説明

エンボス版およびそれを用いた化粧シート

【課題】深いエンボスや横エンボスが密集したエンボス模様であっても、通称「エア噛み」の現象が発生しないようなエンボス版を提供すること。
【解決手段】エンボス板の表面1に、直径が50〜120μm、間隔が100〜300個/25.4mm(表面上に任意の長さ25.4mmの直線を引いたときに、その直線が横切る突起の個数)の点状突起2の集合体によって凸部が形成されていること、及び前記点状突起2が略円柱状であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸模様を化粧シートに施すためのエンボス版に関するものであり、特には横柄の凹凸模様を化粧シートに施すのに好適なエンボス版に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に凹凸模様を有する化粧シートの製造方法としては、表面に絵柄印刷を施した隠蔽性を有する着色基材シートの表面上に透明樹脂シートを接着剤を介してドライラミネートと同時にあるいは直後にエンボス版により凹凸模様を施す方法が知られていた。この製造方法を用いた長尺のシートとロール状のエンボス版を用いてラインで製造した場合のライン速度は、接着・乾燥などの為に通常10〜50m/分と遅いものであった。
【0003】
そこで、凹凸形状の再現性と生産性向上のために、透明樹脂シートのかわりに溶融熱可塑性樹脂を押出ラミネートする方法が用いられるようになった。この場合のライン速度は、溶融押出からの冷却・固化の為に50〜100m/分と比較的早くできる。
【0004】
しかしながら押出ラミネートの場合、エンボスの深さが増し、エンボスの方向がラインの流れ方向から横方向に広がるにつれて、通称「エア噛み」という現象が現れるようになった。これは、エンボスの流れ方向の手前側の土手の部分にエア(空気)が溜り、化粧シートの凹凸付与部が欠けたり、白く見えるような現象である。特に横柄エンボスと呼ばれる流れ方向に対して垂直方向にエンボスを設計すると顕著に現れた。
【0005】
本発明者らはこの通称「エア噛み」の問題を解決するためにエンボスに対してスリットを設けて通称「エア抜き」を行うことを検討し、これにより通称「エア噛み」を低減することに成功して、これを特願2007−013052として特許出願した。しかしながら、深いエンボスや横エンボスが密集してくると通称「エア抜き」の効果が十分に得られなかった。
【特許文献1】特開2005−335336号
【特許文献2】特許第3185590号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、深いエンボスや横エンボスが密集したエンボス模様であっても、通称「エア噛み」の現象が発生しないようなエンボス版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決したものであり、その請求項1記載の発明は、直径が50〜120μm、間隔が100〜300個/25.4mm(表面上に任意の長さ25.4mmの直線を引いたときに、その直線が横切る突起の個数。以下略)の点状突起の集合体によって凸部が形成されていることを特徴とするエンボス版である。
【0008】
またその請求項2記載の発明は、前記点状突起が略円柱状であることを特徴とする請求項1記載のエンボス版である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明により、直径が50〜120μm、間隔が100〜300個/25.4mの点状突起の集合体によってエンボス形状が形成されていることにより、横柄エンボスや深いエンボスであっても通称「エア噛み」の影響が発生しないエンボス版を提供することが可能となった。
【0010】
また請求項2記載の発明により、前記点状突起が略円柱状であることにより、より効率的に通称「エア噛み」の影響を除くことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明のエンボス版の一実施例の表面を拡大して俯瞰したみた状態の概略を示す。エンボス版の表面1の凸部が点状突起2の集合体として設けられている。図1のエンボス版の表面1はロール状のエンボス版の一部分であり、左右方向がロールの回転方向となるエンボス版の流れ方向であり、前記流れ方向と垂直に点状突起が集合体として設けられて横柄エンボス3が形成されているが、エアーの流れ4は点状突起の隙間を抜けることが可能となる。
【0012】
本発明のエンボス版としては通常の銅製ロールエンボス版が使用可能であり、エンボス版の表面1としては、クロム鍍金等が施されたものとなる。そしてこの表面1にエッチング法やレーザー製版法により点状突起2が作成される。
【0013】
本発明のエンボス版の点状突起としては、直径が50〜120μmであり、間隔が100〜300個/25.4mmであることにより、エンボス表現が可能であり、かつエア抜けの問題が発生しない。直径が50μm未満であったり、間隔が300個/25.4mmを超えるほどであると、化粧シートのエンボス表現が粗くなる。直径が120μmを超えたり、間隔が100個/25.4mmより少ないと、「エア噛み」の影響が発生する。
【0014】
また、前記点状突起は、その突起の高さを段階的に設け、作成する凹凸パターンの端面を段階的な階調を付けて設けることで凹凸パターンにテーパーを設けることが可能になる。また、それ以外にも各種意匠効果のために突起の高さを適宜変化させてよい。しかしながら凹凸パターンを明確なものとするためには、突起の高さの最低値は最大値の20%までとするのが好ましい。
【0015】
本発明によるエンボス版の凹凸パターンは、化粧シートに立体的な意匠感を付与するために必要に応じて設けられるものである。凹凸のパターンは所望により任意であり、例えば木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群または平行曲線群もしくはそれらの組み合わせ等の幾何学模様状等を挙げることができる。
【0016】
本発明の化粧シートの構成は特に限定しないが、従来と同様に、着色熱可塑性樹脂基材に、透明熱可塑性樹脂層を積層してなる複層構成の化粧シートが好適である。前記着色熱可塑性樹脂基材及び透明熱可塑性樹脂層以外にも、例えば前記透明熱可塑性樹脂層の表面に表面保護層を設けたり、前記表面保護層と前記透明熱可塑性樹脂層の間にアンカー層を設けたり、着色熱可塑性樹脂基材と透明熱可塑性樹脂層との層間に絵柄模様層や接着剤層を設けたり、着色熱可塑性樹脂層の裏面にプライマー層を設けるなど、適宜可能である。
【0017】
本発明の化粧シートの切削加工性をさらに向上させるためには、前記透明熱可塑性樹脂層の表面に、2液硬化型のアクリルウレタン系樹脂または電離放射線硬化性樹脂からなる表面保護層を設けると効果的である。この表面保護層が、透明熱可塑性樹脂層の表面側の伸びを抑制し、伸び率が一定以上に達したときに破断を容易にするので、切削加工時の応力によりバリやヒゲ、白化等の抑制に有効である。
【0018】
前記表面保護層に使用するアクリルウレタン系樹脂としては、2液硬化型のポリオールとイソシアネートを使用することができる。電離放射線硬化性樹脂としては、電子線または紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーを主成分とし、必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してなる組成物を使用することができる。電離放射線とは、電離作用のあるα線、β線、γ線(電子線)、放射線、短波長紫外線等に加えて、電離作用の無い紫外線まで含む。
【0019】
上記重合性不飽和結合を有するプレポリマー及び/またはプレポリマーとしては、例えばメラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を挙げることができる。
【0020】
表面保護層の厚みは、本発明において特に限定されるものではないが、薄すぎると効果に乏しく、厚すぎると可撓性が低下して割れ易くなるので、一般的には1〜20μm程度が好適であり、中でも3〜10μm程度が最も好適である。一方、アンカー層を持った化粧シートを木質基材に積層した後、表面保護層を設ける場合は、60μmから130μm程度まで塗装することができる。なお、この表面保護層は、表面保護層や艶調整層としての機能を兼ねて設けることができ、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、滑剤、減摩剤、艶調整剤等の添加剤を適宜添加することもできる。或いは、必要に応じて、表面保護層上に別途、表面保護層または艶調整層もしくはその両者の機能を兼ね備えた層を設けることも差し支えない。なお、表面保護層は透明乃至半透明とされるのが通例である。
【0021】
本発明の化粧シートにおいて、着色熱可塑性樹脂基材や透明熱可塑性樹脂層に使用する熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、基本的には従来の一般の化粧シートに使用されていたものと同様のものを使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。
なお、着色熱可塑性樹脂基材や透明熱可塑性樹脂の材質は、同一であっても良いし、相異なっていても良い。また、着色熱可塑性樹脂基材に上記の熱可塑性樹脂を複数混合しても良い。
【0022】
前記の各種の熱可塑性樹脂の中でも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の様な塩素(ハロゲン)を含有する樹脂の採用は望ましいものではなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を採用することが望ましい。中でも各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。これらのうちポリオレフィン系樹脂は、従来よりポリ塩化ビニル樹脂を代替する化粧シート用材料として採用が進んでいたものの、切削加工性の悪さが目立つことが指摘されて来たが、本発明によって切削加工性の格段の改善が可能となり、本発明の効果が最も顕著に発現する素材でる。
【0023】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した様に多くの種類のものが知られており、それらの中から化粧シートの使用目的等に応じて適宜選択して使用すれば良いが、中でも一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわちプロピレンを主成分とする単独または共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独または適宜配合したり、それらにさらにアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1またはオクテン−1、のコモノマーの1種または2種以上を15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体またはその水素添加物等の改質剤を適宜添加することもできる。
【0024】
着色熱可塑性樹脂基材や透明熱可塑性樹脂層には、必要に応じて例えば着色剤、充填剤(シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等)紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(ステアリン酸、金属石けん等)、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。着色熱可塑性樹脂基材は、化粧材用基板の表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽するために、隠蔽性の不透明に着色されたものが用いられる。しかしながら、化粧材用基板の表面の質感を活かす場合は、特に、透明乃至半透明のものが用いられる場合もある。
【0025】
絵柄模様層は、本発明の化粧シートに絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものであり、着色熱可塑性樹脂基材自体の着色で代用できる場合等には省略も可能である。この絵柄模様層は、染料または顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂と共に適当な希釈溶媒中に溶解または分散してなる印刷インキまたは塗料等を使用して、例えばグラビア印刷法またはオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法またはロールコート法等の各種塗工法などによって形成されるのが一般的である。バインダー樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等またはそれらの混合物等がよく使用されるが、勿論これらに限定されるものではない。絵柄の種類は、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字または記号、それらの組み合わせ等、所望により任意であり、単色無地であっても良い。また、化粧シートの隠蔽性を向上するために、絵柄模様層の裏面側に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキまたは塗料による隠蔽層が併設される場合もある。
【0026】
アンカー層や接着剤層は、着色熱可塑性樹脂基材と透明熱可塑性樹脂層とを接着させるために、必要に応じて設けられるものであり、他の層が有する接着性を利用可能な場合には省略も可能である。使用する樹脂の種類には特に制限はないが、イソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を使用することが最も望ましい。具体的には、主剤としては例えばポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール等、硬化剤としてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を使用することができる。
【0027】
なお、絵柄模様層、アンカー層、接着剤層は、着色熱可塑性樹脂基材側から透明熱可塑性樹脂層側へこの順に配列されるのが通常であるが、これに限定されるものではなく、化粧シートの製造手順などに応じて順不同に任意の配列とすることができる。例えば、透明熱可塑性樹層の裏面に絵柄模様層を順次形成し、これをアンカー層を介して熱可塑性樹脂層3上に積層したり、透明熱可塑性樹脂層の裏面に絵柄模様層と着色熱可塑性樹脂基材とこれらをアンカー層を介して積層するなどの製造手順が考えられる。
【0028】
着色熱可塑性樹脂基材の裏面に適宜施すプライマー層は、各種の化粧材用基板への接着に使用される接着剤との密着性を向上させるために、必要に応じて施されるものである。化粧材用基板として最も一般的な木質系基板の場合では酢酸ビニルエマルジョン系や2液硬化型ウレタン系などの接着剤が汎用されているので、プライマー層はこれら汎用接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。具体的には、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を挙げることができ、中でもポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤などが有効である。また、例えばシリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨効果による接着力の向上などに有効である。
【実施例1】
【0029】
(エンボス版の作製)
レーザー製版法により3回銅に腐食を行って、クロム鍍金を施し、点状突起の集合からなり、流れ方向に対して横柄の導管状のエンボス版を作製した。
【0030】
(化粧シートの作製)
厚さ80μmのカレンダー法にて製造した着色ポリエチレン系樹脂シート(RIVEST TPO リケンテクノス株式会社製、充填剤15部)の表面に、ウレタン系印刷インキにて絵柄を印刷し、しかる後、該塗布面に、2液硬化型ポリエステルウレタン系接着剤(乾燥後の塗布量5g/m)を介して、厚さ80μmの透明ポリプロピレン系樹脂シートを230℃にてライン速度70m/分にて押出しラミネートし、その表面にエンボス加工及びアクリルウレタン系樹脂(UCクリヤー;大日本インキ化学工業(株)製)による乾燥後の塗布量5g/mの表面保護層を施し、さらに裏面にシリカ粉末を添加したウレタン系樹脂による乾燥後の塗布量1g/mのプライマー層を施して、化粧シートを作製した。
【0031】
(化粧板の作製)
30cm各の厚さ20mmの中密度繊維板(通称MDF)に2液水性エマルジョン接着剤を乾燥前の塗布量で90g/m塗布して上記エンボス化粧シートを室温にて加圧(約50N/30cm角)してエンボス化粧板を作製した。
【0032】
<評価結果>
点状突起の直径と、点状突起の25.4mmあたりの本数を変化させ、評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のエンボス版は、深いエンボスや横エンボスが密集したエンボスであっても、「エア噛み」の問題が発生することなく化粧シートを作成可能なものとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のエンボス版の一実施例の表面を拡大して俯瞰したみた状態の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1…エンボス版の表面
2…点状突起
3…横柄エンボス
4…エアーの流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が50〜120μm、間隔が100〜300個/25.4mmの点状突起の集合体によって凸部が形成されていることを特徴とするエンボス版。
【請求項2】
前記点状突起が略円柱状であることを特徴とする請求項1記載のエンボス版。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2のいずれか記載のエンボス版を用いて作成したことを特徴とする化粧シート。


【図1】
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【公開番号】特開2010−17878(P2010−17878A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178094(P2008−178094)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】