説明

エンドレス方式のウインチ及び該エンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システム

【課題】本願発明は、ロープにかかるテンションの強弱によるロープの緊張又は弛緩を、適切に解消してスムーズにロープを移動することのできるエンドレス方式のウインチ及びエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムを提供することを課題とする。
【解決手段】モータ等の駆動源と、駆動源に連結して回転駆動する駆動軸、該駆動軸に取り付けられ回転する巻回ドラム、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成されロープを巻回する溝の設けられたウインチ本体と、から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記ウインチ本体には駆動軸以外に複数本の回転軸が回転自在に軸支し、且つ該回転軸は連結体を介して駆動軸に連結することで、駆動軸及び回転軸に取り付けられた巻回ドラムを連動して回転すべく構成することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、球技用の屋内外の施設の防球用のネットを緊張した状態で吊り張りする際、該ネットに連結したロープを移動するのに使用、又はテント用のシートを吊り張りする際、該シートに連結したロープを移動するのに使用するエンドレス方式のウインチ及び該ウインチを用いたロープの移動システムに関するものである。
【技術の背景】
【0002】
従来、屋内の空間部の外周に沿って緊張状態で吊り張りする防球用のネット、又は屋外の空間部の外周に沿って吊り張りするゴルフ練習場の防球用のネットは、該ネットに間接又は直接的に連結したロープをウインチで移動することで空間部に沿って、昇降移動又は水平移動して吊り張りする。
【0003】
また、テント用のシートも同様に該シートに間接又は直接的に連結したロープをウインチで移動することでテントを吊り張りする。
【0004】
上記ネット又はシートに連結したロープを移動するウインチ、特にエンドレス方式のウインチの基本構成は、駆動部、制御部等の設けられた駆動源と、該駆動源に連結して回転駆動する駆動軸、該駆動軸に取り付けられ外周縁に沿って溝の形成された巻回ドラム、該巻回ドラムの近傍に取り付けられた案内ローラの設けられたウインチ本体と、から構成されている。
【0005】
上記ウインチでネット又はシートに連結されたロープは、案内ローラを介してウインチ本体に取り入れ、駆動軸を駆動して巻回ドラムを回転することで一方側より外周縁の形成された溝に沿ってロープを約一周巻回し、近接する他方側の溝よりロープを取り出し、案内ローラを介してロープをウインチ本体より取り出すことで、ウインチ本体にセットした後、前記0巻回ドラムを正・逆回転してロープを移動することで、ネット又はシートを吊り張りする。
【0006】
また、上記ネット又はシートの大きさにより、転結するロープの本数が多くなり、ロープの本数に応じたウインチを設置して各ロープを移動する。
【0007】
尚、本発明においてロープとは、ワイヤロープや最新の樹脂製ロープ等のネットの重量に対応可能なロープの総称として記載する。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記ロープはネット又はシートに連結して移動するために、連結するネット又はシートの面積の大小によりロープにかかる荷重がウインチへの取り入れ側とウインチよりの取り出し側で相違し、ロープを移動する場合に、巻回ドラムの溝側へのロープの押さえを荷重の相違に対応して調整しなければ、ロープを適切に移動することができないという欠点があった。
【0009】
また、ロープにかかる荷重はウインチ本体へのロープの取り入れ側と取り出し側とで相違するために、一方側にロープの弛みや撓みが発生し易く、該弛みや撓みの解消は、両端側を弾性体に連結したローラーチェーン等を巻回ドラムの外周に沿って取り付けなければ弛み等を解消できなく、その構成が煩雑であるという欠点があった。
【0010】
また、複数本のロープを同時に移動する場合は、複数個のウインチを用いて移動しなければならないが、ウインチの数が多くなるほどウインチ間の調整が煩雑となるという大きな問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点を解決し、ロープにかかる荷重に対応してスムーズにロープを移動でき、ロープの弛み等を解消することができ、また同時に複数本のロープを移動することのできるエンドレス方式のウインチ及び該ウインチを用いたロープの移動シスムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する手段としてのウインチは、請求項1に記載のように、駆動部、制御部の駆動源と、駆動源に連結して回転駆動する駆動軸、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラム、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝の設けられたウインチ本体と、から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記ウインチ本体には駆動軸以外に巻回ドラムを取り付ける複数本の回転軸が回転自在に軸支し、且つ該回転軸は連結体を介して駆動軸に連結され、駆動軸と連動して回転すべく構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、課題を解決する手段としてのシステムは、請求項2に記載のように、駆動源に連結した駆動軸を回転駆動し、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転して該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝にウインチ本体に取り入れ移動したロープを巻回した後、該ロープを溝より取り出し移動するエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムにおいて、前記駆動軸の回転によりウインチ本体に軸支し巻回ドラムの取り付けられた複数本の回転軸を連動して回転し該巻回ドラムを回転することで、巻回ドラムの溝に沿って1本又は複数本のロープをそれぞれ同期して移動することを特徴とする。
【発明の作用効果】
【0014】
本発明のエンドレス方式のウインチ及び該ウインチを用いたロープの移動システムの作用効果について説明する。
【0015】
本発明の請求項1のエンドレス方式のウインチの作用は、先ず、駆動源によりウインチ本体に取り付けられた駆動軸を回転駆動し、該駆動軸に連結体を介して連結し、ウインチ本体に回転自在に軸支した複数個の回転軸を連動して回転することで、該駆動軸及び回転軸にそれぞれ取り付けられた巻回ドラムをそれぞれ回転する。
【0016】
上記巻回ドラムを回転した状態でウインチ本体にロープを取り入れる。
【0017】
前記ウインチ本体に取り入れたロープは、先ず1つ目の巻回ドラムの溝に取り入れられ、該巻回ドラムの溝に沿って巻回移動した後、近接する他の巻回ドラムの溝側に移動し該他の巻回ドラムの溝に沿って巻回移動し、順次近接する次の巻回ドラムの溝に沿って巻回し最後の巻回ドラムの溝より取り出し、ウインチ本体より取り出し移動する。
【0018】
前記各巻回ドラムは連動して回転しているために、巻回ドラムの溝に巻回したロープは巻回ドラムの回転により移動するとともに連動して回転する近接する次の巻回ドラムの回転で順次同じ速度で引っ張られながら移動する。
【0019】
従って、ロープにかかるテンションが大きくロープが緊張する場合は、それぞれの巻回ドラムで順次ロープの緊張を解消しながら移動し、又ロープにかかるテンションが弱くロープが弛緩する場合は、それぞれの巻回ドラムで順次弛緩を解消しながら移動し、適切なロープの移動を可能とする。
【0020】
次に、本発明の請求項2のエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムは、駆動軸の回転駆動によりウインチ本体に軸支した複数本の回転軸を連動して回転し、該駆動軸及び回転軸にそれぞれ取り付けられた巻回ドラムを回転する。
【0021】
そして、上記巻回ドラムの溝側にロープを取り入れ、該溝に沿ってロープを巻回するとともに、近接する次の巻回ドラムの溝に沿ってロープを送り移動して巻回することを順次繰り返し、最後の巻回ドラムの溝よりロープを取り出す。
【0022】
この際、各巻回ドラムが連動して回転しているために、ロープは各巻回ドラムの回転により順次引っ張られながら移動し、適切なロープ移動を可能とする。
【0023】
また、複数本のロープを同時に移動する場合は、それぞれ取り入れたロープを1又は2以上の巻回ドラムの溝に巻回して移動する。
【0024】
この際、各巻回ドラムは連動して回転しているために、各ロープはそれぞれ同期して移動することとなり、従来のようなウインチ間の煩雑な調整を必要としない。
【0025】
このように、本発明のエンドレス方式のウインチ、及びエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムは、駆動軸に連動して回転軸を回転することで、巻回ドラムに巻回してロープを移動することができ、ロープを順次同じ速度で引っ張りスムーズな移動を可能とする。
【0026】
また、ロープを同期して移動できるので同時に複数のロープを適切に移動することができる。
【0027】
また、ロープにかかるテンションの強弱によるロープの緊張又は弛緩を各巻回ドラムの連動した回転及び引っ張りにより解消しながらロープを移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のエンドレス方式のウインチ及びエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムの一実施例について図面を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明のエンドレス方式のウインチの第1実施例を示す概略説明平面図であり、図2は図1のエンドレス方式のウインチによるロープの移動を示す概略説明平面図であり、図3は図1のエンドレス方式のウインチによるロープの他の移動方法を示す概略説明平面図であり、図4は図1のエンドレス方式のウインチに巻回リールを取り付けた状態を示す概略説明平面図であり、図5は本発明のエンドレス方式のウインチの第2実施例を示す概略説明平面図であり、図6は本発明のエンドレス方式のウインチの第3実施例を示す概略説明平面図であり、図7は図6のエンドレス方式のウインチのロープの他の移動方法を示す概略説明平面図であり、図8は本発明のエンドレス方式のウインチの第4実施例を示す概略説明平面図であり、図9は図8のエンドレス方式のウインチによるロープの他の移動方法を示す概略説明平面図であり、図10は本発明のエンドレス方式のウインチの第5実施例を示す概略説明平明図である。
【0030】
(第1実施例)
本発明のエンドレス方式のウインチ1は、モータによる駆動部、制御部を有する駆動源(図示せず)と、該駆動源に連結し回転駆動する駆動軸2を軸支したウインチ本体7から構成されている。
【0031】
前記ウインチ本体7には、駆動軸2を頂点とし三角形を形成する底辺側の2点に回転自在に軸支した2本の回転軸4(4A、4B)と、駆動軸2の上方側に並行に上部回転軸4Cを軸支し、駆動軸2及び回転軸4A、4Bには外周縁に溝8の形成された巻回ドラム5(5a、5A、5B)が取り付けられ、前記回転軸4(4A、4B)の下方側にはロープ10を取り入れ及び取り出し移動する一対の案内ローラ6(6A、6B)を軸支している。
【0032】
前記駆動軸2と各回転軸4(4A、4B、4C)とは連動して回転すべく連結体3で連結されている。
【0033】
前記連結体3は、駆動軸2及び各回転軸4(4A、4B、4C)に取り付けられたプーリ20と、プーリ20に連結したベルト21から構成されている。前記ベルト21は、駆動軸2より回転軸4A、回転軸4C、回転軸4B、駆動軸2へと架け渡すことで、回転軸4A、4B、4Cと駆動軸2との回転方向を逆方向で連動して回転する。
【0034】
尚、本発明において連結体3の構成は前記プーリ20とベルト21に限定されるものでなく、例えば、駆動軸2及び回転軸4は歯車を介して連動すべく構成することも可能である。要は、駆動軸2の回転駆動を回転軸4に伝達することができる構成であればよい。
【0035】
上記により、駆動軸2及び回転軸4A、4Bに取り付けた巻回ドラム5(5a、5A、5B)を同期して所望の方向に回転することができる。
【0036】
本発明のエンドレス方式のウインチ1は上記のように構成され、次にネット又はシートに連結したロープ10をエンドレス方式のウインチ1を用いて移動する場合について説明する。
【0037】
先ず、駆動源を駆動してウインチ本体7に軸支した駆動軸2を反時計方向に回転駆動するとともにベルト21を介して3本の回転軸4A、4B、4Cをそれぞれ時計方向に回転する。
【0038】
この際、上記のように4本の軸を利用してベルト21を架け渡しているために、駆動軸2と回転軸4A、4B、4Cとは回転方向が逆方向となる。
【0039】
上記駆動軸2を駆動した状態で、ロープ10をウインチ本体7に軸支した一方の案内ローラ6Aを介して取り入れ、回転軸4Aに取り付けられた巻回ドラム5A側へ移動すると、該巻回ドラム5Aの時計方向への回転によりロープ10を内側の溝8に沿って移動し、駆動軸2に取り付けられた巻回ドラム5aの溝8側に移動すると、該巻回ドラム5aの反時計方向への回転によりロープ10を溝8に略半周ほど巻回した後、回転軸4Bに取り付けられた巻回ドラム5B側に移動すると、該巻回ドラム5Bの時計方向への回転によりロープ10を内側のみぞ8に沿って移動し、他方の案内ローラ6Bを介してロープ10をウインチ本体7より取り出し移動する。
【0040】
この際、上記ロープ10は、各巻回ドラム5a、5A、5Bの同期した回転によりロープ10を送り移動する距離は同じであり、ロープ10のウインチ本体7への取り入れ側と取り出し側とでロープ10にかかるテンションの強弱が相違しても、ロープ10を順次同じ速度で送り移動することができる。
【0041】
また、上記のようにロープ10を移動すると、巻回ドラム5A、5Bの相対する内側溝10でロープ10のウインチ本体7側への取り入れ側と取り出し側の幅を押圧しながら移動するために、ロープ10に発生する弛み等を解消するように調整して移動することとなる。
【0042】
従って、上記各巻回ドラム5a、5A、5Bの同期した回転及び巻回ドラム5A、5Bによる幅調整との組み合わせにより、ロープ10をスムーズに移動することができる。
【0043】
また、駆動軸2の回転方向を変更しても、駆動軸2と回転軸4A、4B、4Cとの回転方向を変更するだけで、同様にロープ10のスムーズな移動を可能とする。
【0044】
尚、上記実施例では、ロープ10を巻回ドラム5A、5Bの間で挟むように移動したが、本実施例においてロープ10の移動方向は、これに限定されるものでなく、例えば、図3に示すように、各巻回ドラム5A、5a、5Bの溝8にそれぞれロープ10を略半周ほど巻回することで、ロープ10のウインチ本体7への取り出し側と取り入れ側との幅を拡大するとともに、巻回ドラム5A、5Bによるロープ10の押圧幅調整を行うことなくロープ10を移動することができる。
【0045】
また、案内ローラ6の取付位置によりロープ10のウインチ本体7への取り出し側と取り入れ側の方向を相違することも可能である。
【0046】
また、各巻回ドラム5A、5a、5Bは連動して回転しているために、ロープ10の送り移動する距離が同じであり、ロープ10は移動しながら弛み等を解消して移動することとなる。
【0047】
また、図4のように、ロープ10を巻回した巻回りール12を使用する場合は、該巻回りール12より取り出したロープ10を巻回ドラム5Aの外側溝8に巻回し、巻回ドラム5aの溝8に略半周ほど巻回した後、巻回ドラム5Bの内側の溝8を介してウインチ本体7より取り出し移動するように移動する。
【0048】
この際も同様に、各巻回ドラム5A、5a、5Bが同期して移動するためにロープ10を同じ距離移動するために、ロープ10を適切に巻回リール12より取り出し移動、及び巻き取り移動することができる。
【0049】
また、巻回ドラム5Aのプーリ20と巻回リール12のプーリ20とをベルト21を介して連結することで巻回リール12に巻回されたロープ10の取り出し又は巻き取り距離と各巻回ドラム5a、5A、5Bの引っ張り距離とを同期して移動することができる。
【0050】
(第2実施例)
本発明のエンドレス方式のウインチ1の上記第1実施例との相違点は、図5に示すように回転軸4Cにさらに巻回ドラム5Cを取り付けた構成である。
【0051】
次に、本発明のエンドレス方式のウインチ1を用いてロープ10を移動する場合について説明する。
【0052】
先ず、ウインチ本体7に取り入れられたロープ10は、時計方向に回転する巻回ドラム5Aの内側溝8に移動し、反時計方向に回転する巻回ドラム5aの一方の溝8を介して、時計方向に回転する巻回ドラム5Cの溝8に略1周巻回した後、交差した状態で前記巻回ドラム5aの他方の溝8を介して、時計方向に回転する巻回ドラム5Bの相対する内側溝8に移動し、ウインチ本体7より取り出し移動する。
【0053】
この際、巻回ドラム5a、5Cでロープ10を巻回して移動しているために、第1実施例より多くの巻回ドラム5でロープ10を引っ張り移動でき、ロープ10の強いテンションに対しても対応して移動することができる。
【0054】
また、実施例1の場合と同様に、巻回ドラム5A、5Bの相対する内側溝8でロープ10を押圧しているために、ロープ10に発生する弛み等をこの部分でも解消しながら移動することができる。
【0055】
(第3実施例)
本発明のエンドレス方式のウインチ1は、図6で示すように、駆動軸2と2本の回転軸4(4A、4B)を三角形の頂点としてウインチ本体7に軸支し、三角状にベルト21を連結した構成である。
【0056】
上記エンドレス方式のウインチ1でロープ10を移動する場合は、ウインチ本体7に取り入れたロープ10を反時計方向に回転する巻回ドラム5Aの外側溝8を介して移動し、同様に反時計方向に回転する巻回ドラム5aの溝8に略半周ほど巻回した後、同様に反時計方向に回転する巻回ドラム5Bの外側溝8を介してロープ10を取り出し移動する。
【0057】
この際、3個の巻回ドラム5a、5A、5Bが連動して回転するために、ロープ10は順次同じ速度で送り移動することができ、スムーズなロープ10の移動を行える。
【0058】
また、上記エンドレス方式のウインチ1を用いて、複数本のロープ10を移動する場合は、図7に示すように各巻回ドラム5a、5A、5Bにそれぞれロープ10を巻回することで、同時に同期して複数本のロープ10を移動することができる。
【0059】
このため、少ないウインチ1でネット又はシートを移動することができ、また各ウインチ1間の調整の容易である。
【0060】
また、各ロープ10の取り出し方向は自在に変更することができるので、ウインチ1の取り付け位置を自在に設定することができる。
【0061】
(第4実施例)
本発明のエンドレス方式のウインチ1は、図9に示すように、駆動軸2及び2本の回転軸4(4A、4B)をウインチ本体7に等間隔で水平に位置するように軸支し、各駆動軸2及び回転軸4A、4B間をそれぞれベルト21で連結することで駆動軸2及び回転軸4A、4Bに取り付けられた巻回ドラム5a、5A、5Bを同期して回転するように構成している。
【0062】
上記エンドレス方式のウインチ1でロープ10を移動する場合は、ウインチ本体7に取り入れたロープ10を反時計方向に回転する巻回ドラム5Aの外側溝8を介して移動し、隣り合う反時計方向に回転する巻回ドラム5aの外側溝8を介して移動し、隣り合う反時計方向に回転する巻回ドラム5Bの溝8に略半周巻回した後、再度巻回ドラム5aの反対外側溝8、巻回ドラム5Aの反対外側溝8を介して取り出し移動する。
【0063】
この際、上記並行状態に設置した巻回ドラム5a、5A、5Bが同期して移動しているために、ロープ10を強い力で移動することができ、スムーズなロープ10の移動を可能とする。
【0064】
また、本発明のエンドレス方式のウインチ1を用いて複数本のロープ10を移動する場合は、図8に示すように、各巻回ドラム5A、5a、5Bにそれぞれロープを巻回し、同期して移動する。
【0065】
この場合、それぞれのロープ10の一端側をネット又はシートに連結することで、同期してネット又はシートを移動することができる。
【0066】
また、少ないウインチ1でネット又はシートを移動できるのでウインチ1間の調整が容易である。
【0067】
(第5実施例)
本発明のエンドレス方式のウインチ1は、ウインチ本体7に設けられた駆動軸2と、5本の回転軸4(4A、4B、4C、4D、4E)を軸支する。駆動軸2と回転軸4との6本をそれぞれ3本づつ等間隔で配置し、ベルト21を回転軸4A、回転軸4B、駆動軸2、回転軸4C、回転軸4D、及び回転軸4Eを介して連結して構成する。
【0068】
上記駆動軸2と回転軸4Bが同じ方向に回転し、回転軸4A、4C、4D、4Eが同じ方向に回転する。
【0069】
本発明のエンドレス方式のウインチ1は上記のように構成され、該ウインチ1でロープ10を移動する場合について説明する。
【0070】
先ず、ウインチ本体7に取り入れたロープ10は、時計方向に回転する回転軸4Aに取り付けた巻回ドラム5Aの内側溝8を介して移動し、反時計方向に回転する駆動軸2に取り付けた巻回ドラム5aの溝8に略半周巻回し、反時計方向に回転する回転軸4Bに取り付けた巻回ドラム5Bに略半周巻回し、時計方向に回転する回転軸4Cに取り付けられた巻回ドラム5Cの内側溝8を介してウインチ本体7より取り出し移動する。
【0071】
この際、駆動軸2と回転軸4Bの距離を広げ、回転軸4Aと回転軸4Cとの距離を狭めることで、ウインチ本体7へのロープ10の取り入れ側及び取り出し側の距離を調整してロープ10への押圧を調整することができ、ロープ10のテンションの強弱に対応することができる。
【0072】
尚、上記各実施例では、駆動軸2を中間部に軸支したが、ロープ10を取り入れ側の最初に駆動軸2を軸支することも可能である。要は、各回転軸4と連結し同期して回転することができるなら駆動軸2の位置は限定されない。
【0073】
また、上記実施例では、巻回ドラム5の設置する数は3及び4個で説明したが、本発明において巻回ドラム5の設置する数はこれに限定されるものでなく、2個又は4個以上設置することも可能である。
【0074】
また、上記実施例では、巻回ドラム5の径は同一の径を用いて説明したが、複数本のロープ10をそれぞれの巻回ドラム5で移動する場合には、相違する径の巻回ドラム5を設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明のエンドレス方式のウインチの第1の実施例を示す概略説明平面図
【図2】図1のエンドレス方式のウインチによるロープの移動を示す概略説平面図
【図3】図1のエンドレス方式のウインチによるロープの他の移動方法を示す概略説明平面図
【図4】図1のエンドレス方式のウインチに巻回リールを取り付けたロープの移動を示す概略説明平面図
【図5】本発明のエンドレス方式のウインチの第2実施例を示す概略説明平面図
【図6】本発明のエンドレス方式のウインチの第3実施例を示す概略説明平面図
【図7】図6のエンドレス方式のウインチによるロープの他の移動方法を示す概略説明平面図
【図8】本発明のエンドレス方式のウインチの第4実施例を示す概略説明平面図
【図9】図8のエンドレス方式のウインチによるロープの他の移動方法を示す概略説明平面図
【図10】本発明のエンドレス方式のウインチの第5実施例を示す概略説明平面図
【符号の説明】
【0076】
1−エンドレス方式のウインチ、2−駆動軸、3−連結体、4−回転軸、5−巻回ドラム、10−ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部、制御部の設けられた駆動源と、駆動源に連結して回転駆動する駆動軸、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラム、該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝の設けられたウインチ本体と、から構成されたエンドレス方式のウインチにおいて、前記ウインチ本体には駆動軸以外に巻回ドラムを取り付ける複数本の回転軸を回転自在に軸支し、且つ該回転軸は連結体を介して駆動軸に連結され、駆動軸と連動して回転すべく構成されていることを特徴とするエンドレス方式のウインチ。
【請求項2】
駆動源に連結した駆動軸を回転駆動し、該駆動軸に取り付けられた巻回ドラムを回転して該巻回ドラムの外周縁に沿って形成された溝にウインチ本体に取り入れ移動したロープを巻回した後、該ロープを溝より取り出し移動するエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システムにおいて、前記駆動軸の回転駆動によりウインチ本体に軸支し巻回ドラムの取り付けられた複数本の回転軸を連動して回転し各巻回ドラムを回転することで、各巻回ドラムの溝に沿って1本又は複数本のロープをそれぞれ同期して移動することを特徴とするエンドレス方式のウインチを用いたロープの移動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18650(P2013−18650A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163650(P2011−163650)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)