説明

エンボス香料カプセルロールとそれを用いた自動香り発生装置

【課題】本発明は、香りの持つストレス緩和効果やリラックス効果などを目的に応じて簡便に効果的に活用することの出来るエンボス香料カプセルロールとそれを用いた自動香り発生装置に関するものである。
【解決手段】、香料をエンボスカプセルに内包させ帯状連続シートとしてロール化し、自動供給可能とし、形状記憶合金ワイヤ70の形状変化を駆動力として供給ロール50と破砕ロール40間でカプセルを破砕して香料を滴下させ形状記憶合金ワイヤ70の発熱を利用して香りを発香することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りの持つストレス緩和効果やリラックス効果や集中力改善効果などを目的に応じて簡便に効果的に活用することの出来るエンボス香料カプセルロールとそれを用いた自動香り発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から香りを室内に提供する方法として、瓶などの香料容器から発香室へ適量の香料を移送供給し加熱揮散させることにより、任意の香りを外部へ拡散するよう構成されており効果を発揮している。 さらに、さまざまな分野で香りの効果を活用したいとの期待が高まってきており、室内用、自動車内はもとより、ゲーム機やコンピュータ等の外部機器との通信手段による香りの活用などの要望もでてきている。
【0003】
また、マイクロカプセル香料を平面上に塗布又はインクに混ぜて印刷し、摩擦や圧力で
マイクロカプセルを破壊して香りを放出する方法が用いられている。
平面上に塗布された任意の香料カプセルの破壊に、崩壊子を高精度な制御システムによって1次元的若しくは2次元的に移動せしめて香りを発生させる試みも行なわれている。
【0004】
本願発明に関連する公知技術として、出願人本人による特許文献1及び特許文献2、と他の出願技術として特許文献3を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-034585号公報
【特許文献2】特開2005-237935号公報
【特許文献3】特開平09-327506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
瓶などの香料容器を複数用いる香り発生器の場合、装置が嵩張ってしまい車載用途などでは設置場所に問題を生じていた。
【0007】
マイクロカプセル香料を平面上に塗布して香りカードとして香りを発生させる方法においてはカプセルに内包される香料の量があまりに微量であるため、空間の広さに対応するために大面積の香料カプセル塗布が必要となり、任意の位置のカプセル崩壊に大型の1次元的若しくは2次元的崩壊子移動制御システムが必要となる。 故に小型の崩壊子移動制御システムで行おうとする場合には極めて短時間の香り発生にとどまってしまう。
また、1次元的若しくは2次元的に移動制御し且つ崩壊子を駆動するシステムはかなり高価な装置とならざるを得ない。
香料を平面上に塗布した香りカードで、複数の香りを発香させようとするとき、1香種に割り当てられる面積が小さくなり、使用頻度の高い香種を使い切ると、他の香種がたくさん残っていても指定の香りを発生する要求を満たしきれなくなることから、その香りカードを廃棄し、新しい香りカードに交換せざるを得ない問題があり、貴重な香料を無駄に消費することになり、資源保護の観点から好ましい方法ではない。
これまで、ソフトカプセル香料は、極めて薄い皮膜で香料をカプセル化する技術は確立されているが、カプセル部を打ち抜いて個々のソフトカプセルとしてバラバラで利用するものであり、香り発生器などで連続的に自動供給して香りを発生できるものがなかった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みなされもので、小空間から広域空間まで簡便でコンパクト且つ低価格な装置で任意の香りを自動的に長時間提供でき、室内や車内で、または通信手段による外部からの指令に応じて任意の香りを拡散できる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
多くの香りの種類を求めに応じて提供しようとするとき、香種毎に設けられる瓶等の香料容器の嵩張りが香り発生装置の大きさを左右する要因となるため、香料容器を瓶等から、取り扱いが容易で発香ユニットへの装着性が簡易で自動供給が容易で携帯性にも優れたエンボス香料カプセルロールを採用する。(エンボス香料カプセルロールの詳細内容は後述する)
エンボス香料カプセルロールは必要とする香種毎に装着使用するので、それぞれの香種を
最後まで使い切ることが出来、資源保護の観点からも好ましい方法である。
エンボス香料カプセルは、内包する香料を密封できるため、室内での使用はもとより夏期の車内の高温化に対してもカプセル皮膜材質を選択することによって耐熱性を付与することができ、瓶等の容器の如く空気層を内包しないので高温環境下においても香料の酸化劣化を低減し香料の長期間使用・保存にも適している。
香りを放出する空間の広さに応じて1カプセルから数カプセルまで必要となるカプセル数を選択し、順次カプセル皮膜に破砕爪を押し当て加圧しカプセル内の香料を吐出させ、同時に発香室の温度を制御して香りの揮散量をコントロールし、求められる香りの強さ・量を提供出来るようにする。
【0010】
発香ユニットの小型化を図るため各構成部位を駆動する駆動源として、形状記憶合金ワイヤを用い、自己抵抗を持つ形状記憶合金ワイヤへの通電制御によって温度上昇させ形状記憶変態を行わせて長さを変化させ駆動力とする。
形状記憶合金ワイヤの長さが縮小する形状記憶変形によって駆動レバーを旋回させ、ワンウェイクラッチを内蔵する供給ロールを正回転させ、エンボス香料カプセルロールから引き出したシート部を破砕爪を持つ加圧破砕ロール部へ供給する。
供給ロールと加圧破砕ロールはそれぞれ端部に歯車部を持ち噛み合わせられており、歯車回転によって、それぞれのロール胴部に挟まれたエンボス香料カプセルロールのシート部の送り込み供給が出来るようにする。
形状記憶合金ワイヤへの通電を停止すると次第に温度が低下し、形状記憶変態温度以下に温度降下するとリターンスプリングの作用で形状記憶合金ワイヤは初期状態に伸長復帰される。
このとき連結された駆動レバーも供給ロール軸とともに初期状態に旋回復帰するが、供給ロール軸と供給ロール胴はワンウェイクラッチを内蔵して接続されているので、逆方向の回転に対して供給ロール軸は空転して供給ロールと加圧破砕ロールは前記の供給位置でエンボス香料カプセルロールシート部を保持し、逆送されないよう構成されている。
形状記憶合金ワイヤへの通電・停止制御を繰り返すことによって、エンボス香料カプセルシート部の送り込み供給がなされ、加圧破砕ロールの破砕爪でエンボスカプセル部を破き加圧胴部で内包する香料を絞りだす動作が行えるので、香りを提供する空間の広さや好みに応じて破砕するカプセル数を選択制御することができる。
形状記憶合金ワイヤは通電を制御することによって、発熱温度を制御することができ、形状記憶合金ワイヤの許容温度範囲以内で、香り揮散に適した温度範囲内で、必要な発香量が得られるように制御し、発香室へ伝熱する。
形状記憶合金ワイヤは作用本数に比例して出力が増すので、必要な駆動力が得られるまで複数作用させるよう配置する。
形状記憶合金ワイヤへの一元的な通電制御で駆動力と温度調節が同時に得られるので、機構構成部品の削減と簡素化が大幅になされ、発香ユニットの小型化が達成できる。
【0011】
発香を終えたエンボス香料カプセルロールシートは、前記駆動力からリンクを介して切断刃を持つ揺動アームを上下作動させ、カプセルロールシート送り込み終端部で順次駆動毎に切断して、回収箱に収容する。
【0012】
小型化された発香ユニットを制御ユニット上に複数設置し、その後部に送風ユニットを配置し、その送風に乗せて複数の香りを前方外界に拡散送出する。
制御ユニットは、制御プログラムを内蔵し、香りの発生・停止・香り強度・時間等を設定する操作設定部と外部機器との通信制御ポートを設け、パソコンや他の機器を介して遠隔制御も出来るようにする。
制御ユニットと複数の発香ユニットと送風ユニットを基本構成とする。
この香り発生器を他の空調機などの通風路に設置する場合には送風ユニットを省いて通風路の送風を利用してもよい。
【0013】
一般にソフトカプセル香料の製法として、ロータリー打ち抜き式製法がよく知られていて、この方式は、帯状にしたカプセル被膜を近接して回転する2個の回転金型間に両側から送り込み、これと連動する吐出ポンプで内溶液を圧入し、被膜を適温に加熱し金型により加圧され、ヒートシール接着されてカプセル形状に打ち抜かれて生産される。
エンボス香料カプセルロールは、回転金型の片方を平面として、もう片方にエンボス形状を形成して用い、カプセルを個々に打ち抜かずに連続帯状に生産し、発香ユニットに装着する所定長さで切断し、エンボス面を外側にしてロール状に巻き取り用いるものである。
エンボスカプセル部の断面形状は、半球型、半円柱型、半楕円球型等や被膜幅方向に複数個配置しても良く、片面エンボスとするのは、使用時の自動供給が容易なためである。
これにより自動香り発生器で連続自動的にカプセル香料を供給して香りを拡散することができる。
カプセル被膜素材としては、ゼラチン、寒天、デンプン、各種天然ゲル化剤などが利用でき、素材によって耐熱性が異なってくる。
カプセル被膜素材の溶解温水温度を比較すると
ゼラチン 35℃<
寒天 80℃<
カードラン 100℃<
素材によって特性が異なってくるのでエンボス香料カプセルロールの用途環境に合わせて
選択使用することが出来る。
車載用の香り発生器について、夏期の車内温度の影響で香料の保存性に問題があり、良質の香料の使用が控えられていたが、カプセル化による耐熱性の付与と自動供給による簡便で小型な発香装置によって、自動車での良質な香料の使用が容易となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように対策された本発明に係るエンボス香料カプセルロールとそれを用いた香り発生装置は、低価格でコンパクトな装置とすることが出来、多種の香りを簡便に素早く発香し、香りの持つ効果的な作用を随時活用することが出来る。
香料をカプセル化しの長尺の帯状シートをロール状に巻き取り使用すると、取り扱いが簡便で、香り発生器に内蔵する香料の品質劣化を低減し、長期間良好に使用をすることができ、貴重な香料を無駄にすることなく全量使い切ることが出来る。
カプセルに耐熱性を付与することが容易で、様々な環境下で良質の香料の使用ができる。
制御ユニットに設けた通信制御ポートを用いて、他の機器との連動制御が可能となることから、例えばカーナビゲーションと連動して到着地の香りを発香することや、バーコードの読み取り装置と連動してカタログ記載の商品の香りを即座に発香することや、映像機器と連動して映像情報にふさわしい香りを発香することができるなどの優れた効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンボス香料カプセルロールを用いた自動香り発生装置の発香ユニットの長手方向の中央部付近の断面側面図(図3のA-A’矢視断面)を示し、90度左回転して図示しています。制御ユニット部は相対的イメージとして図示している。
【図2】発香ユニットと制御ユニット部の長手方向の断面側面図で右端部付近の断面を示し、90度左回転して図示しています。(図3のB-B’矢視断面を示す)
【図3】エンボス香料カプセルロールを用いた香り発生器の発香ユニット部の平面図である。
【図4】エンボス香料カプセルロールを用いた香り発生器の発香ユニット部の底板付近からの底面断面図である。(図1のC-C’矢視断面図)
【図5】発香ユニットの供給ロールと加圧破砕ロール部での拡大断面図で、図1のD-D’矢視拡大断面図で、エンボス香料カプセルシートは省略して図示している。
【図6】発香ユニットと制御ユニット部の長手方向の断面側面図で、駆動状態の機構関係を動作の矢印で示しています。
【図7】エンボス香料カプセルロールを用いた香り発生器の制御ユニット部に複数(本図では3組)の発香ユニット部を搭載した状態と送風ユニット部の基本構成を示す縮小全体構成斜視図である。
【図8】エンボス香料カプセルロールのシート部の長さ方向の断面を示す拡大分解断面図で、エンボスカプセル部の断面形状の一例を示す。
【図9】本発明の実施の形態に係るエンボス香料カプセルロールの斜視概要図で、ロール部は2点鎖線で示しています。エンボスカプセル部は形状の一例です。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照し具体的に説明する。説明に用いる図面においては、同一又は同種の部分に同じ番号を付して説明を省略することがある。
【0017】
図1は、実施の形態に係るエンボス香料カプセルロールを用いた香り発生装置の発香ユニット部20と制御ユニット81の長手方向の中央部付近の断面を表す側面図を90度左回転して図示しています。 発香ユニット部20は箱形で、ロール室21と発香エリア22と回収エリア23から構成し、回収エリア23には回収室蓋24がかぶせられるようになっている。ロール室21と発香エリア22間に仕切板を設け、この仕切板に開口部としてシート供給口27を設けている。
ロール室21内にロール軸ガイド25を設けロール軸26を通したエンボス香料カプセルロール10を回転可能に装着出来るようにしており、エンボス香料カプセルロール10のカプセルシート部06端を巻き戻し引き出してシート供給口27から発香エリア22内の後述する駆動破砕ユニット31内の供給ロール50と破砕ロール40間に差し込みエンボス香料カプセルロール10のセットアップを行います。
発香エリア22内に、耐薬品性高強度樹脂素材の駆動破砕ユニット31を設置する。
駆動破砕ユニット31のカプセルシート供給側の側板にカプセルシート入口32を設け、開口部を覆いシート状の柔軟な耐薬品性素材の入口垂幕33を香料の飛散防止用に取り付ける。 駆動破砕ユニット31のカプセルシート出口側の側板に開口する出口34を設け、飛散防止用に出口垂幕35とカプセルシート案内用の排出上部ガイド36を取り付ける。
出口34の下辺部に切断下刃49を取り付ける。
駆動破砕ユニット31は、側板と発香室底板に囲まれた内室で発香室30を形成して供給側の左右側板を貫通して上部に破砕ロール軸41とその下方に供給ロール軸51が通され、破砕ロール軸41に破砕ロール40が回転可能に取り付けられ、供給ロール軸51に供給ロール50がワンウェイクラッチを介してカプセルシートの供給方向への一方向のみの回転伝達がなされるよう取り付けられる。
カプセルシート06は、破砕ロール40で破砕され内包香料を絞り出され供給ロール50部間から送り出され破砕シート部07となり破砕シート下ガイド39で出口34に案内する。
出口34を出て送り出される破砕シート部07は、切断刃48を上下作動によって切断下刃49との間で切断されカットシート08となり、排出側に設置された回収箱28に投入回収される。
切断刃48と切断下刃49は金属製刃材又はセラミックス製刃材を標準的に用いるが熱線切断式としてもよい。
エンボスカプセルが破砕され絞り出された内包香料は液滴90として発香室30内に滴下し、
発香室前底板37の温度で揮散発香され、一部は破砕シート部に付着して移送されるが発香室30内の温度で出口34に達するまでに揮散発香される。
発香室30の底板は、発香室前底板37と香室後底板38に段差を設け、発香室前底板37は後述する形状記憶合金ワイヤ70に接する用にして形状記憶合金ワイヤ70から伝熱を受ける。香室後底板38は形状記憶合金ワイヤ70との間に隙間を設け、形状記憶合金ワイヤ70の放熱が促進されるようにする。形状記憶合金ワイヤとの接触部材は絶縁材料とする。
【0018】
図2は、形状記憶合金ワイヤ70への通電による駆動力を機構部を説明するため、エンボス香料カプセルロールを用いた香り発生器の発香ユニット部20と制御ユニット81の長手方向の右側側板付近の断面から見た側面図を90度左回転して図示している。
香室後底板38の後方下側にワイヤ端止板72を固定して形状記憶合金ワイヤ70をワイヤ掛板65との間に掛け渡して両端を端子71で固定する。端子71は制御部から通電される。
ワイヤ掛板65には複数のワイヤ掛孔67を設けて形状記憶合金ワイヤ70を通線して伸縮力を受ける。ワイヤ掛板65の左右端部側面にワイヤ掛板作用支点を設け、左右の駆動レバー61に設けたワイヤ掛板作用孔64に廻動可能に接続する。
駆動レバー61は駆動レバー接続部60でコの字状に一体化されている。
駆動レバー61にワイヤ掛板作用孔64と駆動支点軸孔と駆動レバー長孔63が設けられ、
駆動破砕ユニット31の側板に設けた駆動支点軸62に駆動支点軸孔で廻動可能に接続する
ことによって、形状記憶合金ワイヤ70への通電による長さが縮小する駆動力で駆動支点軸62を中心に駆動レバー61を揺動することになる。
供給ロール軸51の両端部に回転レバー56が取付固定され、この回転レバー56側面に回転作用ピン57とリンク接続ピン59を設け、前記駆動レバー長孔63を回転作用ピン57に接続する。 リンク接続ピン59部にリンク75の下方端部に設けたリンク接続孔76に廻動可能に接続し、リンク75の他端に設けたリンク長孔77を切断アーム46の中程に設けた切断作用ピン47に掛け、作動をリンクさせる。
切断アーム46の始点端は、破砕ロール軸41端に廻動可能に接続連結され、リンク75が上下方向に作動するとき切断作用ピン47で上下方向に揺動され、リンク長孔77で必要な揺動角に調整される。 切断アーム46の終端に切断刃48を接続固着する。
【0019】
図3は、発香ユニット部の平面図で、エンボス香料カプセルロール10から巻き戻し引き出されたカプセルシート部06が供給作用を受け破砕ロール40部で破砕され破砕シート部07として送出され、更に発香室30から回収エリア23部に送出され、切断刃48で切断されカットシート08として回収箱28に投入回収される過程を示している。
【0020】
図4は、香り発生器の発香ユニット部の底板付近の底面方向から見た断面図で、形状記憶合金ワイヤ70の配置状態を説明する。
香室後底板38にワイヤ端止板72を取付て、この絶縁材料で作られたワイヤ端止板72から絶縁材料で作られたワイヤ掛板65との間に4列に形状記憶合金ワイヤ70を掛け通して終端両側を端子71で固定し通電できるようにしている。
香室後底板38にスプリング取付座73を取付て、ワイヤ掛板65との間にリターンスプリング74を挿入固定する。
形状記憶合金ワイヤ70は、通電による形状記憶変態温度以上への温度上昇で縮小作動を行いリターンスプリング74を圧縮しながらワイヤ掛板65を引き寄せ、同時に駆動レバー61が引き寄せ駆動される。
形状記憶合金ワイヤ70への通電を停止すると、次第に温度が下降し、形状記憶変態温度以下への温度下降で、縮小作動力が解除されることから、リターンスプリング74の反発力で初期状態に復帰する。
形状記憶合金ワイヤ70の温度は温度センサ(図示を省略)でセンシングして制御する。
【0021】
図5は、発香ユニットの供給ロールと加圧破砕ロール部位置での拡大断面図で、エンボス香料カプセルシートを除いて機構を詳細に説明する。
左右の発香室側板を貫通して破砕ロール軸41が設けられ回転可能に支持される。
破砕ロール軸41は破砕ロール40を回転可能に支持している。
破砕ロール40は、カプセルシート部06の両側の平坦シート部を供給ロール50との間に挟み込み送出する破砕ロール胴42部と、エンボスカプセル02を加圧し内包香料を絞り出す加圧胴44部とエンボスカプセル02を破る破砕爪43を多数列加圧胴44部外周囲に設けて、更に破砕ロール胴42部側方に破砕ロール歯車45を設けて構成される。
破砕ロール軸41の下方の左右の発香室側板に軸受55を設け、供給ロール軸51を貫通して回転可能に支持する。
供給ロール軸51に一方向の回転を伝達し逆方向の回転には空転するワンウエイクラッチ53を取付て、その外周に供給ロール胴52を装着して供給ロール軸51と一体的に構成し、
供給ロール胴52の幅長さはエンボス香料カプセルシート幅に合わせてあり、その側方に供給ロール歯車54を設ける。 供給ロール歯車54と破砕ロール歯車45は幅方向の同位置で噛み合い回転を連動する。
供給ロール軸51の両端部に回転作用ピン57を植立した回転レバー56が固着される。
左右の発香室側板に駆動支点軸62が固着され、これに駆動レバー61が廻動可能に接続され、駆動レバー61の上端側に設けた駆動レバー長孔63部に回転作用ピン57が嵌め込まれ連結される。
駆動レバー61のワイヤ掛板作用孔64部にワイヤ掛板65の両側端部が連結され、ワイヤ掛板65のワイヤ掛孔67部に形状記憶合金ワイヤ70を掛け渡している。
【0022】
図6は、図2から形状記憶合金ワイヤ70に通電して駆動作用が生じた状態を示す。
形状記憶合金ワイヤ70が温度上昇して矢印S方向に縮小するとリターンスプリング74が
ワイヤ掛板65で圧縮しつつ駆動レバーが矢印R1の揺動を行い、回転レバー56を矢印R2旋回させ、このときカプセルシート06部を矢印X方向に供給し、同時にリンク75を矢印Y方向に下降させ、リンク長孔77の調整代によって切断アーム46を矢印R3分揺動させ、破砕シート部07を切断し、カットシート08として回収箱28に投入する。
【0023】
図7は、エンボス香料カプセルロールを用いた香り発生器の制御ユニット81上に複数(本図では3組)の発香ユニット20部を搭載した状態と送風ユニット82部の基本構成を示す縮小全体構成斜視図である。
送風ユニット82を後方に設置し、発香ユニット20のロール室21を前方に回収エリアを後方にして制御ユニット81上に設置する。前方側のロール室21にエンボス香料カプセルロール10をセットして発香準備が簡便に完了する。
送風ユニット82の送風を矢印Wで表し、送風によって外部へ放出される発香香料の拡散方向を矢印Fで表している。
制御ユニット81は、制御プログラムと電源接続部を内蔵し、前面操作設定部の図を省略しているが、香りの発生・停止・香り強度・時間等を設定する操作設定部と外部機器との通信制御ポートを設け、パソコンや他の機器と通信手段によって遠隔制御も出来るようにする。
本発明の実施の形態に係る構成によって、香りの効果の活用に当たっては、好みの香種をセットした発香ユニット20の一つ又は複数の発香ユニット20を選択し、香りを拡散する部屋や空間の広さによって、エンボスカプセル02の1個又は数個のカプセルを破砕し、形状記憶合金ワイヤ70を熱源とする温度制御で、好みの香りの強度、好みの発香パターン、好みの香り揺らぎ制御で、香りを発香する時間を指定して、発香室30から芳香を自動的に拡散することが出来る。また、通信制御ポートを利用し外部機器と連動して、状況に応じた芳香を素早くタイムリーに提供することが出来る。
【0024】
図8は、エンボス香料カプセルロールのシート部の長さ方向の断面を示す分解断面図の一例であり、エンボス部を設け香料を内包させる皮膜としてカプセルシート01にエンボスカプセル02部を定間隔で設け、香料を内包香料04として注入し、封止皮膜03を重ね合わせてヒートシールし密封していき、エンボス香料カプセルとして連続帯状に生産する。エンボスカプセル部の断面形状は、半球型、半円柱型、半楕円球型等や被膜幅方向に複数個配置しても良く、片面エンボスとするのは、使用時の自動供給が容易なためである。
【0025】
図9は、本発明の実施の形態に係るエンボス香料カプセルロールの斜視概要図の一例で、
巻き取ったロール部は2点鎖線で示しています。
エンボスカプセル部の断面形状は半球型、半円柱型、半楕円球型等や被膜幅方向に複数個配置しても良く、図8に示す構成で連続帯状に生産されたものを、香り発生器に使用する長さで定寸切断してロール状にコンパクトに巻き取り使用するもので、嵩張らず小さなロール状にまとめられ、香料の保存性が良く、携帯性が良く、取り扱いが容易となり、自動供給して香り発生を行うことが容易な形態を創ったものである。
【符号の説明】
【0026】
06、カプセルシート部
07、破砕シート部
10、エンボス香料カプセルロール
20、発香ユニット
28、回収箱
30、発香室
31、駆動破砕ユニット
37、発香室前底板
40、破砕ロール
43、破砕爪
44、加圧胴
45、破砕ロール歯車
46、切断アーム
48、切断刃
50、供給ロール
51、供給ロール軸
52、供給ロール胴
53、ワンウェイクラッチ
54、供給ロール歯車
56、回転レバー
61、駆動レバー
65、ワイヤ掛板
70、形状記憶合金ワイヤ
71、端子
74、リターンスプリング
81、制御ユニット
82、送風ユニット
90、滴下香料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる香種のエンボス香料カプセルロールをセットした少なくとも1台以上の発香ユニットを設け、各発香ユニットにロール室と発香エリアと回収エリアを設け、ロール室部に香料をカプセル部に内包したエンボス香料カプセルロールをロール軸で支持設置し、発香エリアに歯車で反転連動する供給ロールと破砕ロールを内蔵する駆動破砕ユニットを設置し、その側壁と底板内を発香室として、発香室底板下部に形状記憶合金ワイヤとリターンスプリングを配置し、形状記憶合金ワイヤへの通電昇熱による形状記憶変形を利用して駆動力を得て、低温時リターンスプリングで復帰動作をさせ、前記の駆動力で供給ロールを正回転させ破砕ロールとの間に挟み込まれたカプセルシート部を送り出し、破砕ロールに設けた多数の破砕爪部でカプセルを破き、破砕ロールの加圧胴で内包香料を絞り出し発香室内に滴下させ、形状記憶合金ワイヤへの通電による発熱を発香室に伝熱して香りを揮散発香させるようにし、複数の発香ユニットから任意香りを選択し発香させることができることを特徴とするエンボス香料カプセルロールを用いた自動香り発生装置。
【請求項2】
エンボス香料カプセルロールをセットし、形状記憶合金ワイヤへの通電制御による駆動力でカプセルを破砕し香りを発香する複数の発香ユニットと揮散発香した香料を強制的に外部に放出する送風ユニットと、この送風ユニットと発香ユニットを制御する制御ユニットから構成し、この制御ユニット部に通信制御ポートを設け、ゲーム機等の遊戯具・テレビゲーム・コンピュータ等の外部機器と通信手段によって指定の香りを発香させることができることを特徴とする請求項1記載のエンボス香料カプセルロールを用いた自動香り発生装置。
【請求項3】
2枚の帯状の皮膜材料を用い、一枚の皮膜材料に断面形状が半球型、半円柱型、半楕円球型等の凹型のエンボスカプセル部を被膜幅方向に1個又は複数個設けて、この凹型部を帯長さ方向に定間隔で形成していき、内包する香料を前記の凹型部に順次注入充填していき、もう一枚の皮膜材料を重ね合わせ順次ヒートシールで密封していき、連続帯状のエンボス香料カプセルシートとして生産し、所定の長さで切断してロール状に巻き取り形成し、エンボスカプセル部を破砕し内包香料を吐出させ、香りを発香させることができるようにしたことを特徴とするエンボス香料カプセルロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−83453(P2011−83453A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238890(P2009−238890)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(394003106)
【Fターム(参考)】