の巻回ドラム４の外周近傍に取り付けられた固定軸１２を挿通することで、長孔１１に沿って移動ガイド体５が所望距離ほど巻回ドラム４の外周の溝に沿って長孔１１方向に移動する。移動距離Ｌは荷重の大小により決定され、長孔１１の長さ方向の距離を調整する。
【００４２】
尚、本発明のストッパー機構１０は、上記構成に限定するものでなく、例えば、ウインチ本体２の巻回ドラム４の近傍に長孔を穿設し、移動ガイド体５の略中央部に該長孔に挿通する軸を取り付けることで、移動ガイド体５の移動距離を調整することも可能であり、また、移動ガイド体５の略中央部に長孔の形成された長尺板を取り付け、固定軸１２に挿通することも可能であり、また、移動ガイド体５の両端部部分近傍に停止板を取り付けて、移動を規制することも可能である。
【００４３】
本発明のエンドレス方式のウインチ１は上記のように構成され、次に、該エンドレス方式のウインチ１を用いたネット又はシートの移動システムについて説明する。
【００４４】
先ず、ネット又はシートの移動システムは、空間部に沿って架け渡したガイドロープ１３に上端側を移動自在に挿通したネット１４と、該ネット１４の先端側を連結し、ガイドロープ１３に沿って滑車１５を介してループ状に架け渡したロープ７と、該ロープ７をループ状に移動するためのエンドレス方式のウインチ１から構成されている。
【００４５】
上記ロープ７は、その先端をウインチ本体２へ案内ローラ６Ａを介して取り入れ、巻回ドラム４を回転した状態で、溝に沿って移動する移動ガイド体５に一方の端部部分５Ａより溝に押圧した状態で取り入れ、溝に沿って巻回した後、巻回ドラム４の回転方向に沿って移動し、他方の端部部分５Ｂが、溝より離反し移動ガイド体５の他方の端部部分５Ｂより取り出し、案内ローラ６Ｂを介してウインチ本体２より取り出し、滑車１５を介して移動したロープ７の後端と連結することで、ループ状に吊り張りする。この際、ウインチ本体２へのロープ７の取り入れ側と取り出し側ではネット１４による荷重が相違するために一方のロープ７は強い力で引っ張られ、他方は引っ張り力が弱く弛みや撓みが発生し易い状態になる。
【００４６】
次に、ウインチ本体２の駆動軸３を回転駆動して巻回ドラム４を正方向（反時計方向）に回転することで、溝に沿って巻回されたロープ７を正方向に移動する。この際、移動ガイド体５はスットパー機構１０により移動距離が規制されているために、一定の距離を移動し巻回ドラム４の溝に沿ってロープ７を押圧しながら確実に巻回移動することができる。従って、ロープ７のウインチ本体２への取り込み側の引っ張り力が弱く撓み等が発生しても、巻回ドラム４の溝への取り入れ部分で移動ガイド体５の端部部分が同じ位置で確実にロープ７を溝側に押圧しながら取り入れ、順次溝に沿って移動するために、撓み等を解消してスムーズに移動することができる。
【００４７】
また、巻回ドラム４の溝よりのロープ７の取り出し側は、移動ガイド体５の端部部分が溝より離反して位置するために、押圧移動したロープ７が容易に溝より取り出し移動し、強い力で引っ張られたロープ７に対してスムーズな取り出し移動を可能とする。
【００４８】
また、移動ガイド体５の移動が規制されているためにロープ７を必要以上に溝側押圧することなく移動でき、ロープ７の磨耗等が少なく、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００４９】
また、ロープ７に連結するネット１４の大きさによりロープ７の引っ張り力が相違するが、ストッパー機構１０を調整することで、移動ガイド体５の移動距離Ｌを調整し適切なロープ７の押圧を可能とする。
【００５０】
次に、駆動軸を上記と逆に回転駆動して、巻回ドラム４を逆方向（時計方向）に回転することで、溝に沿って巻回されたロープ７を逆方向に移動し、ロープ７のウインチ本体２への取り入れ側と取り出し側が変更しても、移動ガイド体５が逆方法に移動し、その端部部分をよりロープ７を溝側に押圧しながら取り入れ、溝より離反した他方の端部部分より容易にロープ７を取り出し移動する。
【００５１】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチによるネット又はシートの移動システムは、ネット１４による荷重に対応してロープ７を適切にスムーズに移動することができる。
【００５２】
また、移動時のロープ７の磨耗が少なく、ロープ７に発生する撓み等を解消しながら移動することができるために、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【００５３】
尚、上記実施例ではストッパー機構１０を移動ガイド体５の略中央に取り付けたが取り付け位置はこれに限定されるものでなく、片方の端部側に取り付けることも可能であり、また、１つの移動ガイド体５に複数個取り付け、さらに移動距離を制御することも可能である。
【００５４】
また、上記実施例では移動ガイド体５は巻回ドラム４の外周に沿って１本設けたが、本発明において、移動ガイド体５の構成はこれに限定されず、例えば、略中央部２０で二分割し、中央部分のそれぞれの端部をウインチ本体２に固定し、案内ローラ６側のそれぞれの端部に弾性体９を連結することで、移動を規制した移動ガイド体５として使用すべく構成することも可能であり、この場合は固定部分がスットパー機構１０となる。また、弾性体９を案内ローラ６に取り付け、移動ガイド体５の両端部と連結することで、その構成をさらに簡易にすることも可能である。
【００５５】
また、上記実施例ではウインチ本体２に巻回ドラム４を１個取り付けて構成したが本発明において巻回ドラム４の取り付け個数はこれに限定されるものでなく、複数の巻回ドラム４を取り付け、それぞれの巻回ドラム４の溝に沿ってストッパー機構１０の設けられた移動ガイド体５を取り付け、複数のロープ７を移動すべく構成することも可能である。この場合、巻回ドラム４の取り付けは、１本の駆動軸３に複数枚を取り付けることも可能であり、また、ウインチ本体２に複数の駆動軸３を設け、各駆動軸３に巻回ドラム４を取り付けることも可能である。
【００５６】
また、上記実施例では、移動ガイド体５のスットパー機構１０は固定式としたが、本発明においてストッパー機構１０はこれに限定されず、固定軸１２を着脱自在に構成すること、解除して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５７】
【図１】本発明のエンドレス方式のウインチの一実施例を示す概略説明平面図
【図２】移動ガイド体のスットパー機構を示す概略説明平面図
【図３】エンドレス方式のウインチの駆動前の状態を示す概略説明平面図
【図４】エンドレス方式のウインチの正方向（反時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図
【図５】エンドレス方式のウインチの逆方向（時計方向）に駆動した状態を示す概略説明平面図
【図６】スットパー機構を示す概略説明平面図
【図７】スットパー機構の距離Ｌの正方向の規制を示す概略説明平面図
【図８】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図９】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１０】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１１】本発明のエンドレス方式のウインチの他実施例を示す概略説明平面図
【図１２】本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示すフローチャートを示すフローチャート
【図１３】本発明のエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムを示す概略説明平面図
【符号の説明】
１−ウインチ、２−ウインチ本体、３−駆動軸、４−巻回ドラム、５−移動ガイド体
６−案内ローラ、７−ロープ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端部を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動すべく溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのストッパー機構が設けられていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【請求項２】
ウインチ本体に設けられた駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転し、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に巻回ドラム近傍に回転自在に軸支した案内ローラを介して一方側よりウインチ本体に取り入れたロープを溝に沿って設けられた移動ガイドで押圧しながら巻回した後、巻回ドラムの他方側の溝より離反移動し、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出しすることで、ロープに取り付けられたネット又はシートを移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムにおいて、ロープに取り付けられたネット又はシートの荷重に応じてロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動ガイド体の移動距離を所望の距離で規制することを特徴とするエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システム。
【請求項１】
駆動源により回転駆動する駆動軸の設けられたウインチ本体と、該駆動軸に取り付けられ、ロープを巻回すべく外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラムと、該巻回ドラムの近傍に回転自在に軸支し、ロープをウインチ本体に取り入れ又はウインチ本体より取り出し移動する案内ローラと、該案内ローラ側に両端部を位置し、巻回ドラムの回転に伴って移動すべく溝に沿って設けられた移動ガイド体から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記移動ガイド体には、ロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動距離を規制するためのストッパー機構が設けられていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【請求項２】
ウインチ本体に設けられた駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転し、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝に巻回ドラム近傍に回転自在に軸支した案内ローラを介して一方側よりウインチ本体に取り入れたロープを溝に沿って設けられた移動ガイドで押圧しながら巻回した後、巻回ドラムの他方側の溝より離反移動し、再度案内ローラを介してウインチ本体より取り出しすることで、ロープに取り付けられたネット又はシートを移動するエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システムにおいて、ロープに取り付けられたネット又はシートの荷重に応じてロープを溝側に押圧した状態で巻回ドラムの回転に伴って移動する移動ガイド体の移動距離を所望の距離で規制することを特徴とするエンドレス方式のウインチを用いたネット又はシートの移動システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１１−１０２１９０（Ｐ２０１１−１０２１９０Ａ）
【公開日】平成２３年５月２６日（２０１１．５．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２２２７４６（Ｐ２０１０−２２２７４６）
【出願日】平成２２年９月１０日（２０１０．９．１０）
【出願人】（５９２２０６１５６）東田商工株式会社 (54)
【公開日】平成２３年５月２６日（２０１１．５．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月１０日（２０１０．９．１０）
【出願人】（５９２２０６１５６）東田商工株式会社 (54)
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